JP4045115B2 - 押出容器用蓋機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マヨネーズ、ケチャップ、ドレッシング等の比較的低粘度の粘稠性内容物を収容する容器に使用する押出容器用蓋機構に関し、より詳しくは、容器口部に設けた中栓の注出筒から内容物を押出して、所望の箇所に注出したり、対象物に絵や文字などを施す際に、容器蓋としての機能を損なわずに、容器の蓋部分で視界が遮られないように中栓の形状に特徴を有する押出容器用蓋機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の押出容器用蓋は、図10、11、12に示すように、頂板aの中央部に内容物の注出筒bを立設し押出容器cの口部に着脱可能に螺着する中栓dと、この中栓dの頂板aの周縁部に立設した嵌合周壁eに着脱自在に係合し且つ注出筒b口に係合する凸部を天板内面に設けたカバーキャップとからなるものである。
この押出容器用蓋は、通常、押出容器c内にマヨネーズ、ケチャップ、ドレッシング等の比較的低粘度の粘稠な内容物を充填し、口部の天面にシール材を貼ったあとに押出容器cの口部に装着される。すなわち、この押出容器用蓋の中栓dを押出容器cの口部に螺着し、更に、この中栓dの嵌合周壁eの外側に係合突起fが設けられ、この係合突起fに対する係合凸条がカバーキャップの内側壁に設けられているため、中栓dにカバーキャップを係合することで全体として容器蓋を構成するようになっている。
【0003】
したがって、消費者は、商品を入手した後、一旦、口部から押出容器用蓋を螺脱し、シール材を剥ぎ取り、再び口部に中栓dを螺着して、押出容器cを手指で押圧することにより内容物を取り出すことが出来る。その際、内容物がマヨネーズ、ケチャップ、ドレッシング等のような粘稠物の場合は、中栓dの注出筒bが比較的長ければ、押出容器cを筆持ちして、押圧しながら注出筒bの先端を対象食物にあてがって文字書きや絵柄描きすれば、対象食物上に任意のデコレーションを施すことが出来る。このように、対象食物上に遊び心で、ケチャップなどを使用した文字や絵柄を描くことが広く行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の押出容器用蓋は、上述の通りその中栓dの頂板aの周縁部に立設した嵌合周壁eがあるため、容器を筆持ちにして対象食品上に遊び心で内容物である上記した調味料を使用して文字や絵柄を描こうとすると、注出筒bの先端が嵌合周壁eに隠れてしまい、文字や絵を施す対象個所が見にくくなり、そのために、目線を下げなければならず、不自然な姿勢を取らざるを得ないという状態になる。
また、注出筒bを高くすれば描き易くはなるが、その分材料が増え作りづらくなり、最終的にコストパフォーマンスが低下するばかりでなく、倒立置きをするに際して座高が高くなる分、安定性にも欠けたものになる。
【0005】
また、この中栓dの嵌合周壁eの外側に係合突起fが設けられ、この係合突起fに対する係合凸条が上蓋の内側壁に設けられているから、中栓dの嵌合周壁eにカバーキャップを係合させる際、中栓dの係合突起fをカバーキャップの係合凸条が乗り越える必要がある。しかしながら、中栓dの係合突起f及び上蓋の係合凸条は、連続的に全周にわたって設けられた嵌合周壁eの外側及びカバーキャップの側壁に設けられているため、いずれも撓みづらく中栓dにカバーキャップを係合させづらいし、また、カバーキャップを取り外す時に大きな力が必要になる。更に、中栓dの頂板aの周縁部に嵌合周壁e全体が立設しているため、内容物が頂板a上にこぼれるとそれを除去しづらいという問題もある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、コストパフォーマンスを維持した状態で、対象物上に容器内容物を使用して文字や絵柄を描く際、注出筒の先端が低くてもよく見えて描き易く、且つ中栓にカバーキャップを着脱し易くすると共に、中栓の頂板上にこぼれた内容物を除去し易くした押出容器用蓋機構を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、頂板の中央部に内容物の注出筒を立設し押出容器の口部に設けた中栓と、該中栓の頂板の周縁部に上方に向けて立設した嵌合周壁に着脱自在に係合するカバーキャップとからなる押出容器用蓋機構において、前記注出筒は筆先状に形成され、かつ前記中栓の嵌合周壁が断続的に間隔を開けて周方向に2つ以上独立して立設されていることを特徴とする押出容器用蓋機構が提供される。
