JP4042403B2 - インバータ試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータを負荷とするインバータの試験を行うインバータ試験装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7はモータを負荷とする従来のインバータ試験装置の一例を示す回路構成図である。
図7において、被試験インバータ100の交流出力端子のU相、V相、W相に複数の抵抗R、インダクタンスL及びスイッチからなる疑似負荷回路200をそれぞれ接続すると共に、電流制御方式の場合には、モータの角度センサ300を設けたものである。
【0003】
次に動作について説明する。
一般にインバータの制御方式は、電流制御ループによる電流制御方式と電流制御ループを持たない電圧制御方式(V/F制御等)とに大別される。
電流制御方式の場合は、角度センサ300で検出したモータ回転子の位置を示す角度θm (位相)に対して、運転条件に応じた角度θm +θc で振幅ic の所定電流が流れるように被試験インバータ100が制御される。このとき、被試験インバータ100の出力電圧の角度(電流に対する位相)と振幅が実際の負荷であるモータの運転時と同等になるように、各疑似負荷回路200のスイッチを切り換えてR,Lを選択する。尚、角度センサ300として、例えばレゾルバ、エンコーダ等を用い、上記角度θm が得られるように、角度センサ300を数ワット程度の小型のモータ(図示せず)を用いて回すことにより、角度センサ300よりθm に応じた模擬角度センサ信号Sθを発生するようになされる。
【0004】
また、電圧制御方式の場合は、運転条件に応じた角速度(出力周波数)と振幅の電圧が被試験インバータ100から出力される。このとき、被試験インバータ100の出力電流の角度(電圧に対する位相)と振幅がモータの運転時と同等になるように、各疑似負荷回路200のスイッチを切り換えてR,Lを選択する。尚、電圧制御方式の場合は、角度センサ300は省略される。
【0005】
上記のようにモータの運転状況に応じた電圧・電流の振幅、位相、力率、トルクが得られるようにR−Lを切り換えながら試験を行うことにより、発熱や電圧・電流波形等をチェックし、被試験インバータ100の評価を行う。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のインバータ試験装置では、
1、モータの力行運転での試験が行われるが、回生運転での試験は不可能
2、力行運転での様々の運転条件に対応可能とするには、疑似負荷回路200を構成するR,L,スイッチの数を多くする必要があり、このため構成が複雑になり、重量も含めて装置が大型化し、コストもかかる。
3、試験時の電力は全て熱になり、無駄になってしまう。
4、定常時の特性に合わせてR,Lを選択するので、過渡時の特性をモータ運転時と同じにすることができない。
5、電流制御方式の場合、角度センサ300から模擬角度センサ信号Sθを発生させるために、角度センサ300を回すための小型モータ等の手段を別に用意しなければならない。
等々の問題があった。
【0007】
本発明は上記の問題を解決するため、電力変換器を2つ用い、一方の電力変換器をモータの出力を仮想する負荷として、実際にモータに接続することなくモータの運転を模擬的に行うことにより、インバータの試験を行うことを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によるインバータ試験装置は、被試験用の第1のインバータの疑似負荷となる第2のインバータと、第1のインバータの交流出力が1次側に入力され、第2のインバータの交流出力が2次側に入力されるトランスと、第1のインバータの実負荷であるモータの設定された回転数に応じて第1のインバータの出力電流を所定の値に制御すると共に、回転数とモータ定数と検出された第1のインバータの出力電圧・電流に基づいて第2のインバータの出力電圧の振幅・位相を所定に制御する制御手段とを設けたものである。
【0011】
【作用】
