JP4038371B2 - パネル体の連結装置及び折戸装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二枚のパネル体を屈曲自在に連結するための連結部材、並びに、該連結部材により複数枚のパネル体を連結した折戸装置に関するものである。本発明は、特にクローゼットの折戸として好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、門扉や戸などを壁面などに開閉自在に取り付けるための連結部材として図8に示すような蝶番が広く用いられている。この蝶番100は、取り付け板101,102が連結軸103により連結されたものである。取り付け板101,102は、連結軸103を中心として相対回転可能である。
【0003】
また蝶番100は図10に示すように、クローゼット等の折戸装置105のパネル体106,107を連結するための連結部材としても使用される。この場合、蝶番100の取り付け板101,102は、パネル体106,107の側面に取り付けられる。
クローゼットの折戸装置105を構成するパネル体106,107の内、一方のパネル体106は、その側面寄り上下端に固定軸108を有する。そしてパネル体106は、前記固定軸108により所定の位置に固定され、固定軸108を中心として揺動する。
【0004】
一方、もう一つのパネル体107は、上下端にスライド軸110を有する。パネル体106,107の上方及び下方には、スライド軸110の移動方向を制限するレールが敷設されている。折戸105は、パネル体107がレールに沿ってパネル体106側にスライドし、パネル体106,107を連結している蝶番100が屈曲することで開閉する。
【0005】
また、上記した蝶番100に代わって、図9に示すような蝶番111も、折戸装置105のパネル体106,107を連結する連結部材として使用されている。蝶番111は、左右の蝶番板112,113と、これらの蝶番板112,113の上方に積層される押さえ板115とから構成される。蝶番板112は、板状の取付部116と、取付部116の端部に半円弧状に設けられた歯部117とから構成されている。蝶番板113にも蝶番板112と同様の取付部119と、歯部117と噛合可能な歯部120とが設けられている。
【0006】
蝶番板112,113は、ぞれぞれパネル体106,107の上端および下端に、歯部117と歯部120とが噛合するように取り付けられている。蝶番板112,113は、上方から押さえ板115が積層され、ネジなどにより位置決めされている。
【0007】
上記と同様に、パネル体106は、固定軸108により所定の位置に固定されており、パネル体107は、スライド軸110を有し、スライド軸110およびレール109により移動方向が規制されている。そのため、折戸105は、パネル体107がレール109に沿ってパネル体106側にスライドし、パネル体106とパネル体107との連結部分で屈曲することで開閉する。折戸105の開閉時に、蝶番111の歯部117,116の噛合位置が周方向に順次移動する。そのため、蝶番111を折戸105の上方側および下方側の双方に設ければ、折戸105の上方側と下方側の屈曲角度を略同一とすることができ、スムーズに折戸105を開閉できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した蝶番100,111をパネル体106,107の連結に用いると、折戸105を比較的スムーズに開閉することができる。しかし、折戸105を開状態あるいは閉状態にした場合においても、パネル体106,107は自由に移動できるため、所定の位置に安定して停止させておくことが困難であるという問題がある。
即ち従来技術の折戸装置105は、パネル体106,107を閉状態又は開状態で固定することができないので、図10(c)に示すような中途半端な状態となってしまう。そのため従来技術の折戸装置105は、使い勝手が悪いものであった。
【0009】
また、従来の折戸装置105は、パネル体106,107の突き合わせ側が蝶番100や蝶番111などのみで固定された構造であるため、僅かな衝撃が加わるだけでパネル体が大きく振動してしまうという問題がある。
【0010】
加えて、上記した図8に示す蝶番100は、図10に示すように、パネル体106,107を折り畳んだ際、両者の間に蝶番100の分だけ隙間dができてしまう。パネル体106,107は、パネル体106,107折り畳んだ際にできる隙間dのために開口面積が小さくなり、押入やクローゼットなどの扉として利用した場合は、物品の出し入れが困難となるという問題がある。また、パネル体106,107の開閉時に、これらにより構成されている隙間dに指などを挟みかねないという問題があった。
【0011】
