JP4040347B2 - 火力プラントにおける復水器の浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力プラント、特に、火力発電プラントに用いられている復水器を浄化する復水器の浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力プラントとして火力発電プラントが知られている。火力発電プラントの1例の概略構成図を図1に示す。
図1に示す火力発電プラントは、ボイラ10、タービン(例えば、蒸気タービン)20、発電機30、復水器40、脱気器50、給水加熱器60等を備えている。タービン20と発電機30は、回転軸によって連結されている。図1に示す火力発電プラントでは、タービン20は、高圧タービン21、中圧タービン22、低圧タービン23を有している。
ボイラ10は、水を加熱して発生させた蒸気を高圧タービン21に供給する。高圧タービン21から排出された蒸気は、ボイラ10で再加熱された後、中圧タービン22に供給される。中圧タービン22から排出された蒸気は、低圧タービン23に供給される。低圧タービン23から排出された蒸気は、復水器40に供給され、復水器40内で冷却媒体により冷却される。
復水器40から排出された水は、脱気器50で非凝固ガスが除去された後、給水過熱器60を介してボイラ10に戻される。
発電機30は、タービン20により駆動されて電力を発生し、発生した電力を電力系統等に供給する。
通常、火力発電プラントは海岸に設置され、復水器40の冷却媒体として海水が用いられる。復水器には、入口室と、出口室と、入口室と出口室との間に連通して配設された複数の細管とを有する冷却室が設けられている。海水は、取水口から入口弁41(図2参照)を介して復水器40の冷却室の入口室に流入する。入口室に流入した海水は、複数の細管を介して出口室に流れる。この細管によって、低圧タービン23から排出された蒸気と海水との間の熱交換が行われる。さらに、出口室内の海水は、出口弁42(図2参照)を介して放水口から流出する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
通常、低圧タービン23での仕事量(熱落差)を大きくし、発電効率を向上させるため、復水器40(厳密には、冷却室内の蒸気が通過する箇所)は真空状態に保たれている。
ところで、復水器40の冷却媒体として海水を用いる場合、海水中の貝や藻等の海生生物が復水器40内(入口室、出口室、細管の壁)に付着することがある。特に、復水器40の細管内や細管の出入口付近に海生生物が付着すると、低圧タービンから排出された蒸気の温度が低下しないため、復水器40の真空度が低下する。復水器40の真空度が低下すると、それに伴って火力発電プラントの発電効率が低下する。
このため、従来は、火力発電プラントの発電効率を維持するために、作業員が手作業で復水器40(特に、細管内)の清掃を行っている。例えば、夏季重負荷期前や復水器40の真空度が低下した場合に、復水器40を真空破壊させる。そして、作業員が復水器40内に入り、復水器40内の壁や細管内等をブラシ等を用いて清掃している。
このように、従来は、作業員が手作業で復水器の清掃を行っているため、非常に面倒であり、コストもかかっていた。
そこで、本発明は、容易に、安価に復水器を浄化することができる火力プラントにおける復水器の浄化方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの火力発電プラントにおける復水器の浄化方法である。
請求項1に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法では、タービンへの駆動用の蒸気の供給を停止し、復水器の冷却室に冷却媒体を溜めた状態で、タービンにシール用の蒸気(「グランド蒸気」ともいう)を供給するとともに、冷却室の真空度を調整することによって、冷却室に溜めた冷却媒体の温度を上昇させる。
タービンから排出される蒸気の温度は、復水器の冷却室の真空度を調整することによって調整される。例えば、復水器の冷却室の真空度を低下させると、タービンから排出される温度が上昇する。そして、タービンから排出される蒸気の温度が上昇すると、冷却室に溜めている冷却媒体の温度が上昇し、復水器の冷却室内の冷却媒体が通過する箇所が浄化、すなわち復水器が浄化される。ここで、タービンに駆動用の蒸気を供給している時、すなわち、タービンの通常運転時に、復水器の冷却室の真空度を低下させると火力プラントの運転効率が低下する。本発明では、タービンへの駆動用の蒸気の供給を停止し、シール用の蒸気をタービンに供給している状態で復水器の冷却室の真空度を調整するため、火力プラントの運転効率を考慮することなく、復水器の冷却室の真空度を所定の真空度に調整することができる。なお、「冷却室の真空度を調整する」という表現は、冷却室内の蒸気が通る室の真空度を調整することを意味する。
