JP4043212B2 - 有害物質の処理ユニットおよび有害物質の処理装置 - Google Patents

有害物質の処理ユニットおよび有害物質の処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウィルス細菌および毒素のいずれかの有害物質を不活性化する有害物質の処理ユニットおよび有害物質の処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、この種の有害物質の処理装置としては、特願2000−321552号に記載のものが提案されている。
【0003】
この特願2000−321552号に記載の処理装置は、平板状や円筒状などに成形され光透過性を有する基材を備えており、この基材の内側には、処理材が設けられている。この処理材は、基材の内側に成膜され、光触媒作用を有する遷移金属酸化物としての二酸化チタン膜を備えており、この二酸化チタン膜の表面には、血液や血漿、血液製剤、体液などとしての被処理体に含まれる生物学的危険性のある有害物質としてのウィルスや病原細菌などの生物および毒素を選択的に吸着する保持物質としての受容体や抗体などが、アミノアルキルエトキシシランである3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AminoPropylTriEthoxySilane:APTES)およびグルタルアルデヒドにて構成された架橋部としての架橋分子を介して架橋されている。
【0004】
また、基材の外側には、この基材を介して処理材に紫外線などの光を投射させる光源が配設されており、この光源は、処理材の二酸化チタン膜を光励起させて、この二酸化チタン膜の光触媒作用を発揮させる。そして、基材における処理材間に被処理体を通過させるとともに、光源から光を照射させることにより、この処理材間を通過する被処理体に含まれる有害物質が保持物質に保持されるとともに、この保持物質にて保持された有害物質を二酸化チタン膜による光触媒作用により不活性化または無害化させる。
【0005】
さらに、この特願2000−321552号に記載の処理装置は、複数の粉状の基材の表面に、二酸化チタン膜が成膜され、この二酸化チタン膜の表面に架橋分子を介して保持物質が架橋された処理材を備えており、これら複数の処理材が、光透過性を有する円筒状の容器の内部に配設されている。そして、容器の外側に配設された光源から光を照射して、この光を容器の壁面を介して処理材の二酸化チタン膜に透過させるとともに、この容器内に被処理体を流入させることにより、この容器内を流れる被処理体に含まれる有害物質が処理材の保持物質に保持されるとともに、この保持物質にて保持された有害物質が二酸化チタン膜の光触媒作用により不活性化または無害化される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特願2000−321552号に記載され、基材の内側に処理材が成膜された処理装置では、基材の内面に設けられた処理材間に被処理体を通過させるだけである。このため、この処理材間を通過する被処理体に含まれる有害物質を保持物質にて効率良く保持しにくいとともに、この保持物質にて保持した有害物質を二酸化チタン膜の光触媒作用により効率良く不活性化しにくいから、この被処理体を的確に処理しにくい。
【0007】
また、上述の特願2000−321552号に記載され、粉状の基材に二酸化チタン膜および保持物質が設けられた処理材を容器内に配設した処理装置では、光源から照射させる光により、容器内を通過する被処理体における血漿成分や血液成分などの構成成分が変性してしまうおそれがあるとともに、処理材の保持物質が保持した有害物質の一部の構成成分が剥離などして被処理体に再び混入するおそれがある。このため、この被処理体に含まれる有害物質を効率良く不活性化または無害化しにくいので、この被処理体を的確に処理しにくいという問題を有している。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被処理体をより的確に処理できる有害物質の処理ユニットおよび有害物質の処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の有害物質の処理ユニットは、互いに離間されて配設され光透過性を有する略平板状の対をなす基材と、これら対をなす基材それぞれの内側に設けられ液相および気相の少なくともいずれか1つの形態を採る被処理体に混入または混入するおそれのあるウィルス、細菌および毒素のいずれかの有害物質を光触媒機能により不活性化する二酸化チタン、およびこの二酸化チタンの表面に設けられ特定の前記有害物質のみを保持する特異性を有する保持物質を備えた処理材と、前記対をなす基材間に配設され、これら対をなす基材のいずれか一方との間からこれら対をなす基材のいずれか他方との間へと連通した壁材と、前記対をなす基材間における一端部に設けられ、これら対をなす基材のいずれか一方と前記壁材との間に被処理体を流入させる流入口と、この流入口に隣接した前記対をなす基材間における一端部に設けられ、これら対をなす基材のいずれか他方と前記壁材との間から被処理体を流出させる流出口と、前記対をなす基材を介して前記処理材に波長380nm以下の紫外線を照射させる光源とを具備しているものである。
【0010】