従って、本発明によれば、モータの回転数とモータ定数を制御手段に設定すると共に、第1のインバータの出力電流・電圧を検出し、制御手段は、モータ回転数に応じて第1のインバータの出力電流を所定の値に制御すると共に、モータ回転数、モータ定数及び出力電流・電圧に基づいて第2のインバータの出力電圧の振幅・位相を制御することにより、実際のモータを接続することなく、モータを接続したのと同様の運転状態を模擬的に実現することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態によるインバータ試験装置を示す回路構成図である。
本試験装置は、IPMモータ(埋込磁石型同期モータ)を実際の負荷として想定した場合の電流制御方式によるものであり、図示のように、被試験インバータ1(以下、インバータ1と言う)に対して疑似負荷用インバータ2(以下、インバータ2と言う)を用いている。インバータ1、2としては、小型化に有利な電圧(源)型インバータが用いられる。
【0013】
図1において、商用交流電源3からの3相交流電圧はトランス4を介して整流回路5で直流電圧に変換され、試験電圧調整用のチョッパ回路6で調整された後、インバータ1に供給される。また、上記直流電圧はインバータ2にも供給される。インバータ1の交流出力端子からは、PWM変調された矩形波電圧としてのPWM1 信号が出力される。このPWM1 信号は、インダクタンスLからなるフィルタ7により正弦波に変換されてトランス8の1次側に加えられる。インバータ2の交流出力端子からは、PWM変調された矩形波電圧としてのPWM2 信号が出力される。このPWM2 信号は、インダクタンスl、コンデンサc、抵抗rからなるフィルタ9を介して基本波の正弦波が取り出され、トランス8の2次側に加えられる。尚、フィルタ7におけるインダクタンスLは、負荷としてのモータのインダクタンスに相当するものである。
【0014】
インバータ1から出力される上記PWM1 信号のU相及びW相の各電流iu ,iw (電流制御方式により所定の値に制御される)が変流器10で検出されてモータ模擬運転制御部11に加えられる。また、上記PWM1 信号をフィルタ7を通じて得られる正弦波の電圧vu ′,vw ′が検出されてモータ模擬運転制御部11に加えられる。
【0015】
モータ模擬運転制御部11には、負荷としてのモータの運転条件とモータ特性が入力され設定される。運転条件としては、所望のモータ速度N、トルク(負荷)、制御モード等である。モータ特性としては、モータ定数や電圧・電流方程式である。モータ定数は、モータ等価回路の各構成要素である。IPMモータの場合のモータ定数としては、モータの電機子抵抗R、モータ固定子上のd,q直交座標軸におけるd軸上のモータインダクタンLd とq軸上のモータインダクタンスLq 、モータ誘起電圧定数φa 及びフィルタ7のインダクタンスLが入力される。また、モータ模擬運転制御部11には、角度センサ模擬制御部12が設けられている。
【0016】
次にインバータ1の試験について原理的に説明する。
インバータ1とインバータ2をインピーダンスを介して接続された2つの交流電圧源として考えた場合、インバータ1、2の各出力電圧の関係によってインバータ1から見たインピーダンスが変化する。このインピーダンスはモータの負荷インピーダンスに相当する。例えば各出力電圧を同相とすれば、インバータ1の負荷インピーダンスは各出力電圧の振幅に応じた抵抗成分となる。また、インバータ1の出力電圧の位相に対して電流が90°遅れるようにインバータ2の出力電圧を制御すれば、負荷インピーダンスはインダクタンス成分となる。即ち、インバータ1の出力電圧に対してインバータ2の出力電圧の振幅・位相を制御することにより、負荷インピーダンスが可変となる。
【0017】
従って、本実施の形態によれば、疑似負荷としてのインバータ2の出力電圧の振幅・位相を制御することにより、実際の負荷であるモータを模擬的に運転した状態とすることができる。これにより、任意の運転条件で任意の負荷におけるインバータ1の試験を行うことができる。
【0018】
次に、実際の試験動作について説明する。
電流制御方式によるインバータ1の試験を行う場合は、インバータ1の出力電流iu ,iw は、インバータ2の出力電圧に関わらず所定の値に制御される。尚、図示のインバータ1は、電流制御を行うための制御回路を含むものとする。
モータ模擬運転制御部11には、前述した運転条件であるNとモータ定数であるR,Ld ,Lq ,L,φa がオペレータにより入力設定される。角度センサ模擬制御部12は、Nに応じた模擬角度センサ信号Sθを出力し、インバータ1はこの模擬角度センサ信号Sθに基づいて出力電流が所定の値に制御される。
