JP4043648B2 - コークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法およびコークス炉ガス脱硫設備 - Google Patents

コークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法およびコークス炉ガス脱硫設備 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法およびコークス炉ガス脱硫設備に関し、特に、NOX の発生を抑制すると共に、簡易な設備によって廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去することが可能なコークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法、および該処理方法を用いたコークス炉ガス脱硫設備に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コークス炉においては、コークス炉ガス中の硫化水素、シアン化水素を、フマックス・ロダックス式もしくはタカハックス式の脱硫設備を用いて除去している。
図2に、上記した脱硫設備の基本的なフローシート(側面図)を示す。
【0003】
図2において、1は脱硫塔(吸収塔)、2は再生塔(酸化塔)、3は再生塔2で脱硫液(吸収液)と接触した後の空気(以下廃空気と記す)の送給配管、4は廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去するための廃空気の処理装置、5はコークス炉ガス(未脱硫コークス炉ガス)、6は脱硫コークス炉ガス、7はアルカリ水溶液の送給配管、8はアルカリ、9は触媒、10は脱硫液再生用の空気、11はフィルタ、遠心分離器などの固液分離装置、12は廃液の送給配管、13は廃液処理装置、14は脱硫液(吸収液)循環ポンプ、15は硫黄、16は煙突を示す。
【0004】
フマックス・ロダックス式、タカハックス式の脱硫設備においては、脱硫塔1の脱硫液(吸収液)の吸収剤としてNH4OH またはNa2CO3を用いる。
また、フマックス・ロダックス式の脱硫設備においては、触媒9としてピクリン酸を用い、タカハックス式の脱硫設備においては、触媒9としてナフトキノンスルホン酸ソーダを用いる。
【0005】
図2にしめす脱硫設備の脱硫法の原理は、下記のとおりである。
すなわち、脱硫塔1内でアルカリ水溶液中のアルカリ(NH4OH またはNa2CO3)をコークス炉ガス(以下COG とも記す)5と接触させ、ガス中のH2S を吸収除去する。
この際、他の酸性ガス(HCN 、CO2 など)も同時に吸収される。
【0006】
H2S を吸収した脱硫液(吸収液)は再生塔2で空気と触媒の作用により酸化されてコロイド状硫黄を生成し、溶液はもとのアルカリに再生される。
吸収液を循環使用していると副反応としてロダン、チオ硫酸塩などが生成し蓄積してくるので、循環吸収液の一部を抜き出し、コロイド状硫黄を固液分離装置11で分離した後、廃液処理装置13で処理する。
【0007】
一方、再生塔2で吸収液の再生のために用いられた空気(:廃空気)中には、COG と吸収液との気液平衡関係および吸収液と再生用の空気との気液平衡関係に基づいてCOG から移行したベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびアンモニアなどが含まれる。
このため、再生塔2で使用後の廃空気は、廃空気の処理装置4において芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去した後、大気放散される。
【0008】
上記した廃空気の処理方法としては、廃空気を油で洗浄(:油洗浄)し芳香族炭化水素を除去した後、稀硫酸で洗浄する方法、または、廃空気を油で洗浄(:油洗浄)しガス中の芳香族炭化水素の含有量を調整した後、アンモニアを除去することなく燃焼処理する方法が挙げられる(特開平1−224032号公報参照)。
しかしながら、前者の油洗浄−稀硫酸洗浄法は、廃空気の洗浄工程(処理工程)が二つ必要であり、全体の設備が複雑となる。
【0009】
また、後者の油洗浄−燃焼処理法の場合、廃空気の処理工程が二つ必要であり、全体の設備が複雑となる。
また、燃焼処理工程における燃焼条件によっては、COG 中のアンモニアに由来する廃空気中のアンモニアの燃焼によってNOX が発生し、このため油洗浄における芳香族炭化水素の含有量の調整が難しい。
【0010】
