JP4039479B2 - マイクロ波プラズマ処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロ波を用いて生成したプラズマによって、半導体基板又は液晶ディスプレイ用ガラス基板等にエッチング又はアッシング等の処理を施す装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
反応ガスに外部からエネルギを与えて生じるプラズマは、LSI又はLCD等の製造プロセスにおいて広く用いられている。特に、ドライエッチングプロセスにおいて、プラズマの利用は不可欠の基本技術となっている。一般にプラズマを生成させる励起手段には2.45GHzのマイクロ波を用いる場合と、13.56MHzのRF(Radio Frequency )を用いる場合とがある。前者は後者に比べて高密度のプラズマが得られるとともに、プラズマ発生のために電極を必要とせず、従って電極からのコンタミネーションを防止できるという利点がある。ところが、マイクロ波を用いたプラズマ処理装置にあっては、プラズマ生成領域の面積を広くし、且つ密度が均一になるようにプラズマを発生させることが困難であった。しかしながら、マイクロ波プラズマ処理装置には前述した如く種々の利点があるため、該装置によって大口径の半導体基板,LCD用ガラス基板等の処理を実現することが要求されていた。この要求を満たすため、本願出願人は、特開昭62−5600号公報、特開昭62−99481 号公報等において次のような装置を提案している。
【0003】
図14は、特開昭62−5600号公報及び特開昭62−99481 号公報に開示した装置と同タイプのマイクロ波プラズマ処理装置を示す側断面図であり、図15は図14に示したプラズマ処理装置の平面図である。矩形箱状の反応器31は、その全体がアルミニウムで形成されている。反応器31の上部にはマイクロ波導入窓が開設してあり、該マイクロ波導入窓は封止板34で気密状態に封止されている。この封止板34は、耐熱性及びマイクロ波透過性を有すると共に誘電損失が小さい、石英ガラス又はアルミナ等の誘電体で形成されている。
【0004】
反応器31には、該反応器31の上部を覆う長方形箱状のカバー部材40が連結してある。このカバー部材40内の天井部分には誘電体線路41が取り付けてあり、該誘電体線路41と封止板34との間にはエアギャップ43が形成されている。誘電体線路41は、テフロン(登録商標)といったフッ素樹脂,ポリエチレン樹脂又はポリスチレン樹脂等の誘電体を、矩形と三角形とを組み合わせた略五角形の頂点に凸部を設けた板形状に成形してなり、前記凸部をカバー部材40の周面に連結した導波管21に内嵌させてある。導波管21にはマイクロ波発振器20が連結してあり、マイクロ波発振器20が発振したマイクロ波は、導波管21によって誘電体線路41の凸部に入射される。
【0005】
前述した如く、誘電体線路41の凸部の基端側は、平面視が略三角形状のテーパ部41a になしてあり、前記凸部に入射されたマイクロ波はテーパ部41a に倣ってその幅方向に拡げられ誘電体線路41の全体に伝播する。このマイクロ波はカバー部材40の導波管21に対向する端面で反射し、入射波と反射波とが重ね合わされて誘電体線路41に定在波が形成される。
【0006】
反応器31の内部は処理室32になっており、処理室32の周囲壁を貫通する貫通穴に嵌合させたガス導入管35から処理室32内に所要のガスが導入される。処理室32の底部壁中央には、試料Wを載置する載置台33が設けてあり、載置台33にはマッチングボックス36を介して高周波電源37が接続されている。また、反応器31の底部壁には排気口38が開設してあり、排気口38から処理室32の内気を排出するようになしてある。
【0007】
このようなマイクロ波プラズマ処理装置を用いて試料Wの表面にエッチング処理を施すには、排気口38から排気して処理室32内を所望の圧力まで減圧した後、ガス導入管35から処理室32内に反応ガスを供給する。次いで、マイクロ波発振器20からマイクロ波を発振させ、これを導波管21を介して誘電体線路41に導入する。このとき、テーパ部41a によってマイクロ波は誘電体線路41内で均一に拡がり、誘電体線路41内に定在波を形成する。この定在波によって、誘電体線路41の下方に漏れ電界が形成され、それがエアギャップ43及び封止板34を透過して処理室32内へ導入される。このようにして、マイクロ波が処理室32内へ伝播する。これにより、処理室32内にプラズマが生成され、そのプラズマによって試料Wの表面をエッチングする。これによって、大口径の試料Wを処理すべく反応器31の直径を大きくしても、その反応器31の全領域へマイクロ波を均一に導入することができ、大口径の試料Wを均一にプラズマ処理することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のマイクロ波プラズマ処理装置では、誘電体線路41にマイクロ波を均一に拡がらせるために、封止板34及び反応器31の縁部から水平方向へ突出させたテーパ部41a を設けてあり、このテーパ部41a の寸法は、誘電体線路41の面積、即ち処理室32の直径に応じて定めてある。そのため、従来のマイクロ波プラズマ処理装置を設置する場合、反応器31周縁から突出させたテーパ部41a を格納するための水平方向のスペースを余分に確保しなければならない。
