JP4047445B2 - 外科手術装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、小さな切り口を通して身体の部分から組織を除去するための装置に関する。その主要な用途は、人間または他の動物の目から水晶体組織を除去、摘出することである。
【0002】
【従来の技術】
目の正常な水晶体は、両凸、無血管、無色、およびほぼ完全に透明な組織である。水晶体は、厚さ約5mm、直径が9mmである。水晶体は、それを毛様体とつなぐ小帯繊維により虹彩の後に吊り下げられている。水晶体に前方にあるのは房水である。水晶体の後方にあるのは硝子体液である。水晶体嚢は半透水性の膜である。被膜下の上皮は、前方に存在する。核と皮質は、長い同心円層板から作られている。核は、周囲の皮質より硬い。年を取っていくにつれ、層板状の上皮下の繊維が連続的に生じ、水晶体が徐々に大きくなり生涯を通してよりしなやかではなくなっていく。
【0003】
幼少期および青年期においては、水晶体は、小さな穴のカニューラと小さな切り口を通してその吸引を可能にする半流体のコンシステンシーを持つ。成人の目では、核の進行性の硬化により、核組織の吸引が妨げられる。
【0004】
水晶体の唯一の機能とは、光線を伝達し、網膜上で焦点を合わせることである。水晶体は、半透明であり、光を屈折することができることによってこれを達成する。白内障とは、水晶体の不透明さである。白内障は、密度の度合い、大きさおよび位置の点で著しく変化する。白内障は、多岐に渡る原因から発生するが、通常は加齢に関係している。70歳を超えた人では、白内障形成がある程度は予想される。進行の速度はほとんど等しくないが、大部分は両眼性である。外傷性白内障および先天性白内障はあまり一般的ではなく、その他の種類はまれである。
【0005】
白内障の水晶体は、蛋白質の変質、水晶体の水腫、壊死、および水晶体繊維の正常な連続性の破壊を特徴とする。一般的には、水晶体の水腫は、白内障の展開の工程に直接的に応じて変化する。未熟(初期)白内障は、わずかに不透明なだけである。完全に不透明な成熟(適度に進行した)白内障の水晶体はやや水腫状である。水の含有量が最大となり、水晶体嚢が引き伸ばされると、白内障は膨張性(膨れた)と呼ばれる。過熟(かなり進行した)白内障では、水が水晶体から浸出し、比較的に乾燥し、非常に不透明な水晶体と、しわがよった嚢を離れる。
【0006】
老年性白内障は、かなり一般的な種類の白内障である。この種類では、不溶性の工程である溶性の低分子重量の細胞質体蛋白質の不溶性の高分子重量への転化が集まり、不溶性の膜蛋白質の細胞間質が、核の硬化および水晶体の透明度の損失に寄与する主要なメカニズムである。
【0007】
視覚がだんだんに霞んでいくのがおもな症状である。緑内障および水晶体原性ブドウ膜炎が、白内障の形成の合併症として発生する場合がある。
白内障に医療上の治療薬はない。
【0008】
視覚障害が正常な活動を妨害する場合、もしくは白内障または水晶体原性ブドウ膜炎が白内障の合併症として発生する場合に、白内障手術の必要性が示される。
【0009】
曇った、白内障の水晶体を除去するために、あるいは光の網膜への伝達用の曇っていない経路を提供するために、多くの技法が使用されており、使用されてきた。
【0010】
おもに歴史的に重要であるのは、装置が周辺の角膜の切り口から目の中に進入し、水晶体全体を押して、視覚軸を離れて、硝子体液の中に後方に転移させ、光の網膜への曇っていない経路を復元させるために使用される、昔ながらの硝子体転移の処置である。
【0011】
より最近では、嚢内手術と嚢外手術という2つの主要な種類の白内障手術がある。前者は、水晶体全体の、つまりその嚢内での除去から成る。嚢外手術では、前方嚢の一部が開かれ、除去される。その後で、核と皮質も前方嚢と後ろの後方嚢の周辺部を残し、さまざまな手段により除去される。
【0012】
嚢内技法では、大きな切り口が縁または周辺の角膜に付けられ、角膜が引っ込められる。増力(Purchase)は、特殊水晶体嚢かんしまたはエリシフェークと呼ばれる吸引装置によって、あるいはcryophake と呼ばれる装置の小さな先端を凍らせることによって、前方水晶体嚢上で得られる。水晶体全体が目から引き出され、角膜の傷が縫合される。水晶体の除去により、目の主要な焦点調節構成部分がなくなり、眼鏡、コンタクトレンズという形式での代用、あるいは白内障摘出の時点での眼内レンズの移植が必要となる。
