JP4041958B2 - 空中線装置及びその空中線装置を含むタイヤ空気圧モニタリングシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空中線装置、詳しくは、空間ダイバーシティ(Diversity)を構成可能な空中線装置及びその空中線装置を含むタイヤ空気圧モニタリングシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、無線通信システムのアンテナで受信される電波は、直接的に送信アンテナから届くもの(直接波)もあれば、障害物に跳ね返ってから届くもの(間接波)もあり、そのルートは様々である。これらの波は、跳ね返った分、タイミング的にずれて届くため、このずれた波が互いに干渉し合い、受信アンテナに届く電波は強くなったり、弱くなったりを一定の周期で繰り返す。この現象を「フェージング」という。ラジオ放送などの場合、フェージングがあったとしても、多少の不快感を我慢すれば番組の視聴は可能である。しかし、デジタルデータ通信の場合はそうはいかない。フェージングが大きい場合、データの一部が喪失(いわゆるバーストエラー)し、受信側のデータ復調(再生)に支障を来すからである。
【0003】
そこで、ディジタルデータ無線通信システムの多くにおいては、「ダイバーシティ受信」という方法によって、このフェージング対策を行っている。ダイバーシティとは、受け取る二つ以上の電波を合成したり、あるいは切り換えたりすることで、受信電波のレベルの揺れを少なくする技術のことである。“空間”ダイバーシティは、ダイバーシティ受信の一つの方式であり、空間的(位置的)に離れた複数のアンテナで電波を受信する方法である。各アンテナの受信レベルを比較して最大の受信レベルのアンテナを選択し、そのアンテナの受信信号を受信機に伝える。
【0004】
他方、近年、自動車等の車両においては、利便性や安全性などの向上を目的として、様々なディジタルデータ無線通信システムが搭載されている。その一例として、タイヤの空気圧をモニタリングする「空気圧モニタリングシステム」が知られている。
【0005】
一般に、車両に装着されるタイヤの空気圧は、車種やタイヤの種類毎に適正値が定められており、車両運航時の始業点検で空気圧をチェックすることが求められている。しかしながら、特に自家用車ユーザの多くは、始業点検を行っていないことも事実である。さらに、始業点検を行ったとしても、タイヤの空気圧は高速走行を続けた際にタイヤの発熱に伴って高くなることもある。このため、上記の事実と相まって、道路を走行中の車両の相当数は不適切な空気圧のまま走行していることを否定できない。いうまでもなく、不適切な空気圧は、走安性を失わせ、タイヤの劣化を早め、また、燃費を悪化させる要因になる。
【0006】
そこで、個々のタイヤに空気圧モニタリングセンサを実装し、それらのセンサからの検知信号(すなわち空気圧を表示する信号)をトランスミッターで微弱な電波に乗せて送信し、受信機で基準の範囲と比較して、不適正な空気圧の場合に運転者に警告を発するようにした、空気圧モニタリングシステム(略称「TPMS」;Tire Pressure Monitoring System)が実用化されている。
【0007】
図3は、TPMSの概念図である。各々のタイヤ1(厳密にはホイール)には空気圧バルブを兼ねる空気圧センサ/トランスミッター2が装着されている。空気圧センサ/トランスミッター2の詳細な説明は省略するが、要するに、装着されたタイヤ1の空気圧を検知し、その空気圧信号を微弱な無線電波(たとえば、310MHz〜433MHz帯の電波)に乗せて送信するというものである。
【0008】
一方、車体3には受信機4が設けられている。この受信機4は、各空気圧センサ/トランスミッター2からの電波をアンテナ(空中線)5で受信し、それぞれの空気圧信号を復調し、基準の範囲と比較して、範囲を逸脱した不適正な空気圧の場合に運転席等に設けられた警告灯6を表示させるというものである。
【0009】