そして、光源から波長380nm以下の紫外線を照射させると、この紫外線が基材を介してこの基材の内側に設けた処理材の二酸化チタンに照射されて、この二酸化チタンが光励起させる。この状態で、互いに離間されて配設された対をなす基材間における一端部に設けられた流入口から、液相および気相の少なくともいずれか1つの形態を採る被処理体を流入させると、被処理体に混入または混入するおそれのあるウィルス、細菌および毒素のいずれかの有害物質が、処理材の保持物質に保持されるとともに、この保持物質にて保持された有害物質が二酸化チタンの光触媒機能により不活性化される。また、流入口から流入された被処理体は、対をなす基材のいずれか一方と壁材との間を通過した後、これら基材のいずれか他方と壁材との間を通過して、流入口に隣接した基材間における一端部に設けた流出口から流出される。この結果、狭い空間にて被処理体をより的確に処理できるから、被処理体を的確に処理する処理ユニットの小型化が容易になる。
【0011】
請求項2記載の有害物質の処理ユニットは、請求項1記載の有害物質の処理ユニットにおいて、処理材は、保持物質を二酸化チタンの表面に架橋する架橋部を備えているものである。
【0012】
そして、処理材の保持物質を架橋部にて二酸化チタンの表面に架橋させることにより、この二酸化チタンの表面に保持物質をより容易かつ確実に設けられる。
【0013】
請求項3記載の有害物質の処理ユニットは、請求項1または2記載の有害物質の処理ユニットにおいて、壁体は、光不透過性材料にて形成されているものである。
【0014】
そして、対をなす基材間に配設した壁体を光不透過性材料にて形成したので、この壁材が光源からの紫外線を透過しない。このため、この壁体と対をなす基材との間を通過する被処理体に紫外線が透過しなくなるから、光源からの紫外線による被処理体の構成成分の変性が防止され、より的確に被処理体を処理できる。
【0015】
請求項4記載の有害物質の処理ユニットは、請求項1ないし3いずれか記載の有害物質の処理ユニットにおいて、流入口および流出口は、対をなす基材間における一端部に複数設けられているものである。
【0016】
そして、対をなす基材間における一端部に複数の流入口および流出口を設けることにより、これら対をなす基材と壁体との間を通過する際における被処理体の乱流が防止されるので、これら対をなす基材と壁体との間を通過する被処理体がより確実に処理される。
【0017】
請求項5記載の有害物質の処理装置は、請求項1ないし4いずれか記載の有害物質の処理ユニットと、この処理ユニットの光源からの放熱を抑制する冷却手段とを具備しているものである。
【0018】
そして、請求項1ないし4いずれか記載の有害物質の処理ユニットの光源からの放熱を冷却手段が抑制するから、これら請求項1ないし4いずれか記載の有害物質の処理ユニットと同様の作用を有するとともに、この光源からの放熱による被処理体の不適切な加温が防止されるから、この被処理体の構成成分の変性が防止される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態の有害物質の処理装置の構成を図面を参照して説明する。
【0020】
図1において、1は処理装置で、この処理装置1は、液相および気相の少なくともいずれか1つの形態を採る被処理体を処理する複数、例えば3つの処理ユニット2a,2b,2cを備えている。ここで、被処理体は、例えばウィルスや細菌、毒素などで特に特異的な結合性もしくは、抗原性を示す構成蛋白を有した有害物質3が混入あるいは混入のおそれがあるものである。
【0021】
そして、図2および図3に示すように、これら処理ユニット2a,2b,2cそれぞれは、ポリカーボネートなどの合成樹脂製であり中空な細長直方体状のユニット本体としての容器であるカラム4を備えている。このカラム4の互いに対向する両側面には、矩形状の開口部5a,5bがそれぞれ開口されており、これら開口部5a,5bは、矩形平板状の基材としての透光板6a,6bにてそれぞれ閉塞されている。この結果、これら透光板6a,6bは、これら透光板6a,6bそれぞれの面方向を平行にした状態で、互いに平行に離間されて配設されている。また、これら各透光板6a,6bは、紫外線を透過するとともに高い光透過性を有した石英ガラスなどにて成形されたシート状である。さらに、これら透光板6a,6bそれぞれの内側面略全域には、被処理体に混入または混入するおそれのある有害物質3を保持して不活性化させる処理材7が取り付けられている。
【0022】
この処理材7は、図5に示すように、透光板6a,6bそれぞれの内側面全域に亘って成膜、すなわちコートされ、有害物質3を光触媒機能により不活性化する遷移金属酸化物としての二酸化チタン(TiO)膜8を備えている。この二酸化チタン膜8は、透光板6a,6bの内表面に常圧CVD(Chemical Vapor Deposition)法、すなわち化学蒸着法により成膜されている。さらに、これら二酸化チタン膜8の表面には、特定の有害物質3のみを保持する特異性を有する選択的受容体としての保持物質9が架橋部としての架橋分子11を介して架橋されている。
【0023】
ここで、保持物質9は、菌体において強い抗原性を示す部位である保持部としての図示しない抗原認識部位を備えており、この抗原認識部位は、表1に示すように、主に3通りあり、菌種によって抗原性が異なる。例えば、細菌である大腸菌O−157は、O抗原の157番目を示す。これら特異的な抗原性を示すいずれの細菌が対称となる。また、ウィルスとしては、例えば表2に示すように、構成蛋白の中で強い結合性を示す蛋白を有するいずれのウィルスが対称となる。さらに、毒素としては、例えば表3に示す各種細菌産生の毒素の他に、ふぐ毒(テトロドトキシン)、蛇毒、サソリや蜂、クモなどの昆虫の毒など、特定の抗原性を示すいずれの毒素が対象となる。