【0013】
嚢外白内障手術は、縁での長さが10mm以上の標準的な単一の切り口によって行われる。嚢外白内障摘出術は、その初期の形式では、さらに大きな(>11mm)の切り口を前眼房の中に付け、水晶体の前方嚢を通して開口部を裂き、傷の後方の縁近くに圧力を、反対の縁に逆圧をかけることによって核を圧出することによって達成される。残りの角膜の可能な限り多くが、目から灌注され、切り口は縫合により閉じられる。
【0014】
手術用顕微鏡の出現によって、さらに正確でコントロールされた前方嚢の開放、および核の圧出の後に残される皮質性の物質の正確で完全な除去を特徴とする、近代的な嚢外白内障の手術技法の開発が可能になった。除去は、前眼房の体積を維持する灌注、および通常小型ゲージカニューラを通した吸入により皮質を除去する吸引を提供する装置を使用して実施される。
【0015】
最近では、手作業による核の圧出または手作業による摘出を、以前使用されていたのより小さな切り口を通して行うことができるようにする、いくつかの技法が開発されている。大きな切り口に比べて、その方が乱視の影響や角膜の曲率の変化を少なくし、回復がさらに速く、より強く、一般的にはより安定しているため、小さな切り口が望ましい。従来の手作業による核の圧出が、嚢の袋から核を圧出するために直接的な眼球の圧縮を使用するのに対し、これらの技法は、一般的には流体を使用し、核を嚢の袋の中から前眼房の中に流体で摘出する。核は、一度、前眼房で部分的にまたは完全に自由になると、後で切り口を通して除去することができる、さらに小さな片に機械的に分割することができる。
【0016】
いくつかの技法は、自己密封式の穿刺路(つまり、刺し傷)を通して前眼房の中に配置される鈍い?(blunt) カニューラである前眼房維持装置を使用する。前眼房維持装置の他方の端は、管によって、その高さを前眼房内の静水圧を制御するために変化させることができる均衡が保たれた塩溶液の瓶につなげられる。これによって、房内の体積が維持され、核を切り口を通して押し出す(ブルーメンタール、M (Blumenthal, M ))。
【0017】
機械的に核をより小さな片に分割するための技法の中には、ピーター・カンサス、エリ・コーリ(Peter Kansas, Eli Khouri) 、およびデビッド・J ・マッキンタイアー(David J. McIntyre) の技法がある。これらの技法では、1つの装置が核と後方嚢の間に挿入され、第2の装置が核の前方部分上に置かれる。この装置の例は、スパーテル(spatula) である、「ベクティス」、または「まな板(chopping block)」である。2つの装置は互いに向かって動かされ、核を2つまたは3つ以上の片に割る。これらの片は、機械的に圧出されるか、角膜または縁にある長さが約6mmの切り口を通して、鉗子またはその他の装置によって機械的に抽出できるほど小さい。その場合、より柔らかな角膜が完全に吸引される。大部分のケースでは、これらの技法の後に、眼内水晶体が移植される。この移植された水晶体は、通常水晶体嚢内にとどまり、水晶体嚢により支えられる。
【0018】
非常に小さな切り口(<3.2mm)を通した白内障の除去のための前提条件とは、硬い核を吸引できるほど小さな片に分割するための技法である。これを達成する1つの手段が、中空針が、最小の振幅の超音波範囲の極めて高い周波数で長手方向に振動するように運ばれる水晶体超音波吸引装置を使用することである。チャールズ・D・ケルマン(Charles D. Kelman) は、振動する先端と排出管を中空針の中に結合した。手持ち削岩器のような直接的な機械衝撃は、超音波振動の結果である。先端と核の間の閉じた機械的な接点は、先端の高い前方への加速および核の質量の慣性とともに、上部が核物質をそれを単に押し去らなくても貫通し、破壊できるようにする。核物質のさらなる破壊は、高速で移動する先端とそれを取り巻く液体媒体の界面で発生するキャビテーションにより達成される。核組織の分割に寄与する別の力とは、振動する先端により作り出される衝撃波である。先端の超音波振動は、磁気ひずみ変換器または圧電変換器によって駆動される。
【0019】
水晶体超音波吸引装置は、流体の目の中への注入、および目からの流体/核断片の吸引を制御する(チャールズ・D・ケルマン(Charles D. kelman) とアントン・バンコ(Anton Banco) による特許)。
