JP4048098B2 - プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプロピレン系ブロック共重合体の製造方法、及び該ブロック共重合体を製造するために使用する重合触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プロピレン系ブロック共重合体を製造する際に、メタロセン化合物に有機アルミニウムオキシ化合物を組み合わせた触媒を使用することは公知である。また、同様にメタロセン化合物にイオン交換性層状珪酸塩化合物(粘土鉱物)を組み合わせた触媒を使用することも公知である(例えば、特許文献1〜8参照)。これらの公知文献には、剛性と耐衝撃性のバランスに優れた良好なプロピレン・エチレンブロック共重合体が記載されている。しかしながらこれらの特性のさらなる改善、及び、重合活性の向上が求められていた。
即ち、耐衝撃性と剛性のバランスの良好な材料、特に低温耐衝撃性を改良するためにはブロック共重合体中のゴム成分の分子量を高くする必要があった。しかし、これまでは高分子量のゴムを大きな重合活性のもと、効率的に製造することは困難であった。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−287257号公報
【特許文献2】
特開平11−228612号公報
【特許文献3】
特開平11−228648号公報
【特許文献4】
特開平11−240929号公報
【特許文献5】
特開平11−349649号公報
【特許文献6】
特開平11−349650号公報
【特許文献7】
特開2001−316438号公報
【特許文献8】
特開2002−37824号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プロピレン・エチレンブロック共重合体中のゴム成分(ゴム状共重合体、EPR)の分子量を高め、かつ該ゴム状共重合体を高い重合活性で製造することを目的とするものである。重合活性を高めることによって、波及的にプロピレン・エチレンブロック共重合体中のゴム成分の含有量を大きくできるので、耐衝撃性と剛性のバランスが一層良好に保持される。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、驚くべきことにメタロセン化合物とイオン交換性層状珪酸塩と有機アルミニウムを特定の条件と順序で接触させることにより、メタロセン化合物を失活させることなく有効に重合反応に関与させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、不活性有機溶媒の存在下、下記成分(A)を、未溶解成分が50重量%以上、且つ溶解成分が50重量%未満のスラリー状態又は粉体で、下記成分(B)及び下記成分(C)と接触させるに於いて、成分(A)を、成分(B)と接触させ、次いで、成分(C)と接触させるか、或いは成分(A)を、成分(B)および成分(C)の混合物と接触させることにより得られる触媒の存在下、プロピレンの単独重合またはプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合により結晶性プロピレン系重合体(α−オレフィン含有量:0〜10重量%)を生成させる前段工程及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合によりプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体(α−オレフィン含有量:10〜95重量%)を生成させる後段工程により、プロピレン系ブロック共重合体を製造する方法に存する。
成分(A):チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる金属のメタロセン化合物、
成分(B):イオン交換性層状珪酸塩、
成分(C):有機アルミニウム化合物。
さらに、本発明は上記プロピレン系ブロック共重合体を製造するための重合触媒に存する。
【0006】
【実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
[オレフィン重合用触媒の製造方法およびその重合用触媒]
本発明のオレフィン重合用触媒の製造方法は、不活性有機溶媒の存在下、成分(A)をスラリー状態又は粉体で成分(B)及び成分(C)と接触させることに特徴があり、次のような各種の態様が挙げられる。接触処理後、不活性有機溶媒を分離することにより本発明の固体触媒を取得することができる。
(イ)不活性有機溶媒中に分散させた成分(B)に、成分(A)を粉体として添加する。その後、成分(C)をそのまま、又は不活性有機溶媒の溶液として添加する。
(ロ)不活性有機溶媒中に分散させた成分(B)に、成分(A)を不活性有機 溶媒のスラリーとして添加する。その後、成分(C)をそのまま、又は不活性有機溶媒の溶液として添加する。
(ハ)不活性有機溶媒中で成分(B)を成分(C)と接触させる。その後、成分(A)を粉体として添加する。
(ニ)不活性有機溶媒中で成分(B)を成分(C)と接触させる。その後、成分(A)を不活性有機溶媒のスラリーとして添加する。
(ホ)上記(イ)〜(ニ)のいずれかの接触段階途中において、α−オレフィンを存在させ予備重合する。
(ヘ)上記(イ)〜(ニ)の段階終了後、α−オレフィンを存在させ予備重合する。
(ト)上記(イ)〜(ヘ)のいずれかの接触段階途中又は接触終了後において、成分(B)以外の担体成分を添加する。
(チ)上記(イ)〜(ト)において、不活性有機溶媒を分離後、乾燥し、更に 成分(C)をそのまま、又は不活性有機溶媒の溶液として追加的に添加する。
(リ)上記(イ)〜(チ)において、成分(A)を接触段階を異にする複数の段階に分割添加して行う。
【0007】
このような態様で接触させた場合に、触媒収率が改善され、ゴム状共重合体の分子量が増大する理由は明らかではないが、次のように推察される。但しこの推察は本発明の理解の一助とするものであって本発明を限定解釈する根拠となるものではない。
従来、メタロセン化合物のような難溶解性の錯体を担体に均一に担持させるためには溶解性の高い溶剤を使用する、あるいはあらかじめ錯体と有機アルミニウムを接触させて錯体に溶解性を付与する必要があると考えられていた。一方で、錯体を有機アルミニウムと長時間接触させると錯体が活性種に変換された後、さらに変質して不活性化してしまう。本発明は錯体をできるだけ溶解させずに、不活性有機溶媒中にスラリー状態として存在させ、もって活性種となった錯体の過反応を防止するものである。このため、助触媒であるイオン交換性層状珪酸塩(粘土)を共存させることで活性化した錯体を固定するとともに変質反応を阻害し、活性種を安定化させることができると考えられる。
本発明の接触順序及び接触態様をとることにより活性化した錯体が有効に触媒中に取り込まれ、錯体の担持量が増加することが明らかとなっており、この結果、重合活性が向上したと推定される。粉体又はスラリー状態で存在する錯体は有機ALと反応しながら分子レベルで溶解し、溶解とほぼ同時並行して担体に担持されると考えられる。有機ALと錯体が事前に反応してしまうと、錯体は完全溶解に至り、その後、副反応が優先して起こるものと思われる。
【0008】
[成分(A)の説明]
本発明で使用するメタロセン化合物とは、共役五員環配位子を少なくとも一個有するチタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる周期表第4族の遷移金属化合物である。この基本骨格さえ有していれば、その構造に特に制限はなく、各種公知のものを単独で、又は異なる二種以上の化合物の混合物として使用することができる。活性種の失活に関する有機アルミニウムの関与は、メタロセン錯体の配位子構造に関係なく起こり得るからである。
具体的には、成分(A)は、下記一般式(Ia)で表される。
【0009】
【化1】
Figure 0004048098
【0010】