【0019】
また、モータ模擬運転制御部1は、運転条件N,モータ定数R,Ld ,Lq ,L,φa に基づいてインバータ2をスイッチングするゲート信号を生成して出力し、インバータ2はこのゲート信号に応じて動作する。即ち、インバータ2は、インバータ1の動作に応じた電圧・電流の振幅・位相となるように制御されることになる。モータ模擬運転制御部11は、インバータ1の出力電流iu ,iw 及び出力電圧vu ′,vw ′を見ながら制御を行う。出力電圧vu ′,vw ′の振幅・位相は、負荷により決まる。
【0020】
即ち、インバータ1の出力電流が一定の状態において、出力電圧の振幅・位相が所望となるようにインバータ2の出力電圧の振幅・位相を制御することにより、インバータ1にあたかもモータが接続されているかのような状態でインバータ1の試験を行うことができる。
以上により、モータの任意の運転条件に応じて任意の力率、負荷のインピーダンスを設定して、インバータ1の試験を行うことができる。
【0021】
次に、本実施の形態においては、インバータ1とインバータ2との間にトランス8を設けて両者を直流的に絶縁することにより、インバータ1の3相出力電圧の中性点変動の影響をなくし、良好な制御が行われるようにしている。
即ち、インバータにおいては、図2(a)に示すように、出力電圧(線間電圧)の範囲を広げるために、中性点電圧変動回路15により中性点電圧を所定のタイミングで変動させることがある。この場合、負荷がモータの場合は、中性点電圧がどのように変動してもモータへの影響はないが、図2(b)のように負荷がインバータ2の場合は、中性点電圧変動回路15、16により中性点電圧を変動させると、その影響によりインバータ1とインバータ2との間に実際のモータ電流とは無関係な電流ix が流れてしまう。この電流ix をゼロに制御することは困難である。そこで、本実施の形態においては、トランス8を設けることにより、上記電流ix を遮断するようにしている。
【0022】
次に、インバータ1、2の各出力電圧はPWM波形であり、遅れなしでインバータ1の基本波電圧の振幅と位相を検出することが難しいため、フィルタ7、9によりPWM波形を正弦波状にして、トランス8の1次側の電圧vu ′,vw ′を検出する。この電圧と電流iu ,iw に基づいてインバータ1の出力電圧vuを次式により算出する。
vu =L・iu +vu ′───(1)
【0023】
負荷がIPMモータの場合は、
【0024】
【数1】
【0025】
による電圧方程式を満足するように制御が行われる。(2)式において、
Vd , Vq :d,q軸の電機子電圧、id , iq :d,q軸の電機子電流、R:電機子抵抗、Ld , Lq :d,q軸インダクタンス、ωm :角速度(Nに対応)、p:d/dt、φa :永久磁石による電機子鎖交磁束の最大値×(3/2の平方根)、pn :極対数である。Tは出力トルクで
T=〔pn {φa iq +(Ld −Lq )id iq }〕───(3)
である。
【0026】
図3は上記(2)式による電圧変換方程式をハード構成で実現した場合のモータ模擬運転制御部11を示すもので、加算器、乗算器、補正回路、微分回路、2/3回路(3相−2相変換回路)、PWM回路13等により図示のように構成されている。尚、(2)式における pLd , pLq は過度項であり、実際の運転においては値が小さいので、本実施の形態では無視される。
【0027】
図3において、上記入力されたR,Ld ,Lq 、θm (模擬角度センサ信号Sθが示す角度:Nに対応),φa ,L、及び電圧vu ′,vw ′、電流iu ,iw を用いて図示の各演算が行われる。これにより、相電圧指令Vou * ,Vov * ,Vow * を生成し、これに基づいてPWM回路13よりインバータ2のゲート信号が生成される。
【0028】
図3において、iu ,iw をθm を角度補正した値に基づいて3相−2相変換して直交2軸上のid ,iq を得ると共に、vu ′,vw ′をθm を角度補正した値に基づいて3相−2相変換してvd ,vq を得る。また、Ld ,Lq と実際のLとの差分を求め、この差分とR,id ,iq に基づいてvd * ,vq * を求める。このvd * ,vq * と実際のvd ,vq とを突き合わせ、その結果をθmを角度補正した値に基づいて2相−3相変換することにより、Vou * ,Vov * ,Vow * が得られる。