【0020】
大多数の水晶体超音波吸引技法が記述され、すべてが水晶体を複数の片に分割し、水晶体を機械的に分割するための水晶体内の自然の烈開面を使用することにより、核を除去するという類似した技術を共用する。いったん小さな断片に分割されると、個々の片は大部分の場合、高水晶体超音波吸引(超音波)エネルギーによってより、むしろ高真空力によって除去することができる。
関連参考文献
以下の参考文献が、従来の技術を記述する。
【0021】
ブルーメンタール(Blumenthal):手動ECCE、技術の現状、Klinische Monaatsblatter Fur Augenheilkunde 、1994年、205巻、266−270ページ。
【0022】
マッキンタイヤー DJ(MacIntyre DJ):Phacosection白内障手術。ステインアート R.F.(Steinert R.F.) 、ファイン I.H.(Fine I.H.) 、ギンベル(Gimbel)、その他(FDS)、白内障手術、技法、合併症および管理:フィラデルフィア:WBサンダーズ1995年、119−123ページ。
【0023】
カンサス P(Kansas P): ロザキス(Ed)スラックによる白内障手術における水晶体破損、代替小切り口技法、1990年:45−69ページ。および、コーリ E(Khouri E.) :手動水晶体破砕術、カナダ眼科学会のManual会議、1996年6月2日、オタワ。
【0024】
ボー D(Vaugh D) 、クック R(Cook R)) およびアスベリー T(Asbury T):一般眼科学:ランジ医学出版、1968年。
チッパーマ R(Tipperma T)その他:臨床アップデート:白内障、米国眼科学アカデミー、1996年、好ましい実施パターン:成人の目における白内障:米国眼科学アカデミー、1996年
米国特許:
リングレイ(Lingrey) に対する米国特許第2,880,007号
ホフセス(Hofsess) に対する米国特許第3,893,445号
バンコII(Banco II)に対する米国特許第3,996,935号
ウェイス(Weiss) に対する米国特許第4,041,947号
ボーセル(Boesel)に対する米国特許第4,282,884号
ヤング(Young) に対する米国特許第4,308,875号
ハダッド(Haddad)に対する米国特許第4,320,761号
ケルマン(Kelman)に対する米国特許第4,538,611号
ウッズ(Woods) に対する米国特許第4,570,632号
マルチネス(Martinez)に対する米国特許第4,577,629号
ロマーリ(Romalli) に対する米国特許第4,590,935号
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、動物解剖であるが、特に目の外科処置を実行するための装置を提供することを求めている。本発明は、手作業で動かされ、制御される簡略な機械装置を使用し、目の水晶体の核を小さな切り口(<3.2mm)を通して除去するための装置を提供する。
【0026】
【課題を解決するための手段】
したがって、本発明は、外側カニューラと、この外側カニューラ内に受け入れられ、相対的に長手方向に移動可能な内側カニューラと、前記外側カニューラの一端部に設けられ、前記内側カニューラに接触する当接部と、
前記外側カニューラに形成され、除去される組織の中に位置させるための第1の開口部と、前記内側カニューラと当接部との間の組織を除去するために、前記当接部に接触するように前記内側カニューラを進め駆動手段とを具備し、前記外側カニューラは、前記第1の開口部に対向し、前記外側カニューラ内へのビューポートを規定している第2の開口部を有している、組織を除去するための装置を提供する。
【0027】
さらなる態様では、本発明は、
本体と、
前記本体の第1端から伸長する外側カニューラと、
前記外側カニューラの端にある当接部と、
前記他方のカニューラ内で受け入れられ、前記外側カニューラ内で往復運動可能な内側カニューラと、
前記内側カニューラを受け入れるための前記本体内のスライダーと、
前記スライダー、したがって前記内側カニューラを進めるための手段と、
前記スライダー、したがって前記内側カニューラを引っ込めるための手段と、
