JP3345517B2 - 発電プラントの海水系統海洋生息物除去装置及びその洗浄方法 - Google Patents

発電プラントの海水系統海洋生息物除去装置及びその洗浄方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発電プラントにおける
復水器、海水クーラーおよび循環水管に付着する海洋生
息物を死滅させて除去する海洋生息物除去装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、火力発電プラント或は原子力発
電プラントにおいては、ボイラまたは原子炉で発生した
蒸気が蒸気タービンに供給され、そこで仕事を行なった
蒸気は復水器で復水され、復水ポンプによって再びボイ
ラまたは原子炉に戻すようにしてあり、上記復水器にお
いては、蒸気を凝縮復水するため大量の海水を利用して
いる。すなわち、海水を循環水ポンプで吸い上げ、この
海水を循環水管を経て復水器に導入し、その復水器にお
ける熱交換チューブを介して蒸気を凝縮させた後海に戻
すことが行なわれている。
【0003】ところで、海水中には貝類や藻が生息して
おり、これらが熱交換チューブや循環水管壁に付着し、
成長することにより、熱交換器の性能を低下させたり、
管路の流動抵抗を増加させ、ポンプ動力の負荷の増大を
もたらし、プラント効率を低下させる原因となってい
る。
【0004】そこで、一般に、プラント停止時に人力ま
たはロボット、水噴射等により、上記熱交換チューブ等
に付着した海洋生息物を機械的に除去することが行なわ
れているが、その他に、塩素注入による方法、防汚塗料
による方法、淡水注入による方法、或は機器および配管
内の海水温度を40℃以上に保持し、管内壁等に付着し
た稚貝等を死滅させる温水注入法等の海洋生息物除去方
法が採用されている。
【0005】上記温水注入による海洋生息物除去方法の
温水循環系の系統図を図7に示す。図7において符号1
は復水器であって、その復水器1には、循環水ポンプ2
で汲み上げられた海水が循環水入口導管3aを経て供給
され、そこでタービン排気と熱交換してそのタービン排
気を復水させた後、循環水出口導管3bを経て海に還流
するようにしてある。
【0006】ところで、上記循環水入口導管3aに設け
られている入口弁4の下流側と循環水出口導管3bに設
けられている出口弁5の上流側とが、前記復水器1と並
列に配設された温水循環水管6によって接続されてお
り、その温水循環水管6には、温水循環ポンプ入口弁
7、温水循環ポンプ8、逆止弁9、循環水加温器10、
及び循環水加温器出口弁11が順次設けられている。
【0007】しかして、海洋生息物除去にしては、循
環水ポンプ2を停止後、復水器1の入口弁4及び出口弁
5を閉じ、温水循環ポンプ入口弁7及び循環水加温器出
口弁11を開き、温水循環ポンプ8を運転し、循環水加
温器10で加温された海水を循環水出口導管3bを経て
復水器1の熱交換チューブ内に供給し、さらに循環水入
口導管3a及び温水循環水管6を経て循環水加温器10
に環流させる。
【0008】上記循環水加温器10は、蒸気直接熱交換
式加温器であって、図8に示すように加温器本体12内
に、循環水送入口13、循環水送出口14、及び多数の
小孔15を有する噴射管16が設けられており、前記温
水循環ポンプ8によって循環される海水が上記循環水送
入口13から入り、循環水送出口14から流出し、復水
器1へと送給される。一方、加温器本体12には、上記
噴射管16の外周部に蒸気源20(図7)からの蒸気を
供給する蒸気供給口17が設けられており、その蒸気供
給口17と噴射管16の外周部との間には充填物18が
充填されている。
【0009】しかして、上記蒸気供給口17から加温器
本体12に流入した蒸気は、充填物18を加温するとと
もに多数の小孔15を経て噴射管16内に噴射され、そ
の噴射管16内を流れる海水と混合加温して送出口14
から流出する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記循環水
加温器10は、蒸気の高温に耐え、しかも海水による腐
食流体にさらされるので、通常ステンレス鋼が使われ、
また海水系に使われる温水循環ポンプにも耐腐食性を考
慮して通常ステンレス鋼が使われる。
【0011】しかしながら、海洋生息物除去装置の運転
は、常時ではなく、循環水管系が停止、つまり発電プラ
ントが停止している期間にすぎない。したがって、海水
