JP4041559B2 - 光検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は分光解析を行なう分光測定装置などの光検出装置に関し、特に微弱な測定信号のドリフトやランダムノイズ成分を取り除き、高いS/N比で信号を増幅できる光検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
測定試料からの拡散反射光や透過光を測定する場合、その測定光が非常に微弱で、検出信号と雑音強度が同等になってくると、通常の増幅器では高いS/N比の出力信号を得ることができない。例えば、図1は水の吸収スペクトルを表わしたものであるが、そのスペクトルに示されるように、分光波長によって吸光度が大きく変化する。一般に、試料の拡散反射光や透過光も波長によって大きく検出強度が変化する。このように、検出器からの測定信号が大きな範囲で変化する場合、増幅度を一定に保った増幅器では、測定信号が微弱な波長領域で、その信号がA/D変換器を経てコンピュータに取り込む際の分解能に満たないことが生じ、測定分解能が低下する原因となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
強度が大きな範囲で変化する測定信号を分解能を維持して測定しようとすると、増幅度の切換えを行なわなければならない。例えば、図1に示すようなダイナミックレンジの大きいスペクトルを測定する場合、マルチプレクサなどの半導体リレー回路を用いて、強度の小さい信号は増幅度を上げ、逆に強度の大きい信号は測定値が飽和しないように増幅度を下げるように、増幅度切換えを行なう必要がある。測定を行なう際、そのような切換え動作によりパルスノイズが発生して測定値に影響を及ぼし、測定誤差の原因となる。
【0004】
非常に微弱な信号、例えば回路素子の熱雑音よりわずかに大きい程度のノイズレベルの測定信号電圧を増幅する場合、トランジスタ回路を用いた帰還増幅回路やオペアンプ(演算増幅器)を用いた差動増幅回路による増幅方法では、雑音も同時に増幅されるため、測定信号と雑音との区別ができなくなる。そのため、回路自身から生じる雑音を測定信号のレベル以下に抑えるとともに、機器外部の外乱からの影響を測定信号レベル以下に抑える回路構成が必要になる。
【0005】
S/N比では100,000以上を必要としている。従来の機器では、FTIRにおけるS/N比は10,000を越えない程度である。
周波数帯域が一様に分布している雑音(ランダムノイズ)の影響を除去するためには、測定波長帯域で繰り返し測定し積算処理を行なうことによって、測定値の平均化処理を行なう必要がある。
【0006】
また、測定波長が多波長にわたっていても、短時間に測定を行なわなければ測定信号の長周期変動(ドリフト)の影響を受ける。
そこで、本発明は微弱な信号を測定する際の測定精度を向上させ、測定値のドリフト成分も除去できるようにした光検出装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、信号の強度に応じて増幅度を操作することによって測定精度を向上させるが、その際、検出素子からの信号値を増幅器により異なる複数の増幅度で同時に増幅し、その出力をA/D変換し、その信号のうち飽和することなく、最大に増幅された信号を選択することによって、リレー回路やマルチプレクサ等の切換え装置を用いた場合には生じたであろうパルスノイズの発生を抑えるものである。また、ランダムノイズを除去するために、測定信号を変調し、その変調周波数においてロックイン処理に相当する同期信号処理をほどこすことにより変調周波数成分のみを精度よく抽出する。
【0008】
そのため、本発明の光検出装置は、測定光を変調する変調手段と、測定光の変動に応じた信号を出力する検出素子と、その検出素子の出力を入力し、複数の異なる増幅度の信号を同時に出力する増幅器と、その増幅器の増幅度の異なる複数の出力信号をそれぞれデジタル信号に変換するA/D変換器と、データ処理部とを備えている。そのデータ処理部は、A/D変換器の複数の出力信号を入力し、それらの信号のうちで増幅器又はA/D変換器の値が飽和せず、かつ増幅度の最も大きいものを選択するチャネル選択手段、その選択された信号を測定光を変調した変調周波数と同期した発振信号と重ね合わせる同期信号処理手段、及びその同期信号処理された信号の積分により測定値を求める積分手段を少なくとも備えている。