このように、タービンから排出された蒸気によって復水器の冷却室に溜めた冷却媒体の温度を上昇させ、復水器(冷却室)を浄化するため、作業員が手作業で復水器を清掃する回数が減少し、復水器の清掃作業に対する負担を軽減することができる。
なお、本明細書では、タービンへの駆動用の蒸気の供給を停止している状態とは、タービンを停止させている状態や、次回の運転に備えてモータ等によってタービンを微小回転数(例えば、数rpm)で回転させている状態(ターニング状態)等、タービンの駆動出力を必要としていない状態を意味する。
また、本明細書では、「浄化する」という表現は、例えば、復水器に付着した付着物(例えば、海生生物等)を除去することを意味する表現としてだけでなく、復水器に付着物が付着するのを防止あるいは付着物の成長を抑制することを意味する表現としても用いている。
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの火力プラントにおける復水器の浄化方法である。
請求項2に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法では、冷却室に溜めた冷却媒体の温度を45℃以上に上昇させる。これにより、例えば、復水器の冷却媒体として海水を用いる場合に、復水器に付着した海生生物を確実に除去することができ、あるいは復水器に海生生物が付着することまたは海生生物が成長するのを確実に防止することができる。
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの火力プラントにおける復水器の浄化方法である。
請求項3に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法では、少なくとも1つの復水器の冷却室に冷却媒体を溜め、それ以外の復水器の冷却室に冷却媒体を流している状態でタービンにシール用の蒸気を供給する。これにより、復水器の冷却室の真空度を適切に調整することができる。
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの火力プラントにおける復水器の浄化方法である。
請求項4に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法では、冷却媒体を流す冷却室に接続されている空気抽出弁の開度を、冷却媒体を溜めた冷却室に接続されている空気抽出弁の開度より小さく設定する。これにより、冷却媒体を溜めた冷却室により多くの蒸気を供給することができ、冷却室に溜めた冷却媒体の温度をより確実に上昇させることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、高圧タービン、中圧タービン、低圧タービンを有する蒸気タービンによって発電機を駆動し、復水器の冷却媒体として海水を用いた火力発電プラントに本発明を適用した場合のものである。
図2は、低圧タービン23から排出された蒸気が供給される復水器の構成を示す図である。
低圧タービン23には、中圧タービン22(図1参照)から排出された蒸気(駆動用の蒸気)が供給される、低圧タービンから排出された蒸気(駆動用の蒸気)は、復水器40に供給される。
ここで、低圧タービン23での仕事量(熱落差)を大きくし、発電効率を向上させるため、復水器40は真空状態に保たれている。例えば、復水器40(厳密には、復水器の冷却室内の蒸気が通過する箇所)は、空気抽出弁45を介して真空ポンプ46に接続されているとともに、真空調整弁47を介して大気に接続されている。そして、空気抽出弁45を開き、真空ポンプ46を運転している状態で、真空調整弁47の開度量を調整することによって、復水器40の真空度(真空値)が調整される。復水器40の真空度を調整する方法は、これ以外の種々の方法を用いることができる。
復水器40には、入口室と、出口室と、入口室と出口室を連通する複数の細管が配設された冷却室が設けられている。入口室には、取水口から入口弁41を介して海水が流入される。入口室内の海水は、細管を介して出口室に流れる。細管は、低圧タービン23から排出された蒸気が通過する通路に配設されている。これにより、細管の表面部分を介して、低圧タービン23から排出された蒸気の熱が海水に伝達され、復水処理が行われる。