【0029】
次に、本実施の形態の第2の実施の形態について説明する。
上述した第1の実施の形態では、モータ回転数N(θm )を予め設定して制御を行っているが、Nを設定せずに、インバータ1の出力電流・電圧からモータトルクを計算し、そのトルクと試験で想定する機械のイナーシャ(重量相当等)からN(θm )を算出して制御に用いることにより、モータの加減速時の状態を模擬することができる。
即ち、モータが停止している状態からインバータ1が動作して加速していくとき、どのように加速していくのかは、どのようなパターンで電流・電圧が加えられたかによって決まる。
【0030】
例えば、電気自動車を駆動するモータの場合、モータ模擬運転制御部11により、入力される出力電圧・電流(vu ′,vw ′,iu ,iw )によりとれだけトルクが出ているかを計算することができ、そのトルクに応じてどのように加速していくのかを、車体の重さ等からモータ軸換算でのイナーシャが分かっていれば、走行抵抗等を考慮して計算することができる。
【0031】
即ち、計算したトルクとイナーシャ、走行抵抗等から、どれだけ加速すればどれだけの回転数Nとなり、次にどれだけの回転数Nとなるかを計算し、そのNに基づいて模擬角度センサ信号Sθを作ってインバータ1にフィードバックすることにより、実際にモータを加減速している状態で様々な試験を行うことができる。
従って、本実施の形態の場合は、モータ模擬運転制御部11には、車体重量やイナーシャ、走行抵抗等の機械的定数が入力設定される。
【0032】
尚、上述した各実施の形態は、IPMモータを負荷とした場合について説明したが、電圧方程式があれば、IMモータ(誘導電動機)、SPM(表面磁石同期)モータ等々どのようなモータでも模擬運転可能である。
【0033】
また、第3の実施の形態として、図1に示すように、モータ模擬運転制御部1において、インバータ1の出力電圧・電流とモータ定数からモータのトルク、速度、回転位置、損失効率、温度等を計算して、表示又は出力するように構成してもよい。
【0034】
次に、本発明の第4〜6の実施の形態を説明する。
前述した図1の第1の実施の形態では、インバータ1とインバータ2との間にトランス8を挿入して両者を絶縁している。このため、インバータ1を直流に近い周波数で動作させてモータの低速運転時の状態を模擬して試験を行うと、トランス8が飽和して疑似負荷としてのインバータ2の制御が不能になるという問題が生じる。
【0035】
また、インバータ1を直流で動作させてモータの停止状態を模擬して試験を行う場合は、トランス8のインバータ2側を短絡して(インバータ2の各相の下側又は上側のスイッチング素子を全てONさせる等の方法で短絡して)試験を行うが、その場合、トランス8の飽和は問題にならないが、インバータ2を制御してもモータの運転と等価にはならず、特性としては挿入したトランス8や線路のインダクタンスと抵抗等で決まってしまうという問題が生じる。
【0036】
上述のように、モータの模擬運転を回生運転から力行運転まで行おうとすると、トランス8を直流から高い周波数まで使用可能にするために、トランス8が大型化すると共に、コストアップになるという問題が生じる。
【0037】
従って、第4〜6の実施の形態は、上記の問題を解決するためのもので、インバータ1とインバータ2とを上記トランス8に代わる手段を用いて絶縁するようにしたものである。
【0038】
図4に第4の実施の形態を示す。図4においては、図1と対応する部分には同一番号を付して重複する説明は省略する。また、図4は原理的な構成を簡略的に示しており、図1のインバータ1、2間は/// で3相を示し、また、モータ模擬運転制御部11及びこれに関する部分は図示を省略されている。
図4において、インバータ1の入力側にはチョッパ6及びコンデンサC1 を介してAC/DCコンバータとしての回生コンバータ(正弦波コンバータ)21が接続され、インバータ2の入力側にはコンデンサC2 を介してAC/DCコンバータとしての回生コンバータ22が接続されている。
【0039】