すなわち、油洗浄における芳香族炭化水素の含有量の調整において廃空気中の芳香族炭化水素の含有量を低減しすぎると、燃焼装置における補助燃料の必要投入量が増加し、逆に芳香族炭化水素の含有量が多い場合、燃焼温度の高温化によりアンモニアの燃焼によってNOX が発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、一つの工程で廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去し、かつNOx の発生を抑制することが可能なコークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法、および該処理方法を用いたコークス炉ガス脱硫設備を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、コークス炉ガス脱硫液を空気と接触せしめて再生する際に排出される廃空気の処理方法であって、芳香族炭化水素およびアンモニアを含有する前記廃空気を燃焼せしめ、得られた燃焼ガスに還元剤を添加することを特徴とするコークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法である。
【0013】
前記した第1の発明は、前記芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれる1種または2種以上であるコークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法として好適に用いられる。
前記した第1の発明においては、前記還元剤としてアンモニアを用いることが好ましい。
【0014】
また、前記した第1の発明においては、前記廃空気を燃焼せしめ、得られる燃焼ガス中のベンゼン、トルエンおよびキシレンの合計濃度を3×10-4vol %以下とした後、該燃焼ガスに前記還元剤を添加することが好ましい。
さらに、前記した第1の発明においては、前記還元剤としてアンモニアを用い、アンモニアを添加する箇所における燃焼ガスの温度を、好ましくは900 〜1200℃、より好ましくは900 〜1150℃、さらに好ましくは950 〜1150℃とすることが好ましい。
【0015】
第2の発明は、コークス炉ガスの脱硫塔1と、該脱硫塔1から抜き出された脱硫液を空気と接触せしめて再生する再生塔2と、該再生塔2から排出される廃空気の処理装置4を有するコークス炉ガス脱硫設備であって、前記廃空気が芳香族炭化水素およびアンモニアを含有し、前記廃空気の処理装置4が、前記廃空気の燃焼室20と、該燃焼室20内に前記廃空気を導入する廃空気導入口21と、該廃空気導入口21に対して燃焼ガス流通方向下流側の燃焼ガス流通管路23内に還元剤を導入する還元剤導入口22を有する処理装置4であることを特徴とするコークス炉ガス脱硫設備である。
【0016】
前記した第2の発明は、前記芳香族炭化水素が、ベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれる1種または2種以上であるコークス炉ガス脱硫設備として好適に用いられる。
また、前記した第2の発明においては、前記還元剤がアンモニアであることが好ましい。
【0017】
さらに、前記した第2の発明においては、前記還元剤がアンモニアであって、前記還元剤導入口22を配設した前記燃焼ガス流通管路23内の燃焼ガスの温度が、好ましくは900 〜1200℃、より好ましくは900 〜1150℃、さらに好ましくは950 〜1150℃であることが好ましい。
なお、前記した第2の発明においては、前記した廃空気導入口21に対して燃焼ガス流通方向下流側の燃焼ガス流通管路23としては、前記した燃焼室20である燃焼ガス流通管路であってもよく、また、燃焼室20の燃焼ガス出側に設けられた燃焼ガス流通管路であってもよい。
【0018】
前記した第1の発明、第2の発明は、処理前の前記廃空気の湿空気基準の組成が、前記した芳香族炭化水素であるベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれる1種または2種以上の合計濃度が0.30vol %以上、かつ、アンモニア濃度が2.0vol%以下である廃空気の処理方法またはコークス炉ガス脱硫設備として好適に用いられる。
【0019】
さらには、前記した第1の発明、第2の発明は、処理前の前記廃空気の湿空気基準の組成が、前記した芳香族炭化水素であるベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれる1種または2種以上の合計濃度が0.30〜2.0vol%、かつ、アンモニア濃度が2.0vol%以下である廃空気の処理方法またはコークス炉ガス脱硫設備として好適に用いられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明者は、前記した従来技術の問題点を解決し、一つの工程で廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去し、かつNOX の発生を抑制することが可能なコークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法およびコークス炉ガス脱硫設備を達成するために鋭意検討した結果、下記知見を得、本発明に至った。
