JP4038757B2 - 光素子用光学デバイス及び当該光素子用光学デバイスを用いた機器 - Google Patents

光素子用光学デバイス及び当該光素子用光学デバイスを用いた機器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹の曲面を有した光反射部材と、該光反射部材の少なくとも凹部を封止する樹脂とからなり、前記光反射部材の中央近辺に発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)などの発光素子チップ、もしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子、あるいはフォトダイオードなどの受光素子チップ、もしくは前記受光素子チップをモールド樹脂中に封止した受光素子モジュールからなる受光素子を封止するかまたは配置できるようにした形態の光素子用光学デバイスにおける樹脂の薄肉部のクラックを防止する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発光ダイオードなどの発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールでは、発光素子チップから前方へ出射された光はそのまま発光素子モジュールから出射されるが、発光素子チップから斜め方向へ出射された光はモールド樹脂の界面で全反射されたり、ケースの内面で散乱されたりしてロスとなり、光利用効率が低くなる。
【0003】
このため斜め方向に出射された光も効率よく取り出せるようにした発光素子モジュールとして、図26に示すような発光素子モジュールが提案されている。図26において、101は発光素子チップ、102は透明ガラス基板、103及び104はリードフレーム、105はボンディングワイヤ、106は反射部材、108は光透過性樹脂からなるモールド樹脂である。リードフレーム103及び104は透明ガラス基板102の背面に設けられており、発光素子チップ101はリードフレーム103の背面に実装され、リードフレーム104との間をボンディングワイヤ105によって接続されている。反射部材106の反射面107は複数の平板領域によって多面体状に形成されている。
【0004】
この発光素子モジュールにおいては、発光素子チップ101から背面側へ向けて光を出射させ、背面側へ出射された光を反射面107によって反射させてモールド樹脂108及び透明ガラス基板102を通して前方へ出射させるようにしている。特に、発光素子チップ101から斜め方向に出射された光も、反射面107で反射された後、モールド樹脂108及び透明ガラス基板102を通して前方へ出射されるので、光利用効率が向上する。なお、発光素子チップ101の代わりにフォトダイオードなどの受光素子チップを配置し、前方から入射してきた光を受光素子チップに受光させるよう構成すると、効率のよい受光素子モジュールが構成できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような発光素子モジュールでは、反射部材で反射された光が前方へ出射される際、発光素子チップやリードフレームに遮られてこれらの影が生じ、最も光量が得られるはずの光軸中心付近の光を効率よく利用することができない。
さらに、発光素子モジュールから出射された光の指向特性において光軸中心付近が暗くなるので、表示用の光源としては見た目が悪く、視覚的な不具合が生じていた。
また、温度変化の激しい場所での使用においては、光反射部材とモールド樹脂の熱膨張係数の違いから、光反射部材とモールド樹脂の界面近傍に応力が集中し、モールド樹脂にクラックが入るという問題があった。
【0006】
上述の事情に鑑み本発明は、発光素子チップもしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子、あるいは受光素子チップもしくは前記受光素子をモールド樹脂中に封止した受光素子等に用いるべく、発光素子あるいは受光素子を封止するかまたは配置できるようにした形態の光素子用光学デバイスや、光素子用光学デバイスを用いた機器において、所望の指向特性を備え、かつクラックの発生防止機能を備えた光素子用光学デバイスや、光素子用光学デバイスを用いた機器の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる光素子用光学デバイスは、光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光素子用光学デバイスであって、
光を反射させる光反射部材と、
前記光反射部材の少なくとも光反射面を覆う樹脂部材とからなり、
前記樹脂部材は、前記光素子前方の所定領域を外れた光をほぼ全反射させる樹脂界面を備え、
前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記樹脂界面、あるいは前記光反射部材の配置が定められ、
前記光反射部材の少なくとも一部に、前記樹脂部材より硬度の小さい緩衝材設けられており、
前記緩衝材が設けられた箇所において、前記光反射部材は前記緩衝材を介して前記樹脂部材と接しており、
前記緩衝材の厚みは100μm以下であることを特徴とする。
なお、前記樹脂部材は、前記光素子前方の所定領域に達した光を出射あるいは集光するレンズ部を備えてもよい。
【0008】
また、前記緩衝材は、前記光反射部材と樹脂との熱的収縮、または膨張により発生する応力の集中部に設けてもよいし、前記光反射部材の少なくとも光反射側に設けても良い。
【0009】
このように構成することで、光利用効率が高い光素子用光学デバイスが実現でき、さらに光反射部材とモールド樹脂の熱膨張計数の違いにより生じる応力を緩衝材で逃がし、クラックの発生を防止するようにしたから、クラックの発生で光が前方に出射、もしくは入射されなくなるのを防止でき、また、水蒸気やガスにより、光反射部材や光素子が錆びたり劣化したりして信頼性が低下するという不具合が防止できる。
【0010】
そして前記緩衝材は、硬度の低い軟質層、または気体、または流体層、または収縮によってできた空洞層であることが好ましい。また前記緩衝材の硬度は、JISK6249で規定される硬度において、50以下であることが好ましい。
【0011】
緩衝材をこのようにすることで、光反射部材とモールド樹脂の熱膨張計数の違いにより生じる応力を確実に逃がすことができる。
【0012】
そしてこの緩衝材は、一様、または一様に準じる厚みを有することが好ましく、また、前記緩衝材の厚みは、好ましくは30μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0013】
緩衝材をこのように構成することで、モールド樹脂と緩衝材の屈折率の違いによる光の出射方向の偏差を最小にすることができ、さらに中心効率や指向角を最適として、組み立て時のバラツキなどにも耐えられる光素子用光学デバイスを提供することができる。
【0014】
本発明にかかる光素子用光学デバイスアレイは、前記光素子用光学デバイスを複数個配列させたことを特徴とする。このような光素子用光学デバイスアレイは、薄型でかつ大面積の発光装置や、前面から入射してきた光を効率よく受ける受光装置に用いることができる。
【0015】
本発明にかかる光学装置は、前記光素子用光学デバイスアレイと、光素子を備え、前記光素子は、前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように定められた位置に配置されたことを特徴とする。
