JP4037689B2 - 超音波画像処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波ビームにより走査された空間にて得られたエコーデータから超音波画像を生成する超音波画像処理装置に関し、関心部位の識別を容易とすることに関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、超音波ビームの走査により、走査面上や三次元空間に配置されたサンプリング点でのエコーデータを取得する。この二次元的、又は三次元的に配置されたエコーデータ(エコーデータ空間)から超音波画像が生成される。例えば、エコーデータ空間が二次元、すなわち面である場合には、その面に沿ったBモード画像等の断層画像を生成することができる。また、エコーデータ空間が三次元である場合には、ボリュームレンダリング(Volume Rendering)法などを用いて三次元画像を生成することができる。
【0003】
例えば、Bモード画像では、画素近傍の数点でのエコーデータを加重平均した補間値に応じて画素値が定められる。また、三次元画像の生成においては、その画像の各画素に対応して互いに平行な複数の視線が設定され、各視線に沿ったエコーデータを用いて所定の累積演算を行い、画素値が求められる。このように、従来の超音波画像では、エコー信号の振幅情報であるエコーデータに応じてその画素値が定められる。すなわち、基本的にエコーデータ、又は平均演算に基づく補間値や積算演算に基づく値が画素値とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
超音波画像は、生体内部の組織構造を可視化する目的で幅広く用いられている。その目的の1つに肝臓などの実質臓器内に生じ得る腫瘍の診断がある。この診断では、Bモード画像や三次元画像により腫瘍の広がり具合を観察しながら、その良悪性が判断される。
【0005】
ここで、エコー信号は生体内の音響インピーダンスが相異する境界で発生するが、腫瘍と実質臓器とでは音響インピーダンスの相違が比較的小さく、その境界では大きなエコーデータが生じない場合がある。そのため、エコーデータの大きさに応じて画素値を定めて超音波画像を形成する従来の画像処理では、腫瘍と実質臓器とでの画素値の差が小さく、それらを画像上で明確に識別することが難しいという問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、異なる組織領域間で音響インピーダンスの差異が小さい場合においても、それら組織領域を容易に識別可能な超音波画像が得られる超音波画像処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る超音波画像処理装置は、エコーデータ空間内の各エコーデータを対象エコーデータとして、その対象エコーデータごとに、当該対象エコーデータを含む標本空間を設定する標本空間設定手段と、前記対象エコーデータごとに、前記標本空間内の複数のエコーデータを用いて、互いに異なる性質を持った複数の統計量からなる統計量セットを求める統計演算手段と、前記統計量セットに基づいて変換関数を選択し、当該変換関数により前記対象エコーデータを変換して変換エコーデータを生成するエコーデータ変換手段と、前記変換エコーデータを用いて超音波画像を生成する画像生成手段とを有し、前記変換関数は、前記統計量セットに基づいて選択された重み付け係数を乗じる演算であり、前記統計量セットを構成する複数の統計量は、それぞれ、所定の互いに異なる次数nを有するn次積率であり、当該n次積率には、前記標本空間内の前記エコーデータの標準偏差値が含まれ、前記標準偏差値が小さい場合よりも前記標準偏差値が大きい場合における重み付け係数を小さくしてエコーデータのばらつきの幅を圧縮し、前記n次積率には、標準偏差値に加え、前記標本空間内の前記エコーデータの平均値が含まれ、平均値と標準偏差値が共に比較的小さい血管に対して他の部位よりも小さな重み付け係数を選択し、血管に対応するエコーデータに当該小さな重み付け係数を乗じた後にエコーデータの大小関係を反転して前記変換エコーデータを生成することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、対象エコーデータに対応した標本空間内の複数のエコーデータから得られる統計量セットに応じて変換関数が選択される。そして、各対象エコーデータに対して選択された変換関数で当該対象エコーデータを変換して変換エコーデータが生成される。例えば、ある2つの対象エコーデータが同じ値であっても、統計量セットを構成する統計量の値がそれら対象エコーデータで相違する場合には、互いに異なる変換関数が割り当てられ、互いに異なる変換エコーデータが得られる。変換関数は、識別したい組織の統計的性質に対応してあらかじめ定められる。このように、識別したい組織間でのエコーデータの相違が小さい場合であっても、比較的大きな差異を有する変換エコーデータを用いて画素値が定められ、超音波画像が生成される。
