JP4049752B2 - インクジェット記録媒体 - Google Patents
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Description
また、塗工層に高い光沢度を付与するには、塗工層中の顔料の粒径が小さい方が有利であり、光沢発現層の顔料として、粒径の小さなコロイダルシリカを含有させる技術が知られている。
従って、本発明の目的は、リウエット法を用いた場合に、インクジェット記録品質が良好であるとともに、銀塩写真並の光沢感を有するインクジェット記録用媒体を提供することにある。
本発明で使用される支持体は透気性を有したものであれば、どんなものを使用してもよいが、好ましくは紙(塗工紙、未塗工紙等)を用いる。前記紙の原料パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グランドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等を単独または任意の割合で混合して使用することが可能である。また、前記紙のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでもよい。また、紙中に填料を含有させると、紙の不透明度が向上する傾向があるため、填料を含有させることが好ましく、填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。
本発明においては、光沢発現層だけではインク吸収性が乏しく、インクジェット記録媒体として必要なインク吸収を確保できない。そのため、吸収容量の大きいインク受理層が必須となる。インク受理層は、インクまたはインク溶媒を吸収することを目的とする層であり、顔料と結着剤を主成分とする層とする。インク受理層の顔料としてはシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、焼成クレーなど、インク受理層に用いられる顔料として公知のものを単独または混合して用いることができる。また結着剤としては、PVA(ポリビニールアルコール)、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)など、インク受理層に用いられる結着剤として公知のものを使用することができる。また、インク受理層にはサイズ剤、インク定着剤、界面活性剤、染料など公知の助剤を必要に応じて適宜添加してもよい。本発明においては、インク受理層自体にある程度のインクジェット適性(具体的にはインク乾燥速度が速いこと、印字濃度が高いこと、インクの溢れや滲みがないこと)があることが望ましい。
光沢発現層はインク受理層の表面に形成され、後述するリウェットキャストコート法により光沢付与される。光沢発現層は、以下の凝集コロイダルシリカと結着剤とを主成分とする。ここで、本発明者らの研究によれば、光沢発現層の透明性を高くすることで、記録媒体のインク発色性が向上することが判明している。つまり、光沢発現層の顔料として、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、焼成クレーなどの比較的粒径が大きい粒子(平均粒子径が数μm程度)のみを含有すると、高い光沢が得られないだけでなく、光沢発現層の透明性が損なわれ、記録像の鮮明性が損なわれる。そこで、本発明では、光沢発現層の顔料として、比較的粒径が小さい(平均粒子径(二次粒子径)が数10〜数100nm程度)凝集コロイダルシリカを含有する。凝集コロイダルシリカを用いると、光沢発現層の透明性だけでなく光沢も向上できる。
なお、光沢発現層には、上述したシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、焼成クレーなどの比較的粒径が大きい粒子(平均粒子径が数μm程度)を、光沢を低下しない程度に顔料として含有することができる。光沢発現層顔料中の前記粒子の割合は、30質量%以下であることが好ましい。
上記一次粒子は、凝集していない単体の粒子であり、分散した粒子を顕微鏡で観察した場合に、他の粒子との結合部(や結合による境界線)が見られず、通常は球状であるが、非球形の塊状や岩状のもの等も含む。
結着剤としては特に限定されないが、水系の結着剤として例えば、ウレタン樹脂エマルジョン由来のウレタン樹脂、スチレン−アクリル樹脂およびその誘導体、スチレン−ブタジエン樹脂ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、塩化ビニル樹脂エマルジョン、尿素樹脂エマルジョン、アルキッド樹脂エマルジョンおよびこれらの誘導体等、ポリビニルアルコールおよびその変性物、ポリビニルピロリドンおよびその変性物、酸化澱粉、エステル化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク、を挙げることができる。特に、光沢発現層の透明性が高く保存性も良好なアクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂が好ましい。ここで、アクリルウレタン樹脂とは、アクリル酸系モノマー、イソシアネートモノマー、及びポリオールモノマーを共重合させたものである。ウレタン樹脂とはアクリル酸系モノマーを重合させたものである。ウレタン樹脂を用いる場合、高光沢を得られる点でガラス転移温度が10〜70℃のものが好ましい。
リウェット液(再湿潤液)は、通常、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸若しくはその塩類、又はポリエチレンワックス、レシチンなどの離型剤を主成分とする水性液から成る。リウェット液の主な作用は、この液の大部分を占める水により乾燥塗被層の上層部分を湿潤可塑化するにあり、これにより、リウェットキャストコート法で湿潤状態の塗被層を鏡面ドラムに密着させて鏡面を写し取り、記録媒体に高い光沢を付与する。リウェット液には上記離型剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、蛍光染料、染料、インク定着剤、コロイド状顔料、界面活性剤などを添加してもよい。又、必要に応じて顔料分散剤、保水剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、着色剤、耐水化剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、カチオン性高分子電解質等を適宜添加することができる。
上記インク受理層や光沢発現層は、所定の塗工液を公知のコーターで塗布後、乾燥して設けることができる。塗布方法としては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコータ等の公知の塗工機を用いた方法から適宜選択できる。再湿潤液や凝固液を塗布する方法としてはロール、スプレー、カーテン方式等が挙げられるが、特に限定されない。
