JP4039964B2 - 構造物外力検知装置、及び構造物の外力検知方法 - Google Patents

構造物外力検知装置、及び構造物の外力検知方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の外力が作用した場合に熱が発生するようにし、形状記憶物質からなる外力応答手段が熱により変形することにより、電気の導通等の電気的状態を変化させ検知する構造物外力検知装置と、その装置を用いて構造物の外力を検知する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、構造物に外力が作用した場合に、損傷を生じたか否かを検知するための方法としては、破壊試験(破壊検査)と、非破壊試験(非破壊検査)とがある。破壊試験(破壊検査)は、実際の材料を用いて作製した供試体に荷重を加えて破壊し、供試体における損傷の箇所やその状況等を観察又は計測し、実際の構造物の場合に当てはめて判定する方法であり、直接的な方法ということができる。
【0003】
一方、非破壊試験(非破壊検査)は、構造物や供試体等を破壊せず、何らかの物理量を利用して構造物等の内部の状況を推定しようとする方法であり、破壊試験に比べると間接的な方法といえる。非破壊試験において利用する物理量としては、振動、超音波、放射線、磁気、材料破壊時に内部で発生する音(AE:Acoustic Emission)などがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−105665号公報(第6−7頁、図1−3)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の方法においては、以下に述べるような各種の問題点があった。
【0006】
破壊試験(破壊検査)の場合は、構造物ごとに供試体作製とその破壊試験を行うとすると、そのための時間、供試体作製の手間、費用がかかり、効率的ではない、という問題がある。また、破壊は、作製された供試体の形状、あるいはその寸法の影響が大きく、供試体の形状等が異なると、破壊時の挙動も異なってくる。このため、実際の構造物の場合に当てはめる場合には、破壊試験結果に人間の判断や考察等を加えることになる。このことから、実際の構造物の損傷の状況等を精度よく判定することは困難で、かつ熟練を要する、という問題もあった。
【0007】
また、非破壊試験(非破壊検査)の場合は、構造物の内部で何らかの破壊が発生した事実、あるいは構造物の内部に何らかの損傷が存在する事実までは、検出できること多いが、その損傷の具体的な箇所、損傷の形状や寸法の明確な把握は困難であることが多い、という問題があった。
【0008】
また、場所打ちコンクリート杭のような地下構造物は、地中に構築されるため、地震等の外力により地下構造物の内部で何らかの破壊が発生、又は何らかの損傷が存在する事実は、人間の目視による直接的な確認が非常に困難である。このため、構造物の検査は容易ではない、という問題があった。このような地下構造物の検査については、行った例はあるが、この場合には、場所打ちコンクリート杭等の地下構造物の周囲の掘り返し作業等が伴うため、多大な費用等がかかる、という問題もあった。
【0009】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、実施方法が容易で、かつ構造物の損傷の箇所等の検知が可能な構造物外力検知装置、及び構造物の外力検知方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る構造物外力検知装置は、
可撓性材料からなる第1容器と、可撓性材料からなり第1封入体が封入された第1容器と、脆性材料からなり前記第1封入体と混合することにより熱を発生する第2封入体が封入され前記第1容器に収容される第2容器と、形状記憶物質からなり第1形状に形成されるとともに所定の変態温度以上になるとあらかじめ記憶された第2形状に変形し少なくとも前記第1容器の内部に配置される作用部材と、前記作用部材に取り付けられる第1電極と、少なくとも第1容器の内部に配置される第2電極を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
導電体からなり一端が前記第1電極に電気的に接続される第1導体部材と、
導電体からなり一端が前記第2電極に電気的に接続される第2導体部材と、
前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気的状態の変化を検出する電気状態検出手段を備え、
前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第2容器が破損して前記第2封入体が前記第1封入体内に漏出し、前記第2封入体と前記第1封入体が混合して熱が発生し、前記作用部材が前記変態温度以上に加熱されて前記作用部材が前記第2形状に変形し、前記第1電極と前記第2電極の相対的位置が変化し、電気的状態の変化が前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て前記電気状態検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知すること
を特徴とする。
【0011】
上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記可撓性材料は、合成樹脂材料を含む。
【0012】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記脆性材料は、ガラス、又は陶磁材料、若しくはセラミックス系材料を含む。
【0013】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1封入体は固体状の第1物質であるとともに、前記第2封入体は液体状の第2物質であり、かつ前記第2物質は水を含む。
【0014】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1封入体は液体状の第3物質であるとともに、前記第2封入体は固体状の第4物質であり、かつ前記第3物質は水を含む。
【0015】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには離れており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は接触するように配置され、
前記電気状態検出手段は、前記第1電極と前記第2電極が接触した場合には電気の導通を検出する。
