JP4035819B2 - 垂直磁気記録媒体及びその記録媒体への記録方法 - Google Patents

垂直磁気記録媒体及びその記録媒体への記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、垂直磁気記録媒体及びその記録媒体への記録方法に関し、より詳細には、各種磁気記録装置に搭載される垂直磁気記録媒体であって、磁気記録層を二層有する垂直磁気記録媒体及びその記録媒体への記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録の高密度化を実現する技術として、従来の長手磁気記録方式に代えて、垂直磁気記録方式が注目されつつある。
【0003】
垂直磁気記録媒体は主に、硬質磁性材料の磁気記録層と、磁気記録層を目的の方向に配向させるための下地層と、磁気記録層の表面を保護する保護膜と、そしてこの記録層への記録に用いられる磁気ヘッドが発生する磁束を集中させる役割を担う軟磁性材料の裏打ち層とから構成されている。
【0004】
ハードディスク媒体の高密度化は、トラック密度の向上やビット密度の向上により成し遂げられてきた。しかし、近年ではトラック密度が装置の限界に近づいてきており、あまり密度を上げすぎるとトラッキング(ヘッドの位置決め)が不安定になるという問題も顕在化しつつあった。また、熱安定性を考慮すると、高い異方性(Ku)および保磁力(Hc)を有する媒体を用いることが望ましい。
【0005】
しかし、高Hcになるほど磁気ヘッドにより書き込みにくくなることに加え、書込み周波数が高くなると書込みに必要となる媒体のダイナミックHcが更に増加することから、高密度ほど書込みにくくなるという現象が起こっている。そのため、ビット密度の急な上昇も望めない状況にあった。
【0006】
一方、近年、記録媒体の一部ROM(読取専用)化が求められている。その用途の一つは、モバイルや車載など、振動が多い場所で使用される記録媒体である。このような環境下で使用される記録媒体では、書込み動作時に振動でヘッドがオフトラックしてしまった場合、サーボパターンを消去してしまう可能性がある。サーボパターンが消えると正常なトラッキング動作ができなくなり、そのトラック上のデータは全て使用不能となってしまうが、サーボパターンを上書き不可能にすることで、この問題を解決することができる。
【0007】
また、他には、記録媒体に固有のIDをつけたり、プレインストールするソフトをROM化することで事故やミスによって消去されることを防止するという用途も考えられる。しかし、このような一部ROMを有する記録媒体は、検討はされているものの具体的な実用手法が見つかっていないというのが現状であった。
【0008】
これまでに、非磁性基板上に、非磁性下地層もしくは裏打磁性膜層を介して垂直磁化膜を設け、この垂直磁化膜が少なくとも1層のAl層もしくはAl合金膜で複数の層に分離されている垂直磁気記録媒体はすでに提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1のものは、磁気記録層を構成する磁性結晶粒の磁気的な分離を示したもので、磁性結晶粒を磁気的に分離することで、媒体ノイズを低減し、記録分離能を向上させることが可能になるものである。
【0009】
また、垂直磁気異方性を示す希土類遷移金属を主成分とするアモルファス合金薄膜からなる第1磁気層と第2磁気層の積層膜を少なくとも有する情報記録媒体もすでに提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−23141号公報
【0011】
【特許文献2】
特開2001−84546号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1における磁気的分離は、磁性結晶粒を磁気的に分離するものであるのに対して、本発明における磁気的分離は、磁気記録層を構成する二つの層を磁気的に分離するものである。この二つの層を磁気的に分離することは、二つの層に別々に情報を記録するための必要条件であり、二層が磁気的に結合した場合、片方の層に記録したbitはもう片方の層に転写してしまい、異なった情報を記録することが不可能になるという問題がある。本発明はこのような問題を解決するためのものである。
