JP4048005B2 - 金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の金型用の温度調節装置として以下のごときものは知られている。
液体通路を有する金型と、ヒーターを有すると共に液体通路を有する温度調節機と、液体循環用ポンプとを有し、それらが液体循環路を構成しており、この液体循環路に所定圧力で加圧された液体を供給する液体供給源が接続され、また、液体循環路に、開閉弁が介在された排液管が接続されたものは知られている。
上記において、液体供給源の圧力は、液体循環路内の液体が沸騰しないように、液体循環路内の液体の温度(液体が水の場合、一般的には摂氏100度〜150度前後の温度)に対応した飽和圧力より大きくなされている。
ところで、前記金型用の温度調節装置において、成形作業の終了時や金型の交換時等においては、作業者が火傷をしない程度の温度に金型温度、即ち循環液体の温度を低下させるため、従来は、ヒーターを「OFF」とすると共に開閉弁を開いて液体を排出しつつ、液体供給源から液体循環路に常温の液体を供給するようにしていた。
【0003】
【従来技術の欠点】
前記従来の金型温度を低下させる方法には以下の如き欠点があった。
開閉弁を開くと液体循環路内が大気と繋がり液体循環路内(殊に開閉弁に近い部分)の圧力が瞬時に低下し、そのため高温の循環液体が瞬時に沸騰し、液体循環用ポンプの軸受部等が焼き付きを起こしたり、損傷したりするという欠点があった。それは、液体循環路内の摩擦抵抗や液体循環用ポンプのインペラー等の抵抗のため、液体供給源の圧力液体の供給が開閉弁の開作動時期に対して遅れたり、液体循環路内の液体の圧力が状況によって液体供給源の圧力より高くなったりすることによる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記欠点を解消するために以下の如き手段を採用した。請求項1の発明は、液体通路を有する金型と、ヒーターを有すると共に液体通路を有する温度調節機と、液体循環用ポンプとを有し、それらが液体循環路を構成しており、この液体循環路に所定圧力で加圧された液体を供給する液体供給源が接続され、また、液体循環路に、開閉弁が介在された排液管が接続された金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法であって、前記開閉弁の開閉を制御装置に設けられたタイマーにより交互に繰り返すことを特徴とするものである。請求項2の発明は、液体通路を有する金型と、ヒーターを有すると共に液体通路を有する温度調節機と、液体循環用ポンプとを有し、それらが液体循環路を構成しており、この液体循環路に所定圧力で加圧された液体を供給する液体供給源が接続され、また、液体循環路に、開閉弁が介在された排液管が接続された金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法であって、前記開閉弁の開閉を制御装置に設けられたタイマーにより交互に繰り返す第1工程と、液体循環路内の液体の温度が大気圧における沸点未満になると開閉弁を開き放しとする第2工程とを有するものである。
【0005】
【発明の効果】
本発明は前記した如き構成によって以下の如き効果を奏する。
▲1▼請求項1の発明によれば、開閉弁の開閉を交互に繰り返して、液体循環路内の液体を徐々に排出しつつ、循環液体の温度を低下させて、液体循環路内の高温の循環液体が沸騰しないようにしているので、液体循環用ポンプの軸受部等の焼き付きや損傷を防止することが出来る。
▲2▼請求項2の発明によれば、液体循環路内の液体の温度が大気圧における沸点未満になると開閉弁を開き放しとするので、その後の金型の温度低下を迅速に行なうことが出来る。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
まず、金型用の温度調節装置について説明する。
温度調節機2は、内部に棒状のヒーター67を有する復路導管7と、内部に棒状のヒーター67を有する往路導管6とを有している。なお、復路導管7にはその内部の液体の温度を測定する温度センサー8が設けられている。
【0007】
前記復路導管7の出口と液体循環用ポンプ71の吸引口72とが導管68によって接続され、往路導管6の入口と液体循環用ポンプ71の吐出口73とが導管69によって接続されている。
【0008】
前記復路導管7には導管19を介してフロート室11が接続されており、このフロート室11にフロートスイッチ12が設けられている。
前記フロートスイッチ12は、フロート室11内に垂直状に設けられたガイド棒14と、このガイド棒14に沿って昇降自在となされたフロート15とを有している。
フロート15には磁石(図示略)が設けられ、フロート15が最上位置に位置した際、フロート15の磁石によって作動させられるリードスイッチ等のスイッチ(図示略)がガイド棒14の上部に設けられている。
このような構成によって、スイッチが「ON」状態でフロート15が液体で押し上げられて最上位置又はその近傍に位置することを知ることが出来、他方、スイッチが「OFF」状態でフロート15が液体が減って最上位置又はその近傍から外れたことを知ることが出来る。このことにより、復路導管7内の液体が減ったことを知ることが出来る。なお、前記スイッチが「OFF」状態になると警報が発せられる。
【0009】
前記フロート室11には、その内部の圧力が設定値以上の異常圧力となった場合、その圧力を逃がすリリーフ弁44が接続されている。
【0010】
前記往路導管6の出口と液体通路(図示略)を有する樹脂成形用の金型26の入口とが途中に逆止弁24(往路導管6側に向かう流れを阻止するもの)を有する往路導管25を介して接続されている。
前記フロート室11と金型26の出口とが復路導管27を介して接続されている。
このような構成によって、液体循環用ポンプ71、往路導管6、金型26、フロート室11、復路導管7を含む液体循環路(以下、単に液体循環路という。)が構成されている。
【0011】
往路導管25の、逆止弁24より往路導管6に近い側と復路導管27とがバイパス導管29を介して接続されている。このバイパス導管29の途中に可変式の流量調節弁30が設けられている。