【0016】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには接触しており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は離れるように配置され、
前記電気状態検出手段は、前記第1電極と前記第2電極が離れた場合には電気の不導通を検出する。
【0017】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、
前記第1電極と前記第2電極からなる組が2組設けられるとともに、前記第1導体部材と前記第2導体部材からなる組が2組設けられ、
一方の組の前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには離れており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は接触するように配置され、
他方の組の前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには接触しており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は離れるように配置され、
前記電気状態検出手段は、前記一方の組の前記第1電極と前記第2電極が接触するとともに前記他方の組の前記第1電極と前記第2電極が離れた場合には電気の切り換えが行われたことを検出する。
【0018】
また、上記の構造物外力検知装置において、好ましくは、前記電気状態検出手段は、電流計又は電圧計若しくは電気抵抗計を有する。
【0019】
また、本発明に係る構造物外力検知方法は、
可撓性材料からなる第1容器と、可撓性材料からなり第1封入体が封入された第1容器と、脆性材料からなり前記第1封入体と混合することにより熱を発生する第2封入体が封入され前記第1容器に収容される第2容器と、形状記憶物質からなり第1形状に形成されるとともに所定の変態温度以上になるとあらかじめ記憶された第2形状に変形し少なくとも前記第1容器の内部に配置される作用部材と、前記作用部材に取り付けられる第1電極と、少なくとも第1容器の内部に配置される第2電極を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
導電体からなり一端が前記第1電極に電気的に接続される第1導体部材と、
導電体からなり一端が前記第2電極に電気的に接続される第2導体部材と、
前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気的状態の変化を検出する電気状態検出手段を用い、
前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第2容器が破損して前記第2封入体が前記第1封入体内に漏出し、前記第2封入体と前記第1封入体が混合して熱が発生し、前記作用部材が前記変態温度以上に加熱されて前記作用部材が前記第2形状に変形し、前記第1電極と前記第2電極の相対的位置が変化し、電気的状態の変化が前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て前記電気状態検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知すること
を特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。また、図2は、図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力応答体のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【0022】
図1(A)に示すように、この構造物損傷検出システム101は、鉄道線路300を支持する高架橋200の基礎である場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部に設置されている外力応答体1と、接続部材2と、外力検出・送信部4と、通信ケーブル5と、構造物管理部6を備えて構成されている。
【0023】
接続部材2は、その一部が場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部や、高架橋200のフーチング202等の内部に設置され、その残部が高架橋200の外部に配置されている。また、図2(B)に示すように、接続部材2は、その内部に第1導体部材22a及び第2導体部材22b(後述)を有しており、これらの導体部材の外側が合成樹脂系材料やゴム系材料からなる保護部材によって包囲された構造となっている。第1導体部材22aの一端は、外力応答体1に接続し、また、第2導体部材22bの一端は、外力検出・送信部4に接続している。また、外力検出・送信部4と構造物管理部6は、通信ケーブル5によって接続されている。なお、外力応答体1と、接続部材2の一部は、場所打ちコンクリート杭203やフーチング202のコンクリート打設前に所定箇所に配置され、コンクリート中に埋設されて設置される。
【0024】
次に、上記した外力応答体1のさらに詳細な構成について、図2を参照しながら説明する。図2(A)に示すように、外力応答体1は、第1容器11と、第2容器12と、固体状の酸化カルシウム(CaO)13と、水14と、作用部材15と、第1電極16と、第2電極17を有して構成されている。ここに、酸化カルシウム(CaO)13は、特許請求の範囲における第1物質に相当している。また、水14は、特許請求の範囲における第2物質に相当している。
【0025】
第1容器11は、プラスチックス系材料やゴム系材料などの可撓性を有する材料(以下、「可撓性材料」という。)からなり、内部が中空状となった円筒形状に形成されている。また、第1容器11の一端と他端は、それぞれ円板状の部材により閉塞されている。なお、第1容器11の一端となる円板には、後述する第1導体部材22aを挿通するための第1挿通孔11aが開設され、第1容器11の他端となる円板には、後述する第2導体部材22bを挿通するための第2挿通孔11bが開設されている。この第1容器11の内部には、第1物質である固体状の酸化カルシウム(CaO)13が封入されるとともに、第2容器12が収容されている。
【0026】
ここに、プラスチックス系材料としては、いわゆる合成樹脂材料のほか、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチックス)等のプラスチックを用いた複合材料を含む。また、ゴム系材料としては、天然ゴム、人造ゴムのほか、ゴムを用いた複合材料も含む。
【0027】
