JP4047134B2 - トナー、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

トナー、画像形成方法及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4047134B2
JP4047134B2 JP2002317428A JP2002317428A JP4047134B2 JP 4047134 B2 JP4047134 B2 JP 4047134B2 JP 2002317428 A JP2002317428 A JP 2002317428A JP 2002317428 A JP2002317428 A JP 2002317428A JP 4047134 B2 JP4047134 B2 JP 4047134B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molecular weight
toner
heating
fixing
metal sleeve
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002317428A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004151443A5 (ja
JP2004151443A (ja
Inventor
吉寛 小川
貴重 粕谷
寛 遊佐
英人 飯田
克久 山▲崎▼
修平 森部
博英 谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2002317428A priority Critical patent/JP4047134B2/ja
Publication of JP2004151443A publication Critical patent/JP2004151443A/ja
Publication of JP2004151443A5 publication Critical patent/JP2004151443A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4047134B2 publication Critical patent/JP4047134B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Fixing For Electrophotography (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷、トナージェットの如き画像形成方法に使用されるトナー、及びこのトナーを用いる画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式、静電記録方式等を採用する画像形成装置に具備される定着装置においては、未定着トナー像を担持した記録材を、互いに圧接して回転する定着ローラと加圧ローラとで形成されるニップ部を通過させることにより記録材上に定着させる、いわゆる加熱定着装置が広く用いられている。
【0003】
従来の加熱定着装置の一例を図13に示す。40は加熱手段を具備した定着ローラであり、機械的強度を満足するように厚み1mm〜4mm程度のアルミの中空芯金42の内部にハロゲンランプ41が配設されており、不図示の電源からの通電により中空芯金42内部から記録材P上のトナーを融解させるのに十分な加熱を行う。
【0004】
中空芯金42の内部はハロゲンランプ41による輻射熱の吸収を良好にするために、一般的に黒色の吸収率90%以上の物質(例えばオキツモ(商品名)等)が全面に塗布されており、内面の粗さは反射を防ぎ、吸収率を高くする目的で粗くなっており、Rz=10μm以上となっている。
【0005】
また記録材P上のトナーをオフセットすることなく、記録材P上に定着するために中空芯金42の外側には離型性に優れた性能を示すポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシテトラフルオロエチレン共重合体(PFA)などの離型性層43が形成されている。
【0006】
離型性層43は外面をブラスト処理やエッチング処理等を行い、表面粗さをRz=5μm以上とした中空芯金42上に、チューブ状に形成されていたり、あるいは静電スプレー、ディッピング塗工等により形成されており、中空芯金42に対して接着力を得ている。
【0007】
また、記録材Pの搬送によって定着ローラ40の表面がチャージアップすることで発生するオフセットを防止するため、離型性層43にカーボンブラック等の導電部材を混入しているものもある。
【0008】
さらに定着ローラ40の中空芯金42は電気的にアース接続、もしくはダイオード素子を介して接地されていたり、不図示のバイアス印加手段によって、バイアス印加されており、定着ローラ表面がチャージアップしてオフセット画像が発生するのを防止している。
【0009】
また、定着ローラ40の表面にはサーミスタ44が接触しており、定着ローラ表面の温度を検知し、適度な温度で記録材P上のトナー像を加熱するようにハロゲンランプ41への給電をon/off制御する。
【0010】
一方、50は上記定着ローラ40とローラ長手方向両端部において不図示の加圧バネにより圧接して記録材Pを挟持搬送する加圧ローラである。加圧ローラ50は芯金51の外部に、シリコーンゴムを成形した弾性層あるいはシリコーンゴムを発泡して成るスポンジ弾性層52、さらにその外層に定着ローラ40と同様のPTFEあるいはPFA、FEP等の離型性層53をチューブ状に、あるいはコーティング塗工して形成して成る。
【0011】
よって、加圧ローラ50の弾性により両ローラ40・50間に十分なニップ幅の定着ニップ部Nを形成することができる。この定着ニップ部Nに挟持搬送される記録材P上のトナー像を定着ローラ40からの加熱により定着することができる。
【0012】
また、特にスタンバイ時に加熱定着装置に電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えた方法、詳しくはヒータ部と加圧ローラの間に薄肉のフィルムを介して記録材上のトナー像を定着するフィルム加熱方式による加熱定着方法の一例が知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0013】
図14にフィルム加熱方式の定着装置の一例の概略構成を示した。すなわち図14において、ステイホルダー(支持体)62に固定支持させた加熱部材(加熱体、以下ヒータと記す)61と、該ヒータ61に耐熱性の薄肉フィルム(以下、定着フィルムと記す)63を挟んで加圧手段により所定のニップ幅の定着ニップ部Nを形成させて圧接させた弾性加圧ローラ50を有する。
【0014】
ヒータ61は通電により所定の温度に加熱・温調される。
【0015】
定着フィルム63は不図示の駆動手段あるいは加圧ローラ50の回転力により、定着ニップ部Nにおいてヒータ61面に密着・摺動しつつ矢印の方向に搬送移動される、円筒状あるいはエンドレスベルト状、もしくはロール巻きの有端ウエブ状の部材である。
【0016】
ヒータ61を所定の温度に加熱・温調させ、定着フィルム63を矢印の方向に搬送移動させた状態において、定着ニップ部Nの定着フィルム63と加圧ローラ50との間に被加熱材としての未定着トナー像を形成担持させた記録材Pを導入すると、記録材Pは定着フィルム63の面に密着して該定着フィルム63と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送される。この定着ニップ部Nにおいて、記録材・トナー像がヒータ61により定着フィルム63を介して加熱されて、記録材P上のトナー像が加熱定着される。定着ニップ部Nを通った記録材部分は定着フィルム63の面から剥離して搬送される。
【0017】
加熱部材としてのヒータ61には一般にセラミックヒータが使用される。例えば、アルミナ等の電気絶縁性・良熱伝導性・低熱容量のセラミック基板の面(定着フィルム63と対面する側の面)に基板長手(図面に垂直の方向)に沿って銀パラジウム(Ag/Pd)・Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等で形成具備させ、さらに該発熱抵抗層形成面を薄肉のガラス保護層で覆ってなるものである。このセラミックヒータ61は通電発熱抵抗層に通電がなされることにより該通電発熱抵抗層が発熱してセラミック基板・ガラス保護層を含むヒータ全体が急速昇温する。このヒータ61の昇温がヒータ背面に設置された温度検知手段64により検知されて不図示の通電制御部へフィードバックされる。通電制御部は温度検知手段64で検知されるヒータ温度が所定のほぼ一定温度(定着温度)に維持されるように通電発熱抵抗層に対する給電を制御する。すなわちヒータ61は所定の定着温度に加熱・温調される。
【0018】
定着フィルム63は、定着ニップ部Nにおいてヒータ61の熱を効率よく被加熱材としての記録材Pに与えるため、厚みは20〜70μmとかなり薄くしている。定着フィルム63はフィルム基層、導電性プライマー層、離型性層の3層構成で構成されており、フィルム基層側がヒータ側であり、離型性層が加圧ローラ側である。フィルム基層は絶縁性の高いポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等であり、耐熱性、高弾性を有しており可撓性のある厚み15〜60μm程度で形成されている。また、フィルム基層により定着フィルム63全体の引裂強度等の機械的強度を保っている。導電性プライマー層は厚み2〜6μm程度の薄い層で形成されており、定着フィルム全体のチャージアップを防止するため、電気的にアースに接続されている。離型性層は定着フィルム63に対するトナーオフセット防止層であり、離型性の良好なPFA、PTFE、FEP等のフッ素樹脂を厚み5〜14μm程度に被覆して形成してある。また、図13の定着ローラ40と同様に定着フィルム63表面のチャージアップを軽減し、静電オフセットを防止するため、離型性層中には比抵抗が103Ωcm〜106Ωcm程度のカーボンブラック等の導電部材が混入されている。
【0019】
また、ステイホルダー62は、例えば耐熱性プラスチック製部材より形成され、ヒータ61を保持するとともに定着フィルム63の搬送ガイドも兼ねている。よって定着フィルム63との摺動性を高めるために、定着フィルム63とヒータ61やステイホルダー62の外周面の間に耐熱性の高いグリース等を介在させてある。また、加圧部材50は上述した定着ローラ方式の加熱定着装置の加圧ローラと同様の構成をしている。
【0020】
また、定着フィルム63と加圧ローラ50の間で加熱定着に必要な定着ニップ部Nを形成するため、ステイホルダー62の両端部より不図示の加圧バネによって加圧ローラ50側に加圧されている。これにより、ステイホルダー62に取り付けられたヒータ61は加圧ローラ50の周方向の一部、かつ長手方向全域に渡って定着フィルム63と密着した状態になる。
【0021】
また、加圧ローラ50が回転駆動され、これに伴い、定着フィルム63が加圧ローラ50の表面によって従動回転させられる。この状態でヒータ61に形成された通電発熱抵抗層には不図示のコネクターによりヒータ61の両端部に形成された電極部を介して給電される。これにより、通電発熱抵抗層が加熱昇温し、定着ニップ部に挟持搬送された記録材上のトナー像を加熱定着する。
【0022】
しかしながら上述したような加熱定着装置を使用した場合、以下に挙げるような問題点がある。
【0023】
まず、定着ローラ40を用いた加熱定着装置の場合、定着ローラ芯金42の肉厚が機械的強度を満足するため、1〜4mm程度必要となり、大きな熱容量を有する。このため、画像形成装置がプリント信号を受信する前に所定温度に定着ローラ40を予備加熱しておく必要がある。これは、未定着トナー像を形成した記録材Pが加熱定着装置に搬送されてくるまでの短い時間では、定着ローラ40を室温から定着可能温度まで加熱昇温させることが困難であることから、プリント信号を受信する前のスタンバイ状態である程度加熱昇温しておく必要が生じる。
【0024】
このため、室温状態まで定着ローラ40が冷却された状態から画像形成装置の電源をONした場合などは、画像形成装置がプリント信号を受信可能になるまで、定着ローラ40を加熱昇温させる必要があった。
【0025】
また、スタンバイ中にヒータ41への通電により定着ローラ40を所定温度に加熱昇温させる必要があることから、この加熱昇温に多くのエネルギを使用していた。
【0026】
また、芯金42の肉厚を薄くすることで対応しようとした場合でも、上記従来例のようなヒータ41の輻射熱で定着ローラを加熱しようとする場合には、熱効率が良くないので、画像形成装置の高速化によって記録材搬送スピードが速くなった場合には同様に予備加熱が必要となる。
【0027】
また、芯金42の肉厚を薄くして昇温スピードを速くしようとした場合、芯金42の強度が十分でないために、強い加圧力で加圧した場合大きく撓み、亀裂が入る等、耐久性に問題があった。耐久性を考慮して弱い加圧力で加圧した場合は、トナーの定着性が不十分となる。
【0028】
一方、フィルム加熱方式の加熱定着装置では、上記のようなスタンバイ中のヒータ61への通電を必要とせず、画像形成装置がプリント信号を受信してから、ヒータ61への通電を行っても記録材Pが加熱定着装置に到達するまでに加熱可能な状態にすることが可能である。よって省エネの観点からフィルム加熱方式の加熱定着装置はエネルギを無駄にしない優れた加熱定着装置となる。
【0029】
しかし、定着フィルム63は熱伝導性の悪い樹脂層により形成されており、画像形成装置の高速化には不向きとなっていた。すなわち、画像形成装置が高速化した場合、ヒータ61での加熱を定着フィルム63を介して記録材Pに与えるスピードが装置の高速化に対応して増加しなければならないが、樹脂製の定着フィルム63では、熱伝導性フィラを混入する等の対策をとったとしても限度があり、更なる高速化には対応ができなくなる。
【0030】
また、高い加圧力で加圧した場合、記録材Pにトナー像を強い密着力で押し付けることが可能になり、定着性能が上がるが、樹脂製フィルムでは耐久により内面が削れ、破損に至ることがあり、高速化、耐久性を両立させることは困難であった。
【0031】
さらに、樹脂製の定着フィルム63に熱伝導性フィラを多量に添加した場合には、引裂強度等の機械的強度が失われ、例えば、端部の規制部材等でスラスト方向の位置を規制するとき、定着フィルム63の端部が規制部材等の端面に寄った状態で回転するので、定着フィルム63の端部が裂ける等の問題が生じ、耐久性の悪化を招いてしまう。
【0032】
また、端部への寄りを制御しようとした場合には、構造が複雑になり、装置の大型化、高コスト化を招いてしまう。
【0033】
よって、簡単な構成でかつ定着性確保、耐久性確保の双方を満足した加熱定着装置の高速化には樹脂製フィルムを用いたシステムは不向きであった。
【0034】
これまでに、低温時の定着性と高温時の耐オフセット性を両立すべく、種々のトナーが提案されているが、ポリエステル樹脂を用いたトナーは低温定着性、耐高温オフセット性に優れる為、特にフィルム加熱方式の加熱定着装置との組み合わせにおいて優れた性能を発揮しやすい。
【0035】
ポリエステル樹脂を用いたトナーの低温定着性、耐高温オフセット性を向上させるには、トナーのTHF可溶分の分子量を制御することが重要であり、数平均分子量や重量平均分子量、分子量分布、分子量を分画して各分画分子量の質量割合を示すなどの試みがなされてきた。しかしこのような手法では、低温定着性と耐高温オフセット性の改良には限界があり、これらの性能を大幅に向上させることが難しかった。また、耐高温オフセット性を満足させる為に高分子量成分を含有させると、低分子量成分と高分子量成分の混合性が悪くなり、ハーフトーン画像の低温オフセット性や耐高温オフセット性に悪影響を及ぼすことが多く、フィルム加熱方式の加熱定着装置に適応するトナーを得るのは難しかった。
【0036】
例えば、トナー粒子中におけるバインダーとしてのポリエステル樹脂が、以下の(A)〜(C)の条件、(A)ポリエステル樹脂の酸価をAv、水酸基価をOHvとしたとき、Avが20〜35(KOHmg/g)、Av/OHv=1.0〜1.5の範囲にあること、(B)テトラヒドロフラン不溶分が10%以下であること、(C)テトラヒドロフラン可溶分のゲル・パーミテーション・クロマトグラフィー(GPC)による分子量分布において、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率がMw/Mn≧10であり、数平均分子量3,000〜8,000の領域にピーク(低分子側ピーク)を少なくとも一つ有し、数平均分子量100,000〜600,000の領域にピークまたは肩(高分子側ピーク)を一つ有し、かつ、高分子側ピーク領域が5〜15%存在すること、を満足しているトナーが知られている(例えば、特許文献5参照。)。しかし、このように低分子側と高分子側のピーク位置や、Mw,Mnなどを制御しただけでは、特にフィルム加熱方式の加熱定着装置との組み合わせにおいては低温定着性、耐高温オフセット性を大幅に改良することは難しい。
【0037】
また、低温定着性、耐高温オフセット性を向上させる目的で、特定の酸価と水酸基価を有するポリエステル樹脂を使用し、トナーのテトラヒドロフラン可溶分のGPCによる分子量分布において、重量平均分子量が10万以上、重量平均分子量に対する数平均分子量の比(Mw/Mn)が35以上であり、低分子量、中分子量、高分子量の領域に分子量を分画し、各分画分子量の成分を特定の割合で含有するトナーが知られている(例えば、特許文献6参照。)。これによれば、ある程度低温定着性、耐高温オフセット性を満足するものが得られるが、各分画分子量の成分の割合を制御するだけでは、高分子量成分と低分子量成分の混合性が悪化しやすく、フィルム加熱方式の加熱定着装置との組み合わせにおいて、これまで以上に優れた性能を得るには改善の余地がある。
【0038】
また、重量平均分子量10000〜200000、数平均分子量1000〜10000であり、1×107以上の分子量域の成分を5〜15重量%含有し、THF不溶分を含まないバインダー樹脂を用いたトナーが知られている(例えば、特許文献7参照。)。しかし、分子量1万に対して、分子量5万、10万、100万の検出強度の比が規定されておらず、クロマトグラムの形状が制御されていない為、フィルム加熱方式の加熱定着装置との組み合わせにおいて優れた低温定着性、耐高温オフセット性を得るには不充分である。
【0039】
また、分子量10万と1万、100万と1万に相当する位置の相対強度の比がそれぞれ0.1〜0.4、0.05〜0.3であるポリエステル樹脂を用いたトナーが知られている(例えば、特許文献8及び9参照。)。しかしながら、分子量1万と10万、1万と100万の相対強度比を設定するだけではフィルム加熱方式の加熱定着装置に対応するには不十分である。