【0009】
本発明の好適な態様は、前記変換関数が、前記統計量セットに基づいて選択された重み付け係数を乗じる演算である超音波画像処理装置である。
【0010】
本発明の他の好適な態様は、前記統計量セットを構成する複数の統計量がそれぞれ、所定の互いに異なる次数nを有するn次積率である超音波画像処理装置である。
【0011】
本発明の別の好適な態様は、前記n次積率が、前記標本空間内の前記エコーデータの平均及び分散である超音波画像処理装置である。
【0012】
本発明のさらに別の好適な態様は、前記標本空間が、中央部に前記対象エコーデータを有する超音波画像処理装置である。
【0013】
他の本発明に係る超音波画像処理装置は、三次元空間に配列された各ボクセルでのエコーデータに対し、視線に沿った演算を行い、前記視線に対応する画素の画素値を求めるものであって、前記各ボクセルを対象ボクセルとして、その対象ボクセルごとに、当該対象ボクセルを含み前記視線方向に一列に並んだ複数のボクセルからなる標本空間を設定する標本空間設定手段と、前記対象ボクセルごとに、前記標本空間内の複数のボクセルのエコーデータを用いて、互いに異なる性質を持った複数の統計量からなる統計量セットを求める統計演算手段と、前記統計量セットに基づいて変換関数を選択し、当該変換関数により前記対象ボクセルのエコーデータを変換して変換エコーデータを生成するエコーデータ変換手段と、前記変換エコーデータを用いて前記画素値を求め超音波画像を生成する画像生成手段とを有し、前記変換関数は、前記統計量セットに基づいて選択された重み付け係数を乗じる演算であり、前記統計量セットを構成する複数の統計量は、それぞれ、所定の互いに異なる次数nを有するn次積率であり、当該n次積率には、前記標本空間内の前記エコーデータの標準偏差値が含まれ、前記標準偏差値が小さい場合よりも前記標準偏差値が大きい場合における重み付け係数を小さくしてエコーデータのばらつきの幅を圧縮し、前記n次積率には、標準偏差値に加え、前記標本空間内の前記エコーデータの平均値が含まれ、平均値と標準偏差値が共に比較的小さい血管に対して他の部位よりも小さな重み付け係数を選択し、血管に対応するエコーデータに当該小さな重み付け係数を乗じた後にエコーデータの大小関係を反転して前記変換エコーデータを生成することを特徴とする。
【0014】
この場合にはエコーデータ空間は三次元空間であり、その中に設定される複数の視線に沿って画素値を定める演算が行われる。本発明によれば、その視線に沿って並んだエコーデータ列の一部分が標本空間とされる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態である超音波診断装置について図面を参照して説明する。本装置は、三次元空間にてエコーデータを取得し、視線に沿ってレンダリング処理を行い三次元画像を生成し表示することができる。
【0016】
図1は、エコーデータが得られる三次元空間と、視線及び投影面と、複数の統計量が求められる標本空間であるカーネルとを示す模式図である。
【0017】
エコーデータが得られる三次元空間2はボクセルに分割され、各ボクセルにエコーデータが割り付けられる。また、三次元空間2には、投影面4に形成される画像の各画素6に対応して平行な視線8が複数本、設定される。各ボクセルを対象ボクセルとして、その対象ボクセルごとにカーネル10が設定される。カーネル10は、例えば、高さ、幅、奥行き方向にそれぞれボクセルがNx,Ny,Nz個並んだ直方体形状であり、奥行き方向zが視線方向に一致する。カーネル10は、統計量を算出するために複数のボクセルを内包し、また一般にはカーネル10は、そのうちの所定位置、例えば中央のボクセルが対象ボクセルとなるように設定される。以下の説明では、処理を簡単とするためにNx=Ny=1、すなわち、カーネル10は視線8に沿って一列に並んだ複数個のボクセルで構成されるものとする。
【0018】
カーネル10内の複数のエコーデータから、互いに異なる性質を持った複数の統計量からなる統計量セットが求められる。そして、あらかじめ用意された複数の変換関数のいずれかが、統計量セットに基づいて選択され、対象ボクセルのエコーデータはその選択された変換関数により変換され、変換エコーデータが生成される。
【0019】
三次元画像のレンダリングでは、視線に沿ったレイキャスティング等の演算処理により画素6の画素値が決定される。この画素値を求める演算処理では通常、エコーデータが視線方向の位置(深さ)に応じて重み付けされ、視線方向に積算される。本装置では、この画素値を求める演算は変換エコーデータを用いて行われる。すなわち、画素値には、積算処理における深さに応じた重み付けとは別に、上述の統計量セットに応じた変換がさらに加味され反映される。
【0020】
図2は、本発明の実施形態である超音波診断装置の概略のブロック構成図である。超音波探触子20は、例えばリニアアレイ型の超音波振動子を有し、その超音波振動子を電子走査(リニア走査、セクタ走査)することによって、走査面が形成される。この走査面を当該面の法線方向へ例えば機械的に走査することによって、三次元空間でのエコーデータが取得される。ここで、超音波探触子20の機械的な走査は図示しない駆動部によって行われている。
【0021】
送受信部22は超音波探触子20に対して送信信号を供給すると共に、超音波探触子20から出力された受信信号を処理するものである。その送受信部22は受信信号をデジタル信号(エコーデータ)に変換した後に、データメモリ部24へ出力する。
【0022】
データメモリ部24は、次に説明する前処理部26での処理で用いられるエコーデータを一時的に保持するためのメモリであり、例えば三次元のエコーデータ空間を格納可能に構成される。
【0023】
前処理部26は、エコーデータから、上述した変換エコーデータを求める処理を行う。その詳細は後述する。
【0024】
カーネルサイズ発生部28は、ユーザがトラックボール等の入力機器30を操作して指定した値Nを受けて、これをカーネルの透視線方向のサイズNzとして前処理部26に設定する。すなわちNz=Nに設定される。
【0025】
濃度変換部32は、基本的には輝度反転処理を行う。例えば、血管はエコー強度がかなり小さく、そのまま表示すると、画像上暗くなり見にくい。また、単純に、エコーデータを増倍する変換ではノイズまで増幅される。そこで、そのようなエコーデータが小さい部分に関心がある場合に、濃度変換部32は、所定の基準レベルEsを用いて、例えば次式で表される処理を行い、エコーデータの大小関係を反転させる。ここで、Eoは前処理部26から出力された変換エコーデータ、Erは反転処理後のエコーデータを表す。
【0026】
【数1】
Er = Es−Eo ………(1)
三次元データメモリ部34は、濃度変換部32から出力される反転処理後のエコーデータを保持するためのメモリであり、三次元のエコーデータ空間を格納可能に構成される。
【0027】
三次元データレンダリング演算部36は、三次元データメモリ部34に格納されたエコーデータを用いて、各視線に対するレイキャスティング処理等のレンダリング処理を行って、当該視線に対応する画素値を算出する。
【0028】
フレームバッファメモリ38は、三次元データレンダリング演算部36で算出された各画素値を格納する。その結果、フレームバッファメモリ38には、1枚分の三次元画像の画像データが格納される。
【0029】
フレームバッファメモリ38から読み出された画像データは表示部40に表示される。
【0030】
以上、各部の動作は制御部42により制御される。例えば、制御部42は送受信部22に対して送信同期信号、またデータメモリ部24にはエコーデータの読み出し/書き込みを制御するR/W信号を供給する。また、制御部42は、データメモリ部24からのエコーデータの読み出し動作に同期して、前処理部26の内部動作のタイミング制御を行う。さらに、制御部42は、三次元データメモリ部34に三次元のエコーデータ空間に対応するデータが格納されると、三次元データレンダリング演算部36に対して演算開始信号を与える。
【0031】
次に、本発明の主要な特徴を有する前処理部26をより詳細に説明する。図3が、前処理部26のブロック構成図である。制御部42は、データメモリ部24から視線に沿って順次、エコーデータを読み出す。このエコーデータが前処理部26の統計演算部50及び遅延時間部52に入力される。
【0032】
統計演算部50は、処理対象とされるエコーデータ(対象エコーデータ)に対して、カーネルサイズ発生部28により指定されるサイズのカーネルを設定する。ここではカーネルは視線に沿って一列に並ぶN個のエコーデータであり、対象エコーデータがその中央に位置するように設定される。統計演算部50は、互いに異なる複数の統計量として、カーネル内に含まれるN個のエコーデータについて次数の異なるn次積率を計算し、それらを統計量セットとして出力する。ここでは統計量セットを構成するn次積率として、平均値M(次数n=1に相当)及び標準偏差値S(次数n=2に相当)が計算される。
【0033】
乗算係数選択部54は、統計演算部50から与えられる統計量セットに基づいて、乗算係数を選択する。例えば、乗算係数選択部54は、平均値Mと標準偏差値Sとをパラメータとし、乗算係数を割り当てる二次元のテーブルであり、例えばメモリを用いて構成される。
【0034】
乗算部56は、遅延時間部52から順次出力されるエコーデータに、乗算係数選択部54にて選択された乗算係数を乗じて、その乗算結果を出力する。この出力が前処理部26の出力である変換エコーデータとなる。なお、本装置において、前処理部26に入力されたエコーデータに対する変換関数は、入力データに係数を乗じた値を求めるものであり、乗算係数選択部54がその係数を選択することにより、当該変換関数が具体的に選択されることとなる。
【0035】
遅延時間部52は、統計演算部50及び乗算係数選択部54での処理時間に応じた遅延を発生させる。すなわち、乗算部56では、遅延時間部52から入力されるエコーデータに、当該エコーデータを対象エコーデータとして統計演算部50及び乗算係数選択部54にて決定された乗算係数が乗じられる。
【0036】
図4は、統計演算部50の概略のブロック構成図である。統計演算部50は、データメモリ部24から入力されたエコーデータを順次、シフトレジスタ60に入力する。入力されたエコーデータはシフトレジスタ60内を順送りされる。シフトレジスタ60に保持される所定個数のエコーデータのうち、カーネルサイズで指定されたN個の連続するデータ(e1,e2,…,eNと表す)が、平均演算部62及び標準偏差演算部64に読み出されて、それらN個のエコーデータに基づいて平均値M及び標準偏差値Sが計算される。平均演算部62は、シフトレジスタ60から読み出されたエコーデータを加算回路70で合計した後、この合計値を除算回路72にて加算されたデータ数Nで除算して、次式で表される平均値Mを出力する。
【0037】
【数2】
Figure 0004037689
標準偏差演算部64では、シフトレジスタ60から読み出されたデータそれぞれが合成回路80にて平均値Mを減算された後、その差分値が乗算回路82にて二乗される。さらに、それら各二乗値を加算回路84で合計し、この合計値を除算回路86にてデータ数Nで除算した後、平方根演算回路88にて平方根を求め、次式で表される標準偏差値Sを出力する。
【0038】
【数3】
Figure 0004037689
なお、標準偏差値Sとして、次式で表される簡易計算式による値を求めるように標準偏差演算部64を構成してもよい。
【0039】
【数4】
Figure 0004037689
図5は、乗算係数選択部54での処理の一例を説明する模式図である。この図は、乗算係数選択部54を、平均値Mと標準偏差値Sとをパラメータとした二次元のルックアップテーブル(LUT)90として構成した場合の当該テーブルの概念図でもある。ここで、平均値M及び標準偏差値Sそれぞれは複数の範囲に区分され、それらM及びSの範囲に基づいてM−S平面が格子状に区分される。図5に示す例では、M及びSそれぞれが2つの範囲に区分され、M−S平面が4つの格子領域92-1〜92-4に区分される。これら各格子領域92-1〜92-4にそれぞれ乗算係数が設定される。ちなみに、この例では、Mは値“110”を境界として2つの範囲に区分され、Sは値“50”を境界として2つの範囲に区分されている。
【0040】
図5は、例えば、肝臓などの実質臓器内に生じた腫瘍及び血管を他の部位と識別容易に表示する場合に対応している。腫瘍は、実質臓器と同様、比較的大きな平均値Mを生じる点で類似するが、実質臓器より大きな標準偏差値Sとなるといった差異を有し得る。この場合には、実質臓器に設定されたカーネルから得られる統計量セットは、Mが大きくSが小さい領域92-1に属し、一方、腫瘍は当該領域92-1よりSが大きな領域92-2に属すると考えられる。よって、領域92-1に設定される乗算係数“1”に対し、腫瘍に対応する領域92-2には相対的に小さい乗算係数“0.5”が設定される。
【0041】
もう1つの関心部位である血管の内部は血液であり、これは一様な液体であるので、実質臓器に比べて平均値Mが小さくなり、また標準偏差値Sは実質臓器と程度の小さな値を取る。つまり、血管が占める領域に設定されたカーネルから得られる統計量セットは、M,S共に小さい領域92-3に属すると考えられる。よって、領域92-1に設定される乗算係数“1”に対し、血管に対応する領域92-3には相対的に小さい乗算係数“0”が設定される。
【0042】
また領域92-4も実質臓器以外の部位が属すると考えられ、領域92-1に設定される乗算係数“1”よりも相対的に小さい乗算係数、例えば“0.5”が設定される。
【0043】
以上のように腫瘍及び血管が属する領域92-2,92-3に、実質臓器が属する領域92-1より小さい乗算係数を割り当てることにより、前処理部26から出力される変換エコーデータは、実質臓器より腫瘍、血管において比較的小さな値を取り得る。しかし、濃度変換部32での反転処理により、三次元データメモリ部34に格納される値は、実質臓器より腫瘍、血管において比較的大きな値となり、画像上で関心部位である腫瘍及び臓器が実質臓器より明るく表示される。
【0044】
なお、標準偏差値Sが大きい領域92-2に属する部位ではエコーデータの標準偏差、すなわちばらつきが大きいが、その領域92-2の乗算係数を領域92-1の乗算係数より小さくすることで、そのエコーデータのばらつきの幅が圧縮がされる。これにより領域92-2に属する関心部位である腫瘍が、ざらつきの低減された見やすい画質で表示される。また、領域92-3に関しては、大きな乗算係数をエコーデータに乗じて直接、明るい輝度値に対応した変換エコーデータを生成すると、ノイズまでも増幅されてしまい画質が劣化する。これに対して、小さい乗算係数を乗じた後、反転して明るい輝度値に対応するデータを生成する本装置の構成は、関心部位である血管が明るいだけでなく、ノイズの少ない良好な画質で表示される。
【0045】
図6は、上述した前処理部26の処理フロー図である。ユーザはトラックボール等の入力機器30を操作してカーネルサイズを指定する(S100)。統計演算部50は、各視線に対する初期状態として、その視線に沿ったエコーデータ列の先頭にカーネルを位置させる(S105)。統計演算部50は、設定したカーネル内のエコーデータの平均値M及び標準偏差値Sを計算する(S110)。得られたM及びSに基づいて、乗算係数選択部54は1つの乗算係数を選択する。遅延時間部52は、乗算係数選択部54からの乗算係数の出力タイミングに合わせて、その乗算係数に対応するカーネル内の対象エコーデータを乗算部56へ出力する。乗算部56では、この対象エコーデータと乗算係数とが乗じられる(S115)。その乗算結果が変換エコーデータとして前処理部26から出力される(S120)。
【0046】
統計演算部50は視線に沿ってカーネルを順に移動させ(S125)、上記ステップS110〜S120が繰り返される。カーネルがある視線の終わりまで移動すると(S130)、視線を移動させ(S135)、以上のステップS105〜S130が全ての視線について繰り返される(S140)。
【0047】
図7は、前処理部26及び濃度変換部32での処理例を示すエコーデータの模式図である。図において、縦軸がデータ値E、横軸が視線上での位置を表す。図7(a)は、データメモリ部24から読み出されるエコーデータを表し、実質臓器に対応し、エコーデータのばらつきが比較的小さい(例えばS=40の)実質臓器区間200、腫瘍に対応し、エコーデータのばらつきが比較的大きい(例えばS=80の)腫瘍区間202及び、血管に対応し、エコーデータが小さい血管区間204を含んでいる。ここで、実質臓器区間200と腫瘍区間202とはエコーデータの平均値が同程度(例えばそれぞれM=120,100)である。
【0048】
図7(b)は、図5に示す乗算係数を乗じて得られた前処理部26の出力でのエコーデータ((1)式におけるEo)を表す。前処理部26での変換により、腫瘍区間202の平均値は実質臓器区間200の半分程度(例えばM=50)となる。また腫瘍区間202でのエコーデータのばらつきが半分に低減される(例えばS=40となる)。血管区間204のエコーデータは0とされる。
【0049】
前処理部26の出力に対し、濃度変換部32は、実質臓器区間200でのエコーデータの平均値付近に設定する基準レベルEs(図7(b)の水平の点線210)に基づいて(1)式による反転演算を行い、(1)式におけるErを出力する。図7(c)は、濃度変換部32の出力値Erを表す。反転することにより、実質臓器区間200より腫瘍区間202及び血管区間204でのデータが大きくなり、これを用いて関心部位の腫瘍及び血管が明るく見やすく表示される。
【0050】
【発明の効果】
本発明の超音波画像処理装置によれば、エコーデータそのものでは区別しにくい被検体内の異なる領域が、それら領域でのエコーデータの統計量セットの相違に基づいて、超音波画像上にて識別容易に表示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エコーデータが得られる三次元空間と、視線及び投影面と、複数の統計量が求められる標本空間であるカーネルとを示す模式図である。
【図2】 本発明の実施形態である超音波診断装置の概略のブロック構成図である。
【図3】 前処理部の概略のブロック構成図である。
【図4】 統計演算部の概略のブロック構成図である。
【図5】 乗算係数選択部での処理の一例を説明する模式図である。
【図6】 前処理部での処理の概略のフロー図である。
【図7】 前処理部及び濃度変換部での処理例を示すエコーデータの模式図である。
【符号の説明】
20 超音波探触子、22 送受信部、24 データメモリ部、26 前処理部、28 カーネルサイズ発生部、30 入力機器、32 濃度変換部、34 三次元データメモリ部、36 三次元データレンダリング演算部、38 フレームバッファメモリ、40 表示部、50 統計演算部、52 遅延時間部、54乗算係数選択部、56 乗算部。

Claims (3)

  1. エコーデータ空間内の各エコーデータを対象エコーデータとして、その対象エコーデータごとに、当該対象エコーデータを含む標本空間を設定する標本空間設定手段と、
    前記対象エコーデータごとに、前記標本空間内の複数のエコーデータを用いて、互いに異なる性質を持った複数の統計量からなる統計量セットを求める統計演算手段と、
    前記統計量セットに基づいて変換関数を選択し、当該変換関数により前記対象エコーデータを変換して変換エコーデータを生成するエコーデータ変換手段と、
    前記変換エコーデータを用いて超音波画像を生成する画像生成手段と、
    を有し、
    前記変換関数は、前記統計量セットに基づいて選択された重み付け係数を乗じる演算であり、
    前記統計量セットを構成する複数の統計量は、それぞれ、所定の互いに異なる次数nを有するn次積率であり、当該n次積率には、前記標本空間内の前記エコーデータの標準偏差値が含まれ、
    前記標準偏差値が小さい場合よりも前記標準偏差値が大きい場合における重み付け係数を小さくしてエコーデータのばらつきの幅を圧縮し、
    前記n次積率には、標準偏差値に加え、前記標本空間内の前記エコーデータの平均値が含まれ、
    平均値と標準偏差値が共に比較的小さい血管に対して他の部位よりも小さな重み付け係数を選択し、血管に対応するエコーデータに当該小さな重み付け係数を乗じた後にエコーデータの大小関係を反転して前記変換エコーデータを生成する、
    ことを特徴とする超音波画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の超音波画像処理装置において、
    前記標本空間は、中央部に前記対象エコーデータを有することを特徴とする超音波画像処理装置。
  3. 三次元空間に配列された各ボクセルでのエコーデータに対し、視線に沿った演算を行い、前記視線に対応する画素の画素値を求める超音波画像処理装置において、
    前記各ボクセルを対象ボクセルとして、その対象ボクセルごとに、当該対象ボクセルを含み前記視線方向に一列に並んだ複数のボクセルからなる標本空間を設定する標本空間設定手段と、
    前記対象ボクセルごとに、前記標本空間内の複数のボクセルのエコーデータを用いて、互いに異なる性質を持った複数の統計量からなる統計量セットを求める統計演算手段と、
    前記統計量セットに基づいて変換関数を選択し、当該変換関数により前記対象ボクセルのエコーデータを変換して変換エコーデータを生成するエコーデータ変換手段と、
    前記変換エコーデータを用いて前記画素値を求め超音波画像を生成する画像生成手段と、
    を有し、
    前記変換関数は、前記統計量セットに基づいて選択された重み付け係数を乗じる演算であり、
    前記統計量セットを構成する複数の統計量は、それぞれ、所定の互いに異なる次数nを有するn次積率であり、当該n次積率には、前記標本空間内の前記エコーデータの標準偏差値が含まれ、
    前記標準偏差値が小さい場合よりも前記標準偏差値が大きい場合における重み付け係数を小さくしてエコーデータのばらつきの幅を圧縮し、
    前記n次積率には、標準偏差値に加え、前記標本空間内の前記エコーデータの平均値が含まれ、
    平均値と標準偏差値が共に比較的小さい血管に対して他の部位よりも小さな重み付け係数を選択し、血管に対応するエコーデータに当該小さな重み付け係数を乗じた後にエコー データの大小関係を反転して前記変換エコーデータを生成する、
    ことを特徴とする超音波画像処理装置。
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