このバイパス導管29は、流量調節弁30の開き具合に応じた流量を往路導管25から復路導管27に短絡流通させて、金型26に流入する液体の量を調節するためのものである。
【0012】
前記フロート室11に、所定圧力で加圧された常温の液体を供給する液体供給源43が液体供給用の導管42を介して接続されている。前記液体供給用の導管42には逆止弁37(液体供給源43側に向かう流れを阻止するもの)、開閉弁38(電磁開閉弁等からなるもの)が介在させられている。なお、開閉弁38は通常運転時常に開いているものである。
【0013】
前記フロート室11には、下流側が大気に開放した排液管51が接続されており、この排液管51には、入口54a及び出口54bを有する開閉弁54(電磁開閉弁等からなるもの)が介在されている。
【0014】
逆止弁24より下流側(金型20側)の往路導管25に、途中に開閉弁80及び逆止弁81を有する導管82を介して圧力空気源83が接続されている。逆止弁81は圧力空気源83に向かう流れを阻止するものである。
【0015】
【金型用の温度調節装置の使用方法】
次に金型用の温度調節装置の使用方法を説明する。初めに、運転開始のための操作、即ち、液体循環路に液体を充填する操作につき説明する。開閉弁80は閉じておく。また、流量調節弁30は少し開けておく。その状態で、開閉弁38、開閉弁54を開くと、液体供給源43から液体が開閉弁38、フロート室11を経て、液体循環路に供給される。なお、液体循環路内の空気は、フロート室11、開閉弁54を通って、排液管51より排出される。そして、ほぼ液体循環路内に液体が満たされると、上記の状態のまま液体循環用ポンプ71を作動して、液体を空気と共に排液管51より排出する。そして、フロート15が上下動しなくなったことをもって液体循環路に液体が充填されたことを知る。その後、開閉弁54を閉じる。なお、開閉弁38は開いたままで保持する。
【0016】
このような準備の後、棒状のヒーター67を「ON」にすると共に射出成形機を作動させて、製品の品質が安定した後、本運転(通常運転)する。液体循環用ポンプ71により液体は液体循環路を循環する。必要に応じて、流量調節弁30の開き具合を調節して所定の流量を往路導管25から復路導管27に短絡流通させることが出来る。
【0017】
次に金型20の交換方法について説明する。
まず、液体循環用ポンプ71・棒状のヒーター67・射出成形機を非作動状態とした後、開閉弁38をあけたままの状態で、開閉弁54の開閉を交互に繰り返す。なお、開閉弁54の「開」の時間及び「閉」の時間は制御装置(図示略)に設けられたタイマーによって設定される。
その後、温度センサー8が検知した温度が、液体の、大気圧における沸点未満になると(水の場合、摂氏100度未満)になると、その温度信号を受けた制御装置からの信号により開閉弁54は開き放しとなる。
なお、上記の操作の間、液体循環路には液体供給源43から常温の液体が常時供給される。
その後、温度センサー8が検知した温度が常温又はそれに近い温度になると、開閉弁38が閉じられ、開閉弁80が開かれる。
そうすると、パージエアーが、金型26を経て液体と共に排液管51より排出される。
なお、液体循環用ポンプ71や往路導管6内の液体は完全には抜けないが、それは逆止弁24の作用によって金型26を交換する際における支障とはならない。 その後、金型26を交換する。
成形作業の終了時も同様の作業が行なわれる。
【0018】
【変形例等】
以下に変形例等について説明を加える。
(1)液体は、水に限定されず、油等であってもよい。
(2)開閉弁54の「開」の時間及び「閉」の時間は、液体の温度等を考慮して、決定される。なお、一般的には、開閉弁54の「開」の時間及び「閉」の時間は、0.3秒〜0.7秒程度である。開閉弁54の「開」の時間及び「閉」の時間は、同じでも、相違してもよい。
(3)金型20の温度を、液体の、大気圧における沸点未満であるが、液体供給源43から供給される液体の温度(常温)より高い設定温度にする場合、開閉弁54の開閉を交互に繰り返すと共に棒状のヒーター67の「ON」、「OFF」を交互に繰り返すようにして、金型20の温度を前記設定温度に到達させ、その温度に維持することも出来る。
(4)金型用の温度調節装置は、図示のものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の説明のための金型用の温度調節装置系統図である。
【符号の説明】
2 温度調節機
6 往路導管
7 復路導管
26 金型
42 液体供給用の導管
51 排液管
54 開閉弁
43 液体供給源
67 棒状のヒーター
71 液体循環用ポンプ
Claims (2)
- 液体通路を有する金型と、ヒーターを有すると共に液体通路を有する温度調節機と、液体循環用ポンプとを有し、それらが液体循環路を構成しており、この液体循環路に所定圧力で加圧された液体を供給する液体供給源が接続され、また、液体循環路に、開閉弁が介在された排液管が接続された金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法であって、
前記開閉弁の開閉を制御装置に設けられたタイマーにより交互に繰り返すことを特徴とする金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法。 - 液体通路を有する金型と、ヒーターを有すると共に液体通路を有する温度調節機と、液体循環用ポンプとを有し、それらが液体循環路を構成しており、この液体循環路に所定圧力で加圧された液体を供給する液体供給源が接続され、また、液体循環路に、開閉弁が介在された排液管が接続された金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法であって、
前記開閉弁の開閉を制御装置に設けられたタイマーにより交互に繰り返す第1工程と、
液体循環路内の液体の温度が大気圧における沸点未満になると開閉弁を開き放しとする第2工程とを有する金型用の温度調節装置における金型温度を低下させる方法。
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