【0040】
また、テトラヒドロフラン(THF)不溶分が5重量%以下であり、かつTHF可溶分の1×106以上の超高分子量体の割合、1×105以上の高分子量体の割合、1×104未満の領域の低分子量体の割合と1×104以上1×105未満の中分子量体の割合を規定したトナー用ポリエステル樹脂が知られている(例えば、特許文献10及び11参照。)。しかし、このように各分画分子量の成分量を規定するだけでは、フィルム加熱方式の加熱定着装置における定着性能を制御することが難しく、特に低分子量成分と高分子量成分の混合性についても考慮されていない為、低温定着性と耐高温オフセット性、耐低温オフセット性を高度なレベルでバランスをとることが難しい。
【0041】
また、1×103以上8×103以下の領域に分子量の極大値を有し、Mw/Mnが20以上200以下であり、樹脂全体に占める分子量1×105以下の割合が80重量%以上であり、三価以上の多価カルボン酸及び/又は三価以上の多価アルコールを含有することを特徴とする電子写真トナー用ポリエステル系樹脂が知られている(例えば、特許文献12参照。)。これによれば確かに非オフセット温度幅の広いトナーを得る事ができるが、フィルム加熱方式の加熱定着装置において更なる低温定着性、耐高温オフセット性、耐低温オフセット性を向上させるには改良の余地がある。
【0042】
また、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを使用したポリエステル樹脂を含有するトナーが知られている(例えば、特許文献13及び14参照。)。しかし、THF可溶分のGPCクロマトグラムの形状の制御が充分になされていない為、さらに改良の余地がある。
【0043】
また、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを使用したトナーバインダー用ポリエステル樹脂が知られている(例えば、特許文献15参照。)。
【0044】
また、多価カルボン酸成分と多価ポリオール成分とからなるポリエステル樹脂で、多価ポリオール成分の少なくとも一部が三価以上のノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルであり、THF不溶分が0.1〜20重量%である樹脂を含むトナーが知られている(例えば、特許文献16参照。)。
【0045】
これらの発明では、THF可溶分の分子量分布について充分に考慮されていない為、高分子量成分と低分子量成分の混合性が悪化する場合があり、フィルム加熱方式の加熱定着装置との組み合わせにおいては、ハーフトーン画像で低温オフセットが発生しやすい上に、低温定着性、耐高温オフセット性に未だ改良の余地がある。
【0046】
以上の種々の問題点をより良好に解決した、加熱用金属製スリーブを具備した高速オンデマンド定着装置に対応する最適なトナーが待望されている。
【0047】
【特許文献1】
特開昭63−313182号公報
【特許文献2】
特開平2−157878号公報
【特許文献3】
特開平4−44075号公報
【特許文献4】
特開平4−204980公報
【特許文献5】
特開平3−188468号公報
【特許文献6】
特開平9−204071号公報
【特許文献7】
特開平5-88403号公報
【特許文献8】
特開2000−242042号公報
【特許文献9】
特開2000−162822号公報
【特許文献10】
特開平10−60104号公報
【特許文献11】
特開平10−69126号公報
【特許文献12】
特開平9-251216号公報
【特許文献13】
特開平9−251217号公報
【特許文献14】
特開平11−24312号公報
【特許文献15】
特開平5−27478号公報
【特許文献16】
特開2000−242030号公報
【0048】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上述の如き問題点を解決したトナー、このトナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0049】
すなわち本発明の目的は、金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ相当部において、該金属製スリーブ内面に加熱用部材を接触配置していることを特徴とするフィルム加熱方式の加熱定着装置において、低温定着性、耐高温オフセット性に優れ、低温オフセットを発生させないトナー、該トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0050】
つまり本発明は、定着性能、クイックスタート性を達成する高速オンデマンド定着に対応するトナー、該トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0051】
【課題を解決するための手段】
少なくとも加熱用部材と、加圧部材と、該加熱用部材と加圧部材の間に介在し、加熱用部材からの熱を被加熱材に接触して与える可撓性を有する円筒状金属素管を基層として形成される加熱用金属製スリーブとを具備し、該加熱用金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ相当部において、該金属製スリーブ内面に加熱用部材を接触配置しており、未定着トナー画像が形成された記録材を、定着部材と加圧部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に定着させる定着手段を用いる画像形成方法に適用されるトナーであり、該トナーは、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有し、該結着樹脂はポリエステル樹脂を含有し、該トナーのTHF可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有し、分子量5万における検出強度と分子量1万における検出強度の比が0.08〜0.28であり、分子量10万における検出強度と分子量1万における検出強度の比が0.03〜0.14であり、分子量100万における検出強度と分子量1万における検出強度の比が0.03〜0.09であることを特徴とするトナー、該トナーを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【0052】
【発明の実施の形態】
ポリエステル樹脂の低分子量領域の成分を多く含有させることで低温定着性が、高分子量領域の成分を多く含ませることで耐高温オフセット性が向上することは周知であり、従来の技術はこれらの成分の割合を制御することで低温定着性と耐高温オフセット性のバランスをとろうと試みられてきた。
【0053】
高分子量成分においては、できるだけ分子量の高い成分を少量含ませることが低温定着性を阻害せずに耐高温オフセット性を高められるので好ましいが、分子量が大きく異なるポリエステル樹脂の成分を均一に混合することは困難である。これは、分子量が非常に大きい成分と低分子量成分を溶融混練によりトナー中に均一に混合させようとすると、両者の溶融状態での粘度差が非常に大きく、溶融粘度の低い低分子量成分と溶融粘度の高い高分子成分の分子間での絡み合いを作りにくいからである。
【0054】
その結果、トナー中で高分子量成分の偏析や分離が起こり易く、耐高温オフセット性を悪化させる原因となる。さらには、均一に混合されずに偏析、分離してしまった高分子量成分がトナー中に存在すると、ハーフトーン画像のような現像トナー量の少ない画像を加熱用金属製スリーブを具備した高速のフィルム加熱方式の加熱定着装置によって定着させると、低温低着性を悪化させやすいうえに、低温オフセット性も悪化させることがある。これは以下の理由による。
【0055】
加熱用金属製スリーブは熱伝導性に優れるため、クイックスタート性に優れた定着装置を高速化できるが、高速化させることで加圧ローラ側から記録材へ与える熱量が小さくなり、記録材に現像されたトナーの表層だけが溶融して、剥ぎ取られ易くなる。このときに高分子量成分がトナー中で均一に混合されていないと、記録材上のトナー粒子同士の接着を阻害し、より剥ぎ取られやすくなり、低温オフセットを悪化させる。この現象は、現像されたトナー量が少なく、トナー粒子同士の接着力が得られにくいハーフトーン画像でより顕著となる。
【0056】
さらには、本発明で使用される金属製の定着フィルムは、従来使用されてきたポリイミドやポリアミドイミド、PEEK等の樹脂製の定着フィルムに比べて定着フィルムの強度が強い為に、フィルムがたわみにくく、定着ニップ部のフィルム内面とヒーターが接触する部分で、フィルムがヒーターに密着しにくい。そのため、記録材がニップに入る部分と出る部分はヒーターとフィルムの隙間が大きく、ニップ中央部分はヒーターとの隙間が小さい構成となり、定着ニップ部が記録材進行方向に対して凹凸のある、平滑な面ではなくなる。
【0057】
その結果、記録材がニップ部を通過する際に、記録材上のトナー像が乱されてフィルムにこすりつけられる為に、フィルムにトナーが移行しやすく、低温オフセットが発生しやすくなる。優れた定着性や耐高温オフセット性を達成しつつ低温オフセットを抑制する為には、定着器の構成に合ったトナーを組み合わせることが重要である。
【0058】
そこで本発明者らが検討したところ、加熱用金属製スリーブを用いたフィルム加熱方式の加熱定着装置との組み合わせにおいて優れた低温定着性、耐高温オフセット性を得て、さらに、良好な耐低温オフセット性を得るには、トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムの、特定分子量の検出強度の比を制御することが必要であることを見出した。
【0059】
具体的には、トナーのTHF可溶分をGPCにより測定したクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有し、分子量5万における検出強度と分子量1万における検出強度の比が0.02〜0.6であり、分子量10万における検出強度と分子量1万における検出強度の比が0.01〜0.4であり、分子量100万における検出強度と分子量1万における検出強度の比が0.01〜0.4であることが重要である。
【0060】
溶融粘度が大きく異なる分子量1万以下の低分子量成分と高分子量成分を均一に分散させるには、分子量100万、10万、5万の成分をつなぎ成分として含有させる必要があり、これら各分子量の成分を分子量1万の成分に対して一定の割合で含有させることで、低分子量成分と高分子量成分の混合性が格段に向上する。この理由としては、分子量100万、10万、5万、1万の成分のように粘度が段階的に異なる成分を特定量含有させることで、溶融粘度が大きく異なる分子量1万以下の低分子量成分と高分子量成分の溶融粘度の差を解消する働きをし、低分子量成分中に高分子量成分を均一に、安定した状態で分散させやすくする為と考えられる。
【0061】
これはつまり、単純に分子量を分画し、各分画分子量の存在割合を規定するような従来の技術とは樹脂設計の思想が異なり、より精密な分子量分布の制御が必要であることを示している。
【0062】
従来技術において、THF可溶分の分子量を分画し、各分画分子量の存在割合を規定するのは、それにより低温低着性や耐高温オフセット性などのバランスを取る為に行われている。そのため、低分子量成分と高分子量成分とをトナー中に均一に混合するという点において充分な性能を有しておらず、特に、加熱用金属製スリーブを用いた高速のフィルム加熱方式の加熱定着装置においては優れた低温低着性と耐高温オフセット性、耐低温オフセット性を得られにくかった。
【0063】
本発明では、トナーのTHF可溶分のメインピークのピークトップ分子量が5000より小さいと、定着時にトナーの溶融粘度が低下しすぎて耐高温オフセット性が悪化することがある。メインピークのピークトップ分子量が1万より大きいと、定着加熱時の溶融速度が遅くなり、低温定着性が悪化することがある。
【0064】
分子量1万における検出強度に対する分子量5万の検出強度の比や、分子量1万における検出強度に対する分子量10万の検出強度の比を制御することは、低温定着性を改良するうえで非常に重要である。
【0065】
分子量1万における検出強度に対する分子量5万の検出強度の比が0.6より大きかったり、分子量1万における検出強度に対する分子量10万の検出強度の比が0.4より大きかったりする場合では、分子量10万以下の分子量分布がブロードであることを示している。このような場合では、トナーの溶融速度が遅くなり、低温定着性が悪化することがある。
【0066】
分子量1万における検出強度に対する分子量5万の検出強度の比が0.02より小さかったり、分子量1万における検出強度に対する分子量10万の検出強度の比が0.01より小さかったりする場合では、分子量10万以下の分子量分布がシャープであることを示している。このような場合では、低温定着性には有利に働くが、高分子量成分と低分子量成分の溶融粘度差が大きくなりすぎるので、混合性が悪くなり、耐高温オフセット性が悪化したり、耐低温オフセット性が悪化したりすることがある。
【0067】
また、分子量100万と分子量1万における検出強度の比は、耐高温オフセット性を確保しつつ、高分子量成分と低分子量成分の混合性を高めるうえで重要な指標となる。分子量1万における検出強度に対する分子量100万の検出強度の比が0.4より大きい場合は、溶融粘度の高い成分の割合が多くなりすぎ、高分子量成分と低分子量成分の混ざりが悪く、低温オフセットが発生しやすくなる。分子量1万における検出強度に対する分子量100万の検出強度の比が0.01より小さいと、溶融粘度の高い成分の割合が少なすぎて耐高温オフセット性が悪化することがある。
【0068】
本発明では、前記クロマトグラムにおいて、分子量1万における検出強度に対する分子量5万における検出強度の比が0.02〜0.2であり、分子量1万における検出強度に対する分子量10万における検出強度の比が0.01〜0.1であり、分子量1万における検出強度に対する分子量100万における検出強度の比が0.01〜0.1であることが、前述した観点からより好ましい。
【0069】
本発明のトナーは、THF不溶分を結着樹脂に対して10〜40質量%含有することが好ましい。トナーのTHF可溶分の分子量分布を上述のように制御した場合、THF不溶分のように巨大な分子であってもトナー中に均一に混合させることが可能となり、耐高温オフセット性をさらに高めることができる。また、耐高温オフセット性が良くなることでさらに低分子量成分を増やすこともでき、より低温から高温まで定着可能な定着温度領域が広く、低温オフセットの発生しにくいトナーを得ることも可能になる。THF不溶分が10質量%より少ないと、耐高温オフセット性が低下する可能性があり、40質量%より多いと、低温定着性を阻害したり、低分子量成分と高分子量成分の混合性が悪化して、耐低温オフセット性を低下させる恐れがある。
【0070】
本発明のトナーは、上記条件を満足しつつ、重量平均分子量(Mw)が20万以上であることが好ましく、50万以上であることがより好ましい。THF可溶分のMwが20万以上であるということは、分子量が非常に大きくてTHFに可溶な成分を有していることを示す。このような成分はTHF不溶分の溶融粘度と非常に近い粘度を持ち、また低分子量成分との混合性にも優れる為、低温オフセット性を悪化させずに耐高温オフセット性を向上させる上で好ましい。Mwが20万未満では高分子量成分が少なすぎて、耐高温オフセット性が低下しやすい。
【0071】
本発明のトナーは、低分子量成分と高分子量成分の混合性をさらに改良する為に、z平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)の比、Mz/Mwが30以上、より好ましくは50以上であることが望ましい。本発明では、できるだけ分子量の高いTHF可溶分を少量含ませることが、混合性を良くするという観点で好ましく、その存在状態はMw/Mzで表現できる。Mz/Mwが30(好ましくは50)以上の場合に、より優れた低分子量成分と高分子量成分の混合性が得られ、結果としてより一層良好な低温低着性、耐高温オフセット性、耐低温オフセット性を発揮する。
【0072】
本発明のトナーは、トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量5万以下の領域の成分の分子量分布(Mw/Mn:ただしMnは数平均分子量)が3.0以下であることが好ましい。分子量5万以下のMw/Mnを小さくし、分子量分布をシャープにすることで、加熱時の溶融速度がより速くなり、より優れた低温低着性が得られる。
【0073】
以下、本発明で原材料として用いられる結着樹脂について説明する。
結着樹脂は、メインピーク分子量が5000〜1万であり、0〜3質量%のTHF不溶分を有し、かつ分子量10万以上の成分を0〜5質量%有する低分子量ポリエステル成分を含有することが好ましい。このような低分子量ポリエステル成分を含有する結着樹脂を用いることで、トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムの形状を好ましい形状に制御しやすくなる。
【0074】
また、低温定着性を阻害しやすい分子量10万より大きな成分を5質量%以下含有する低分子量ポリエステル成分を結着樹脂に含有させることで、低温定着性をさらに改良することが可能となる。
【0075】
特に、該低分子量ポリエステルの分子量分布(Mw/Mn)を3.0以下とすると、結着樹脂に多量の低分子量ポリエステルを含有させても現像性を悪化させない為、現像性を維持しながら低温定着性を大幅に改良できる。
【0076】
さらに本発明では、結着樹脂は、架橋ポリエステル成分を含有し、この架橋ポリエステル成分は、テトラヒドロフラン不溶分を20〜60質量%含有することが、耐高温オフセット性を高めるという観点で好ましい。THF不溶分が20質量%より少ない場合には耐高温オフセット性が低下しやすく、60質量%より多い時には他のトナー材料の分散が悪化する恐れがある。
【0077】
さらに、該架橋ポリエステル成分は、架橋ポリエステル成分のTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有するものがより好ましい。このような架橋ポリエステル成分を用いることでトナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムの形状を好ましい形状に制御しやすくなる。
【0078】
さらには、該架橋ポリエステル成分が、構成モノマーとして、三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価アルコールを含有していることがより好ましい。三価以上の多価カルボン酸や多価アルコールは、主にポリエステルに架橋成分を持たせる為に使われるが、両方を使用して架橋成分を生成させることで、樹脂での混合性に優れた架橋成分を得ることができる。その結果、トナーの耐高温オフセット性や耐低温オフセット性がより一層良好になる。