このような構成のTPMSによれば、走行中のタイヤ1の空気圧をリアルタイムに検出し、不適切な空気圧を検出した場合は運転者に警告を発することができる。したがって、空気圧の過不足を防止することができ、車両の走安性を改善し、タイヤの劣化を回避し、且つ、燃費の改善を図ることができる。ちなみに、米国においては、西暦2001年11月にTREAD(運輸リコール強化)法が成立し、この中で、西暦2003年11月から4年以内に北米大陸で販売されるほとんどの新車に、タイヤの空気圧を検出するシステムの搭載を義務付けている。
【0010】
ところで、上記のTPMSは、各空気圧センサ/トランスミッター2から発射された電波を車両側のアンテナ5で受信する構成となっているが、▲1▼センサ2からの電波が微弱であること、▲2▼タイヤ1の回転に伴って電波の放射方向がめまぐるしく変化すること、▲3▼アンテナ5の設置場所(一般に車両の内装あるいはタイヤハウス内)に様々な電波の障害物(しかも車種毎に異なる)があること等により、1個のアンテナ5だけでは良好な受信を行うことができないことがあった。
【0011】
図4は、各空気圧センサ/トランスミッター2から発射された電波を1個のアンテナ5だけで受信した場合の受信レベル特性図である。この図において、特性線A〜Dはそれぞれ、各空気圧センサ/トランスミッター2から発射された電波の受信レベルである。特性線A〜Dの特異な点は、受信下限レベルEを下回る受信不能領域(ハッチング部分)F〜Iが存在していることにある。その原因は、上記の▲2▼及び▲3▼にあるものと思われる。なお、受信不能領域F〜Iは、各空気圧センサ/トランスミッター2の送信電力を強くすることによって解消できるものの、送信電力はあらかじめ微弱なものに制限(上記の▲1▼)されているし、そもそも空気圧センサ/トランスミッター2の電源容量にも限界があるため、送信電力のアップは望めない。
【0012】
上記の受信不能領域F〜Iを解消するための技術として、たとえば、特開平5−75578号公報で開示された受信機の配置構成を利用して、アンテナ5を空間ダイバーシティ方式とすることが考えられる。
【0013】
図5は、空間ダイバーシティ方式を採用したTPMSの要部構成図である。n個(図では便宜的にn=4)のアンテナ5a〜5dは選択部7を介して受信機4に接続されている。選択部7は各々のアンテナ5a〜5dで受信された電波の強さを比較し、最も強い電波を受信したアンテナを選択する。したがって、この空間ダイバーシティ方式を採用したTPMSによれば、車体3の適切な位置に適切な数のアンテナ5a〜5dを設置することにより、各空気圧センサ/トランスミッター2からの電波を常に、受信下限レベルEを下回らないようにして受信し続けることができ、上記の不都合を解消することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、空間ダイバーシティ方式を単に採用しただけのTPMS(以下「改良型TPMS」という)にあっては、以下の点で改善すべき課題があった。
【0015】
改良型TPMSの受信部は、図5に示すように、n個のアンテナ5a〜5d、選択部7及び受信機4を含んで構成される。今、この構成(特にアンテナの数)がある車種において最適(上記の不都合を解消できる)なものであったとした場合、その構成は、必ずしも、他の車種においても最適なものになるとは限らない。たとえば、他の車種では、n以外のm個のアンテナで上記の不都合を解消できるかも知れないからである。したがって、上記の改良型TPMSにあっては、アンテナの数と選択部7の入力数が固定であるから、車種を限定することなく普遍的に利用できる構成の点でいまだ改善の余地がある。
【0016】
そこで本発明は、ユニットを追加するだけで任意数のアンテナからなる空間ダイバーシティを簡単に構成することができる空中線装置及びその空中線装置を含むタイヤ空気圧モニタリングシステムを提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】