【0024】
【表1】
Figure 0004043212
【0025】
【表2】
Figure 0004043212
【0026】
【表3】
Figure 0004043212
【0027】
さらに、保持物質9の結合は、図1に示すように、例えば二酸化チタン膜8の表面に結合する水酸基にシランカップリング剤としてのアミノアルキルエトキシシランである3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AminoPropylTriEthoxySilane:APTES)12が結合され、この結合されたAPTES12のアミノ基にグルタルアルデヒド13が結合され、この結合されたグルタルアルデヒド13の末端のアルデヒド基に蛋白質である保持物質9のアミノ基が結合され、シッフ塩基の還元、すなわち保持物質9を結合した後にAPTES12およびグルタルアルデヒド13間の結合およびグルタルアルデヒド13および保持物質9間の結合の二重結合を還元して結合される。
【0028】
なお、この保持物質9としては、表1に示す細菌の特異的な抗原性に対する特異抗体、表2に示すウィルスの特異的な強い結合性を示す構成蛋白に対する受容体(レセプタ)、表3に示す毒素の抗体など、有害物質3のみと結合する特異性を有したアミノ基を有するものや特異性を有した蛋白質など、有害物質3を特異的に保持するものが用いられる。ここで、有害物質3の保持とは、吸着などの物理的な結合や化学結合などの化学的な結合など、有害物質3を留めておくいずれの形態をいう。
【0029】
さらに、各処理ユニット2a,2b,2cのカラム4内における透光板6a,6b間には、このカラム4の長手方向に面方向が沿った状態で、合成樹脂製の壁材としての略矩形平板状の間仕切板14が配設されている。この間仕切板14は、カラム4内における透光板6a,6b間の中間域に配設されており、後述する紫外線ランプ33a,33bからの光を遮断、すなわち不透過性材料にて形成されている。
【0030】
また、この間仕切板14の長手方向における両端部は、カラム4内における長手方向の両端部にそれぞれ液密に接続されている。さらに、この間仕切板14の長手方向における他端域には、一方の透光板6aおよび間仕切板14の間と、他方の透光板6bおよび間仕切板14との間を連通させる連通孔15が開口されている。この結果、この連通孔15は、一方の透光板6aと間仕切板14との間から他方の透光板6bと間仕切板14との間へと流路を連通させる。
【0031】
そして、各処理ユニット2a,2b,2cそれぞれの間仕切板14と一方の透光板6aとの間におけるカラム4の一端部である上端部には、この一方の透光板6aと間仕切板14との間に被処理体を流入させる複数、例えば3つの流入口21a,21b,21cが開口されている。これら流入口21a,21b,21cは、カラム4の幅方向に沿った状態で等間隔に離間されてこのカラム4の上端部に設けられている。
【0032】
また、これら流入口21a,21b,21cには、これら流入口21a,21b,21cに配液管としての可撓性を有する細長円筒状の輸液チューブ22の軸方向における一端部を液密に接続させる流入管23a,23b,23cがそれぞれ液密に連通接続されて設けられている。ここで、輸液チューブ22は、ナイロンなどの材質で成形され、人工透析などの医療機器で広く利用されているものである。
【0033】
さらに、各処理ユニット2a,2b,2cそれぞれの間仕切板14と他方の透光板6bとの間におけるカラム4の上端部には、この他方の透光板6bと間仕切板14との間から被処理体を流出させる複数、例えば3つの流出口24a,24cが開口されている。これら流出口24a,24cは、流入口21a,21b,21cに隣接した位置であるカラム4の上端部に、このカラム4の幅方向に沿った状態で等間隔に離間されて設けられている。また、これら流出口24a,24cには、これら流出口24a,24cに輸液チューブ22の軸方向における一端部を液密に接続させる流出管25a,25b,25cがそれぞれ液密に連通接続されて設けられている。
【0034】
この結果、流入管23a,23b,23cに接続した輸液チューブ22から一方の透光板6aと間仕切板14との間に流入された被処理体は、この一方の透光板6aと間仕切板14との間を他端側としての下端側へと流れた後、連通孔15を通過して、他方の透光板6bと間仕切板14との間へと流れ、さらにこの他方の透光板6bと間仕切板14との間から流出管25a,25b,25cを介して、これら流出管25a,25b,25cに接続された輸液チューブ22へと流出される。
【0035】
また、各処理ユニット2a,2b,2cのカラム4の厚さ方向における一側面である一方の透光板6aに面した面には、この一方の透光板6aを介して処理材7の二酸化チタン膜8に紫外線を照射させて、この二酸化チタン膜8を光励起させる光源ユニットとしての紫外線ランプユニット31が取り付けられている。この紫外線ランプユニット31は、合成樹脂製である矩形枠状の枠体32を備えている。この枠体32の長手方向における外寸法は、カラム4の長手方向における外寸法より短い。また、この枠体32の長手方向における内寸法は、透光板6a,6bの長手寸法より長い。さらに、この枠体32の幅方向における外寸法は、カラム4の幅方向における外寸法に略等しい。また、この枠体32の幅方向における内寸法は、透光板6a,6bの幅寸法より長い。
【0036】
