JP4047220B2 - 電界放出ディスプレイの陽極板にスペーサをボンディングする方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電界放出ディスプレイ(field emission display;以下、FEDという)に関するものであり、とくに、FEDの陽極板(anode plate)にスペーサをボンディングする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
FEDはフラットディスプレイの一種である。FED装置は、LCDが有する軽量、薄型の特性以外に、陰極線管CRTが有する高輝度の自発発光の長所があり、FED技術は大きな注目を浴びている。
【0003】
大きい面積のFEDにおいて、陽極板と陰極板とのあいだの間隔を維持する目的でスペーサが必要である。従来の工程においては、陽極接合(anodic bonding)技術を用いて、陽極板を接合している。
【0004】
図6はFEDの従来の陽極接合工程を示す断面図である。図6において、100は加熱板であり、110はガラス基板である。透明電極112はガラス基板110上に形成されている。蛍光領域114は透明電極112上に分かれて形成されており、ブラックマトリクス116は蛍光領域114間にそれぞれ形成されている。アルミニウム薄膜118は蛍光領域114とブラックマトリクス116上に形成されている。
【0005】
図6において、ガラス基板110全体は加熱板100に配置されたのち、300℃以上のボンディング温度に加熱される。よって、導電板130に接続されたスペーサ120は、陽極接合により、ブラックマトリクス116の上方で、アルミニウム薄膜118に接合されたのち、導電板130とアルミニウム薄膜118はDC電源に電気的に接続される。
【0006】
しかし、300℃に達する高温ボンディングのため、熱応力がガラス基板110に生じて、ガラス基板110を変形させ、ほかの装置に影響を及ぼす。また、ガラス基板110全体が加熱されなければいけないので、従来の方法では、電力を消耗する。さらに、加熱板100とガラス基板110の寸法調整は、FED製造上、非常に不便である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、叙上の事情に鑑み、FEDの陽極板にスペーサを簡潔にボンディングすることができる方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電界放出ディスプレイの陽極板にスペーサをボンディングする方法であって、複数の蛍光領域と複数のブラックマトリクスとを備える陽極板を提供する工程と、前記ブラックマトリクス上に磁気層を形成する工程と、前記陽極板と前記磁気層上に金属薄膜を形成する工程と、前記ブラックマトリクスの上方の、前記金属薄膜上にスペーサを設置する工程と、電磁誘導工程を実施することにより、前記磁気層を加熱して熱源とし、熱を発生させて、該熱が前記金属薄膜を経て前記スペーサを加熱する工程と、DC電界工程を実施することにより、前記ブラックマトリクス上で前記金属薄膜に前記スペーサをボンディングする工程とからなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、電界放出ディスプレイの陽極板にスペーサをボンディングする方法であって、複数の蛍光領域と複数のブラックマトリクスとを備える陽極板を提供する工程と、前記ブラックマトリクス上に磁気層を形成する工程と、前記陽極板と前記磁気層上に、厚さが約800〜2000Åのアルミニウム薄膜を形成する工程と、前記ブラックマトリクスの上方の、前記アルミニウム薄膜上にガラススペーサを設置する工程と、電磁誘導工程を実施することにより、前記磁気層を加熱して熱源とし、熱を発生させて、該熱が前記アルミニウム薄膜を経て前記ガラススペーサを加熱する工程と、DC電界工程を実施することにより、前記ブラックマトリクス上で前記アルミニウム薄膜に前記ガラススペーサをボンディングする工程とからなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
前述した本発明の目的、特徴および長所をいっそう明瞭にするため、以下に本発明の好ましい実施の形態をあげ、図面を参照しつつさらに詳しく説明する。
【0011】
本発明はFEDの陽極板にスペーサをボンディングする方法に適用する。図1〜4は本発明にかかわるボンディング工程を示す図である。
【0012】
図1において、提供されたFEDの陽極板200は、複数の蛍光領域210を備えており、この蛍光領域210を隔てるように複数のブラックマトリクス220が提供されている。まず陽極板200の形成方法を以下に示す。インジウム−スズ酸化物(ITO)層などの透明電極204がガラス基板202上に形成される。蛍光領域210とブラックマトリクス220が透明電極204上に形成される。ブラックマトリクス220は蛍光領域210間に形成されている。一般に、ブラックマトリクス220と蛍光領域210は一定の間隔である。