蒸気と熱交換を行った海水は、出口室、出口弁42を介して放水口から流出される。
【0006】
ところで、低圧タービン23は、高圧タービン21、中圧タービン22とともに回転軸25に取り付けられており、回転軸25とともに回転する。
一方、前記したように、低圧タービン23から排出された蒸気が供給される復水器40は真空状態(例えば、722mmHg)に保たれている。
このため、復水器40の真空状態を維持するために、タービンの回転軸25と、回転軸25を支持する支持部(例えば、ケーシング)との隙間をシールする必要がある。
回転軸25と支持部との隙間をシールする方法としては、通常、低圧タービン23に(回転軸25と支持部との隙間部に)シール用の蒸気(グランド蒸気)を供給する方法が用いられている。
低圧タービン23から排出されたグランド蒸気の一部は、グランド蒸気コンデンサーに供給されて復水との熱交換用に用いられ、残りは、復水器40に供給されて駆動用蒸気と同様に復水処理される。
【0007】
復水器40の冷却媒体として海水を用いた場合には、前述したように、復水器40内(冷却室の入口室、出口室、細管等の壁面)に海生生物が付着する可能性がある。
ところで、復水器等の被付着体に付着する海生生物は、海水温度が所定温度以上に上昇すると、被付着体から除去され、あるいは被付着体への付着が抑制されることが知られている。被付着物に付着する可能性がある代表的な海生生物の所定温度は、例えば、イソギンチャクが約37℃、カサネカンザシ及びエガイが約39℃、ヒバリガイが約40℃、サンカクフジツボ、ムラサキイガイ及びクジャクガイが約41℃、イボニシが約44℃、カキが約45℃、藻が約40℃である。
復水器には、藻、サンカクフジツボ、ムラサキイガイ、カキ等の海生生物が付着する可能性が高い。
そこで、本発明者は、復水器(冷却室)40内の海水の温度を45℃以上に上昇させることにより、復水器に付着する可能性がある代表的な海生生物を除去することができること、あるいは復水器40に海生生物が付着することまたは海生生物が成長することを防止することができるという知見から、復水器(冷却室)40内の海水の温度を45℃付近に上昇させる方法について検討した。
例えば、復水器を逆洗運転させる方法が考えられる。復水器の逆洗運転は、復水器に一方向に海水を流した後、逆方向に海水を流す方法であり、通常、火力発電プラントの低出力時に行われている。この復水器の逆洗運転を火力発電プラントの高出力時に行う方法である。
また、復水器に直接蒸気を投入する方法が考えられる。すなわち、復水器に直接蒸気を投入して復水器内の海水の温度を上昇させる方法である。
また、タービンから排出される蒸気を利用する方法が考えられる。すなわち、タービンから排出された蒸気の熱によって復水器内の海水の温度を上昇させる方法である。
ここで、復水器を逆洗運転させる方法は、タービンの通常運転中に行うため、火力発電プラントの発電効率に影響する。
また、復水器に直接蒸気を投入する方法は、設備の改造が必要である。
一方、タービンから排出される蒸気を利用する方法では、既存の蒸気供給装置を用いることができ、また、タービンへの駆動用の蒸気の供給を停止した状態で行えば、火力発電プラントの発電効率を考慮する必要がない。
そこで、以下では、これらの方法の中から、経済的で、海水の温度上昇効果が高い、タービンから排出される蒸気を利用する方法について述べる。
【0008】
例えば、低圧タービン23に蒸気を供給し、低圧タービン23から排出される蒸気を復水器40に供給する場合、復水器40の真空度(真空値)を調整する(例えば、真空値を低下させる)ことにより、低圧タービン23から排出される蒸気の温度を上昇させることができる。すなわち、排気室(図2に示すように、低圧タービン23から蒸気が排出される位置)内の温度は飽和蒸気温度付近に維持されるため、復水器40の真空度を低下させれば復水器40内の温度が上昇する。
ここで、復水器40の真空度は、例えば、真空調整弁47によって調整することができる。
したがって、この方法を用いる場合には特別な装置を設ける必要がない。
【0009】
次に、復水器(冷却室)40の真空度を調整することによって低圧タービン23から排出される蒸気の温度を上昇させ、それによって復水器(冷却室)40の海水の温度を上昇させる方法について説明する。