前記内側カニューラから本体の外側に伸長する吸引管とから成る、組織を除去するための装置である。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1並びに図2は、人間または動物の目から組織を除去するための装置を示す。ハウジング34は、ユーザーによって押されると、外側カニューラ10の内部で軸に沿って内側(剪断)カニューラ11を押すプッシャー33を、部分的に収容し、支えている。内側カニューラ11の一端19は、外側カニューラ10の先端25に対してきっちりと閉じている。先端25は、アンビルつまり当接部として動作する。カニューラ35は、装置のハウジング34の内部でカニューラ11とかみ合わされる(図3、図4および図5を参照)。カニューラ11およびカニューラ35は、吸引が取り付けられた可撓管40を介して適用されるときに、組織の吸引のための手段となる。ハウジング34のフロントエンドキャップ30が、外側カニューラ10に対する支持物および付属装置となる。リアエンドキャップ38は、カニューラ35に対する支持物となるが、カニューラ35に動かないように取り付けられていない。
【0029】
図2は、装置の先端を示す。図は、外側カニューラ10および部分的に進められた内側カニューラ11を示している。内側カニューラ11と外側カニューラ10の間には小さな隙間14があり、内側カニューラ11の外側カニューラ10内部での軸に沿った移動を可能にする。内側カニューラ11に対する前縁(一端)19がある。この縁19は、先端(当接部)25の表面21に対してきっちりと閉じている。先端25には目の水晶体内に入れられる縁26がある。先端25と外側カニューラの間の接続は、要素24によって提供される。開口部23の裏縁12も示されている。
【0030】
図3は、装置の駆動機構を示す。ハウジング34は、プッシャー33に対する部分的なハウジングおよび支持物となる。プッシャー33は、ユーザーによって押されると、スライダー36の傾斜セクション37を駆動することによりスライダー36を進める。スライダー36は、内側カニューラに動かないように取り付けられ、その結果、スライダー36が内側カニューラを移動すると、やはり動く。スライダー36は、前方に移動するにつれて、スライダー36に対し、その結果プッシャー33に対し逆力を与えるばねえ32を圧縮し、傾斜セクション37をプッシャー33と接触した状態で維持する。ばね32は、戻り機構を進められた内側カニューラ11に提供し、圧力がプッシャー33から取り除かれるのに従って、プッシャー33をその最初の位置に戻す。スライダー36の突出部31は、ばね32を支えるだけではなく、突出部31の一部がつねにフロントエンドキャップ30内にあるように設計されている。スライダー36に動かないように連結され、プッシャー33とつねに接触しているばね32を介して、アセンブリは、ユーザーが、内側カニューラが、外側カニューラ10内部で前方に移動するか、収縮する量を制御できるようにする。スライダー36は、内側カニューラ11に動かないように取り付けられているだけではなく、さらに大きな直径のカニューラ35を提供するために、内側カニューラが直径を大きくすることができる場所も提供する。これは、破砕された物質の吸引を助ける。カニューラ35も、スライダー36に動かないように接続されている。したがって、末端キャップ38は、カニューラ35に対し支持を与えるだけで、カニューラ35は自由に軸に沿って移動することができる。前進機構を介して、内側カニューラ11は、外側カニューラ10の内部で軸に沿って移動することができる。内側カニューラ11の前端19は、外側カニューラ10に動かないように取り付けられる要素25に会う。
【0031】
図4、図5は、装置の好ましい実施の形態の断面図である。図4および図5の実施の形態においては、図3の実施の形態と共通の部品は、共通の符号を付けられている。
【0032】
