JP4039761B2 - 楽音コントローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明に属する技術分野】
この発明は電気信号から成る楽音信号を制御して楽音信号に音響効果を付加する楽音コントローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気楽器或いは電子楽器の分野では従来より電気信号から成る楽音信号を制御して各種の音響効果を得る装置としてエフェクタが存在する。エフェクタには例えば音量制御装置、音色制御装置、エコー付加装置、トレモロ付加装置、ビブラート付加装置等が混載され、これらの各装置を駆使して自在に音響効果を付加する工夫がなされている。エフェクタの他にも例えば電子回路により楽器音を生成する音源、ミキサー等に制御信号を加えて楽音信号に音響効果を付加する場合もある。
【0003】
図24にエフェクタを制御する構成の概念図を示す。図中10はエフェクタ、11はこのエフェクタ10に楽音信号を与える電子楽器又は電気楽器或いはCDプレーヤ、テープレコーダ、レコードプレーヤ等の信号源、12はエフェクタ10で音響効果が付加された楽音信号を拡声する拡声装置、13はエフェクタ10に制御信号を与える楽音コントローラを示す。
【0004】
楽音コントローラ13は各種の形式が提案されている。その一つにはジョイスティック型がある。ジョイスティック型とは一本のジョイスティックにより2個の回転式ポテンショメータを操作し、2軸の位置信号を発信させ、この2軸の位置信号をエフェクタ10に入力して例えば音量と音色を制御したり、或いはジョイスティックを細かく振らしてトレモロを掛けたり、ビブラートを掛けたりする操作を行う形式のコントローラである。機械式のコントローラにはその他にホイール形式或いはスライドボリュームを用いたフェーダ形式等もある。
【0005】
最近の傾向としては平面位置センサを楽音コントローラ13に用いる例が多い。平面位置センサとは別名タッチパネルセンサ等と呼ばれ、シート状の面状体の何れかの位置に押圧力を与えると、その押圧点の位置(一般にはX,Yの2軸位置)に対応した電気信号を発生する。この2軸位置信号をエフェクタ10に入力することにより、音量制御、音色制御、ビブラートの付加、トレモロの付加等を行う構成が考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来より楽音コントローラ13に面状の平面位置センサを用いる例が見られるが、その操作方法が繁雑で必ずしも使い勝手がよいものでなかった。
その例としては例えば音量制御を行う場合、平面位置センサの面上において指先をX軸のプラス方向に摺動させた場合に、プラス方向に向かうほど音量を増加させ、その後音量をまた元の音量に戻すには指先を再び元の位置まで戻さなければならない。この操作を何度も繰り返し行わなければならない場合は大変な作業になる。
【0007】
つまり、楽曲のテンポに合わせて例えば各小節の一拍目を音量大とし、他の音は小さな音量に制御しようとすると、曲の進行中常に指先をX軸上で往復動作させ続けなければならなくなり、大変な作業となる。
また、音量を大とした後に、予め決められた例えばゆっくりとした速度で元の音量に戻すことを繰り返し行うような音響効果を与える場合も、毎回同じゆっくりとした速度で指先を元の位置に戻す作業を続けなくてはならなくなり、作業が大変なばかりでなく、再現性も悪くなる不都合もある。
【0008】
この発明の目的は平面位置センサを用いた楽音コントローラの操作性を向上し、同じ作業を繰り返し実行する場合でも、簡単な操作で済ませることができる楽音コントローラを提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明では平面位置センサを用いて構成した楽音コントローラにおいて、平面位置センサが出力する位置信号を被制御器に与える制御信号に変換して出力する信号変換器と、平面位置センサに対する入力操作が解除されたことを検出するタッチオフ検出手段と、平面位置センサの任意の位置を、タッチオフ検出手段がタッチオフを検出する毎に被制御器の状態を復帰させる復帰点として記憶した復帰点記憶手段とによって構成した点を特徴とするものである。