以下では、図4に示すように、低圧タービン1及び低圧タービン2を有する低圧タービンが用いられ、低圧タービン1から排出される蒸気が供給される水室A及びBを有する復水器Aと、低圧タービン2から排出される蒸気が供給される水室C及びDを有する復水器Bにより構成される復水器を用いる場合について説明する。
なお、水室A〜Dが本発明の冷却室に対応し、水室A〜Dに供給される海水が本発明の冷却媒体に対応する。
【0010】
復水器の海水の温度を上昇させて復水器を浄化する場合には、低圧タービン1及び低圧タービン2への駆動用の蒸気の供給を停止し、少なくとも1つの水室に海水を溜め、他の水室に海水を流した状態で、低圧タービン1及び低圧タービン2にシール用のグランド蒸気を供給するとともに、復水器の真空値を低下させる。低圧タービン1及び低圧タービン2への駆動用の蒸気を停止した状態とは、低圧タービン1及び低圧タービン2の駆動出力が必要でなくなって、駆動用の蒸気を停止した状態をいう。駆動用の蒸気を停止した状態には、低圧タービン1及び低圧タービン2が停止している状態は勿論、低圧タービン1及び低圧タービン2への駆動用の蒸気の供給を停止した後、次回の運転に備えてモータ等により低圧タービン1及び低圧タービン2を微小回転数(例えば、数rpm)で回転させている状態(ターニング状態)も含まれる。本実施の形態では、ターニング状態の時に、タービンにグランド蒸気を供給するとともに、復水器の真空度を調整している。
例えば、図3及び図4に示すように、同一復水器Bの水室C及びDに海水を溜める。例えば、水室C及びD内に海水をほぼ満水に溜めた状態で、水室C及びDの入口弁C1、D1及び出口弁C2、D2を閉じる(満水停止状態)。なお、水室C及びDの入口弁C1、D1は、水室C及びDに海水を満水状態に溜めた後、開けておいてもよい。
なお、本明細書では、同一復水器の水室(冷却室)とは、同一のタービンから排出される蒸気が供給される複数の水室(冷却室)を意味する。例えば、図3及び図4では、低圧タービン1から排出される蒸気が供給される水室(冷却室)A及びBを、同一復水器Aの水室(冷却室)という。
また、他の復水器Aの水室A及びBの入口弁A1、B1及び出口弁A2、B2を開けて、水室A及びBに海水を流した状態(通水状態)とする。
さらに、低圧タービンから排出される蒸気が、海水を溜めた水室C及びD側に多く流れるようにするために、真空ポンプと通水状態の水室A、Bの間に接続された空気抽出弁A3、B3の開度量を、真空ポンプと海水を溜めた水室C、Dとの間に接続された空気抽出弁C3、D3の開度量より小さく設定する。図4では、空気抽出弁C3、D3の開度量を100%(全開)、空気抽出弁A3、B3の開度量を30%に設定している。
なお、本実施の形態では、低圧タービン1及び低圧タービン2の通常運転時にはポンプP1及びP2のいずれか1台の真空ポンプを使用し、復水器の浄化時にはポンプP1とP2の2台を使用している。
また、シール用のグランド蒸気は、火力発電プラントの通常運時には、自己の火力発電プラントに設けられている駆動用蒸気の発生装置から供給し、復水器の浄化時には、他の運転中の火力発電プラントの駆動用蒸気の発生装置から供給している。グランド蒸気の供給方法は種々変更可能である。
【0011】
以上の状態でテストを行った結果を図5に示す。
図5は、前記したように設定し、真空値(復水器真空値)が720mmHg、低圧タービン23から排出される蒸気の温度(排気温度)が25℃、復水器B(復水器Bの水室C及びD)に溜めた海水の温度(海水温度)が10℃の状態から、真空調整弁47によって真空値を低下させた場合における、復水器真空値、排気温度、海水温度の関係を示す図である。
図5から、復水器真空値を調整することによって復水器内の海水の温度を調整することができることがわかる。例えば、復水器真空値を650mmHgに調整することにより、復水器(冷却室)に付着した海生生物を除去することができる、あるいは復水器(冷却室)に海生生物が付着するのを防止することができるまたは海生生物が成長することを防止することができる海水温度である45℃より高い46.5℃に上昇させることができる。
【0012】
ところで、復水器に付着していた海生生物等の付着物を除去した場合、除去した付着物を復水器外部に排出する必要がある。除去した付着物を復水器(細管)を介して復水器外部に排出する場合、除去した付着物が大きいと、付着物が復水器の細管に詰まる可能性がある。付着物が細管内に詰まると、復水器に付着物が付着した場合と同様に、復水器の真空度が低下する。