また、第2容器12は、ガラス系材料や陶磁材料やセラミックス系材料などの脆性を有する材料(以下、「脆性材料」という。)からなり、内部が中空状となった円筒形状に形成されている。また、第2容器12の一端と他端は、それぞれ円板状の部材により閉塞されている。なお、第2容器12の一端となる円板には、後述する第1導体部材22aを挿通するための第1挿通孔12aが開設され、第2容器12の他端となる円板には、後述する第2導体部材22bを挿通するための第2挿通孔12bが開設されている。
【0028】
この第2容器12の内部には、水14が封入されている。また、第2容器12の内部には、作用部材15が配置され、第1導体部材22aに電気的に接続している。また、作用部材15のうち、第1導体部材22aの接続端とは反対側の端部には、第1電極16が電気的に接続している。また、第2容器12の内部の、前記第1電極16と対向する位置には、第2電極17が配置され、第2導体部材22bに電気的に接続している。
【0029】
ここに、ガラス系材料としては、いわゆるガラスのほか、ガラスを用いた複合材料を含む。また、陶磁材料としては、陶器、磁器のほか、これらを用いた複合材料を含む。また、セラミックス系材料としては、いわゆるセラミックスのほか、これらを用いた複合材料も含む。
【0030】
また、作用部材15は、形状記憶物質により形成されている。形状記憶物質とは、当初は第1形状に形成されており、所定の変態温度以上になると、あらかじめ記憶された第2形状に変形する物質である。第1実施形態においては、形状記憶物質として、形状記憶合金を使用している。
【0031】
形状記憶合金としては、ニッケル−チタン合金、銅−亜鉛合金、銅−亜鉛−アルミニウム合金、銅−アルミニウム−ニッケル合金、銅−アルミニウム−ベリリウム合金、金−カドミウム合金、インジウム−タリウム合金、鉄−マンガン−ケイ素合金などが使用可能である。形状記憶合金は、電気の導体である。
【0032】
上記した作用部材15は、コイル・スプリングのような形状に形成されており、当初の第1形状は、長さの短い縮んだコイル・スプリング状の形状となっている。また、所定の変態温度以上になった場合の予め記憶された第2形状は、長さの長い伸びたコイル・スプリング状の形状となるように設定されている。
【0033】
また、第1電極16と第2電極17は、電気の良導体、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属によって形成されている。
【0034】
次に、上記した場所打ちコンクリート杭203に、大きな外力、例えば地震動による力が作用し、場所打ちコンクリート杭203の内部にき裂等の損傷が発生した場合を例にとって、この第1実施形態の構造物損傷検出システム101の詳細な構成とその作用を説明する。
【0035】
上記のように、場所打ちコンクリート杭203の内部にき裂等の損傷が発生するような大きな外力が場所打ちコンクリート杭203に作用すると、そのコンクリートの内部のいずれかの箇所に埋設されている外力応答体1の第1容器11は、可撓性材料により形成されているため、例えば、弓状に曲がるように変形する。一方、第1容器11の内部に収容されている第2容器12は、脆性材料で形成されているため、ある程度以上の変形には耐えられず、破損する(図3(A)参照)。
【0036】
この結果、第2容器12の内部に収容されていた水14が第2容器12から漏出して第1容器11の中に入り込み、水14と、第1容器11内の固体状の酸化カルシウム(CaO)13の両者が互いに混合する。酸化カルシウム(CaO)13は、生石灰、石灰等とも呼ばれるが、水14と反応して、多量の熱を発生し、水酸化カルシウムとなる。このため、第2容器12内の水14は、高温となり、作用部材15の温度は、上記した変態温度以上の温度となる。
【0037】
このため、作用部材15は、当初の第1形状の場合には、長さが短いため、第1電極16は第2電極17に接触してはいなかったが、変態温度以上への加熱により、第2形状(長さの長い伸びたコイル・スプリング状の形状)に変形する。これにより、第1電極16は、第2電極17に接触する(図3(B)参照)。第2電極17は、第1電極16と軽く嵌合するような形状に形成されている。このため、第1導体部材22aと第2導体部材22bは電気的に導通した状態となる。
【0038】
図4は、図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力検出・送信部4のさらに詳細な構成を示すブロック図である。
【0039】
図4に示すように、外力検出・送信部4は、きょう体40と、電気導通検出器41と、増幅器42と、A/Dコンバータ43と、入出力インタフェース44a及び44bと、CPU45と、ROM46と、RAM47と、送信機49を有して構成されている。また、きょう体40は、例えば、図1に示すように、高架橋200の柱201に取り付けられている。
【0040】
電気導通検出器41は、図示はしていないが、直流電源と電流計を有しており、直流電源の陽極に第1導体部材22aが電気的に接続されている。また、直流電源の陰極に電流計の一方の端子が電気的に接続され、電流計の他方の端子に第2導体部材22bが電気的に接続されている。
【0041】
このような構成により、外力応答体1に外力が作用して第2容器12が破損し、酸化カルシウム13と水14の両者が互いに混合することによって反応が起こり、多量の熱を発生すると、作用部材15が長く伸びた第2形状に変形して第1電極16が第2電極17と接触し、電気的に導通した状態となる。したがって、図4において矢印で示すように、第1導体部材22aと外力応答体1と第2導体部材22bを通る電流iが流れる。
【0042】
この電流iは、第2導体部材22bを通って電気導通検出器41(例えば、電流計)に到達して検出される。電流iが検出されると、電気導通検出器41は、電流を検出したことを電気信号(例えば電流)として出力する。電気導通検出器41から出力された電流は、増幅器42により増幅される。増幅後の電流は、A/Dコンバータ43により、アナログ量からディジタル量に変換され、入出力インタフェース44aを経てCPU45に送られる。
【0043】
CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)45は、図示はしていないが、CPU45の内部での電流(信号)の授受を行うための信号線である内部バスを有しており、この内部バスに、演算部と、レジスタと、クロック生成部と、命令処理部等を有している。CPU45内の演算部は、一般に、レジスタに記憶されている各種データに対して、四則演算(加算、減算、乗算、及び除算)を行い、又は論理演算(論理積、論理和、否定、排他的論理和など)を行い、又はデータ比較、若しくはデータシフトなどの処理を実行する部分である。処理の結果は、レジスタに格納されるのが一般的である。