【0009】
【実施の形態】
複数の異なる増幅度の信号を同時に出力する増幅器の好ましい一例は、検出素子の変調出力を入力する入力バッファ回路と、その入力バッファ回路の出力電圧変動を抵抗素子によって電流変動に変換する電圧−電流変換回路と、その電圧−電流変換回路による電流変動を抵抗素子により所定の倍率に増幅した電圧変動に変換する電流−電圧変換回路と、その電流−電圧変換回路の電圧変動出力を出力バッファ回路を経由して入力し、複数の異なる倍率の信号を出力する増幅回路とを備えたものである。電圧−電流変換回路と電流−電圧変換回路はプリアンプを構成し、複数の異なる倍率の信号を出力する増幅回路はサブアンプを構成している。プリアンプでの電圧−電流変換時に信号を増幅し、その信号を電流−電圧変換する際にさらに増幅するという組合わせにより、増幅度の決定を行なっている。そして、サブアンプにてプリアンプの信号を異なる増幅度で同時に出力する。
【0010】
データ処理部は、チャネル選択手段と同期信号処理手段との間に、チャネル選択手段で選択された信号から同期信号処理に不要な高周波成分を除去するローパスフィルタ手段と、そのローパスフィルタ手段を経た信号列から単位数ごとに一定間隔で抽出した値を信号値とするデータ間引き手段とをさらに備えていることが好ましい。高いサンプル周波数で測定したデータは、ナイキスト帯域幅が大きいためエイリアシング・ノイズを防ぐためのローパスフィルタの特性が緩やかにできる。少ないデータ量で処理できるよう間引き処理を行なうと、間引き処理によって見かけのサンプリング周波数が小さくなるため、測定値の周波数スペクトルに重なりを生じる。間引き処理を行なう前にローパスフィルターによる処理を行ない、ノイズの影響を除去する。
【0011】
同期信号処理を行なう前に変調周波数近傍に通過帯域をもつバンドパスフィルタ処理を行なっておくのが好ましい。
また、同期信号処理を行なう前には信号の周波数が変調周波数からずれることがあるので、そのずれを補正することにより同期信号処理の精度を向上させることができる。そのため、同期信号処理手段に入力する信号の周波数とコンピュータのクロック信号を基準信号として発生させた変調周波数とのずれを測定し、その結果に基づいて同期信号処理手段の同期周波数を補正する周波数ずれ補正手段をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
同期信号処理により変調された信号は定数値(直流成分)となるため、ローパスフィルタによって高周波成分を除去しておくのが好ましい。そのため、同期信号処理手段と積分手段との間に同期信号処理に不要な高周波成分を除去するローパスフィルタ手段をさらに備えていることが好ましい。
デジタル積分処理は積分の時定数が大きいほど精度が高いが、時間がかかる。そのため、あらかじめ小さな時定数で真値に近い値で計算を収束させ、次に、その値を初期値として大きい時定数で収束させることによって、計算速度を向上させることができる。
【0013】
増幅器から複数の異なる増幅度の出力を出させた場合、各増幅度をもたせたサブアンプ間で倍率に誤差が生じる。例えば、100倍の増幅度の出力が20倍の増幅度の出力に対して正確に5倍になっているとは限らない。その誤差を補正するため、一定の信号を入力して各増幅度の信号を出力させ、ある1つの出力信号を基準としてそれとの比をとって補正データとし、デジタル処理を行なう際にその補正データで各増幅度間の誤差の補正を行なうことにより、増幅度の異なる信号の間での機差をなくすことができる。そのため、増幅器に一定振幅の信号を入力したときのその増幅器の増幅度の異なる複数の出力を比較し、その結果を増幅度の異なる出力間の機差として保存する機差保存手段と、その機差保存手段に保存された機差により増幅器の出力を補正する増幅器出力補正手段をさらに備えていることが好ましい。
【0014】
計測器で増幅器の電源電圧を実測し、あらかじめ設定した基準電圧との比をとって補正すれば、測定値の絶対値のずれを補正することができる。そのため、増幅器の電源電圧を測定し、予め設定した基準電圧との比によって測定結果を補正する測定結果補正手段をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