【0013】
ついで図1において、磁気層230が、たとえば蒸着により、ブラックマトリクス220上に形成される。磁気層230は、鉄Fe、コバルトCoおよび/またはニッケルNiなどの磁気材から作製される。
【0014】
図1において、アルミニウム薄膜などの金属薄膜240が、たとえば蒸着またはスパッタリングにより、陽極板200と磁気層230上に形成される。金属薄膜240は、好ましくは800〜2000Åである。
【0015】
ついで図2において、スペーサ310は、ブラックマトリクス220の上方の金属薄膜240上に設置される。スペーサ310の材料はガラスである。スペーサアライメント機器がスペーサを配置するために用いられる。
【0016】
図2において、ITO板などの導電板320がスペーサ310に接続される。そののち、DC電源330が提供されて、DC電源のマイナス電極が導電板320に接続されるとともに、プラス電極が陽極板200の透明電極204に接続される。DC電源330は、DC電圧差(約100〜1000V)を導電板320と透明電極204とのあいだに供給する。つまり、DC電界工程は、導電板320と透明電極204とのあいだで実施される。
【0017】
ついで図2において、電磁誘導工程(electromagnetic induction produce)を実施して、磁気層230だけを300℃以上に加熱する。よって、電磁誘導工程により加熱された磁気層230は熱源となり、熱を発生する。熱は金属薄膜240を経て、スペーサ310を加熱する。ここで、注意すべきことは、電磁誘導工程は局部加熱メカニズムであって、ガラス基板202中の熱応力は減少する。また、この電磁誘導工程では、陽極板200は電磁誘導装置340と接続させる必要がない。よって、FEDの寸法改善には制限がない。
【0018】
電磁誘導工程は、少なくとも1つの誘導コイル340により高周波数を発生し、磁気層230の表面を急速に加熱する。本実施の形態にかかわる方法では、局部加熱メカニズムを用いて、スペーサ310を加熱している。スペーサ310の温度が300℃以上、たとえば300〜500℃のとき、スペーサ310のNa+イオンなどの金属イオン(M+イオン)が放出されて、金属薄膜240と接合する。
【0019】
ついで図3において、スペーサ310が加熱されるので、スペーサ310の金属イオンと酸素イオン(O2-イオン)が放出される。また、DC電界工程がスペーサ310と陽極板210とのあいだで実施され、金属イオンが導電板320の方に移動し、酸素イオンが金属薄膜240の方に移動する。酸素イオンと金属薄膜240とのあいだで酸化反応が生じ、Al23層などの金属酸化層を形成し、これにより、スペーサ310を金属薄膜240に接合させる。したがって、図4に示されるように、スペーサ310は、金属酸化層410により、堅固に金属薄膜240に固定される。つぎに、導電板230とDC電源330が除去される。
【0020】
さらに、図5を参照すると、FED装置640が示されている。陰極板610を極板220に対面させて、スペーサ310を陽極板200と陰極板610とのあいだに設置させる。そののち、フレーム630が形成されて、FED装置640の周辺領域を封止する。空間620が陽極板200と陰極板610とのあいだに形成される。この空間620内で得られる圧力は、真空処理により、10-6トール以下である。
【0021】
したがって、本発明は、電磁誘導工程とDC電界工程により、陽極板にスペーサをボンディングする方法を提供している。スペーサは、電磁誘導工程により加熱された磁気層から発生される熱により加熱される。よって、本発明の局部加熱メカニズムは陽極板の熱応力を減少させ、信頼性と歩留り率を向上させることができる。また、本発明の局部加熱メカニズムは磁気層を急速に加熱して、スペーサを加熱することができるため、スループットを増加させ、出力効率を達成することができる。さらに、本発明の電磁誘導工程の使用は、FED装置と加熱機器の寸法調整に関する懸念を消去し、よって、製造工程を簡潔にすることができる。
【0022】
本発明では、好ましい実施の形態を前述のとおり開示したが、これらは決して本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の技術思想の範囲において、各種の変更や修正を加えることができる。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で規定された内容を基準とする。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、製造工程を簡潔にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわるボンディング工程を示す図である。
【図2】本発明にかかわるボンディング工程を示す図である。
【図3】本発明にかかわるボンディング工程を示す図である。