【0044】
レジスタは、一般に、1語のデータを記憶する部分である。通常、CPU45内には、複数のレジスタが設けられている。クロック生成部は、CPU45の各部分の時間の同期をとるための刻時信号(クロック信号)を生成する部分である。CPU45は、このクロック信号に基づいて動作する。命令処理部は、演算部等が実行すべき命令の取り出し、その解読、及びその実行などを制御し処理する部分である。
【0045】
ROM(Read Only Memory:読出し専用メモリ)46は、CPUを制御するための制御プログラムや、CPUが用いる各種データ等を格納している部分である。ROMとしては、半導体チップにより構成されるものと、ハードディスク装置等が用いられる。ハードディスク装置は、図示はしていないが、その内部に、円盤状の磁気ディスクを有しており、この磁気ディスクをディスク駆動機構により回転駆動し、磁気ヘッドをヘッド駆動機構によって磁気ディスクの任意位置に移動させ、磁気ディスク表面の磁性膜を磁気ヘッドからの書込電流によって磁化することによりデータを記録し、磁化された磁性膜の上を磁気ヘッドが移動する際に磁気ヘッドのコイル等に流れる電流を検出することにより記録データを読み出す装置である。
【0046】
上記した制御プログラムは、OS(Operating System)等のCPU45の基本ソフトウェアのほか、各種の処理や分析演算等をCPU45に実行させるための命令等の処理手順が、所定のプログラム用言語で記述された文字や記号の集合である。
【0047】
また、RAM(Random Access Memory:随時書込み読出しメモリ)47は、CPU45により演算された途中のデータ等を一時記憶する部分である。RAMは、半導体チップにより構成されるものが主である。
【0048】
上記のような構成により、CPU45は、電気導通検出器41からの電気信号を検出すると、「電気伝導性を示した外力応答体1の箇所の杭コンクリートに損傷が発生した」と判断し、「杭に損傷発生」を表現するフラグ等のデータに、杭の位置等を特定するための情報(例えば、杭の位置の位置座標等のデータ)を付加してディジタル出力信号を生成する。
【0049】
CPU45によって生成されたディジタル電気信号は、入出力インタフェース44bを経て送信機49に送られる。送信機49は、ディジタル電気信号をそのまま、または他の信号形態(例えば光信号)に変換し、通信ケーブル5によって構造物管理部6へ送信する。通信ケーブル5としては、電流を導通させる導線、光ファイバー等が用いられる。
【0050】
構造物管理部6は、図1(A)に示すような構成を有している。すなわち、構造物管理部6は、ある鉄道線区(例えば、「山手線」や「埼京線」等。)の鉄道線路に関連する構造物を統括して管理する施設であり、中央コンピュータ61と、構造物状態表示盤62と、記憶・出力装置63を有して構成されている。
【0051】
中央コンピュータ61には、この線区の各構造物、例えば高架橋の各杭の外力検出・送信部からの通信ケーブル5a〜5dなどが接続しており、その構造物からのデータが集中するようになっている。構造物状態表示盤62は、図1(B)に示すように、表示パネル部62aと、操作卓62bを有している。表示パネル部62aには、この線区全体が表示され、杭等の構造物がランプ等によって表現されている。このような構成により、損傷が発生した箇所は、図1(B)において62cで図示されるように、操作者(構造物管理者)が視認できる状態、例えばランプの点灯や点滅の状態となる。記憶・出力装置63は、損傷の履歴等を記録媒体に記憶させたり、印字等を行う装置である。
【0052】
上記した第1実施形態の構造物損傷検出システム101によれば、以下のような利点がある。
【0053】
a)鉄道の構造物等に大きな外力(例えば地震動等)が付加されて損傷が発生した場合に、損傷した部分の位置等を、容易に、かつリアルタイムで検出することができる。
【0054】
b)杭等の地下構造物のように、地盤Gの内部に構築されているため、そのままでは目視が不可能な箇所の損傷についても、支障なく検出することができる。
【0055】
c)鉄道や道路のように、線状に長い範囲にわたる施設において、各構造物の損傷の有無を集中的に監視することができる。
【0056】
上記した第1実施形態において、構造物外力検知システム101は、特許請求の範囲における構造物外力検知装置に相当している。また、外力応答体1は、特許請求の範囲における外力応答手段に相当している。また、酸化カルシウム13は、特許請求の範囲における第1封入体及び第1物質に相当し、水14は、特許請求の範囲における第2封入体及び第2物質に相当している。また、外力検出・送信部4の電気導通検出器41とCPU45は、特許請求の範囲における電気導通検出手段に相当している。また、第1電極と第2電極の間で電気が導通する状態に変化することは、特許請求の範囲における電気的状態の変化に相当している。
【0057】
なお、上記した第2容器12の破断強度を調整して所定強度値に設定することにより、外力応答体1の発光が生じた場合には、CPU45が、「場所打ちコンクリート杭203の当該外力応答体設置箇所に所定外力値が付加された」と定量的に算定し、その旨を構造物管理部6に送信するように構成することもできる。
【0058】
また、外力応答体1の配置状態を適宜に工夫することにより、例えば、杭203における鉛直方向の高さ位置が異なる複数の位置に外力応答体1を配置したり、杭の中心付近とその周囲の異なる位置に外力応答体1を配置することにより、杭203の内部の損傷状態から逆算することにより、CPU45が、杭203に作用した所定外力値を定量的に算定することも可能である。
【0059】
(2)第2実施形態
本発明は、上記した第1実施形態以外の構成によっても実現可能である。図5は、本発明の第2実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。また、図6は、図5に示す構造物損傷検出システムにおける構造物内挿入部材のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【0060】
図5(A)に示すように、第2実施形態の構造物損傷検出システム102は、鉄道線路300を支持する高架橋200の基礎である場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部に設置された構造物内挿入部材3と、この構造物内挿入部材3の内部に設置されている外力応答体1Aと、接続部材2と、外力検出・送信部4と、通信ケーブル5と、構造物管理部6を備えて構成されている。
【0061】