【0010】
この発明の構成によれば平面位置センサの任意の位置を押して離せば被制御器の状態は元の状態に自動的に復帰するから、指先を平面位置センサ上で往復移動させる必要はない。よって操作性のよい楽音コントローラを提供することができる。
この発明では更に請求項1で提案した基本構成に加えてタッチオフ検出手段がタッチオフを検出する毎にそのタッチオフ時の操作位置を記憶する解除位置記憶手段と、この解除位置記憶手段に記憶した解除位置から復帰点記憶手段に記憶した復帰点に至る間の位置を解除位置側から順次演算して出力する移動演算手段とを付加した楽音コントローラを提案する。。
【0011】
この構成によればタッチオフ検出手段がタッチオフを検出すると、移動演算手段が起動され、解除位置から復帰点までの間の位置を所定の間隔で算出し、この算出した位置を被制御器に出力するから、被制御器はタッチオフ後に所定の時間を経過した時点で復帰点に対応する制御状態に戻され、音量を滑らかに変化させることができる。
【0012】
従って、例えば音量制御を例に説明すれば楽曲の例えば1拍目の音を強く出し、それに続くほかの音は或る絞られた音量で出力することを繰り返す場合、1拍目の音の時平面位置センサの音量大に制御する位置に押圧力を加え、その後その押圧力を解けば被制御器は復帰点記憶手段に記憶した復帰点に制御され、自動的に音量が絞られ他の1拍目以後の音は小さく絞られる。これを繰り返すには1拍目の音が出力されるタイミングだけ音量を大にする位置を押すだけでよく、この押す作業を繰り返すだけでよい。
【0013】
従って、この発明によれば操作性が向上し、使い勝手のよい楽音コントローラを提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1にこの発明による楽音コントローラの基本構成を示す。図1において20はこの発明による楽音コントローラを示す。この発明による楽音コントローラ20は平面位置センサ21と、マイクロコンピュータMPUの内部に構成した復帰点記憶手段23−1と、信号変換器24−1と、タッチオフ検出手段24−2とを設けた構成を特徴とするものである。
【0015】
平面位置センサ21は図1に示す例ではリボン状の平面位置センサを用いた場合を示す。従ってこの場合には1軸方向Xの位置信号SXを出力する。つまり、押圧点Pの位置をX軸方向に移動させることにより、押圧点Pの位置に対応した直流電圧を出力する。図1に示す例では押圧点Pを左端Xoに移動させると位置信号SXは電圧が0Vとなり、押圧点Pを右端Xnに移動させると、位置信号SXは最大値NVを出力する。従って0〜NVの間の電圧によって押圧点Pの位置を知ることができる。
【0016】
位置信号SXはAD変換器27に入力され、このAD変換器27でデジタル信号に変換され、このデジタル信号をマイクロコンピュータMPUに入力する。
マイクロコンピュータMPUは周知のように中央演算処理装置22と、書き換え可能なメモリRAM23と、読み出し専用メモリROM24と、入力ポート25、出力ポート26等により構成される。
【0017】
入力ポート25にはAD変換器27と、パネルスイッチ群28を接続し、入力ポート25を通じて位置信号SXとパネルスイッチ群28から入力される操作信号を入力する。パネルスイッチ群28から入力する各種の設定値等は表示器29に表示される。
中央演算処理装置22は入力ポート25を通じて入力された位置信号を信号変換器24−1に転送し、この信号変換器24−1において位置信号をエフェクタ10を制御する信号に変換する。つまり、被制御器となるエフェクタ10が例えばMIDI規格に従って動作する装置であれば位置信号をMIDI規格の信号に変換し、このMIDI規格の信号を出力ポート26とコネクタ31を通じてエフェクタ10に供給し、エフェクタ10を制御する。変換する信号の形態としてはその他にRS−232C等が考えられる。
【0018】
図1に示す実施例では信号変換器24−1とタッチオフ検出手段24−2を読み出し専用メモリROM24に書き込んだプログラムによって構成した場合を示す。また復帰点記憶手段23−1は書き換え可能なメモリRAM23の一部の記憶領域を使って構成した場合を示す。