この光学装置によれば、光素子に発光素子チップもしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子を用いて薄型でかつ大面積の発光装置を形成したり、光素子に受光素子チップもしくは前記受光素子チップをモールド樹脂中に封止した受光素子を用いて前面から入射してきた光を効率よく受ける受光装置を形成したりすることができる。
【0016】
本発明にかかる別の光学装置は、光素子と、前記光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光素子用光学デバイスと、を備えた光学装置であって、
前記光素子用光学デバイスは、光を反射させる光反射部材と、前記光反射部材の少なくとも光反射面を覆う樹脂部材とからなり、
前記樹脂部材は、前記光素子前方の所定領域を外れた光をほぼ全反射させる樹脂界面を備え、
前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記樹脂界面、あるいは前記光反射部材の配置が定められ、
前記光反射部材の少なくとも一部に、前記樹脂部材より硬度の小さい緩衝材設けられており、
前記緩衝材が設けられた箇所において、前記光反射部材は前記緩衝材を介して前記樹脂部材と接しており、
前記緩衝材の厚みは100μm以下であることを特徴とする。
【0017】
なお、前記光素子は、発光素子チップもしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子としてもよい。
このような光学装置によれば、光利用効率が高く、かつ光反射部材とモールド樹脂の熱膨張計数の違いによるクラックの発生を防止した発光デバイスを形成することができる。
【0018】
前記樹脂界面は、前記発光素子から出射される第1の光が全反射される前記樹脂界面上の全反射点と、前記発光素子から出射され前記全反射点よりも前記発光素子に近い前記樹脂界面上の点で全反射される第2の光が前記光反射部材で反射されて外部に出射される際に前記樹脂界面を通過する通過点とが、同一である領域を有するように構成してもよい。
このように樹脂界面を定めることによって、樹脂界面に別の反射部材を設ける必要がなく、またそのような別の反射部材によって光の出射を妨げられることもなく、簡単な構造で光利用効率を高めることができる。
【0019】
なお、前記光素子は、受光素子チップもしくは前記受光素子チップをモールド樹脂中に封止した受光素子としてもよい。
このような光学装置によれば、光利用効率が高く、かつ光反射部材とモールド樹脂の熱膨張計数の違いによるクラックの発生を防止した受光デバイスを形成することができる。
【0020】
そして、前記光学装置は、外部から前記樹脂界面に入射され前記光反射部材で反射した第1の光が前記樹脂界面の全反射点にて全反射されて前記受光素子に入射する光経路と、外部から前記全反射点を通過して前記樹脂界面に入射され前記光反射部材で反射した第2の光が前記樹脂界面にて前記全反射位置より前記受光素子に近い点で全反射されて前記受光素子に入射される光経路とを有するように前記樹脂界面を設けても良い。
このように樹脂界面を設けることによって、樹脂界面に別の反射部材を設ける必要がなく、またそのような別の反射部材によって光の入射を妨げられることもなく、簡単な構造で光利用効率を高めることができる。
【0021】
そして、前記光素子は、前記光反射部材の焦点となる位置に対して、前記樹脂界面を介して鏡像となる位置の近傍に配置されてもよい。このような光学装置は、ほぼ並行光を出射する発光デバイスや、ほぼ並行光を受光する受光デバイスに用いることができる。
【0022】
本発明にかかる光素子用光学デバイスの製造方法は、
光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光素子用光学デバイスの製造方法であって、
光反射部材に緩衝材を配置する工程と、
前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、樹脂部材の界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記光反射部材を前記樹脂部材で覆う工程と、
を有し、
前記緩衝材の厚みを100μm以下にすることを特徴とする。
この光素子用光学デバイスの製造方法によれば、光利用効率を高める位置関係に樹脂部材の界面と光反射部材の位置関係を定められると共に、緩衝材を容易に樹脂部材と光反射部材の境界に配置することができる。
【0023】
本発明にかかる光学装置の製造方法は、
光素子を内部に備え、前記光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光学装置の製造方法であって、
光反射部材に緩衝材を配置する工程と、
前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光学装置の外部とを結ぶ光経路が、樹脂部材の界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように、前記光素子と前記光反射部材を前記樹脂部材で覆う工程と、を有し、
前記緩衝材の厚みを100μm以下にすることを特徴とする。
この光素子用光学デバイスの製造方法によれば、光利用効率を高める位置関係に光素子と、樹脂部材の界面と、光反射部材の位置関係を定められると共に、緩衝材を容易に樹脂部材と光反射部材の境界に配置することができる。
【0025】
本発明にかかる光学機器は、
発光素子チップもしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子を複数個有し、
前記発光素子から外部に至る出射光の光路を制御する光素子用光学デバイスを複数個備えた光学機器において、
光を反射させる光反射部材と、前記光反射部材の少なくとも光反射面を覆う樹脂部材とからなり、
前記樹脂部材は、前記発光素子前方の所定領域を外れた光をほぼ全反射させる樹脂界面を備え、
前記発光素子前方の所定領域を外れた光の、前記発光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記樹脂界面、あるいは前記光反射部材の配置が定められ、
前記光反射部材の少なくとも一部に、前記樹脂部材より硬度の小さい緩衝材設けられており、
前記緩衝材が設けられた箇所において、前記光反射部材は前記緩衝材を介して前記樹脂部材と接しており、
前記緩衝材の厚みは100μm以下であることを特徴とする。
【0026】
このような光学機器で構成されるディスプレイ装置は、寒暖の差が激しい屋外などでもクラックの発生を防止できるので、高い発光効率と、高い信頼性を得ることができる。
また、このような光学機器で構成される車載用ランプ光源は、温度環境が厳しい条件においても、高い発光効率と、高い信頼性を維持することができる。
さらに、本発明の光学装置で構成される信号機などの屋外用表示機器は、寒暖の差が激しい屋外でも高い発光効率と、高い信頼性を維持できるので、視認性がよく、かつメンテナンスの頻度も減らせるという効果が得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【0028】
図1は、本発明の光素子用光学デバイスに発光素子チップを配置した発光デバイス(光学装置)の例を説明するための図である。図1において、発光デバイスは、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)などの発光素子チップ11を受け皿部に積載してダイボンドしたリードフレーム12と、ボンディングワイヤ14で発光素子チップ11と接続された他方のリードフレーム13と、その回りに設けられた光反射部材15とを有し、これらの部材をモールド樹脂16で封止した構成をしている。
【0029】
