JP4038984B2 - 電磁流量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁流量計におけるスイッチング制御方式の励磁回路の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1乃至図4により従来及び本発明共通の励磁回路構成、動作を説明する。図1は励磁コイルのスイッチング制御回路の構成図、図2は各スイッチング素子に対する開閉タイミング信号発生回路の構成図、図3は正励磁期間及び負励磁期間における各スイッチング素子の制御モードの説明図である。図4は励磁電流波形、流量検出信号波形、サンプリング区間のタイミング説明図である。
【0003】
図1において、1は直流電源、2はこれに並列接続されたコンデンサ、3は励磁コイルである。Q1乃至Q4はFETよりなるスイッチング素子、D1乃至D4はこれらスイッチング素子に前記直流電源より流れる電流に対して逆方向に並列接続された寄生コンデンサである。このダイオードは、FETの製造工程で本質的にパッケージ内に形成されるものであり、取り外すことは不可能である。
【0004】
直流電源1の一端(正側)はスイッチング素子Q1を介して励磁コイル3の一端31に接続され、この一端31はスイッチング素子Q3を介して直流電源1の他端(負側)に接続されている。
【0005】
励磁コイルの他端32は接地されると共に励磁電流の検出抵抗4の一端に接続されている。さらに、直流電源1の一端(正側)はスイッチング素子Q2を介して抵抗4の他端41に接続され、この他端41はスイッチング素子Q4を介して直流電源1の他端(負側)に接続されている。
【0006】
T1乃至T4は、スイッチング素子Q1乃至Q4を開閉制御するタイミング信号であり、夫々フォトカプラなどのアイソレータP1乃至P4及び波形整形回路B1乃至B4を介して各スイッチング素子の制御電極(FETのゲート)に供給されている。
【0007】
励磁コイル3と直列接続された励磁電流検出抵抗4には、正励磁期間及び負励磁期間に励磁電流が交互に逆方向流れる。従って、接地された一端32と他端41間には正励磁期間及び負励磁期間に対応して励磁電流に比例した正及び負の電圧Vrが発生する。
【0008】
図2により、スイッチング素子Q1乃至Q4を開閉制御するタイミング信号T1乃至T4の発生回路の構成、動作を説明する。5は、正励磁期間及び負励磁期間を規制する励磁タイミング発生回路であり、所定の励磁基本周波数f1の矩形波を発生し、直接出力がタイミング信号T4として、インバータG3を介した反転出力がタイミング信号T3としてスイッチング素子Q3.Q4に供給される。
【0009】
6は、パルス幅変調(PWM)方式の励磁制御回路であり、励磁電流に比例した正及び負の電圧Vrが絶対値回路7を介して正極性電圧に変換され、この電圧信号と直流リファレンス8(電圧Vs)との差が誤差増幅器9で増幅される。
【0010】
誤差増幅器9の出力電圧Veが正帰還抵抗10、11によるヒステリシス特性を有する比較器12の正側入力端子に抵抗10を介して入力されている。13は三角波信号発振器であり、励磁基本周波数f1より高い励磁スイッチング制御周波数f2の三角波信号Vpが比較器12の負側に入力されている。
【0011】
比較器12の出力は、アンドゲートG1、G2に導かれると共に、正帰還抵抗11、10の分圧回路を介して12の正側入力端子にフィードバックされ、比較動作に所定のヒステリシスを与えている。
【0012】
比較器12の動作は、三角波信号Vpが上昇して誤差増幅器9の出力電圧Ve以上となり、さらに正帰還抵抗10、11で決まるヒステリシス幅に相当する電圧以上に上昇すると出力が正から負に反転し、逆に、三角波信号Vpが誤差増幅器9の出力電圧Veを超えて低下し、さらに正帰還抵抗10、11で決まるヒステリシス幅に相当する電圧以下となると出力が負から正に反転することを三角波信号の各周期で繰り返す。この比較動作によりパルス幅変調(PWM)が実現される。
【0013】