この発明による空中線装置は、空間ダイバーシティを構成可能な空中線装置であって、n個のアンテナで空間ダイバーシティを構成する場合に、同一構成のn個のユニットを組み合わせることによって前記空間ダイバーシティを構成し、
前記ユニットは、
1個のアンテナと、
該アンテナの受信レベルを表示する受信レベル信号を生成する受信レベル信号生成部と、
前記アンテナで受信された受信信号を復調した復調信号を生成する復調信号生成部と、
前記受信レベル信号を当該ユニット外に出力するための受信レベル信号出力端子と、
前記復調信号を当該ユニット外に出力するための復調信号出力端子と、
当該ユニット外から入力される受信レベル信号を取り込むための受信レベル信号入力端子と、
当該ユニット外から入力される復調信号を取り込むための復調信号入力端子と、
前記受信レベル信号生成部によって生成された受信レベル信号と当該ユニット外から入力された受信レベル信号とを比較して、
前者のレベルが後者のレベルよりも大きい場合に前記受信レベル信号生成部と前記復調信号生成部によって生成された受信レベル信号及び復調信号を選択する一方、
そうでない場合に当該ユニット外から入力された受信レベル信号及び復調信号を選択し、
それらの選択された信号を前記受信レベル信号出力端子及び復調信号出力端子から当該ユニット外に出力する選択手段と
を備えると共に、
前記受信レベル信号入力端子と前記復調信号入力端子がどこにも接続されない非接続端子である場合にそれらの端子に接地電位を入力したことを特徴とするものである。
【0018】
ここで、“ユニット”とは、それ自体を独立した部品として取り扱うことができ、任意にシステムに組み込み又は取り外しできるもののことをいう。
【0019】
また、“受信レベル”とは、アンテナで受信された受信信号の強度のことをいい、詳細にはその受信信号の搬送波強度(搬送波レベル)のことをいう。なお、この受信レベルは瞬時値であってもよいし、ある時間(望ましくは極短い時間)の平均値等であってもよい。
【0020】
この発明では、たとえば、1個を越えるn個のユニットによって空間ダイバーシティを構成する場合、それぞれのユニットの受信レベル信号出力端子と受信レベル信号入力端子との間を接続すると共に、復調信号出力端子と復調信号入力端子との間を接続することにより、いわゆる「数珠繋ぎ」の状態でn個のユニットを接続することができる。
【0021】
そして、各ユニットの選択手段は、上記の特徴点のとおり、
(1)前記受信レベル信号生成部によって生成された受信レベル信号と当該ユニット外から入力された受信レベル信号とを比較して、
(2)前者のレベルが後者のレベルよりも大きい場合に前記受信レベル信号生成部と前記復調信号生成部によって生成された受信レベル信号及び復調信号を選択する一方、
(3)そうでない場合に当該ユニット外から入力された受信レベル信号及び復調信号を選択し、
(4)それらの選択された信号を前記受信レベル信号出力端子及び復調信号出力端子から当該ユニット外に出力するので、
数珠繋ぎの最終段に位置するユニットの復調信号出力端子からは、最大の受信レベル信号を得たユニットの復調信号が取り出されることとなり、結局、n個のアンテナで構成された空間ダイバーシティを簡単に構成することができる。
【0022】
しかも、この発明では、ユニットの数珠繋ぎ数を加減することにより、任意数のアンテナで構成された空間ダイバーシティを柔軟に構成することができ、前記の発明の目的を達成することができる。
【0023】
本発明は、上記の空中線装置に限定されない。その空中線装置を含む、たとえば、タイヤ空気圧モニタリングシステムにも適用できる。
【0024】
すなわち、車両に装着されたタイヤの空気圧を検知するタイヤ空気圧センサからの検知信号を電波を媒体として受信する受信部を備え、
前記受信部は、該検知信号で示された空気圧をあらかじめ定められた空気圧範囲と比較して、当該範囲を逸脱している場合に前記車両の運転者等に警告を発するタイヤ空気圧モニタリングシステムにも適用できる。
【0025】
前記受信部は、空間ダイバーシティを構成可能な空中線装置を有すると共に、n個のアンテナで空間ダイバーシティを構成する場合に、同一構成のn個のユニットを組み合わせることによって前記空間ダイバーシティを構成し、