そして、この枠体32の長手方向における両端内縁間には、紫外線などの光を照射する光源としての複数、例えば2つの円筒状の紫外線ランプ33a,33bが橋渡しされた状態で取り付けられている。図4に示すように、これら紫外線ランプ33a,33bそれぞれの両端部は、枠体32の長手方向における両端内縁にそれぞれ接続されている。また、これら紫外線ランプ33a,33bは、枠体32の幅方向おける中心域に並列に離間されて配設されている。
【0037】
さらに、これら紫外線ランプ33a,33bは、波長300nm〜400nmの光を発する蛍光灯としてのブラックライトや、波長254nmの光を主に発する低圧水銀ランプなどがよいが、例えばピーク波長が約600nmの可視光を照光する蛍光ランプなどでもよい。また、これら紫外線ランプ33a,33bは、波長300nm〜400nmにかけてブロードに分布し、二酸化チタン膜8の光触媒反応に必要な波長が380nm以下の紫外線を十分に発することが可能な水銀ランプ(HLランプ:株式会社ノリタケカンパニーリミテド製)がより好ましい。
【0038】
なお、可視光から赤外線以上の長波長の光では、二酸化チタン膜8が光励起されなくなって光触媒機能が得られなくなり、また、波長が短すぎると光により被処理体の構成成分が変性したり処理材7が損傷するおそれがあることから、可視光から紫外線の領域である略150nm以上略600nm以下にピーク波長を有する紫外線ランプ33a,33bが用いられる。
【0039】
また、処理装置1は、各処理ユニット2a,2b,2cの紫外線ランプ33a,33bから光を照射させた際に、これら紫外線ランプ33a,33bから生じる放熱を抑制、すなわち冷却して、各処理ユニット2a,2b,2c内を通過する被処理体の温度上昇を防止する冷却手段としての冷却ユニット41を備えている。この冷却ユニット41は、中空直方体状の容器42を備えており、この容器42の内部には、互いに連結された各処理ユニット2a,2b,2cが収容されている。
【0040】
さらに、この容器42の一側面には、外部の雰囲気、すなわち外気を容器42内へと送風、すなわち吸気させる送風手段としてのファン43が取り付けられている。このファン43は、各処理ユニット2a,2b,2cの紫外線ランプ33a,33bと透光板6a,6bとの間を効率良く空気が通過するように、これら各処理ユニット2a,2b,2cを容器42内に収容させた状態で、これら各処理ユニット2a,2b,2cの側面に位置している。また、このファン43と対向する容器42の一側面には、このファン43にて容器42内へと送風した空気を外部へと送風、すなわち排気させる複数、例えば8個の排気口44が開口されている。
【0041】
これら各排気口44は、容器42内に各処理ユニット2a,2b,2cを収容させた状態で、これら各処理ユニット2a,2b,2cの紫外線ランプ33a,33bと透光板6a,6bとの間に位置している。また、容器42の幅方向の両側に位置する排気口44は、この容器42の側面と処理ユニット2a,2b,2cの両側に位置する紫外線ランプ33a,33bとの間に位置している。
【0042】
次に、処理ユニットから処理装置を組み立てる動作を図1を参照して説明する。
【0043】
まず、処理ユニット2aの紫外線ランプユニット31が取り付けられていない側に、処理ユニット2bの紫外線ランプユニット31が取り付けられている側を接触させて接続するとともに、この処理ユニット2bの紫外線ランプユニット31が取り付けられていない側に、処理ユニット2cの紫外線ランプユニット31が取り付けられている側を接触させて接続する。
【0044】
次いで、この処理ユニット2cの紫外線ランプユニット31が取り付けられていない側に、紫外線ランプユニット31を接触させて接続する。
【0045】
そして、処理ユニット2aの流出管25a,25b,25cと処理ユニット2bの流入管23a,23b,23cとの間を輸液チューブ(テルモ株式会社製)22で連結するとともに、この処理ユニット2bの流出管25a,25b,25cと処理ユニット2cの流入管23a,23b,23cとの間を輸液チューブ22で連結する。この結果、各処理ユニット2a,2b,2cの流路が直列に連結されている。
【0046】
このとき、各紫外線ランプユニット31の紫外線ランプ33a,33bの外表面から最も近接する処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6bまでの距離を10mmとなるように設置し、各処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6bの外表面での紫外線ランプ31による紫外線強度を測定したところ、3000μW/cmであった(紫外線強度計;受光部UM-360、ミノルタ株式会社製)。
【0047】
さらに、直列に接続された各処理ユニット2a,2b,2cおよび紫外線ランプユニット31を冷却ユニット41内に設置する。
【0048】
次に、上記一実施の形態の処理材の製造方法を説明する。
【0049】
まず、石英ガラスや強化ガラスなどの比較的紫外線を良好に透過する材質にて透光板6a,6bを作製する。
【0050】
そして、これら透光板6a,6bの片側の表面のみに、常圧CVD法にて二酸化チタン膜8をコートする。このとき、この二酸化チタン膜8により被処理体としての血液中の血漿成分などが変性されず、光触媒活性に必要な紫外線が吸収でき、十分な抗菌性を持ちつつ、この二酸化チタン膜8が透光板6a,6bから剥離しない最適な膜厚となるように、この二酸化チタン膜8の膜厚を制御する。
【0051】