そしてこの発光デバイスにおいては、モールド樹脂16の光出射側中央部に、球面レンズ状、非球面レンズ状、放物面状などの凸レンズ形状をした直接出射領域17が形成され、発光素子チップ11はこの直接出射領域17の焦点、またはその近傍に位置している。そのため、発光素子チップ11から出て直接出射領域17に向かった光は、ほぼ平行光化されて直接モールド樹脂16の前面から前方へ出射される。
【0030】
一方直接出射領域17の周囲には、この直接出射領域17を囲むように平面状の全反射領域18が形成され、かつ、発光素子チップ11から見て、直接出射領域17と全反射領域18との境界方向と発光素子チップ11の光軸とのなす角度が、モールド樹脂16と空気との間の全反射の臨界角と等しいか、それよりも大きく設定されている。そのため発光素子チップ11から出射された光のうち、全反射領域18に向かった光は、経路19に示したようにモールド樹脂16の界面で全反射され、さらに光反射部材15で反射されて全反射領域18から前方へ出射される。
ここで、経路19a、19bに示したようにほぼ並行光を出射させるには発光素子チップ11を光反射部材15の焦点となる位置に配置すればよい。すなわち図1の発光デバイスにおいては、経路19a、19bからも明らかなように、光はモールド樹脂16の界面で全反射されるので、発光素子チップ11は、光反射部材15の焦点となる位置に対して、モールド樹脂16の界面を介して鏡像となる位置に配置すればよい。
【0031】
なお、全反射領域18は、経路19aと経路19bおよび全反射領域18が交わる点からも明らかなように、発光素子チップ11から出射された第1の光(経路19a)が全反射される全反射点と、発光素子チップ11から出射され全反射点よりも発光素子チップ11に近い界面上の点で全反射される第2の光(経路19b)が光反射部材15で反射されて外部に出射される際に界面を通過する通過点が同一になる領域10を有している。すなわち、モールド樹脂16の界面の全反射を利用しているため、モールド樹脂16の界面に別の反射部材を設ける必要がなく、またそのような別の反射部材によって、光の出射を妨げられることもない。
【0032】
そのためこの発光デバイスにおいては、発光素子チップ11から出た光のほとんどが有効光として直接出射領域17と全反射領域18とから出射され、非常に効率の良い発光デバイスを得ることができる。しかも、光反射部材として曲板状の金属部材を使うことで、アルミ蒸着膜などを使う場合などに比し、組立てが容易で、かつ非常に安価に構成できると共に、モールド樹脂と蒸着膜の熱膨張係数が異なる場合、蒸着膜に亀裂が入るなどの事故を起こすという問題も生じない。なお、この図1の例では光反射部材15の中心に発光素子チップ11を置く場合を示したが、発光素子チップ11の代わりにフォトダイオードや太陽電池などの受光素子チップを置き、前方から入射してきた光を受光素子チップに受光させるよう構成すると、効率のよい受光デバイス(光学装置)が構成できる。この受光デバイスは、図1において、外部から全反射領域18であるモールド樹脂16の界面に入射され光反射部材15で反射した第1の光がモールド樹脂16の界面の全反射点(参照符号10で示す位置)にて全反射されて受光素子チップ11に入射する光経路19a(図1において逆矢印光経路)と、外部から全反射点(参照符号10で示す位置)を通過してモールド樹脂16の界面に入射され光反射部材15で反射した第2の光がモールド樹脂16の界面にて上記全反射点より前記受光素子に近い点で全反射されて受光素子チップ11に入射される光経路19b(図1において逆矢印光経路)とを有する全反射領域18を設けることで構成される。
このように発光素子チップに代えて受光素子チップを適応できることは、以下に説明する他の実施例でも同様である。
【0033】
本発明では、以上のように構成した発光デバイスにさらにクラック防止構造を備えたことを特徴としている。図1の発光デバイスは、光反射部材15とモールド樹脂16で構成される光素子用光学デバイスにおいて、各構成部材をモールド樹脂16で封止する際に、光反射部材15とモールド樹脂16との熱膨張係数の差によって応力が集中する部分、すなわち光反射部材15の応力集中部に、発光素子チップ11が発する光に対して透過率が良く、かつ、モールド樹脂16よりも硬度の小さい物質で緩衝材23を形成したものである。この層によって光反射部材15とモールド樹脂16の熱膨張係数の差により生じる応力を逃がすことができる。
【0034】
このようなクラック防止構造を備えない場合の光素子用光学デバイスを図2を用いて説明する。図2は本発明に用いる光素子用光学デバイスに発光素子チップ11を配置した発光デバイスにおけるモールド樹脂15のクラックの発生部位を示す説明図である。図2の発光デバイスは、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー(LD)などの発光素子チップ11を受け皿部に載置してダイボンドしたリードフレーム12、ボンディングワイヤ14で発光素子チップ11と接続された他方のリードフレーム13、その回りに設けられた光反射部材15などを有し、これらの部材をモールド樹脂16で封止した構成をしている。
【0035】
そしてこの発光デバイスにおいては、モールド樹脂16の光出射側中央部に、球面レンズ状、非球面レンズ状、放物面状などの凸レンズ形状をした直接出射領域17を形成し、発光素子チップ11はこの直接出射領域17の焦点、またはその近傍に位置させている。そのため、発光素子チップ11から出て直接出射領域17に向かった光は、ほぼ平行光化されて直接モールド樹脂16の前面から前方へ出射される。
【0036】
一方直接出射領域17の周囲には、この直接出射領域17を囲むように平面状の全反射領域18が形成され、かつ、発光素子チップ11から見て、直接出射領域17と全反射領域18との境界方向と発光素子チップ11の光軸とのなす角度が、モールド樹脂16と空気との間の全反射の臨界角と等しいか、それよりも大きく設定してある。そのため発光素子チップ11から出射された光のうち、経路19a、19bに示したように全反射領域18に向かった光は、モールド樹脂16の界面で全反射され、さらに光反射部材15で反射されて全反射領域18から前方へ出射する。
【0037】
なお、全反射領域18は、経路19aと経路19bおよび全反射領域18が交わる点からも明らかなように、発光素子チップ11から出射された第1の光(経路19a)が全反射される全反射点と、発光素子チップ11から出射され全反射点よりも発光素子チップ11に近い界面上の点で全反射される第2の光(経路19b)が光反射部材15で反射されて外部に出射される際に界面を通過する通過点が同一になる領域10を有している。すなわち、モールド樹脂16の界面の全反射を利用しているため、モールド樹脂16の界面に別の反射部材を設ける必要がなく、またそのような別の反射部材によって、光の出射を妨げられることもない。
【0038】
そのためこの発光デバイスにおいては、発光素子チップ11から出た光のほとんどが有効光として直接出射領域17と全反射領域18とから出射され、非常に効率の良い発光デバイスを得ることができる。なお、この図2の例では光反射部材15の中心に発光素子チップ11を置く場合を示したが、発光素子チップ11の代わりにフォトダイオードなどの受光素子チップを置き、前方から入射してきた光を受光素子チップに受光させるよう構成すると、効率のよい受光デバイスが構成できる。
【0039】