【図4】本発明にかかわるボンディング工程を示す図である。
【図5】本発明の方法にかかわる工程を実施することにより得られるFEDを示す図である。
【図6】従来のボンディング工程を示す図である。
【符号の説明】
100 加熱板
110 ガラス基板
112 透明電極
114 蛍光領域
116 ブラックマトリクス
118 アルミニウム薄膜
120 スペーサ
130 導電板
200 陽極板
202 ガラス基板
204 透明電極
210 蛍光領域
220 ブラックマトリクス
230 磁気層
240 金属薄膜
310 スペーサ
320 導電層
330 DC電源
340 誘導コイル
410 金属酸化層
610 陰極板
620 空間
630 フレーム
640 FED装置

Claims (20)

  1. 電界放出ディスプレイの陽極板にスペーサをボンディングする方法であって、
    複数の蛍光領域と複数のブラックマトリクスとを備える陽極板を提供する工程と、
    前記ブラックマトリクス上に磁気層を形成する工程と、
    前記陽極板と前記磁気層上に金属薄膜を形成する工程と、
    前記ブラックマトリクスの上方の、前記金属薄膜上にスペーサを設置する工程と、
    電磁誘導工程を実施することにより、前記磁気層を加熱して熱源とし、熱を発生させて、該熱が前記金属薄膜を経て前記スペーサを加熱する工程と、
    DC電界工程を実施することにより、前記ブラックマトリクス上で前記金属薄膜に前記スペーサをボンディングする工程
    とからなる方法。
  2. 前記陽極板の形成方法が、ガラス基板を提供する工程と、前記ガラス基板上に透明電極を形成する工程と、前記ガラス基板上に前記蛍光領域と前記ブラックマトリクスを形成する工程とからなる請求項1記載の方法。
  3. 前記磁気層が鉄、コバルトおよび/またはニッケルからなる請求項1記載の方法。
  4. 前記金属薄膜がアルミニウムからなる請求項1記載の方法。
  5. 前記スペーサがガラスからなる請求項1記載の方法。
  6. 前記電磁誘導工程が、少なくとも1つの誘導コイルにより、高周波を発生し、前記磁気層を加熱する工程である請求項1記載の方法。
  7. 前記磁気層の加熱温度が300℃以上である請求項1記載の方法。
  8. 前記DC電界工程が前記スペーサと前記陽極板とのあいだにDC電圧差を提供する工程である請求項1記載の方法。
  9. 前記DC電圧差が100〜1000Vである請求項8記載の方法。
  10. 前記DC電界工程が、前記スペーサに接続された導電板を提供する工程と、DC電源を提供する工程とからなり、該DC電源のマイナス電極を前記導電板に接続するとともに、プラス電極を前記陽極板の前記透明電極に接続する請求項2記載の方法。
  11. 電界放出ディスプレイの陽極板にスペーサをボンディングする方法であって、
    複数の蛍光領域と複数のブラックマトリクスとを備える陽極板を提供する工程と、
    前記ブラックマトリクス上に磁気層を形成する工程と、
    前記陽極板と前記磁気層上に、厚さが約800〜2000Åのアルミニウム薄膜を形成する工程と、
    前記ブラックマトリクスの上方の、前記アルミニウム薄膜上にガラススペーサを設置する工程と、
    電磁誘導工程を実施することにより、前記磁気層を加熱して熱源とし、熱を発生させて、該熱が前記アルミニウム薄膜を経て前記ガラススペーサを加熱する工程と、
    DC電界工程を実施することにより、前記ブラックマトリクス上で前記アルミニウム薄膜に前記ガラススペーサをボンディングする工程
    とからなる方法。
  12. 前記陽極板の形成方法が、ガラス基板を提供する工程と、前記ガラス基板上に透明電極を形成する工程と、前記ガラス基板上に前記蛍光領域と前記ブラックマトリクスを形成する工程とからなる請求項11記載の方法。
  13. 前記磁気層が鉄、コバルトおよび/またはニッケルからなる請求項11記載の方法。
  14. 前記電磁誘導工程が、少なくとも1つの誘導コイルにより、高周波を発生し、前記磁気層を加熱する工程である請求項11記載の方法。
  15. 前記磁気層の加熱温度が300℃以上である請求項11記載の方法。
  16. 前記DC電界工程が前記スペーサと前記陽極板とのあいだDC電圧差を提供する工程である請求項11記載の方法。
  17. 前記DC電圧差が100〜1000Vである請求項16記載の方法。
  18. 前記DC電界工程が、前記スペーサに接続された導電板を提供する工程と、DC電源を提供する工程とからなり、該DC電源のマイナス電極を前記導電板に接続するとともに、プラス電極を前記陽極板の前記透明電極に接続する請求項12記載の方法。
  19. 前記透明電極がインジウム−スズ酸化物からなる請求項12記載の方法。
  20. 前記導電層がインジウム−スズ酸化物からなる請求項18記載の方法。
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