図4および図5の実施の形態は、図3の実施の形態のプッシャー33を置き換えるためのレバー機構の提供によって異なる。スライダー55は、2Aの実施の形態のスライダー36を置き換える。スライダー55は、スライダー36の傾斜背面(傾斜セクション)37を備えない。代わりに、スライダー55は、第1のピン56を第1のレバー57の一端で受け入れる。レバーの第2端には、やはりハウジング34に対しピボットピン56により旋回できるように取り付けられる第2のレバー58に取り付けるための第2のピン56がある。レバー58には、ユーザーが掴むことができる前縁59がある。第1のレバー57がそれを通って突出する本体34内の開口部60がある。図4の装置は、事前に進められた工程(つまり、内側カニューラ11は、まだ外側カニューラ10内で前方への移動を開始していない)にあり、リンク機構57、58は開放位置にある。図5の装置は、進められた工程(つまり、内側カニューラは完全に前進し、外側カニューラ11の完全な開口部を占める)にあり、リンク機構57および58は圧縮された(進められた)。ハウジング34は、リンク機構58、59に対する部分的なハウジングおよび支持物となる。レバー58は、ユーザーによって押されるのに従って、レバー57を通してスライダー55を進める。スライダー55は、内側カニューラ11に動かないように取り付けられ、その結果、スライダー55が移動すると、内側カニューラもそれに応じて移動する。スライダー55は、前方に移動すると、レバー57をプッシャー55につなぐピン56を通して、わずかな逆力を移動するスライダー55、およびその結果レバー57と58に対し提供するばね32を圧縮する。これによって、戻り機構が進められた内側カニューラ11に与えられるだけではなく、ユーザーがかけられていた圧力を取り除くに従って、レバー57と58もその休止位置に戻される。ユーザーは圧力をレバー58の要素59にかけ、その結果このレバーによって内側カニューラの移動を制御する。支持物31は、つねにフロントエンドキャップ30の一部の中にとどまるように設計される。ばね32とその後のプッシャー55への接続部、およびその内側カニューラ11への接続、ならびにレバー57と58に対するその不変の接触によって、アセンブリは、ユーザーが、内側カニューラ11が外側カニューラ10の内部で前方に移動したり、収縮する量を制御できるようにする。スライダー55は、内側カニューラ11に動かないように接続しているだけではなく、内側カニューラが、さらに大きな直径のカニューラ35を提供するために、内側カニューラが直径を大きくすることができる場所も提供する。これは、破砕された物質の吸引を助ける。カニューラ35は、スライダー55にも動かないように接続されている。したがって、末端キャップ38は、カニューラ35に対する支持だけを提供し、カニューラ35が軸に沿って自由に移動できるようにする。前進機構によって、内側カニューラ11は、外側カニューラ10の内部で軸に沿って移動することができる。内側カニューラ11の前端19は、外側カニューラ10に動かないように取り付けられる垂直要素25と会う。
【0033】
図6ないし図9は、水晶体の組織を破砕するための手段となる装置の先端を示す。
図6では、外側カニューラ10により、内側カニューラ11は内部で軸に沿って移動することができる。小さな隙間14が、外側カニューラと内側カニューラの間の摩擦抵抗を引き下げることによりこの軸に沿った移動を補助する。外側カニューラ10には、底部23上の1つの開口部および上部13上の1つの開口部という、2つの開口部がある。外側カニューラの先端25だけではなく、外側カニューラ10内の底部開口部23が、破砕され、吸引されることが望まれる組織内に入れられる。開口部23の後縁12が、開口部23内に入れることができる組織の量を限定する。先端25のテーパー26は、アンビル25および開口部23を組織内に入れることに対する抵抗を引き下げる。テーパー26は、完全に鋭い点にまで到達せず、それが後方嚢に対する損傷の展開を防止するのに役立つ。開口部23および先端25がいったん破砕される組織内に入ると、内側カニューラ11は外側カニューラの内部で進められる。内側カニューラの端19は、内側カニューラ11と先端25の間をきっちりと閉じることができるようにする外側カニューラの先端35と同じ角度φにある。さらに、先端の内面21は、前進する内側カニューラの端19に会い、閉鎖を完了する。要素25と19の角度φは、90°より大きいか、等しい。これによって、内側カニューラ11が先端25に逆らって進められるに従って、剪断される組織に上方傾向が提供される。外側カニューラ10の先端開口部13は、ユーザーに、内面21に逆らって内側カニューラの端19を前進させるのを観察するための可能なビューポートを提供する。さらに、外側カニューラ10の上部開口部13は、剪断端28と15を内側カニューラ11の前進する先行端19に加える。内側カニューラ11は、前縁19に対してわずかに先細となり、前縁19に内側カニューラ11の直径より小さい直径を与える。これが、カニューラ11の内腔20内での、内腔20の上での組織の吸引の間での栓止の発生を妨げるのに役立つ。