しかしながら、このように構成した発光デバイスにおける光反射部材15、モールド樹脂16で構成される光素子用光学デバイスは、光反射部材15の縁部に行くに従い、モールド樹脂の層が薄くなる。そのため、図2の20で示した光反射部材15の最外周部に、光反射部材15の鋭角部によりモールド樹脂16に薄肉部が形成され、また21で示した光反射部材15とリードフレーム12、または13との近接部にも薄肉部が形成される。また、温度変化の際の熱膨張係数が金属では11〜15ppm、樹脂では70〜100ppmと大きく異なり、膨張、収縮時における応力のかかる方向が金属と樹脂で大きく異なる。
【0040】
そのため光反射部材15に金属を用いた場合、モールド樹脂16の成形の際における温度変化、または車の中などにおける温度変化の激しい場所における使用など、使用環境での温度変化度合いの激しい場所においては、金属と樹脂の熱膨張係数の差により、このような薄肉部20、21には応力が集中し、また21の部分には光反射部材15の鋭角部があって、光反射部材15近辺のモールド樹脂16にクラックが入る可能性が生じる。
【0041】
図3から図6は、このクラックの起きる原因を説明するための図であり、図3は、図2における光反射部材15の温度変化による力の掛かる方向を示した図、図4は、同じく光反射部材15の内側のモールド樹脂16にかかる応力を示した図、図5は、光反射部材15の縁部におけるモールド樹脂16の薄肉部の応力とクラックの入り方を説明した図、図6は、光反射部材15近辺のモールド樹脂16における応力のシミュレーション図である。
【0042】
まず光反射部材15は、金属製のため温度が低下すると、図3(A)に矢印で示したように曲率が小さくなる方向に力が掛かり、図3(B)のように収縮しようとする。一方この光反射部材15の内側のモールド樹脂16は、図4の(A)に矢印で示したように、モールド樹脂16で作成される立体の重心方向に向けて収縮し、図4(B)のように収縮しようとする。そのため光反射部材15の縁部のモールド樹脂16が薄肉になった部分においては、図5(A)に示したように光反射部材15の収縮力とモールド樹脂16の収縮力の方向が異なり、図5(B)に示したようにクラック22が入る。
【0043】
これは前記した光反射部材15とリードフレーム12、または13との近接部の薄肉部などでも同様であり、シミュレーション図6にそれが現れている。すなわちこの図6において12はリードフレーム、15は光反射部材でこれらは金属であり、16はモールド樹脂である。そして1から9は、それぞれの場所における応力の強さを表し、数字が大きくなるほど応力が強くなることを示している。
【0044】
この図6からも明らかなように、前記図2における20で示した光反射部材15の最外周部の鋭角部によるモールド樹脂16の薄肉部や、21で示した光反射部材15とリードフレーム12、または13との近接部の薄肉部などに相当する部分は、応力が7、8、9の強い部分となっており、この部分にクラックが入りやすいことを示している。なお、応力が8、9と最も強い部分は、光反射部材15の凹面側、すなわち光反射側にあり、この部分に特にクラックが入りやすいことも示している。
【0045】
しかしながらこのようにクラックが入ると、その部分の光は当然進行方向が曲げられたり出射できなくなって前方に出射される光が少なくなり、さらに、せっかくモールド樹脂16で光反射部材15や発光素子チップ11を封止しているにもかかわらず、クラック部分から侵入した空気に含まれる水蒸気やガスにより、光反射部材15や発光素子チップ11が錆びたり劣化したりして信頼性が低下するという不具合が生じることになる。
【0046】
そこで、図1の発光デバイスに設けたようなクラック防止構造、すなわち光反射部材15とモールド樹脂16との熱膨張係数の差によって応力が集中する部分となる光反射部材15とモールド樹脂16の境界の応力集中部に、発光素子チップ11が発する光に対して透過率が良く、かつ、モールド樹脂16よりも硬度の小さい物質で緩衝材23a、23b,23c、23d、23e、23fを形成した構造が有効になる。
特に応力が最も集中する光反射部材15の凹面側、すなわち光反射側の応力集中部を含む部分には必ず緩衝材23a、23b、23d、23eを設けたほうがよい。
【0047】
このような構造を備えることで、樹脂成形に際して封止に用いる130℃程度の高温のモールド樹脂を注入し、その温度が常温まで下がるような場合、及び夏の車内のように高温にさらされるところで使用する場合など、温度変化の大きなところで用いる場合でも、光反射部材15の熱収縮とモールド樹脂16の熱収縮の量と方向の差異により生じる応力は緩衝用の層で逃がすことができ、モールド樹脂16にクラックを生じることが無くなる。またこの緩衝材23は、光反射部材15のリードフレーム12、13近辺の鋭角部のエッジを無くす効果もあり、エッジによるモールド樹脂16のクラック発生も防止できる。また緩衝材23は、応力の集中する部分のみにコートすればいいから、工程も簡単にできる。
【0048】
この緩衝材23は、前記したように発光素子チップ11が発する光に対して透過率が良く、かつ、モールド樹脂16よりも硬度の小さい物質であれば、樹脂、シリコン、フッ素系コート剤、気体、液体などどのような物質を用いてもよく、また層も、単層だけでなく、複数層でも良い。フッ素系コート材を用いた場合、コート材の温度が低下した際に空気層ができるから、それをそのまま利用できる。また、モールド樹脂16の収縮によってできた空洞層なども利用できる。なお硬度については、JISK6249で規定される硬度において、80の加硫化ゴムを使った場合はクラックが発生し、39のシリコンゴムを使った場合は好結果が得られた。そのため、硬度が50以下、好ましくは40以下のものが良い。
【0049】
しかしながらこのように、モールド樹脂16におけるクラックの発生しやすい部位となる応力集中部に緩衝材23を設けた場合、この緩衝材23の屈折率はモールド樹脂16の屈折率とは異なるため、その部分だけ光の出射方向が異なってしまう。これを実験値に基づいて説明したのが図7であり、図7(A)は緩衝材を設けた場合、図7(B)は緩衝材を設けない場合である。図中15は光反射部材、16はモールド樹脂、18は全反射領域、23は緩衝材、28は仮想発光素子チップ、29、35は光の経路であり、この図7において、図1に11で示した発光素子チップは、説明を簡略化するため仮想的に全反射領域18とは対称な位置に仮想発光素子チップ28として示した。
【0050】
そしてこの例においては、緩衝材がない図7(B)の場合、仮想発光素子チップ28から出て経路29に向かう光は、光反射部材15で反射されて全反射領域18から出るとき、例えば光軸に対して8度の傾きで出て行き、経路35に向かう光は同じく光軸に対して10.5度で出ていくよう設計した。そのときシリコンなどを使った緩衝材のある図7(A)では、同じ光の経路29で光反射部材15に向かった光はこの緩衝材23で屈折されて光反射部材15で反射され、緩衝材23から出るときまた屈折される。そのため、全反射領域18から出射するとき、光軸に対して14度程度の傾きとなり、光軸方向に集まる光となってしまう。そのため、緩衝材23を通った光とそれ以外の部分からの光は出射方向が大きく異なり、光反射部材15の縁部からの反射光を効率よく使用することができなくなる。
【0051】
このようなことに対処するため、光反射部材15の全表面にわたって緩衝材を設けたのが図8に示した実施例である。この図8において図1と同様な構成要素には同一番号を付し、30は光反射部材15の全表面に一様、または一様に準じる厚みを有するように設けた緩衝材である。このように光反射部材15の全表面に緩衝材30を設けることにより、全反射面でほぼ同じ屈折角度でこの緩衝材30で光が屈折され、図7(A)に示したような特定の部位だけ反射角が大きく異なるということが無くなる。
【0052】