【0079】
さらに、前記架橋ポリエステル成分は、三価以上の多価アルコールがノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを含む構造の化合物である場合が、低温定着性を悪化させずに耐高温オフセット性を高める上で好ましい。ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物を用いて架橋成分を生成させると、架橋点と架橋点の間が長くなり(架橋点間分子量が大きくなり)、熱による分子運動が起こり易い、フレキシブルな架橋体が生成されやすい為、低分子量成分との混合性が非常に良好になり、耐高温オフセット性や耐低温オフセット性がより一層向上する。
【0080】
さらに本発明で用いる結着樹脂は、低分子量ポリエステル成分と架橋ポリエステル成分が90:10〜20:80の質量比率で混合されたものであることが好ましい。これよりも低分子量ポリエステルの比率が多くなると、耐高温オフセット性が悪化する可能性があり、少なくなると低温定着性が悪化する可能性がある。この比率で混合された時に、上述のトナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムの形状を達成しやすく、優れた低温定着性と耐高温オフセット性、及び耐低温オフセット性を得られやすい。
【0081】
特に架橋ポリエステル成分として、三価以上の多価アルコールとしてノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物を用いたものを使用した場合、少量のTHF不溶分でも耐高温オフセット性を高められるので、低分子量成分の比率を多くすることができ、耐高温オフセット性を維持しながら低温定着性をさらに改良できるので好ましい。
【0082】
本発明では、上記比率で低分子量ポリエステル成分と架橋ポリエステル成分を混合して使用することが好ましいが、架橋ポリエステル成分に含まれるTHF不溶分をトナー化でできるだけ剪断せず、トナー中にTHF不溶分として残すような製法が好ましい。
【0083】
トナー化時の混練工程では不溶分が剪断されて低分子化してしまいやすいので、混練機の温度を高く設定して、架橋ポリエステル成分が熱により軟化した状態で混練することが好ましい。この際、混練軸の回転数を通常よりも高めに設定することで、溶融した架橋ポリエステル成分と低分子量ポリエステル成分の混合性をより高めることができる。特に、三価以上の多価アルコールとしてノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを用いた架橋点間分子量の大きい架橋成分は、熱による分子運動が起こりやすく、軟らかい架橋成分である為、トナー化時の混練の負荷でも分子切断されにくく、しかも低分子量成分との混合性が良いので、耐高温オフセット性、現像性に有利に働く。
【0084】
本発明に用いられる前記ポリエステル成分は、多価アルコールと多価カルボン酸との縮重合により得られる。本発明に用いられるポリエステル成分には、例えば以下に示す成分が用いられる。
【0085】
二価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(A)式で表されるビスフェノール及びその誘導体;また(B)式で示されるジオール類;が挙げられる。
【0086】
【化1】
Figure 0004047134
【0087】
【化2】
Figure 0004047134
【0088】
二価の酸成分としては、例えばフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸等のアルケニルコハク酸類若しくはアルキルコハク酸類、又はその無水物、低級アルキルエステル;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類又はその無水物、低級アルキルエステル;等のジカルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。
【0089】
また架橋成分として働く三価以上のアルコール成分と三価以上の酸成分を併用することが好ましい。
【0090】
三価以上の多価アルコール成分としては、例えばソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられる。
【0091】
特に好ましい三価以上の多価アルコール成分として、ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを含む構造の化合物が挙げられる。ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを含む構造の化合物は、ノボラック型フェノール樹脂と分子中一個のエポキシ環を有する化合物との反応物であり、かつ末端に三つ以上のアルコール性の水酸基を有する。
【0092】
ノボラック型フェノール樹脂としては、例えばエンサイクロベディア・オブ・ポリマーサイエンス・アンド・テクノロジー(インターサイエンス・パブリッシャーズ)第10巻1頁のフエノリツク・レジンズの項に記載されるように、塩酸、リン酸、硫酸等の無機酸又はパラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸又は酢酸亜鉛等の金属塩を触媒としてフェノール類とアルデヒド類からの重縮合により製造されるものが挙げられる。
【0093】
フェノール類としては、フェノールや炭素数1〜35の炭化水素基及び/又はハロゲン基を一個以上置換基として有する置換フェノールが挙げられる。置換フェノールの具体例としては、クレゾール(オルソ体、メタ体若しくはパラ体)、エチルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、フェニルフェノール、スチレン化フェノール、イソプロペニルフェノール、3−クロルフェノール、3−ブロムフェノール、3,5−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール、3,5−ジクロルフェノール、2,4−ジクロルフェノール、3−クロル−5−メチルフェノール、ジクロルキシレノール、ジブロムキシレノール、2,4,5−トリクロルフェノール、6−フェニル−2−クロルフェノール等が挙げられる。フェノール類は二種以上併用してよい。
【0094】
これらの中ではフェノール及び炭化水素基で置換された置換フェノールが好ましく、その中でも特にフェノール、クレゾール、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールが好ましい。フェノールとクレゾールは価格及びトナーの耐オフセット性を付与する点で好ましく、t−ブチルフェノール及びノニルフェノールに代表される炭化水素基で置換された置換フェノールは、トナーの帯電量の温度依存性を小さくする点で好ましい。
【0095】
アルデヒド類としては、ホルマリン(各種濃度のホルムアルデヒド溶液)、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
【0096】
ノボラック型フェノール樹脂の数平均分子量は通常300〜8000、好ましくは450〜3000、さらに好ましくは400〜2000である。ノボラック型フェノール樹脂中の数平均のフェノール類の核体数は通常3〜60、好ましくは3〜20、さらに好ましくは4〜15である。
【0097】
また軟化点(JIS K2531;環球法)は、通常40〜180℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは50〜130℃である。軟化点が40℃未満では常温でブロッキングし取り扱いが困難となる。また軟化点が180℃を越えるとポリエステル成分の製造過程でゲル化を引き起こし好ましくない。
【0098】
分子中一個のエポキシ環を有する化合物の具体例としては、エチレンオキサイド(EO)、1,2−プロピレンオキサイド(PO)、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等を挙げることができる。また炭素数1〜20の脂肪族一価アルコール若しくは一価フェノールのグリシジルエーテルも使用できる。これらの中ではEO及び又はPOが好ましい。
【0099】
ノボラック型フェノール樹脂1モルに対する、分子中一個のエポキシ環を有する化合物の付加モル数は、通常1〜30モル、好ましくは2〜15モル、さらに好ましくは2.5〜10モルであり、またノボラック型フェノール樹脂中のフェノール性水酸基一個に対する分子中一個のエポキシ環を有する化合物の平均付加モル数は通常0.1〜10モル、好ましくは0.1〜4モル、さらに好ましくは0.2〜2モルである。
【0100】
本発明で特に好ましく用いられるノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の構造を下記一般式(1)に例示する。
【0101】
【化3】
Figure 0004047134
【0102】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の数平均分子量は、通常300〜10000、好ましくは350〜5000、さらに好ましくは450〜3000である。数平均分子量が300未満ではトナーの耐オフセット性が十分でなく、10000を越えるとポリエステル成分の製造過程でゲル化を引き起こして好ましくない。
【0103】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の水酸基価(アルコール性及びフェノール性水酸基の合計)は、通常10〜550、好ましくは50〜500、さらに好ましくは100〜450mgKOH/gである。また、水酸基価のうち、フェノール性水酸基価は通常0〜500、好ましくは0〜350、さらに好ましくは5〜250mgKOH/gである。
【0104】
ノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテル化合物の製法を例示すると、必要により触媒(塩基性触媒又は酸性触媒)の存在下、ノボラック型フェノール樹脂に分子中一個のエポキシ環を有する化合物を付加反応させることにより得られる。反応温度は通常20〜250℃、好ましくは70〜200℃であり、常圧下、又は加圧下、さらには減圧下においても行うことができる。また反応は、溶媒(例えばキシレン、ジメチルホルムアミド等)、他の二価アルコール類、及び他の三価以上のアルコール類の少なくともいずれかの存在下で行うこともできる。
【0105】
また、本発明に用いられる三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばピロメリット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル;下記一般式(C)で表されるテトラカルボン酸等、及びこれらの無水物、低級アルキルエステル等の多価カルボン酸類及びその誘導体が挙げられる。なかでも、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸及びこれらの無水物、低級アルキルエステルが好ましい。
【0106】
【化4】
Figure 0004047134
【0107】
本発明に用いられるアルコール成分としては40〜60mol%、好ましくは45〜55mol%、酸成分としては60〜40mol%、好ましくは55〜45mol%であることが好ましい。また三価以上の多価の成分は、全成分中の5〜60mol%であることが好ましい。
【0108】
該ポリエステル成分は通常一般に知られている縮重合によって得られる。ポリエステル成分の重合反応は、通常触媒の存在下で150〜300℃、好ましくは170〜280℃程度の温度条件下で行われる。また反応は常圧下、減圧下、若しくは加圧下で行うことができるが、所定の反応率(例えば30〜90%程度)に到達後は、反応系を200mmHg以下、好ましくは25mmHg以下、さらに好ましくは10mmHg以下に減圧し、反応を行うのが望ましい。
【0109】
上記触媒としては、通常ポリエステル化に用いられる触媒、例えばスズ、チタン、アンチモン、マンガン、ニッケル、亜鉛、鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、ゲルマニウム等の金属;及びこれら金属含有化合物(ジブチルスズオキサイド、オルソジブチルチタネート、テトラブチルチタネート、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸コバルト、酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)が挙げられる。
【0110】
反応物の性質(例えば酸価、軟化点等)が所定の値に到達した時点、あるいは反応機の攪拌トルク又は攪拌動力が所定の値に到達した時点で反応を停止させることによって本発明のポリエステル成分を得ることができる。
【0111】
本発明のトナーには、ビニル系重合体成分を含有していても良い。ビニル系重合体成分を構成するビニル系モノマーとしては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−ブチルスチレン、p−tert−トリブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン類;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニルの如きハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0112】
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物、該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマーが挙げられる。
【0113】
さらに、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸エステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルヘキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマーが挙げられる。
【0114】
またさらに、マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン酸ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和ジカルボン酸ハーフエステル類;マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチルの如き不飽和ジカルボン酸ジエステル類;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和ジカルボン酸無水物類もビニル系モノマーとして使用できるが、本発明に用いられる結着樹脂を製造するのに使用される全モノマー成分を基準としてポリエステル系モノマー成分の割合を算出するときには、これらに限りポリエステル系モノマー成分として算出する。
【0115】
さらに、必要に応じて以下に例示するような架橋性モノマーで架橋された重合体であっても良い。
【0116】
芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0117】
また、エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0118】
また、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類としては例えば、ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレート類として例えば、商品名MANDA(日本化薬)が挙げられる。
【0119】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0120】
これらの架橋剤は、他のビニル系モノマー成分100質量部に対して、0.01〜10.0質量部(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることが好ましい。
【0121】
前記ビニル系重合体成分を製造する場合に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドの如きケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキジイソプロピル)ベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエイト、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエイト、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエイト、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレートが挙げられる。
【0122】
本発明に用いられるビニル系重合体成分を製造する場合に用いられる開始剤として、以下に例示する多官能性重合開始剤を単独で、又は単官能性重合開始剤と併用して用いても良い。
【0123】
多官能構造を有する前記多官能重合開始剤の具体例としては、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,3−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルパーオキシブタン、4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート、ジ−t−ブチルパーオキシトリメチルアジペート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン及び2,2−t−ブチルパーオキシオクタンの如き、一分子内に二つ以上のパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基を有する多官能性重合開始剤;及びジアリルパーオキシジカーボネート、トリブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート及びt−ブチルパーオキシイソプロピルフマレートの如き、一分子内にパーオキサイド基の如き重合開始機能を有する官能基と重合性不飽和基との両方を有する多官能性重合開始剤が挙げられる。