【0009】
ところで、試料Wの大口径化に伴って、反応器31の直径が更に大きいマイクロ波プラズマ処理装置が要求されている。このとき、装置の設置場所を手当てする必要がないこと、即ち、可及的に狭いスペースで設置し得ることも要求されている。しかしながら、従来の装置にあっては、テーパ部41a の寸法は反応器31の直径に応じて定めるため、反応器31の直径が大きくなるに従ってテーパ部41a の寸法が長くなる。従って、反応器31の直径が更に大きいマイクロ波プラズマ処理装置を可及的に狭いスペースに設置するという2つの要求を共に満足することができない。
【0010】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところはマイクロ波を伝播させる環状の管状部材にスリットを開設してなるアンテナを、容器(反応器)の一部を封止する封止部材の表面に前記スリットを対向させて設け、管状部材の周面に開設した導入口からアンテナ内へマイクロ波を入射し、スリットから封止部材へマイクロ波を放射する構成にすることによって、反応器の直径が大きくても、装置全体のサイズを可及的に小さくでき、小さなスペースに設置し得るマイクロ波プラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は、一部を誘電体で形成される封止部材で封止してなる容器内へ、前記封止部材を透過させてマイクロ波を導入し、該マイクロ波によってプラズマを生成し、生成したプラズマによって被処理物を処理する装置において、マイクロ波を伝播させる環状断面視コの字状の誘電体が装入してある管状部材と、該管状部材内へマイクロ波を導入すべく前記管状部材の周面に開設した導入口と、前記管状部材の下面に設けられ前記封止部材を外嵌する導電性金属からなるカバー部材と、前記カバー部材に開設した前記管状部材の幅よりも狭い長さのスリットとを具備するアンテナを備え、該アンテナは前記封止部材の表面に対向して設けてあり、前記導入口から管状部材内へマイクロ波を入射し、前記スリットから前記封止部材へマイクロ波を放射するようになしてあることを特徴とする。
【0012】
マイクロ波を伝播させる環状の管状部材にスリットを開設してなるアンテナが、容器(反応器)の一部を封止する封止部材の表面に前記スリットを対向させて設けてあり、管状部材の周面に開設した導入口からアンテナ内へマイクロ波を入射する。このマイクロ波はアンテナの管状部材内を互いに逆方向へ進行する進行波となってアンテナ内を伝播し、両進行波は管状部材の導入口に対向する位置で互いに衝突して定在波が形成される。
【0013】
この定在波によって、管状部材の壁面に所定の間隔で極大になる電流が通流する。管状部材の前記封止部材に対向する部分にはスリットが開設してあり、前述した電流によって、スリットを挟んで管状部材の内外で電位差が生じ、この電位差によってスリットから封止部材へ電界が放射される。即ち、アンテナから封止部材へマイクロ波が伝播する。このマイクロ波は封止部材を透過して容器内へ導入され、そのマイクロ波によってプラズマが生成される。
【0014】
このようにアンテナの管状部材内へ直接的にマイクロ波を入射することができるため、アンテナは容器から突出することがなく、従ってマイクロ波プラズマ処理装置の水平方向の寸法を可及的に小さくすることができる。一方、マイクロ波はアンテナから容器の略全域に導かれ、スリットから放射されるため、容器内へマイクロ波を均一に導入することができる。更に、管状部材の内径を所要の寸法になすことによって、アンテナ内に単一なモード(基本モード)の定在波を形成することができ、これによってエネルギ損失を可及的に少なくすることができる。
【0015】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は、前記スリットは、前記導入口から管状部材内を互いに逆方向へ同時的に進行するマイクロ波が互いに衝突する位置から、所定の間隔で複数開設してあることを特徴とする。
【0016】
環状のアンテナに適宜の間隔で設けた複数のスリットから容器内へマイクロ波が放射状に導入されるため、容器内で略均一なるプラズマを生成することができ、これによって大口径の被処理物を略均一にプラズマ処理することができる。
【0017】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は、前記スリットは複数開設してあり、相隣るスリットの間隔は次式に基づいて定めてあることを特徴とする。