【0013】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、媒体一枚当りの記憶容量を増大させ、媒体の一部ROM化を実現することにより、媒体の高密度化や信頼性の向上といった媒体性能の向上を実現するようにした垂直磁気記録媒体及びその記録媒体への記録方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、非磁性基体上に、軟磁性裏打ち層と下地層と磁気記録層と保護膜と液体潤滑材層とを順次積層させた垂直磁気記録媒体であって、前記磁気記録層が、膜層方向に磁気的に分離された二層構造を有し、前記磁気記録層において、一方の磁気記録層の室温および高温における保磁力をHc1,H′c1、他方の磁気記録層の室温および高温における保磁力をHc2,H′c2としたときに、室温ではHc1>Hc2であるものが、高温においてH′c1<H′c2となり、室温におけるHcの大小関係が高温において逆転することを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記磁気記録層を膜厚方向に磁気的に分離する層が、Ru,Pd,Ptのような磁気記録層の磁化容易軸を垂直方向に向ける働きをする結晶構造および配向を有する材料からなり、かつその膜厚が3nm以上で20nm以下であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記磁気記録層を膜厚方向に磁気的に分離する層が、下層の磁気記録層の表面を僅かに酸化させたことによりできた非磁性の膜からなることを特徴とする。
【0018】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、室温におけるHcの大小関係が逆転する温度が、少なくともハードディスクドライブの動作温度の上限よりも高い温度であることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体への記録方法であって、室温において、Hc2<H<Hc1となる磁界の強さHで記録することにより、保磁力Hc2の磁気記録層に選択的に記録することを特徴とする。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、室温におけるHcの大小関係が逆転する温度下において、H′c1<H′<H′c2となる磁界の強さH′で記録することにより、保磁力Hc1の磁気記録層に選択的に記録することを特徴とする。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5又は6に記載の発明において、室温におけるHcの大小関係が逆転する温度下において、H′>H′c1となる磁界の強さH′で記録し、かつ通常の記録における記録磁界をHc2<H<Hc1となる磁界の強さHとすることにより、保磁力Hc1を有する磁気記録層への記録を不可能にし、そこに高温で記録された情報を読み取り専用とすることを特徴とする。
【0022】
従来の課題を解決する手段として、磁気記録層が、サーボパターンやROM情報を記録する層と通常の記録層の二層になった多重記録を用いることが有効であると考えられる。しかし、磁性層を二層化しても、その個々の層に別々の情報を記録することは困難であった。特に垂直媒体の場合、ヘッドからの磁束は磁気記録層を通過して磁気記録層下にある軟磁性裏打ち層でリターンして再びヘッドに戻るという軌跡を辿るため、磁気記録層を二層化しても、「上層の記録層にのみ磁界をかけて反転させる」などの手法を用いることはできない。
【0023】
従来の課題を解決し、垂直媒体において多重記録による媒体の記録密度向上や媒体の一部ROM化を可能にする手段として、本発明者らは検討を繰り返し、Hcの温度依存性が異なる二層の磁気記録層を用い、記録時に熱を加えて磁場により記録する方法を採用することで、室温では上層のみ記録可能で、高温では下層のみ記録可能というように、温度制御により各層に個別に情報を書き込むことができる記録媒体が作製可能であることを見出した。
【0024】
このように、本発明の垂直磁気記録媒体は、非磁性基体上に、軟磁性裏打ち層と下地層と中間層と磁気記録層と保護膜と液体潤滑層とを順次積層し、磁気記録層が非磁性分離層を挟んで二層になっていることを特徴とする。また、温度制御により各層に個別に情報を書き込むことが可能であることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る垂直磁気記録媒体の断面模式図で、図中符号1は非磁性基体、2は非磁性基体1上に設けられる軟磁性裏打ち層、3は下地層、4は中間層、5は第1の磁気記録層、6は非磁性分離層、7は第2の磁気記録層、8は保護膜、9は液体潤滑材層を示している。
【0026】
本発明の垂直磁気記録媒体は、非磁性基体1上に、軟磁性裏打ち層2と下地層3と第1の磁気記録層5と非磁性分離層6と第2の磁気記録層7と保護膜8と液体潤滑材層9とを順次積層して構成されている。磁気記録層が、非磁性分離層6を介して第1の磁気記録層5と第2の磁気記録層7からなり、膜層方向に磁気的に分離された二層構造を有している。
【0027】