【0008】
また、本発明によれば、前記注出筒の頂板からの高さ(H)が、該頂板の外径(R)に対して、0.2R≦H≦0.5Rの関係にある上記押出容器用蓋機構が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、前記上蓋の天板は前記押出容器を倒立置き可能に形成している上記押出容器用蓋機構が提供される。
【0010】
また、本発明によれば、前記カバーキャップの天板内面に、前記注出筒と係合 する凸部を設けた上記押出容器用蓋機構が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、前記凸部の周囲にガイドリングを設けた上記押出容器用蓋機構が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋機構(以下、単に、「押出容器用蓋」ということがある)を押出容器に螺着した状態の側面図、図2は図1の要部を拡大した断面図である。両図において、押出容器用蓋1は、頂板2の中央部に内容物3の注出筒4を立設し押出容器5の口部6に着脱可能に螺着する中栓7と、該中栓7の頂板2の周縁部に立設した嵌合周壁8に着脱自在に係合し且つ前記注出筒4に係合する凸部9を天板10内面に設けたカバーキャップ11とからなり、この中栓7の嵌合周壁8が断続的に間隔を開けて立設されているものである。
【0013】
前記押出容器5は、図3に示すように、上から順次口部6、胴部20及び底部21を有し、口部6にネジ22を螺刻していて、手指で主に胴部20を押圧することにより容易に変形出来て、内容物3を口部6から押し出すことが出来るようにされている。そして、内容物3は、マヨネーズ、ケチャップ、ドレッシング等のような粘稠なものが最適であるが、特に限定されるものではなく、もちろん食品以外にシール材などの施工具としても使用できる。
【0014】
この実施の形態では、前記押出容器用蓋1の中栓7は、前記押出容器5の口部6のネジ22に沿うネジ30を内側壁に螺刻した内筒31を有し、この内筒31の外部汚染を防止する外筒32を内筒31の外側に同心的に配しているが、内筒と外筒を必ずしも必要とするものではなく、内筒だけで構成されていてもよい。この外筒32の外側壁にはスベリ止め33が刻設され、押出容器5の口部6に中栓7を着脱する際の手指のスベリを防止している。
中栓の嵌合周壁8は、カバーキャップとの係合部として機能するものであり、頂板部から上方に向けて注出筒の先端中心と頂板部外周縁とを結ぶ直線を母線とする仮想円錐側面と交叉して立設される。
【0015】
この中栓7の嵌合周壁8は、周方向に断続的に間隔を開けて立設されており、図5では4カ所で断続部34が設けられ、中栓7の頂板2の周縁部に4つの独立した各周壁8a、8b、8c、8dがほぼ等間隔で立設している。立設する周壁は、周方向に2以上設けると共に、全周に占める割合が20ないし70%、好ましくは30ないし50%になるように設けることが望ましい。これにより、カバーキャップとの係合性を高めることができ、さらに、押出容器5の胴部20を筆持ちして、注出筒4の先端注出口4aを筆先に見立てて対象物に対して文字書きや絵柄描きをする際、断続部34を利用して各周壁8a〜8dにより視線を遮られる分目線を高くすることが出来、それだけ自然体の姿勢を取ることができるため描き易くなる。なお、嵌合周壁8の間隔の大小、位置、形状に特に限定がないから、それらを適宜工夫することにより意匠性を高めることも可能となる。
【0016】
また、中栓7の各周壁8a〜8dの外側に係合突起35が設けられ、これらの係合突起35に対する係合凸条36がカバーキャップ11の内側壁に設けられているため、中栓7にカバーキャップ11を係合させる際、中栓7の係合突起35をカバーキャップ11の係合凸条36が乗り越えなければならない。この際、各周壁8a〜8dは独立して立設しているためその分撓み易く、加えて撓みの程度を調節することができ、それによって係合強度を自在に設定できる。したがって、これらの要件を適宜設定することにより、カバーキャップ11の係合凸条36は中栓7の係合突起35を容易に乗り越えて、中栓7にカバーキャップ11を簡単に係合させることが出来るようになる。更に、中栓7の頂板2上に内容物3がこぼれても、断続部34があるためその部分から内容物3を除去し易いというメリットもある。
【0017】