この第2実施形態の構造物損傷検出システム102が、第1実施形態の構造物損傷検出システム101と異なる点は、場所打ちコンクリート杭203のコンクリート内部に外部から構造物内挿入部材3が挿入され、この構造物内挿入部材3の内部に外力応答体1Aが配置されている点である。したがって、第2実施形態の構造物損傷検出システム102は、すでに構築されている場所打ちコンクリート杭203の内部に、後から外力応答体1Aを設置する場合に好適である。なお、接続部材2と、外力検出・送信部4と、通信ケーブル5と、構造物管理部6の構成と作用については、第1実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0062】
次に、第2実施形態の場合の、構造物内挿入部材3と、外力応答体1Aの設置方法について、図5及び図6を参照しつつ詳細に説明する。
【0063】
まず、削孔機等(図示せず)により、地上から場所打ちコンクリート杭203に向けて、削孔を行い、円柱状の挿入孔204を形成する。次に、挿入孔204の中に挿入管31を挿入する。挿入管31は、プラスチックス系材料やゴム系材料などの可撓性を有する可撓性材料からなり、内部が中空状となった円筒形状に形成されている。これは、場所打ちコンクリート杭203に大きな外力が付加されても、挿入管31を形成する材料の強度や剛性が大きいと、挿入管31の内部の外力応答体1Aに作用する力が減殺され、外力応答体1A内部の第2容器12が破損せず、水14が酸化カルシウム13中へ漏出しない場合があるからである。
【0064】
また、挿入管31の外径は挿入孔204の内径よりもわずかに小さい値に設定されている。この場合、挿入孔204と挿入管31とを接着剤等により接着すれば、挿入孔204と挿入管31との間で「滑り」が生じることが防止され、場所打ちコンクリート杭203に加わった外力に応じた変形が支障なく挿入管31に作用する。
【0065】
次に、挿入管31の内部における外力応答体1Aの位置を所定箇所に設定するため、挿入管31の内部の空洞部に、位置決め部材32aを挿入し、先端までの長さがあらかじめ計測された所定長さの棒状の定規部材等(図示せず)によって背後から押し込む等の方法で所定箇所まで挿入し、その後、接着剤等により挿入管31の内部に固定する。位置決め部材32aは、挿入管31の強度や剛性をあまり増加させない材料、例えば、発泡性合成樹脂材料などが用いられる。
【0066】
次に、外力応答体1Aを地上の外部から挿入管31内に挿入し、棒状部材等(図示せず)により背後から押し込むことにより、あらかじめ位置決め部材32aが設置された箇所まで移動させる。その後、接着剤等により、外力応答体1Aを挿入管31の内部に固定する。次に、挿入管31内の外力応答体1Aの背後に、上記と同様にして、他の位置決め部材32bを挿入する。この場合、外力応答体1Aの外表面には、外力応答体1に設けられていたような環状凹部(11e)は設けられていない。これは、第2実施形態においては、外力応答体1Aの外表面には、杭のコンクリートとの付着性は必要ないからである。なお、外力応答体1Aの背後(地上に近い方)の位置決め部材32bについては、後述するように、現存の外力応答体を引き抜いて新たな外力応答体と交換し、再度挿入する作業が予想されるため、接着剤等による挿入管31への固定は行わない。これにより、外力応答体1Aが挿入管31の内部の所定箇所に位置決めされて設置される。
【0067】
第2実施形態の構造物損傷検出システム102によれば、上記した第1実施形態の場合と同様の利点に加え、以下のような利点がある。
【0068】
d)すでに構築された構造物の内部に、外部(例えば地上)から外力応答体1Aを設置し、その後に構造物に大きな外力(例えば地震動等)が付加されて損傷が発生した場合に、損傷した部分の位置等を、容易に、かつリアルタイムで検出することができる。
【0069】
e)外力応答体1Aが使用されて第1液と第2液の混合が済んでしまった場合や、外力応答体1Aの設置後に外力が作用せずに長期間が経過し外力応答体1A内の物質の性能劣化が予想される場合などに、外力応答体1Aの新品との交換を容易に行うことが可能である。
【0070】
なお、挿入管31内の既存の外力応答体1Aを新品と交換する時には、既存の外力応答体1Aに取り付けられている接続部材2を引っ張って地上まで引き上げることになる。このため、接続部材2のうち、各導体部材の外側に配置される保護部材としては、アラミド樹脂(例えばケブラー繊維)等の引張り強度の高い材料を用いることが望ましい。
【0071】
また、挿入管31の内部の空洞は、外力、変形、挿入管自体の経年変化等により、当初の大きさよりも縮小する可能性がある。このように、挿入管31の内部の空洞が縮小すると、接続部材2の保護部材21を引っ張っても、外力応答体1Aを外部に引き出すことができなくなるおそれがある。このため、図5に示すように、挿入管31の内部空洞に、内部空洞保持部材33を挿入し、内部空洞のつぶれを防止する。
【0072】
内部空洞保持部材33の材料としては、プラスチックス系材料やゴム系材料などの可撓性を有する可撓性材料が望ましい。また、挿入管31内の既存の外力応答体1Aを新品と交換する時には、まず内部空洞保持部材33を引き出す必要があるから、内部空洞保持部材33と挿入管31との間の摩擦は小さいことが望ましい。このため、挿入管31と内部空洞保持部材33との間には、油脂やグリース等の潤滑材を配置するとよい。
【0073】
上記した第2実施形態において、構造物外力検知システム102は、特許請求の範囲における構造物外力検知装置に相当している。
【0074】
(3)第3実施形態
本発明は、上記した第1、2実施形態以外の構成によっても実現可能である。図7は、本発明の第3実施形態である構造物損傷検出システムにおける外力応答体の構成と作用を説明する図である。
【0075】
この第3実施形態の構造物損傷検出システムが、第1、2実施形態の構造物損傷検出システム101、102と異なる点は、第2容器12Bの内部に、第1の作用部材15B1と第2の作用部材15B2が配置され、第1の作用部材15B1と第2の作用部材15B2は、それぞれ第1導体部材22aに電気的に接続しており、第1の作用部材15B1のうち、第1導体部材22aの接続端とは反対側の端部には、第1電極16B1が電気的に接続し、第2の作用部材15B2のうち、第1導体部材22aの接続端とは反対側の端部には、第1電極16B2が電気的に接続し、かつ、第2容器12Bの内部の、第1電極16B1と対向する位置には、第2電極17B1が配置されて第2導体部材22b1に電気的に接続し、第2容器12Bの内部の、第1電極16B2と対向する位置には、第2電極17B2が配置されて第2導体部材22b2に電気的に接続している点である。
【0076】
上記した第1の作用部材15B1及び第2の作用部材15B2は、第1、2実施形態の場合と同様な形状記憶物質により形成されている。