非磁性基体1としては、表面が平滑である様々な基体であってよく、例えば、磁気記録媒体用に用いられるNiPメッキを施したAl合金や強化ガラスや結晶化ガラス等を用いることができる。
【0028】
軟磁性裏打ち層2としては、結晶のFeTaC、センダスト(FeSiAl)合金等、また非晶質のCo合金であるCoZrNb、CoTaZrなどを用いることができる。軟磁性裏打ち層2の膜厚は、記録に使用する磁気ヘッドの構造や特性によって最適値が変化するが、約10nm以上で500nm以下程度であることが生産性との兼ね合いから望ましい。
【0029】
下地層3は、例えば、軟磁性を有するパーマロイ系材料である、NiFeNb、NiFeB、NiFeMo、NiFeCrなどを用いることができる。下地層3の膜厚は、磁気記録層の磁気特性や電気変換特性が最適になるように膜厚を調整することが望ましいが、約50nm以下程度であることが生産性との兼ね合いから望ましい。
【0030】
中間層4は、Ru、Pt、Pd、Ta等の材料を用いることができる。これらの材料は非磁性であるため、その膜厚をできる限り薄くすることが求められるが、あまり薄くなりすぎると下層の軟磁性層と磁気記録層の相互作用が大きくなり、媒体ノイズが増加する。そこで、生産性との兼ね合いも考慮して、約3〜20nm程度であることが望ましい。
【0031】
第1の磁気記録層5には室温でのHcが高く、かつ温度上昇に伴いHcが急激に低下する材料を用いることができる。例えば、TbCoやTbFeCoのようなアモルファス材料で、室温以下に補償点を有する組成のものや、室温でのHcは高いがキュリー点の低いCo/Ptマルチ層(multilayer)等が好適に用いられる。
【0032】
非磁性分離層6は、上層にある磁気記録層の磁化容易軸が媒体面に対して垂直方向に向くように補助し、かつ第1の磁気記録層5と第2に磁気記録層7の交換相互作用を切る役割を担う。このような材料として、中間層4と同様の材料であるRu、Pt、Pd等を用いることができる。
【0033】
第2の磁気記録層7には少なくともCoとCrを含む合金の強磁性材料が好適に用いられ、その六方細密充填構造のc軸が膜面に垂直方向に配向していることが垂直磁気記録媒体として用いるために必要である。第2の磁気記録層7としては、CoCrTa、CoCrPt、CoCrPtB等のCoCr系の合金材料や、CoPt−SiO、CoCrPtO、CoCrPt−SiO、CoCrPt−Al、CoPt−Crなどのグラニュラー材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
保護膜5は、例えば、カーボンを主体とする薄膜が用いられる。その他、磁気記録媒体の保護膜として一般的に用いられる様々な薄膜材料を使用しても良い。
【0035】
液体潤滑材層9は、例えば、パーフルオロポリエーテル系の潤滑剤を用いることができる。その他、磁気記録媒体の液体潤滑材層の材料として一般的に用いられる様々な潤滑材料を使用しても良い。
【0036】
非磁性基体1の上に積層される各層は、磁気記録媒体の分野で通常用いられる様々な成膜技術によって形成することが可能である。液体潤滑材層9を除く各層の形成には、例えば、DCマグネトロンスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、真空蒸着法を用いることが出来る。また、液体潤滑材層9の形成には、例えば、ディップ法、スピンコート法を用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。
【0037】
また、ここでは第1の磁気記録層5(下層)を室温で記録困難な層とし、第2の磁気記録層7(上層)を室温で記録容易な層として例示したが、上下層の性質が、逆すなわち下層が室温で記録容易であり、上層が室温で記録困難であっても良い。
【0038】
以下、本発明に係る垂直磁気記録媒体の実施例について説明するが、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0039】
[実施例1]
本実施例1は、TbFeCoおよびCoCrPt−SiOの2層の磁気記録層を有する垂直磁気記録媒体及びその記録媒体への記録方法に関する。
【0040】
非磁性基体として表面が平滑な化学強化ガラス基板(例えば、HOYA社製N−10ガラス基板)を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入、Co5Zr8Nbターゲットを用いてCoZrNb非晶質軟磁性裏打ち層を200nm成膜した。次に、Taターゲットを用いてTa下地層を5nm成膜した。引き続いて、18Tb92(Fe10Co)ターゲットを用いてArガス圧4.0Pa下でTbFeCo磁気記録層を20nm成膜した。引き続いて、Ptターゲットを用いて、Arガス圧4.0Pa下でPt非磁性分離層を5nm成膜した後、90(Co7Cr14Pt)−10SiOターゲットを用いてCoCrPt−SiO磁気記録層を10nm成膜した。
【0041】
最後に、カーボンターゲットを用いてカーボンからなる保護膜10nmを成膜後、真空装置から取り出した。TbFeCo磁気記録層およびPt非磁性分離層の成膜を除くこれらの成膜はすべてArガス圧0.67Pa下でDCマグネトロンスパッタリング法により行なった。その後、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑材層2nmをディップ法により形成し、垂直磁気記録媒体とした。
【0042】
出来上がった媒体の室温および150℃における磁気特性を、Kerr効果測定装置により測定した。
図2は、本実施例1に係る媒体の室温におけるKerrループを示す図である。この媒体の保磁力Hcは5.80[kOe]であるが、これはCoCrPt−SiO磁気記録層のHcに相当する。図中に矢印で示した段差は、TbFeCo磁気記録層の磁化反転によるものであり、その保磁力は15.7[kOe]である。次に、150℃におけるKerrループを図3に示す。150℃でのHcは4.25[kOe]であったが、これはCoCrPt−SiO磁気記録層のHcに相当する。図中に矢印で示した段差がTbFeCo磁気記録層のHcに当り、その値は2.15[kOe]である。
【0043】
このように、CoCrPt−SiO磁気記録層とTbFeCo磁気記録層でHcの温度依存が大きく異なり、室温ではTbFeCo磁気記録層のHcの方が大きいが、150℃ではCoCrPt−SiO磁気記録層のHcの方が大きくなる。この性質を利用し、各々の磁気記録層に個別に書込みを行うことができる。
【0044】
ソニーテクトロニクス社製のリードライトテスタを用い、出来上がった媒体の記録/再生試験を行った。室温において、ヘッドに流す書込み電流値を50mAとして書込みを行ったところ、CoCrPt−SiO磁気記録層にのみ書き込まれることを確認した。次に、ランプヒータを用いて媒体を150℃に昇温し、書込み電流値を15mAとして書込みを行った。そのまま室温まで冷却し、読み取りを行ったところ、TbFeCo磁気記録層にのみ記録されていることを確認した。
【0045】
このように、本発明に係る垂直磁気記録媒体では、二層の磁気記録層のそれぞれに記録、再生することが可能になることから、記録密度の向上が可能になる。
【0046】
[実施例2]
本実施例2は、読取専用領域を有する垂直磁気記録媒体、およびHcの温度依存性の差を利用した記録方法に関する。
【0047】
非磁性基体として表面が平滑な化学強化ガラス基板(例えば、HOYA社製N−10ガラス基板)を用い、これを洗浄後スパッタ装置内に導入し、Co5Zr8Nbターゲットを用いてCoZrNb非晶質軟磁性裏打ち層を200nm成膜した。次に、Taターゲットを用いてTa下地層を5nm成膜した。引き続いて、18Tb92(Fe10Co)ターゲットを用いてArガス圧4.0Pa下でTbFeCo磁気記録層を20nm成膜した。引き続いて、ランプヒータを用いて280℃まで加熱後、Co20Cr10Ptターゲットを用いてCoCrPt磁気記録層を20nm成膜した。
【0048】
最後に、カーボンターゲットを用いてカーボンからなる保護膜10nmを成膜後、真空装置から取り出した。TbFeCo磁気記録層およびランプヒータによる加熱を除くこれらの成膜はすべてArガス圧0.67Pa下でDCマグネトロンスパッタリング法により行なった。その後、パーフルオロポリエーテルからなる液体潤滑材層2nmをディップ法により形成し、垂直磁気記録媒体とした。
【0049】
出来上がった媒体の磁気特性を、Kerr効果測定装置により測定した。
図4は、本実施例2に係る媒体の室温におけるKerrループを示す図である。実施例1とは異なり、TbFeCo磁気記録層とCoCrPt磁気記録層を磁気的に遮断する非磁性分離層を設けていないが、ループは2段になっていることから、二層の磁気記録層が磁気的に分断されていることがわかる。これは、TbFeCo磁気記録層の表面が成膜後の加熱により僅かに酸化されたためである。
【0050】
次に、リードライトテスタを用いて記録/再生試験を行った。まず、ランプヒータで媒体を180℃まで昇温した後、25kFClの記録密度で記録を行った。室温まで冷却後に信号の再生を行ったところ、信号出力の大きさから、TbFeCo磁気記録層とCoCrPt磁気記録層の双方に記録されていることを確認した。引き続いて300kFClで記録を行った後、信号を再生した。スペクトラムアナライザにより、再生信号の周波数成分を分けて読み取ったところ、25kFClおよび300kFClの信号をそれぞれ確認した。
【0051】
ここで、信号出力の大きさから、25kFClの信号はTbFeCo磁気記録層に記録されたもの、300kFClの信号はCoCrPt磁気記録層に記録されたものと判断された。これは、室温ではTbFeCo磁気記録層のHcが12.3[kOe](図4参照)と非常に大きく、ヘッドでの記録が不可能であるため、300kFClでの記録時にはCoCrPt磁気記録層にのみ記録されたためであると考えられる。
【0052】
このように本発明により、読取専用領域を有する垂直磁気記録媒体の製造が可能になる。また、読取専用領域は、通常の記録/再生領域とは別の層に記録されるため、記録媒体の高密度化にも繋がる。
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、非磁性基体上に、軟磁性裏打ち層と下地層と磁気記録層と保護膜と液体潤滑材層とを順次積層させた垂直磁気記録媒体であって、磁気記録層が、膜層方向に磁気的に分離された二層構造を有するので、Hcの温度依存性が異なる二層の磁気記録層を用い、記録時に熱を加えて磁場により記録する方法を採用することで、室温では上層のみ記録可能で、高温では下層のみ記録可能というように、温度制御により各層に個別に情報を書き込むことができることから、媒体の記録密度を向上させることが可能となる。また、媒体の一部ROM化も可能になることから、サーボ信号のように一度記録したら二度と書き換える必要の無いデータを誤って消去したり書き換えたりすることがなくなり、媒体の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る垂直磁気記録媒体の断面模式図である。
【図2】実施例1に係る媒体の室温におけるKerrループを示す図である。
【図3】実施例1に係る媒体の150℃におけるKerrループを示す図である。
【図4】実施例2に係る媒体の室温におけるKerrループを示す図である。
【符号の説明】
1 非磁性基体
2 軟磁性裏打ち層
3 下地層
4 中間層
5 第1の磁気記録層
6 非磁性分離層
7 第2の磁気記録層
8 保護膜
9 液体潤滑材層

Claims (7)

  1. 非磁性基体上に、軟磁性裏打ち層と下地層と磁気記録層と保護膜と液体潤滑材層とを順次積層させた垂直磁気記録媒体であって、前記磁気記録層が、膜層方向に磁気的に分離された二層構造を有し、前記磁気記録層において、一方の磁気記録層の室温および高温における保磁力をHc1,H′c1、他方の磁気記録層の室温および高温における保磁力をHc2,H′c2としたときに、室温ではHc1>Hc2であるものが、高温においてH′c1<H′c2となり、室温におけるHcの大小関係が高温において逆転することを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記磁気記録層を膜厚方向に磁気的に分離する層が、Ru,Pd,Ptのような磁気記録層の磁化容易軸を垂直方向に向ける働きをする結晶構造および配向を有する材料からなり、かつその膜厚が3nm以上で20nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記磁気記録層を膜厚方向に磁気的に分離する層が、下層の磁気記録層の表面を僅かに酸化させたことによりできた非磁性の膜からなることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 室温におけるHcの大小関係が逆転する温度が、少なくともハードディスクドライブの動作温度の上限よりも高い温度であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体への記録方法であって、室温において、Hc2<H<Hc1となる磁界の強さHで記録することにより、保磁力Hc2の磁気記録層に選択的に記録することを特徴とする垂直磁気記録媒体への記録方法。
  6. 室温におけるHcの大小関係が逆転する温度下において、H′c1<H′<H′c2となる磁界の強さH′で記録することにより、保磁力Hc1の磁気記録層に選択的に記録することを特徴とする請求項5に記載の垂直磁気記録媒体への記録方法。
  7. 室温におけるHcの大小関係が逆転する温度下において、H′>H′c1となる磁界の強さH′で記録し、かつ室温での記録における記録磁界をHc2<H<Hc1となる磁界の強さHとすることにより、保磁力Hc1を有する磁気記録層への記録を不可能にし、そこに高温で記録された情報を読み取り専用とすることを特徴とする請求項5又は6に記載の垂直磁気記録媒体への記録方法。
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