JP4045720B2 - 車両用灯具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用灯具に関するものであり、より詳しくは、車体の形状に合わせて、傾斜のきつい発光面を有して異形に設計される前照灯として好適に実施可能な車両用灯具に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4および図5は、従来のこの種の車両用灯具100および101を示す。
【0003】
車両用灯具100および101は、縦断側面形状が高さよりも底辺が長い略直角三角形状をなし(図4(b)、図5(b)参照)、かつ正面形状が高さと底辺が略同等の略直角三角形状をなして(図4(a)、図5(a)参照)、車体の形状に合わせて異形に設計されている。
【0004】
すなわち、車両用灯具100は、ランプハウジング2の開口部がアウタレンズ3で覆われており、かつ照射部4がランプハウジング2の最奥部に配置されて全体構成されている。また、車両用灯具101は、照射部4を、メイン照射部41とサブ照射部42とを上、下に配置して構成した点が異なるだけで、他の構成は車両用灯具100と同様に構成されている。これら車両用灯具100および101においては、アウタレンズ3は、前記縦断側面の直角三角形の斜辺に相当する部分として設けられている。
【0005】
このような車両用灯具100,101においては、発光面積が大きい程、遠目で見たときの認識効果が高くなるので好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら車両用灯具100および101は、アウタレンズ3の全面を発光面とする場合には、照射部4を配置するための相当の奥行きが必要となり、これにより灯具全体の大型化を招き、車体への設置スペースの確保が難しい、と言う課題を有している。
【0007】
その上、車両用灯具100は、アウタレンズ3の設置範囲内に照射部4を配置するときは、照射部4を構成するリフレクタ5の大きさを大きくしても、図4(a)に示すように、アウタレンズ3の上部に無発光部B(図中、斜線を付してあり、符号Aは発光部を示す)を現出してしまう、と言う課題をも有している。
【0008】
また、車両用灯具101は、図5(a)に示すように、照射部4を構成するメイン照射部41およびサブ照射部42によりそれぞれ発光部A1およびA2を現出して、無発光部の現出を阻止することができるが、2個の照射部41、42を必要とするため、部品点数、組付工数、および重量の増加を招くばかりでなく、コスト高をも招く、と言う課題を有している。
【0009】
そこで、この発明は、異形設計の灯具にも拘わらず、灯具の大型化を伴うことなく、1個の照射部により全面発光が可能な車両用灯具を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、光源と、この光源の光を前方へ照射するメインリフレクタと、前記光源の頭部を覆うようにして取り付けられるシェードとからなる照射部を備えた車両用灯具において、前記光源の光の、前記メインリフレクタによる照射方向と略直行する方向への透過を許容するために前記シェードおよび前記メインリフレクタにそれぞれ設けられる第1および第2切欠部と、この第1および第2切欠部を透過した光を灯具の奥行き方向へ照射する第1サブリフレクタと、この第1サブリフレクタにより照射された光を、前記メインリフレクタの照射範囲以外の範囲に前方照射する第2サブリフレクタとを備えて構成されていることを特徴とする。
【0011】
このため請求項1の発明では、1個の照射部の光源から照射される光は、メインリフレクタによる反射光により通常配光面を構成することができると共に、第2サブリフレクタによる反射光により、前記通常配光面とは異なる箇所に増幅配光面を構成することができ、これにより全面発光を達成することができる。この全面発光は、照射部の大型化あるいは設置数の増加を伴うことなく、第1および第2サブリフレクタを介して行うことができる。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用灯具であって、前記第2サブリフレクタは、ランプハウジングの内面に一体的に設けられていることを特徴とする。
【0013】
このため請求項2の発明では、第2サブリフレクタを、ランプハウジングの内面の一部として形成することができる。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の車両用灯具であって、前記照射部が、前記第2サブリフレクタよりも下方で、かつ前方に位置するようにランプハウジング内に設けられており、かつ前記ランプハウジングが、前記照射部に対応する下部後面壁部を、前記照射部の設置個所に応じて前方寄りの位置に設けられていることを特徴とする。