L=m・λg/2
但し、mは整数
λg:アンテナ内を伝播するマイクロ波の波長
【0018】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は、マイクロ波が互いに衝突する位置から(2n−1)・λg/4(但し、nは整数、λgはアンテナ内を伝播するマイクロ波の波長)を隔てた位置にスリットが開設してあり、該スリットからm・λg/2(但し、mは整数)ずつ隔てた位置に他のスリットが開設してあることを特徴とする。
【0019】
アンテナの管状部材内に形成された定在波によって管状部材の壁面に通流する電流は、前述した両進行波が互いに衝突する位置から、管状部材の周方向の両側へλg/4隔てた2つの位置、及びそれらの位置からλg/2を隔てる都度、極大になる。そのため、両進行波が互いに衝突する位置から(2n−1)・λg/4を隔てた位置にスリットを開設し、該スリットからm・λg/2の間隔で他のスリットを開設した場合、エネルギ損失を可及的に抑制して、各スリットからマイクロ波を放射することができる。
【0020】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は、前記管状部材は、該管状部材の中心軸を含む平面によって切断した切断面の中心を通る中心線の長さを、アンテナ内を伝播するマイクロ波の波長の略整数倍になしてあることを特徴とする。
【0021】
管状部材の中心軸を含む平面によって切断した切断面の中心を通る中心線の長さを、アンテナ内を伝播するマイクロ波の波長の略整数倍になしてあるため、マイクロ波はアンテナ内で共振して、アンテナ内に形成される定在波の振幅が増大し、高パワーのマイクロ波がスリットから容器へ放射される。
【0023】
アンテナに入射されたマイクロ波は誘電体によってその波長が1/√(εr)倍(εrは誘電体の比誘電率)だけ短くなる。従って同じ直径の管状部材を用いた場合、誘電体が装入してあるときの方が、誘電体が装入していないときより、管状部材の壁面に通流する電流が極大になる位置が多く、その分、スリットを多く開設することができる。そのため、容器内へマイクロ波を更に均一に導入することができる。
【0024】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は、前記導入口は前記管状部材の周面に複数開設してあり、各導入口から前記管状部材内へマイクロ波を入射するようになしてあることを特徴とする。
【0025】
環状部材の導入口に対向する部分から容器へ放射されるマイクロ波のエネルギは、環状部材の他の部分から放射されるマイクロ波のエネルギより低い場合がある。このとき、2つの導入口を環状部材の周方向に互いに対向するように配置することによって、マイクロ波のエネルギが低くなる部分を互いに補い合い、容器内へマイクロ波を均一に導入することができる。
【0026】
また、一つの導入口から環状部材の周方向へk・λg/2(kは整数、λgはアンテナ内を伝播するマイクロ波の波長)を隔てた1又は複数の位置に他の導入部を設けることによって、環状部材から容器へ放射されるマイクロ波のエネルギを環状部材の周方向の所要の位置で調整することができる。
【0027】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置は、前記封止部材の前記アンテナで囲まれた部分に、封止部材を貫通する貫通孔が開設してあり、該貫通孔にガスを導入するための管が嵌合してあることを特徴とする。
【0028】
封止部材を貫通する貫通孔に嵌合した管から容器内へ反応ガスを供給する。反応ガスは容器の全周縁方向へ放射状に略均一に拡散するため、被処理物は略均一にプラズマ処理される。また、容器内に供給された反応ガスのプラズマ中の滞在時間が長いため、反応ガスの利用効率が向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置の構造を示す側断面図であり、図2は図1に示したマイクロ波プラズマ処理装置の平面図である。有底円筒形状の反応器1は、その全体がアルミニウムで形成されている。反応器1の上部にはマイクロ波導入窓が開設してあり、該マイクロ波導入窓は封止板4で気密状態に封止されている。この封止板4は、耐熱性及びマイクロ波透過性を有すると共に誘電損失が小さい、石英ガラス又はアルミナ等の誘電体で形成されている。
【0030】
前述した封止板4には、導電性金属を円形蓋状に成形してなるカバー部材10が外嵌してあり、該カバー部材10は反応器1上に固定してある。カバー部材10の上面には、反応器1内へマイクロ波を導入するためのアンテナ11が設けてある。アンテナ11は、カバー部材10の上面に固定してあり、断面視がコ字状の部材を環状に成形してなる環状導波管型アンテナ部12を備えており、カバー部材10の環状導波管型アンテナ部12に対向する部分には複数のスリット15,15,…が開設してある。
