JP4035089B2 - Nrdガイド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミリ波集積回路等に組み込まれ、高周波信号の伝送用として用いられるNRDガイドと誘電体導波管とを接続するための構造に用いられるNRDガイドに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、誘電体線路を1対の導体板によって挟持した単純な構造からなる非放射性誘電体線路(以下、NRDガイドという。)が高周波信号の伝送線路の1つとして用いられることが知られている。そして、このNRDガイドを配線基板などに組み入れる場合、回路設計上、このNRDガイドを他の高周波用伝送線路と接続することが必要不可欠であり、その場合、伝送特性の劣化なく接続することが重要である。
【0003】
そこで、他の高周波伝送線路との接続構造として、NRDガイドと、マイクロストリップ線路とを接続するための構造が提案されている。その一般的な構造を図6に示す。図6によれば、一対の導体板11、12の間に誘電体線路3が配設されたNRDガイドにおける導体板11に、スロット孔13を形成し、そのスロット孔13の表面に、誘電体基板14の表面に中心導体15が形成された基板をスロット孔13と中心導体15の終端部とが所定の位置関係になるように載置することにより、NRDガイドとマイクロストリップ線路とを、NRDガイドの導体板11に設けられたスロット孔13を介して電磁的に接続するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回路設計において高周波信号の周波数が30GHz以上のミリ波帯では、マイクロストリップ線路では伝送損失自体が大きくなるために,上記接続構造は信号周波数が30GHz以上である回路基板には不向きであった。
【0005】
このマイクロストリップ線路に代わり、30GHz以上のミリ波に対してもNRDガイドと同様に伝送損失の小さい線路として誘電体導波管が知られており、回路設計においても誘電体導波管を用いることが必要となる。しかしながら、NRDガイドと誘電体導波管との接続構造についてはこれまで全く報告がなかった。
【0006】
従って、本発明は、30GHz以上のミリ波帯でも損失の小さい伝送が可能なNRDガイドと誘電体導波管との接続構造に用いることができるNRDガイドを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、第1および第2の平板導体間に誘電体線路を配設してなるNRDガイドと、誘電体導波管とを伝送損失を小さく接続できる構造について検討を重ねた結果、NRDガイド内の信号の電界の水平成分が最大となる箇所の前記第1の導体板に、前記NRDガイドの管内波長の半分以下で前記NRDガイドの幅より大きい長さを有する、電界が強い箇所を中心とする開孔を設け、該開孔と、それと同じ断面形状の誘電体導波管の開放断面とを接続すること、あるいは前記誘電体導波管の終端から管内波長の1/2波長長さ位置の側壁に開孔を設け、前記NRDガイドの開孔と、それと同じ断面形状の前記誘電体導波管の開孔とを接続することによって、前記目的が達成されることを見いだした。
【0008】
すなわち、本発明のNRDガイドは、第1および第2の平板導体間に誘電体線路を配設してなるNRDガイドにおいて、前記NRDガイドのLSMモードの定在波の電界が強い箇所の前記第1の導体板に、NRDガイドの管内波長の半分以下でNRDガイドの幅より大きい長さを有する、電界が強い箇所を中心とする開孔を設け、その開孔と、それと同じ断面形状の導波管の開放終端部または導波管内に誘電体が充填された誘電体導波管の側壁に形成された開孔が接続されることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明のNRDガイドは、上記構成において、前記開孔を、前記誘電体線路の端部またはその次の前記LSMモードの定在波の電界が強い箇所に設けたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のNRDガイドは、上記構成において、前記開孔の形状は、前記誘電体線路と同じ程度の幅を持つ、矩形状、円形状または長孔状であることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明のNRDガイドは、上記構成において、前記開孔内に、前記誘電体線路と同程度の誘電率を有する誘電体を埋め込んだことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のNRDガイドについて、その概略斜視図である図1、図2をもとに説明する。
【0013】
図1、図2に示すように、本発明のNRDガイドAは、一対の平行平板導体1、2間に、断面がa×bの誘電体線路3が配設されており、端部は開放終端部3aとなっている。このような構造のNRDガイドAにおいては、図3に示すようなLSMモードによる電界の定在波が生じる。
【0014】
本発明においては、誘電体導波管Bとの接続用として、この定在波の電界の強い部分、即ち、図3におけるP1、P2、P3、P4のいずれかの箇所における導体板1に、P1〜4の各箇所を中心とする開孔4を設ける。誘電体導波管Bとの回路設計の点からは、誘電体線路3の端部であるP1またはその次のLSMモードの定在波の電界が強いP2の箇所に開孔4を設けることが望ましい。