【0077】
また、第1の作用部材15B1は、コイル・スプリングのような形状に形成されており、当初の第1形状は、長さの長い伸びたコイル・スプリング状の形状となっている。また、所定の変態温度以上になった場合の予め記憶された第2形状は、長さの短い縮んだコイル・スプリング状の形状となるように設定されている。
【0078】
一方、第2の作用部材15B2は、コイル・スプリングのような形状に形成されており、当初の第1形状は、長さの短い縮んだコイル・スプリング状の形状となっている。また、所定の変態温度以上になった場合の予め記憶された第2形状は、長さの長い伸びたコイル・スプリング状の形状となるように設定されている。
【0079】
また、第1電極16B1、16B2と、第2電極17B1、17B2は、電気の良導体、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)等の金属によって形成されている。
【0080】
次に、上記した場所打ちコンクリート杭203に、大きな外力、例えば地震動による力が作用し、場所打ちコンクリート杭203の内部にき裂等の損傷が発生した場合を例にとって、この第3実施形態の構造物損傷検出システムの詳細な構成とその作用を説明する。
【0081】
上記のように、場所打ちコンクリート杭203の内部にき裂等の損傷が発生するような大きな外力が場所打ちコンクリート杭203に作用すると、そのコンクリートの内部のいずれかの箇所に埋設されている外力応答体1Bの第1容器11Bは、可撓性材料により形成されているため、例えば、弓状に曲がるように変形する。一方、第1容器11Bの内部に収容されている第2容器12Bは、脆性材料で形成されているため、ある程度以上の変形には耐えられず、破損する(図7(B)参照)。
【0082】
この結果、第2容器12Bの内部に収容されていた水14が第2容器12Bから漏出して第1容器11Bの中に入り込み、水14と、第1容器11B内の固体状の酸化カルシウム(CaO)13の両者が互いに混合する。酸化カルシウム13は、水14と反応して、多量の熱を発生し、水酸化カルシウムとなる。このため、第2容器12B内の水14は、高温となり、第1の作用部材15B1及び第2の作用部材15B2の温度は、上記した変態温度以上の温度となる。
【0083】
このため、第1の作用部材15B1は、当初の第1形状の場合には、長さが長いため、第1電極16B1は第2電極17B1に接触していたが、変態温度以上への加熱により、第2形状(長さの短い縮んだコイル・スプリング状の形状)に変形する。これにより、第1電極16B1は、第2電極17B1から離れる(図7(B)参照)。このため、第1導体部材22aと第2導体部材22b1は電気的に絶縁された(不導通の)状態となる。
【0084】
一方、第2の作用部材15B2は、当初の第1形状の場合には、長さが短いため、第1電極16B2は第2電極17B2に接触してはいなかったが、変態温度以上への加熱により、第2形状(長さの長い伸びたコイル・スプリング状の形状)に変形する。これにより、第1電極16B2は、第2電極17B2に接触する(図7(B)参照)。第2電極17B2は、第1電極16B2と軽く嵌合するような形状に形成されている。このため、第1導体部材22aと第2導体部材22b2は電気的に導通した状態となる。
【0085】
したがって、第3実施形態の構造物損傷検出システムは、電気的なスイッチングを行わせる場合に好適である。なお、接続部材2と、外力検出・送信部4と、通信ケーブル5と、構造物管理部6の構成と作用については、第1、2実施形態の場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0086】
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0087】
例えば、電気的状態の変化としては、第1実施形態の場合のような第1電極と第2電極が接触して「電気的に導通」の場合だけでなく、第3実施形態における第1電極16B1と第2電極17B2の場合のような第1電極と第2電極が離れることにより「電気的に不導通」となる場合も含まれる。また、第3実施形態の場合のように、第1電極と第2電極からなる組が2組設けられるとともに、第1導体部材と第2導体部材からなる組が2組設けられ、一方の組の第1電極(例えば16B1)と第2電極(例えば17B1)は、第1の作用部材(例えば15B1)が第1形状のときには離れており、第1の作用部材が第2形状に変形した後は接触するように配置され、他方の組の第1電極(例えば16B2)と第2電極(例えば17B2)は、第2の作用部材(例えば15B2)が第1形状のときには接触しており、第2の作用部材が第2形状に変形した後は離れるように配置され、電気状態検出手段は、一方の組の第1電極と第2電極が接触するとともに他方の組の第1電極と第2電極が離れた場合には電気の切り換えが行われたことを検出する場合も含まれる。要は、第1電極と第2電極の相対的位置が変化し、電気的状態が変化すればよいのである。
【0088】
また、第1容器(例えば11)の外周に環状凹部を設けてもよい。例えば、第1容器の略円筒状の外側部に、外側部を環状に取り巻く溝状の凹部を複数形成しておけば、場所打ちコンクリート杭203の内部に埋設される外力応答体1等の表面部に凹凸が形成され、コンクリートに対する外力応答体1等の付着性を向上させ、杭内の応力が外力応答体1等に伝達される性能を向上させる作用を発揮する。
【0089】
第2物質は、水だけではなく、何らかの水溶液であればよい。要は、第2物質は、水を含んでいればよいのである。
【0090】
また、形状記憶物質としては、形状記憶プラスチックスも使用可能である。形状記憶プラスチックスとしては、塩化ビニル樹脂やポリプロピレン樹脂を融点以下の温度で引張って延伸させたもの、ポリノルボルネン、トランスポリイソプレンなどが使用可能である。この場合には、形状記憶プラスチックスには、導電性は無いため、第1導体部材22aと第1電極16等は、リード線等の導電体(図示せず。以下、「導電部材」という。)によって電気的に接続しておく必要がある。また、この導電部材は、作用部材15等が伸びて第1電極16等と第2電極17等が接触した状態(例えば、図3(B)に示す状態)となったときにおいても、やや緩んだ状態となるように、導電部材の長さに余裕代を持たせ、図3(B)における第1導体部材22aと第1電極16等の間の距離よりも大きい値に設定しておく。このように構成しておかないと、作用部材15等が伸びて第1電極16等が第2電極17等に接触しようとする際に、長さの短い導電部材が、作用部材15等の動きを阻害したり、拘束したりするおそれがあるからである。
【0091】