【0031】
環状導波管型アンテナ部12は、反応器1の内周面より少し内側に、反応器1の中心軸と同心円上に設けてあり、その外周面に設けた開口(導入口)の周囲には該環状導波管型アンテナ部12へマイクロ波を導入するための導入部13が、環状導波管型アンテナ部12の直径方向になるように連結してある。この導入部13及び環状導波管型アンテナ部12内には、テフロン(登録商標)といったフッ素樹脂,ポリエチレン樹脂又はポリスチレン樹脂(好ましくはテフロン)等の誘電体14が内嵌してある。
【0032】
導入部13にはマイクロ波発振器20から延設した導波管21が連結してあり、マイクロ波発振器20が発振したマイクロ波は、導波管21を経てアンテナ11の導入部13に入射される。この入射波は、導入部13から環状導波管型アンテナ部12へ導入される。環状導波管型アンテナ部12へ導入されたマイクロ波は、環状導波管型アンテナ部12を互いに逆方向へ進行する進行波として、該環状導波管型アンテナ部12内の誘電体14中を伝播し、両進行波は、環状導波管型アンテナ部12の前記開口に対向する位置で衝突して定在波が生成される。この定在波によって、環状導波管型アンテナ部12の内面に、所定の間隔で極大値を示す電流が通流する。
【0033】
このとき、環状導波管型アンテナ部12内を伝播するマイクロ波のモードを基本伝播モードである矩形TE10にすべく、マイクロ波の周波数2.45GHzに応じて、環状導波管型アンテナ部12の寸法を、高さ27mm,幅66.2mmになしてある。このモードのマイクロ波は、エネルギを殆ど損失することなく環状導波管型アンテナ部12内の誘電体14を伝播する。
【0034】
また、直径が380mmの封止板4を用い、環状導波管型アンテナ部12にεr=2.1のテフロン(登録商標)を内嵌した場合、環状導波管型アンテナ部12の中心から環状導波管型アンテナ部12の幅方向の中央までの寸法を、141mmになしてある。この場合、環状導波管型アンテナ部12の幅方向の中央を結ぶ円Cの周方向の長さ(略886mm)は、該環状導波管型アンテナ部12内を伝播するマイクロ波の波長(略110mm)の略整数倍である。そのため、マイクロ波は環状導波管型アンテナ部12内で共振して、前述した定在波は、その腹の位置で高電圧・低電流、節の位置で低電圧・高電流となり、アンテナのQ値が向上する。
【0035】
図3は、図1及び図2に示したスリット15,15,…を説明する説明図である。図3に示したように、スリット15,15,…は、カバー部材10(図2参照)の環状導波管型アンテナ部12に対向する部分に、環状導波管型アンテナ部12の直径方向へ、即ち環状導波管型アンテナ部12内を伝播するマイクロ波の進行方向に直交するように短冊状に開設してある。環状導波管型アンテナ部12が前述した寸法である場合、各スリット15,15,…の長さは50mmであり、幅は20mmである。
【0036】
各スリット15,15,…は、導入部13の中心線を延長した延長線Lと前述した円Cとが交わる2点の内の導入部13から離隔した側である交点P1 から、円Cに倣ってその両方へ、それぞれ(2n−1)・λg/4(nは整数、λgはアンテナ内を伝播するマイクロ波の波長)を隔てた位置に、2つのスリット15,15を開設してあり、両スリット15,15から、円Cに倣ってその両方へ、m・λg/2(mは整数)の間隔で複数の他のスリット15,15,…がそれぞれ開設してある。
【0037】
図4は、図2に示した環状導波管型アンテナ部12内の誘電体14に分布する電界の強度をシミュレーションした結果を説明する説明図である。真円の環状体の外周に棒状体を設けた形状にテフロンを成形してなる誘電体に、前記棒状体の端部から2.45GHzのマイクロ波を挿入し、マイクロ波の伝播によって形成される電界の強度をシミュレーションし、同じ電界強度の位置を線で結んだ。その結果、図4に示した如く、誘電体に強電界強度の複数の領域が、環状体の中心及び棒状体の中央を通る軸に対称になるように形成されている。
【0038】
前述した各スリット15,15,…は、複数の強電界強度の領域の間の略中央に位置しており、各スリット15,15,…から強電界強度の電界が漏出し、該電界は封止板4を透過して反応器1内へ導入される。つまり、反応器1内へプラズマを生成するマイクロ波が導入される。
【0039】
なお、本実施の形態では、スリット15,15,…は、環状導波管型アンテナ部12内を伝播するマイクロ波の進行方向に直交するように開設してあるが、本発明はこれに限らず、前記マイクロ波の進行方向に斜めに交わるようにスリットを開設してもよく、また、マイクロ波の進行方向に開設してもよい。反応器1内に生成されたプラズマによって、アンテナ11内を伝播するマイクロ波の波長が変化して、環状導波管型アンテナ部12の周壁に通流する電流の極大値を示す位置が変化する場合があるが、マイクロ波の進行方向に斜めに開設したスリット又はマイクロ波の進行方向に開設したスリットにあっては、電流の極大値を示す位置の変化をスリットの領域内に取り込むことができる。