アンドゲートG1は比較器12の出力とタイミング信号T4を入力し、両者の論理積でタイミング信号T1を発信する。同様にアンドゲートG2は比較器12の出力とタイミング信号T4を入力し、両者の論理積でタイミング信号T2を発信する。
【0014】
図3は、このような構成における正励磁期間及び負励磁期間の各スイッチング素子Q1乃至Q4の開閉状況とスイッチング制御を説明するものである。まず励磁タイミング信号T3、T4により正励磁期間ではQ3がオフでQ4がオンに規制され、負励磁期間ではQ3がオンでQ4がオフに規制される。
【0015】
さらに、正励磁期間ではQ2がオフでQ1によりスイッチング制御が実行される。負励磁期間ではQ1がオフでQ2によりスイッチング制御が実行される。
このような各スイッチング素子の制御により、正励磁期間では、図1においてi1で示す電流がスイッチング素子Q1、励磁コイル3、検出抵抗4、スイッチング素子Q4を流れる。
(0000)
図1においてi2で示す電流は、Q1がオフのとき励磁コイル3の逆起電力により、素子Q3に並列接続した寄生ダイオードD3を流れる電流を示す。
また負励磁期間では、i1と同様な電流がスイッチング素子Q2、検出抵抗4、励磁コイル3、スイッチング素子Q3を流れ、定電流制御が実行される。
【発明が解決しようとする課題】
このようなスイッチング制御方式の励磁回路は、低消費電力などの大きな利点があるが、励磁電流は図4(A)に示すように本質的に励磁スイッチング制御周波数成分のリプルを持つ。
【0016】
この励磁スイッチング制御周波数成分の電流リプルは、図4(B)に示すように、励磁電流が定電流制御された期間における電磁流量計の測定信号にそのまま重畳する、電磁流量計特有のワンターンノイズとして信号に含まれる。
【0017】
図4(C)に示すように、適当なタイミングによる区間で(B)の信号がサンプリングされ流量信号と取り込まれるが、励磁スイッチング制御周波数が励磁基本周波数の(2n+1)倍になると、このサンプリング期間で、信号に含まれる励磁スイッチング制御周波数成分ノイズはゼロにならず、出力動揺としてあらわれる。
【0018】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載発明の特徴は、直流電源をスイッチング素子を介して励磁コイルに印加し、前記励磁コイルに流れる励磁電流方向を所定の励磁基本周波数(f1)で切り替えると共に、前記励磁電流の値が一定となるように前記スイッチング素子の開閉デューティを前記励磁基本周波数よりは大きい励磁スイッチング制御周波数(f2)でオンオフ制御するスイッチング制御方式の電磁流量計において、
前記励磁基本周波数と前記励磁スイッチング制御周波数との関係が、前記励磁スイッチング制御周波数成分ノイズの影響を受けないように選定された点にある。
【0019】
請求項2記載発明の特徴は、前記励磁スイッチング制御周波数(f2)を、前記励磁基本周波数(f1)に対して、n×f1と(n+1)×f1の中間の周波数に選定することにより、前記励磁スイッチング制御周波数が、前記励磁基本周波数の整数倍以外の周波数に選定された点にある。
【0020】
請求項3記載発明の特徴は、前記励磁基本周波数及び前記励磁スイッチング制御周波数の一方又は両方が水晶発振器手段で供給された点にある。
【0021】
請求項4記載発明の特徴は、前記励磁コイルの一端が第1の制御用スイッチング素子を介して前記直流電源の一端に接続され、前記励磁コイルの他端が寄生ダイオードを並列接続した第1の励磁電流切り替用スイッチング素子を介して前記直流電源の他端に接続されると共に、前記励磁コイルの他端が第2の制御用スイッチング素子を介して前記直流電源の一端に接続され、前記励磁コイルの一端が寄生ダイオードを並列接続した第2の励磁電流切り替用スイッチング素子を介して前記直流電源の他端に接続された点にある。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明実施態様を、図面により説明する。図1乃至図4の構成要素は従来技術で説明した要素と同一であるため、重複説明を省略する。