タッチオフ検出手段24−2は位置信号SXを例えば微分動作するプログラムによって構成することができる。つまり、平面位置センサ21の押圧点Pが解除されると、入力位置SXは急峻にXo点のゼロ電位に復帰するから、この急峻に復帰する電圧変化を微分して取り出すことにより大きなレベルの微分信号を得ることができる。この微分信号によりタッチオフを検出することができる

【0019】
復帰点記憶手段23−1にはタッチオフ検出手段24−2がタッチオフを検出した後に、被制御器であるこの例ではエフェクタ10の状態を復帰させる復帰点を設定する。この設定方法としては例えばパネルスイッチ群28の中に復帰点設定用スイッチを設け、平面位置センサ21の復帰点としたい位置を押圧して位置信号SX1 を発信させ、この状態で復帰点設定用スイッチを操作(瞬時にオンとなる信号を入力する)して平面位置センサ21から 発信している位置信号SX1 を帰還点記憶手段23−1に記憶させることにより、復帰点を設定することができる。従って、復帰点記憶手段23−1には平面位置センサ21の任意の位置を設定することができる。
【0020】
ここで楽音コントローラ20がエフェクタ10のフェーダ機能10A(音量制御機能)を制御しているものとすると、図2に示す用に平面位置センサ21の右端Xnで音量が最大になるようにフェーダ機能10Aが制御され、平面位置センサ21のほぼ中央の位置X1 を復帰点として設定したとすると、右端Xnに指を触れて離すと、指を触れて離すだけの操作で音量が中間値から最大値、最大値から中間値へと音量に大小の変化を与えることができる。また触れる位置を変えるだけで音量の大小にも変化をつけることができる。
【0021】
例えば図3Aに示すようなドラムパターンがエフェクタ10に入力され、拡声装置から放音されている状態で図3Bに示すタイミングで平面位置センサ21の右端に触れることによりバスドラムの位置で音量を上げてアクセントを付けることができる。またアクセントをつけるときに触れる位置を変えることによりアクセントの付け方を変えたり、逆にバスドラムの音を消したりすることができる。また、復帰点X1 の設定位置を平面位置センサ21の左端Xoに設定すればゲートのような動作を行わせることができ、例えばバスドラムの音だけを出力することができる。この方法でエフェクタ10に持続音を入力し、リズムに合わせて平面位置センサ21を叩くと、本来リズムの無い音をリズムの有る音に変換することもできる。
【0022】
図4は図1に示した構成に解除位置記憶手段23−2と、移動演算手段24−3を付加した実施例を示す。つまり、図1に示した実施例では音量変化は平面位置センサ21に触れた位置と、復帰点X1 の2点でしか与えられなかったが、図4に示す実施例では指を触れた位置から復帰点X1 に戻る際にタッチオフを検出した時点の解除位置を解除位置記憶手段23−2に記憶させ、この解除位置から復帰点までの複数の位置信号を移動演算手段24−3で算出し、この算出した位置信号を順番にエフェクタ10に出力してエフェクタ10の状態を解除位置から復帰点まで、徐々に変化させるように構成した場合を示す。
【0023】
従ってこの実施例の構成を音量制御に利用したとすると、例えば最大音量から復帰点に戻る際に、図5Cに示すように音の減衰に時定数を持たせることができ、音量の変化を円滑に表現することができる。
尚、図4に示した移動演算手段24−3はマイクロコンピュータの演算機能により構成する事もできるが、その他の方法として予め例えば読み出し専用メモリ24に平面位置センサ21の左端Xoから右端Xnに至る間の位置情報を表として記憶させ、この表から解除位置及び復帰点を特定し、その間の位置情報を読み出すように構成することもできる。また位置情報を読み出す際にアドレスを飛び飛びに読み出すことにより離散的に音量を変化させることもできる。
【0024】
図6は図4に示した構成に復帰速度設定記憶手段23−3と、復帰速度制御手段24−4を付加した構成とした場合を示す。これらの構成を付加する事により、解除位置から復帰点X1 に戻る速度(時定数)を自由に設定する事ができる。
この結果、図1に示した音量変化が2点の間を往復するだけの高速変化から、解除位置から復帰点X1 に戻る時間が比較的長く、ゆっくりとした変化で復帰点に戻る制御を行わせることができる。
【0025】