復水器(冷却室)内の海水(冷却媒体)の温度を上昇させて復水器から付着物を除去した後、除去した付着物(特に、入口室側の付着物)を復水器(特に、冷却室の細管)を通さないで復水器外部に排出する方法を図6を参照して説明する。図6は復水器をバイパス運転させる方法を説明する図である。
なお、図6では、水室A及びBを有する復水器A、水室C及びDを有する復水器Bにより構成される復水器が用いられており、例えば、前記した方法で復水器(冷却室)A内の海水の温度を上昇させた場合を示している。
図6において、水室A及びBには、取水口側に入口弁A1、B1が接続され、放水口側に出口弁A2、B2が接続されている。また、水室Aと出口弁A2の直列接続に並列に逆洗弁A4が接続され、水室Bと出口弁B2の直列接続に並列に逆洗弁B4が接続されている。さらに、水室Aと水室Bの出口室間には、連絡弁ABが接続されている。
【0013】
例えば前記した方法を用いて、復水器Aの水室A及びB内に溜めた海水の温度を上昇させ、水室A及びBに付着していた付着物を除去した後、水室A及びBをバイパス運転させる。
例えば、図6に示すように、水室Aの入口弁A1、逆洗弁A4、水室Bの入口弁B1、逆洗弁B4を開き、水室Aの出口弁A2、水室Bの出口弁B2、連絡弁ABを閉じる。
これにより、図6に破線で示すように、海水は、入口弁A1と逆洗弁A4を介して流れるとともに、入口弁B1と逆洗弁B4を介して流れ、水室A及びBがバイパス運転される。すなわち、通常時に水室A及びBに冷却媒体が流れる方向に、水室A及びBをバイパスして冷却媒体が流れる。
この場合、水室A及びBの入口室側の除去された付着物は、入口弁A1、B1から水室A、Bをバイパスして逆洗弁A4、B4を介して流れる海水によって吸引されるため、水室(水室の細管)A、Bを通らずに、逆洗弁A4、B4を介して排出される。なお、水室A、Bのバイパス運転時間は適宜設定可能であるが、例えば15分程度とする。
【0014】
以上は、本発明を用いて復水器(冷却室の入口室、出口室及び細管の壁)に付着した付着物を除去する場合について説明したが、本発明は、復水器(冷却室の入口室、出口室及び細管の壁))に付着物が付着するのを防止または付着物が成長するのを防止するために用いることもできる。
復水器に付着物が付着するのを防止または付着物が成長するのを防止するためには、本発明の方法を定期的あるいは所定の時期に繰り返し実行するのが好ましい。例えば、復水器(冷却室)に溜めた海水の温度を、低圧タービンから排出される蒸気の熱によって上昇させる浄化処理を毎月1回、あるいは2ヶ月に1回の頻度で行う。処理を行う期間間隔、期間内の処理回数等は適宜設定することができる。
【0015】
ところで、海生生物は、海水の温度によって成長度合いが変化する(海水温度が高い方が成長度合いが高い)。このため、復水器の冷却媒体として海水を用いる場合には、海生生物の成長度合いが最も早い場合でも復水器への付着を防止することができ、あるいは海生生物の成長を抑制することができる頻度で浄化処理を行う必要がある。
しかしながら、このような頻度で浄化処理を行う場合、海水の温度が低い時には無駄な処理となってしまう。
そこで、浄化処理の頻度を所定の条件に応じて変更するのが好ましい。
例えば、海水の温度が高い時(例えば、20℃以上の時)には、処理頻度を多くする(例えば、1回/月)。これにより、海生生物の付着及び海生生物の成長を早期に防止する。
一方、海水の温度が低い時(例えば、20℃未満の時)には、処理頻度を少なくする(例えば、1回/2ヶ月)。これにより、海生生物の成長度合いに適切な頻度で浄化処理を行うことができる。
【0016】
本発明は、実施の形態で説明した構成に限定されることなく、種々の変更、追加、削除が可能である。
例えば、復水器の冷却媒体として海水を用いたが、復水器の冷却媒体は海水に限定されない。
また、2つの冷却室が設けられている復水器を2つ用いたが、復水器に設けられる冷却室の数、使用する復水器の数等は、1を含めて種々の数を選択可能である。
また、同一の復水器の複数の冷却室に冷却媒体を溜める場合について説明したが、冷却媒体を溜める冷却室を選択する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、異なる復水器の冷却室に冷却媒体を溜めてもよい。しかしながら、同一の復水器の複数の冷却室に冷却媒体を溜める方が、より効果的である。
また、複数の冷却室に冷却媒体を溜めたが、冷却媒体を溜める冷却室の数は1を含めて種々変更可能である。