前記ユニットは、
1個のアンテナと、
該アンテナの受信レベルを表示する受信レベル信号を生成する受信レベル信号生成部と、
前記アンテナで受信された受信信号を復調した復調信号を生成する復調信号生成部と、
前記受信レベル信号を当該ユニット外に出力するための受信レベル信号出力端子と、
前記復調信号を当該ユニット外に出力するための復調信号出力端子と、
当該ユニット外から入力される受信レベル信号を取り込むための受信レベル信号入力端子と、
当該ユニット外から入力される復調信号を取り込むための復調信号入力端子と、
前記受信レベル信号生成部によって生成された受信レベル信号と当該ユニット外から入力された受信レベル信号とを比較して、
前者のレベルが後者のレベルよりも大きい場合に前記受信レベル信号生成部と前記復調信号生成部によって生成された受信レベル信号及び復調信号を選択する一方、
そうでない場合に当該ユニット外から入力された受信レベル信号及び復調信号を選択し、
それらの選択された信号を前記受信レベル信号出力端子及び復調信号出力端子から当該ユニット外に出力する選択手段と
を備えると共に、
前記受信レベル信号入力端子と前記復調信号入力端子がどこにも接続されない非接続端子である場合にそれらの端子に接地電位を入力していればよい。
【0026】
この発明でも、前記の発明(空中線装置)と同様に、ユニットの数珠繋ぎ数を加減することにより、任意数のアンテナで構成された空間ダイバーシティを柔軟に構成することができ、前記の発明の目的を達成することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、タイヤ空気圧モニタリングシステムを例にして、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における様々な細部の特定ないし実例および数値や文字列その他の記号の例示は、本発明の思想を明瞭にするための、あくまでも参考であって、それらのすべてまたは一部によって本発明の思想が限定されないことは明らかである。また、周知の手法、周知の手順、周知のアーキテクチャおよび周知の回路構成等(以下「周知事項」)についてはその細部にわたる説明を避けるが、これも説明を簡潔にするためであって、これら周知事項のすべてまたは一部を意図的に排除するものではない。かかる周知事項は本発明の出願時点で当業者の知り得るところであるので、以下の説明に当然含まれている。
【0028】
図1(a)は、実施の形態に係るタイヤ空気圧モニタリングシステム(以下「空気圧モニタリングシステム」という)の要部ブロック図である。この図において、空気圧モニタリングシステム10は、図3の車体3のタイヤ1に装着された空気圧センサ/トランスミッター2と、当該車体3に取り付けられたn個のユニット11(説明の便宜上、図ではU1〜U3までの3個のユニットとする。)と、1個の制御装置(略号:CNT)12と、当該車体3の運転席に設けられた警告ランプ13とを含んで構成されている。警告ランプ13は、制御装置12の点灯信号出力端子DISPと電源ライン14との間に接続されており、制御装置12の内部動作によってDISPを接地電位とすることにより、所定の警告色(たとえば黄色や赤色など)で点灯するようになっている。なお、U1〜U3までのユニット11と制御装置12には、不図示のイグニッションキースイッチを介してバッテリーの電圧が供給されているが、図面の輻輳を避けるために図示を省略している。
【0029】
図1(b)は、U1〜U3までのユニット11に共通の内部ブロック図である。ユニット11は、アンテナ11aと、復調信号生成部(略号:RX)11bと、受信レベル信号生成部(略号:LVL)11cと、比較回路(略号:CMP)11dと、選択回路(略号:SEL)11eとを含み、これらは、それぞれ以下の機能を有する。
【0030】
アンテナ11aは、所定搬送周波数帯(空気圧センサ/トランスミッター2の送信周波数帯)の電波を受信し、その高周波受信信号を復調信号生成部11bに伝える。