図7はこの発明の更に他の実施例を示す。この実施例では一つの平面位置センサ21によって被制御器の複数のチャンネルの機能を制御する構成を付加した実施例を示す。この実施例では楽器のパート毎に異なる音量制御を行う機能を行う機能を付加した場合を説明する。この機能は一般にクロスフェード機能と呼ばれている。
【0026】
図7に示す実施例ではエフェクタ10に2チャンネルの楽音信号MU1とMU2が入力されている状態で、このチャンネルの楽音信号MU1とMU2を同一の平面位置センサ21から出力する位置信号によりエフェクタ10に搭載した2チャンネルのフェーダ10Aと10Bを互いに差動的に制御するように構成したものである。
【0027】
このために楽音コントローラ20にはエフェクタ10のチャンネルのフェーダ10Aと10Bに制御信号を送り込む2つの信号変換器24−1Aと24−1Bを設け、この2つの信号変換器24−1Aと24−1Bで平面位置センサ21から送り込まれる位置信号SXを互いに差動的に変化する2チャンネルの信号に変換し、エフェクタ10に送り込む。従ってエフェクタ10では図8に示すようにフェーダ10Aの経路では平面位置センサ21の左端Xoが例えば音量が最大で右端Xnが音量ゼロとなる。またフェーダ10Bの系路では平面位置センサ21の左端Xoが音量ゼロ、右端Xnで音量最大となる制御形態となる。
【0028】
その他の復帰点記憶手段23−1、解除位置記憶手段23−2、タッチオフ検出手段24−2、移動演算手段24−3は図4の実施例と同様に各1つずつの構成で共用する事ができる。
図7の構成によれば平面位置センサ21の左端Xoの位置を復帰点X1 に設定し、右端Xnの位置を触れると、指を触れている間は楽音信号MU1は音量ゼロであり、楽音信号MU2は音量最大となる。また指を平面位置センサ21から離すと、今度は楽音信号MU1が音量最大となり、楽音信号MU2は音量ゼロとなる。
【0029】
このために、例えば図9Aに示すように楽音信号MU1として音名”G”の2分音譜の演奏が、楽音信号MU2として音名”A”の2分音譜の演奏が入力されている場合において、入力信号のそれぞれは一つの音名を2分音譜で演奏し続けているだけでも、平面位置センサ21の右端Xnを図9Bに示すタイミング(ON−OFF)で触れると、図9Cに示すようなフレーズで拡声装置12から放音させることができる。
【0030】
従って1個所を押して離す事を繰り返すだけの簡単な操作で、単調な楽音を複雑な楽音に変換して演奏させることができる効果が得られる。
また楽音MU1とMU2に2種類のドラムパターンが入力されている場合にも、これらを組み合わせて違ったドラムパターンを作る事もできる。
図10はその一例を示す。図10Aと図10Bは互いに異なるドラムパターン1とドラムパターン2を示す。これらのドラムパターン1とドラムパターン2をエフェクタ10に楽音信号MU1とMU2として入力する。これと共に図10Cに示すタイミングで平面位置センサ21の右端に触れることにより、拡声装置12から図10Dに示す合成パターンを発生させることができる。
【0031】
図11は図10の構成に復帰速度設定手段23−3と、復帰速度制御手段24−4を付加した構成とした実施例を示す。これらの構成を付加することによって復帰速度をゆっくりとした速度に設定することにより、非常にゆっくりとしたクロスフェードを自動的に行わせることができる効果が得られる。
図12図は図7及び図11に示した楽音コントローラの他の応用例を示す。図7及び図11に示した実施例ではエフェクタ10に2チャンネルの制御信号により、エフェクタ10に内蔵した音量を制御するフェーダ10Aと、音色制御器或いはピッチベンド等の他の制御系10Cを制御するように利用することもできる。このためには信号変換器24−1Aと24−1Bから出力する制御信号に付加する被制御器を指定するアドレス符号或いはチャンネル番号を音量制御器と音色制御器等に指定すればよい。
【0032】
図13は楽音コントローラ20から3チャンネルの制御信号を出力する構成とした実施例を示す。つまり、この実施例では平面位置センサ21の操作信号によってクロスフェーダ制御を実行する2チャンネルの制御信号を出力させると共に、平面位置センサ21の下側又は上面側に感圧センサ32を配置し、感圧センサ32によって押圧力を検出し、この押圧力によって1チャンネルの制御信号を出力させるように構成した場合を示す。