が流動している時は問題は少ないが、装置保管の際には
加温器およびポンプ内に海水が滞留することになり、加
温器本体12や充填物18及びポンプの部品に部分的に
塩分濃度が上昇し、ステンレス鋼材でも、海水により腐
食するケースが発生するという問題がある。
【0012】本発明はこのような点に鑑み、温水循環ポ
ンプ及び温水加温器が海水により腐食することを防止し
得るようにした海洋生息物除去装置及びその洗浄方法を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、温水循環
ポンプ及び蒸気直接熱交換式の循環水加温器を有する温
水循環配管を復水器と並列に接続した発電プラントの海
水系統海洋生息物除去装置において、上記温水循環ポン
プ及び循環水加温器にそれぞれブロー弁及びベント弁を
設けるとともに、上記温水循環ポンプ及び循環水加温器
に洗浄水を供給する洗浄水供給装置を設けたことを特徴
とする。
【0014】また、第2の発明は、蒸気直接熱交換式の
循環水加温器で加温された温水の循環による復水器内の
海洋生息物除去を行った後、温水循環ポンプ入口弁及び
循環水加温器出口弁を閉じ、温水循環ポンプと循環水加
温器を他のラインから遮断し、その温水循環ポンプ及び
循環水加温器内の海水を排出し、その後上記温水循環ポ
ンプ及び循環水加温器に洗浄水を通した後、洗浄水を排
出することを特徴とする。
【0015】
【作用】発電プラントの循環水管系統の停止時に、循環
水加温器によって加温された温水を温水循環ポンプによ
って循環させて海洋生息物を除去した後、温水循環ポン
プ及び循環水加温器に洗浄水を通して洗浄することがで
きる。したがって、温水循環ポンプと循環水加温器があ
るラインにおける海水に含まれている塩分を除去するこ
とができ、温水循環ポンプと循環水加温器の腐食を低減
でき、当該部品の耐用年数を延ばすことができる。
【0016】
【実施例】以下、図1乃至図6を参照して本発明の実施
例について説明する。
【0017】図1において、循環水入口導管3aから循
環水出口導管3bにかけて接続されている温水循環管6
には、図7に示す従来装置と同様に温水循環ポンプ8及
び逆止弁9が設けられ、その逆止弁9の下流側に循環水
加温器10が設けられている。そして、上記温水循環ポ
ンプ8の上流側及び循環水加温器10の下流側には温水
循環ポンプ入口弁7及び循環水加温器出口弁11が設け
られている。また、上記循環水加温器10には、蒸気源
20からの蒸気が蒸気調節弁21及び逆止弁22を介し
て供給されるようにしてある。
【0018】ところで、上記温水循環ポンプ8と逆止弁
9との間には、洗浄水供給管23が接続されており、そ
の洗浄水供給管23には、洗浄水供給弁24、洗浄水ポ
ンプ25を介して洗浄水タンク26が接続されている。
【0019】一方、温水循環ポンプ8の上部には温水循
環ポンプベント管27が接続され、その温水循環ポンプ
ベント管27にはベント弁28が介装されており、温水
循環ポンプ8の下部には、ブロー弁29を有する温水循
環ブロー管30が接続されている。また、循環水加温器
10には、その上部にベント弁31を有する循環水加温
器ベント管32が接続され、さらに下部にはブロー弁3
3を有する循環水加温器ブロー管34が接続されてい
る。
【0020】そして、上記温水循環ポンプ8、循環水加
温器10の各ベント弁28、31とブロー弁29、3
3、及び温水循環ポンプ入口弁7、循環水加温器出口弁
11は、それぞれ制御装置35によって制御される電気
式アクチュエータ(弁駆動装置)により駆動されるよう
に構成されている。
【0021】しかして、上記温水循環ラインの洗浄は次
のようにして行なわれる。
【0022】すなわち、温水循環ラインの洗浄に際して
は、まず循環水ポンプ2を停止した後、入口弁4及び出
口弁5を締め、温水循環ポンプ入口弁7と循環水加温器
出口弁11を開けるとともに温水循環ポンプ8を起動
し、温水循環水管6及び復水器1内に海水を循環させ
る。この時循環水加温器10には蒸気調節弁21を介し
て蒸気源20から蒸気が供給され、循環する海水の温度
が40℃に加温される。
【0023】このようにして、温水循環管6、及び復水
器1内の海水温度が40℃以上に保持され、海洋生息物
が死滅した後、蒸気調節弁21を閉め、その後温水循環
ポンプ8を止めるとともに温水循環ポンプ入口弁7と循
環水加温器出口弁11を閉にして、温水循環水管6に設
けられている温水循環ポンプ8及び循環水加温器10を
復水器1の冷却水循環系統から隔離する。