【0040】
前述したように各スリット15,15,…は、カバー部材10に略放射状に設けてあるため、マイクロ波は反応器1内の全領域に均一に導入される。一方、図1に示したように、アンテナ11は反応器1の直径と同じ直径のカバー部材10上に、該カバー部材10の周縁から突出することなく設けてあるため、反応器1の直径が大きくても、マイクロ波プラズマ処理装置のサイズを可及的に小さく、従って小さなスペースに設置し得る。
【0041】
カバー部材10の略中央には、該カバー部材10及び封止板4を貫通する貫通孔が開設してあり、該貫通孔に嵌合させたガス導入管5から処理室2内に所要のガスが導入される。処理室2の底部壁中央には、試料Wを載置する載置台3が設けてあり、載置台3にはマッチングボックス6を介して高周波電源7が接続されている。また、反応器1の底部壁には排気口8が開設してあり、排気口8から処理室2の内気を排出するようになしてある。
【0042】
このようなマイクロ波プラズマ処理装置を用いて試料Wの表面にエッチング処理を施すには、排気口8から排気して処理室2内を所望の圧力まで減圧した後、ガス導入管5から処理室2内に反応ガスを供給する。次いで、マイクロ波発振器20からマイクロ波を発振させ、それを導波管21を経てアンテナ11に導入し、そこに定在波を形成させる。この定在波によって、アンテナ11のスリット15,15,…から放射された電界は、封止板4を透過して処理室2内へ導入され、処理室2内にプラズマが生成され、このプラズマによって試料Wの表面をエッチングする。
【0043】
前述した如く、カバー部材10の略中央に連結したガス導入管5から処理室2内へ反応ガスを供給するようになしてあるため、反応ガスは処理室2の略中央から全周縁方向へ放射状に拡散する。そのため、試料W上に反応ガスが均一に流れ、試料Wの全領域において略均一な速度で処理することができる。更に、反応ガスはそのほとんどが、処理室2内に生成されたプラズマ内へ供給されるのに加えて、供給された反応ガスはプラズマ中に比較的長い時間滞在するため、反応ガスの利用効率が高い。
【0044】
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2を示す側断面図であり、前述した導入部の環状導波管型アンテナ部への連結位置を変更した場合を示している。また、図6は図5に示したマイクロ波プラズマ処理装置の平面図であり、図7は、図5及び図6に示したスリット15,15,…を説明する説明図である。なお、これらの図中、図1,図2及び図3に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。
【0045】
本実施の形態に係るアンテナ16は、真円の環状導波管型アンテナ部17が、反応器1の内周面より少し内側に、反応器1の中心軸と同心円上に設けてあり、その外周面に設けた開口の周囲には、直管状の導入部18が、環状導波管型アンテナ部17の接線方向になるように連結してある。
【0046】
スリット15,15,…は、カバー部材10の環状導波管型アンテナ部17に対向する部分に、環状導波管型アンテナ部17の直径方向へ、即ち環状導波管型アンテナ部17内を伝播するマイクロ波の進行方向に直交するように短冊状に開設してある。各スリット15,15,…は、導入部18の中心線を延長した延長線Lが円Cに接する接点を通る法線と円Cとが交わる2つの点の内の、前記接点以外の交点P2 から、円Cに倣ってその両方へ、それぞれ(2n−1)・λg/4(nは整数、λgはアンテナ内を伝播するマイクロ波の波長)を隔てた位置に、2つのスリット15,15が開設してあり、両スリット15,15から、円Cに倣ってその両方へ、m・λg/2(mは整数)の間隔で複数の他のスリット15,15,…が開設してある。
【0047】
これらのスリット15,15,…は、図8に示した、複数の強電界強度の領域の間の略中央に位置しており、前同様、各スリット15,15,…から強電界強度の電界が漏出し、該電界は封止板4を透過して反応器1内へ導入される。
【0048】
なお、上述した実施の形態では、スリット内は空になしてあるが、本発明はこれに限らず、スリットに誘電体を内嵌させてもよい。アンテナ内に導入するマイクロ波のパワーが高い場合、スリットの角部でマイクロ波の電界が局所的に集中し、スリットと封止板との間で異常放電が生じる虞がある。この異常放電により、プラズマが不安定・不均一になり、プラズマ処理に支障を来す場合、又はスリット若しくは封止板が損傷する場合がある。しかし、スリット内に誘電体を挿入した場合、スリットの角部への電界の集中を抑制することができると共に、放電が起こり得る空間を誘電体によって塞ぐことができるため、前述した異常放電が発生せず、安全性が向上すると共に、高パワーのマイクロ波を用いて、安定・均一に試料をプラズマ処理することができる。スリットに内嵌させる誘電体としては、マイクロ波を吸収しないテフロン(登録商標),石英,アルミナ等を用いることができるが、アルミナは局所的な電界の集中を抑制することができるため好適である。