回生コンバータ21には、商用交流電源3からの3相交流電圧がトランス4、インダクタンス23を通じて加えられ、コンデンサC1 に得られるDC(直流)電圧がチョッパ回路6で調整された後、インバータ1に供給される。また、回生コンバータ22には、商用交流電源3からの3相交流電圧がトランス4、トランス20及びインダクタンス24を通じて加えられ、コンデンサC2 に得られるDC電圧がインバータ2に供給される。
【0040】
尚、図示ではトランス20をトランス4の2次側に接続しているが、点線で示すように商用交流電源3に直接接続してもよい。また、トランス4は必ずしも必要ではない。また、図1のフィルタ9は図示を省略しているが、必要に応じて設けられる。
【0041】
上記のように本実施の形態においては、図1の絶縁用のトランス8に代えてトランス20を用い、このトランス20によりインバータ1とインバータ2を交流電源側において分離し、直流的に絶縁するようにしている。これによって、図2において説明したインバータ1、2における中性点変動による電流ix が流れないようにすることができる。また、トランス20は商用交流電源3の周波数で固定して用いられるので、小型のものを用いることができる。また、回生コンバータ21、22はインバータ1、2に対して直流(DC)電圧を供給するために設けられる。即ち、回生コンバータ21、22は入力交流電圧をAC/DC変換してコンデンサC1 ,C2 に蓄積する。
【0042】
次に、動作について説明する。
モータの力行運転を模擬する場合は、回生コンバータ21を制御して交流電源電圧より振幅が大きく、かつ位相の遅れた電圧を発生させることにより、その差の電圧がインダクタンス23にかかり、交流電圧と同相の電流が流れ、コンデンサC1 にエネルギーが蓄積され、チョッパ6を介してインバータ1に供給される。即ち、インバータ1が交流電源からエネルギーを供給されることになる。一方、インバータ2はインバータ1から供給されたエネルギーをコンデンサC2 に蓄積し、また、回生コンバータ22を制御して交流電源電圧より振幅が大きく、かつ位相の進んだ電圧を発生させることにより、コンデンサC2 からインダクタンス24にかかる交流電圧と逆相の電流が流れ、この電流はトランス20を通じて交流電源側に戻される。
【0043】
モータの回生運転を模擬する場合は、上記と逆に回生コンバータ21により交流電源電圧より振幅が大きく、かつ位相の進んだ電圧を発生させることにより、インダクタンス23にかかる交流電圧と逆向きの電流が流れる。また、インバータ2は回生コンバータ22からのエネルギーをコンデンサC2 に蓄積し、これをインバータ2からインバータ1に供給することになる。
【0044】
以上は、インバータ1、2側にAC/DCコンバータとして回生コンバータ21、22を設けた場合について説明したが、回生コンバータ21又は22に代えて、図1の整流回路5と同等のダイオードブリッジで構成されたダイオード整流器をAC/DCコンバータとして用いてもよい。
その場合、回生コンバータ21に代えてダイオード整流器を用いた場合は、インバータ1が力行運転を行う場合のみ有効である。また、回生コンバータ22に代えてダイオード整流器を用いた場合は、インバータ1が回生運転を行う場合のみ有効である。そして、図4のように回生コンバータ21、22を用いる場合は、インバータ1が力行/回生運転を行う場合に有効である。
【0045】
次に、第5の実施の形態を図5と共に説明する。尚、図5においては、図4、図1と対応する部分には同一番号を付してある。
本実施の形態は、上述した第4の実施の形態の変形例であり、インバータ2を3つの単相インバータ2aで構成すると共に、各単相インバータ2aに回生コンバータ22を接続した場合である。この場合は、3つの単相インバータ2aにより3相インバータ2と同じ動作が行われるように制御される。
【0046】
本実施の形態によれば、直流部分が各相共通である3相インバータと比較して出力電圧の自由度が高く、インバータ1の不平衡電圧に対する制御も可能である。尚、回生コンバータ21又は22に代えてダイオード整流器を用いてもよい。
【0047】
次に、第6の実施の形態を図6と共に説明する。尚、図6においては、図4、図1と対応する部分には同一番号を付してある。
本実施の形態は、図示のように整流器5とインバータ2との間に絶縁型双方向DC/DCコンバータ25を設けて、インバータ1、2間を絶縁したものである。絶縁型双方向DC/DCコンバータ25は、単相インバータ26、トランス27、単相インバータ28で構成される。