また、冷却媒体を溜めた冷却室以外の冷却室に冷却媒体を流したが、冷却媒体を溜めた冷却室以外の冷却室に冷却媒体を流さなくてもよい。すなわち、少なくとも1つの冷却室に冷却媒体を溜めた状態でタービンに蒸気を供給すればよい。しかしながら、少なくとも1つの冷却室に冷却媒体を溜め、他の冷却室に冷却媒体を流す方が、真空度をより適切に調整することができる。
また、低圧タービンと共同する復水器を浄化する場合について説明したが、復水器と共同するタービンは低圧タービンに限定されない。
また、タービンの構造は種々変更可能である。
また、復水器を用いている火力発電プラントについて説明したが、本発明は、タービンと復水器を用いている火力プラントであれば種々の火力プラントに適用することができる。
また、冷却室に溜めた冷却媒体の温度を上昇させた後、冷却室をバイパス運転させたが、バイパス運転は省略してもよい。
また、冷却媒体を流している冷却室と真空ポンプとの間に接続されている空気抽出弁の開度を、冷却媒体を溜めている冷却室と真空ポンプとの間に設けられている空気抽出弁の開度より小さく設定したが、各空気抽出弁の開度量は適宜設定することができる。
また、冷却室に溜めた冷却媒体の温度を上昇させる際の目標値は、付着物の特性等に応じて適宜設定可能である。
また、タービンへの駆動用の蒸気を停止した状態で、タービンにグランド蒸気を供給するとともに、復水器の冷却室の真空度を調整することによってタービンから排出される蒸気の温度を上昇させ、復水器内の冷却媒体の温度を上昇させたが、タービンへの駆動用の蒸気の供給を停止し、復水器の冷却室に冷却媒体を溜めた状態で冷却媒体の温度を上昇させることができれば、種々の方法を用いることできる。例えば、復水器内に直接蒸気を投入する方法等を用いることもできる。この場合には、タービンの運転効率を考慮することなく復水器の冷却室内の冷却媒体の温度を上昇させることができる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜請求項4に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法を用いれば、容易に、安価に復水器を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】火力発電プラントの概略構成図である。
【図2】復水器の構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態を説明する図である。
【図4】 本発明の一実施の形態を説明する図である。
【図5】本発明の一実施の形態のテスト結果を示す図である。
【図6】 本発明の一実施の形態を説明する図である。
【符号の説明】
10 ボイラ
20 タービン
25 回転軸
30 発電機
40 復水器
41、A1〜D1 入口弁
42、A2〜D2 出口弁
45、A3〜D3 空気抽出弁
46 真空ポンプ
47 真空調整弁
50 脱気器
60 給水加熱器
Claims (4)
- 蒸気が供給されるタービンと、タービンから排出された蒸気を冷却媒体により冷却する復水器とを備える火力プラントにおける復水器の浄化方法であって、
タービンへの駆動用の蒸気の供給を停止し、復水器の冷却室に冷却媒体を溜めた状態で、タービンにシール用の蒸気を供給するとともに、冷却室の真空度を調整することによって、冷却室に溜めた冷却媒体の温度を上昇させる、
火力プラントにおける復水器の浄化方法。 - 請求項1に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法であって、冷却室に溜めた冷却媒体の温度を45℃以上に上昇させる火力プラントにおける復水器の浄化方法。
- 請求項1または2に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法であって、復水器が複数設けられており、少なくとも1つの復水器の冷却室に冷却媒体を溜め、それ以外の復水器の冷却室に冷却媒体を流している状態でタービンにシール用の蒸気を供給する火力プラントにおける復水器の浄化方法。
- 請求項3に記載の火力プラントにおける復水器の浄化方法であって、各冷却室は空気抽出弁を介して真空ポンプに接続されており、冷却媒体を流す冷却室に接続されている空気抽出弁の開度を、冷却媒体を溜めた冷却室に接続されている空気抽出弁の開度より小さく設定する火力プラントにおける復水器の浄化方法。
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