しかしながら緩衝材30は、前記したようにモールド樹脂16とは屈折率が異なるから、例え反射面全域に均等に緩衝材30を設けても反射面の位置によって緩衝材30への光の入射角が異なり、緩衝材30の厚みで光の出射角に差が生じる。そのため、この緩衝材30の厚みを100μmと300μmとし、出射角を調べた結果を示したのが図9である。図中、15は光反射部材で、この曲率は前記図7(B)における光反射部材15と同じであるとする(すなわち緩衝材30が無い場合、光は図7(B)と全く同じ経路で全反射領域18から出射する)。16はモールド樹脂、18は全反射領域、28は前記図7で説明したような仮想発光素子チップ、30は緩衝材、31から34は光の経路である。
【0053】
まず、図9(A)のように光反射部材15の表面に均一にシリコンを100μm厚でコートした場合、仮想発光素子チップ28から出た光は、緩衝材30に入るとき屈折し、光反射部材15で反射されて緩衝材30から出るとき再度屈折して全反射領域18から出射される。そして、図7(B)における光軸側に近い経路35と同じような図9(A)の経路31で光反射部材15に向かった光は、光軸から図7(B)と同じ10.5度の傾きで全反射領域18から出射する。そして図7(B)における経路29と同じ図9(A)の経路32で光反射部材15に向かった光は、図7(B)の場合は光軸からの傾きが8度であったが、図9(A)の場合は8.2度の傾きで全反射領域18から出射し、両者には0.2度の差が生じた。
【0054】
そして、図9(B)のように光反射部材15の表面に均一にシリコンを300μm厚でコートした場合、図7(B)における光軸側に近い経路35と同じような図9(B)の経路33で光反射部材15に向かった光は、光軸から10.8度の傾きで全反射領域18から出射し、両者には0.3度の差が生じた。そして図7(B)における経路29と同じような図9(B)の経路34で光反射部材15に向かった光は、8.4度の傾きで全反射領域18から出射し、両者には0.4度の差が生じた。
【0055】
このように、緩衝材30が光反射部材15に均一な厚さでコートされている場合は、厚さが100μmでも300μmでも全反射領域18から出射する光の方向にそれほど大きな違いはない。しかしながら現実問題として、光反射部材15のような全面に全く均一な厚さでシリコンなどをコートすることは難しい。すなわち図10(A)、(B)に示したように、通常緩衝材36、37は、表面張力の作用で光反射部材15の外縁、内縁で薄く、中央部では厚くなる。なおこの図10において、図10(A)における緩衝材の厚さは300μm、図10(B)における緩衝材の厚さは100μmとする。
【0056】
そのため28を、全反射領域18とは対称な位置に置いた発光素子チップ11の仮想発光素子チップとした場合、図10(A)のように緩衝材の厚みを300μmとすると、光反射部材15の外縁近辺の薄くなっている部分に進む光の経路38においては、緩衝材の厚さが300μmの場合の射出方向に比べて約2.1度のズレが生じ、内縁方向に進む光の経路39においても同様約1.5度のズレが生じる。それに対して図10(B)の100μmの場合は、外縁近辺に進む光の経路38の場合に約0.6度、内縁方向に進む光の経路39においては約0.5度と1度以下のズレで収まる。そのため、光の射出方向の緩衝材により生じるズレを1度以下に収めるには、緩衝材の厚さを100μm以下にすることが好ましい。
【0057】
図11、図12は、さらにこの緩衝材の厚さ(コーティング厚)と中心効率、及び発光デバイスから出射された光の広がり角(指向角)を調べたグラフである。図11において、横軸は緩衝材の厚さ(コーティング厚)で、縦軸は中心効率である。中心効率とは、発光デバイスから出射される全光量を100%としたとき、この発光デバイスから一定の距離における光軸を中心とした円の中に入る光量の割合を示したもので、この図11の例では、一例として発光デバイスから120mm離れた照射面におけるΦ8.4mmの範囲に入る光量の割合を示している。また図12において、横軸は緩衝材の厚さ(コーティング厚)で、縦軸は指向角である。指向角とは、発光デバイスから出射される光線の広がり角を意味し、ある照射面における最も明るい点に対して一定の比率になる照射領域の角度を示しており、この図12の例では例えば50%(半値)になる照射領域の角度を示している。
【0058】
またこの図11、図12において、最大値と最小値として示したものは、ある緩衝材の厚さ(コーティング厚)での理想的な組み立て状態(設計値)に対して、部品公差と組み立て公差(バラツキ)を考慮したときの中心効率及び指向角の最大値、最小値を示したものである。そのため図11において、例えば緩衝材の厚さ(コーティング厚)が50μmの場合、最大値は2.7%、最小値は1.3%となり、中心効率はこの範囲で変動することを意味する。
【0059】
そしてまず図11から明らかなように、中心効率の最小値は緩衝材の厚さ(コーティング厚)が0から150μmの間でほぼフラットであるのに対し、最大値は30から100μmの間がフラットであるが、それ以外の厚さで中心効率が高くなって光が中心に集まっており、そのため、緩衝材の厚さ(コーティング厚)を30から100μmに制御することが好ましい。そしてつぎの図12を見ると、緩衝材の厚さ(コーティング厚)がこの30から100μmの範囲では、最大値、最小値共に変動幅が2度以内に入っているが、100μmを越えると最小値が小さくなっており、やはり中心に光が集まる傾向があって、緩衝材の厚さ(コーティング厚)は30から100μmに制御することが好ましい。
【0060】
また、この緩衝材の厚さ(コーティング厚)は、製造時のばらつきや、製造時の環境条件などでも20μm程度の変動が予想され、厳密な制御は難しい。従って、緩衝材の厚さ(コーティング厚)が多少変動しても、中心効率や指向角の変動が±10%以下に抑えられることが望ましく、この図11、図12において、「最大値」、「最小値」がこの条件を満たすのは前記した30から100μmであり、緩衝材の厚さ(コーティング厚)を30μm以上、100μm以下とすれば光学特性への影響が少ない緩衝材が実現できる。
【0061】
以上が本発明における光素子用光学デバイスのモールド樹脂のクラック防止構造であるが、以上説明してきたような光反射部材と封止用のモールド樹脂で構成される光素子用光学デバイスのみを、こういった光素子用光学デバイスを持たない発光デバイス、すなわち発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールと組み合わせるようにすることもできる。
【0062】
この例を示したのが図13であり、図中11は単体デバイスとしての発光素子チップ、15は光反射部材、16はモールド樹脂であり、以下の実施例説明における光反射部材15には、以上説明してきたようにモールド樹脂に応力が集中する部位、または光反射部材の凹面側、または表面全域に緩衝材がコートされているものとする。
【0063】
まず図13(a)は、表面実装タイプなどの発光素子モジュール40を、反射部材15、モールド樹脂16で作った光素子用光学デバイスの中に収容したものである。この場合は前記図1、図8に示したように、発光素子チップ11からの光は直接出射領域17と、全反射領域18で全反射された後光反射部材15で再度反射されて光素子用光学デバイスの外部に出射される。このように構成することで、内部に発光素子チップを備えた場合と同様に、光利用効率が高く、かつクラックの発生を防止した発光デバイスを形成することができる。
【0064】
図13(b)は、反射部材15、モールド樹脂16で作った光素子用光学デバイスをドーナツ型に構成し、砲弾型の発光素子モジュール41を中心穴に入れて構成したものである。この場合、発光素子チップ11から全反射領域18に向かった光はここで全反射されて光反射部材15方向に向かい、前方に射出される。