【0049】
(実施の形態3)
図9は実施の形態3を示す平面図であり、環状導波管型アンテナ部に周方向の複数位置からマイクロ波を入射するようになしてある。なお、図中、図2に示した部分に対応する部分には同じ番号を付してその説明を省略する。図9に示した如く、環状導波管型アンテナ部12の外周面の互いに対向する位置に設けた開口(導入口)の周囲には、該環状導波管型アンテナ部12へマイクロ波を導入するための導入部13,13が、環状導波管型アンテナ部12の直径方向になるようにそれぞれ連結してある。この導入部13,13及び環状導波管型アンテナ部12内には、テフロン(登録商標)といったフッ素樹脂,ポリエチレン樹脂又はポリスチレン樹脂(好ましくはテフロン)等の誘電体が内嵌してある。
【0050】
両導入部13,13に対応してマイクロ波発振器20,20がそれぞれ設けてあり、両マイクロ波発振器20,20と導入部13,13との間には導波管21,21が介装してある。マイクロ波発振器20,20が発振したマイクロ波は、導波管21,21を経てアンテナ11の導入部13,13から環状導波管型アンテナ部12へ入射される。前述した如く、両導入部13,13は環状導波管型アンテナ部12の周方向に互いに対向するように配置してあるため、両導入部13,13から環状導波管型アンテナ部12に入射されたマイクロ波によって、環状導波管型アンテナ部12内の誘電体に、図4に示した如き分布の強電界強度の複数の領域が形成される。
【0051】
環状導波管型アンテナ部12の導入部13に対向する部分から反応器1へ放射されるマイクロ波のエネルギは、環状導波管型アンテナ部12の他の部分から放射されるマイクロ波のエネルギより低い場合があるが、導入部13,13は環状導波管型アンテナ部12の周方向に互いに対向するように配置してあるため、マイクロ波のエネルギが低くなる部分を互いに補い合い、反応器1内へマイクロ波を均一に導入することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、環状導波管型アンテナ部12の外周面に2つの導入部13,13が、環状導波管型アンテナ部12の周方向に互いに対向するように配置してあるが、本発明はこれに限らず、環状導波管型アンテナ部12の外周面に、該環状導波管型アンテナ部12の中心軸に対して軸対称になるように複数の導入口及び導入部を設け、それぞれの導入部から環状導波管型アンテナ部12内へマイクロ波を入射することによって、環状導波管型アンテナ部12の周方向で、環状導波管型アンテナ部12から反応器1へ放射されるマイクロ波のエネルギを均一にすることができる。
【0053】
【実施例】
次に比較試験を行った結果について説明する。
図10は比較試験に用いた装置を説明する説明図であり、図中、図2に示した部分に対応する部分には同じ符号を付してその説明を省略する。環状導波管アンテナ部12の底部開口は環状のアルミニウム板で塞止してある。
【0054】
この環状導波管型アンテナ部12の上面に、45個の細孔を、該環状導波管型アンテナ部12の幅方向の中央を結ぶ円Cと導入部13の中央線とが最初に交わる起点から、円C上に10mmピッチで開設し、各細孔に電圧測定端子50,50,…を各電圧測定端子50,50,…のプローブの先端が、環状導波管型アンテナ部12の内面に位置するように嵌合してある。
【0055】
そして、図11に示した如く、環状導波管型アンテナ部12及び挿入部13の一部にεr=2.1のテフロン(登録商標)を内嵌したアンテナ11、及び図12に示した如く、環状導波管型アンテナ部12が空洞(εr≒1)になしたアンテナ11に、マイクロ波発信器201 (ヒューレットパッカード社製,製品番号:86235A)から14dB,2.45GHzのマイクロ波信号をそれぞれ導入し、各電圧測定端子50,50,…の出力信号を整流器により直流電圧に変換し、変換した直流電圧をテスター(何れも図示せず)によって測定した。
【0056】
なお、テフロン(登録商標)を内嵌したアンテナ11の環状導波管型アンテナ部12の中心から環状導波管型アンテナ部12の幅方向の中央までの寸法は141mmであり、環状導波管型アンテナ部12の幅方向の中央を結ぶ円Cの周方向の長さは略886mmである。また、アンテナ11の口径は、高さが27mmであり、幅が66.2mmであり、図4に示した結果のシミュレーションに用いた環状導波管型アンテナ部12と同じ寸法である。一方、テフロン(登録商標)を内嵌していないアンテナ11の環状導波管型アンテナ部12の中心から環状導波管型アンテナ部12の幅方向の中央までの寸法は151mmであり、環状導波管型アンテナ部12の幅方向の中央を結ぶ円Cの周方向の長さは略949mmである。また、アンテナ11の口径は、高さが27mmであり、幅が96mmである(WRST−2規格)。