【0033】
従ってこの実施例では平面位置センサ21と感圧センサ32の双方にAD変換器27Aと27Bを設け、これらのAD変換器27Aと27BでAD変換したデジタルの位置信号及び圧力検出信号を中央演算処理装置22に取り込み、これらの入力信号をそれぞれ信号変換器24−1A,24−1B,24−1Cで各別に行き先別の制御信号に変換してエフェクタ10に送り込めばよい。
【0034】
尚、この場合復帰点記憶手段23−1、解除位置記憶手段23−2、復帰速度設定記憶手段23−3、タッチオフ検出手段24−2、移動演算手段24−3、復帰速度制御手段24−4はそれぞれ、平面位置センサ21用と感圧センサ32用とをペアで設ける必要がある。
エフェクタ10ではこの例では2チャンネルのフェーダ10Aと10Bで平面位置センサ21から発信された制御信号によって互いに差動的にクロスフェード制御を実行し、更にこれらクロスフェード制御した2つのチャンネルの楽音をミクシングした後に共通のフェーダ10Cで感圧センサ32から発信された制御信号によって音量制御すれば楽音MU1とMU2の双方を押圧力によって共通に制御することができる。感圧センサ32から発信される制御信号は感圧センサ32に圧力が与えられるほどフェーダ10Cの利得が上昇し音量が大きくなる方向に制御されるように設定する。
【0035】
この図13に示した構成によれば平面位置センサ21に指が触れていない状態ではエフェクタ10に入力されている楽音MU1とMU2はフェーダ10Cの利得が絞られているから何れも出力されない。平面位置センサ21に指が触れ、感圧センサ32にも押圧力が与えられると、その圧力に応じた音量で楽音が拡声装置12から放音される。押圧力を解くと復帰速度制御手段24−4Aと24−4Bの制御によって音量が復帰速度設定記憶手段23−3A,23−3Bに設定された速度にしたがって小さくなり、最終的にはフェーダ10Cが絞られて音量はゼロになる。
【0036】
図14はこの発明の他の実施例を示す。この実施例では平面位置センサをX方向とY方向との2軸方向の位置を検出する平面位置センサ21´を用いた場合を示す。X軸方向の検出信号SXとY軸方向の検出信号XYをそれぞれAD変換器27Aと27BでAD変換し、マイクロコンピュータMPUに取り込む。
マイクロコンピュータMPUの内部ではX軸方向の位置検出信号SXと、Y軸方向の位置検出信号SXをエフェクタ10を制御する信号に変換する信号変換器24−1Aと24−1Bをペアで設けるだけで、他の手段は同一のセンサからの信号を利用するため共有することができる。
【0037】
この実施例ではX軸方向とY軸方向の2チャンネルの位置検出信号SXとSYによりエフェクタ10に搭載したフェーダ10Aとピッチシフタ10Dを制御する場合を示す。つまりX軸方向の位置検出信号SXによりフェーダ10Aを制御する。またY軸方向の位置検出信号SYによりピッチシフタ10Dを制御する。制御の形態は図15に示すようにX軸の右端Xn側で音量最大となり、左端Xoで音量ゼロとなるように信号変換器24−1Aがエフェクタ10の制御信号に変換する。またY軸方向の中央位置Y1 でピッチシフタ10DのピッチシフトがゼロでY軸方向の上端Ynに近づく程ピッチが高くなり、下端Yoに近づく程ピッチが低くなるように、信号変換器24−1Bがエフェクタ10の制御信号に変換する。
【0038】
移動演算手段24−3はこの実施例ではタッチオフ検出手段24−2がタッチオフを検出した解除点と復帰点の間を直線で結び、その直線上の位置を解除点側から順次算出するプログラムによって構成することができる。
従って、復帰点を図14及び図15に示すようにXY1 に設定し、リズムに合わせて触れる位置をXY2 に選定すると、位置XY2 に触れる毎にそのとき入力されている楽音の音量が大となり、これと共に音のピッチが高いほうにシフトされる。平面位置センサ21´から指を離すと音は復帰速度設定記憶手段23−3に記憶した復帰速度にしたがって徐々に直線的に小さくなり、ピッチのシフト量がゼロの方向に変化し、最終的には音量がゼロになる。触れる位置XY2 を変化させると音量の変化と、音のピッチシフト量が変化する。
【0039】