【0065】
図13(c)は、反射部材15、モールド樹脂16で作った光素子用光学デバイスをドーナツ型に構成し、発光素子チップ11の前方に凸状のレンズ部を持つ発光素子モジュール42の凸状部を入れたものである。
【0066】
図13(d)は、反射部材15、モールド樹脂16で作った光素子用光学デバイスに、直接出射領域17を形成すると共に直接出射領域17の裏に砲弾型の発光素子モジュール43が入るように整形して、砲弾型の発光素子モジュール43を収容したものである。
【0067】
図13(e)は、図13(a)に用いた光素子用光学デバイスと図13(c)に用いた発光素子モジュールと類似形状の発光素子モジュール44を組み合わせたもので、図13(a)と同様な効果が得られる。図13(f)は、背面が平面状に成形した光素子用光学デバイスと、前面を平面にした発光素子モジュール45を組み合わせたもので、これも図13(a)と同様な効果が得られる。
【0068】
また以上の実施例説明においては、発光素子チップ11を反射部材15側に置く場合について説明してきたが、図14のようにモールド樹脂16の光出射面側内部に発光素子チップ11を置いた場合も全く同様である。この場合も反射部材15の凹面状の部分にモールド樹脂16で発光素子チップ11が封止されているから、前記したように反射部材15の縁部においてはモールド樹脂16のクラックが発生する。
【0069】
そのため、図14(b)のように反射部材15の端部に緩衝材46を設けてモールド樹脂16を注入したり、図14(c)のように反射部材15の凹面状の反射部全面に緩衝材47を設けるようにすれば、これらのクラックは防止できる。
【0070】
なお、以上の説明では、発光素子チップもしくは発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子と、光素子用光学デバイスを組み合わせる場合を説明してきたが、前記したように発光素子の代わりにフォトダイオード、太陽電池などの受光素子チップもしくは受光素子チップをモールド樹脂中に封止した受光素子モジュールからなる受光素子などの光素子を置くことで、前面から入射してきた光を効率よく受ける受光デバイス(光学装置)が構成できる。そしてこの場合も、以上述べてきたようにモールド樹脂16の応力集中部や、光反射部材の凹部や表面全域に緩衝剤をコートすることで、モールド樹脂16のクラックを防止でき、光反射部材に入射した光を全て受光素子に集めることができると共に、水蒸気やガスにより、光反射部材や受光素子が錆びたり劣化したりして信頼性が低下するという不具合が防止できる。
【0071】
以上の説明では、発光素子や受光素子などの光素子を光素子用光学デバイスの所定の位置に封止、もしくは配置する発光デバイスや受光デバイス等の光学装置の構成を説明したが、以下にこのような光学装置の製造方法について、発光素子チップを光素子用光学デバイスの所定の位置に封止する発光デバイスを例にとって説明する。
【0072】
図15(a),(b),(c)は、発光素子チップを光素子用光学デバイスの所定の位置に封止する発光デバイスの製造方法の一例を表している。図15には発光デバイスを製造するための24が示されており、金型24にはモールド樹脂16を成形するためのキャビティ25が形成されており、キャビティ25の底面には全反射領域18を成形するためのパターン面26と直接出射領域17を成形するためのパターン面27とが形成されている。
【0073】
発光デバイスの製造にあたっては、あらかじめ所定の位置に緩衝材23を配置した光反射部材15を製作しておく。すなわち、図1に示す光反射部材15のように、光反射部材15の表面の、光反射部材15とモールド樹脂16の境界の応力集中部となる位置に、発光素子チップ11が発する光に対して透過率が良く、かつ、モールド樹脂16よりも硬度の小さい物質で緩衝材23を配置しておく。次に、図15に示すように、キャビティ25内に緩衝材23を配置した光反射部材15を納める。光反射部材15の外径寸法とキャビティ25の内径とはほぼ等しいので、光反射部材15をキャビティ25内に入れてキャビティ25の底面に光反射部材15を置くことによりキャビティ25内で光反射部材15を位置決めすることができる。
【0074】
図15(b)には、リードフレーム12の受け皿部に発光素子チップ11をダイボンドし、リードフレーム13と発光素子チップ11をボンディングワイヤ14でつないだものを示しているが、これは別工程で予め製作されている。これを、図15(b)に示すように、発光素子チップ11を下にした状態でキャビティ25内に納め、リードフレーム12、13の上端を支持することによって発光素子チップ11をキャビティ25内で所定位置に位置決めする。
【0075】
この状態で、図15(c)に示すように、キャビティ25内にモールド樹脂16を注入して発光素子チップ11や光反射部材15をインサートすると共に直接出射領域17や全反射領域18を成形し、モールド樹脂16が冷却して硬化したらキャビティ25から取り出し、発光デバイスを得る。
【0076】
このような製造方法によれば、図1の経路19に示したように、発光素子チップ11から出射された光のうち、全反射領域18に向かった光が、モールド樹脂16の界面で全反射され、さらに光反射部材15で反射されて全反射領域18から前方へ出射されるように、発光素子チップ11、樹脂界面18、光反射部材15などの位置決めを容易に行えると共に、緩衝材23を容易に樹脂部材と光反射部材の境界に配置することができ、簡単な設備によって光利用効率が高く、かつクラックが生じることが少ない発光デバイスを量産することができる。
【0077】
なお、ここでは発光デバイスの製造方法の例を示したが、図15(b)において、発光素子チップ11を実装したリードフレーム12、13をキャビティ25内に納める代わりに、図13に示したような発光素子モジュール40〜45を配置するための凹部もしくは平坦部を形成するための型を納めることで、光素子用光学デバイス単体の製造も容易に実現できる。
さらに、発光素子チップ11もしくは、発光素子モジュール40〜45用の型に代えて、受光素子チップや受光素子モジュール用の型を用いることで、受光デバイスも同様にして製造することができる。
【0078】
以上説明してきた本発明の光素子用光学デバイスおよび光素子用光学デバイスを用いた光学装置は、寒暖の差の激しい屋外や、夏などはかなり高温になる車内など、設置条件の悪い環境におけるディスプレイ装置や、車載ランプ用光源、あるいは屋外用表示機器などの光学機器に使用するのに好適であり、以下、こういった事例を図16から図25を用いて説明する。
【0079】
まず図16、図17は、前記図13で説明したような本発明になる光素子用光学デバイスを、アレイ状に配列した光学装置である発光デバイスアレイ50の一構成例斜視図(図16)、及び断面図(図17)である。これは、台座51の上に配置された回路基板52の上に、複数の発光素子チップもしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した複数の発光素子モジュールからなる発光素子53を一定間隔で配列させ、その上に本発明の光素子用光学デバイスアレイ54を重ねたもので、光素子用光学デバイスアレイ54には、発光素子53と同じピッチで直接出射領域部55や、光反射部材56が設けられている。そして、この発き光デバイスアレイ50に一定ピッチで配列された個々の発光デバイス57は、個々に光らせるようになっていて、各種のディスプレイに使用できるよう構成されている。なお、この図16、図17における光素子用光学デバイスは、前記図13に説明した場合を例としたが、前記図1や図8、或いは図14に示したような発光デバイスとしてもよいことはもちろんである。