さらに、蝶番100を折戸105の連結装置として用いた場合、パネル体107の端部は、図10(a)中の矢印及び同(b)で示すような軌道を描いて開閉する。即ち、蝶番100を採用した折戸105は、開閉時にパネル体107が一旦蝶番100とは逆側に張出移動してからパネル体106側へと移動する。そのため、折戸105は、開閉時にパネル体106が移動する分だけ、パネル体106と壁面との間に隙間wを設けなければうまく開閉できない。
【0012】
そこで、本発明は、パネル体の開閉をスムーズに行え、開状態あるいは閉状態にした際にパネル体の位置を安定させることができる連結装置、並びに、該連結装置を装着した折戸装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、二枚のパネル体を屈曲可能に連結する連結装置において、本体ケースと、前記各パネル体と連動する一対の嵌合部材と弾性部材とを有し、一対の嵌合部材と前記弾性部材は、共に本体ケースに収納され、前記一対の嵌合部材は互いに周方向の一部で嵌合しており、前記嵌合部材には前記弾性部材が介在しており、前記嵌合部材は前記弾性部材の作用によりスナップ動作して前記パネル体を開閉させることが可能であり、前記嵌合部材は中心に貫通孔を有し、貫通孔には、別途貫通孔が設けられた軸が挿通され、前記連結装置は、軸の貫通孔にネジを挿通してパネル体にねじ込むことで固定されていることを特徴とするパネル体の連結装置である。
【0014】
本発明の連結装置は、パネル体が開状態から閉状態あるいは閉状態から開状態に移行する間に弾性部材によって嵌合部材がスナップ動作し、パネル体が開状態および閉状態で安定する。即ち、前記連結装置の固定部材は、パネル体を開状態とする位置およびパネル体を閉状態とする位置が最も安定している。そのため、本発明の連結装置により連結されたパネル体は、開状態あるいは閉状態を安定して維持できる。さらに、前記連結装置は、多少の衝撃が作用しても開状態あるいは閉状態で安定している。そのため、前記連結装置により連結されたパネル体に衝撃が作用しても、その衝撃の大部分を前記連結装置が吸収し、パネル体の振動を最小限に抑制することができる。
【0015】
また、本発明の連結装置は、パネル体の開閉時に嵌合部材がスナップ動作するものであり、開閉操作時における節度感に富んでいる。そのため、前記連結装置によれば、パネル体の開閉操作が確実に行われたことを実感できる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、各パネル体に固定される一対の固定部材を有し、一対の嵌合部材はそれぞれ前記固定部材と一体的に動作し、弾性部材は一対の嵌合部材の間に介在されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル体の連結装置である。
【0017】
本発明のパネル体の連結装置では、各パネル体に固定される一対の固定部材を有する。そのためパネル体への取付けが容易かつ確実である。
また本発明では、弾性部材は一対の嵌合部材の間に介在されている。そのため嵌合部材のスナップ動作が確実である。
【0018】
請求項3に記載の発明は、弾性部材は、パネル体の開閉の過程においてエネルギーの蓄積及び放出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル体の連結装置である。
【0019】
本発明の連結装置は、パネル体が開状態から閉状態あるいは閉状態から開状態に移行する間に弾性部材に蓄積されるエネルギーによって嵌合部材がスナップ動作し、パネル体が開状態および閉状態で安定する。即ち、前記連結装置により連結されたパネル体を開閉するためには、一対の嵌合部材の間に介在されている弾性部材により発生するエネルギー障壁を越える力を作用させる必要がある。そのため、本発明の連結装置により連結されたパネル体は、開状態あるいは閉状態を安定して維持できる。さらに、前記連結装置は、多少の衝撃が作用しても開状態あるいは閉状態で安定している。そのため、前記連結装置により連結されたパネル体に衝撃が作用しても、その衝撃の大部分を前記連結装置が吸収し、パネル体の振動を最小限に抑制することができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、弾性部材は圧縮バネであり、該圧縮バネの端部は、嵌合部材の中心以外の位置に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパネル体の連結装置である。
【0021】
かかる構成によれば、嵌合部材の回転に伴い、弾性部材である圧縮バネが伸縮し、これにより弾性エネルギーが蓄積あるいは放出される。従って、上記した構成の連結装置によれば、パネル体を確実に開状態あるいは閉状態に維持することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、嵌合部材は歯車であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のパネル体の連結装置である。
【0023】
かかる構成によれば、パネル体の屈曲に連動して嵌合部材がスムーズに回転できるため、パネル体の開閉を容易かつ安定して行うことができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、少なくとも二枚のパネル体を有し、隣接するパネル体は請求項1乃至5のいずれかに記載の連結装置により連結されていることを特徴とする折戸装置である。
【0025】
本発明の折戸装置は、上記した連結装置によりパネル体が連結されたものであるため、嵌合部材のスナップ動作に連動してパネル体が開閉する。よって、本発明の折戸装置は、パネル体が開状態あるいは閉状態が最も安定している。また、上記した連結装置は、多少の衝撃が作用しても開状態あるいは閉状態で安定しているため、パネル体の突き合わせ部分等に衝撃が作用しても、その衝撃の大部分が前記連結装置に吸収され、パネル体はほとんど振動しない。
【0026】
また、本発明の折戸装置は、上記した連結装置を採用したものであるため、パネル体の開閉操作時における節度感に富んでいる。そのため、前記連結装置によれば、パネル体の開閉操作が確実に行われたことを実感でき、開閉操作を心地よく行うことができる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、連結装置は、折戸装置が閉状態の場合におけるパネル体の厚さ方向の中心点を通る略中心軸上で嵌合部材が嵌合するように取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の折戸装置である。
【0028】
かかる構成によれば、パネル体を折り畳み、折戸装置を開状態とした際に、パネル体がほぼ重なり合い、パネル体同士で構成される隙間が小さい。よって、本発明の折戸装置は、開閉時にパネル体の間に指などを挟むおそれがなく、開状態とした際の開口面積を大きく取ることができる。
【0029】
また、本発明の折戸装置は、パネル体の屈曲の中心がパネル体の厚さ方向の略中心点を通る軸上にあるため、開閉時にパネル体が連結装置と逆側に移動しない。そのため、前記折戸装置は、折戸装置が設置される壁面等の被固定体と折戸装置との間に隙間を設けなくてもスムーズに開閉でき、間仕切りを好適に行うことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態である折戸を示す正面図である。図1において、1は本実施形態の折戸であり、2は折戸1に採用されている連結装置である。図2は、図1のX部拡大斜視図である。また、図3は連結装置2の分解斜視図である。図4は、折戸1が閉状態である場合の連結部材2を示す図である。図5は、折戸1が開状態と閉状態との中間の状態である場合の連結部材2を示す正面図である。また、図6は、折戸1が開状態である場合の連結部材2を示す図である。なお、図4〜6において、(a)は正面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【0031】
図1に示すように、折戸1は、二つのパネル体3,5同士を連結装置2で連結して一体化したものである。即ち連結装置2は、後記する様に二つのパネル体3,5の突き合わせ側の天面6,7同士、及び底面8,10に設けられている。
【0032】
パネル体3,5は、主要部が木材製であり、所定の大きさに成形されている。一方のパネル体3の端部には固定軸11が設けられており、これにより折戸1が所定の位置に固定されている。そして折戸1のパネル体3は、当該固定軸11を中心として揺動する。
他方のパネル体5には、スライド軸12が設けられている。スライド軸12は、先端が折戸1の上方及び下方に敷設されているレール13に収納されており、レール13に沿って移動可能である。よって、パネル体5は、スライド軸12およびレール13に案内され、所定の軌跡で移動できる。
【0033】
連結装置2は、図3に示すように本体ケース20の内部に2つの歯車21,22(嵌合部材)を周方向の一部で歯が嵌合するように内蔵したものであり、本体ケース20の外部に歯車21,22と連動する固定片23,24(固定部材)が設けられている。本体ケース20には、貫通孔25,26と、貫通孔25,26と同心で円弧状のガイド孔27,28とが設けられている。また、本体ケース20の下面29は、一部が本体ケース20の内部側に切り起こされており、これにより蓋係止部30,31が形成されている。蓋係止部30,31には、ネジ孔32,33が設けられている。
【0034】
歯車21,22は、本体ケース20の下面29の形状に合わせた切り欠きを有する座板34を介して、本体ケース20内に収納されている。歯車21,22は平歯車であり、中心に貫通孔35,36を有し、その外周側に貫通孔35,36より開口径の小さな貫通孔37,38を有する。また、貫通孔37,38の近傍には、ピン孔40,41が設けられている。
【0035】
歯車21と歯車22とは、周方向の一部で嵌合しており、スナップ機構部42により連結されている。スナップ機構部42は、バネ(弾性部材)43とバネ軸45とバネ軸受46,47とにより構成されている。バネ43にはバネ軸45が挿通されている。バネ軸45の一端はバネ軸受け46の軸孔48に固定されており、他端はバネ軸受け47の軸孔49に挿通されている。バネ軸受け46,47の脚部50,51は、歯車21の貫通孔37,38に上方から挿通され固定されている。歯車21,22のピン孔37,38には、ピン52,53が挿通されている。ピン52,53は、座板34および本体ケース20の下面に設けられたガイド孔27,28を貫通し、固定片23,24にまで達している。また、歯車21,22の貫通孔35,36には、上方から歯車軸54,55が挿通されている。歯車軸54,55は、座板34および本体ケース20の下面に設けられた貫通孔25,26を貫通しており、固定片23,24にまで達している。歯車軸54,55は、上下方向に貫通した貫通孔56,57を有する。
【0036】
本体ケース20の裏面側には、2つの固定片23,24が設けられている。固定片23,24は、連結装置2をパネル体3,5にネジ止めするためのネジ挿通孔58,60と、歯車軸54,55を挿通するための歯車軸挿通孔61,62と、ピン孔63,65とが設けられている。固定片23,24の歯車軸挿通孔61,62には、歯車21,22の上方から挿通され、本体ケース20の裏面側に突出した歯車軸54,55が挿通されている。歯車軸54,55は固定片23,24の裏面側でかしめられている。また、固定片23,24のピン孔63,65には、歯車21,22の上方から挿通されたピン52,53が挿通されている。即ち、歯車21,22は、歯車軸54,55およびピン52,53により、固定片23,24と連動するように接続されている。また、本体ケース20の上方側の開口部には蓋部材66が取り付けられている。
【0037】
連結装置2は、図2に示すようにパネル体3,5の上方側面6,7に跨って取り付けられており、これと同様に下方側面8,10側にも取り付けられている。さらに詳細には、連結装置2は、固定片23,24のネジ挿通孔58,60および歯車軸54,55の貫通孔56,57に上方からネジ67を上方側面6,7にねじ込むことで固定されている。固定片23,24は、それぞれパネル体3,5と連動して屈曲する。
【0038】
続いて、折戸1および連結装置2の動作について説明する。
折戸1は、図1に示すように壁面70の開口部71を塞ぐように取り付けられている。折戸1のパネル体3,5は、上記したように連結装置2により連結されている。パネル体3は、固定軸11が開口部71の上端面72および下端面73に埋め込まれているため、固定軸11を中心として回動できるが、左右方向には移動できない。また、パネル体5のスライド軸12は、開口部71の上端面72および下端面73に敷設されたレール13に嵌め込まれているため、レール13に沿ってのみ動くことができる。よって、パネル体5は、折戸1の開閉操作時に常に一定の軌道で動く。
【0039】
折戸1が閉状態の時、図4に示すように固定片23,24は、パネル体3,5の厚さ方向の中心点を通る略中心軸上において歯車21と歯車22とが噛み合っている。
折戸1が閉状態の場合、歯車21,22の間に配置されているスナップ機構部42のバネ43はやや圧縮された状態となっている。即ち図4に示すように固定片23,24が直線状に並ぶと、ピン52,53が本体ケース20の下面に設けられたガイド孔27,28のガイドエンドに達し、固定片23,24はこれ以上には開かない。そしてバネ43はやや圧縮された状態となっているので、バネ43は固定片23,24同士を開き方向に付勢している。従って、折戸1が閉状態の場合、バネ43はパネル体3,5の二者が一体的な平面を構成する様に付勢している。
【0040】
折戸1を開けるべく、パネル体5に設けられた取手75を開口部71の右端面76側に押すと、パネル体3とパネル体5との連結部が屈曲しはじめ、パネル体3がパネル体5側へと所定の軌道で移動する。図4に示すように、連結装置2の固定片23,24は、パネル体3,5に連動し、歯車軸54,55を中心として図中の矢印R1 の方向に回転を始める。歯車21,22は、固定片23,24と連動して矢印r1 の方向に回転を始める。歯車21,22が回転を始めると、スナップ機構部42のバネ43はバネ軸受け46に挟まれて次第に圧縮され、スナップ機構部42にはこれに基づく弾性エネルギーが蓄積される。
【0041】
さらにパネル5をパネル3側に移動させると、固定片23,24の屈曲角θが徐々に小さくなり、パネル体3,5が重なり合っていく。この時、連結装置2の歯車21,22は、パネル体3,5および固定片23,24の屈曲と連動し、矢印r1 の方向に回転を続ける。固定片23,24の屈曲角θが90°となると、バネ43は最大限圧縮され、スナップ機構部42には大きな弾性エネルギーが蓄積される。さらにパネル体5がパネル体3側に移動し、屈曲角θが90°よりも小さくなると、歯車軸54,55の間隔が広がるため、スナップ機構部42に蓄積された弾性エネルギーが一気に開放され、歯車21,22がスナップ動作する。
【0042】
歯車21,22がスナップ動作すると、それに伴って固定片23,24も屈曲角θが小さくなる方向に屈曲し、パネル体3,5が折り畳まれて折戸1が開状態となる。折戸1が開状態となると、スナップ機構部42のバネ43は、図6に示すように弛緩状態となる。
【0043】
一方、折戸1が開状態である場合、取手75を押すなどしてパネル体5を開口部71の左端面77側に移動させると、パネル体3およびパネル体5が図6中の矢印R2 の方向に回転し、屈曲角θが次第に大きくなって開口部71を覆い始める。そのため、連結装置2の歯車21,22は、パネル体3,5に連動して図6中の矢印r2 の方向に回転する。固定片23,24が回転すると、バネ軸受46,47の間隔が次第に狭くなるため、バネ43が圧縮されスナップ機構部42に弾性エネルギーが蓄積されていく。
【0044】
折戸1を閉状態とすべく、パネル体5をさらに左側面77側へと移動させると、固定片23,24の屈曲角θがさらに大きくなり、折戸1が開口部71の大部分を覆い始める。屈曲角θが90°となると、連結装置2内のバネ43は、図5に示すように最大限圧縮された状態となる。即ち、屈曲角θが90°の時、スナップ機構部42には、最大限の弾性エネルギーが蓄積されている。パネル体5が左側面77側へと移動し、固定片23,24の屈曲角θが90°を越えると、屈曲角θが90°になるまでに蓄積された弾性エネルギーが一度に放出される。スナップ機構部42は、歯車21,22にわたって取り付けられているため、歯車21,22は、放出された弾性エネルギーによって加勢され矢印r2 の方向にスナップ動作する。
【0045】
歯車21,22のスナップ動作に伴い、固定片23、24は矢印R2 の方向に回転し、折戸1を閉状態とする。そしてピン52,53が本体ケース20の下面に設けられたガイド孔27,28のガイドエンドに達し、固定片23,24はこれ以上には開かない。また連結装置2のバネ43は図4に示すように圧縮された状態であるから、パネル体3,5は全体として平面を構成して安定する。
【0046】
上記したように、連結装置2は、折戸1を閉状態あるいは開状態にする中途で、スナップ機構部42において弾性エネルギーの蓄積および放出を行う。即ち、連結装置2は、折戸1を閉閉する過程において、前記した弾性エネルギー分のエネルギー障壁を有する。そのため、連結装置2を備えた折戸1を開状態にするためには、前記したエネルギー障壁を越えるエネルギーをパネル体3,5あるいは連結装置2に付与せねばならない。よって、折戸1は、開状態あるいは閉状態を安定して維持でき、さらにパネル体3,5の突き合わせ部分に衝撃を与えてもパネル体3,5はほとんど振動しない。
【0047】
上記した折戸1において、連結装置2は、折戸1が閉状態の場合にパネル体3,5の厚さ方向の中心点を通る略中心軸上において、歯車21,22が周方向の一部で噛み合うように取り付けられている。そのため、折戸1を開放する場合、パネル体3,5は左端面77側に移動することなく図7に示すような軌跡で折り畳まれる。そのため、連結装置2を採用した折戸1によれば、パネル体3と左側面77との隙間W(図7)をほとんど設ける必要がなく、開口部71を好適に間仕切りできる。
【0048】
また、本実施形態の連結装置2は、折戸1の開閉時にスナップ機構部42が動作し、歯車21,22がスナップ動作するため、折戸1の開閉操作時に節度感を感じることができる。そのため、折戸1は、開閉操作が確実に行われたことを実感でき、心地よく開閉操作を行うことができる。
【0049】
また、連結装置2を採用した折戸1は、開状態の時のパネル体3とパネル体5との隙間d(図9 D)を極めて小さくすることができる。そのため、開口部71の開口面積を大きく取ることができる。
【0050】