【0024】そこで、2個の温水循環ポンプブロー弁2
9、及び循環水加温器10のブロー弁33、並びに各ベ
ント弁28、31を開にして、温水循環ポンプ入口弁7
と循環水加温器出口弁11間の海水を排出する。そし
て、上記海水の排出後、循環水加温器10のベント弁3
1を開にしたまま、温水循環ポンプ8のブロー弁29及
びベント弁28、循環水加温器10のブロー弁33を閉
にし、洗浄水供給弁24を介して上記温水循環ポンプ入
口弁7と循環水加温器出口弁11間に洗浄水を充満させ
る。このとき、上記洗浄水は循環水加温器10を通りそ
のベント弁31を介して排出され、この間に循環水加温
器10の洗浄が行なわれる。すなわち、この場合洗浄水
は噴射管16の内部から小孔15を通り充填物18の間
を通過して、ベント管32及びベント弁31から排出さ
れ、充填物18の洗浄も同時に行なわれる。
【0025】このようにして一定時間洗浄水を通した
後、循環水加温器10のベント弁31を閉じ始めると同
時に、温水循環ポンプ8のベント弁28を開け、上記洗
浄水を温水循環ポンプ8のベント弁28側に流出させる
ことにより温水循環ポンプ8の洗浄を行なうことができ
る。
【0026】そして、一定時間洗浄後洗浄水供給弁24
を閉じ、各ベント弁29、33、ブロー弁28、31を
開にして、再び温水循環ポンプ入口弁7と循環水加温器
出口弁11間の洗浄水を排出し、同じ手順で上記洗浄を
数回繰り返す。
【0027】図2に、上記温水循環ラインの洗浄におけ
る各弁の動作手順を示す。また、上記洗浄の繰り返しに
より塩素の濃度がどのように下がるかを示したのが図3
である。この図3は加温器内の塩素濃度を導電率の変化
で表した結果であり、5回の繰り返しで初期の洗浄水濃
度に対し60%になり、約20回で20%程度まで下が
る。この結果から本洗浄方法によれば、循環水加温器1
0及び温水循環ポンプ8を十分に洗浄できることがわか
る。
【0028】なお、上記実施例においては、洗浄を何回
か繰り返すようにしたものを示したが、連続的な洗浄を
行なうこともできる。図4は上記連続洗浄を行なった場
合における循環水加温器内の塩素濃度の変化を導電率の
変化で表わした図であり、塩素の濃度が初期の値の10
%になる時間に対し、その時間の1/10で初期の洗浄
水濃度に対し50%の濃度になり、また3/10の時間
で約20%程度の濃度まで下がる。したがって、本洗浄
方法によれば、温水循環ポンプ等を十分洗浄することが
できる。
【0029】しかして、一定時間洗浄後洗浄水供給弁2
4を閉じて、各ベント弁及びブロー弁を開にして再び温
水循環ポンプ入口弁7と循環水加温器出口弁間の洗浄水
を排出して、当該部分を乾いた状態とすることによっ
て、その部分の腐食を防止することができる。
【0030】図5及び図6は本発明の他の実施例を示す
図であり、洗浄水供給管23には加温器用洗浄水注入管
40が分岐導出されており、その洗浄水注入管40の先
端が、図に示すように循環水加温器10の加温器本体
12内に開口されている。そして、上記循環水加温器1
0の前後にそれぞれブロー弁42a、42bを有するブ
ロー管41a、41bが接続されている。
【0031】しかして、循環水加温器10の洗浄に際し
ては、洗浄水が上記洗浄水注入管40を介して加温器本
体12内に供給される。したがって、この場合洗浄水は
蒸気の流入と同じ流路を通り、すなわち充填物18、噴
射管16を通って加温器前後の配管に流れ、ブロー弁4
2a、42bを介して外部に排出される。
【0032】この場合、ベント弁31は満水時及び排出
時の空気抜きとして使用し、洗浄時はブロー弁42a、
42bを開閉することにより循環水加温器10に本体外
側から内側に洗浄水を流すことができ、加温器を十分洗
浄することができる。
【0033】また、洗浄水の使用に代え、蒸気源からの
蒸気によって循環水加温器の洗浄を行なうことができ
る。すなわち、前述のように温水循環ポンプ入口弁7と
循環水加温器出口弁11間の海水を抜いた後、ベント弁
31、ブロー弁33を開にしたまま蒸気調節弁21を微
開して蒸気源20から蒸気を循環水加温器10に導入し
て洗浄する。そして、一定時間経過後蒸気調節弁21を
閉じる。
【0034】しかして、この場合には流れが速い蒸気が
循環水加温器10の充填物間を流れるので、攪拌ができ
洗浄の効果を十分果すことができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明においては
温水循環系統に循環水加温器及び温水循環ポンプ部を洗