【0015】
このため請求項3の発明では、照射部に対応する下部後面壁部を前方寄りの位置に設けた分、ランプハウジングの後部に、空きスペースを確保することができる。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用灯具であって、前記光源は、高輝度放電灯を用いていることを特徴とする。
【0017】
このため請求項4の発明では、高輝度放電灯の充分な明るさにより、全面発光時の充分な輝度を確保することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、図4および図5に示すものと同一の機能を奏するものは、同一符号を付して説明する。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態としての車両用灯具1の正面図(図1(a))、および縦断側面図(図1(b))を示す。
【0020】
この車両用灯具1は、光源7と、この光源7の光を前方へ照射するメインリフレクタ5と、光源7の頭部を覆うようにして取り付けられるシェード6とからなる照射部4を備えており、さらに光源7の光の、メインリフレクタ5による照射方向Lと略直行する方向への透過を許容するためにシェード6およびメインリフレクタ5にそれぞれ設けられる第1および第2切欠部8,9と、この第1および第2切欠部8,9を透過した光L1を灯具1の奥行き方向へ照射する第1サブリフレクタ10と、この第1サブリフレクタ10により照射された光L2を、メインリフレクタ5の照射範囲以外の範囲に前方照射(光L3)する第2サブリフレクタ11とを備えて構成されている。
【0021】
具体的には、図2および図3に示すように、第1および第2切欠部8,9は、光源7の光の、メインリフレクタ5による照射方向Lと略直行する上方向への透過を許容するように、光源7の略中央部7aに上下方向で対応する、シェード6およびメインリフレクタ5の各一箇所を切り欠いて形成されている。第1切欠部8は、シェード6の周壁部6aの一部をコ字形に切り欠いて形成されており、かつ第2切欠部9は、メインリフレクタ5の周壁部を構成する上壁部5aの一部を矩形状に切り欠いて形成されている。
【0022】
また、第1サブリフレクタ10は、矩形状の板状体の一部を鈍角に折曲して固着片10bに形成すると共に、他の部分を反射片10aとして形成されており、反射片10aを灯具1の奥行き方向へ倒すようにして、第2切欠部9に斜め状態で臨ませて、固着片10bを介してメインリフレクタ5の上壁部5aの上面に固着される。
【0023】
さらに、第2サブリフレクタ11は、ランプハウジング2の内面に一体的に設けられている。すなわち、第2サブリフレクタ11は、ランプハウジング2の上部後面壁部15aの内面の一部として形成されており、上下方向に三段階に形成される上部リフレクタ11a、中部リフレクタ11b、および下部リフレクタ11cから構成されている。
【0024】
そして好ましくは、図1に示すように、照射部4が、第2サブリフレクタ11よりも下方で、かつ前方に位置するようにランプハウジング2内に設けられており、かつランプハウジング2が、照射部4に対応する下部後面壁部15bを、照射部4の設置個所に応じて前方寄りの位置に設けて構成される。
【0025】
これにより車両用灯具1は、図1(a)で示すように、正面形状が高さと底辺が略同等の略直角三角形状をなし、かつ図1(b)で示すように、縦断側面形状が前方へ「く」の字状に凹むように、上部後面壁部15aと下部後面壁部15bとで形成される後面壁部15からなる短辺部と、この後面壁部15の下端から前方へ水平に延設される底辺部16からなる短辺部とを有するランプハウジング2と、このランプハウジング2の底辺部16の先端と後面壁部15の上端との間に装着された素通しのアウタレンズ3からなる長辺部とからなる大略三角形状をなして形成されている。
【0026】
このように車両用灯具1は、車体の形状に合わせて、傾斜のきつい発光面(アウタレンズ3)を有して異形に設計されているが、1個の照射部4の光源7から照射される光は、メインリフレクタ5による反射光Lにより通常配光面P0を構成することができると共に、第2サブリフレクタ11による反射光L3により、通常配光面P0とは異なる箇所に増幅配光面P1を構成することができ、これにより全面発光を達成することができる。この全面発光は、照射部4の大型化あるいは設置数の増加を伴うことなく、第1および第2サブリフレクタ10,11を介して行うことができ、ひいては灯具の大型化を伴うこともない。なお、図1(a)中、符号aは、配光パターンを示す。