【0021】
すなわち、コークス炉ガスの脱硫に用いた脱硫液を空気を用いて再生する際に発生する廃空気を燃焼せしめ、廃空気中のベンゼン、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素を燃焼せしめた後、該燃焼ガス中に好ましくはアンモニアである還元剤を添加することによって、下記効果が得られる。
(1) 廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去率に優れた方法で除去できる。
【0022】
(2) 廃空気中のNOX の発生を大幅に抑制できる。
(3) 芳香族炭化水素の燃焼熱の熱回収によって省エネルギーを達成できる。
(4) 前記した従来技術において必要な廃空気の油洗浄の工程が不要となり、燃焼工程のみの簡易な設備によってNOX の発生を効果的に抑制し、廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を効果的に除去することができる。
【0023】
本発明の基本原理は、下記の通りである。
(1) COG 中のアンモニアに由来する廃空気中のアンモニア燃焼時のNOX への転換率は5%前後と低く、廃空気中のアンモニア燃焼時のNOX 濃度は約200 〜400ppmの範囲内に制限される。
(2) 上記(1) の現象に基づき、前記した従来技術の油洗浄による廃空気中の芳香族成分含有量の調整および燃焼条件の選択によるNOX の抑制法に代えて、廃空気中のアンモニア燃焼によって生成するNOX を、還元剤添加による無触媒脱硝によって還元除去する。
【0024】
(3) 上記(2) における還元剤添加による無触媒脱硝において、廃空気中の芳香族炭化水素燃焼後の燃焼ガス中に還元剤を添加する。
すなわち、廃空気中の芳香族炭化水素燃焼後の燃焼ガス中に還元剤を添加することによって、芳香族炭化水素の燃焼熱を有効に利用し、無触媒脱硝に必要な反応温度を確保し、廃空気中のアンモニアの燃焼によって生成したNOX を効果的に除去することができる。
【0025】
この結果、後記する実施例に示すとおり、処理後の廃空気中のNOX 濃度を、前記した従来技術に対して大幅に低減できる。
(4) COG 中のアンモニアに由来する廃空気中のアンモニア(:濃度=0.30〜2.0vol%)の燃焼によって生成するNOX は、還元剤によってN2、H2O に還元される。
【0026】
また、還元剤としてアンモニアを添加する場合も、処理後の廃空気中に残留するアンモニアは、数ppm 〜数十ppm 程度に抑制可能であり、廃空気中のアンモニアを効果的に除去することができる。
図1に、本発明のコークス炉ガス脱硫設備の一例をフローシート(側面図)によって示す。
【0027】
なお、図1において、20は燃焼室、21は燃焼室20への廃空気導入口、22は廃空気導入口21に対して燃焼ガス流路下流側の燃焼ガス流通管路23内に還元剤を導入する還元剤導入口、23は燃焼ガス流通管路、24はアンモニア(液安)ボンベ、25、33はブロワ、26はアンモニア希釈用空気、27はアンモニア流量調節弁、28は減圧弁、29は補助燃料、30はバーナ、31は廃熱ボイラ、32は廃空気の予熱器(間接熱交換器)、34、35はNOX 計、34S は燃焼室20内のガスサンプリング箇所、36は水、37は蒸気、fは燃焼ガス流通方向、T1、T2、T3は熱電対を示し、その他の符号は図2と同一の内容を示す。
【0028】
図1に示すコークス炉ガス脱硫設備における廃空気の処理装置4は、導入される廃空気中の芳香族炭化水素を燃焼するための燃焼室20と、燃焼室20に廃空気を導入する廃空気導入口21と、廃空気導入口21に対して燃焼ガス流通方向f下流側の燃焼ガス流通管路23内に還元剤を導入する還元剤導入口22を有する。
なお、前記したように、本発明においては、前記した本発明の基本原理に基づき、上記した廃空気導入口21に対して燃焼ガス流通方向f下流側の燃焼ガス流通管路23としては、図1に示すように燃焼室20である燃焼ガス流通管路であってもよく、また、燃焼室20の燃焼ガス出側に設けられた燃焼ガス流通管路であってもよい。
【0029】
本発明においては、コークス炉ガス(:COG )5を脱硫塔1に送給し、アルカリ水溶液と接触させ、ガス中のH2S を吸収除去する。
この際、他の酸性ガス(HCN 、CO2 など)も同時に吸収される。
H2S を吸収した脱硫液(吸収液)は再生塔2で空気と触媒の作用により酸化されてコロイド状硫黄を生成し、溶液中のアルカリの硫化物はアルカリに再生される。