【0031】
復調信号生成部11bは、アンテナ11aから伝えられた高周波受信信号を検波する等してベースバンド信号に復調し、その復調信号を選択回路11eに伝える。
【0032】
受信レベル信号生成部11cは、前記高周波受信信号の強度(搬送波強度)を示す受信レベル信号を生成し、その受信レベル信号を選択回路11eと比較回路11dに伝える。
【0033】
比較回路11dは、選択回路11eと共に選択手段を構成し、自ユニットの受信レベル信号と、外部受信レベル信号入力端子Linから取り込まれた外部受信レベル信号とを比較し、その比較結果に応じた選択指示信号を生成して選択回路11eに出力する。
【0034】
選択回路11eは、二つの切替要素を有する。第一の切替要素11e_1は、自ユニットの復調信号と、外部復調信号入力端子Dinから取り込まれた外部復調信号とを択一的に選択し、選択された信号を復調信号出力端子Doutから外部に出力する。また、第二の切替要素11e_2は、自ユニットの受信レベル信号と、外部受信レベル信号入力端子Linから取り込まれた外部受信レベル信号とを択一的に選択し、選択された信号を受信レベル信号出力端子Loutから外部に出力する。
【0035】
ここで、比較回路11dの比較結果と、選択回路11eの選択動作との対応関係は、以下のとおりである。
【0036】
(イ)自ユニットの受信レベル信号が、外部受信レベル信号入力端子Linから取り込まれた外部受信レベル信号よりも大きい場合。
選択回路11eは、第一の切替要素11e_1と第二の切替要素11e_2の接点を図示のとおりとする。すなわち、この場合、選択回路11eは、自ユニットの復調信号と受信レベル信号とを選択し、それぞれ復調信号出力端子Doutと受信レベル信号出力端子Loutから外部に出力する。
【0037】
(ロ)自ユニットの受信レベル信号が、外部受信レベル信号入力端子Linから取り込まれた外部受信レベル信号よりも小さい場合。
選択回路11eは、第一の切替要素11e_1と第二の切替要素11e_2の接点を図示とは逆に切り換える。すなわち、この場合、選択回路11eは、外部復調信号入力端子Dinから取り込まれた外部復調信号と外部受信レベル信号入力端子Linから取り込まれた外部受信レベル信号とを選択し、それぞれ復調信号出力端子Doutと受信レベル信号出力端子Loutから外部に出力する。
【0038】
(ハ)なお、自ユニットの受信レベル信号と、外部受信レベル信号入力端子Linから取り込まれた外部受信レベル信号とが同等の場合は、選択回路11eは、上記の(イ)又は(ロ)のいずれの動作を行っても構わない。
【0039】
さて、このような構成を有する本実施の形態のユニット11は、たとえば、図1(a)のように3個のユニット(U1〜U3)を接続する場合、第1のユニット(U1)の復調信号出力端子Doutと受信レベル信号出力端子Loutを第2のユニット(U2)の復調信号入力端子Dinと受信レベル信号入力端子Linに接続し、第2のユニット(U2)の復調信号出力端子Doutと受信レベル信号出力端子Loutを第3のユニット(U3)の復調信号入力端子Dinと受信レベル信号入力端子Linに接続し、第3のユニット(U3)の復調信号出力端子Doutを制御装置12の復調信号入力端子Dinに接続して用いられる。この接続は、要するに、3個のユニット(U1〜U3)を「数珠繋ぎ」にしたことになる。
【0040】
なお、数珠繋ぎ初段のユニット(U1)の復調信号入力端子Dinと受信レベル信号入力端子Lin、及び、最終段のユニット(U3)の受信レベル信号出力端子Loutは、どこにも接続されない非接続端子である。これらの非接続端子は、図面では「非接続状態」となっているが、非接続状態のままにすると、フローティング状態となってノイズの影響を受ける可能性があるので、接地電位(グランド)に接続することとする。
【0041】