【0057】
図13は、誘電体を内嵌した環状導波管型アンテナ部に発生する電界の強度、及び誘電体が内嵌していない空洞の環状導波管型アンテナ部に発生する電界の強度を測定した結果を示すグラフであり、縦軸は電界強度を、横軸は起点からの周方向の距離をそれぞれ示している。なお、測定した電圧の値を相対的な電界強度として示してある。
【0058】
図13に〇印で示した如く、環状導波管型アンテナ部12に誘電体が内嵌していない場合、電界強度(電圧の測定値)が極小になる部分が、略80mm毎に存在しており、また極大電界強度は0.5以下であった。誘電体が内嵌していない環状導波管型アンテナ部12内でのマイクロ波の波長は略158mmであり、電界強度が極小になる周期は、前記波長の略1/2であった。
【0059】
これに対して、△印で示した如く、環状導波管型アンテナ部12に誘電体(テフロン)が内嵌してある場合、極大電界強度は1.65以下であり、環状導波管型アンテナ部12に誘電体が内嵌していない場合に比べて3倍以上も大きな値であった。これは、誘電体を内嵌した環状導波管型アンテナ部12が誘電体線路として機能するためであり、それによって管状導波管アンテナ部12内の電圧が昇圧されて、マイクロ波の伝送効率が向上する。
【0060】
従って、マイクロ波の電力が同じであるとき、環状導波管型アンテナ部に誘電体を内嵌した場合の方が、それを内嵌していない場合に比べて、プラズマの生成効率及び反応ガスの解離度が向上し、プラズマ処理の安定化及び高速化が図れる。また、環状導波管型アンテナ部に誘電体を内嵌した場合の方が、それを内嵌していない場合に比べて、より小さなマイクロ波電力で、同じプラズマ処理能力になすことができ、装置コストの低減及び省エネルギを図ることができる。
【0061】
また、環状導波管型アンテナ部12に誘電体(テフロン)が内嵌してある場合、電界強度が極小になる部分が略55mm毎に存在しており、電界強度が極小になる間隔は、環状導波管型アンテナ部12に誘電体が内嵌していない場合の略1/√(εr)であった。なお、誘電体が内嵌してある環状導波管型アンテナ部12内でのマイクロ波の波長は略110mmであり、電界強度が極小になる周期は、前記波長の略1/2であった。
【0062】
従って、環状導波管型アンテナ部に誘電体を内嵌した場合、それを内嵌していない場合に比べて、スリットの開設数を多くすることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置にあっては、アンテナの管状部材内へ直接的にマイクロ波を入射することができるため、アンテナは容器から突出することがない。そのため、容器の直径が大きくても、マイクロ波プラズマ処理装置のサイズが可及的に小さく、従って小さなスペースに設置し得る。一方、マイクロ波はアンテナから容器の略全域に導かれ、スリットから放射されるため、容器内へマイクロ波を均一に導入することができる。
【0064】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置にあっては、環状のアンテナに設けた複数のスリットから容器内へマイクロ波が放射状に導入されるため、容器内で略均一なるプラズマを生成することができ、これによって大口径の被処理物を略均一にプラズマ処理することができる。
【0065】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置にあっては、エネルギ損失を可及的に抑制して、スリットからマイクロ波を放射することができる。
【0066】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置にあっては、マイクロ波はアンテナ内で共振して、アンテナ内に形成される定在波の振幅が増大し、高パワーのマイクロ波がスリットから容器へ放射される。
【0067】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置にあっては、誘電体が装入していないときよりスリットを多く開設することができるため、容器内へマイクロ波を更に均一に導入することができる。また、マイクロ波の伝送効率を向上させることができる。
【0068】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置にあっては、環状部材の周面の複数位置に開設した導入口から管状部材内へマイクロ波を入射することによって、環状部材から容器へ放射されるマイクロ波のエネルギを環状部材の周方向の適宜の位置で調整することができる。例えば、2つの導入口を環状部材の周方向に互いに対向するように配置することによって、マイクロ波のエネルギが低くなる部分を互いに補い合い、容器内へマイクロ波を均一に導入することができる。
【0069】
