JP4037352B2 - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents
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Description
この種の内燃機関の吸気装置は、吸気集合管にバタフライ弁を設けた吸気装置と比較して、バタフライ弁を各吸気管にそれぞれ配置することで、バタフライ弁と各シリンダの吸気弁との間の吸気管内の独立吸気管容積が減少し、またその独立吸気管容積が吸気管毎に独立性を持つため、吸気行程終了後の吸気管内の前記容積内の圧力回復が早まる。そのため、ポンプ損失の低減効果が著しく、燃費効率が向上する。
また、独立吸気管容積が最適空間容積以上の場合でも、最適空間容積分だけの空気が独立吸気管内に供給されるため独立吸気管内の圧力が大気圧よりも始めから低下するため、吸気行程開始時から大気圧であるクランク側との間で、ピストンの下動を妨げる差圧が生じる結果、ポンプ損失が増大してしまう。
従って、ポンプ損失を低減するためには、独立吸気管容積を最適空間容積で運転する必要性があるが、この最適空間容積は内燃機関の運転状態で変化するので、独立吸気管容積が、吸気管内に取り付けられたバタフライ弁の位置で定められた内燃機関の吸気装置では、ある運転状況によりポンプ損失の低減効果が大きくなったり小さくなったりして、常に最適なポンプ損失低減効果を得ることは困難であり、ある運転条件下でしか高いポンプ損失の低減効果が得られないという問題点があった。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の内燃機関の吸気装置(以下、吸気装置と呼ぶ)の構成図である。
この吸気装置は、吸気集合管(図示せず)と、この吸気集合管に一端部が接続され他端部が各シリンダ1にそれぞれ接続された複数個の吸気管3と、各吸気管3にそれぞれ設けられ、吸気集合管から吸気管3を通じてシリンダ1に設けられた吸気弁2を通ってシリンダ1内に供給する空気量を制御する制御弁であるバタフライ弁4と、このバタフライ弁4と吸気弁2との間で吸気管3に連通して設けられバタフライ弁4と吸気弁2との間での空間容積を調整可能にした空間容積調整手段5と、各吸気管3にそれぞれ設けられた空間容積調整手段5を駆動させる駆動装置10と、この駆動装置10を駆動制御するコントロールユニット11と、バタフライ弁4の上流側で吸気管3に取り付けられた流量センサ12と、コントロールユニット11に接続された機関回転数センサ13とを備えている。
空間容積調整手段5は、空気孔9を有する円筒形状のケース6と、このケース6の中心軸線に沿って延びた回動軸7と、この回動軸7に固定され回動軸7の回動とともに回動する可動板8とを備えている。ケース6の内壁面と可動板8の先端面との間には両者間での気密性を確保するための潤滑油が施されている。なお、ケースの形状は、円筒形状に限定されるものではなく、例えば球状であってもよい。
なお、符号14は燃料噴射弁、15は排気弁、16はシリンダ1内を上下動するピストン、17はピストン16に連結されたクランクである。
決定された最適空間容積値を基にコントロールユニット11から駆動装置10に空間容積制御信号が送られ、駆動装置10が回動軸7を駆動することで、可動板8は、図1中のポイントA、B間の矢印イで示される運動により目標位置まで移動する。因みに、ポイントBは、アイドル運転時において最適空間容積となる位置である。
可動板8の回動に際しては、ケース6の空気孔9を通じてケース6の外部の空気と呼吸し、可動板8は円滑に回動する。
なお、吸気弁2が開いている時に可動板8を移動させると、バタフライ弁4で調節した吸気量よりも多い、又は少ない吸気量がシリンダ1内に流入してしまうため、吸気量制御が困難となる。そのため、吸気弁2が閉じている時に可動板8を回動させてケース6内の容積を変更することで、可動板8の回動による各シリンダ1への空気の吸気量の影響を防止している。
また、空間容積がそれぞれ独立に変えることができるので、これにより各シリンダ1間の吸気量のバラツキに対しても各吸気管3毎にそれぞれ独立した最適空間容積に変えることが可能となり、またレイアウトの自由度が高い。