次いで、APTES12の脱水トルエン溶液の蒸気相をつくり、この蒸気相が導入された図示しない蒸気槽内に、二酸化チタン膜8がコートされた透光板6a,6bを静置させ、図6(a)に示すように、シランカップリング反応による化学結合によりAPTES12を透光板6a,6bの二酸化チタン膜8の表面に固定化する。
【0052】
この後、脱水エタノール、脱水トルエン、1mM NaOH水溶液、1mM HNO水溶液を用いてAPTES12が固定化された透光板6a,6bを数回洗浄した後、超純水で洗浄し、窒素ガスを用いて転操させる。
【0053】
さらに、図6(b)に示すように、0.1M リン酸カリウム緩衝液で濃度3.0%に調整したグルタルアルデヒド13の溶液を作製し、APTES12が固定化された透光板6a,6bを浸漬して室温にて30分間静置する。
【0054】
この後、図6(c)に示すように、グルタルアルデヒド13が導入された透光板6a,6bを、0.1M リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)にて十分に攪拌洗浄した後、蛋白質である保持物質9、例えばHIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウィルス)が結合する受容体としてのT細胞表面の蛋白成分であるCD4水溶液(CD4;[Cys(Bzl)]84-Fragment 81-92 シグマアルドリッチ社製 リン酸緩衝液にて濃度10μg/mlに調整)を添加し、4℃で24時間静置する。このとき、図6(d)に示すように、このCD4のアミノ基をグルタルアルデヒド13のアルデヒド基に結合させ、透光板6a,6bにCD4を保持させる。
【0055】
さらに、CD4が保持された透光板6a,6bを脱水した後、1M Tris HCl緩衝液(pH7.5)にて室温で1時間反応させてグルタルアルデヒド13のアルデヒド基を不活化させ、さらに、NaBHを添加することによりシッフ塩基を還元し、透光板6a,6bに導入された架橋分子11にCD4を固定化させて、図6(e)に示すように、医科学用バイオリアクターである処理材7を透光板6a,6bの片側のみに調製する。
【0056】
次に、上記一実施の形態の被処理体の処理動作を説明する。
【0057】
まず、図7に示すように、図示しない人体の静脈から輸液チューブ51にて流出された被処理体としての血液を、血圧測定器52にて圧力を測定しながら血液ポンプ53にて所定の圧力にする。
【0058】
この後、この血液ポンプ53にて所定の圧力にされた血液を、この血液の分離前後の圧力を測定しながら、血漿分離器54にて血漿成分と血球成分とに分離する。
【0059】
そして、この血漿分離器54にて分離された血漿成分を、血圧測定器55にて圧力を測定しながら、血漿ポンプ56にて所定の圧力にする。
【0060】
さらに、この血漿ポンプ56にて所定の圧力にされた血漿成分を、処理装置1の各紫外線ランプ33a,33bから光を照射させつつこれら紫外線ランプ33a,33bを冷却ユニット41のファン43を駆動させて冷却させた状態で、この処理装置1の処理ユニット2aの流入管23a,23b,23cへと送り、この処理ユニット2aの一方の透光板6aと間仕切板14との間に流入させる。
【0061】
このとき、この処理ユニット2aの一方の透光板6aと間仕切板14との間に流入された血漿成分は、この処理ユニット2aの連通孔15を通過してこの処理ユニット2aの他方の透光板6bと間仕切板14との間へと流入していく。
【0062】
そして、この処理ユニット2aの他方の透光板6bと間仕切板14との間に流入した血漿成分は、この処理ユニット2aの流出管25a,25b,25cから輸液チューブ22を介して処理ユニット2bの流入管23a,23b,23cへと送られて、この処理ユニット2bの一方の透光板6aと間仕切板14との間に流入される。
【0063】
このとき、この処理ユニット2bの一方の透光板6aと間仕切板14との間に流入された血漿成分は、この処理ユニット2bの連通孔15を通過してこの処理ユニット2bの他方の透光板6bと間仕切板14との間へと流入していく。
【0064】
また、この処理ユニット2bの他方の透光板6bと間仕切板14との間に流入した血漿成分は、この処理ユニット2bの流出管25a,25b,25cから輸液チューブ22を介して処理ユニット2cの流入管23a,23b,23cへと送られて、この処理ユニット2cの一方の透光板6aと間仕切板14との間に流入される。
【0065】
このとき、処理ユニット2cの一方の透光板6aと間仕切板14との間に流入された血漿成分は、この処理ユニット2cの連通孔15を通過してこの処理ユニット2cの他方の透光板6bと間仕切板14との間へと流入していく。
【0066】
ここで、各処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6bと間仕切板14との間を血漿成分が通過する際には、これら各処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6bの内側に設けた処理材7の保持物質9に吸着などにて結合する。
【0067】
さらに、この処理材7の保持物質9に保持された有害物質3は、紫外線ランプ33a,33bからの光の照射により光励起された二酸化チタン膜8の光触媒機能による強い酸化力により不活性化される。
【0068】