【0124】
これらのうち、より好ましいものは、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート、ジ−t−ブチルパーオキシアゼレート及び2,2−ビス−(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、及びt−ブチルパーオキシアリルカーボネートである。
【0125】
本発明のトナーは、ワックス成分を含有してもよい。
本発明で用いられるワックスは、示差走査熱量分析(DSC)で測定される昇温時の吸熱ピークにおいて最大吸熱ピークのピークトップ温度が70〜120℃(好ましくは90〜110℃)であることが良い。この温度範囲にピークトップ温度を有するワックスと上述のGPCクロマトグラムを有するトナーとの組み合わせは、定着時においてトナー表面へのワックスの溶け出しが早く、低温定着性や耐高温オフセット性に効果を発揮しやすいので好ましい。
【0126】
ワックスのDSC吸熱ピークは、示差熱分析測定装置(DSC測定装置)、DSC−7(パーキンエルマー社製)、DSC2920(TAインスツルメンツジャパン社製)や他機種を用いて、ASTM D3418−82に準じて測定することができる。具体例としては、測定試料を2〜10mgの範囲で正確に秤量し、これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜160℃の間で、昇温速度10℃/minで、常温常湿下で測定を行う。
【0127】
本発明に用いられるワックスとしては、例えば低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;又は、それらのブロック共重合物;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろうの如き植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろうの如き動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムの如き鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの如き脂肪族エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪族エステルを一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。
【0128】
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、或いはさらに長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カウナビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、或いはさらに長鎖のアルキル基を有するアルキルアルコールの如き飽和アルコール;ソルビトールの如き多価アルコール;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪族アミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪族ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
【0129】
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は融液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
【0130】
これらのワックスは、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部含有されていることが好ましく、特に、ポリエステル成分重合時にモノマーと一緒に反応槽に仕込むか、樹脂重合終了後、取り出し前の反応槽に温度がかかっている状態で添加して攪拌し、樹脂に分散させることが、樹脂中にワックスを均一に分散させる上で好ましい。
【0131】
この際、特に好ましく用いられるワックスとして、ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスが挙げられる。これらは、ポリエステル成分との反応性が小さいので、樹脂の重合を阻害したり、樹脂との反応によってワックスの効果が変化したりすることが少ない。
【0132】
さらに本発明のトナーは、磁性体を結着樹脂100質量部に対して30〜200質量部含有する、磁性トナーであることが好ましい。この場合、磁性体は着色剤の役割をかねることもできる。
【0133】
本発明に用いられる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物が用いられ、その磁性体表面あるいは内部に非鉄元素を含有するものが好ましい。
【0134】
本発明に用いられる磁性体は、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄及びその混合物が好ましく用いられる。中でもリチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、亜鉛、カルシウム、バリウム、スカンジウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、銅、ニッケル、ガリウム、カドミウム、インジウム、銀、パラジウム、金、水銀、白金、タングステン、モリブデン、ニオブ、オスミウム、ストロンチウム、イットリウム、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、ビスマスから選ばれる少なくとも一つ以上の元素を含有する磁性酸化鉄であることが好ましい。
【0135】
特にリチウム、ベリリウム、ボロン、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、第4周期の遷移金属元素が好ましい元素である。これらの元素は酸化鉄結晶格子の中に取り込まれても良いし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれても良いし、表面に酸化物あるいは水酸化物として存在しても良い。また、酸化物として含有されているのが好ましい形態である。
【0136】
また、場合により、本発明の磁性トナーに用いる磁性酸化鉄は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、チタネート、アミノシラン等で処理しても良い。
【0137】
本発明のトナーは、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができ、二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものを用いることができる。具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物等の、平均粒径20〜300μmの粒子が使用される。
【0138】
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂等の物質を付着又は被覆させたもの等が好ましく使用される。
【0139】
本発明のトナーに使用し得る着色剤としては、任意の適当な顔料又は染料があげられる。トナーの着色剤としては、例えば顔料としてカーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレンブルー等がある。これらは定着画像の光学濃度を維持するのに必要十分な量が用いられ、樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.2〜10質量部の添加量が良い。
【0140】
また同様の目的で、さらに染料が用いられる。例えばアゾ系染料、アントラキノン系染料、キサンテン系染料、メチン系染料があり樹脂100質量部に対し0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜10質量部の添加量が良い。
【0141】
本発明のトナーは、荷電制御剤を含有することが好ましい。トナーを負荷電性に制御するものとしては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体、その他にも、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類等が挙げられる。また、トナーを負帯電性に制御する荷電制御剤としては、下記一般式(2)で表されるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0142】
【化5】
Figure 0004047134
【0143】
上記一般式(2)で表される荷電制御剤では、特に、中心金属としてはFe又はCrが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0144】
またトナーを負帯電性に制御する荷電制御剤としては、下記一般式(3)で表される塩基性有機酸金属錯体が挙げられる。
【0145】
【化6】
Figure 0004047134
【0146】
上記一般式(3)で表される荷電制御剤では、特に、中心金属としてはFe、Cr、Si、Zn、Alが好ましく、置換基としてはアルキル基、アニリド基、アリール基、ハロゲンが好ましく、カウンターイオンは水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0147】
上記一般式(3)で表される荷電制御剤の中でもアゾ系金属錯体がより好ましく、さらには下記一般式(4)で表されるアゾ系鉄錯体が最も好ましい。
【0148】
【化7】
Figure 0004047134
【0149】
上記一般式(4)で表されるアゾ系金属錯体の具体例を下記構造式(5)〜(10)を以下に示す。
【0150】
【化8】
Figure 0004047134
【0151】
【化9】
Figure 0004047134
【0152】
【化10】
Figure 0004047134
【0153】
【化11】
Figure 0004047134
【0154】
【化12】
Figure 0004047134
【0155】
【化13】
Figure 0004047134
【0156】
本発明のトナーを正帯電性に制御するものとしては、例えばニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。
【0157】
また、下記一般式(11)で表されるモノマーの単重合体;前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部又は一部)としての作用をも有する。
【0158】
【化14】
Figure 0004047134
【0159】
前記正帯電性の荷電制御剤としては、特に下記一般式(12)で表される化合物が好ましい。
【0160】
【化15】
Figure 0004047134
【0161】
荷電制御剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法がある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。
【0162】
本発明のトナーに流動性向上剤を添加しても良い。流動性向上剤は、トナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、及びそれらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した表面処理微粉末;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物等の無機微粉末;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等がある。
【0163】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
【0164】
【化16】
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0165】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、本発明に用いられるシリカとしてはそれらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径として、0.001〜2μmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは0.002〜0.2μmの範囲内のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0166】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えばAEROSIL(日本アエロジル社)130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84、Ca−O−SiL(CABOT Co.社)M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5、Wacker HDK N 20(WACKER−CHEMIE GMBH社)V15、N20E、T30、T40、D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社)、Fransol(Fransil社)等のような商品名で市販されているものがあり、本発明ではこれらのような市販品を用いることが可能である。
【0167】
さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0168】
疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応或いは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0169】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメトリジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び一分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ一個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは一種で或いは二種以上の混合物で用いられる。
【0170】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0171】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する混合物が材料として用いられるが、必要に応じて磁性体やワックス、荷電制御剤、その他の添加剤等が用いられる。これらの材料をヘンシェルミキサー又はボールミルの如き混合機により十分混合してから、ロール、ニーダー及びエクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融、捏和及び混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、ワックスや磁性体を分散せしめ、冷却固化後、粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。本発明のトナーは、公知の製造装置を用いて製造することができ、例えば、状況に応じて以下の製造装置を用いることができる。
【0172】
トナー製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)等が挙げられる。
【0173】
混練機としては、例えばKRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)等が挙げられる。
【0174】
粉砕機としては、例えばカウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)等が挙げられる。
【0175】
分級機としては、例えばクラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラッシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボジェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)等が挙げられる。
【0176】
粗粒等をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、例えばウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0177】
本発明において、トナー及び結着樹脂、ポリエステル成分のTHF可溶分の分子量及び分子量分布、THF不溶分の含有量、ワックス成分のピークトップ温度を測定することが可能な具体的な測定例を以下に示す。
【0178】
(1)トナー及び結着樹脂、ポリエステル成分のTHF可溶分の分子量の測定
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるクロマトグラムの分子量は次の条件で測定される。
【0179】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、昭和電工社製のshodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連カラムの組み合わせが好ましい。
【0180】
トナー又は結着樹脂、又はポリエステル成分をTHFに分散し溶解後、一晩静置した後、0.2μmフィルターで濾過し、その濾過を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6重量%に調整したトナーのTHF溶液を50〜200μl注入して測定する。
【0181】
試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0182】
(2)THF不溶分量
トナー又は結着樹脂、又はポリエステル成分を秤量し、円筒ろ紙(例えばNo.86Rサイズ28×10mm、東洋ろ紙社製)に入れてソックスレー抽出器にかける。溶媒としてTHF200mlを用いて、16時間抽出する。このとき、THFの抽出サイクルが約4〜5分に1回になるような還流速度で抽出を行う。抽出終了後、円筒ろ紙を取り出し、秤量することによってポリエステル樹脂又はトナーの不溶分を得る。