【0030】
なお、本発明においては、前記したアルカリ水溶液のアルカリとして、NH4OH および/またはNa2CO3を用いることが好ましく、また前記した触媒9として、ピクリン酸(:フマックス・ロダックス式)もしくはナフトキノンスルホン酸ソーダ(:タカハックス式)を用いることが好ましい。
吸収液を循環使用すると副反応としてロダン、チオ硫酸塩などが生成し蓄積するため、吸収液の一部を抜き出しコロイド状硫黄を分離した後、廃液処理装置13で処理する。
【0031】
一方、再生塔2で吸収液の再生のために用いられた空気(:廃空気)中には、COG と吸収液との気液平衡関係および吸収液と再生用空気との気液平衡関係に基づいてCOG から移行したベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素およびアンモニアが含まれる。
このため、再生塔2で使用後の廃空気を、燃焼室20内に導入し、廃空気中の芳香族炭化水素を燃焼する。
【0032】
なお、図1に示すように、本発明においては、熱効率の面から、再生塔2で使用後の廃空気を、ブロワ33および送給配管3によって予熱器32に送給し、廃熱ボイラ31を経由して排出される燃焼室20の燃焼ガスと熱交換し、昇温した後、廃空気導入口21から燃焼室20内に導入することが好ましい。
また、本発明においては、廃空気中の芳香族炭化水素の燃焼に必要な温度を確保するために、燃焼室20の廃空気入口側にバーナ30を配設し、脱硫コークス炉ガス(:精製コークス炉ガス)などの補助燃料29を燃焼し、補助燃料29の燃焼ガスを燃焼室20内の廃空気入口側に吹き込むことが望ましい。
【0033】
また、この場合、廃空気中の芳香族炭化水素の除去率をさらに高めるために、予熱器32で昇温した廃空気の一部を、バーナ30の燃焼用空気として用いることが好ましい。
廃空気中の芳香族炭化水素は燃焼室20内において燃焼し、CO2 、H2O を生成すると共に、廃空気中のアンモニアが燃焼し微量のNOX が生成する。
【0034】
このため、図1に示すコークス炉ガス脱硫設備においては、廃空気導入口21に対して燃焼ガス流通方向f下流側に設けられた還元剤導入口22から還元剤を導入し、NOX をN2、H2O に還元する。
すなわち、本発明においては、廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を燃焼せしめた後、得られた燃焼ガスに還元剤を添加し、NOX をN2、H2O に還元する。
【0035】
これは、予め廃空気にNOx の還元剤を添加した場合、廃空気の燃焼に付随して、添加した還元剤が廃空気中の酸素との反応に消費され、NOX の還元剤として有効に作用しないためである。
これに対して、廃空気を燃焼せしめ得られた燃焼ガスに還元剤を添加する場合、廃空気中の酸素と還元剤との反応が抑制されると共に、燃焼の完了に伴って燃焼ガスの温度がNOX の還元に好適な温度となり、還元剤がNOX の還元剤として有効に作用する。
【0036】
このため、本発明においては、廃空気を燃焼せしめ、得られる燃焼ガス中のベンゼン、トルエンおよびキシレンの合計濃度を3×10-4vol %以下とした後、該燃焼ガスに還元剤を添加することが好ましい。
本発明においては、還元剤としてアンモニア、アンモニア前駆体、一酸化炭素、水素および炭化水素から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0037】
上記したアンモニア前駆体としては、炭酸アンモニウム、しゅう酸アンモニウムなどのアンモニウム塩を用いることができる。
さらに、本発明においては、還元剤としてアンモニアを用いることがより好ましい。
これは、アンモニアがNOX を選択的に還元すると共に、本発明によれば、コークス炉ガス脱硫液再生時に排出される廃空気を燃焼することによって、廃空気中の芳香族炭化水素の燃焼熱を有効に利用し、アンモニアによるNOX の選択還元に好適な反応温度を確保することができるためである。
【0038】
なお、本発明において還元剤としてアンモニアを用いる場合、アンモニアを添加する箇所における燃焼ガスの好適な温度、すなわち反応温度は、900 〜1200℃であり、より好ましくは900 〜1150℃、さらに好ましくは950 〜1150℃である。
これは、アンモニアを添加する箇所における燃焼ガスの温度が900 ℃未満の場合、もしくは1200℃を超える場合、いずれの場合も脱硝率(:NOX 除去率)が低下するためである。
【0039】
また、還元剤としてアンモニアを用いる場合、燃焼ガスへのアンモニアの添加量:V1は、下記式(1) を満足することが好ましい。
V1(Nl/hr) =(1〜3)×X×10-3×V………(1)
なお、上記式(1) 中、
X:NOX 還元前の燃焼ガス中NOX 濃度〔:(NO+NO2 )濃度〕(vol-ppm)