【0034】
図7は、上部開口部13と底部開放部23の端面図である。内側カニューラ11は、外側カニューラ10の内側にあり、2つのカニューラの間の隙間14が、内側カニューラの外側カニューラ内側での円滑な軸に沿った運動を補助する。図7は、上部開口部13および上部開口部の内側縁15も示す。
【0035】
図8の実施の形態は、図6の外側カニューラの上部開口部13およびその端15と24以外、図6の実施の形態に類似している。
図9は、図7の外側カニューラ10の上部開口部13を除き、図7に相似する。
【0036】
図10は、図2によく似ているが、注入ポート17および取り付けられた管41も示す。
図11は、図11の先端の外側カニューラにそれに取り付けられる注入ポートがあるという点を除き、図8によく似ている。注入ポート17は、完全な丸いカニューラの部分となる場合があり、注入カニューラ17と外側カニューラ10の間に漏れが起こらないように、緊密な密封を提供する要素18により外側カニューラ10に取り付けられる。注入カニューラによって、その内腔16を通るフロー22が可能になる。
【0037】
図12は、図12の先端の外側カニューラ10に、それに取り付けられる注入ポート17があるという点を除き、図9によく似ている。図12は、注入カニューラ17、要素18での外側カニューラ11へのその付属装置、および注入内腔16を示す。
【0038】
図13は、目の嚢内にあり、水晶体の核27の破砕および吸入の過程にある装置を示す。装置は、遠隔注入ポート44を備える。内側カニューラ11が、外側カニューラ10内で軸に沿って前進し、目の核27を先端25に対し押しつけているのが示されている。
【0039】
図14は、目の嚢内の装置の先端、および目の水晶体の核27の破砕を示す。核27は、外側カニューラ10の内側で軸に沿って進められていくにつれて、先端25に対して、内側カニューラによって押し付けられる。さらに、内側カニューラ11の端19は、先端25の内面21に対して水晶体の核27を破砕する。外側カニューラ10は、装置の正面支持物30により定位置にしっかりと保持される。図示されている外側カニューラは、その上部に開口部13があるものである。
【0040】
図15(AないしC)は、前進および組織27、例えば水晶体の核の破砕のさまざまな工程にある内側カニューラ11の端19を示す。図は、図6および図7からの先端の使用を示す。図15(A)は、先端25および組織内の尖った部分26とともに、過程の初期工程を示す。図15(B)は、部分的に進められた内側カニューラ11の端19を示し、先端25と内面21により与えられる逆抵抗を示す。組織29は開口部13内で、開口部13の縁28に対して押し上げられる。図15(C)は、先端25の内面21に対する内側カニューラの前縁19および組織の破砕を示す。破砕された核の部分29は、即座に内側カニューラ11の内腔20を通過しないが、これらの破砕された片は、核を除去する過程中、容易に吸入することができる。
【0041】
図16(AないしC)は、前進のさまざまな工程での内側カニューラ11の縁19および組織27の破砕を示す。図のシリーズは、図15(AないしC)に示されるのと類似した結果を示すが、開口部13は装置のこの実施の形態には存在しない。
【0042】
本発明の装置は、以下のように使用される。
第1に、図2から図8の実施の形態を図13から図15(C)に従って使用し、通常の準備を行い、目を減菌した布で覆った後に、内部房維持装置(ACM)と呼ばれる小さな鈍いカニューラが、自己密封式穿刺により前眼房内に入れられる。目の外部にある、前眼房維持装置の端が、前目房維持装置の端に応じてその高さが変化できる均衡の保たれた塩溶液の瓶に取り付けられる。瓶からの流体は、前眼房内に流れ込み、房の崩壊を防ぎ、切り刻まれ、破砕され、小さな断面に砕かれた水晶体の除去を促進するために、圧力を維持する。この物質は、装置を通して、あるいは別の吸引カニューラによって目から除去できる。
【0043】