また、第1容器に封入される第1封入体は液体状の第3物質であるとともに、第2容器に封入される第2封入体は固体状の第4物質であり、かつ第3物質が水を含むように構成してもよい。この第3物質としては、水、何らかの水溶液等が使用可能である。また、第4物質としては、第3物質と混合することにより熱を発生する物質、例えば酸化カルシウムが使用可能である。第1物質、第4物質としては、酸化カルシウムだけには限定されず、アルミニウムの水酸化反応を利用する発熱剤、鉄粉に触媒(塩化ナトリウムや活性炭)を混合したものなどであってもよい。
【0092】
また、第1封入体と第2封入体の組み合わせは、他の物質の組み合わせによっても可能である。要は、第2容器が破損して第2封入体が第1封入体内に漏出して両者が混合した際に形状記憶物質の変態温度以上の温度まで加熱するための熱が発生すればよいのである。
【0093】
また、第1容器、第2容器の形状は、上記した円筒形状には限定されず、他の形状、例えば、楕円断面の筒状、多角形断面の筒状などであってもよい。また、第1容器の外表面に形成される凹凸の形状は、環状凹部以外に、環状凸部、螺旋状の凸部又は凹部、多数のイボ状の凸部、多数の穴状の凹部等であってもよい。
【0094】
また、第1容器の可撓性の程度、第2容器の脆性の程度は、適宜に設定可能である。これらの値をどのように設定するかにより、検出しようとする構造物の外力、損傷の程度を調整することができる。また、第2容器の外径を第1容器の内径よりもわずかに小さく設定しておけば、小さい外力でも容易に第2容器を破損させることができる。
【0095】
また、外力を検出する対象である構造物は、杭に限定されず、他の基礎構造物であってもよい。あるいは基礎構造物以外の構造物であってもよい。
【0096】
また、外力応答手段である外力応答体の配置位置、配置状態は、上記した第1実施形態の例、すなわち外力応答体の長手方向が鉛直上下方向に平行となる状態、あるいは、第2実施形態の例、すなわち外力応答体の長手方向が鉛直上下方向に対して傾斜した状態には限定されない。その他の状態、例えば、外力応答体の長手方向が水平方向に平行となる状態、あるいは外力応答体の長手方向が杭の断面における円の接線の方向となる状態などであってもよい。
【0097】
また、電気導通検出手段としては、上記した電流計のかわりに、電圧計、あるいは電気抵抗計を用いてもよい。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、可撓性材料からなる第1容器と、可撓性材料からなり第1封入体が封入された第1容器と、脆性材料からなり第1封入体と混合することにより熱を発生する第2封入体が封入され第1容器に収容される第2容器と、形状記憶物質からなり第1形状に形成されるとともに所定の変態温度以上になるとあらかじめ記憶された第2形状に変形し少なくとも第1容器の内部に配置される作用部材と、作用部材に取り付けられる第1電極と、少なくとも第1容器の内部に配置される第2電極を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、導電体からなり一端が第1電極に電気的に接続される第1導体部材と、導電体からなり一端が第2電極に電気的に接続される第2導体部材と、第1導体部材の他端と第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気的状態の変化を検出する電気状態検出手段を設けるように構成したので、構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、第2容器が破損して第2封入体が第1封入体内に漏出し、第2封入体と第1封入体が混合して熱が発生し、作用部材が変態温度以上に加熱されて作用部材が第2形状に変形し、第1電極と第2電極の相対的位置が変化し、電気的状態の変化が第1導体部材及び第2導体部材を経て電気状態検出手段により検出され、構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知することことができる、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力応答体のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【図3】図1に示す構造物損傷検出システムの作用を説明する図である。
【図4】図1に示す構造物損傷検出システムにおける外力検出・送信部のさらに詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態である構造物損傷検出システムの構成を示す図である。
【図6】図5に示す構造物損傷検出システムにおける構造物内挿入部材のさらに詳細な構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態である構造物損傷検出システムにおける外力応答体の構成と作用を説明する図である。
【符号の説明】
1、1A、1B 外力応答体
2 接続部材
3 構造物内挿入部材
4 外力検出・送信部
5〜5d 通信ケーブル
6 構造物管理部
11、11B 第1容器
11a 第1挿通孔
11b 第2挿通孔
12、12B 第2容器
12a 第1挿通孔
12b 第2挿通孔
13 酸化カルシウム
14 水
15、15B1、15B2 作用部材
16、16B1、16B2 第1電極
17、17B1、17B2 第2電極
22a 第1導体部材
22b、22b1、22b2 第2導体部材
31 挿入管
32a、32b 位置決め部材
33 内部空洞保持部材
40 きょう体
41 電気導通検出器
41a 直流電源
41b 電流計
42 増幅器
43 A/Dコンバータ
44a、44b 入出力インタフェース
45 CPU
46 ROM
47 RAM
49 送信機
61 中央コンピュータ
62 構造物状態表示盤
62a 表示パネル部
62b 操作卓
62c 損傷発生箇所
63 記憶・出力装置
101、102 構造物損傷検出システム
200 高架橋
201 柱
202 フーチング
203 場所打ちコンクリート杭
204 挿入孔
300 鉄道線路
D1、D2 破損部
G 地盤
i 電流

Claims (10)

  1. 可撓性材料からなり第1封入体が封入された第1容器と、脆性材料からなり前記第1封入体と混合することにより熱を発生する第2封入体が封入され前記第1容器に収容される第2容器と、形状記憶物質からなり第1形状に形成されるとともに所定の変態温度以上になるとあらかじめ記憶された第2形状に変形し少なくとも前記第1容器の内部に配置される作用部材と、前記作用部材に取り付けられる第1電極と、少なくとも第1容器の内部に配置される第2電極を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