【0183】
トナーが樹脂成分以外の磁性体又は顔料の如きTHF不溶分を含有している場合、円筒ろ紙に入れたトナーの重量をW1gとし、抽出されたTHF可溶樹脂成分の重量をW2gとし、例えば燃焼灰分から求められる、トナーに含まれている樹脂成分以外のTHF不溶成分の重量をW3gとすると、トナー中の樹脂成分のTHF不溶分の含有量は下記式から求められる。
【0184】
【数1】
Figure 0004047134
【0185】
ソックスレー抽出装置の一例を図15に示す。容器71に入っているTHF72はヒータ78で加熱され気化し、気化したTHFは管77を通って冷却器75に導かれる。冷却器75は、冷却水76で常時冷却されている。冷却器75で冷却されて液化したTHFは円筒ろ紙73を有する貯留部にたまり、THFの液面が中管74よりも高くなると、貯留部からTHFが容器71に排出される。円筒ろ紙に入っているトナーは循環するTHFによって抽出処理される。
【0186】
次に、本発明において使用される加熱定着装置について説明する。
本発明においては、未定着画像が形成された記録材を、定着部材と加圧部材の間で所定の温度に維持されたニップ部を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に定着させる加熱定着装置において、上記定着部材としての可撓性を有する金属製スリーブ及び通電発熱抵抗層、該金属製スリーブ内面に接触状態にある加熱用部材としての加熱用ヒータ、及び加圧部材を有する加熱定着装置が用いられる。前記金属製スリーブの厚みは20μm〜100μmであることが好ましい。
【0187】
また、金属製スリーブ内面は接触熱抵抗を低く抑え、定着ニップ部への伝熱を良好にするために、表面粗さRz=3μm以下とすることが好ましい。さらに金属製スリーブ外面の表面粗さをRz=3μm以下とし、接着層としてのプライマ層を含め離型性層を厚み20μm以下で形成することも好ましい構成である。
【0188】
これにより、熱伝導性が良好な金属スリーブ内面から加熱用ヒータにより接触加熱することで、画像形成装置の高速化に対応した加熱定着を高い熱効率で実施できる。
【0189】
よって、画像形成装置がプリント信号を受信していない状態のスタンバイ中にヒータへの通電をシャットダウンしておくことができ、省エネルギの加熱定着が実現できる。
【0190】
また、室温状態から画像形成装置の電源をONした場合でも、即座にプリント信号受信可能になるため、ユーザーを待たせることがない。
【0191】
よって画像形成装置が高速化した場合でも、クイックスタート性に優れ、ファーストプリントタイムも速い加熱定着装置を提供することが可能となる。
【0192】
また、樹脂製フィルムに比べ剛性の高い金属製スリーブを使用することで、加圧力を高く設定することが可能になり、さらに画像形成装置の高速化に対応することが可能になる。
【0193】
また、該金属製スリーブ内面に接触し、定着ニップ部を加熱する加熱用ヒータの表面を耐熱性のあるポリイミド樹脂等の樹脂部材とすると、金属製スリーブ内面はスムーズに加熱用ヒータ面を摺動することができ、高耐久の加熱定着が可能となる。
【0194】
また、金属製スリーブに上記表面粗さ内の周方向のスジ加工を施すことにより金属スリーブの回転をスムーズにし、加熱用ヒータコートを傷つけにくくすることが可能である。
【0195】
また、未定着トナー像を記録材上に固着させる加熱定着装置においてトナーと逆極性のバイアスを加圧ローラ側に印加し、金属製スリーブを接地あるいはダイオード接続することで、紙粉、トナー等が金属製スリーブに吸着されることを防止することが可能である。これにより耐久によって金属製スリーブが汚れる等の問題もなく、高耐久の加熱定着装置を提供できる。
【0196】
このような構成の定着装置と上記トナーを組み合わせることで、定着性、高温オフセット性に優れ、巻きつきの発生しないクイックスタート性を有する高速オンデマンド定着を達成することが可能になる。
【0197】
(A)画像形成装置例
図1は画像形成装置例の概略構成模型図である。1は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。
【0198】
感光ドラム1は矢印の方向に回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって一様帯電される。
【0199】
次に、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビーム3による走査露光が施され、静電潜像が形成される。
【0200】
この静電潜像は、現像装置4で現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、二成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0201】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5により、所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム1上より転写される。
【0202】
ここで感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録材の先端の書き出し位置が合致するようにセンサ8にて記録材Pの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム1と転写ローラ5に一定の加圧力で挟持搬送される。
【0203】
このトナー像が転写された記録材Pは加熱定着装置6へと搬送され、定着される。
【0204】
一方、感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置7により感光ドラム1表面より除去される。
【0205】
(B)加熱定着装置6
図2は加熱定着装置6の概略構成模型図である。10は定着部材、20は加圧部材であり、互いに圧接させて定着ニップ部を形成させてある。定着部材10は、加熱用部材としての加熱用ヒータ11、断熱ステイホルダ12、定着スリーブ13等からなる。加圧部材20は耐熱性弾性加圧ローラである。
【0206】
a)定着スリーブ13
定着スリーブ13は熱容量の小さなスリーブであり、クイックスタートを可能にするために100μm以下の厚みで、耐熱性、高熱伝導性を有するSUS、Al、Ni、Cu、Zn等の金属部材を単独あるいは合金部材を基層とした金属製スリーブ(フィルム)である。
【0207】
また、長寿命の加熱定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた金属製スリーブとして、厚さ20μm以上の厚みが必要である。よって金属製スリーブ13の厚みとしては20μm以上100μm以下が最適である。
【0208】
さらにオフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆したものである。
【0209】
被覆の方法としては、金属製スリーブ基材の外面に接着層としてのプライマー層を塗布した後に上記離型性層をディッピング、粉体スプレー等の塗布によるものや、あるいはチューブ状に形成されたものを金属製スリーブの表面に被せる方式のものであっても良い。
【0210】
なお、金属製スリーブの内外面の表面性及び離型性層の厚み等については後記e)項で詳述する。
【0211】
b)加熱用ヒータ11
加熱用ヒータ11は定着スリーブである金属製スリーブ13の内部に具備され、これにより記録材P上のトナー像を溶融、定着させるニップ部の加熱を行う。
【0212】
加熱用ヒータ近傍の構成模型図を図3に示す。図3において、加熱用ヒータ11は、アルミナ、AlN(チッ化アルミ)等の高絶縁性のセラミックスやポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂からなる基板11aの表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層11bをスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成し、通電発熱抵抗層11bの表面には、金属製スリーブ13との摺擦に耐えることが可能な薄層のフッ素樹脂層、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等の耐熱性樹脂層からなる摺動層を設けた通電加熱用部材である。
【0213】
上記基板11aの背面(定着ニップ部Nと反対側)には通電発熱抵抗層11bの発熱に応じて昇温した加熱用ヒータ11の温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子14が配設されている。この温度検知素子14の信号に応じて、図5に示す長手方向端部にある電極部11f及び11gから通電発熱抵抗層11bに印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、定着ニップ部N内での温調温度を略一定に保ち、記録材P上のトナー像を定着するのに必要な加熱を行う。温度検知素子14から不図示の温度制御部へのDC通電は不図示のDC通電部及びDC電極部を介して不図示のコネクターにより達成している。
【0214】
基板11aとして熱伝導性の良好なAlN(チッ化アルミ)等を用いた場合には、図4のように、通電発熱抵抗層11bを上記基板11aに対して定着ニップ部Nと反対側に形成してあっても良い。図4において、11dは基板11a上に形成された通電発熱抵抗層11dと温度検知素子14の間の耐電圧を満足するために設けたガラスコート、フッ素樹脂層等の保護層である。また、11eは上述の11cと同様に金属製スリーブとの摺擦に耐えることが可能な薄層のフッ素樹脂層、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK等の耐熱性樹脂層からなる摺動層である。
【0215】
また、上記金属製スリーブ13の内面において、加熱用ヒータ11の定着ニップ部N側の形状を曲面とすることで、金属製スリーブ13に屈曲負荷を与えないようにした方が長寿命の定着部材が形成される。あるいは、ヒータの金属製基板上の定着ニップ部とは反対側に絶縁層、通電発熱抵抗層を順次積層してなる金属製加熱用ヒータであり、該金属製基板は定着ニップ部側が金属製スリーブと同方向に湾曲した形状であっても良い。
【0216】
c)断熱ステイホルダ12
断熱ステイホルダ12は、加熱用ヒータ11を保持し、定着ニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐための断熱部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されており、金属製スリーブ13が余裕をもってルーズに外嵌されていて、矢印の方向に回転自在に配置されている。また、金属製スリーブ13は内部の加熱用ヒータ11及び断熱ステイホルダ12に摺擦しながら回転するため、加熱用ヒータ11及び断熱ステイホルダ12と金属製スリーブ13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このため加熱用ヒータ11及び断熱ステイホルダ12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させてある。これにより金属製スリーブ13はスムーズに回転することが可能となる。
【0217】
d)加圧ローラ20
加圧ローラ20は、芯金21の外側に、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコーンゴムを発泡して形成された弾性層22からなり、この上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層23を形成してあってもよい。
【0218】
定着部材10は上記の加圧部材20の方向に図4に示すように断熱ステイホルダー12の一部、もしくは断熱ステイホルダーと嵌合等により取り付けられた部材を介してバネ等の加圧手段17により、長手方向両端部から加熱定着に必要な定着ニップ部Nを形成するべく十分に加圧されている。
【0219】
また、加圧ローラ20の芯金21端部に取り付けられた駆動ギア16により加圧ローラ20を回転駆動し、加圧ローラ表面と金属製フィルム表面の摩擦により金属製フィルムを所定の速度に従動回転させる。
【0220】
以上が加熱定着装置6の構成であるが、図2において記録材Pは不図示の供給手段によって適宜供給され、耐熱性の定着入口ガイド15に沿って加熱部材10と加圧部材20によって形成される定着ニップ部Nに搬送される。
【0221】
e)金属製スリーブ13の内外面の表面粗さ等について
ここで金属製スリーブ13の内外面の表面粗さ、離型性層の厚み等に関して以下に説明する。
【0222】
まず、金属製スリーブ13の内面は上記加熱用ヒータ11と所定の接触幅をもって接触することで加熱用ヒータ11より発した熱を定着ニップ部Nへ伝熱する必要があり、従来使用されてきた輻射熱による加熱を行う熱ローラ定着装置(図13)とは思想が異なる。よって加熱用ヒータ11と接触伝熱する金属製スリーブ13内面の表面粗さは、熱効率に大いに影響する。特に加熱用ヒータ11の摺動層11c(図3)あるいは11e(図4)の表面と金属製スリーブ13の内面との接触熱抵抗が大きくなると、熱効率が悪化し、定着不良を起こしてしまう。仮に熱伝導グリース等を介在させた場合でも熱効率の高い加熱定着装置を構成するためには、所定以下の表面粗さに抑えることが好ましい。
【0223】
また、金属製スリーブ13の外面には、離型性層を形成するが、離型性層は一般にフッ素樹脂より形成されるため、金属製スリーブ13の熱伝導性に比べ極端に低い熱伝導性となる。よって、あまり厚く形成すると、熱伝導の悪化を招き画像形成装置の高速化に対し、定着ニップ部Nで記録材P上のトナー像に対し十分な熱供給ができなくなる。よって薄い離型性層を金属製スリーブ13上に形成する必要がある。このとき、金属製スリーブ13外面の表面粗さは所定以下に抑えることが好ましい。すなわち薄い離型性層では、金属製スリーブ13外面の表面粗さを緩和する効果が得られず、金属製スリーブ13外面に離型性層を塗布形成した後の表面粗さは金属スリーブ13素管の表面粗さと同等か若干小さい粗さの表面粗さとなる。よって、金属製スリーブ13素管の表面粗さが大きいと離型性層を塗布形成後も大きな表面粗さとなり、定着ニップ部Nで記録材Pとの密着力が得られず、定着不良を引き起こす可能性が大きくなる。
【0224】
以上のことから、金属製スリーブ13の外面の表面粗さを所定以下とし、接着層としてのプライマー層を含み離型性層を所定以下の厚みで塗布形成することにより、十分な定着性能が得られ、画像形成装置の高速化に対応可能となる。
【0225】
また、金属製スリーブ13に周方向に所定以下の表面粗さを有する凹凸形状を施すことにより、金属製スリーブ13の回転をよりスムーズにすると共に加熱用ヒータ11の表面にコーティングした離型性層を傷つけにくくする。これによりさらに高耐久の高速対応可能な加熱定着用金属製スリーブ13を提供する。
前記図2における金属製スリーブ13の製法を以下に示す方法により達成し、金属製スリーブ13に周方向に適度な凹凸を形成する。
【0226】
図6から図10に金属製スリーブ13の主な製法を示す。まず、図6において、31は金属製スリーブ13の基材であり、0.1mm〜0.5mm程度のSUS、Al、Ni、Cu、Zn等の単独ないし、合金状態で形成される金属平板(プランク)である。32は一般的な深絞り製法における円形内型(ポンチ)、33は円筒容器状の外型(ダイス)であり、金属材料の表面に超硬メッキ等を施した金型である。図6において、金属平板31を内型32と外型33の間に挟み矢印の方向に内型32を外型33の方向へ押し込む。また、金属平板31と外型33の間には粘度の高い潤滑油、あるいは黒鉛、二硫化モリブデン等の固体潤滑剤を介在させ、絞り性を良くしてある。以上の工程を通常は2〜4回程度、異なる金型で深絞り加工することにより、図7に示すようなカップ状の金属製円筒部材34を製造する。
【0227】
次に、この金属製円筒部材34が所定の厚みに形成されるようにしごき加工を施す。しごき加工としては、圧延加工、引き抜き加工、絞り加工等どのような加工を途中に経緯してもよいが、最終加工としては、以下に示すような加工方法により金属製スリーブの周方向に所定以下の凹凸を有する加工を施す。例えば、図8及び9に示すような加工方法がある。図8は一般的な絞りスピニング加工であり、固定台36cに取り付けられた軸36bに回転自在に取り付けられた押し当てローラ36aを金属製内型35と所定の距離だけ常に離間した状態で金属製内型35方向へ押し付られるようになっている。金属製内型35に取り付けられた上記カップ状に深絞り加工を施した金属製円筒部材34をはめ込み、押え部材37によって金属製円筒部材34のカップ形状底部が金属製内型35に密着状態となって固定される。この状態で金属製内型35、金属製円筒部材34、押え部材37を図の矢印の方向に回転させながら、紙面右方へ徐々に送り込む。端部からは金属製内型35と所定距離を保って回転自在のローラが押し当てられる。
【0228】
これにより、金属製円筒部材34の端部から徐々にしごき加工により薄肉化され、最終的には図10に示すように本実施例における金属製スリーブ13の所定厚みにまで加工されたカップ状の金属製円筒部材39がしごき加工により形成される。
【0229】
金属製円筒部材39には、周方向に絞りスピニング加工時のローラ押し当ての凹凸跡39aが残る。最終的には、金属製円筒部材39のカップ形状底部を切り落とすことにより、本実施例の金属製スリーブ13を得る。
【0230】
また、図9に示すように、押し当てローラの代わりに段階的に内径が小さく形成された連続ダイス38a、38b、38cの内側に金属製内型35と押え部材37により固定された金属製円筒部材34を回転させながら送り込みしごき加工により薄肉化しながら周方向の凹凸形状を付与させる方式であっても良い。
【0231】
その他、へら絞り加工等、金属製スリーブ13の周方向に所定量以下の凹凸を形成できる方法であれば、どのようなしごき加工の加工方法であっても構わない。
【0232】
以上の製法で製造した金属製スリーブ13を用いて、未定着画像が形成された記録材Pを加熱定着する場合、熱伝導の観点から、上記周方向の凹凸は3μm以下に抑えることが好ましい。
【0233】
金属製スリーブ13の周方向に3μm以下の凹凸を形成する。好ましくは、長手方向の表面粗さRzを3μm以下とし、周方向の表面粗さRz’との関係をRz>Rz’とすることで、加熱定着装置の回転駆動を低く抑え、回転をスムーズにすると共に、耐久による金属製スリーブ内面に接触する加熱用ヒータの樹脂コートを傷つけにくくし、加熱定着装置のさらなる高耐久、高速化を達成することが可能になる。