一般式(Ia)中、R1、R2、R4、R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素数1〜12のケイ素含有炭化水素基または炭素数1〜12のハロゲン化炭化水素基を示す。R3及びR6は、それぞれ独立して、それが結合する五員環に対して縮合環を形成する炭素数3〜10の飽和または不飽和の2価の炭化水素基を示す。R7およびR8はそれぞれ独立して、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲンもしくはハロゲン化炭化水素置換アリール基またはケイ素およびハロゲン置換アリール基を示す。Qは2つの共役五員環配位子を任意の位置で架橋する結合性基を示し、Mはチタン、ジルコニウム及びハフニウムから選ばれる金属原子を示し、X及びYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示す。m及びnはそれぞれ置換基R7、R8が副環に置換されている個数を意味し、それぞれ独立に0〜20の整数を示す。
本発明の遷移金属化合物は、C2対称体の場合、ラセミ体であることが好ましい。
【0011】
上記R1、R2、R4、R5の炭素数1〜10の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基の他、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
上記R1、R2、R4、R5の炭素数1〜12のケイ素含有炭化水素基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル等のアルキルシリルアルキル基などが挙げられる。
【0012】
上記の炭素数1〜12のハロゲン化炭化水素基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。そして、上記のハロゲン化炭化水素基は、ハロゲン原子が例えばフッ素原子の場合、フッ素原子が上記の炭化水素基の任意の位置に置換した化合物である。その具体例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、トリフルオロビニル、o−、m−、p−フルオロフェニル、2,4−、3,5−、2,6−、2,5−ジフルオロフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、などが挙げられる。
【0013】
これらの中では、R1及びR4としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル等の炭素数1〜6の炭化水素基が好ましく、R2及びR5としては水素原子が好ましい。R3及びR6としては、隣接する共役五員環の共有部分とから形成される副環が、7〜10員環である場合が好ましく、特にペンタメチレン基、1,3−ペンタジエニレン基、1,4−ペンタジエニレン基が好ましい。
7およびR8の炭素数6〜20のアリール基の好ましい具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、メシチル基、エチルフェニル基、ジエチルフェニル基、トリエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ジ−i−プロピルフェニル基、トリ−i−プロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、ジ−n−ブチルフェニル基、トリ−n−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、トリ−t−ブチルフェニル基、ビフェニリル基、p−テルフェニル基、m−テルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基などが挙げられる。これらの中ではt−ブチルフェニル基、ビフェニリル基、p−テルフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基が特に好ましい。
【0014】
7およびR8の炭素数6〜20のハロゲンまたはハロゲン化炭化水素置換アリール基としては、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素である場合が例示でき、具体例としては、ハロゲン原子が例えばフッ素原子の場合、フッ素原子が上記の炭化水素基の任意の位置に置換した化合物が例示できる。フッ素を例に挙げて好ましい具体例を説明すると、フルオロフェニル基、(トリフルオロメチル)フェニル基、メチルフルオロフェニル基、フルオロジメチルフェニル基、(フルオロメチル)メチルフェニル基、エチルフルオロフェニル基、ジエチルフルオロフェニル基、トリエチルフルオロフェニル基、フルオロ−i−プロピルフェニル基、フルオロジ−i−プロピルフェニル基、(フルオロ−i−プロピル)−i−プロピルフェニル基、フルオロトリ−i−プロピルフェニル基、n−ブチルフルオロフェニル基、ジ−n−ブチルフルオロフェニル基、(フルオロブチル)ブチルフェニル基、トリ−n−ブチルフルオロフェニル基、t−ブチルフルオロフェニル基、ジ−t−ブチルフルオロフェニル基、トリ−t−ブチルフルオロフェニル基、フルオロビフェニリル基、フルオロ−p−テルフェニル基、フルオロ−m−テルフェニル基、フルオロナフチル基、フルオロアントリル基、フルオロフェナントリル基などが挙げられる。ハロゲン化炭化水素基としてフッ素化物としてはフッ素化炭化水素置換アリール基、塩素化物としては塩素化炭化水素置換アリール基が好ましく、t−ブチルフルオロフェニル基、フルオロビフェニリル基、フルオロ−p−テルフェニル基、フルオロナフチル基、フルオロアントリル基、フルオロフェナントリル基、t−ブチルクロロフェニル基、クロロビフェニリル基、クロロ−p−テルフェニル基、クロロナフチル基、クロロアントリル基、クロロフェナントリル基が特に好ましい。
【0015】
m及びnは、好ましくは各々独立して1〜5の整数である。m及び/又はnが2以上の整数の場合は、複数の基R7(あるいはR8)は、互いに同一でも異なっていても構わない。また、m及び/又はnが2以上の場合、それぞれ、R7同士またはR8同士が連結して新たな環構造を形成していてもよい。R7及びR8のR3及びR6に対する結合位置は特に制限されないが、それぞれの5員環に隣接する炭素(α位の炭素)であることが好ましい。
【0016】
Qは、好ましくは、メチレン基、エチレン基、シリレン基、オリゴシリレン基、またはゲルミレン基である。Mは、好ましくはチタン、ジルコニウム、またはハフニウムであり、特に好ましくはハフニウムである。X及びYは、好ましくはハロゲンであり、より好ましくは塩素原子である。
成分(A)の中で好ましい錯体を具体的に例示すると、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(3−フルオロ−4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−ビフェニル−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル−4H−アズレニル))ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル−4H−テトラヒドロアズレニル))ハフニウムジクロリド、等が挙げられる。
これらの中でも特に、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル−4H−アズレニル))ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(4−クロロ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル−4H−テトラヒドロアズレニル))ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4H−アズレニル)ハフニウムジクロリドが好ましい。
【0017】
<成分(A)の粉体化、スラリー化>
成分(A)は粉体又は不活性有機溶媒のスラリーとして使用されるが、重合によって得られるポリマー粒子の粉体性状を改善するため、あるいは重合反応器中のファウリングを防止するため、成分(A)は不活性有機溶媒中で微分散された粒子の形状をとることが好ましい。粒子の形態は特に制限はなく球状、板状、針状あるいは不定形であってもよいが粒子径は微小すぎると静電気付着が起こりやすく低い嵩密度の影響で取扱いが困難になる。一方で、粒子径が大きすぎると未担持の成分(A)が増加し、活性の低下やポリマー粒子性状の悪化あるいは重合反応器中のファウリングを引き起こす可能性がある。