V:廃空気処理量(Nm3/hr)
を示す。
【0040】
また、本発明は、処理前の廃空気が、湿空気基準の組成として、ベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれる1種または2種以上を合計濃度として0.30vol %以上含有し、かつ、アンモニアを2.0vol%以下含有する廃空気の処理方法またはコークス炉ガス脱硫設備として好適に用いられる。
さらに、本発明は、処理前の廃空気が、湿空気基準の組成として、ベンゼン、トルエンおよびキシレンから選ばれる1種または2種以上を合計濃度として0.30〜2.0vol%含有し、かつ、アンモニアを2.0vol%以下含有する廃空気の処理方法またはコークス炉ガス脱硫設備としてより好適に用いられる。
【0041】
なお、上記した湿空気基準の組成とは、水分を含めた廃空気全体の組成100vol%に対する組成を示す。
ベンゼン、トルエンおよびキシレンの合計濃度が0.30vol %未満の場合、補助燃料の使用量が増加し、上記合計濃度が2.0vol%を超える場合、燃焼発熱量が増加し、廃空気中のアンモニア燃焼時のNOX への転換率が増加する。
【0042】
また、アンモニア濃度が2.0vol%を超える場合、処理後の廃空気中のNOX 濃度を基準値以下に抑制することが困難となる。
また、図1に示すように、本発明においては、アンモニアなどの還元剤を予め空気で希釈した後、燃焼ガスに添加することが好ましい。
これは、還元剤と燃焼ガスが短時間で均一に混合し、短時間で還元反応が進行するためである。
【0043】
この場合の希釈用空気の供給量:V2は、廃空気処理量:V(Nm3/hr)に対して下記式(2) を満足することが好ましい。
V2(Nm3/hr)=0.05〜0.10V(Nm3/hr)………(2)
希釈用空気の供給量:V2が0.05V未満の場合は、短時間で還元反応を進行せしめることが困難となり、逆にV2が0.10Vを超える場合は、被処理ガス量の増加により廃空気中のNOX 低減効果が減少する。
【0044】
以上本発明について述べたが、本発明によれば前記したように下記の優れた効果が得られる。
(1) 廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去率に優れた方法で除去できる。
(2) 廃空気中のNOX の発生を大幅に抑制できる。
【0045】
(3) 芳香族炭化水素の燃焼熱の熱回収によって省エネルギーを達成できる。
さらに、前記した従来技術において必要な廃空気の油洗浄の工程が不要となり、脱硫液再生後の廃空気中に含まれる芳香族炭化水素の全てを燃焼することができるため、廃熱ボイラでの蒸気発生量の増加など、燃焼ガスの熱回収装置における熱回収量を増加させることができる。
【0046】
(4) 前記した従来技術において必要な廃空気の油洗浄の工程が不要となり、燃焼工程のみの簡易な設備によってNOX の発生を効果的に抑制し、廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を効果的に除去することができる。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。
(実施例)
前記した図1に示すコークス炉ガス脱硫設備を用いてコークス炉ガス脱硫液の再生時の廃空気の処理を行った。
【0048】
脱硫法としては、脱硫液(吸収液)のアルカリとしてNH4OH 、触媒としてピクリン酸を用いるフマックス・ロダックス式脱硫法を用いた。
試験条件を表1に示す。
本試験においては、還元剤として、アンモニアを使用し、バーナ30における補助燃料として、脱硫コークス炉ガス(:精製コークス炉ガス)を使用した。
【0049】
また、還元剤導入口22からのアンモニア添加量:V1は下記式(3) を満足するように制御した。
V1(Nl/hr) =2×X×10-3×V(Nm3/hr)………(3)
なお、上記式(3) 中、
X:NOX 還元前の燃焼ガス中NOX 濃度〔:(NO+NO2 )濃度〕(vol-ppm)
V:廃空気処理量(Nm3/hr)
を示す。
【0050】
上記した試験の結果、NOX 計34のガスサンプリング管から採取した廃空気(燃焼ガス)中のベンゼン、トルエンおよびキシレンの合計濃度は3×10-5vol %であり、還元剤導入口22の箇所において、廃空気の燃焼がほぼ完了していた。
また、燃焼室20内の温度は下記の通りであり、燃焼後のガス温度として、アンモニアによる選択還元に好適なガス温度を得ることができた。
【0051】
〔燃焼室20内の温度:〕
熱電対T1による平均測定温度: 850℃
熱電対T2による平均測定温度: 950℃
熱電対T3による平均測定温度:1000℃
得られた試験結果を、試験条件と併せて表1に示す。
【0052】