また、例えば4シリンダの内燃機関において2シリンダ分の可動板を一本の回動軸で連結したときには、二つの吸気管の空間容積を連動して一度に可変とすることができるので、可動板を回動させるための駆動装置を減らすことができ、低コスト化を図ることができる。
また、流量センサ12は、各シリンダ1への吸気量が等しいときには、吸気集合管の上流に単数だけ設置してもよい。
図3はこの発明の実施の形態2の吸気装置の空間容積調整手段20の要部構成図である。
この空間容積調整手段20は、吸気管3に連結されているとともに空気孔23を有する円筒形状のケース21と、このケース21内を上下に摺動可能な可動板22と、先端部がこの可動板22に固定され軸線方向に伸縮可能な可変長ロッド24と、この可変長ロッド24の基端部が固定され可変長ロッド24を伸縮させる駆動装置25とを備えている。ケース21の内壁面と可動板22の外周端面との間には、両者間の気密性を確保するための潤滑剤が施されている。
なお、ケース21は、中空である四角柱形状であってもよい。
即ち、例えば幅寸法Wを長くし、高さ寸法Hを短くすることで、可動板22の単位移動長さに対する吸気管3に導通する側のケース21の容積変化率が大きくなって応答性が高くなるが、可変容積精度は低くなる。これに対して、高さ寸法Hを長くし、幅寸法Wを短くすると可変容積精度は高くなるが、容積変化の応答性は低くなる。
これにより内燃機関のコンセプトに従って可変容積精度と容積変化の応答性のどちらをより重視するかをレイアウトの許す範囲で自由に設定可能となる。
図4はこの発明の実施の形態3の吸気装置の空間容積調整手段30の要部構成図である。
この空間容積調整手段30は、吸気管31のうち、バタフライ弁4と吸気弁2との間で径方向に突出して形成された突出拡大部32と、この突出拡大部32内に設けられた支持部材33と、この支持部材33に180度回動可能に設けられた一対の円板状の切替弁34、35とを備えている。
この結果、図5(a)、(b)、(c)に示すように、空間容積調整手段30の空間容積は3パターンに切り替えられる。
図5(a)は切替弁34、35が支持部材33の受け部33aに収まっているときの図であり、図5(b)は切替弁34、35が受け部33aから離れ90度回動して突出拡大部32の内部空間を塞いでいるときの図である。また、図5(c)は切替弁34、35が受け部33aから離れ180度回動してときの図である。
また、切替弁34、35を制御するためにコントロールユニット11から発信される切替弁制御信号は3パターンで、切替弁34、35に同信号を送信して制御することが可能であるので、実施の形態1および2と比較して非常に簡単な制御でよい。
なお、空間容積調整手段30をバタフライ弁4と吸気弁2との間に複数設置することで空間容積の切替パターンを増加させることができる。
図6はこの発明の実施の形態4の吸気装置の要部構成図である。
この吸気装置は、吸気管3内に制御弁である第1のバタフライ弁41、第2のバタフライ弁42および第3のバタフライ弁43が設けられている。
この実施の形態では、第2のバタフライ弁42および第3のバタフライ弁43の開度を全開とすることで、作動制御弁である第1のバタフライ弁41と吸気弁2との間の吸気管3内の空間容積が独立吸気管容積となる。同様にして第1のバタフライ弁41および第3のバタフライ弁43の開度を全開とすることで、作動制御弁である第2のバタフライ弁41と吸気弁2との間の吸気管3内の空間容積が独立吸気管容積となる。また、第1のバタフライ弁41および第2のバタフライ弁42の開度を全開とすることで、作動制御弁である第3のバタフライ弁43と吸気弁2との間の吸気管3内の空間容積が独立吸気管容積となる。第3のバタフライ弁43は、その設置位置により最小となる独立吸気管容積を決定することになり、アイドル運転時の最適空間容積となる位置となる。
また、内燃機関の運転状態の大部分が数パターンの空間容積パターンで高いポンプ損失低減効果を得られる場合や、例えばポンプ損失の大きな低負荷領域の空間容積制御を重視する場合での利用が期待でき、実施の形態1、2とほぼ同等もしくはそれに近いポンプ損失低減効果を、より低コストでかつ簡単な制御で得ることができる。
また、バタフライ弁の設置数を増加させることで、空間容積の切替パターンを増加させることができる。