【0027】
その上、車両用灯具1は、第2サブリフレクタ11を、ランプハウジング2の内面の一部として形成することができるので、部品点数、組付工数、および重量の増加を伴うことなく、かつコスト高の抑制をも図ることができる。
【0028】
さらには、車両用灯具1は、照射部4に対応する下部後面壁部15bを前方寄りの位置に設けた分、ランプハウジング2の後部に、空きスペースS(図1(b)中、破線による斜線で示す)を確保することができ、これにより灯具全体の小型化を図ることができると共に、車体への取付スペースの確保も容易となり、ひいては車体取付性の向上をも図ることができる。
【0029】
また、車両用灯具1は、好ましくは、光源7として、高輝度放電灯を用いて構成される。この構成によれば、高輝度放電灯の充分な明るさにより、全面発光時の充分な輝度を確保することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、照射部の大型化あるいは設置数の増加を伴うことなく、1個の照射部と第1および第2サブリフレクタとにより、傾斜のきつい発光面を有する異形設計の灯具の全面発光を達成することができ、ひいては灯具の大型化をも伴うこともない。
【0031】
また、請求項2の発明によれば、第2サブリフレクタを、ランプハウジングの内面の一部として形成することができるので、請求項1の発明の効果に加えて、部品点数、組付工数、および重量の増加を伴うことなく、かつコスト高の抑制をも図ることができる。
【0032】
また、請求項3の発明によれば、照射部に対応する下部後面壁部を前方寄りの位置に設けた分、ランプハウジングの後部に、空きスペースを確保することができ、これにより、請求項1または2の発明の効果に加えて、灯具全体の小型化を図ることができると共に、車体への取付スペースの確保も容易となり、ひいては車体取付性の向上をも図ることができる。
【0033】
また、請求項4の発明によれば、光源として高輝度放電灯を用いたので、請求項1乃至3のいずれか1項の発明の効果に加えて、高輝度放電灯の充分な明るさにより、全面発光時の充分な輝度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての車両用灯具で、(a)は(b)のZ矢視正面図、(b)は縦断側面図である。
【図2】図1の車両用灯具に適用されるシェードの斜視図である。
【図3】図1の車両用灯具に適用されるメインリフレクタの要部斜視図である。
【図4】従来の車両用灯具で、(a)は(b)のZ矢視正面図、(b)は縦断側面図である。
【図5】従来の他の車両用灯具で、(a)は(b)のZ矢視正面図、(b)は縦断側面図である。
【符号の説明】
1 車両用灯具
2 ランプハウジング
3 アウタレンズ(発光面)
4 照射部
5 メインリフレクタ
6 シェード
7 光源
8 第1切欠部
9 第2切欠部
10 第1サブリフレクタ
11 第2サブリフレクタ
15b 下部後面壁部
L,L1,L2,L3 光(反射光)
P0 照射範囲(メインリフレクタの)
P1 照射範囲(第2サブリフレクタの)
Claims (4)
- 光源と、この光源の光を前方へ照射するメインリフレクタと、前記光源の頭部を覆うようにして取り付けられるシェードとからなる照射部を備えた車両用灯具において、
前記光源の光の、前記メインリフレクタによる照射方向と略直行する方向への透過を許容するために前記シェードおよび前記メインリフレクタにそれぞれ設けられる第1および第2切欠部と、
この第1および第2切欠部を透過した光を灯具の奥行き方向へ照射する第1サブリフレクタと、
この第1サブリフレクタにより照射された光を、前記メインリフレクタの照射範囲以外の範囲に前方照射する第2サブリフレクタとを備えて構成されていることを特徴とする車両用灯具。 - 請求項1に記載の車両用灯具であって、
前記第2サブリフレクタは、ランプハウジングの内面に一体的に設けられていることを特徴とする車両用灯具。 - 請求項1または2に記載の車両用灯具であって、
前記照射部が、前記第2サブリフレクタよりも下方で、かつ前方に位置するようにランプハウジング内に設けられており、かつ前記ランプハウジングが、前記照射部に対応する下部後面壁部を、前記照射部の設置個所に応じて前方寄りの位置に設けて構成されていることを特徴とする車両用灯具。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用灯具であって、
前記光源は、高輝度放電灯を用いていることを特徴とする車両用灯具。
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