【0080】
図18は、本発明による光素子用光学デバイスと、発光素子チップもしくは発光素子モジュールからなる発光素子で構成した発光デバイス61を複数個備えた光学機器であるディスプレイ装置60の斜視図であり、このディスプレイ装置60にあっては、複数の発光デバイス61をマトリクス状、ないしハニカム状などに配列してあり、各発光デバイス61を個々に点滅させることによって各種のディスプレイが可能なようになっている。なおこの図18では、スタンド型のものを示しているが、壁掛け式や家屋の外壁部分等に取り付けられるものでもよい。
【0081】
図19は、支柱70の上に設置された本発明による光素子用光学デバイスと、発光素子チップもしくは発光素子モジュールからなる発光素子で構成した発光デバイス73を複数個備えた発光ディスプレイ71の一例を示す正面図であり、図20、及び図21は、この発光ディスプレイ71を構成する発光ディスプレイユニット72の正面図、及び側面図である。この発光ディスプレイ71は、たとえば道路状況や気象状況を運転者に伝えるため、文字やイラストの部分を発光デバイス73で構成したもので、図21に示したように、発光デバイス73を基板74に実装し、その基板74をベース75とカバー76との間に挟み込み、各発光デバイス73をカバー76の孔から露出させるようにしたものである。発光デバイス73は、表示しようとするマークや文字に応じて適当な発光色のものを適当なパターンで基板74に配置される。
【0082】
図22、及び図23は、本発明による光素子用光学デバイスと、発光素子チップもしくは発光素子モジュールからなる発光素子で構成した発光デバイス57を複数個備えた光学機器である信号機80の正面図、及び側面図である。この信号機80は、赤、黄、緑の信号灯81R、81Y、81Gを配列したものであって、上方をフード82で覆われている。赤、黄、緑の各信号灯81R、81Y、81Gは、前記図17に示したように、対応する発光色の発光デバイス57を、方向を揃えて基板52に多数実装し、その基板52をケーシング内に納め、その前面を乳白色、又は半透明のカバーで覆ったものである。
【0083】
図24は、本発明による光素子用光学デバイスと、発光素子チップもしくは発光素子モジュールからなる発光素子で構成した発光デバイス90を用いたハイマウントストップランプ91を示す斜視図である。このハイマウントストップランプ91は、横に長い基板92の上に、図25に示すような略長円状をした発光デバイス90を複数個一列に並べて実装したものである。
【0084】
このハイマウントストップランプ用の発光デバイス90は、前記図1、図8、または図13、或いは図14に示した発光デバイスと同様な構造を有するものであるが、全体が略長円状、楕円状、長方形状など、横に長い正面形状をしているので、円盤状をした光反射部材15の両側を折り曲げてモールド樹脂16内にインサートしている。そして、この発光デバイス90は、その長軸方向が基板の長さ方向と平行になるようにして基板92上に実装されている。
【0085】
このハイマウントストップランプ91は、車両93のリアウインドウ94の内部に取り付けられ、車両93の運転手がブレーキを踏んだときに全発光デバイス90が一斉に点灯し、後続の車両に報知するものである。このようなハイマウントストップランプ91において、横に長い発光デバイス90を用いれば、効率よく横長の光を出射させることが可能になる。また、発光デバイス90を横長にすることで、必要な発光デバイス90の数を少なくすることができるので、ハイマウントストップランプ91のコストを安価にすることができる。
【0086】
【発明の効果】
以上記載の如く本発明によれば、光反射部材とモールド樹脂の熱膨張計数の違いにより生じる応力を緩衝材で逃がしてクラックの発生を防止するようにしたため、クラックによって光が前方に出射されなくなる領域が発生するのを防止できるとともに、水蒸気やガスにより、光反射部材や発光素子が錆びたり劣化して信頼性が低下するという不具合が防止できる。従って、寒暖の差の激しい屋外や、夏などはかなり高温になる車内など、設置条件の悪い環境におけるディスプレイ装置などに使用するのに好適な光素子用光学デバイスが提供できる。
【0087】
そしてこの緩衝材は、一様、または一様に準じる厚みを持ち、100μm以下にすることで、モールド樹脂と緩衝材の屈折率の違いによる光の出射方向の偏差を最小にすることができ、さらに中心効率や指向角を最適として、組み立て時のバラツキなどにも耐えられる効率的な光素子用光学デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る要部構成を示す概略断面図である。
【図2】 本発明に用いる発光デバイスにおけるモールド樹脂のクラックの発生部位の説明図である。
【図3】 反射部材の熱収縮による効果の説明図である。
【図4】 モールド樹脂の熱収縮による効果の説明図である。
【図5】 反射部材をモールド樹脂で封止したときにモールド樹脂にかかる応力を説明する図である。
【図6】 反射部材をモールド樹脂で封止したときにモールド樹脂にかかる応力のシミュレーション図である。
【図7】 モールド樹脂のクラック防止用の緩衝材を、反射部材の縁部に設けた場合と緩衝材を設けない場合の光経路の説明図である。
【図8】 本発明における他の実施の形態に係る要部構成を示す概略断面図である。
【図9】 モールド樹脂のクラック防止用の緩衝材を、反射部材の反射面全面に設けた場合における緩衝材の厚みの違いによる光経路の説明図である。
【図10】 反射部材の縁部と中央における緩衝材の厚みの違いによる光経路の説明図である。
【図11】 本発明になる光素子用光学デバイスにおける、クラック防止用の緩衝材の厚さと中心効率の関係を示したグラフである。
【図12】 本発明になる光素子用光学デバイスにおける、クラック防止用の緩衝材の厚さと発光デバイスから出射された光の広がり角の関係を示したグラフである。
【図13】 発光デバイスを別部材とした場合の実施例の説明図である。
【図14】 発光素子をモールド樹脂の光射出面側に設けた実施例の説明図である。
【図15】 本発明の光学装置の製造方法について、発光デバイスを例にとった説明図である。
【図16】 本発明になる光素子用光学デバイスを、アレイ状に配列した発光デバイスアレイの一構成例斜視図である。
【図17】 本発明になる光素子用光学デバイスを、アレイ状に配列した発光デバイスアレイ50の一構成断面図である。
【図18】 本発明になる光素子用光学デバイスを用いたディスプレイ装置の斜視図である。
【図19】 支柱の上に設置された本発明になる光素子用光学デバイスで構成した発光ディスプレイの一例を示す正面図である。
【図20】 図19に示した発光ディスプレイユニットの正面図である。
【図21】 図19に示した発光ディスプレイユニットの側面図である。
【図22】 本発明になる光素子用光学デバイスを使用した信号機の正面図である。
【図23】 本発明になる光素子用光学デバイスを使用した信号機の側面図である。
【図24】 本発明になる光素子用光学デバイスを使用し、車載用ハイマウントストップランプを構成した一例の斜視図である。
【図25】 図24に示した車載用ハイマウントストップランプを構成する発光デバイスの一例である。
【図26】 従来例の発光素子モジュールの断面図である。
【符号の説明】
11 発(受)光素子チップ
12、13 リードフレーム
14 ボンディングワイヤ
15 光反射部材
16 モールド樹脂
17 直接出射領域
18 全反射領域
23 緩衝材

Claims (19)

  1. 光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光素子用光学デバイスであって、