【0234】
さらに、金属製スリーブ13と加圧部材である加圧ローラ20の間に電位差を形成し、かつ金属製スリーブ13を接地状態、もしくはダイオードを介して接地状態とすることで金属製スリーブ13に紙粉やトナーを付着しにくい構成とすることで、耐久を通じて離型性を維持する加熱定着装置を提供することが可能になる。
【0235】
加熱定着装置のより詳しい構成を図11及び12に示す。図11及び12において、加圧部材である加圧ローラ20の弾性層22は、導電性シリコーンゴム、導電性シリコーンスポンジ等からなる導電性付与された弾性層であり、加圧ローラ芯金21あるいは、導電性弾性層22に導電性カーボンチップ等よりなるチップ電極25を介してバイアス印加手段24によってトナー像と逆極性のバイアスを印加する。
【0236】
図では、トナーが現像部でマイナス帯電される画像形成装置を元に図示しており、加圧ローラ芯金部21には、プラスバイアスが印加される構成となっている。
【0237】
よってトナーが現像部でプラス帯電される画像形成装置の場合、加圧ローラ芯金21には、マイナスバイアスが印加される構成となる。
【0238】
また、金属製スリーブ13の端部では、接着層としてのプライマー層、フッ素樹脂層からなる離型性層がコーティングされていない金属製スリーブ素材がむき出しになっている部位13aを設け、この部位13aよりアモルファス導電繊維よりなる導電ブラシ18を介して接地状態に構成されている。
【0239】
あるいは、トナー像と同電位の電荷が金属製フィルムに保持されるようにダイオード接続されていても良い。
【0240】
以上の構成により、加圧ローラ20側に積極的にバイアス印加する構成とすることで、金属製スリーブ13には、紙粉、トナー等が吸着されにくくなる。
【0241】
よってパルプ材を主原料とするカット紙等に形成されたトナー像を加熱定着する場合の上記加熱定着装置においては、表面粗さRz=3μm以下とした金属製スリーブ13の表面の離型性層には、静電気的にも紙粉やトナーの汚染が発生しづらく、耐久によって離型性が損なわれることがないため、長寿命の加熱定着装置が提供される。
【0242】
(その他)
・ 定着装置は、オイル系定着であってもオイルレス系であっても同様に効果がある。
・ 加熱用部材(ヒータ)は電磁誘導発熱性部材であってもよい。
・ 本発明の定着装置には、記録材上の画像を仮定着処理する像加熱装置、つや等の画像表面性を改質する像加熱装置等も含むものである。
【0243】
本発明の画像形成方法において、記録材上に未定着トナー画像を形成するまでの工程は、前述した本発明のトナーを用いること以外は特に限定されない。本発明の画像形成方法では、例えば感光体の帯電、静電潜像の形成、トナーによる静電潜像の現像、及び記録材へのトナー画像の転写等、公知の工程で記録材上に未定着トナー画像を形成することができる。また、本発明の画像形成方法では、他の工程をさらに採用しても良く、例えば転写後における感光体上のトナーを除去するためのクリーニング工程、現像時に感光体上のトナーを回収する現像兼クリーニング工程、フルカラー画像形成に適用したときの中間転写工程、中間転写体のクリーニング工程、帯電前の感光体の表面電位を揃えるための前露光工程等を任意に採用することができる。
【0244】
【実施例】
以下に、実施例をあげて本発明をより具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。
【0245】
[結着樹脂製造例]
<ポリエステル成分製造例1>
・テレフタル酸 26質量部
・無水トリメリット酸 2質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 72質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
・フィッシャートロプシュワックス(DSC吸熱ピーク102℃) 8質量部
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を含まない低分子量ポリエステル成分a(Tg56℃、ピーク分子量Mp=7200、THF不溶分0%、Mn=4300、Mw/Mn=1.5)を得た。
【0246】
<ポリエステル成分製造例2>
・テレフタル酸 27質量部
・無水トリメリット酸 1質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 72質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
・フィッシャートロプシュワックス(DSC吸熱ピーク102℃) 8質量部
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を含まない低分子量ポリエステル成分b(Tg57℃、ピーク分子量Mp=5300、THF不溶分0%、Mn=4100、Mw/Mn=2.3)を得た。
【0247】
<ポリエステル成分製造例3>
・テレフタル酸 23質量部
・無水トリメリット酸 4質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 73質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
・フィッシャートロプシュワックス(DSC吸熱ピーク102℃) 8質量部
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を含まない低分子量ポリエステル成分c(Tg58℃、ピーク分子量Mp=9400、THF不溶分0%、Mn=5200、Mw/Mn=3.6)を得た。
【0248】
<ポリエステル成分製造例4>
・テレフタル酸 26質量部
・無水トリメリット酸 3質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 71質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
・フィッシャートロプシュワックス(DSC吸熱ピーク102℃) 8質量部
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を7質量%含むポリエステル成分d(Tg57℃、ピーク分子量Mp=13500、THF不溶分0%、Mn=5300、Mw/Mn=4.1)を得た。
【0249】
Figure 0004047134
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、架橋ポリエステル成分e(Tg56℃、ピーク分子量Mp=7700、THF不溶分34質量%)を得た。
【0250】
<ポリエステル成分製造例6>
・テレフタル酸 18質量部
・イソフタル酸 2質量部
・無水トリメリット酸 10質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 70質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、架橋ポリエステル成分f(Tg58℃、ピーク分子量Mp=8100、THF不溶分58質量%)を得た。
【0251】
<ポリエステル成分製造例7>
・テレフタル酸 14質量部
・イソフタル酸 2質量部
・無水トリメリット酸 14質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 70質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、架橋ポリエステル成分g(Tg59℃、ピーク分子量Mp=6400、THF不溶分71質量%)を得た。
【0252】
<ポリエステル成分製造例8>
・テレフタル酸 11質量部
・イソフタル酸 11質量部
・無水トリメリット酸 13質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 42質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 23質量部
(R:エチレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、分子量10万以上の成分を14質量%含む架橋ポリエステル成分h(Tg55℃、ピーク分子量Mp=12100、Mn=6700、Mw/Mn=8.1、THF不溶分22質量%)を得た。
【0253】
<ポリエステル成分製造例9>
・テレフタル酸 20質量部
・イソフタル酸 20質量部
・無水トリメリット酸 5質量部
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 32質量部
(R:プロピレン基でx+y=2.2)
・式(A)で表されるビスフェノール誘導体 23質量部
(R:エチレン基でx+y=2.2)
これらに触媒としてジブチルスズオキサイドを0.5質量部添加し、220℃で縮合重合して、架橋ポリエステル成分i(Tg56℃、ピーク分子量Mp=18800、Mn=6400、Mw/Mn=24.3、THF不溶分17質量%)を得た。
【0254】
<実施例1>
・低分子量ポリエステル成分b 60質量部
・架橋ポリエステル成分e 40質量部
・磁性酸化鉄(球状、粒径0.2μm) 100質量部
・アゾ系鉄化合物(5) 2質量部
上記原材料をヘンシェルミキサーで予備混合した後、140℃、300rpmに設定した二軸混練押し出し機によって混練した。得られた混練物を冷却し、カッターミルで粗粉砕した後、ジェット気流を用いた粉砕機を用いて微粉砕し、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均径6.8μmの負帯電性磁性トナー粒子を得た。このトナー粒子100質量部に負帯電性疎水性シリカ1.0質量部をヘンシェルミキサーで外添混合しトナー1を得た。
【0255】
得られたトナー1について、発明の実施の形態で前述したのと同様の方法で、THF不溶分量及び可溶成分のGPC分子量分布を測定した。トナー1のTHF不溶分量及び可溶成分のGPC分子量分布の解析結果を表2に示す。また、得られたトナー1について、以下に示す試験を行い評価した。評価結果を表3に示す。
【0256】
[定着試験]
本試験に用いた加熱定着装置の基本的構成として、加熱用ヒータ11としては、図4及び図5の構成のものを用いた。即ち、AlNをヒータ基板11aとし、このヒータ基板11a上の定着ニップ部Nと反対方向に、Ag/Pdの導電剤と、マトリックス成分としての燐酸系ガラスの混合物と、有機溶剤、バインダー、分散剤等とを混合してペースト状にしたものをスクリーン印刷して600℃で焼成したものを通電発熱抵抗層11bとして用いた。また、AlNのヒータ基板11aの定着ニップ部N側には、摺動性の良好なポリイミド層11eを、スクリーン印刷にて10μmの厚さに形成した。
【0257】
また、金属製スリーブ13は、内径30mm、厚み50μmの円筒状ステンレス鋼にプライマー層を5μm、PFA樹脂を10μm、それぞれディッピングによって塗布することによって、外径30.13mmの円筒状に形成した。金属製スリーブ13の内面の表面粗さRzを2μm、外面の表面粗さRzを2μmとした。
【0258】
また、加圧ローラ20は、直径20mmのAl芯金21に、シリコーンゴム層を厚み5mmで形成し、さらに外層にはPFAチューブを被覆して形成した。
【0259】
本試験では、画像形成装置の記録材搬送スピードを250mm/secに調整して、加熱用ヒータ11の温度を任意に制御できるようにした前記加熱定着装置を用いた。
【0260】
低温定着性については、前記加熱定着装置において150〜240℃の温度範囲で加熱用ヒータ11の温度を5℃おきに制御し、金属製スリーブ外表面の温度が一定になってから、未定着トナー像が形成された記録材Pを定着ニップ部Nに挿入し、得られた画像を、4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる定着温度を低温定着性とした。この温度が低いほど低温定着性に優れたトナーである。未定着画像としては、普通紙(75g/m2)を用い、紙上のトナー現像量を0.6mg/cm2に設定したベタ黒画像の定着を行った。
【0261】
耐高温オフセット性については、上記の定着条件において、加熱用ヒータ11の通電発熱抵抗層11bへの通電を開始してから未定着画像を定着ニップ部に挿入するまでの時間を3分間として、加圧ローラ表面と金属製フィルム表面が十分に加熱された状態で記録材を挿入し、評価を行った。評価は高温オフセット現象による画像上の汚れを目視で確認し、発生した温度を耐高温オフセット性とした。この温度が高いほど高温オフセット性に優れたトナーである。
【0262】
耐低温オフセット性については、上記低温定着性の試験と同様の方法で行い、評価は低温オフセット現象による画像上の汚れを目視で確認し、発生しなくなる温度を耐低温オフセット性とした。この温度が低いほど低温オフセット性に優れたトナーである。
【0263】
なお、上記試験において、記録材には普通紙(75g/m2)を用い、未定着画像には、紙上のトナー現像量を0.2mg/cm2に設定し、独立した1ドットのハーフトーン画像を用い、この画像の定着を行った。
【0264】
クイックスタート性については、上記定着装置の温度を220℃に設定し、加熱用ヒータ11の通電発熱抵抗層11bへの通電を開始してから何秒後に未定着トナー像が形成された記録材を定着ニップ部に挿入すれば定着可能になるかをテストし、この定着開始時間をクイックスタート性とした。この時間が短いほどクイックスタート性に優れることを示す。クイックスタート性試験における定着性に関しては、低温定着性と同様に摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる時間で判断した。
【0265】
<実施例2〜5及び比較例1〜3>
表1に示した樹脂構成にする以外は実施例1と同様にして、トナー2〜4、6、8を得た。トナー5は、トナー化工程の混練条件を100℃、150rpmに変更し、より低温の設定温度で混練物にかかる負荷が高くなるようにし、不溶分を剪断するように混練を行った。それ以外は実施例1と同様にしてトナー5を得た。評価結果を表3に示す。
【0266】
【表1】
Figure 0004047134
【0267】
【表2】
Figure 0004047134
【0268】
【表3】
Figure 0004047134
【0269】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、少なくとも加熱用部材と、加圧部材と、該加熱用部材と加圧部材の間に介在し、加熱用部材からの熱を被加熱材に接触して与える可撓性を有する円筒状金属素管を基層として形成される加熱用金属製スリーブとを具備し、該加熱用金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ相当部において、該金属製スリーブ内面に加熱用部材を接触配置しており、未定着トナー画像が形成された記録材を、金属製スリーブと加圧部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に定着させる定着手段と、ポリエステル成分を含有する結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有し、テトラヒドロフラン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したときのクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有し、分子量1万における検出強度に対する分子量5万における検出強度の比が0.01〜0.6であり、分子量1万における検出強度に対する分子量10万における検出強度の比が0.01〜0.4であり、かつ分子量1万における検出強度に対する分子量100万における検出強度の比が0.01〜0.4であるトナーを用いることから、より高速な定着を可能とし、さらにこの高速定着に対応し、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐低温オフセット性に優れるトナー、画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置における一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す定着装置の概略構成を示す図である。
【図3】図2に示す定着部材の一例における定着ニップ部近傍を示す図である。
【図4】図2に示す定着部材の他の例における定着ニップ部近傍を示す図である。
【図5】図1に示す定着装置における定着部材と加圧部材の配置例を示す図である。
【図6】本発明に用いられる円筒状金属素管の製造例を説明する図である。
【図7】図5に示す製造例で得られる円筒状金属素管の中間製造物を示す図である。
【図8】図7に示す中間生成物の表面粗さ及び厚みを調整するための加工の一例を説明する図である。
【図9】図7に示す中間生成物の表面粗さ及び厚みを調整するための加工の他の例を説明する図である。
【図10】図8又は図9に示す加工により形成された円筒状金属素管を示す図である。
【図11】本発明に用いられる定着装置の他の実施の形態を示す概略構成図である。
【図12】図11に示す定着装置を正面から見た概略構成図である。
【図13】従来のローラ加熱方式の定着装置の一例を示す概略構成図である。
【図14】従来のフィルム加熱方式の定着装置の一例を示す概略構成図である。
【図15】ソックスレー抽出装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
3 レーザビーム
4 現像装置
5 転写ローラ
6 加熱定着装置
7 クリーニング装置
8 センサ
10、60 定着部材
11、61 加熱用ヒータ
11a 基板
11b 通電発熱抵抗層
11c、11e 摺動層
11d 保護層
11f、11g 電極部
12、62 断熱ステイホルダ
13 定着スリーブ(金属製スリーブ)
13a 部位
14、64 温度検知素子
15 定着入口ガイド
16 駆動ギア
17 加圧手段
18 導電ブラシ
20 加圧部材(加圧ローラ)
21、51 芯金
22、52 弾性層
23、43、53 離型性層
24 バイアス印加手段
25 チップ電極
31 金属平板
32 内型
33 外型
34、39 金属製円筒部材
35 金属製内型
36a 押し当てローラ
36b 軸
36c 固定台
37 押さえ部材
38a〜38c 連続ダイス
39a 凹凸跡
40 定着ローラ
41 ハロゲンランプ
42 中空芯金
44 サーミスタ
50 加圧ローラ
63 定着フィルム
71 容器
72 THF
73 円筒ろ紙
74 中管
75 冷却器
76 冷却水
77 管
78 ヒータ
N 定着ニップ部
P 記録材