ちなみに、前記注出筒4による文字書きや絵柄描きをし易くするためには、上述のように、嵌合周壁8に切欠いた断続部34を設けて各周壁8a、8b、8c、8dとしなくても、注出筒4を長くすることによっても実現できる。しかしながら、注出筒4が長くなることは、その分カバーキャップ11も長くなり、材料の使用量が多くなるため、成形性、生産性、コスト性も低下するし、倒立状態で載置するに際して安定性に欠けることにもなる。
本発明者らの実験によれば、この押出容器用蓋1における注出筒4の頂板2からの高さ(H)は、頂板2の外径(R)に対して、0.2R≦H≦0.5Rの関係にあるのが良い(図4参照)。注出筒4の高さ(H)が、0.2Rに満たないと、コスト面で有利となるが、注出筒4による文字書きや絵柄描きがしづらくなる。逆に、0.5Rを越えると、文字書きや絵柄描きがし易いが、材料費が増えてコスト高となる。
【0018】
前記カバーキャップ11は、押出容器5の開封後、すなわち、その口部6の天面に貼ってあるシール材23を剥がした後、注出筒4に凸部9を係合させると共に中栓7に係合させて、押出容器5内の内容物3を漏れないようにし、中栓7の頂板2や注出筒4の外部汚染を防ぐ機能を備えている。この他に、カバーキャップ11は、図6、7に示すように、その天板10が平坦で広くなっていて押出容器5を倒立置き可能に形成してあり、更に、カバーキャップ11の天板10内面に設けた凸部9の周囲にガイドリング37を設け、中栓7にカバーキャップ11を係合する際、注出筒4に凸部9をガイドするようにしている。
【0019】
次に、上記構成になる押出容器用蓋1の使用方法について説明する。
まず、予定した内容物3の種類・性質に沿う押出容器5及び押出容器用蓋1を選択し、押出容器5内に例えばマヨネーズ等の内容物3を入れ、押出容器5の口部6の天面に貼り付けるシール材23を内筒31内に装填し、その状態で口部6に中栓7を螺着し、更に中栓7にカバーキャップ11を係合する。その後には、高周波加熱等によりシール材23を容器口部6の天面に接着し密封する。
【0020】
それ以外にも、押出容器5の口部6の天面に熱盤等によりシール材23を接着し、その後口部6に中栓7を螺着し、中栓7にカバーキャップ11を係合してもよい。
【0021】
ユーザーは使用に際して、押出容器5の口部6から押出容器用蓋1を螺脱して口部6の天面からシール材23を剥がし、再び口部6に中栓7を螺着する。この状態で押出容器5の胴部20を手指で押圧すれば、中栓7の注出筒4の先端注出口4aから内容物3を注出させることが出来る。中栓7の頂板2上に内容物3がこぼれて汚れたら、嵌合周壁の断続部34を利用して内容物3を容易に除去することが出来る。その後、中栓7にカバーキャップ11を係合する。
【0022】
すなわち、中栓7の注出筒4の先端注出口4aにガイドリング37に導かれ凸部9が嵌められ、内容物3の漏れが完全に防止されるとともに、中栓7の各周壁8a〜8dがそれぞれ独自に撓んでこれらの係合突起35をカバーキャップ11の係合凸条36が容易に乗り越えるから、中栓7にカバーキャップ11が簡単に係合される。また、カバーキャップ11の天板10の広い平坦面を利用して、押出容器5を倒立置きすることができる。押出容器を倒立置きにすることにより、内容物3は不使用時には常に口部側にあるため、使用する時に注出筒4から直ぐに内容物3を注出できる。
【0023】
そして、図9に示すように、内容物3にて対象物に対して文字書きや絵柄描きをする場合は、中栓7からカバーキャップ11を外し、押出容器5の胴部20を筆持ちして、注出筒4の先端注出口4aを筆先に見立てて対象物に対して文字書きや絵柄描きをする。その際、各周壁8a〜8dの間にある断続部34である隙間を利用して注出筒4の先端注出口4aを見ることができ、各周壁8a〜8dによって視線を遮られないから、目線を高くして自然体で描くことが出来、それだけ描き易くなる。
【0024】
本発明者らの実験によれば、中栓7の頂板の外径、周壁の高さ及び注出筒の高さを同一にして、図8の本発明の実施の形態と図11の従来例とを対比すると、図8の本発明の実施形態では目線角度αが51.05度で注出筒4の先端注出口4aを見ることが出来る。これに対して、図11の従来例では目線角度βが56.24度でやっと注出筒4の先端注出口4aを見ることが出来るようになる。また、図11の従来例において、目線角度を本発明の実施形態と同じにすれば、注出筒4の元の高さにプラスしてγ=2.16mm高くしないと、注出筒4の先端注出口4aを見ることが出来ないことがわかった。