    光を反射させる光反射部材と、
    前記光反射部材の少なくとも光反射面を覆う樹脂部材とからなり、
    前記樹脂部材は、前記光素子前方の所定領域を外れた光をほぼ全反射させる樹脂界面を備え、
    前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記樹脂界面、あるいは前記光反射部材の配置が定められ、
    前記光反射部材の少なくとも一部に、前記樹脂部材より硬度の小さい緩衝材設けられており、
    前記緩衝材が設けられた箇所において、前記光反射部材は前記緩衝材を介して前記樹脂部材と接しており、
    前記緩衝材の厚みは100μm以下であることを特徴とする光素子用光学デバイス。
  2. 前記樹脂部材は、前記光素子前方の所定領域に達した光を出射あるいは集光するレンズ部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の光素子用光学デバイス。
  3. 前記緩衝材は、前記光反射部材と樹脂との熱的収縮、または膨張により発生する応力の集中部に設けたことを特徴とする請求項1に記載の光素子用光学デバイス。
  4. 前記緩衝材は、前記光反射部材の少なくとも光反射側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の光素子用光学デバイス。
  5. 前記緩衝材は、硬度の低い軟質層、または気体、または流体層、または収縮によってできた空洞層であることを特徴とする請求項1に記載の光素子用光学デバイス。
  6. 前記緩衝材は、JISK6249で規定される硬度において、50以下であることを特徴とする請求項1に記載の光素子用光学デバイス。
  7. 前記緩衝材は、一様、または一様に準じる厚みを有することを特徴とする請求項1に記載の光素子用光学デバイス。
  8. 前記緩衝材の厚みは、30μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光素子用光学デバイス。
  9. 請求項1に記載の光素子用光学デバイスを複数個配列させたことを特徴とする光素子用光学デバイスアレイ。
  10. 請求項に記載の光素子用光学デバイスアレイと、光素子を備え、
    前記光素子は、前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように定められた位置に配置されたことを特徴とする光学装置。
  11. 光素子と、
    前記光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光素子用光学デバイスと、
    を備えた光学装置であって、
    前記光素子用光学デバイスは、光を反射させる光反射部材と、前記光反射部材の少なくとも光反射面を覆う樹脂部材とからなり、
    前記樹脂部材は、前記光素子前方の所定領域を外れた光をほぼ全反射させる樹脂界面を備え、
    前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記樹脂界面、あるいは前記光反射部材の配置が定められ、
    前記光反射部材の少なくとも一部に、前記樹脂部材より硬度の小さい緩衝材設けられ ており、
    前記緩衝材が設けられた箇所において、前記光反射部材は前記緩衝材を介して前記樹脂部材と接しており、
    前記緩衝材の厚みは100μm以下であることを特徴とする光学装置。
  12. 前記光素子は、発光素子チップもしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子であることを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
  13. 前記樹脂界面は、前記発光素子から出射される第1の光が全反射される前記樹脂界面上の全反射点と、前記発光素子から出射され前記全反射点よりも前記発光素子に近い前記樹脂界面上の点で全反射される第2の光が前記光反射部材で反射されて外部に出射される際に前記樹脂界面を通過する通過点とが、同一である領域を有していることを特徴とする請求項12に記載の光学装置。
  14. 前記光素子は、受光素子チップもしくは前記受光素子チップをモールド樹脂中に封止した受光素子であることを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
  15. 外部から前記樹脂界面に入射され前記光反射部材で反射した第1の光が前記樹脂界面の全反射点にて全反射されて前記受光素子に入射する光経路と、外部から前記全反射点を通過して前記樹脂界面に入射され前記光反射部材で反射した第2の光が前記樹脂界面にて前記全反射点より前記受光素子に近い点で全反射されて前記受光素子に入射される光経路と、を有することを特徴とする請求項14に記載の光学装置。
  16. 前記光素子は、前記光反射部材の焦点となる位置に対して、前記樹脂界面を介して鏡像となる位置の近傍に配置されたことを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
  17. 光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光素子用光学デバイスの製造方法であって、
    光反射部材に緩衝材を配置する工程と、
    前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、樹脂部材の界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記光反射部材を前記樹脂部材で覆う工程と、
    を有し、
    前記緩衝材の厚みを100μm以下にすることを特徴とする光素子用光学デバイスの製造方法。
  18. 光素子を内部に備え、前記光素子から外部に至る出射光、あるいは外部から前記光素子に至る入射光の光路を制御する光学装置の製造方法であって、
    光反射部材に緩衝材を配置する工程と、
    前記光素子前方の所定領域を外れた光の、前記光素子と前記光学装置の外部とを結ぶ光経路が、樹脂部材の界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように、前記光素子と前記光反射部材を前記樹脂部材で覆う工程と、
    を有し、
    前記緩衝材の厚みを100μm以下にすることを特徴とする光学装置の製造方法。
  19. 発光素子チップもしくは前記発光素子チップをモールド樹脂中に封止した発光素子モジュールからなる発光素子を複数個有し、
    前記発光素子から外部に至る出射光の光路を制御する光素子用光学デバイスを複数個備えた光学機器において、
    光を反射させる光反射部材と、前記光反射部材の少なくとも光反射面を覆う樹脂部材とからなり、
    前記樹脂部材は、前記発光素子前方の所定領域を外れた光をほぼ全反射させる樹脂界面を備え、
    前記発光素子前方の所定領域を外れた光の、前記発光素子と前記光素子用光学デバイスの外部とを結ぶ光経路が、前記樹脂界面と、前記光反射部材の各々で、少なくとも1回以上反射する経路を経由するように前記樹脂界面、あるいは前記光反射部材の配置が定められ、
    前記光反射部材の少なくとも一部に、前記樹脂部材より硬度の小さい緩衝材設けられており、
    前記緩衝材が設けられた箇所において、前記光反射部材は前記緩衝材を介して前記樹脂部材と接しており、
    前記緩衝材の厚みは100μm以下であることを特徴とする光学機器。
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