浄する装置を設け、当該部分の洗浄を行なうようにした
ので、当該部分の海水の塩分濃度を下げることができ、
当該部分の腐食の低減を測ることができて、温水循環ポ
ンプ及び循環水加温器の耐用年数を延ばすことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の海洋生息物の除去装置の一実施例を示
す系統図。
【図2】図1に示す装置における温水循環ラインの洗浄
時の各弁の動作順序を示す図。
【図3】洗浄繰り返し回数による加温器内導電率の変化
を示す図。
【図4】連続洗浄による加温器内導電率の変化を示す
図。
【図5】本発明の他の実施例を示す系統図。
【図6】図5に示す実施例における循環水加温器の一例
を示す断面図。
【図7】従来の海洋生息物除去装置の一例を示す系統
図。
【図8】従来の循環水加温器の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1 復水器 3a 循環水入口導管 3b 循環水出口導管 4 入口弁 5 出口弁 7 温水循環ポンプ入口弁 8 温水循環ポンプ 10 循環水加温器 11 循環水加温器出口弁 16 噴射管 17 蒸気供給口 18 充填物 20 蒸気源 21 蒸気調節弁 23 洗浄水供給管 24 洗浄水供給弁 25 洗浄水ポンプ 28、31 ベント弁 29、33 ブロー弁
フロントページの続き (72)発明者 小 林 政 徳 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番 地 株式会社東芝 京浜事業所内 (72)発明者 鈴 木 泰 宏 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番 地 株式会社東芝 京浜事業所内 (56)参考文献 特開 平5−215491(JP,A) 特開 平7−167589(JP,A) 実開 昭58−148495(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F28G 9/00 F28F 19/01

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】温水循環ポンプ及び蒸気直接熱交換式の
    環水加温器を有する温水循環配管を復水器と並列に接続
    した発電プラントの海水系統海洋生息物除去装置におい
    て、上記温水循環ポンプ及び循環水加温器にそれぞれブ
    ロー弁及びベント弁を設けるとともに、上記温水循環ポ
    ンプ及び循環水加温器に洗浄水を供給する洗浄水供給装
    置を設けたことを特徴とする、発電プラントの海水系統
    海洋生息物除去装置。
  2. 【請求項2】洗浄水供給管が循環水加温器本体に接続さ
    れていることを特徴とする、請求項1記載の発電プラン
    トの海水系統海洋生息物除去装置。
  3. 【請求項3】蒸気直接熱交換式の循環水加温器で加温さ
    れた温水の循環による復水器内の海洋生息物除去を行っ
    た後、温水循環ポンプ入口弁及び循環水加温器出口弁を
    閉じ、温水循環ポンプと循環水加温器を他のラインから
    遮断し、その温水循環ポンプ及び循環水加温器内の海水
    を排出し、その後上記温水循環ポンプ及び循環水加温器
    に洗浄水を通した後、洗浄水を排出することを特徴とす
    る、海洋生息物除去装置の洗浄方法。
  4. 【請求項4】温水循環ポンプ入口弁と循環水加温器出口
    弁間に洗浄水を注入し、循環水加温器本体の内部から外
    部へ洗浄水を排出することを特徴とする、請求項3記載
    の洗浄方法。
  5. 【請求項5】循環水加温器本体内に洗浄水を供給し、
    温器前後の配管からその洗浄水を排出することを特徴と
    する、請求項3記載の洗浄方法。
  6. 【請求項6】温水循環ポンプ及び循環水加温器のいずれ
    か一方のベント弁から洗浄水を排出して、上記一方の洗
    浄を行い、その後他方のベント弁から洗浄水を排出して
    他方の洗浄を行うことを特徴とする、請求項4記載の洗
    浄方法。
  7. 【請求項7】循環水加温器には、洗浄水の代りに蒸気ラ
    インからの蒸気を供給しその蒸気により洗浄を行うこと
    を特徴とする、請求項3記載の洗浄方法。
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