本発明を測定光と参照光を同時に測定する装置に適用する場合には、検出素子及び増幅器が測定光検出用と参照光検出用にそれぞれ設けられ、A/D変換器は測定光検出信号と参照光検出信号をともにデジタル信号に変換するものであり、データ処理部は参照光検出信号についても同様のデータ処理を行ない、測定光検出信号のデータ処理結果を参照光検出信号のデータ処理結果で割算して補正するように構成するのが好ましい。
【0016】
【実施例】
図2は本発明を概略的に表わしたものである。機械的チョッパ又は電気的チョッパにより変調された測定光Aと、同様に変調された参照光Bが、それぞれの検出素子1,2で受光される。検出素子1,2は例えばPbS素子である。検出素子1,2の検出出力は、複数の異なる増幅度の信号を出力する増幅器3,4にそれぞれ入力されて増幅される。増幅器3,4それぞれからの増幅度の異なる複数の出力信号がA/D変換器6を経てデータ処理部7に取り込まれる。5は増幅器3,4の電源装置である。
【0017】
データ処理部7はA/D変換器6の複数の出力信号を入力し、それらの信号のうちで増幅器3,4又はA/D変換器6の値が飽和せず、かつ増幅度の最も大きいものを選択するチャネル選択手段、その選択された信号を測定光を変調した変調周波数で同期信号処理する同期信号処理手段、及びその同期信号処理された信号を積分する積分手段を少なくとも備えている。
【0018】
図3は図2における検出素子1又は2で検出された信号がデータ処理部7で処理されるまでの信号処理の流れを詳細に示した図である。検出素子1、増幅器3及び電源5による回路構成と、検出素子2、増幅器4及び電源5による回路構成は同一であり、図3のPbS素子11は図2の検出素子1又は2に対応し、図3のPbS素子バイアス回路10及び入力バッファ回路12からオペアンプ22までの構成部分は図2の増幅器3又は4に対応する。PbS素子バイアス回路10はPbS素子11に定電流を供給するために設けられている。変調光を受けたPbS素子11の出力電圧変動は入力バッファ回路12に入力される。電圧−電流変換回路14は入力バッファ回路12の出力電圧変動を抵抗素子によって電流変動に変換する。電流−電圧変換回路18は電圧−電流変換回路14による電流変動をカレントミラー回路16を経て入力し、抵抗素子により所定の倍率に増幅した電圧変動に変換するものである。オペアンプ22は電流−電圧変換回路18の電圧変動出力を出力バッファ回路20を経由して入力し、複数の異なる倍率の信号をA/D変換器6に出力し、データ処理部7により測定値が算出される。
【0019】
この増幅器の各部をさらに詳細に説明する。バイアス回路10は定電流源として動作し、PbS素子11に最大14Vのバイアス電圧を供給する。バイアス回路10の一例は、図4に示されるように、電流設定抵抗30により電流が設定されるカレントミラー定電流回路32であり、PbS素子11に一定のバイアス電流を供給する。PbS素子11に流れるバイアス電流は、例えば次の式のように電流設定抵抗Rsにより設定される。
バイアス電流=14.0/Rs[A]
ただし、Rs>PbS素子暗抵抗である。
【0020】
図3に戻って説明する。PbS素子11に光が入射すると、その抵抗値が変化し、PbS素子11の両端には素子の抵抗値に比例した電圧降下が起きる。
入力バッファ回路12はPbS素子11の電圧降下を入力信号とするものである。入力バッファ回路12の入力部はNチャネルFETによるソースフォロワ回路、出力部はバイポーラトランジスタによるエミッタフォロワ回路となっており、増幅度=1倍、高入力インピーダンス、低出力インピーダンス回路となっている。
【0021】
電圧−電流変換回路14は固定抵抗のみで構成される。入力バッファ回路12の出力電圧をVo、入力バッファ回路12の出力抵抗をRio、カレントミラー回路16の入力抵抗をRci、電圧−電流変換回路14の抵抗をRviとすると、カレントミラー回路16への入力電流は以下のようになる。
カレントミラー回路入力電流=Vo/(Rio+Rvi+Rci)
カレントミラー回路16は低入力インピーダンス、高出力インピーダンス、電流増幅度=1倍の電流バッファとして動作する。
【0022】
電流−電圧変換回路18は固定抵抗のみで構成され、カレントミラー回路16の出力電流をIo、出力バッファ回路20の入力抵抗をRoi、電流−電圧変換回路18の抵抗をRivとすると、出力バッファ回路20の入力電圧は以下のようになる。