例えば図16Aに示すようなドラムパターンが入力されている状態でリズムに合わせて位置XY2 に触れると、バスドラムの音が音量によって強調され、また音のピッチが高い方にスイープされるため更に一層強調される。
X軸方向及びY軸方向のの2方向の位置を検出する平面位置センサ21´を用いた楽音コントローラ20によれば、図14に示した利用形態に限らず、例えば図17に示すようにX軸方向でピッチシフタ10Dを制御し、Y軸方向でフィルタ10Eを制御することができる。
【0040】
ピッチシフタ10Dの制御形態としては例えば図18に示すようにX軸方向の中央位置でピッチシフタ10Dのピッチシフト量をゼロとし、右端Xnでピッチが最高値にシフトし、左端Xoでピッチが最低値にシフトするように信号変換器24−1Aの変換特性を設定することができる。また、Y軸方向の下端Yoでフィルタ10Eカットオフ周波数が最低周波数、上端で最高周波数となるように信号変換器24−2の変換特性を設定することができる。
【0041】
尚、図14及び図17に示した実施例において、復帰点記憶手段23−1をペアで設けることにより、X軸方向とY軸方向の各位置信号SXとSYの復帰点を別の位置に設定することができる。
図14及び図17に示した楽音コントローラ20の利用方法の他に更に多くの利用方法が考えられるが、この発明では楽音コントローラ20の構成を要旨とするものであるから、利用方法に関してはこれ以上の説明は省略する。
【0042】
図19はこの発明による楽音コントローラ20の他の実施例を示す。この実施例では図14に示した実施例に復帰経路記憶手段23−4を設けた構成を提案するものである。
つまり、図14の実施例では解除点から復帰点に戻る経路を最短距離の直線として定め、直線上の各位置を移動演算手段24−3で算出する構成とした場合を示したが、図19の実施例では解除点から復帰点に至る経路を自由に設定できる構成を提案するものである。
【0043】
図20に各種の経路の様子を示す。図20に示す経路Aは直線の場合を示す。直線以外に曲線B,C,Dの任意の曲線を復帰経路として設定することができる。また曲線B,C,D以外にもXと方向に折れ曲がる直線Eのような設定も可能である。
これらの復帰経路A〜Eを自由に設定するには例えばパネルスイッチ群28に復帰経路設定スイッチを例えばオン又はオフの状態に操作している間に、解除点XY2 から復帰点XY1 の間を指でなぞると、そのなぞった線上の位置データを復帰経路記憶手段23−4に取り込み記憶させる。
【0044】
尚、復帰経路設定スイッチをオン、又はオフの状態に設定し、その状態で平面位置センサ21の面をなぞると、以前記憶していた復帰経路を示す位置データは消去され、新たに入力した復帰経路が記憶される。また復帰経路記憶手段23−4を設けた場合は移動演算手段24−3は設けなくてもよい。
復帰経路記憶手段23−4を設けこの復帰経路記憶手段23−4に任意の形態の復帰経路を記憶させることにより、タッチオフ後に復帰点XY1 に復帰する際に例えば音量の変化を始めは徐々に途中から高速に変化させたり、或いはその逆の変化をさせたり、又はピッチシフトの変化を始めは徐々に、途中から高速変化させる等の各種の変化を与える復帰経路を得ることができる。
【0045】
図21はこの発明の更に他の実施例を示す。図21に示す実施例では平面位置センサを21A´と21B´の2個設け、一方の平面位置センサ21A´によりエフェクタ10を制御する位置信号を発信させ、他方の平面位置センサ21B´により、復帰点の変更を行わせる構成とした場合を示す。この場合にはAD変換器27Aと27Bをそれぞれ平面位置センサ21A´と21B´の各X軸とY軸の位置検出信号を時分割してAD変換し、2台のAD変換器27Aと27Bで4チャンネルの信号をAD変換する構成とした場合を示す。
【0046】
つまり、図22に示すように平面位置センサ21A´に復帰点XY1 を設定し、この平面位置センサ21B´では復帰点XY1 を変更する場合にだけ、図23に示すように復帰点を変更したい位置例えばXY´1 に触れれば、その押圧した点XY´1 に平面位置センサ21A´の復帰点を変更することができるように構成するものである。
【0047】