【0048】
上記構成によれば、 単相インバータ26、28の交流出力の振幅・位相を制御することにより、エネルギーの流れを双方向に制御することができる。
本実施の形態によれば、絶縁型双方向DC/DCコンバータ25のトランス27によりインバータ1、2間を絶縁することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、モータを実際に使用することなく、モータの動作を模擬的に行いながらインバータの試験を行うことができる。また、従来のR−L負荷の切り換えではできなかった回生運転試験を行うことができる。また、R−L負荷の切り換えの場合に比べて装置の大幅な省エネルギー化が可能となる。さらに、電流制御の場合、被試験インバータの電圧、力率の調整が可能となる。
【0050】
また、被試験インバータと疑似負荷用インバータとの間にトランスを設けることにより、被試験インバータにおける中性点電圧の変動による影響をなくし、良好な制御を行うことができる。
また、被試験インバータと疑似負荷用インバータとの間を絶縁するために、回生コンバータ、ダイオード整流器、絶縁型双方向DC/DCコンバータを設けることにより、上記中性点電圧の変動による影響をなくし、良好な制御を行うことができると共に、直流から高い周波数までの試験、即ち、モータの停止から高速回転まで、周波数に無関係にモータの模擬試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態による電流制御方式のインバータ試験装置を示す回路構成図である。
【図2】 図1におけるトランス8を設けた理由を説明するための構成図である。
【図3】 電流制御方式におけるモータ模擬運転制御部のハード構成例を示す構成図である。
【図4】 本発明の第4の実施の形態による電流制御方式のインバータ試験装置を示す回路構成図である。
【図5】 本発明の第5の実施の形態による電流制御方式のインバータ試験装置を示す回路構成図である。
【図6】 本発明の第6の実施の形態による電流制御方式のインバータ試験装置を示す回路構成図である。
【図7】 従来のインバータ試験装置の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 被試験インバータ
2 疑似負荷用インバータ
7 フィルタ
8 トランス
9 フィルタ
10 変流器
11 モータ模擬運転制御部
12 角度センサ模擬制御部
13 PWM回路
20 トランス
21、22 回生コンバータ(AC/DCコンバータ)
23、24 インダクタンス
2a 単相インバータ
25 絶縁型双方向DC/DCコンバータ
Claims (3)
- 被試験用の第1のインバータの疑似負荷となる第2のインバータと、
第1のインバータの交流出力が1次側に入力され、第2のインバータの交流出力が2次側に入力されるトランスと、
前記第1のインバータの出力電流・電圧とモータ特性からトルクを算出し、当該トルクと試験で想定する機械のイナーシャとから第1のインバータの実負荷であるモータの回転数を算出し、算出した回転数に応じて第1のインバータの出力電流を所定の値に制御すると共に、モータ回転数とモータ定数と検出された第1のインバータの出力電圧・電流のいずれか又は両方に基づいて第2のインバータの出力電圧の振幅・位相を所定に制御する制御手段と
を設けたことを特徴とするインバータ試験装置。 - 前記第1、第2のインバータの出力はPWM信号であり、前記第1のインバータの交流出力と前記第2のインバータの交流出力との間に、モータのインダクタンスに相当するインダクタンスからなる第1のフィルタを設けると共に、前記第2のインバータの交流出力と前記第1のフィルタとの間に第2のインバータの出力から基本波を取り出す第2のフィルタを設けたことを特徴とする請求項1に記載のインバータ試験装置。
- 前記第1のインバータの出力電圧・電流とモータ定数からモータのトルク、速度、回転位置、損失、効率、温度等の全部又はいずれかを計算して、表示又は出力することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインバータ試験装置。
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