すなわち、紫外線ランプ33a,33bからの光が照射された二酸化チタン膜8の表面に付着する水分(H2O)や空気中の水分が、この二酸化チタン膜8に衝突することにより、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成する酸化反応が生じるとともに、酸素が衝突することによりスーパーオキサイドアニオン(・O2 -)が生成する還元反応が生じる光触媒作用が起こる。この光触媒作用により、血漿成分が浄化され、例えば有害物質3による発病などが防止される。
【0069】
さらに、処理ユニット2cの他方の透光板6bと間仕切板14との間に流入した血漿成分は、この処理ユニット2cの流出管25a,25b,25cから輸液チューブ57を介してフィルタ58へと送られて、このフィルタ58にて処理材から剥離して血漿成分中に漂う保持物質9などがフィルタリングされる。
【0070】
そして、このフィルタ58にてフィルタリングされた血漿成分を、血球成分と混合させた後の圧力を血圧測定器59にて測定しながら、血漿ポンプ61にて所定の圧力にした後、加温器62にて所定の温度に加温する。
【0071】
この後、この加温器62にて所定の温度に加温された血漿成分を、血漿分離器54にて分離された血球成分と混合した後、輸液チューブ63を介して人体の静脈へと送る。
【0072】
次に、上記一実施の形態の処理材の作用を実験例を参照して説明する。
【0073】
(実験例1)
上述の処理装置1による抗HIV評価について実験した。
【0074】
まず、p24抗原濃度50ng/mlに調整したHIV溶液(溶媒:メディウム培地)を図示しない輸液ポンプにて100ml/hrの速度で処理装置1の処理ユニット2aの流入管23a,23b,23cに送り込んだ。
【0075】
このとき、この輸液ポンプを作動させると同時に、紫外線ランプ33a,33bを点灯させて、波長300nm〜400nmの紫外線を照射させた。
【0076】
そして、試験開始30分後に、処理装置1の処理ユニット2cの流出管25a,25b,25cから流出され、図示しない採取容器に溜まった液体から、500μlずつ10検体サンプリングし、これら10検体それぞれに宿主細胞であるH9細胞を混和した後、37℃、5%COのインキュベーターにて14日間培養した。
【0077】
この後、培養後の10検体における感染細胞より産生される培養上清中のp24抗原量を測定し、処理後の残存感染ウィルス量を間接的に測定した。
【0078】
この結果、10検体すべてにおいて、HIVが不活化していることが判明した。
【0079】
上述したように、上記一実施の形態によれば、各処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6b間に紫外線ランプユニット31を配設するとともに、両側に位置する処理ユニット2a,2cの両側に紫外線ランプユニット31を配設したので、これら各紫外線ランプユニット31の紫外線ランプ33a,33bを点灯させることにより、これら紫外線ランプ33a,33bの両側に位置する透光板6a,6bがこれら紫外線ランプ33a,33bからの光を均一に受光するとともに、これら紫外線ランプ33a,33bの近接した側方に位置する処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6bの二酸化チタン膜8のみが均一に光励起される。このため、これら透光板6a,6bそれぞれの二酸化チタン膜8による光触媒機能を効率良くできるとともに、処理装置1をコンパクト化できる。
【0080】
また、処理装置1の各処理ユニット2a,2b,2cの間仕切板14が紫外線ランプからの光を透過しないので、各処理ユニットの透光板と間仕切板との間を流れる血液や血漿成分などの被処理体には、紫外線ランプ33a,33bからの光が透過しないから、これら紫外線ランプ33a,33bからの光による被処理体の構成成分、例えば血液成分および血漿成分の変性を確実に防止できる。
【0081】
さらに、各処理ユニット2a,2b,2cの流出管25a,25b,25cと流入管23a,23b,23cとを輸液チューブ22にて直列に接続したため、処理ユニット2aの流入管23a,23b,23cから流入させた被処理体は、各処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6bと間仕切板14との間を順次通過した後に処理ユニット2cの流出管25a,25b,25cから流出される。このため、狭い空間で被処理体を処理する流路が長くなり、各処理ユニット2a,2b,2c内を被処理体が通過する時間が長くなるので、この被処理体中の有害物質3をより的確に処理材7の保持物質9にて保持でき、さらには、この保持物質9が保持した有害物質3を二酸化チタン膜8の光触媒機能による不活性化率を向上でき、被処理体を的確に処理する処理ユニット2a,2b,2cを小型化できる。
【0082】
また、シランカップリング剤であるAPTES12およびグルタルアルデヒド13にて構成された架橋分子11を介して二酸化チタン膜8の表面に保持物質9を架橋させることにより、この二酸化チタン膜8の表面に保持物質9をより容易かつ確実に固定化できる。
【0083】
さらに、各処理ユニット2a,2b,2cの上端部にカラム4の幅方向に亘って等間隔に離間して複数の流入管23a,23b,23cおよび流出管25a,25b,25cを設けたので、これら流入管23a,23b,23cからカラム4内に被処理体が流入される際に生じる乱流や、これら流出管25a,25b,25cを介して外部へと流出される際にカラム4内に生じる乱流をそれぞれ防止できるから、これら処理ユニット2a,2b,2cにて処理される被処理体をより均一かつ確実に処理できる。
【0084】