次に、本発明で用いる凝集コロイダルシリカの種々の形態について説明する。
この凝集コロイダルシリカは、その分散状態を顕微鏡で観察した場合に、一次粒子が2〜3個結合した形状であり、これを適宜「ピーナツ状」と称する。凝集(会合)していない単一の球状コロイダルシリカの場合、インク吸収性が劣るが、ピーナッツ状に凝集したコロイダルシリカは、光沢感とインク発色性、インク吸収性をともに満足させることができる。
また、ピーナツ状コロイダルシリカの二次粒子径は20〜1000nm程度であることが好ましい。
叩解度285mlの広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)からなるパルプスラリ−100部、タルク10部、硫酸アルミニウム1.0部、合成サイズ剤0.1部、歩留向上剤0.02部を添加し、抄紙機で抄紙した。この原紙の両面に、デンプンを片面当たり固形分で2.5g/m2となるよう塗布して、坪量170g/m2の支持体を得た。
(インク受理層の塗工)
上記支持体の片面に、以下の塗工液Aをブレードコーターで塗工量が12g/m2となるよう塗工し、140℃で送風乾燥してインク受理層を形成した。
塗工液A:顔料として合成シリカ(ファインシールX−37:株式会社トクヤマ社製の商品名)100部、ラテックス(LX438C:住友化学工業株式会社製の商品名)5部、結着剤としてポリビニルアルコール(PVA117:株式会社クラレ社製の商品名)24部、サイズ剤(ポリマロン360:荒川化学工業株式会社製の商品名)5部、を配合して濃度20%の水性塗工液を調製した。
インク受理層の表面に、以下の塗工液Bをロールコーターで5g/m2塗工し、140℃で送風乾燥して光沢発現層を形成した。
塗工液B:顔料としてピーナツ状の凝集コロイダルシリカ(PL−2:扶桑化学工業社製の商品名、一次粒子径23nm、二次粒子径51nm)100部、結着剤としてアクリルウレタン樹脂(ハイブリデュール570:エアプロダクツ社製の商品名)30部を配合して濃度20%の塗工液を調製した。
(リウェットキャストコート処理)
以下のリウェット液Cを用いて光沢発現層の表面を再湿潤させ、プレスロールを介して、加熱された鏡面仕上げ面に光沢発現層を圧着して鏡面を写し取り、坪量170g/m2のインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
リウェット液C:離型剤としてポリエチレンワックス(メイカテックスHP50:明成化学工業社製の商品名)0.2部を配合し、濃度0.2%のリウェット液を調整した。
実施例1で用いたコロイダルシリカに代えて、凝集していない単一の球状コロイダルシリカ(ST−50:日産化学工業社製の商品名、一次粒子径23nm)を100部用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
<比較例2>
実施例3で用いたコロイダルシリカに代えて、凝集していない単一の球状コロイダルシリカ(ST−50:日産化学工業社製の商品名、一次粒子径23nm)を100部用いた以外は実施例3と同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
<比較例3>
実施例1で用いたコロイダルシリカに代えて、鎖状に凝集した鎖状コロイダルシリカ(ST−UP:日産化学工業社製の商品名、一次粒子径12nm、二次粒子径50nm)を100部用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
<比較例4>
実施例1で用いたコロイダルシリカに代えて、合成シリカ(ファインシールX−37B):株式会社トクヤマ社製の商品名、一次粒子径10〜30nm、二次粒子径3.7μm)を100部用いた以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録用キャストコート紙を得た。
(1)光沢感
ISO 8254−1に準じてキャストコート紙表面の75度鏡面光沢度を測定し、下記の基準によって評価した。
○:透明感の高い光沢感のもの(75度鏡面光沢度が75%以上)
△:曇ったような光沢感のもの(75度鏡面光沢度が75%未満50%以上)
×:光沢感が低いまたは塗工ムラがあるもの(75度鏡面光沢度が50%未満)
染料インクを用いたインクジェットプリンター(PM―970C:エプソン株式会社製の商品名)により、各記録用紙に所定のパターンを記録し、下記の基準によって評価した。
(2−a)インク吸収性(ブリーディング)
赤と緑の混色べた印字部の境界の滲みを目視で評価した。
○:色の境界部が明瞭に分かれているもの
△:色の境界部で、若干滲みがあるもの
×:色の境界部で、滲みが大きいもの
(2−b)印字濃度(インク発色性)
記録画像部の鮮やかさを印字濃度(シアン、マゼンタ、黄、黒の印字濃度合計)で評価した。△以上であれば通常の使用が可能である。
◎:印字濃度の合計が7.0以上
○:印字濃度の合計が7.0未満6.5以上
△:印字濃度の合計が6.5未満6.0以上
×:印字濃度の合計が6.0未満
比表面積=4πr2/((4πr3/3)*2.2)
(ここで、「2.2」はシリカの真比重、rは粒子径(nm))
又、二次粒子径はコールターN4計(コールター社製の商品名)で測定し、数平均値を採用した。
なお、光沢発現層の顔料としてピーナツ状コロイダルシリカを用いる場合、結着剤としてアクリルウレタン樹脂を用いると(実施例1、2)、白紙光沢度、印字濃度がともに良好な値となった。一般に、結着剤を変えて光沢度を上げようとすると印字濃度が下がり、印字濃度を上げようとすると光沢度が下がる傾向にあるが、上記実施例においては、光沢度も印字濃度も向上した。又、光沢発現層の顔料としてピーナツ状コロイダルシリカを用い、結着剤としてウレタン樹脂を用いると(実施例3)、印字濃度が大幅に向上する。
Claims (3)
- 支持体上に、少なくとも1層以上のインク受理層を設け、該インク受理層の表面に光沢発現層を設けた後、リウェットキャストコート法によって光沢を付与してなるインクジェット記録媒体であって、前記光沢発現層は一次粒子が2〜3個凝集した凝集コロイダルシリカと結着剤とを主成分とすることを特徴とするインクジェット記録媒体。
- 前記結着剤がアクリルウレタン樹脂又はウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
- 前記一次粒子の粒子径が10〜100nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
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