第2の小さな切り口が、前眼房の中につけられる。それは、外科医の好みに応じて縁を通って、縁の後方に、または前方に付けられる。この切り口を通して、前方の水晶体嚢の切開が、この目的のために使用可能な装置のどれかを使用して実行される。好ましくは、これは連続曲線嚢の切開(capsulorhexis )となるだろう。皮質を裂く液体切開は、均衡が保たれた塩溶液を、第2の切り口を通して導入される小さな穴のカニューラを通して水晶体の適切な部分の中に注入することにより実行することができる。核は、嚢袋内に残すこともできるし、あるいは機械的な手段または油圧手段によって前眼房の中に部分的または完全に転移することもできる。それから、装置の周辺での流出を防止、または妨げるために、装置の外側カニューラの密接な近似を維持する一方で、必要ならば、本発明の装置の前眼房内への進入を可能とするために第2の傷を拡大することができる。
【0044】
装置の先端は、十分に柔らかい場合、または水晶体が硬い場合に前方水晶体物質にかみ合い、装置は核の赤道を越えて、その周辺で伸長することができる。したがって、庭用の長柄の鍬が土をとらえることができるのと同じ程度、外側カニューラの垂直先端は皮質または核、あるいはその両方をとらえ、内側カニューラは装置の先端に逆らって進み、水晶体の材料が切断、剪断、破砕および細かく砕かれることになる。この破片にされた物質の大部分は、内側カニューラの内腔を上方に動かされ、残りの破片は処置の中の後で吸入することができる。この動作が繰り返され、水晶体の核は徐々に「かみ切られ」、内腔内の物質は、連続ストロークにより内側カニューラを押し上げられる。さらに、装置の末端(図2の要素40)で適用される真空状態は、内側カニューラの内腔内の物質の、または前眼房内の破片にされた物質の吸入を補助する。さらに硬い核の物質を完全に除去することにより、装置は目から取り除かれ、その場合さまざまな使用可能な単独ポート単独内腔吸入カニューラの内の任意の1つを使用して吸入される。
【0045】
図16(AないしC)に従った図10、図11、図12に描かれる本発明の実施の形態は、流体が外側カニューラに取り付けられたカニューラ17を通って流れるので、前眼房維持装置の挿入を必要としない。核の動作および除去は、それ以外の場合前記説明に同一である。核の除去の後、残った皮質が、使用可能な注入−吸入カニューラのどれかを使用して手作業で吸引される。
【0046】
核および皮質の完全な除去の後に、外科医は、傷の拡大部を通して小型のうね状の眼内水晶体または未修正の切り口を通して折りたたむことのできる水晶体を挿入するというオプションを持つ。
【0047】
傷は、外科医によって選ばれる切り口のアーキテクチャに応じて縫合されるか、または縫合されない。
したがって、本発明の装置は、水晶体超音波吸引術と同様に、白内障の除去を小さな切り口を通して達成し、前方の嚢切開を除き、水晶体嚢を損なわれていない状態のまま残す。本発明は、これを、簡略で手作業により制御、駆動される装置によって達成する。
【0048】
本発明は、実質上、および根本的に、水晶体超音波吸引術およびカンサス(Knasas)、マッキンタイヤー(MacIntyre) およびコーリ(Khouri)の核分割技法を取り入れる、嚢外白内障摘出術とは異なる。
【0049】
バンコ(Banko) (米国特許第3,732,858号)の装置および方法は、その発明では水晶体にかけられる吸引力により装置のつめの中で水晶体が維持されることを必要となるという点で根本的に異なる。しかし、本発明では水晶体の剪断を達成するための一定の吸込みは必要としない。バンコ(Banko) の切断要素は縦軸の回りで回転するが、本発明の切断縁は、軸に沿って往復運動する。
【0050】
米国特許第4,662,869号でライト(Wright)によって開示される装置は、組織が装置のプロット(prot)の中に吸い込まれた後に、組織を剪断する。ここでも、本装置は水晶体の剪断を行うためにこの吸込みを必要としない。
【0051】
米国特許第3,844,279号でバンコ(Banko) は、吸込みが、装置の要素に剪断されるべき物質を引き出すことも必要とする。さらに、米国特許3,996,935号で、バンコ(banko) は、回転切断要素を備え、吸込みが組織をとらえ、除去することを必要とする。
【0052】
本発明は、明瞭さおよび理解の目的のために図解および例によってある程度詳細に記述されてきたが、当業者にとっては、本発明の教示に鑑みて、添付される請求項の精神または適用範囲を逸脱することなく、ある種の変更および改良をそれに加えることができることが容易に明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のある実施の形態に従った手術装置の斜視図である。