かかる数珠繋ぎ状態において、たとえば、第1のユニット(U1)の受信レベル信号が最大であった場合を想定すると、この第1のユニット(U1)の選択回路11eは、その選択状態を前記の(イ)とし、残りのユニット(U2及びU3)の選択回路11eは、その選択状態を前記の(ロ)とする。したがって、この想定ケースにおいては、第3のユニット(U3)の復調信号出力端子Doutから、第1のユニット(U1)の復調信号が取り出される。
【0042】
又は、第2のユニット(U2)の受信レベル信号が最大であった場合を想定すると、この第2のユニット(U2)の選択回路11eは、その選択状態を前記の(イ)とし、残りのユニット(U1及びU3)の選択回路11eは、その選択状態を前記の(ロ)とする。したがって、この想定ケースにおいては、第3のユニット(U3)の復調信号出力端子Doutから、第2のユニット(U2)の復調信号が取り出される。
【0043】
又は、第3のユニット(U3)の受信レベル信号が最大であった場合を想定すると、この第3のユニット(U3)の選択回路11eは、その選択状態を前記の(イ)とし、残りのユニット(U1及びU2)の選択回路11eは、その選択状態を前記の(ロ)とする。したがって、この想定ケースにおいては、第3のユニット(U3)の復調信号出力端子Doutから、第3のユニット(U3)の復調信号が取り出される。
【0044】
以上のとおりであるから、図示の空気圧モニタリングシステム10は、3個のアンテナ(3個のユニットU1〜U3の各アンテナ11a)を空間的に配置した空間ダイバーシティを構成することができる。
【0045】
しかも、図示の空気圧モニタリングシステム10は、空間ダイバーシティを構成するための主要部をユニット化し、所要数のユニット11を数珠繋ぎにするだけで、任意数のアンテナからなる空間ダイバーシティを簡単に構成することができるから、たとえば、図2にその一例を示すように、
【0046】
(a)1個のアンテナ(この場合は空間ダイバーシティの構成にならないが、実現可能な構成例として提示する。)で済む場合は、1個のユニット(U1)で空気圧モニタリングシステム10を構成することができ、
(b)2個のアンテナで済む場合は、2個のユニット(U1、U2)で空気圧モニタリングシステム10を構成することができ、
(c)3個のアンテナで済む場合は、3個のユニット(U1、U2、U3)で空気圧モニタリングシステム10を構成することができ、
(d)4個のアンテナで済む場合は、4個のユニット(U1、U2、U3、U4)で空気圧モニタリングシステム10を構成することができる。
【0047】
つまり、これらの接続例(a)〜(d)は、任意数のユニット11を数珠繋ぎにするだけで、所望の空間ダイバーシティ構成を有する空気圧モニタリングシステム10を簡単に実現できることを示唆している。
【0048】
したがって、この実施の形態では、一種類のユニット11を製造し、そのユニット11を適数組み合わせることにより、車両の種類に関わらず、所望の空間ダイバーシティ構成を有する空気圧モニタリングシステム10を簡単に実現できるので、たとえば、製造部門にあっては、生産性の向上や部品管理の効率化を図ることができ、また、サービス部門にあっては、補用部品点数の削減や部品輸送コストの削減を図ることができる。
【0049】
【発明の効果】
この発明によれば、空間ダイバーシティを構成するための主要部をユニット化したので、そのユニットを数珠繋ぎするだけで、所要数のアンテナからなる空間ダイバーシティを簡単に構成することができる。
【0050】
また、かかる特徴的な構成を有する空中線装置をタイヤ空気圧モニタリングシステムに適用すれば、車種等の違いに伴う設計変更等の煩わしさを解消することができ、柔軟性に富んだタイヤ空気圧モニタリングシステムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るタイヤ空気圧モニタリングシステムの要部ブロック図及びU1〜U3までのユニット11に共通の内部ブロック図である。
【図2】ユニット11のいくつかの数珠繋ぎ例を示す図である。
【図3】TPMSの概念図である。
【図4】各空気圧センサ/トランスミッター2から発射された電波を1個のアンテナ5だけで受信した場合の受信レベル特性図である。