このためにはマイクロコンピュータMPUには2つのタッチオフ検出手段24−2Aと24−2Bを設け、平面位置センサ21B´のタッチオフをタッチオフ検出手段24−2Bで検出し、このタッチオフの検出時点の位置を復帰点記憶手段23−1に書き込み、復帰点の変更を実行する。
このように、2つの平面位置センサ21A´、21B´を設け、一方の平面位置センサ21B´を復帰点の変更用として利用することにより、復帰点の変更が容易に行えることから例えば演奏中でも復帰点の変更を行うことができる利点が得られる。尚、図21に示す実行例ではX軸方向とY軸方向の各復帰点をXY1 XY´1 として共通とした場合を説明したが、X軸方向の復帰点と、Y軸方向の復帰点を別々に変更するように構成することもできる。このように構成する場合には復帰点記憶手段23−1をペアで設ければよい。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば平面位置センサ21又は21´、21A´,21B´を用いてエフェクタ等の被制御器を制御する場合に、平面位置センサから指又はペン先等が離れた時点において、これを検出し、予め設定した復帰点に被制御器の状態を自動的に復帰させる構成としたから、例えば音量をリズムに合わせて大きくし、小さくする操作を繰り返す場合に、この発明によればリズムに合わせて目的とする音量を与える平面位置センサの位置を押せばよく、操作性を改善することができる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による楽音コントローラの基本構成を説明するためのブロック図。
【図2】図1に示したこの発明による楽音コントローラの動作を説明するための図。
【図3】図2と同様に図1に示した楽音コントローラの動作を説明するためのタイミングチャート。
【図4】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図5】図4の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図6】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図7】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図8】図7の動作を説明するための図。
【図9】図8と同様に図7の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図10】図8と同様に図7の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図11】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図12】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図13】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図14】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図15】図14に示した実施例の操作を説明するための図。
【図16】図14に示した実施例の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図17】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図18】図17に示した実施例の動作を説明するための図。
【図19】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図20】図19に示した実施例の動作を説明するための図。
【図21】この発明の変形実施例を説明するためのブロック図。
【図22】図21の動作を説明するための平面位置センサの平面図。
【図23】図22と同様に図21の動作を説明するための平面位置センサの平面図。
【図24】従来の技術を説明するためのブロック図。

Claims (9)

  1. A.少なくとも1方向の位置信号を出力する平面位置センサと、
    B.この平面位置センサが出力する位置信号を被制御器に与える制御信号に変換して出力する信号変換器と、