そして、冷却ユニット41のファン43を駆動させることにより、このファン43から排気口44へと空気が送風されるので、紫外線ランプ33a,33bを点灯させた際に生じるこれら紫外線ランプ33a,33bからの発熱を抑制できる。このため、これら紫外線ランプ33a,33bからの放熱による被処理体の不適切な加温を防止できるので、この被処理体の構成成分の変性をより防止できる。
【0085】
また、冷却ユニット41の容器42内に各処理ユニット2a,2b,2cを収容させた際に、これら各処理ユニット2a,2b,2cの紫外線ランプ33a,33bと透光板6a,6bとの間、およびこの容器42の側面と処理ユニット2a,2b,2cの両側に位置する紫外線ランプ33a,33bとの間に排気口44をそれぞれ開口したので、ファン43による送風にて効率良く各紫外線ランプ33a,33bを冷却できる。
【0086】
なお、上記一実施の形態では、有害物質3としてウィルスであるHIVを対象として実験したが、表2に示すように、ウィルスは、特異的に抗原性を有し、この抗原性に対する特異的な抗体が存在し、この抗体に対して特異的に抗原性を示す蛋白質の保持物質9が存在するいずれのウィルスをも対象とできる。
【0087】
また、有害物質3として細菌である大腸菌を対象として実験したが、表1および表3に示すように、細菌、毒素は特異的に抗原性を有し、この抗原性に対する特異的な抗体が存在し、この抗体に対して特異的に抗原性を示す蛋白質の保持物質9が存在するいずれの細菌、毒素をも対象とできる。
【0088】
すなわち、このようなウィルス、細菌および毒素は、光触媒機能を有した二酸化チタン膜8に架橋分子11を介して所定の保持物質9を結合させることにより、この保持物質9にて容易に保持され、二酸化チタン膜8による光触媒機能に特定の有害物質3の選択保持能を付与できる。
【0089】
そして、保持物質9としては、蛋白質に限らず架橋分子11の末端のアルデヒド基に結合するアミノ基を有するいずれのものでも適用できる。
【0090】
お、上述のように、二酸化チタンは、光触媒機能が極めて強い酸化力を示すとともに安定性が高く、さらには常温空気存在化で表面に架橋分子11が結合するための水酸基を有している。また、表面に水酸基があまり存在しない二酸化チタンを用いる場合には、例えば酸により処理して表面に水酸基を形成させてから架橋分子11を結合させる。
【0091】
さらに、架橋分子11としては、APTES12およびグルタルアルデヒド13を用いたものに限らず、保持物質9を二酸化チタン膜8の表面に保持できるいずれの構成でもよい。
【0092】
そして、処理する被処理体に混入する有害物質3が複数存在する場合には、例えばそれぞれに対応する複数種の保持物質9を透光板6a,6bの二酸化チタン膜8に保持させた処理ユニット2a,2b,2cや、複数の処理ユニット2a,2b,2cを直列状に接続し、これら処理ユニット2a,2b,2cの透光板6a,6bにそれぞれ異なる特定の有害物質3に対応する保持物質9を保持させた処理材7を固定化させて処理することもできる。
【0093】
さらに、被処理体を処理材7に接触させつつ光を照射して保持した有害物質3を不活性化する連続処理に限らず、光を照射することなく被処理体を処理材と接触させて有害物質3を保持物質9に保持させ、被処理体の処理材7との接触を終了させてから光を照射して、予め保持して捕捉した有害物質3を不活性化する間欠処理でもよい。なお、この間欠処理では、光触媒機能による被処理体の構成成分の変性を確実に防止できるとともに、分解された有害物質3の一部の構成成分が剥離などして被処理体に再び混入することをも確実に防止できる。
【0094】
さらに、二酸化チタン膜8の表面に保持物質9を架橋分子11を介して架橋させた構成に限らず、この架橋分子11を用いない吸着などのいずれの状態で連結させてもよく、架橋分子11の一部のみに保持物質9を設けてもよく、架橋分子11に異なる特性を有する保持物質9を結合させてもよい。
【0095】
また、被処理体の構成成分が処理材7の二酸化チタン膜8に接触できない密な状態となるように、この処理材7の二酸化チタン膜8の表面に架橋分子11や保持物質9を固定させて、この二酸化チタン膜8の表面を覆うなどしてもよい。この結果、被処理体の構成成分が二酸化チタン膜8に接触しない構成となるから、確実に被処理体の構成成分の変性を防止できる。
【0096】
さらに、3つの処理ユニット2a,2b,2cの流出管25a,25b,25cと流入管23a,23b,23cとを直列状に接続した処理装置1について説明したが、処理する被処理体に応じて複数の処理ユニット2a,2b,2c間を並列状に接続できるとともに、より多数の処理ユニット2a,2b,2cを直列状または並列状に必要に応じて適宜接続できる。また、複数の処理ユニット2a,2b,2c間を並列に接続した場合には、これら処理ユニット2a,2b,2cを直列式に接続した場合に比べ、所定時間当りに対する被処理体の処理量を多くできる。さらに、互いに接続する処理ユニット2a,2b,2cの個数は任意であり、処理量によって最適数を決定すればよい。
【0097】
また、冷却ユニット41は、各処理ユニット2a,2b,2cの紫外線ランプ33a,33bからの発熱を防止して、これら紫外線ランプ33a,33bからの放熱による被処理体の不適切な加温を防止でき、この被処理体の構成成分の変性を防止できれば、どのような構成であってもよい。
【0098】
【発明の効果】