出力バッファ入力電圧=Io・Riv・Roi/(Riv+Roi)
出力バッファ回路20はバイポーラトランジスタによるエミッタフォロワ回路となっており、増幅度=1倍、高入力インピーダンス、低出力インピーダンス回路となっている。
【0023】
出力バッファからの出力を分岐して4つのオペアンプ22に入力する。オペアンプ22は非反転増幅器として用い、4つの増幅率(1,5,25,100倍)で出力する増幅回路を構成する。
DCサーボ回路24は出力バッファ回路20に過大なDCオフセット及びドリフトが生じた場合に回路を構成する素子の破損を防止するために、DC領域の負帰還をかけるものである。
【0024】
図3に示される増幅器で、オペアンプ22からの出力電圧(アンプ出力電圧)は、PbS素子11の抵抗Rdに対して以下の式で表わされる。
アンプ出力電圧
=(Vb・Rd/Rs)×[{Riv・Roi/(Riv+Roi)}/(Rio+Rvi+Rci)]×(オペアンプ増幅度)
Vb:バイアス回路電圧(バイアス電流設定抵抗両端の電圧)
Rd:PbS素子抵抗(Ω)
Rs:バイアス電流設定抵抗(Ω)
Rio:入力バッファ出力抵抗(Ω)
Rvi:電圧−電流変換抵抗(Ω)
Rci:カレントミラー回路入力抵抗(Ω)
Riv:電流−電圧変換抵抗(Ω)
Roi:出力バッファ入力抵抗(Ω)
【0025】
通常、Rvi≫(Rio+Rci)、Riv≪Roiであるため、アンプ出力電圧は次のようになる。
アンプ出力電圧
≒(Vb・Rd/Rs)×(Riv/Rvi)×(オペアンプ増幅度)
【0026】
図5にデータ処理部7の機能をブロック図として示す。データ処理部7はデータファイルに格納したPbS素子出力データに、同期信号処理を行ない、その結果をデータファイルに格納する。図2では検出素子1,2の2系統で同様のデータ処理がなされる。
【0027】
チャネル選択手段40は、測定信号と参照信号についてのそれぞれの系統で、複数のアナログ入力チャネルから、信号が飽和せず、かつ増幅器3又は4からの最大のアナログ入力チャネルのデータを選択し、実数に変換して指定されたバッファに格納する。チャネル選択は、16ビット分解能のA/Dデータが”8000H”又は”7FFFH”の場合にA/Dデータが飽和していると判定する。A/Dデータの整数型から実数型への変換は以下に示す式で行なう。
実数データ
=(整数データ)×(10.0/32768)×(補正増幅度)×(キャリブレーションデータ)
【0028】
オペアンプ22からA/D変換器6へのアナログ入力チャネルが測定信号と参照信号の各系統でそれぞれ4チャネルずつあり、各系統でのアンプ増幅度がチャネル0で100000倍、チャネル1で25000倍、チャネル2で5000倍、チャネル3で1000倍とすれば、補正増幅度はそれぞれ0.01,0.04,0.2,1.0となる。
【0029】
キャリブレーションデータは各入力間の増幅度の誤差を補正するものである。アンプに一定振幅の信号を入力したときのアンプの増幅度の異なる複数の出力を比較し、その結果を増幅度の異なる出力間の機差をキャリブレーションデータとして保存する機差保存手段を備えている。その機差保存手段に保存された機差によりアンプの出力を補正する増幅器出力補正手段をさらに備えている。
【0030】
高いサンプル周波数で測定したデータはサンプリング周波数が高いため、単位時間当りのデータ量が多くなる。そこで、チャネル選択手段40で選択された信号から高周波成分を除去するローパスフィルタ手段42と、ローパスフィルタ手段42を経た信号列から単位数ごとに抽出した値を信号値とするデータ間引き手段44とを備えている。間引き処理により少ないデータ量で処理できるようになる。
【0031】
間引き処理によって見かけのサンプリング周波数が小さくなるため、測定値の周波数スペクトルにサンプリング周波数に対応したエイリアシング・ノイズのスペクトルが重なる。A/D変換直後の周波数スペクトルはサンプリング周波数Fsの周期でFsの整数倍の周波数を中心として周期的に分布している。この信号に対して、例えば1/2間引きを行なうと、サンプリング周波数Fsを中心としたスペクトルが、Fs/2を中心としたスペクトルに変化する。その結果、Fs/2を中心とするエイリアシング・ノイズがノイズ成分として信号帯域に現われ、S/N比を下げてしまう。間引き処理の前にローパスフィルター処理を行なうのはそれを防ぐためである。