    C.上記平面位置センサに対する入力操作が解除されたことを検出するタッチオフ検出手段と、
    D.上記平面位置センサの任意の位を、上記タッチオフ検出手段がタッチオフを検出する毎に被制御器の状態を復帰させる復帰点として記憶した復帰点記憶手段と、
    によって構成したことを特徴とする楽音コントローラ。
  2. A.少なくとも1方向の位置信号を出力する平面位置センサと、
    B.この平面位置センサが出力する位置信号を被制御器に与える制御信号に変換して出力する信号変換手段と、
    C.上記平面位置センサに対する入力操作が解除されたことを検出するタッチオフ検出手段と、
    D.上記平面位置センサの任意の位を、上記タッチオフ検出手段がタッチオフを検出する毎に被制御器の状態を復帰させる復帰点として記憶した復帰点記憶手段と、
    E.上記タッチオフ検出手段がタッチオフを検出する毎に、そのタッチオフ時の操作位置を記憶する解除位置記憶手段と、
    F.この解除位置記憶手段に記憶した解除位置から上記復帰点記憶手段に記憶した復帰点に至る間の位置を上記解除位置側から順次演算して出力する移動演算手段と、
    によって構成したことを特徴とする楽音コントローラ。
  3. A.少なくとも1方向の位置信号を出力する平面位置センサと、
    B.この平面位置センサが出力する位置信号を被制御器に与える制御信号に変換して出力する信号変換手段と、
    C.上記平面位置センサに対する入力操作が解除されたことを検出するタッチオフ検出手段と、
    D.上記平面位置センサの任意の位を、上記タッチオフ検出手段がタッチオフを検出する毎に被制御器の状態を復帰させる復帰点として記憶した復帰点記憶手段と、
    E.上記タッチオフ検出手段がタッチオフを検出する毎に、そのタッチオフ時の操作位置を記憶する解除位置記憶手段と、
    F.この解除位置記憶手段に記憶した解除位置から上記復帰点記憶手段に記憶した復帰点に至る間の位置を上記解除位置側から順次演算して出力する移動演算手段と、
    G.この移動演算手段が算出した各位置情報を任意の速度で出力させる復帰速度制御手段と、
    H.この復帰速度制御手段の復帰速度を設定する復帰速度設定記憶手段と、
    によって構成したことを特徴とする楽音コントローラ。
  4. 請求項1乃至3記載の楽音コントローラにおいて上記平面位置センサが出力する位置信号を互いに差動的に変化する2チャンネルの制御信号として出力する2つの信号変換器設けた構成としたことを特徴とする楽音コントローラ。
  5. 請求項4記載の楽音コントローラにおいて、上記平面センサに加えて感圧センサを付加し、上記平面位置センサとこの感圧センサによって3チャンネルの制御信号を出力することができる構成としたことを特徴とする楽音センサ。
  6. 請求項1乃至3記載の楽音コントローラにおいて、上記表面位置センサとしてX軸方向とY軸方向の位置検出信号を発信する平面位置センサを用い、2方向の位置検出信号により2チャンネルの制御信号を出力する構成としたことを特徴とする楽音コントローラ。
  7. 請求項6記載の楽音コントローラにおいて、復帰経路記憶手段を設け、上記タッチオフ検出手段がタッチオフを検出した時点から上記復帰経路記憶手段に記憶した復帰経路に従って上記被制御器の状態を復帰点に戻す構成としたことを特徴とする楽音コントローラ。
  8. 請求項7記載の楽音コントローラにおいて、上記復帰経路記憶手段を書き込みモードに設定する復帰経路設定スイッチを設け、この復帰経路設定スイッチを書き込みモードに設定した状態で上記平面位置センサ上をなぞることにより、そのなぞられた軌跡を復帰経路として記憶する構成としたこを特徴とする楽音コントローラ。
  9. 請求項6記載の楽音コントローラにおいて、上記平面位置センサを2個設け、一方の平面位置センサが出力する2チャンネルの位置信号により被制御器の状態を制御すると共に、他方の平面位置センサの位置検出信号により、上記一方の平面位置センサに設定する復帰点を決定する構成としたことを特徴とする楽音コントローラ。
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