請求項1記載の有害物質の処理ユニットによれば、光源からの波長380nm以下の紫外線の照射で二酸化チタンを光励起させた状態で、液相および気相の少なくともいずれか1つの形態を採る被処理体を流入口から流入させると、この被処理体が基材のいずれか一方と壁材との間を通過した後、これら基材のいずれか他方と壁材との間を通過し流出口から流出されるとともに、これら基材の保持物質に、被処理体に混入または混入するおそれのあるウィルス、細菌および毒素のいずれかの有害物質が保持され、この保持物質にて保持された有害物質が二酸化チタンの光触媒機能にて不活性化されるので、狭い空間にて被処理体をより的確に処理できるから、被処理体を的確に処理する処理ユニットの小型化を容易にできる。
【0099】
請求項2記載の有害物質の処理ユニットによれば、請求項1記載の有害物質の処理ユニットの効果に加え、処理材の保持物質を架橋部にて二酸化チタンの表面に架橋させれば、この二酸化チタンの表面に保持物質をより容易かつ確実に設けられる。
【0100】
請求項3記載の有害物質の処理ユニットによれば、請求項1または2記載の有害物質の処理ユニットの効果に加え、基材間に配設した壁体を光不透過性材料にて形成したので、この壁材が光源からの紫外線を透過しないため、この壁体と基材との間を通過する被処理体に紫外線が透過しなくなり、光源からの紫外線による被処理体の構成成分の変性を防止でき、より的確に被処理体を処理できる。
【0101】
請求項4記載の有害物質の処理ユニットによれば、請求項1ないし3いずれか記載の有害物質の処理ユニットの効果に加え、基材間の一端部に複数の流入口および流出口を設けたので、これら基材と壁体との間を通過する際の被処理体の乱流を防止できるから、これら基材と壁体との間を通過する被処理体をより確実に処理できる。
【0102】
請求項5記載の有害物質の処理装置によれば、請求項1ないし4いずれか記載の有害物質の処理ユニットの光源からの放熱を冷却手段が抑制するから、これら請求項1ないし4いずれか記載の有害物質の処理ユニットと同様の効果を奏することができるとともに、この光源からの放熱による被処理体の不適切な加温を防止できるから、この被処理体の構成成分の変性を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の有害物質の処理装置を示す説明側面図である。
【図2】 同上処理装置の処理ユニットを示す説明側面図である。
【図3】 同上処理ユニットの一部を示す説明側面図である。
【図4】 同上処理ユニットの一部を示す説明側面図である。
【図5】 同上処理ユニットの処理材を示す説明図である。
【図6】 同上処理材の製造工程を示す構造図である。
(a) 二酸化チタンにAPTESを導入する説明図
(b) 二酸化チタンに導入したAPTESにグルタルアルデヒドを導入する説明図
(c) 二酸化チタンに導入したグルタルアルデヒドに保持物質を導入する説明図
(d) 二酸化チタンに保持物質を導入した説明図
(e) 二酸化チタンに架橋部を介して保持物質を導入した説明図
【図7】 同上処理装置の使用方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 有害物質の処理装置
2a,2b,2c 有害物質の処理ユニット
3 有害物質
6a,6b 基材としての透光板
7 処理材
酸化チタ
9 保持物質
11 架橋部としての架橋分子
14 壁材としての間仕切板
21a,21b,21c 流入口
24a,24c 流出口
33a,33b 光源としての紫外線ランプ
41 冷却手段としての冷却ユニット

Claims (5)

  1. 互いに離間されて配設され光透過性を有する略平板状の対をなす基材と、
    これら対をなす基材それぞれの内側に設けられ液相および気相の少なくともいずれか1つの形態を採る被処理体に混入または混入するおそれのあるウィルス、細菌および毒素のいずれかの有害物質を光触媒機能により不活性化する二酸化チタン、およびこの二酸化チタンの表面に設けられ特定の前記有害物質のみを保持する特異性を有する保持物質を備えた処理材と、
    前記対をなす基材間に配設され、これら対をなす基材のいずれか一方との間からこれら対をなす基材のいずれか他方との間へと連通した壁材と、
    前記対をなす基材間における一端部に設けられ、これら対をなす基材のいずれか一方と前記壁材との間に被処理体を流入させる流入口と、
    この流入口に隣接した前記対をなす基材間における一端部に設けられ、これら対をなす基材のいずれか他方と前記壁材との間から被処理体を流出させる流出口と、
    前記対をなす基材を介して前記処理材に波長380nm以下の紫外線を照射させる光源と
    を具備していることを特徴とした有害物質の処理ユニット。
  2. 処理材は、保持物質を二酸化チタンの表面に架橋する架橋部を備えている
    ことを特徴とした請求項1記載の有害物質の処理ユニット。
  3. 壁体は、光不透過性材料にて形成されている
    を遮断する
    ことを特徴とした請求項1または2記載の有害物質の処理ユニット。
  4. 流入口および流出口は、対をなす基材間における一端部に複数設けられている
    ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載の有害物質の処理ユニット。
  5. 請求項1ないし4いずれか記載の有害物質の処理ユニットと、
    この処理ユニットの光源からの放熱を抑制する冷却手段と
    を具備していることを特徴とした有害物質の処理装置。
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