本発明の特徴は、励磁スイッチング制御周波数を、励磁基本周波数の整数倍以外の周波数に選定する点にある。
【0023】
図4(C)で説明したサンプリング区間で演算される電圧を、フーリエ級数展開して示すと、
V=Σ[An×sin(nωt)+Bn×cos(nωt)]
n:正数
ω:2×π×f1(f1=励磁基本周波数)
で示される。
【0024】
つまり、励磁基本周波数の高調波成分しかない。これ以外の周波数成分はサンプリングに含まれないことがいえる。
具体的には、励磁基本周波数をf1としたとき、n×f1と(n+1)×f1の中間の周波数に励磁スイッチング制御周波数f2を選定すれば、周波数変動がf/2であれば、前記ワンターンノイズの影響を受けることがない。
【0025】
なお、本発明の実施にあたって、励磁基本周波数をf1のタイミング信号を発生する励磁タイミング発生回路5、励磁スイッチング制御周波数f2の三角波信号を発生する発振器13の一方又は両方を、周波数安定に優れる水晶発振器を利用することにより本発明の実現が容易となる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によればスイッチング制御方式の励磁回路を具備する電磁流量計において、励磁スイッチング制御周波数を適切に選定することで、電磁流量計特有のワンターンノイズに含まれる励磁スイッチング制御周波数成分のノイズの影響をゼロにする。従って、ゼロ点が安定した電磁流量計を容易に実現することが可能である。
【0027】
特に、容量式電磁流量計の場合、面積電極のためワンターンノイズの影響を受けやすく、微分ノイズが非常におおきくなるので、本発明の効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明並びに従来の電磁流量計の励磁回路における励磁コイルのスイッチング制御回路の構成図である。
【図2】図1における各スイッチング素子に対する開閉タイミング信号発生回路の構成図である。
【図3】図1における正励磁期間及び負励磁期間における各スイッチング素子の制御モードの説明図である。
【図4】励磁電流、信号波形、サンプリング区間に関する説明図である。
【符号の説明】
1 直流電源
2 コンデンサ
3 励磁コイル
4 励磁電流検出抵抗
Q1〜Q4 スイッチング素子(FET)
D1〜D4 寄生コンデンサ
P1〜P4 アイソレータ
B1〜B4 波形整形回路
T1〜T4 タイミング信号
Claims (4)
- 直流電圧をスイッチング素子を介して励磁コイルに印加し、前記励磁コイルに流れる励磁電流方向を所定の励磁基本周波数(f1)で切り替えると共に、前記励磁電流の値が一定となるように前記スイッチング素子の開閉デューティを前記励磁基本周波数よりは大きい励磁スイッチング制御周波数(f2)でオンオフ制御するスイッチング制御方式の電磁流量計において、
前記励磁基本周波数と前記励磁スイッチング制御周波数との関係が、前記励磁スイッチング制御周波数成分ノイズの影響を受けないように選定されてなる電磁流量計。 - 前記励磁スイッチング制御周波数(f2)を、前記励磁基本周波数(f1)に対して、n×f1と(n+1)×f1の中間の周波数に選定することにより、前記励磁スイッチング制御周波数が、前記励磁基本周波数の整数倍以外の周波数に選定されてなる請求項1記載の電磁流量計。
- 前記励磁基本周波数及び前記励磁スイッチング制御周波数の一方又は両方が水晶発振器手段で供給されてなる請求項1乃至3記載の電磁流量計。
- 前記励磁コイルの一端が第1の制御用スイッチング素子を介して前記直流電源の一端に接続され、前記励磁コイルの他端が寄生ダイオードを並列接続した第1の励磁電流切り替用スイッチング素子を介して前記直流電源の他端に接続されると共に、前記励磁コイルの他端が第2の制御用スイッチング素子を介して前記直流電源の一端に接続され、前記励磁コイルの一端が寄生ダイオードを並列接続した第2の励磁電流切り替用スイッチング素子を介して前記直流電源の他端に接続された請求項1乃至3記載の電磁流量計。
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