本試験において、NOX 計34におけるNOX の測定値:200 〜400ppmに対して、NOX 計35におけるNOX の測定値は40〜80ppm であり、脱硝率(:NOX 除去率):80%を達成することができた。
また、NOX 計35のガスサンプリング管から採取した廃空気(燃焼ガス)中のベンゼン、トルエンおよびキシレンの合計濃度は0vol %であり、ベンゼン、トルエン、キシレンの除去率(対合計濃度):100 %を達成することができた。
【0053】
また、NOX 計35のガスサンプリング管から採取した廃空気(燃焼ガス)中のアンモニア濃度は0.02〜0.03vol %であり、アンモニア除去率:90〜99%を達成することができた。
【0054】
【表1】
Figure 0004043648
【0055】
(比較例1)〔油洗浄−稀硫酸洗浄法〕
前記した油洗浄−稀硫酸洗浄法によってコークス炉ガス脱硫液の再生時の廃空気の処理を行った。
この結果、処理後の廃空気中のベンゼン、トルエンおよびキシレンの合計濃度は0.16vol %であり、芳香族炭化水素の除去が不十分であった。
【0056】
(比較例2)〔油洗浄−燃焼処理法〕
前記した油洗浄−燃焼処理法(低温燃焼法)によってコークス炉ガス脱硫液の再生時の廃空気の処理を行った。
この結果、処理後の廃空気中のNOX 濃度が150 〜250ppmであり、NOX の抑制が不十分であった。
【0057】
なお、前記した実施例においては、脱硫法として、脱硫液(吸収液)のアルカリとしてNH4OH 、触媒としてピクリン酸を用いるフマックス・ロダックス式脱硫法を用いたが、本発明における脱硫法としては、脱硫液(吸収液)のアルカリとしてNH4OH 、触媒としてナフトキノンスルホン酸ソーダを用いるタカハックス式脱硫法を用いることも可能である。
【0058】
また、上記したフマックス・ロダックス式脱硫法、タカハックス式脱硫法においては、いずれも、脱硫液(吸収液)のアルカリとしてNH4OH に代えて、Na2CO3を用いてもよく、またNH4OH およびNa2CO3の両者を用いてもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、燃焼工程のみの簡易な設備で、廃空気中の芳香族炭化水素およびアンモニアの両者を除去し、かつ、NOX の発生を抑制することが可能なコークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法、およびコークス炉ガス脱硫設備を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコークス炉ガス脱硫設備の一例を示すフローシート(側面図)である。
【図2】基本的なコークス炉ガス脱硫設備の一例を示すフローシート(側面図)である。
【符号の説明】
1 脱硫塔(吸収塔)
2 再生塔(酸化塔)
3 廃空気の送給配管
4 廃空気の処理装置
5 コークス炉ガス(未脱硫コークス炉ガス)
6 脱硫コークス炉ガス
7 アルカリ水溶液の送給配管
8 アルカリ
9 触媒
10 脱硫液再生用の空気
11 固液分離装置
12 廃液の送給配管
13 廃液処理装置
14 脱硫液(吸収液)循環ポンプ
15 硫黄
16 煙突
20 燃焼室
21 燃焼室への廃空気導入口
22 還元剤導入口
23 燃焼ガス流通管路
24 アンモニア(液体アンモニア)ボンベ
25、33 ブロワ
26 アンモニア希釈用空気
27 アンモニア流量調節弁
28 減圧弁
29 補助燃料
30 バーナ
31 廃熱ボイラ
32 廃空気の予熱器(間接熱交換器)
34、35 NOX
34S 燃焼室内のガスサンプリング箇所
36 水
37 蒸気
f 燃焼ガス流通方向
T1、T2、T3 熱電対

Claims (2)

  1. コークス炉ガス脱硫液を空気と接触せしめて再生する際に排出される廃空気の処理方法であって、芳香族炭化水素およびアンモニアを含有する前記廃空気を燃焼せしめ、得られた燃焼ガスに還元剤を添加することを特徴とするコークス炉ガス脱硫液再生時の廃空気の処理方法。
  2. コークス炉ガスの脱硫塔(1) と、該脱硫塔(1) から抜き出された脱硫液を空気と接触せしめて再生する再生塔(2) と、該再生塔(2) から排出される廃空気の処理装置(4) を有するコークス炉ガス脱硫設備であって、前記廃空気が芳香族炭化水素およびアンモニアを含有し、前記廃空気の処理装置(4) が、前記廃空気の燃焼室(20)と、該燃焼室(20)内に前記廃空気を導入する廃空気導入口(21)と、該廃空気導入口(21)に対して燃焼ガス流通方向下流側の燃焼ガス流通管路(23)内に還元剤を導入する還元剤導入口(22)を有する処理装置(4) であることを特徴とするコークス炉ガス脱硫設備。
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