成分(A)は通常は固体であり、不定形の粉末または結晶である場合が多い。粗粒子が少なければそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別、粉砕等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。ただし、一般的には不定形であるため、分粒、分別、粉砕等の操作をおこなう方が好ましい。粒径を制御するための分粒、分別、粉砕等の操作は不活性ガス又は不活性有機溶媒の存在下で行なうことが望ましい。
成分(A)の平均粒子径は0.1〜5000μm、好ましくは1〜1000μmである。5000μm以上の粒子の体積分率は5%以下、好ましくは1%以下である。
成分(A)のスラリー化は通常、不活性有機溶媒に予め分散させる方法、または成分(B)の不活性有機溶媒のスラリーに添加する方法が挙げられる。分散方法は特に制限はないが、一般的には撹拌翼による強制撹拌あるいは超音波を使用するのが望ましい。不活性有機溶媒中の成分(A)のスラリー濃度は特に制限はないが0.01〜100mg/ml、好ましくは0.1〜50mg/mlがよい。スラリー化する際の濃度は不活性有機溶媒中に成分(B)が存在していてもよい。
【0018】
[成分(B)の説明]
本発明において、原料として使用するイオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記する)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物を言う。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群。
【0019】
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。本発明で使用する珪酸塩は、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本願発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
【0020】
また、重合によって得られるポリマー粒子の粉体性状を改善するため、当該珪酸塩を球状とすることが好ましい。粒子の形状が球状であれば天然物あるいは市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。ただし、一般的には市販品の珪酸塩は不定形であるため、造粒、分粒、分別等の操作をおこなう場合が多い。
球状粒子を得るための噴霧造粒において、原料スラリー液の珪酸塩の濃度は0.1〜70%、好ましくは1〜50%、特に好ましくは2〜30%である。噴霧造粒の熱風の入り口の温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると80〜260℃、好ましくは100〜220℃で行う。
本発明では、化学処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒等で形状制御を行ってもよい。造粒には各種公知の方法が採用できるが、好ましくは攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられる。
上記のように得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の抑制をするために0.2MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子を得るためには、珪酸塩を微細化することが有効である。微細化する方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕いずれの方法でも可能である。好ましくは、水を分散媒として使用し珪酸塩の膨潤性を利用した湿式粉砕であり、例えばポリトロン等を使用した強制撹拌による方法やダイノーミル、パールミル等による方法がある。粒径および1μm未満粒子の体積分率は、平均粒径が0.01〜5μmで1μm未満の粒子分率が5%以上、好ましくは、平均粒子径が0.1〜3μmで1μm未満の粒子分率が10%以上である。
【0021】
<成分(B)の有機金属化合物処理>
本発明では、イオン交換性層状珪酸塩を化学処理および/または水除去処理した後で必要に応じて有機金属化合物で処理することができる。
本処理はイオン交換性層状珪酸塩の表面や層間に存在する水分の除去および化学結合した水酸基の無害化に有効である。さらには、特開2002−020415号公報に記載されているような触媒及びポリマー粒子形態の制御に効果がある。
このような目的で使用できるものであれば、公知の種々の化合物を例示することができる。これらのうちで好ましくは、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムである。または、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム等のジアルキルマグネシウム、あるいはジエチルジンク、ジブチルジンク等のジアルキルジンクが挙げられる。
【0022】
[成分(C)の説明]
成分(C)として用いられる有機アルミニウム化合物は、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、次の一般式で示される。
AlR10 j3-j
(式中、R10 は炭素数1〜20の炭化水素基、Xは水素、ハロゲン、アルコキシ基、jは0<j≦3の数を示す。)好ましい炭化水素基は炭素数1〜8,特に4〜8の分岐または直鎖であるアルキル基である。具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムメトキシド等のハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
【0023】
[触媒の形成]
本発明による触媒は、上述した成分(A)、成分(B)、成分(C)を不活性有機溶媒の存在下、特に成分(A)をスラリー状態で他の成分と接触させることに特徴を有するものである。
各成分の接触時間は、成分(B)と成分(C)の接触は特に制限はないが、成分(A)が成分(C)と接触した後では、0.5分〜24時間、好ましくは1分〜5時間である。各成分の接触温度は特に制限はないが、−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であることが好ましい。
各成分の接触は不活性有機溶媒である脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素又は脂環式炭化水素の存在下で行なうことができる。これらの炭化水素は炭素と水素のみからなるものが好ましく、Cl、Br、I等のハロゲン含有炭化水素は成分(A)の溶解性が高く、成分(A)をスラリー状態に維持するのに不都合な場合がある。
【0024】
脂肪族炭化水素としては炭素数5〜20の直鎖あるいは分岐を有するものが好ましい。芳香族炭化水素としては炭素数6〜20のものが好ましい。脂環式炭化水素としては、炭素数5〜20のものが好ましい。具体的にはn−ペンタン、iso−ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカンのような脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、o−、m−、p−キシレン、p−ジイソプロピルベンゼンのような芳香族炭化水素、及びシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロデカンのようなが脂環式炭化水素が好適に用いられる。
各成分の濃度は例えば、成分(A)は0.1〜100mg/ml、成分(B)は1〜1000g/Lが好ましい。成分(A)は粉体として使用される。あるいは該粉体を予め不活性有機溶媒中に分散させてスラリー状態で使用することができる。特に成分(A)がスラリーの時は未溶解成分が50重量%以上(溶解成分が50重量%未満)、より好ましくは60重量%以上になるように、不活性有機溶媒の種類及び濃度を選択することが好ましい。詳しくは、成分(B)と成分(A)を接触させる前の段階において、成分(A)がスラリーの時は溶解成分の量が成分(B)1gに対して15μmol以下であるのが好ましい。また、上記条件を満足するように成分(A)の濃度を調整することが可能である。
【0025】
各成分を接触させた後に得られる固体触媒を、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素あるいは脂環式炭化水素溶媒で洗浄してもよい。