【0032】
間引きされたデータから信号の変調周波数成分のみを抽出するため、同期信号処理手段48による同期信号処理を行ない、変調周波数成分のみを精度よく抽出する。同期信号処理を行なう前に、変調周波数に通過帯域をもつバンドパスフィルタを用いることによって同期信号処理のS/N比の向上を図っている。
【0033】
また、同期信号処理を行なう前には信号の周波数が変調周波数からずれることがあるので、そのずれを補正することにより同期信号処理の精度を向上させることができる。周波数ずれ補正手段50は、同期信号処理手段48に入力する信号の周波数と変調周波数とのずれを測定し、その結果に基づいて同期信号処理手段48の同期周波数を補正する。この補正では、入力信号が正から負、又は負から正に変化する点(ゼロクロス点)を求め、そのゼロクロス点の間隔から入力信号の周波数を求める。その周波数を局部発信周波数と決定することによって同期精度のよい同期信号処理が実現される。
同期信号処理により変調された信号より定数値(直流成分)を必要とするため、ローパスフィルタ手段52によって高周波成分を除去しておく。
【0034】
ローパスフィルタ手段52を経たデータはデジタル積分手段54により積分される。積分により測定信号の振幅値が求められる。積分は、その時定数が大きいほど精度が高いが、時間がかかる。そのため、あらかじめ小さな時定数で真値に近い値で計算を収束させ、次に、その値を初期値として大きい時定数で収束させることによって、計算速度を向上させる。積分されたデータは記憶装置56に保存される。
【0035】
計測器で増幅器の電源電圧を実測し、あらかじめ設定した基準電圧との比をとって補正すれば、測定値の絶対値のずれを補正することができる。そのため、アンプの電源電圧を測定し、予め設定した基準電圧との比によって測定結果を補正する測定結果補正手段をさらに備えている。
このデータ処理は、測定光と参照光についてそれぞれ独立して行われている。測定光検出信号のデータ処理結果を参照光検出信号のデータ処理結果で割算して補正することにより、測定値のドリフト成分を除去する。
【0036】
図6のフローチャート図により、データ処理部における動作をまとめて示す。アンプからの増幅度の異なる複数の出力をA/D変換し、そのうち信号が飽和せず、かつ増幅度が最大のものを選択する。その選択された信号にローパスフィルタ処理を施した後、単位数ごとに抽出した値を信号値とするデータ間引き処理を施す。間引きされたデータからランダムノイズを除去するために、バンドパスフィルタ処理を経て同期信号処理を施す。同期信号処理においては信号の周波数と変調周波数とのずれを測定して同期周波数を補正する。同期信号処理された信号からローパスフィルタ処理により高周波成分を除去した後、積分処理を施し、データを保存する。
【0037】
【発明の効果】
本発明では検出素子からの信号値を増幅器により異なる複数の増幅度で同時に増幅し、その出力をA/D変換し、その信号のうち飽和することなく最大に増幅された信号を選択するようにしたので、増幅度の切換えにリレー回路やマルチプレクサ等の切換え装置を用いた場合には生じたであろうパルスノイズの発生を抑えることができる。また、測定信号を変調し、その変調周波数においてデジタル・同期信号処理を施したので、変調周波数成分のみを精度よく抽出してランダムノイズを除去することができる。
選択された信号を同期信号処理する前に、その選択された信号からエイリアシングノイズの原因となる高周波成分を除去するローパスフィルタ処理を施す。そのローパスフィルタ処理を経た信号列から単位数ごとに抽出した値を信号値とするデータ間引き処理を施せば、間引き処理により少ないデータ量で処理ができ、演算時間の短縮が可能となる。
同期信号処理を行なう前に、計測信号の周波数と変調周波数とのずれを測定し、その結果に基づいて同期信号処理の同期周波数を補正するようにすれば、同期信号処理の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】FTIRによる水の吸収スペクトルを示す図である。
【図2】本発明を概略的に示すブロック図である。
【図3】アンプを示すブロック図である。
【図4】PbS素子のバイアス回路の一例を示すブロック図である。
【図5】データ処理部の機能を示すブロック図である。
【図6】データ処理部の動作を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1,2 検出素子
3,4 増幅器
6 A/D変換器
7 データ処理部
10 PbS素子バイアス回路
11 PbS素子
12 入力バッファ回路
14 電圧−電流変換回路
16 カレントミラー回路
18 電流−電圧変換回路
20 出力バッファ回路
22 オペアンプ
40 チャネル選択手段
42 ローパスフィルタ手段
44 データ間引き手段
46 バンドパスフィルタ手段
48 同期信号処理手段
50 周波数ずれ補正手段
52 ローパスフィルタ手段
54 積分手段
Claims (9)
- 測定光をランダムノイズ除去のための所定の周波数で変調する変調手段と、
変調された前記測定光を検出する検出素子と、
前記検出素子の出力を入力し、複数の異なる増幅度の信号を同時に出力する増幅器と、
前記増幅器の増幅度の異なる複数の出力信号をそれぞれデジタル信号に変換する複数のA/D変換器と、
前記A/D変換器の複数の出力信号を入力して測定値を求めるデータ処理部と、を備え、前記データ処理部は、
入力したそれらの信号のうちで前記増幅器又は前記A/D変換器の値が飽和せず、かつ増幅度の最も大きいものを選択するチャネル選択手段、
前記チャネル選択手段で選択された信号から、後段のデータ間引き手段におけるデータ間引き処理の周波数に基づくエイリアシング・ノイズとなって信号帯域に現れる高周波成分を除去する第1のローパスフィルタ手段、
前記ローパスフィルタ手段を経た信号列から単位数ごとに一定間隔で抽出した値を信号値とするデータ間引き手段、
前記データ間引き手段で抽出された信号を測定光を変調した変調周波数と同期した発振信号と重ね合わせる同期信号処理手段、及び
その同期信号処理された信号の積分により測定値を求める積分手段を少なくとも備えたことを特徴とする光検出装置。 - 前記増幅器は、前記検出素子の変調出力を入力する入力バッファ回路と、
前記入力バッファ回路の出力電圧変動を抵抗素子によって電流変動に変換する電圧−電流変換回路と、
前記電圧−電流変換回路による電流変動を抵抗素子により所定の倍率に増幅した電圧変動に変換する電流−電圧変換回路と、
前記電流−電圧変換回路の電圧変動出力を出力バッファ回路を経由して入力し、複数の異なる倍率の信号を出力する増幅回路とを備えている請求項1に記載の光検出装置。 - 前記同期信号処理手段はその前段で、かつ前記データ間引き手段の後段に前記変調周波数を通過させるバンドパスフィルタ手段をさらに備えている請求項1又は2に記載の光検出装置。
- 前記同期信号処理手段に入力する信号の周波数と前記変調周波数とのずれを測定し、その結果に基づいて前記同期信号処理手段の同期周波数を補正する周波数ずれ補正手段をさらに備えている請求項1から3のいずれかに記載の光検出装置。
- 前記同期信号処理手段と前記積分手段との間に積分処理に不要な高周波成分を除去する第2のローパスフィルタ手段をさらに備えている請求項1から4のいずれかに記載の光検出装置。
- 前記積分手段は予め小さな時定数で真値に近い値で計算を収束させ、その結果を初期値とし、その積分時定数より大きな積分時定数で再度積分処理を行なうものである請求項1から5のいずれかに記載の光検出装置。
- 前記増幅器に一定振幅の信号を入力したときのその増幅器の増幅度の異なる複数の出力を比較し、その結果を増幅度の異なる出力間の機差として保存する機差保存手段と、その機差保存手段に保存された機差により前記増幅器の出力を補正する増幅器出力補正手段をさらに備えている請求項1から6のいずれかに記載の光検出装置。
- 前記増幅器の電源電圧を測定し、予め設定した基準電圧との比によって測定結果を補正する測定結果補正手段をさらに備えている請求項1から7のいずれかに記載の光検出装置。
- 前記検出素子及び増幅器が測定光検出用と参照光検出用にそれぞれ設けられ、前記A/D変換器は測定光検出信号と参照光検出信号をともにデジタル信号に変換するものであり、前記データ処理部は参照光検出信号についても同様のデータ処理を行ない、測定光検出信号のデータ処理結果を参照光検出信号のデータ処理結果で割算して補正するものである請求項1から8のいずれかに記載の光検出装置。
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