    導電体からなり一端が前記第1電極に電気的に接続される第1導体部材と、
    導電体からなり一端が前記第2電極に電気的に接続される第2導体部材と、
    前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気的状態の変化を検出する電気状態検出手段を備え、
    前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第2容器が破損して前記第2封入体が前記第1封入体内に漏出し、前記第2封入体と前記第1封入体が混合して熱が発生し、前記作用部材が前記変態温度以上に加熱されて前記作用部材が前記第2形状に変形し、前記第1電極と前記第2電極の相対的位置が変化し、電気的状態の変化が前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て前記電気状態検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知すること
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  2. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記可撓性材料は、合成樹脂材料を含むこと
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  3. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記脆性材料は、ガラス、又は陶磁材料、若しくはセラミックス系材料を含むこと
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  4. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1封入体は固体状の第1物質であるとともに、前記第2封入体は液体状の第2物質であり、かつ前記第2物質は水を含むこと
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  5. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1封入体は液体状の第3物質であるとともに、前記第2封入体は固体状の第4物質であり、かつ前記第3物質は水を含むこと
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  6. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには離れており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は接触するように配置され、
    前記電気状態検出手段は、前記第1電極と前記第2電極が接触した場合には電気の導通を検出すること
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  7. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには接触しており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は離れるように配置され、
    前記電気状態検出手段は、前記第1電極と前記第2電極が離れた場合には電気の不導通を検出すること
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  8. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記第1電極と前記第2電極からなる組が2組設けられるとともに、前記第1導体部材と前記第2導体部材からなる組が2組設けられ、
    一方の組の前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには離れており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は接触するように配置され、
    他方の組の前記第1電極と前記第2電極は、前記作用部材が前記第1形状のときには接触しており、前記作用部材が前記第2形状に変形した後は離れるように配置され、
    前記電気状態検出手段は、前記一方の組の前記第1電極と前記第2電極が接触するとともに前記他方の組の前記第1電極と前記第2電極が離れた場合には電気の切り換えが行われたことを検出すること
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  9. 請求項1記載の構造物外力検知装置において、
    前記電気状態検出手段は、電流計又は電圧計若しくは電気抵抗計を有すること
    を特徴とする構造物外力検知装置。
  10. 可撓性材料からなり第1封入体が封入された第1容器と、
    脆性材料からなり前記第1封入体と混合することにより熱を発生する第2封入体が封入され前記第1容器に収容される第2容器と、形状記憶物質からなり第1形状に形成されるとともに所定の変態温度以上になるとあらかじめ記憶された第2形状に変形し少なくとも前記第1容器の内部に配置される作用部材と、前記作用部材に取り付けられる第1電極と、少なくとも第1容器の内部に配置される第2電極を有し、構造物の外力検知箇所に配置される外力応答手段と、
    導電体からなり一端が前記第1電極に電気的に接続される第1導体部材と、
    導電体からなり一端が前記第2電極に電気的に接続される第2導体部材と、
    前記第1導体部材の他端と前記第2導体部材の他端に取り付けられるとともに電気的状態の変化を検出する電気状態検出手段を用い、
    前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が付加された場合には、前記第2容器が破損して前記第2封入体が前記第1封入体内に漏出し、前記第2封入体と前記第1封入体が混合して熱が発生し、前記作用部材が前記変態温度以上に加熱されて前記作用部材が前記第2形状に変形し、前記第1電極と前記第2電極の相対的位置が変化し、電気的状態の変化が前記第1導体部材及び前記第2導体部材を経て前記電気状態検出手段により検出され、前記構造物の外力検知箇所に所定値を越える外力が作用した旨を検知すること
    を特徴とする構造物の外力検知方法。
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