Claims (22)

  1. 少なくとも加熱用部材と、加圧部材と、該加熱用部材と加圧部材の間に介在し、加熱用部材からの熱を被加熱材に接触して与える可撓性を有する円筒状金属素管を基層として形成される加熱用金属製スリーブとを具備し、該加熱用金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ相当部において、該金属製スリーブ内面に加熱用部材を接触配置しており、未定着トナー画像が形成された記録材を、金属製スリーブと加圧部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に定着させる定着手段を用いる画像形成方法に適用されるトナーであり、
    結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有し、前記結着樹脂はポリエステル成分を含有し、
    テトラヒドロフラン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したときのクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有し、分子量1万における検出強度に対する分子量5万における検出強度の比が0.08〜0.28であり、分子量1万における検出強度に対する分子量10万における検出強度の比が0.03〜0.14であり、かつ分子量1万における検出強度に対する分子量100万における検出強度の比が0.03〜0.09であることを特徴とするトナー。
  2. 該トナーは、テトラヒドロフラン不溶分を結着樹脂に対して10〜40質量%含有することを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記クロマトグラムにおいて、分子量1万における検出強度に対する分子量5万における検出強度の比が0.08〜0.28であり、分子量1万における検出強度に対する分子量10万における検出強度の比が0.03〜0.07であり、分子量1万における検出強度に対する分子量100万における検出強度の比が0.03〜0.09であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記クロマトグラムにおいて、重量平均分子量が20万以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記クロマトグラムにおいて、重量平均分子量が50万以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 前記クロマトグラムにおいて、重量平均分子量に対するz平均分子量の比Mz/Mwが30以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  7. 前記クロマトグラムにおいて、重量平均分子量に対するz平均分子量の比Mz/Mwが50以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトナー。
  8. 前記クロマトグラムにおいて、分子量5万以下の領域における数平均分子量に対する重量平均分子量の比Mw/Mnが3.0以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のトナー。
  9. 該結着樹脂は、メインピーク分子量が5000〜1万であり、0〜3質量%のTHF不溶分を有し、かつ分子量10万以上の成分を0〜5質量%有する低分子量ポリエステル成分を含有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
  10. 前記低分子量ポリエステル成分の数平均分子量に対する重量平均分子量の比Mw/Mnが3.0以下であることを特徴とする請求項9に記載のトナー。
  11. 前記結着樹脂は、架橋ポリエステル成分を含有し、この架橋ポリエステル成分は、テトラヒドロフラン不溶分を20〜60質量%含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載のトナー。
  12. 前記架橋ポリエステル成分は、架橋ポリエステル成分のテトラヒドロフラン可溶分をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したときのクロマトグラムにおいて、分子量5000〜1万の領域にメインピークを有することを特徴とする請求項11に記載のトナー。
  13. 前記架橋ポリエステル成分は、構成モノマーとして、三価以上の多価カルボン酸と三価以上の多価アルコールとを含有していることを特徴とする請求項11又は12に記載のトナー。
  14. 前記三価以上の多価アルコールがノボラック型フェノール樹脂のオキシアルキレンエーテルを含む構造の化合物であることを特徴とする請求項13に記載のトナー。
  15. 前記結着樹脂は、低分子量ポリエステル成分と架橋ポリエステル成分が90:10〜20:80の質量比率で混合されたものであることを特徴とする請求項11乃至14のいずれか一項に記載のトナー。
  16. 磁性体を前記結着樹脂100質量部に対して30〜200質量部含有することを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載のトナー。
  17. 未定着トナー画像が形成された記録材を、定着部材と加圧部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着トナー画像を記録材上に定着させる定着手段を用いる画像形成方法であり、
    該トナーは、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーであり、
    該定着手段は、少なくとも加熱用部材と、加圧部材と、該加熱用部材と加圧部材の間に介在し、加熱用部材からの熱を被加熱材に接触して与える可撓性を有する円筒状金属素管を基層として形成される加熱用金属製スリーブとを具備し、該加熱用金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ相当部において、該金属製スリーブ内面に加熱用部材を接触配置しており、未定着トナー画像が形成された記録材を、金属製スリーブと加圧部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に定着させることを特徴とする画像形成方法。
  18. 該加熱用金属製スリーブは、可撓性を有する円筒状金属素管を基層として形成されており、該円筒状金属素管の内外面の表面粗さがRz=3μm以下で形成されていると共に、外表面には、接着層を含んだ離型性層の厚みが20μm以下で形成されていることを特徴とする請求項17に記載の画像形成方法。
  19. 該加熱用金属製スリーブの外面の表面粗さがRz=3μm以下であることを特徴とする請求項17又は18に記載の画像形成方法。
  20. 未定着トナー画像が形成された記録材を、定着部材と加圧部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着トナー画像を記録材上に定着させる定着手段を有する画像形成装置であり、
    該トナーは、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のトナーであり、
    該定着手段は、少なくとも加熱用部材と、加圧部材と、該加熱用部材と加圧部材の間に介在し、加熱用部材からの熱を被加熱材に接触して与える可撓性を有する円筒状金属素管を基層として形成される加熱用金属製スリーブとを具備し、該加熱用金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ相当部において、該金属製スリーブ内面に加熱用部材を接触配置しており、未定着トナー画像が形成された記録材を、金属製スリーブと加圧部材により互いに圧接してなる定着ニップ間を通過させることにより、上記未定着画像を記録材上に定着させることを特徴とする画像形成装置。
  21. 該加熱用金属製スリーブは、可撓性を有する円筒状金属素管を基層として形成されており、該円筒状金属素管の内外面の表面粗さがRz=3μm以下で形成されていると共に、外表面には、接着層を含んだ離型性層の厚みが20μm以下で形成されていることを特徴とする請求項20に記載の画像形成装置。
  22. 該加熱用金属製スリーブの外面の表面粗さがRz=3μm以下であることを特徴とする請求項20又は21に記載の画像形成装置。
JP2002317428A 2002-10-31 2002-10-31 トナー、画像形成方法及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP4047134B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002317428A JP4047134B2 (ja) 2002-10-31 2002-10-31 トナー、画像形成方法及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002317428A JP4047134B2 (ja) 2002-10-31 2002-10-31 トナー、画像形成方法及び画像形成装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2004151443A JP2004151443A (ja) 2004-05-27
JP2004151443A5 JP2004151443A5 (ja) 2005-11-24
JP4047134B2 true JP4047134B2 (ja) 2008-02-13