本発明で使用する成分(A)、(B)および(C)の使用量は、成分(B)1gに対して成分(A)が1〜100μモル、好ましくは5〜80μモル、より好ましくは10〜50μモルの範囲である。成分(A)に対する成分(C)の使用量は、成分(A)1μモルに対し、中心金属の量が0.01〜100μモル、好ましくは0.1〜50μモル、特に好ましくは1〜10μモルの範囲である。
【0026】
[予備重合]
本発明の成分(A)、成分(B)および成分(C)の接触混合物は、予めオレフィンを接触させて少量重合させることからなる予備重合処理をすることが可能である。使用するオレフィンは、特に限定はないが好ましくはエチレンまたはプロピレンである。オレフィンのフィード方法としては、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる方法等、任意の方法が可能である。予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20〜100℃、5分〜24時間の範囲 であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(B)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50(重量比)である。
【0027】
予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行うことも可能である。乾燥を実施する場合は、不純物による被毒を防止するために、新たに成分(C)を添加することが好ましい。
上記の各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を担体成分として共存させるか、または、接触させてもよい。本発明のすべての触媒成分を接触させた後、あるいは予備重合を行った後に成分(C)を接触させる等の方法も可能である。
【0028】
[プロピレン系ブロック共重合]
本発明のプロピレン系ブロック共重合は、前段工程及び後段工程の2段階で行われる。重合反応はプロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン等の不活性炭化水素を用いるスラリー法、液化α−オレフィンを溶媒としても利用するバルク法、または、実質的に溶媒を使用しない気相法を利用することができる。但し、前段重合を液化α−オレフィンを溶媒とするバルク法あるいは気相法で行い、ついで、後段重合を気相法で行うことがより好ましい。
【0029】
前段重合では、触媒の存在下にプロピレンの単独重合または、プロピレンと炭素数2〜20の他のα−オレフィンとの共重合が行われる。これによりプロピレンの結晶性単独重合体もしくはプロピレン含量が90重量%以上のプロピレンと他のα−オレフィンの結晶性共重合体を製造する。即ち、生成重合体中のα−オレフィン含有量としては0〜10重量%である。α−オレフィンの使用量は、全モノマー(プロピレンとα−オレフィンの合計)に対して0.5重量%以下が好ましい。ここに、α−オレフィンの使用量と共重合体中の含有量とは相関関係はあるが、必ずしも比例するものではない。
α−オレフィンの種類としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の直鎖状オレフィンや1,5−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン等の直鎖状ジオレフィン、シクロペンタジエンやノルボルネン等の環状オレフィンあるいはスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族オレフィンが挙げられる。
【0030】
通常、前段重合で得る重合体の量が、全重合体生成量の50〜95重量%となるように重合温度および重合時間が選ばれる。重合温度は通常−20〜150℃、好ましくは0〜100℃、より好ましくは30〜80℃から選ばれる。分子量調節剤としては水素が好ましい。水素は、製造すべき重合体の所望の分子量、MFRなど考慮して適宜選択される。これらの所望値は重合温度にもよるが、たとえば、気相水素濃度として0.001〜20モル%が使用される。重合圧力は0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜3MPaの範囲である。特に本発明は、前段重合でMFRが1〜1000g/10分、好ましくは5〜100g/10分の結晶性プロピレン系重合体を製造する場合に有効である。
【0031】
次に後段重合では、前段重合で生成した結晶性プロピレン系重合体の存在下にプロピレンと炭素数2〜20の他のα−オレフィンとの共重合を行わせる。これにより、いわゆるゴム状共重合体成分が製造される。α−オレフィンの種類としては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等の直鎖状オレフィンや1,5−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,6−ヘプタジエン等の直鎖状ジオレフィン、シクロペンタジエンやノルボルネン等の環状オレフィンあるいはスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族オレフィンが挙げられる。なかでもエチレン、ブテン、ヘキセンが好ましい。
ゴム状共重合体中のα−オレフィンの含有量は、10〜95重量%、好ましくは20〜60重量%である。重合量比(モル比)は、通常5/95〜90/10の割合となるように重合させる。通常、後段重合で得る重合体の量が、全重合体生成量の5〜50重量%となるように重合温度および重合時間が選ばれる。重合温度は通常0〜100℃、好ましくは20〜90℃の範囲から選ばれる。本発明において、後段重合を2工程(後段1及び後段2)に分割することができる。後段2では、後段1とは異なる条件下、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合、エチレンの単独重合もしくはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合を行ってもよい。重合圧力は0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜3MPaの範囲である。
【0032】
プロピレンとα−オレフィンの共重合体の製造工程において、経時的な重合ガス組成の変動をできる限り小さくし、供給ガス組成(モノマー/コモノマー比)を一定に保つ。 後段重合において、重合反応の進展に伴って消費されるプロピレン、α−オレフィンの量に相当するだけの原料モノマーあるいはコモノマーを補充し、初期の原料組成と同じ組成を維持することが好ましい。
プロピレンとα−オレフィンの含量比は、重合が定常状態に入った場合には、初期原料組成の維持ではなく、製造しようとするプロピレンとα−オレフィンとの含有比率と同じ値の原料組成に維持することで、触媒による原料の消費と供給のバランスがうまく取れ、過不足なくプロピレンとα−オレフィンの消費、補給が行われる結果、組成分布の変動が極めて小さいブロック共重合体を得ることができる。
【0033】
前段及び後段の重合工程ではバルク重合法、気相重合法どちらの重合法も採用可能である。但し、後段重合は製造するEPRがゴム成分であり、溶媒中に溶出しないことが望ましいから、好ましくは気相重合法を採用する。また重合形式は、それぞれ前段重合、後段重合とも回分法、および連続法どちらの方式も採用できる。
後段重合で製造するEPRの分子量は、分子量調整剤の供給、重合温度、重合圧力等で制御することができる。分子量調節剤としては水素が好ましい。水素は、製造すべきEPR重合体の所望の分子量、MFRなど考慮して適宜選択され、例えば、気相水素濃度として0.001〜20モル%が使用される。その他に例えば、重合温度は0〜100℃、重合圧力は0.1〜5MPaの範囲でEPRの分子量を制御することもできる。
【0034】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。
以下の操作は、全て不活性ガス雰囲気下で行った。また、錯体合成、触媒調製および重合にて使用する溶媒はモレキュラーシーブ4Aで脱水精製し、精製窒素でバブリングして脱酸素処理を行ったものを使用した。
【0035】
<ポリマーの嵩密度の測定>
ASTM D1895−69に準拠して測定した。
<MFR(Melt Flow Rate)>
タカラ社製 メルトインデクサーを用いてJIS−K−6758ポリプロピレン試験方法のメルトフローレート(条件:230℃、荷重2.16Kgf)により測定した。
【0036】
<EPR含有量>
これは、プロピレン系ブロック共重合体中のプロピレン・エチレン共重合体(EPR)含有量を重量%で表示したものである。
【0037】
1.使用する分析装置
▲1▼クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
▲2▼フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
▲3▼ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段部分のGPCカラムは、昭和電工社製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
【0038】
2.CFCの測定条件
▲1▼溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
▲2▼サンプル濃度:4mg/mL
▲3▼注入量:0.4mL
▲4▼結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
▲5▼分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位 重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、後段のGPCカラムを経由後そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
▲6▼溶出時溶媒流速:1mL/分
【0039】
3.FT−IRの測定条件
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
CFC−FT−IRの概念図を図1に示した。
▲1▼検出器:MCT
▲2▼分解能:8cm-1
▲3▼測定間隔:0.2分(12秒)
▲4▼一測定当たりの積算回数:15回
【0040】
4.測定結果の後処理と解析
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm-1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)を含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
▲1▼標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138、α=0.70
▲2▼プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103、α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm-1の吸光度と2927cm-1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレン−ラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
【0041】
<EPR含有量>
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体のEPR含有量は、下記式(II)で定義され、以下のような手順で求められる。
EPR含有量(重量%) =
40×A40/B40+W100×A100/B100 +W140×A140/B140 (II)
(W40、W100 、W140は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位 重量%)であり、A40、A100、A140はW40、W100、W140に対応する各フラクションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位 重量%)であり、B40、B100、B140 は、各フラクションに含まれるEPRのエチレン含有量(単位 重量%)である。A40、A100、A140、B40、B100、B140求め方は後述する。
(II)式の意味は以下の通りである。すなわち、(II)式右辺の第一項はフラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEPRの量を算出する項である。フラクション1がEPRのみを含み、PPを含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEPR含有量に寄与するが、フラクション1にはEPR由来の成分のほかに少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EPR成分由来の量を算出する。例えばフラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるEPRのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はEPR由来、1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作はフラクション1の重量%(W40)からEPRの寄与を算出することを意味する。右辺第二項以後も同様であり、各々のフラクションについて、EPRの寄与を算出して加え合わせたものがEPR含有量となる。
【0042】
(1)上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜3に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100、A140とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
(2)フラクション1の分子量分布曲線(図2参照)におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明ではB100=B140=100と定義する。B40、B100、B140は各フラクションに含まれるEPRのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由はフラクションに混在するPPとEPRを完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100、B140はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるEPRの量がフラクション1に含まれるEPRの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=B140=100として解析を行うこととしている。
【0043】
(3)以下の式に従い、EPR含有量を求める。
EPR含有量(重量%) =
40×A40/B40+W100×A100/100+W140×A140/100 (III)
つまり、(III)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないEPR含有量(重量%)を示し、第二項と第三項の和であるW100×A100/100+W140×A140/100は結晶性を持つEPR含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40、A100、A140は、次のようにして求める。
図2は、結晶分布の違いによって分別されたフラクション1をCFC分析装置の一部を構成するGPCカラムで分子量分布を測定した曲線、および、当該GPCカラムの後ろに接続されたFT−IRによって、分子量分布曲線に対応して測定されるエチレン含有量の分布曲線を示した例である。分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。
また、図2において、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和がフラクション1の平均エチレン含有量A40となる。フラクション2の平均エチレン含有量A100も同様に求める。
【0044】
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。本発明のCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えばEPRの大部分、もしくはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えばEPR中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えばPP中特に結晶性の高い成分、およびEPR中の極端に分子量が高くかつ極めて高いエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140にはEPR成分は全く含まれないか、存在しても極めて少量であり実質的には無視できることからエチレン含有量の計算からは排除する。
【0045】
<EPR中のエチレン含有量>
EPR中のエチレン含有量(重量%)=
(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/EPR含有量
<MwEPR
これは、EPRの重量平均分子量(MwEPR)であり、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)の重量平均分子量で定義される。
【0046】
<合成例1>
(1)成分(A)の調整
(r)−ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムの合成:
ラセミ・メソ混合物の合成;
2−フルオロ−4−ブロモビフェニル(4.63g,18.5mmol)をジエチルエーテル(40mL)とヘキサン(40mL)の混合溶媒に溶かし、t−ブチルリチウムのペンタン溶液(22.8mL,36.9mmol,1.62N)を−78℃で滴下し、−5℃で2時間撹拌した。この溶液に2−メチルアズレン(2.36g,16.6mmol)を加え室温で1.5時間撹拌した。0℃に冷却しテトラヒドロフラン(40mL)を加えた。N−メチルイミダゾール(40μL)とジメチルジクロロシラン(1.0mL,8.30mmol)を加え、室温まで昇温し、室温で1時間撹拌した。この後、希塩酸を加え、分液した後有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去すると、ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−1,4−ジヒドロアズレン]の粗精製物(6.3g)が得られた。
次に、上記で得られた粗精製物をジエチルエーテル(23mL)に溶かし、−78℃でn−ブチルリチウムのヘキサン溶液(10.3mL,16.6mmol,1.56mol/L)を滴下し、徐々に昇温して室温で2時間撹拌した。さらに、トルエン(185mL)を加え、−78℃に冷却し、四塩化ハフニウム(2.65g,8.3mmol)を加え、徐々に昇温し室温で一夜撹拌した。得られたスラリー溶液から減圧下大部分の溶媒を留去し、濾過したのち、トルエン(4mL)、ヘキサン(9mL)、エタノール(20mL)、ヘキサン(10mL)で洗浄し、乾燥させると、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのラセミ・メソ混合物(1.22mg,収率16%)の固体が得られた。
【0047】
ラセミ体の精製;
上記で得られたラセミ・メソ混合物(1.1g)をジクロロメタン(30mL)に懸濁し、高圧水銀灯(100W)を用いて30分光照射した。この溶液を減圧下溶媒を留去した。得られた固体にジクロロメタン(40mL)を加え懸濁させ、濾過した。ヘキサン(3mL)で洗浄し、減圧下乾燥するとラセミ体(577mg,52%)の粉末が得られた。この粉末は微結晶を含む不定形であるが、1000μm以上の粗粒子は粉砕すると容易に微細化されて100μm以下になった。
1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ1.02(s,6H,SiMe2),1.08(t,J=8Hz,6H,CH3CH2),2.54(sept,J=8Hz,2H,CH3CH2),2.70(sept,J=8Hz,2H,CH3CH2),5.07(brs,2H,4−H),5.85−6.10(m,8H),6.83(d,J=12Hz,2H),7.30−7.6(m,16H,arom).
【0048】
(2)成分(B)の調整
(イ)化学処理
攪拌翼、還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、イオン交換水500gを投入し、更に水酸化リチウム1水和物249g(5.93mol)を投入して攪拌する。
別に、硫酸581g(5.93mol)をイオン交換水500gで希釈し、滴下ロートを用いて上記水酸化リチウム水溶液に滴下する。このとき硫酸の一部は中和反応に消費され系中で硫酸リチウム塩が生成し、さらに硫酸過剰になることにより酸性溶液となる。
そこへ、更に市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:28.0μm)を350g添加後攪拌する。その後30分かけて108℃まで昇温し150分維持する。その後、1時間かけて50℃まで冷却した。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、減圧ろ過を実施した。ケーキを回収し、純水を5.0L加え再スラリー化し、ろ過を行った。この操作をさらに4回繰り返した。ろ過は、いずれも数分かからずに終了した。最終の洗浄液(ろ液)のpHは、5であった。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。その結果、275gの化学処理体を得た。蛍光X線により組成分析を行ったところ、主成分であるケイ素に対する構成元素のモル比は、Al/Si=0.21、Mg/Si=0.046、Fe/Si=0.022であった。
【0049】
(ロ)化学処理モンモリロナイトの有機アルミニウム処理
内容積1Lのフラスコに上記(イ)で得た化学処理モンモリロナイト10.0gを秤量し、ヘプタン64.6ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液35.4ml(25mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、ヘプタンで洗浄し、最後にスラリー量を100mlに調製した。
【0050】
(3)プロピレンによる予備重合
上記(2)の(ロ)で調整したトリイソブチルアルミニウム処理したモンモリロナイトのヘプタンスラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.13ml(1504μmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。
また別のフラスコ(容積200mL)中で、上記(1)で合成した(r)−ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウム(299μmol)にトルエン(60ml)を加えてスラリーとした後、上記の1Lフラスコに加えて、室温で60分間攪拌した。
錯体のトルエンスラリーを分析し、錯体の溶解成分及び不溶解成分を求めたところ、錯体の溶解成分は60μmol、不溶解成分は239μmolであり、溶解成分はモンモリロナイトに対しては6μmol/g−担体であった。
次に、上記モンモリロナイトのヘプタンスラリーに、更にヘプタン340mlを追加して内容積1リットルの攪拌式オートクレーブに導入し、60分間攪拌した。オートクレーブ内の温度が40℃で安定したところで、上記錯体のトルエンスラリーを加えて、引き続いてプロピレンを238.1mmol/hr(10g/時)の一定速度で120分間フィードした。プロピレンフィード終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。予備重合に要した全所要時間は4時間であった。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5ml(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を31.8g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.09であった。
【0051】
<合成例2>
(1)プロピレンによる予備重合
合成例1の(1)で合成した(r)−ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウムのトルエンスラリー58ml(310μmol)に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.13ml(1002μmol)を室温にて加えて、60分間撹拌した。このとき、錯体はトルエン・ヘプタンの混合溶媒中に完全に溶解した。錯体の溶解量はモンモリロナイトに対して31μmol/g−担体であった。
この錯体溶液を、実施例1の(2)の(ロ)と同様に合成したトリイソブチルアルミニウム処理したモンモリロナイト10.0gに加え、室温で60分間攪拌し触媒スラリーを得た。次に、あらかじめヘプタン340mlを導入した内容積1リットルの攪拌式オートクレーブに、上記触媒スラリーを加え、60分間攪拌した。オートクレーブ内の温度が40℃で安定したところでプロピレンを238.1mmol/hr(10g/時)の一定速度で120分間フィードした。プロピレンフィード終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。予備重合に要した全所要時間は4時間であった。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5ml(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を31.6g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.06であった。
【0052】
<合成例3>
(1)プロピレンによる予備重合
合成例1の(2)の(ロ)で調整したトリイソブチルアルミニウム処理したモンモリロナイトのヘプタンスラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.43ml(303.5μmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。
また別のフラスコ(容積200mL)中で、合成例1の(1)で合成した(r)−ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス[2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル]}ハフニウム(151μmol)にトルエン(30ml)を加えてスラリーとした後、室温で60分間攪拌した。
錯体のトルエンスラリーを分析し、錯体の溶解成分及び不溶解成分を求めたところ、錯体の溶解成分は30μmol、不溶解成分は269μmolであり、溶解成分はモンモリロナイトに対して3μmol/g−担体であった。
次に、上記モンモリロナイトのヘプタンスラリーにヘプタン340mlを追加して内容積1リットルの攪拌式オートクレーブに導入し、60分間攪拌した。オートクレーブ内の温度が40℃で安定したところで、上記錯体のトルエンスラリーを加えて、引き続いてプロピレンを238.1mmol/hr(10g/時)の一定速度で120分間フィードした。プロピレンフィード終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。予備重合に要した全所要時間は4時間であった。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5ml(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を32.5g回収した。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.21であった。
【0053】
<実施例1>
(前段重合)
パージライン部を分岐させ、一方に圧力を一定に保つことが可能な排圧弁を取り付けた重合槽(内容積3リットルの撹拌機付オ−トクレ−ブ)内をプロピレンで十分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、水素300ml、続いて液体プロピレン1500mlを導入し、65℃に昇温した。先に実施した合成例1の(3)で得られた予備重合触媒をヘプタンにスラリー化し、固体触媒として30mg(予備重合ポリマーを除く正味の固体触媒の量)圧入して重合を開始した。槽内温度を65℃に維持した。触媒投入1時間経過後に、残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を数回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。90℃窒素気流下で30分間乾燥後に測定した結果、抜き出し量は15gであった。
(後段重合)
それと並行して、プロピレン及びエチレンの定速供給設備を持つ混合ガス槽(内容積14リットルの撹拌機付オ−トクレ−ブ)に、プロピレン33モル%、エチレン67モル%の混合ガスを80℃で2.7MPa分調製した。
重合槽の撹拌を再開し、先に調製した混合ガスを重合槽に導入し、予め2.0MPaに調整した排圧弁のラインを開け、内圧を2.0MPaに制御した。重合槽と混合ガス槽の圧力が同圧になった時点で、混合ガス槽のガス組成を一定とするために、プロピレンを250g/時、エチレンを340g/時で混合ガス槽に供給し、この混合ガス槽を経由して重合槽に一定組成のモノマーガスを一定速度で連続的に供給した。重合は、内温が80℃に達した時点を反応開始とし、プロピレン・エチレンの気相共重合を30分間実施した。この間の重合槽内のガス組成は一定に保たれており、水素濃度は35モルppmであった。重合終了後、回収したポリマーは90℃窒素気流下で30分間乾燥した。
(重合結果)
プロピレン・エチレンブロックポリマーの収量:295g
ホモ部(前段重合で得られたホモPP)のMFRhomo:63g/10分
エチレン・プロピレン共重合体(EPR)の含有量:21.3重量%
EPR中のエチレン含有量:28.7重量%
EPRの重量平均分子量MwEPR:78.1万。
この結果を基に計算すると、ホモ重合の触媒活性は8240(g-PP/g−cat・hr)、EPR重合の触媒活性は4460(g-EPR/g−cat・hr)であった。
重合結果を他の実施例、比較例と共に表1に示した。
【0054】
<比較例1>
合成例2で得られた予備重合触媒を使用し、プロピレンホモ重合時に加える水素量を250mlとすることを除き、実施例1と同様に実施した。ホモ重合終了時の抜き出し量は17g、気相EPR重合時の水素濃度は30モルppmであった。得られたエチレン・プロピレンブロックポリマー量は205gであった。MFRhomo=47g/10分、EPR含有量は18.8重量%、EPR中のエチレン含有量は29.4重量%、MwEPRは53.7万であった。この結果より、ホモ重合の触媒活性は6120(g-PP/g−cat・hr)、EPR重合の触媒活性は2830(g-EPR/g−cat・hr)となる。実施例1と比較するとEPRの分子量が53万と小さく、かつ触媒の重合活性も低いことが分かる。
【0055】
<実施例2>
前段のプロピレンホモ重合時に加える水素量を280mlで実施すること、及び後段のエチレン・プロピレンの気相共重合を65℃で実施することを除き、実施例1と同様に実施した。ホモ重合終了時の抜き出し量は20g、気相EPR重合時の水素濃度は20モルppmであった。得られたエチレン・プロピレンブロックポリマー量は230gであった。MFRhomo=45g/10分、EPR含有量は10.7重量%、EPR中のエチレン含有量は27.0重量%、MwEPRは92.0万であった。この結果より、ホモ重合の触媒活性は7510(g-PP/g−cat・hr)、EPR重合の触媒活性は1800(g-EPR/g−cat・hr)となる。実施例1に比べて後段重合の温度が低いので、結果として重合活性は低下するが、EPR部分の分子量(MwEPR)を大きくできることが分かる。
【0056】
<実施例3>
プロピレン単独重合は、実施例1と同様に実施した。ホモ重合終了時の抜き出し量は40gであった。
それと並行して、プロピレン及びエチレンの定速供給設備を持つ混合ガス槽(内容積14リットルの撹拌機付オ−トクレ−ブ)に、プロピレン21モル%、エチレン79モル%の混合ガスを80℃で2.7MPa分調製した。
重合槽の撹拌を再開し、先に調製した混合ガスを重合槽に導入し、予め2.0MPaに調整した排圧弁のラインを開け、内圧を2.0MPaに制御した。重合槽と混合ガス槽の圧力が同圧になった時点で、混合ガス槽のガス組成を一定とするために、プロピレンを240g/時、エチレンを600g/時で混合槽に供給し、この混合ガス槽を経由して重合槽に一定組成のモノマーガスを一定速度で連続的に供給した。重合は、内温が80℃に達した時点を反応開始とし、エチレン・プロピレンの気相共重合を30分間実施した。この間の重合槽内のガス組成は一定に保たれており、水素濃度は30モルppmであった。重合終了後、回収したポリマーは90℃窒素気流下で30分間乾燥した。
その結果、270gのエチレン・プロピレンブロックポリマーが得られた。MFRhomoは67g/10分、EPR含有量は13.5重量%、EPR中のエチレン含有量は48.6重量%、MwEPRは63.5万であった。この結果を基に計算すると、ホモ重合の触媒活性は9120(g-PP/g−cat・hr)、EPR重合の触媒活性は2850(g-EPR/g−cat・hr)であった。
【0057】
<比較例2>
合成例2で得られた予備重合触媒を40mg使用することを除き、実施例3と同様に実施した。ホモ重合終了時の抜き出し量は19g、気相EPR重合時の水素濃度は30モルppmであった。得られたエチレン・プロピレンブロックポリマー量は275gであった。MFRhomo=61g/10分、EPR含有量は15.1重量%、EPR中のエチレン含有量は46.9重量%、MwEPRは44.5万であった。この結果より、ホモ重合の触媒活性は6310(g-PP/g−cat・hr)、EPR重合の触媒活性は2250(g-EPR/g−cat・hr)となる。実施例3と比較するとEPRの分子量が44.5万と小さく、かつ触媒の重合活性も低いことが分かる。
【0058】
<実施例4>
合成例3で得られた予備重合触媒を使用し、水素量を250mlする以外は、実施例1と同様に実施した。ホモ重合終了時の抜き出し量は12g、気相EPR重合時の水素濃度は20モルppmであった。得られたエチレン・プロピレンブロックポリマー量は154gであった。MFRhomo=58g/10分、EPR含有量は13.8重量%、EPR中のエチレン含有量は28.0重量%、MwEPRは85.2万であった。この結果より、ホモ重合の触媒活性は4830(g-PP/g−cat・hr)、EPR重合の触媒活性は1540(g-EPR/g−cat・hr)となる。
【0059】
【表1】
Figure 0004048098
【0060】
【発明の効果】
本発明により、高分子量のEPRが製造でき、EPR製造時の触媒活性も向上したためEPR含有量の高い、いわゆる高ゴムのプロピレン系ブロック共重合体の製造が可能となり、より改良された耐衝撃性−剛性バランスを達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 CFC− FT-IRの概念フロー図
【図2】 フラクション1のGPC− FT-IRの分析結果
【図3】 重合設備概略図

Claims (14)

  1. 不活性有機溶媒の存在下、下記成分(A)を、未溶解成分が50重量%以上、且つ溶解成分が50重量%未満のスラリー状態又は粉体で、下記成分(B)及び下記成分(C)と接触させるに於いて、成分(A)を、成分(B)と接触させ、次いで、成分(C)と接触させるか、或いは成分(A)を、成分(B)および成分(C)の混合物と接触させることにより得られる触媒の存在下、プロピレンの単独重合またはプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合により結晶性プロピレン系重合体(α−オレフィン含有量:0〜10重量%)を生成させる前段工程及びプロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとの共重合によりプロピレンとα−オレフィンとのゴム状共重合体(α−オレフィン含有量:10〜95重量%)を生成させる後段工程により、プロピレン系ブロック共重合体を製造する方法。
    成分(A):チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる金属のメタロセン化合物、
    成分(B):イオン交換性層状珪酸塩、
    成分(C):有機アルミニウム化合物。
  2. 成分(A)を成分(B)と接触させ、次いで成分(C)と接触させることにより得られる触媒を使用する請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  3. 成分(A)を成分(B)と成分(C)の混合物と接触させることにより得られる触媒を使用する請求項1に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  4. 成分(A)を成分(B)と成分(C)の混合物と接触させるにおいては、成分(A)を含む不活性有機溶媒スラリーと、成分(B)及び成分(C)を含む不活性有機溶媒スラリーとを接触させることを特徴とする請求項1または3に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  5. 不活性有機溶媒が脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  6. 成分(B)1gに対して成分(A)を1〜100μモル、且つ、成分(A)1モルに対して成分(C)を0より大きく100モル以下の範囲で接触させることによって得られる触媒を使用する請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  7. 成分(A)、成分(B)及び成分(C)の接触に際し、α−オレフィンを存在させて得られる予備重合触媒を使用する請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  8. 不活性有機溶媒への成分(A)の溶解量が15μモル/g−成分(B)以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  9. 前段工程で生成する結晶性プロピレン系重合体のMFRが10〜200g/10分である請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  10. 後段工程で生成するゴム状共重合体が、プロピレン系ブロック共重合体の5〜50重量%である請求項1〜9のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  11. 40℃のオルトジクロルベンゼンで溶出する成分の重量平均分子量が30〜150万である請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  12. 不活性有機溶媒が炭素数5〜20の飽和脂肪族炭化水素、炭素数5〜20の脂環式炭化水素、炭素数6〜20の芳香族炭化水素又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  13. 成分(A)を芳香族炭化水素のスラリーとして、成分(B)を飽和脂肪族炭化水素のスラリーとして、かつ成分(C)を飽和脂肪族炭化水素の溶液として使用することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  14. 不活性有機溶媒の存在下、下記成分(A)を、未溶解成分が50重量%以上、且つ溶解成分が50重量%未満のスラリー状態又は粉体で、下記成分(B)及び下記成分(C)と接触させるに於いて、成分(A)を、成分(B)と接触させ、次いで、成分(C)と接触させるか、或いは成分(A)を、成分(B)および成分(C)の混合物と接触させることにより得られる触媒であって、成分(B)1gに対して成分(A)を1〜100μモル、且つ、成分(A)1モルに対して成分(C)を0より大きく100モル以下の範囲で接触させたことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロピレン系ブロック共重合体を製造するための重合触媒。
    成分(A):チタン、ジルコニウム又はハフニウムから選ばれる金属のメタロセン化合物、
    成分(B):イオン交換性層状珪酸塩、
    成分(C):有機アルミニウム化合物。
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