【図5】空間ダイバーシティ方式を採用したTPMSの要部構成図である。
【符号の説明】
Din・・・・復調信号入力端子
Dout・・・・復調信号出力端子
Lin・・・・受信レベル信号入力端子
Lout・・・・受信レベル信号出力端子
11・・・・ユニット
11a・・・・アンテナ
11b・・・・復調信号生成部
11c・・・・受信レベル信号生成部
11d・・・・比較回路(選択手段)
11e・・・・選択回路(選択手段)
Claims (2)
- 空間ダイバーシティを構成可能な空中線装置であって、n個のアンテナで空間ダイバーシティを構成する場合に、同一構成のn個のユニットを組み合わせることによって前記空間ダイバーシティを構成し、
前記ユニットは、
1個のアンテナと、
該アンテナの受信レベルを表示する受信レベル信号を生成する受信レベル信号生成部と、
前記アンテナで受信された受信信号を復調した復調信号を生成する復調信号生成部と、
前記受信レベル信号を当該ユニット外に出力するための受信レベル信号出力端子と、
前記復調信号を当該ユニット外に出力するための復調信号出力端子と、
当該ユニット外から入力される受信レベル信号を取り込むための受信レベル信号入力端子と、
当該ユニット外から入力される復調信号を取り込むための復調信号入力端子と、
前記受信レベル信号生成部によって生成された受信レベル信号と当該ユニット外から入力された受信レベル信号とを比較して、
前者のレベルが後者のレベルよりも大きい場合に前記受信レベル信号生成部と前記復調信号生成部によって生成された受信レベル信号及び復調信号を選択する一方、
そうでない場合に当該ユニット外から入力された受信レベル信号及び復調信号を選択し、
それらの選択された信号を前記受信レベル信号出力端子及び復調信号出力端子から当該ユニット外に出力する選択手段と
を備えると共に、
前記受信レベル信号入力端子と前記復調信号入力端子がどこにも接続されない非接続端子である場合にそれらの端子に接地電位を入力した
ことを特徴とする空中線装置。 - 車両に装着されたタイヤの空気圧を検知するタイヤ空気圧センサからの検知信号を電波を媒体として受信する受信部を備え、
前記受信部は、該検知信号で示された空気圧をあらかじめ定められた空気圧範囲と比較して、当該範囲を逸脱している場合に前記車両の運転者等に警告を発するタイヤ空気圧モニタリングシステムにおいて、
前記受信部は、空間ダイバーシティを構成可能な空中線装置を有すると共に、n個のアンテナで空間ダイバーシティを構成する場合に、同一構成のn個のユニットを組み合わせることによって前記空間ダイバーシティを構成し、
前記ユニットは、
1個のアンテナと、
該アンテナの受信レベルを表示する受信レベル信号を生成する受信レベル信号生成部と、
前記アンテナで受信された受信信号を復調した復調信号を生成する復調信号生成部と、
前記受信レベル信号を当該ユニット外に出力するための受信レベル信号出力端子と、
前記復調信号を当該ユニット外に出力するための復調信号出力端子と、
当該ユニット外から入力される受信レベル信号を取り込むための受信レベル信号入力端子と、
当該ユニット外から入力される復調信号を取り込むための復調信号入力端子と、
前記受信レベル信号生成部によって生成された受信レベル信号と当該ユニット外から入力された受信レベル信号とを比較して、
前者のレベルが後者のレベルよりも大きい場合に前記受信レベル信号生成部と前記復調信号生成部によって生成された受信レベル信号及び復調信号を選択する一方、
そうでない場合に当該ユニット外から入力された受信レベル信号及び復調信号を選択し、
それらの選択された信号を前記受信レベル信号出力端子及び復調信号出力端子から当該ユニット外に出力する選択手段と
を備えると共に、
前記受信レベル信号入力端子と前記復調信号入力端子がどこにも接続されない非接続端子である場合にそれらの端子に接地電位を入力した
ことを特徴とするタイヤ空気圧モニタリングシステム。
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