なお、上記各実施の形態では、自動車の内燃機関について説明したが、例えば船外機の内燃機関の吸気装置であってもよい。
また、制御弁としてバタフライ弁について説明したが、これ以外の開閉弁であってもよい。
Claims (11)
- 吸気集合管と、
この吸気集合管に一端部が接続され他端部が各シリンダにそれぞれ接続された複数個の吸気管と、
各前記吸気管にそれぞれ設けられ、前記吸気集合管から吸気管を通じて前記シリンダに設けられた吸気弁を通ってシリンダ内に供給される空気量を制御する制御弁と、
この制御弁と前記吸気弁との間で前記吸気管に連通して設けられ、制御弁と吸気弁との間の空間容積を吸気量及び機関回転数から算出される各前記シリンダの空気の充填効率に応じて制御弁と吸気弁との間の空間容積が一定である内燃機関の吸気装置と比較したときのポンプ損失の低減効果が最大となるよう調整する空間容積調整手段と
を備えた内燃機関の吸気装置。 - 前記空間容積調整手段は、各前記吸気管と連通したケースと、このケースの中心軸線に沿って延びた回動軸と、この回動軸に固定され回動軸の回動とともに前記空間容積を変動させる可動板と、前記回動軸を駆動させる駆動手段とを備えている請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
- 1つの前記回動軸には、複数個の前記可動板が固定されており、回動軸の回動に連動して複数の前記空間容積が変動するようになっている請求項2に記載の内燃機関の吸気装置。
- 前記空間容積調整手段は、各前記吸気管と連通したケースと、このケース内に往復摺動可能に設けられ前記空間容積を変動させる可動板と、先端部がこの可動板に固定され軸線方向に伸縮可能な可変長ロッドと、この可変長ロッドの基端部が固定され可変長ロッドを伸縮させる駆動手段とを備えている請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
- 前記ケースには、前記可動板の作動に応じて外部の空気と呼吸するための空気孔が形成されている請求項2ないし4の何れか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
- 前記空間容積調整手段は、前記吸気管に径方向に突出して設けられた突出拡大部と、この突出拡大部内に設けられた支持部材と、この支持部材に180度回動可能に設けられ前記空間容積を変動させる一対の切替弁とを備えている請求項1に記載の内燃機関の吸気装置。
- 前記空間容積調整手段は、それぞれの前記吸気管に個別に設けられている請求項1、2、4ないし6の何れか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
- 各前記シリンダの前記充填効率の増加に従い、前記空間容積を増加させる信号を前記空間容積調整手段に送るコントロールユニットを備えている請求項1ないし7の何れか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
- 吸気集合管と、
この吸気集合管に一端部が接続され他端部が各シリンダにそれぞれ接続された複数個の吸気管と、
各前記吸気管にそれぞれ複数個ずつ間隔を空けて設けられた制御弁とを備え、
複数の前記制御弁のうち、選択されなかった制御弁は全開とされ、
複数の前記制御弁のうち、選択された作動制御弁の作動により、前記吸気集合管から前記シリンダに設けられた吸気弁を通じてシリンダ内に供給する空気量が制御され、
複数の前記制御弁のうちから選択される前記作動制御弁は、各前記シリンダの空気の充填効率に応じて決定され、前記作動制御弁と前記吸気弁との間の空間容積が調整されるようになっている内燃機関の吸気装置。 - 各前記シリンダの前記充填効率の増加に従い、前記吸気弁側の前記制御弁を全開として前記空間容積を増加させる信号を制御弁に送るコントロールユニットを備えている請求項9に記載の内燃機関の吸気装置。
- 前記空間容積の調整は、前記吸気弁が閉じているときに行われるようになっている請求項1ないし10の何れか1項に記載の内燃機関の吸気装置。
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