【図2】装置の先端の拡大斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態の断面図である。
【図4】本発明に従った別の実施の形態の断面図である。
【図5】本発明に従ったさらに別の実施の形態の断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態の拡大詳細図である。
【図7】図6の7−7線に沿う断面図である。
【図8】別の実施の形態のさらなる拡大詳細図である。
【図9】図8の9−9線に沿う断面図である。
【図10】別の実施の形態の断面図である。
【図11】図10の拡大詳細図である。
【図12】図11の12−12線に沿う断面図である。
【図13】本発明の装置の使用例を示す図である。
【図14】図13の一部の拡大図である。
【図15】AないしCは、水晶体の核の破砕の種々の工程での内側カニューラの一部を夫々示す図である。
【図16】AないしCは、前進の種々の工程での内側カニューラの縁および組織の破砕を夫々示す図である。
【符号の説明】
10…外側カニューラ、11…内側カニューラ、25…先端(当接部)、30…フロントエンドキャップ、33…プッシャー、34…ハウジング、35…カニューラ、36…スライダー。

Claims (13)

  1. 外側カニューラと、
    この外側カニューラ内に受け入れられ、相対的に長手方向に移動可能な内側カニューラと、
    前記外側カニューラの一端部に設けられ、前記内側カニューラに接触する当接部と、
    前記外側カニューラに形成され、除去される組織の中に位置させるための第1の開口部と、
    前記内側カニューラと当接部との間の組織を除去するために、前記当接部に接触するように前記内側カニューラを進め駆動手段とを具備し、
    前記外側カニューラは、前記第1の開口部に対向し、前記外側カニューラ内へのビューポートを規定している第2の開口部を有している、組織を除去するための装置。
  2. 前記内側カニューラが、前記長手方向に移動するように適合されている請求項1に記載の装置。
  3. 前記当接部は、狭い外側縁を備え、除去される組織内への進入を促進する、請求項1に記載の装置。
  4. 前記当接部が、90°よりも大きい角度で下方へ後方に傾斜し、前記内側カニューラが進んで前記当接部と接触するのに従って、前記組織を上方へ押し上げる、請求項1に記載の装置。
  5. 前記装置に取り付けられ、前記組織を除去するための真空源を具備する、請求項1に記載の装置。
  6. ハウジングと、
    このハウジング内で前記内側カニューラを前進させるための手段と、
    このハウジング内で前記内側カニューラを後退させるための手段とを具備する、請求項1に記載の装置。
  7. 前記内側カニューラは、前記ハウジング内で受け入れら前記ハウジング内で往復運動を行うことができるスライダーに取り付けられ、前記駆動手段は、前記ハウジングを通って延び、ユーザーが前記スライダーを進めることができるようにする、請求項に記載の装置。
  8. 前記スライダーは、傾斜後縁を備え、前記駆動手段は、前記後縁と接触するグリップを有しこのグリップを下方に動かすと、前記スライダーが前方に移動する、請求項7に記載の装置。
  9. 前記駆動手段は、前記スライダーに枢支された第1のレバーと、
    この第1のレバーに枢支され、前記ハウジングに旋回できるように末端が取り付けられた第2のレバーとを具備し、この第2のレバーを動かすと前記スライダーが移動する請求項7に記載の装置。
  10. 前記収縮させるための手段は、ばねである、請求項6に記載の装置。
  11. 前記ばねは、このばねが前記ハウジングの当接部に接触するように、前記スライダーに取り付けられているコイルばねである、請求項10に記載の装置。
  12. 前記ハウジングは、閉じられた管であり、真空チューブが、前記内側カニューラに取り付けられ、前記ハウジングの長手方向に前記ハウジングの末端にある出口まで延びている、請求項6に記載の装置。
  13. 流水液体の進入を可能にするための流水カニューラを具備する、請求項1に記載の装置。
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