本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置にあっては、反応ガスが容器の全周縁方向へ放射状に略均一に拡散するため、被処理物を略均一にプラズマ処理することができる。また、容器内に供給された反応ガスはプラズマ中の滞在時間が長いため、反応ガスの利用効率が向上する等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロ波プラズマ処理装置の構造を示す側断面図である。
【図2】図1に示したマイクロ波プラズマ処理装置の平面図である。
【図3】図1及び図2に示したスリットを説明する説明図である。
【図4】図2に示した環状導波管型アンテナ部内の誘電体に分布する電界の強度をシミュレーションした結果を説明する説明図である。
【図5】実施の形態2を示す側断面図である。
【図6】図5に示したマイクロ波プラズマ処理装置の平面図である。
【図7】図5及び図6に示したスリットを説明する説明図である。
【図8】図6に示した環状導波管型アンテナ部内の誘電体に分布する電界の強度をシミュレーションした結果を説明する説明図である。
【図9】実施の形態3を示す平面図である。
【図10】比較試験に用いた装置を説明する説明図である。
【図11】比較試験に用いた装置を説明する部分説明図である。
【図12】比較試験に用いた装置を説明する他の部分説明図である。
【図13】誘電体を内嵌した環状導波管型アンテナ部に発生する電界の強度、及び誘電体が内嵌していない空洞の環状導波管型アンテナ部に発生する電界の強度を測定した結果を示すグラフである。
【図14】従来の装置と同タイプのマイクロ波プラズマ処理装置を示す側断面図である。
【図15】図14に示したプラズマ処理装置の平面図である。
【符号の説明】
1 反応器
2 処理室
3 載置台
4 封止板
10 カバー部材
11 アンテナ
12 環状導波管型アンテナ部
13 導入部
15 スリット
W 試料
C 円
L 延長線
P1 交点
P2 交点
Claims (7)
- 一部を誘電体で形成される封止部材で封止してなる容器内へ、前記封止部材を透過させてマイクロ波を導入し、該マイクロ波によってプラズマを生成し、生成したプラズマによって被処理物を処理する装置において、
マイクロ波を伝播させる環状断面視コの字状の誘電体が装入してある管状部材と、
該管状部材内へマイクロ波を導入すべく前記管状部材の周面に開設した導入口と、
前記管状部材の下面に設けられ前記封止部材を外嵌する導電性金属からなるカバー部材と、
前記カバー部材に開設した前記管状部材の幅よりも狭い長さのスリットとを具備するアンテナを備え、
該アンテナは前記封止部材の表面に対向して設けてあり、前記導入口から管状部材内へマイクロ波を入射し、前記スリットから前記封止部材へマイクロ波を放射するようになしてあることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理装置。 - 前記スリットは、前記導入口から管状部材内を互いに逆方向へ同時的に進行するマイクロ波が互いに衝突する位置から、所定の間隔で複数開設してある請求項1記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記スリットは複数開設してあり、相隣るスリットの間隔は次式に基づいて定めてある請求項1記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
L=m・λg/2
但し、mは整数
λg:アンテナ内を伝播するマイクロ波の波長 - マイクロ波が互いに衝突する位置から(2n−1)・λg/4(但し、nは整数、λgはアンテナ内を伝播するマイクロ波の波長)を隔てた位置にスリットが開設してあり、該スリットからm・λg/2(但し、mは整数)ずつ隔てた位置に他のスリットが開設してある請求項2記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記管状部材は、該管状部材の中心軸を含む平面によって切断した切断面の中心を通る中心線の長さを、アンテナ内を伝播するマイクロ波の波長の略整数倍になしてある請求項1乃至4の何れかに記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記導入口は前記管状部材の周面に複数開設してあり、各導入口から前記管状部材内へマイクロ波を入射するようになしてある請求項1乃至5の何れかに記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
- 前記封止部材の前記アンテナで囲まれた部分に、封止部材を貫通する貫通孔が開設してあり、該貫通孔にガスを導入するための管が嵌合してある請求項1乃至6の何れかに記載のマイクロ波プラズマ処理装置。
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