【0025】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更や組み合わせは適宜なし得るものと理解すべきである。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、対象物に内容物を使用して文字や絵柄を描く際、中栓の嵌合周壁を周方向に断続的に間隔を開けて上方に向けて立設することにより、その断続部(隙間)を通して注出筒の筆先状に形成された先端を見ることができ、その分目線を高くすることができ、自然体で対象物に内容物を使用して文字や絵柄を描くことができる。そのため、中栓の注出筒の高さを低くでき、また立設された各周壁がそれぞれに独立して撓み易くなり中栓にカバーキャップを着脱し易くなり、更に各周壁の隙間から頂板上にこぼれた内容物や汚れを簡単に除去することができる。したがって、自然体で注出筒の先端がよく見えて対象物上に文字や絵柄を内容物を使用して描き易くなり、注出筒を最少長さにできてコストパフォーマンスに優れ、安定性に優れ、使い勝手が非常に良くなるという効果がある。
また、本発明によれば、注出筒の高さ(H)が、頂板の外径(R)に対して、0.2R≦H≦0.5Rの範囲に規制されるから、注出筒の高さを低くできる。したがって、上記効果に加えて、注出筒の高さ及び上蓋の高さを最少にすることが出来るため、材料費を節約することができ、最終的にコストパフォーマンスに優れたものになる効果がある。
また、カバーキャップの天板により押出容器を倒立置きしてあると、不使用時には、内容物が注出筒内の口部側に充満状態となっており、使用時に、内容物を直ぐに注出できる効果がある。
さらに、中栓にカバーキャップを係合する際、ガイドリングにより凸部を注出筒に係合するようにガイドし、注出筒に凸部を嵌めることにより内容物の漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋を押出容器に螺着した状態の断面図である。
【図2】図1の要部を拡大した断面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋を適用する押出容器の側面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋の一構成要素の中栓の側面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋の一構成要素の中栓の平面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋の一構成要素のカバーキャップの側面図である。
【図7】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋の一構成要素のカバーキャップの平面図である。
【図8】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋の使用状態の側面図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す押出容器用蓋の使用状態の斜視図である。
【図10】従来例の容器と蓋の係合状態を示す断面図である。
【図11】従来例を示す図8と同状の平面図である。
【図12】従来例を示す図5と同状の平面図である。
【符号の説明】
1 押出容器用蓋
2,a 頂板
3 内容物
4,b 注出筒
4a 先端注出口
5,c 押出容器
6 口部
7,d 中栓
8,e 嵌合周壁
8a,8b,8c,8d 立設各周壁
9 凸部
10 天板
11,g カバーキャップ
20 胴部
21 底部
22,30 ネジ
23 シール材
31 内筒
32 外筒
33 スベリ止め
34 断続部
35,f 係合突起
36 係合凸条
37 ガイドリング
Claims (5)
- 頂板の中央部に内容物の注出筒を立設し押出容器の口部に設けた中栓と、該中栓の頂板の周縁部に上方に向けて立設した嵌合周壁に着脱自在に係合するカバーキャップとからなる押出容器用蓋機構において、前記注出筒は筆先状に形成され、かつ前記中栓の嵌合周壁が断続的に間隔を開けて周方向に2つ以上独立して立設されていることを特徴とする押出容器用蓋機構。
- 前記注出筒の頂板からの高さ(H)が、該頂板の外径(R)に対して、0.2R≦H≦0.5Rの関係にある請求項1記載の押出容器用蓋機構。
- 前記上蓋の天板は前記押出容器を倒立置き可能に形成している請求項1または2記載の押出容器用蓋機構。
- 前記カバーキャップの天板内面に、前記注出筒と係合する凸部を設けた請求項1ないし3のいずれか1記載の押出容器用蓋機構。
- 前記凸部の周囲にガイドリングを設けた請求項4記載の押出容器用蓋機構。
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