上記した実施形態において、連結装置2のスナップ機構部42には弾性部材として圧縮バネを用いたが、弾性部材は圧縮バネに限らず、板バネやゴムなどの他の弾性部材であっても構わない。また、バネ43は、バネ軸受け46,47によって両端が歯車21,22に固定された構造であるが、バネ43は一端のみが歯車21,22のいずれかと固定された構造であってもよい。さらに具体的には、弾性部材として引っ張りバネを採用し、該引っ張りバネの一端を歯車21,22のいずれかに固定し、他端を本体ケース20などの歯車21,22と連動しない部分に取り付けた構成などとしてもよい。即ち、嵌合部材である歯車21,22をスナップ動作させることができる構成であれば、前記弾性部材はいかなるものであってもよい。
【0051】
上記した実施形態において折戸1は、2枚のパネル体3,5を連結装置2で連結したものであったが、さらに複数枚のパネル体を連結装置2で連結したものであってもよい。
【0052】
【発明の効果】
上記したように、本発明の連結装置によりパネル体を連結した折戸装置は、パネル体が開閉する際に、それに連動して嵌合部材がスナップ動作するため、パネル体を開状態あるいは閉状態で安定させることができる。さらに、本発明の連結装置および折戸装置は、パネル体の開閉時における節度感に富んでいるため、開閉操作が確実に行われたことを実感でき、開閉操作を心地よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態である折戸装置を示す正面図である。
【図2】 図1のX部拡大斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態である連結装置の分解斜視図である。
【図4】 (a)は、図1に示す折戸装置が閉状態である場合の要部拡大正面図であり、(b)は同(a)のA−A断面図である。
【図5】 (a)は、図1に示す折戸装置が閉状態と開状態の中間状態である場合の要部拡大正面図であり、(b)は同(a)のA−A断面図である。
【図6】 (a)は、図1に示す折戸装置が開状態である場合の要部拡大正面図であり、(b)は同(a)のA−A断面図である。
【図7】 図1に示す折戸装置の開閉時におけるパネル体の動作を示す動作原理図である。
【図8】 従来の蝶番を示す斜視図である。
【図9】 従来の蝶番を示す正面図である。
【図10】 (a)は、図8に示す蝶番を採用した折戸装置の開閉時におけるパネル体の動作を示す動作原理図、(b)は、(a)の部分拡大図、(c)は従来技術の折戸装置でよく発生すする現象を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 折戸
2 連結装置
3,4 パネル体
20 本体ケース
21 歯車
43 バネ(弾性部材)
Claims (7)
- 二枚のパネル体を屈曲可能に連結する連結装置において、本体ケースと、前記各パネル体と連動する一対の嵌合部材と弾性部材とを有し、一対の嵌合部材と前記弾性部材は、共に本体ケースに収納され、前記一対の嵌合部材は互いに周方向の一部で嵌合しており、前記嵌合部材には前記弾性部材が介在しており、前記嵌合部材は前記弾性部材の作用によりスナップ動作して前記パネル体を開閉させることが可能であり、前記嵌合部材は中心に貫通孔を有し、貫通孔には、別途貫通孔が設けられた軸が挿通され、前記連結装置は、軸の貫通孔にネジを挿通してパネル体にねじ込むことで固定されていることを特徴とするパネル体の連結装置。
- 各パネル体に固定される一対の固定部材を有し、一対の嵌合部材はそれぞれ前記固定部材と一体的に動作し、弾性部材は一対の嵌合部材の間に介在されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル体の連結装置。
- 弾性部材は、パネル体の開閉の過程においてエネルギーの蓄積及び放出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル体の連結装置。
- 弾性部材は圧縮バネであり、該圧縮バネの端部は、嵌合部材の中心以外の位置に固定されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパネル体の連結装置。
- 嵌合部材は歯車であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のパネル体の連結装置。
- 少なくとも二枚のパネル体を有し、隣接するパネル体は請求項1乃至5のいずれかに記載の連結装置により連結されていることを特徴とする折戸装置。
- 連結装置は、折戸装置が閉状態の場合におけるパネル体の厚さ方向の中心点を通る略中心軸上で嵌合部材が嵌合するように取り付けられていることを特徴とする請求項6に記載の折戸装置。
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