【0015】
なお、導体板1の開孔4内には、誘電体線路3と同程度の誘電率を有する誘電体を埋め込むことによって、誘電体導波管Bとの損失の少ない接続が得られる。一方、誘電体導波管Bは、断面が矩形状の金属の管5によって形成され、その内部には、誘電体6が埋め込まれている。
【0016】
上記NRDガイドAと誘電体導波管Bとは、NRDガイドAにおける導体板1に設けられた開孔4を介して接続される。接続の方法としては、図1に示すように、誘電体導波管Bの開放終端部5aと開孔4とを接続する。また、他の方法としては、図2の斜視図に示すように誘電体導波管Bの側壁4の一部に開孔7を形成し、NRDガイドA側の開孔4と誘電体導波管B側の開孔7とを整合させて接続することにより、NRDガイドAと誘電体導波管Bとを損失を小さく接続することができる。
【0017】
なお、図2の接続方法においては、開孔7は、誘電体導波管Bの終端5bからの距離xが、誘電体導波管Bの管内波長の1/2波長長さ位置に形成されることが望ましい。
【0018】
また、誘電体導波管B内の誘電体6としては、NRDガイドAにおける誘電体線路3と同程度の誘電率を有する誘電体により形成することにより損失の小さい接続が可能である。NRDガイドA側の開孔4の形状は、NRDガイドAの管内波長の半分以下の長さ(L)とNRDガイドAの誘電体線路3と同じ程度の幅(W)を持つ、図1、図2に示すような矩形状の他、円形状、長孔状であってもよい。
【0019】
本発明のNRDガイドAおよび誘電体導波管Bに用いられる誘電体としては、セラミックスの他、有機系誘電体材料、有機−無機複合系誘電体材料などの周知の誘電体材料が用いられる。
【0020】
【実施例】
実施例1
厚さ1mmの銅板を1.8mmの間隔で平行に置き、断面形状が幅0.8mm、高さ1.8mm、比誘電率4.8の誘電体線路を金属板間に置くことで形成されるNRDガイドの開放終端部から3.3mmの位置に中心を持つ幅0.8mm、長さ1.2mmの矩形の開孔を金属板に開け、その開孔内には比誘電率4.8の誘電体を充填した。
【0021】
そして、この開孔に対して、開孔形状と同じ断面形状を持ち、比誘電率が4.8の誘電体が金属管内に充填された誘電体導波管を接続した。この構成による接続溝造についてネットワークアナライザによってNRDガイドと誘電体導波管間の伝送特性(S21)を測定し、その結果を図5に示した。図5の結果から明らかなように、約78GHzにおいて−0.6(dB)のピークを有する良好な伝送特性を示した。
【0022】
実施例2
実施例1の開孔を形成したNRDガイドに対して、0.6mm×1.2mmの断面形状を持ち、比誘電率が4.8の誘電体が充填された誘電体導波管を接続した。接続には、誘電体導波管の終端部と中心位置との距離が1.34mmとなる側壁にNRDガイドの開孔と同一形状の開孔を形成し、両開孔を接続した。そして、実施例1と同様にして伝送特性を評価し、その結果を図6に示した。図6に示すように、74〜80GHz領域において、伝送損失が−1.0dBよりも小さい良好な特性を示した。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、NRDガイドと誘電体導波管とをNRDガイドの導体板の特定箇所に設けた開孔を介して誘電体導波管と接続することにより、低い挿入損失での接続が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のNRDガイドおよびこれと誘電体導波管との接続構造の一例を説明するための分解斜視図である。
【図2】 本発明のNRDガイドおよびこれと誘電体導波管との接続構造の他の例を説明するための分解斜視図である。
【図3】 本発明におけるNRDガイド内の電界分布を説明するための平面図である。
【図4】 本発明のNRDガイドを用いた図1の接続構造による伝送特性を示す図である。
【図5】 本発明のNRDガイドを用いた図2の接続構造による伝送特性を示す図である。
【図6】 従来におけるNRDガイドとマイクロストリップ線路との接続構造を説明するための概略斜視図である。
【符号の説明】
A NRDガイド
B 誘電体導波管
1,2 平板導体(導体板)
3 誘電体線路
4,7 開孔
5 側壁(導体管壁)
5a 開放終端部
5b 終端部
6 誘電体

Claims (4)

  1. 第1および第2の平板導体間に誘電体線路を配設してなるNRDガイドにおいて、前記NRDガイドのLSMモードの定在波の電界が強い箇所の前記第1の導体板に、前記NRDガイドの管内波長の半分以下で前記NRDガイドの幅より大きい長さを有する、前記電界が強い箇所を中心とする開孔を設け、該開孔と、それと同じ断面形状の導波管の開放終端部または導波管内に誘電体が充填された誘電体導波管の側壁に形成された開孔が接続されることを特徴とするNRDガイド。
  2. 前記開孔を、前記誘電体線路の端部またはその次の前記LSMモードの定在波の電界が強い箇所に設けたことを特徴とする請求項1記載のNRDガイド。
  3. 前記開孔の形状は、前記誘電体線路と同じ程度の幅を持つ、矩形状、円形状または長孔状であることを特徴とする請求項1記載のNRDガイド。
  4. 前記開孔内に、前記誘電体線路と同程度の誘電率を有する誘電体を埋め込んだことを特徴とする請求項1記載のNRDガイド。
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