Family

ID=32460836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002317428A Expired - Fee Related JP4047134B2 (ja) 2002-10-31 2002-10-31 トナー、画像形成方法及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4047134B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9665023B2 (en) 2013-12-20 2017-05-30 Canon Kabushiki Kaisha Toner and two-component developer

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8026030B2 (en) * 2005-11-07 2011-09-27 Canon Kabushiki Kaisha Toner
JPWO2017159288A1 (ja) * 2016-03-15 2019-01-17 株式会社リコー トナー、トナー収容ユニット、及び画像形成装置
CN116924804B (zh) * 2023-09-18 2023-11-21 成都金钨硬质合金有限公司 一种无粘结相超细超微粒硬质合金及其制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9665023B2 (en) 2013-12-20 2017-05-30 Canon Kabushiki Kaisha Toner and two-component developer

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004151443A (ja) 2004-05-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4749937B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4290015B2 (ja) カラートナー及び画像形成装置
EP1862859B1 (en) Image forming apparatus, image forming method, and process cartridge
US7299003B2 (en) Fixing unit and image forming apparatus providing a quick start-up and reduction in energy consumption
US7892718B2 (en) Image forming apparatus, image forming method and process cartridge
JP4808695B2 (ja) トナー、並びにこれを用いた画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
KR20080110676A (ko) 화상 형성 장치, 화상 형성 방법, 및 프로세스 카트리지
JP2008216628A (ja) 転写定着装置、および画像形成装置
JP2007322926A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4749929B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4749940B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP5405900B2 (ja) 定着装置および画像形成装置
JP3957037B2 (ja) 静電荷像現像用トナー、トナー容器、トナー定着装置、トナー定着方法及び画像形成方法
JP2007193099A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、プロセスカートリッジ
JP4047134B2 (ja) トナー、画像形成方法及び画像形成装置
JP4054657B2 (ja) トナー、画像形成方法および画像形成装置
JP4749924B2 (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4582796B2 (ja) 非磁性トナー、現像剤、及び画像形成方法
JP6536468B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP2004151438A (ja) トナー、画像形成方法および画像形成装置
JP2004151441A (ja) トナー、画像形成方法及び画像形成装置
JP2006317744A (ja) 負帯電性トナー
JP2000267482A (ja) 画像形成方法及び画像形成用トナー
JP2007292862A (ja) 画像形成装置、画像形成方法、及びプロセスカートリッジ
JP4247811B2 (ja) 静電荷像現像用トナーを用いる画像形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20051004

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071009

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071121

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4047134

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101130

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111130

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121130

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131130

Year of fee payment: 6

S802 Written request for registration of partial abandonment of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311802

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees