JP4035021B2 - 半導体レーザ装置、光ディスク装置及び光集積化装置 - Google Patents

半導体レーザ装置、光ディスク装置及び光集積化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク等の光情報記録装置のレーザ光源に用いられる青色レーザ光を出力する半導体レーザ装置に関し、特に、自然放出光の外部への放出を防止する半導体レーザ装置、これを用いた光ディスク装置及び光集積化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
III 族元素として、特にアルミニウム(Al),ガリウム(Ga)又はインジウム(In)を含むIII 族窒化物半導体を材料とする窒化物半導体レーザ装置は、活性層にInGaNからなる混晶を用いることにより、波長が400nm〜500nm程度の青色レーザ光を発振できる。この青色半導体レーザ装置が実用化されると、現在、波長が650nmの赤色光を発振する赤色半導体レーザ装置を用いたDVDの記録容量を3倍以上、すなわち、直径が12cmのディスクの片面で15ギガバイト以上にまで高めることが可能となる。この15ギガバイトの記録容量は、動画情報圧縮技術の国際標準であるMPEG2方式を用いると、高品位(HD)ビデオ信号として2時間以上の再生を行なえるため、青色半導体レーザ装置の実現が強く期待されている。現在、発振に成功している窒化物半導体レーザ装置は、活性層としてInGaN混晶を用い、クラッド層としてAlGaN混晶を用いており、その発振波長は約400nm〜450nmである。
【0003】
通常、InGaNからなる活性層及びAlGaNからなるクラッド層は、これらの層を基板上に結晶成長させることにより形成される。従って、結晶欠陥がない成長膜を得るには、InGaN及びAlGaNと同一の結晶構造を持ち、格子定数がほぼ同一のGaNからなる基板を用いるのが最適である。しかしながら、現在のところ、基板として利用できる、一辺が10mm以上のサイズのGaNからなる基板が得られていない。そのため、一般にはサファイア(単結晶Al23)からなる基板が用いられている。サファイアは、GaNに対して格子定数が約14%も異なるものの、GaNと同一の結晶構造を有し且つ1000℃以上の高温下でも安定なため、窒化物半導体結晶の成長に適している。
【0004】
窒化物半導体レーザ装置に限らず、半導体レーザ装置のp側電極及びn側電極に対して、しきい値電流を超える電流を注入すると、注入された電流から生じる電子及び正孔の再結合による放出光が活性層に強く閉じ込められることにより増幅され発振し、レーザ光として活性層の出射端面から出射される。
【0005】
窒化物半導体レーザ装置の活性層には、前述したようにInGaN混晶を用い、In組成比が15%の場合に発振波長が410nmの青紫色のレーザ光を得られる。活性層の基板側及び基板と反対側には、該活性層とのエネルギーギャップが0.4eV以上であり、且つ、屈折率が活性層よりも小さいクラッド層が必要となる。このクラッド層には、Al組成比が7%のAlGaN混晶が用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の窒化物半導体レーザ装置から出射される青色レーザ光は、原理的に赤色レーザ光よりも検出が難しく、光検出器等の受光素子のS/N比が小さくならざるを得ない。従って、短波長型の窒化物半導体レーザ装置は、赤色半導体レーザ装置と比べてレーザ装置が発する雑音を低減する必要性が極めて高くなる。
【0007】
本発明は、短波長型の窒化物半導体レーザ装置において、該装置が発する雑音、特に光学的雑音を確実に低減できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、短波長レーザを実用化するにあたり、青色光レーザ装置からの雑音源を種々検討した結果、その一つとして以下のような光学的な原因を突き止めている。
【0009】
すなわち、半導体レーザ装置に電流を印加し始めると、活性層の発光領域において自然放出光が発生し、印加電流が所定値を超えると共振器の長手方向の自然放出光が増幅されて発振し、位相が揃ったレーザ光が活性層の出射端面から出射する。この所定の電流値を発振しきい値電流と呼び、印加電流がしきい値電流に達してレーザ発振が起こるまでの間は自然放出光のみが増え続ける。
【0010】
この自然放出光は、位相が揃ったレーザ光ではないため、レーザ光に混入すると種々の悪影響を及ぼす。例えば、レーザ装置を光ディスクの光ピックアップとして用いる場合には、自然放出光成分はレーザ光の雑音となり、情報読み取り動作時のSN比を低下させる。また、レーザチップのレーザ出射端面以外から放出される自然放出光は、レーザチップが光検出器又は電子回路と集積されてなる光電子集積素子における光検出器に対するバイアス光となって検出動作に悪影響を及ぼすこととなる。
【0011】
前記の目的を達成するため、本発明は、レーザチップから漏れ出す自然放出光を防止できるように、自然放出光を吸収する自然放出光吸収層をチップの内部又はチップ表面に設ける構成とする。また、自然放出光を外部に漏らさないように、チップの上面又は側面に自然放出光に対する高反射率の自然放出光防止膜を設ける構成とする。また、自然放出光がレーザチップの自動出力制御用のモニタ光に混入しないように、自然放出光を遮光する遮光手段を、レーザチップとモニタ光検出器との間に設ける構成とする。
【0012】
以下、具体的に、本発明の解決手段を列挙する。
【0013】
本発明に係る第1の半導体レーザ装置は、基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層とを備え、基板と第1のクラッド層との間に、第1導電型の窒化物半導体からなり、活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収層が形成されている。
【0014】
第1の半導体レーザ装置によると、基板と第1のクラッド層との間に、第1のクラッド層と同一の導電型の窒化物半導体からなり、活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収層が形成されているため、自然放出光吸収層が活性層から基板側へ放出される自然放出光を吸収する。
【0015】
第1の半導体レーザ装置において、自然放出光吸収層がインジウムを含み、第1のクラッド層と接するように形成されていることが好ましい。このようにすると、自然放出光吸収層がインジウムを含むため、自然放出光吸収層のエネルギーギャップが、窒化物半導体から放出される自然放出光のエネルギーよりも小さくなるようにできるので、自然放出光を確実に吸収できる。
【0016】
第1の半導体レーザ装置において、自然放出光吸収層がインジウムを含み、基板と接するように形成されていることが好ましい。このようにすると、自然放出光吸収層がインジウムを含むため、自然放出光吸収層のエネルギーギャップが、窒化物半導体から放出される自然放出光のエネルギーよりも小さくなるようにできるので、自然放出光を確実に吸収できる。さらに、基板の上面に該基板上に成長する窒化物半導体層の結晶性を高めるためのバッファ層を形成する場合に、自然放出光吸収層に該バッファ層を兼ねさせることができる。
【0017】
本発明に係る第2の半導体レーザ装置は、基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層と、第2のクラッド層の上に形成された電極とを備え、第2のクラッド層と前記電極との間に、第2導電型の窒化物半導体からなり、活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収層が形成されている。
【0018】
第2の半導体レーザ装置によると、第2のクラッド層と電極との間に、第2のクラッド層と同一の導電型の窒化物半導体からなり、活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収層が形成されているため、自然放出光吸収層が活性層から第2のクラッド層上に設けられた電極側へ放出される自然放出光を吸収する。
【0019】
第2の半導体レーザ装置において、自然放出光吸収層がインジウムを含み、前記第2のクラッド層と接するように形成されていることが好ましい。
【0020】
第2の半導体レーザ装置において、自然放出光吸収層がインジウムを含み、前記電極と接するように形成されていることが好ましい。このようにすると、第2のクラッド層の上方に電極とオーミック接触するコンタクト層を形成する場合に、自然放出光吸収層に該コンタクト層を兼ねさせることができる。
【0021】
本発明に係る第3の半導体レーザ装置は、基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層とを備え、基板における活性層と反対側の面に、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜が形成されている。
【0022】
第3の半導体レーザ装置によると、基板における活性層と反対側の面に、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜が形成されているため、自然放出光防止膜が活性層から基板側へ放出される自然放出光の外部への漏出を防止する。
【0023】
本発明に係る第4の半導体レーザ装置は、基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層とを有するレーザ素子本体を備え、レーザ素子本体における活性層のレーザ光出射部を除く出射端面と該出射端面と反対側の反射端面とに、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜が形成されている。
【0024】
第4の半導体レーザ装置によると、レーザ素子本体における活性層のレーザ光出射部を除く出射端面と該出射端面と反対側の反射端面とに、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜が形成されているため、自然放出光防止膜が活性層から第2のクラッド層の上に設けられた電極側へ放出される自然放出光の外部への漏出を防止する。なお、本明細書においてレーザ素子(チップ)本体とは、基板上に形成された共振器構造を含む複数の半導体層部分をいう。
【0025】
本発明に係る第5の半導体レーザ装置は、基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層とを有するレーザ素子本体を備え、レーザ素子本体におけるレーザ光の出射方向と平行な側面に、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜が形成されている。
【0026】
第5の半導体レーザ装置によると、レーザ素子本体におけるレーザ光の出射方向と平行な側面に、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜が形成されているため、自然放出光防止膜が活性層からレーザ素子本体の側面方向へ放出される自然放出光の外部への漏出を防止する。
【0027】
第3〜第5の半導体レーザ装置において、自然放出光防止膜が、金を含む金属又はシリコンからなることが好ましい。このようにすると、シリコンのエネルギーギャップは、窒化物半導体から放出される自然放出光のエネルギーよりも小さいため、自然放出光を確実に吸収できる。また、金は材料的に安定であり且つ窒化物半導体から放出される自然放出光を高い反射率で反射する。さらに、金及びシリコンは半導体製造プロセスと極めてなじみやすい。
【0028】
本発明に係る第6の半導体レーザ装置は、基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層と、第2のクラッド層の上に形成され、活性層に対してストライプ状に電流を注入する電極とを備え、活性層におけるストライプ状の電流注入領域の側方には、該電流注入領域に沿って溝部が形成され、溝部には、活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収材が充填されている。
【0029】
第6の半導体レーザ装置によると、電流注入領域の側方に該電流注入領域に沿って設けられた溝部を有し、該溝部に活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収材が充填されているため、自然放出光吸収材が活性層からレーザ素子本体の側面方向へ放出される自然放出光の外部への漏出を防止する。
【0030】
第6の半導体レーザ装置において、自然放出光吸収材が、シリコン又は金を含む金属からなることが好ましい。
【0031】
本発明に係る第7の半導体レーザ装置は、基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層とを有するレーザ素子本体と、基板における活性層と反対側の面及びレーザ素子本体の側面のうちの少なくとも一方と間隔をおいて形成され、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止部材とを備えている。
【0032】
第7の半導体レーザ装置によると、基板における活性層と反対側の面及びレーザ素子本体の側面のうちの少なくとも一方と間隔をおいて形成され、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止部材とを備えているため、自然放出光防止部材が、活性層から基板側又はレーザ素子本体の側面方向へ放出される自然放出光の外部への漏出を防止する。
【0033】
第7の半導体レーザ装置において、基板が、サファイア、炭化ケイ素又は窒化ガリウムからなることが好ましい。
【0034】
本発明に係る第8の半導体レーザ装置は、半導体レーザチップと、半導体レーザチップから出射されるレーザ光を受光して半導体レーザチップの光出力値を検出する光電変換素子と、半導体レーザチップにおけるレーザ光の出射部及び光電変換素子の受光部の間に設けられ半導体レーザチップから放出される自然放出光の少なくとも一部を遮光する遮光手段とを備えている。
【0035】
第8の半導体レーザ装置によると、半導体レーザチップにおけるレーザ光の出射部及び光電変換素子の受光部の間に設けられ半導体レーザチップから放出される自然放出光の少なくとも一部を遮光する遮光手段とを備えているため、半導体レーザチップの光出力値をモニタする光電変換素子に混入する自然放出光の光量が減るので、自動出力制御を確実に行なえるようになる。
【0036】
第8の半導体レーザ装置において、遮光手段は、自然放出光が遮光手段を通過する際の自然放出光の減衰量が、レーザ光が遮光手段を通過する際のレーザ光の減衰量よりも多くなるように設けられていることが好ましい。
【0037】
第8の半導体レーザ装置において、遮光手段が、レーザ光の光軸上に開口部を有する遮光板であることが好ましい。
【0038】
第8の半導体レーザ装置において、半導体レーザチップがレーザ光を透過する材料からなる基板を有していることが好ましい。
【0039】
この場合に、半導体レーザチップが、窒化物系半導体からなり、基板が、サファイア、炭化ケイ素又は窒化ガリウムからなることが好ましい。
【0040】
本発明に係る光ディスク装置は、本発明の第1〜第8の半導体レーザ装置のうちのいずれか1つと、半導体レーザ装置から出射されたレーザ光をデータが記録された記録媒体上に集光する集光光学系装置と、記録媒体によって反射されたレーザ光を検出する光検出器とを備えている。
【0041】
本発明に係る光集積化装置は、半導体からなる基体上に、本発明の第1〜第8の半導体レーザ装置のうちのいずれか1つと、半導体レーザ装置から出射されたレーザ光の反射光を検出する光検出器とが設けられている。
【0042】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1は本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図1に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置1Aは、その素子形成面が絶縁性を有する炭化シリコン(SiC)又はダイヤモンドからなるサブマウント2の主面と対向するように実装されている。ここで、窒化物半導体レーザ装置とは、レーザを構成する半導体の組成がAlx Gay Inz N(但し、x、y及びzは、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1である)の半導体レーザ装置をいう。
【0044】
窒化物半導体レーザ装置1Aにおいて、サファイアからなる基板11のサブマウント2側の主面(素子形成面)には、サファイアとGaN系結晶との格子定数の不整合を緩和して結晶欠陥が少ない半導体層を得るためのGaN又はAlNからなるバッファ層12と、Siをドーパントとするn型GaNからなるn型コンタクト層13とが順次形成されている。n型コンタクト層13の下面には、ダブルヘテロ(DH)のpn接合からなるレーザ構造を形成する素子形成領域とn側電極を形成するn側電極形成領域とを有し、該n側電極形成領域には、例えば、Ti/Al又はMo/Pt/Auの積層体からなるn側電極14が形成されている。
【0045】
n型コンタクト層13の下面における素子形成領域には、後述する活性層から放出される自然放出光を吸収するエネルギーギャップを持つn型Inx Ga1-x N(但し、xは0<x<1である。)からなる自然放出光吸収層15Aと、活性層において生成される生成光を活性層に閉じ込めると共に電子を活性層に閉じ込めるためのn型AlGaNからなるn型クラッド層16と、閉じ込められた電子及び正孔を再結合させて再結合光を生成するIny Ga1-y N(但し、yは0<y<1である。)からなる活性層17と、活性層17において生成される生成光を活性層17に閉じ込めると共に正孔を活性層17に閉じ込めるためのp型AlGaNからなるp型クラッド層18と、後述するp側電極とオーミック接触するp型GaNからなるp型コンタクト層19と、ストライプ状の開口部を有するシリコン酸化膜からなる絶縁膜20とが順次形成されている。ここで、自然放出光吸収層15Aと活性層17とにおけるInの組成x及びyの関係はx≧yとする。
【0046】
活性層17における井戸層のInの混晶比yを15%とすると、発振するレーザ光の波長は410nmとなる。従って、自然放出光吸収層15AのIn混晶比xを15%以上とすれば、該自然放出光吸収層15Aは活性層17から放出される自然放出光に対して透明でなくなるので、レーザ発振に寄与しない自然放出光を確実に吸収できる。ここでは、井戸層の厚さを約5nm以下としている。
【0047】
絶縁膜20の下面には該絶縁膜20の開口部を充填するように、例えば、Ni/Au又はNi/Pt/Auの積層体からなるp側電極21が形成されている。
【0048】
サブマウント2の主面上には、p側電極21と対向する領域にp側端子電極23が形成され、n側電極14と対向する領域にn側端子電極25が形成されている。p側電極21とp側端子電極23、及びn側電極14とn側端子電極25とは、鉛(Pb)とスズ(Sn)又は金(Au)とを含む半田材22、24を介してそれぞれ電気的に接続されている。
【0049】
前述したように、窒化物半導体レーザ装置1Aのp側電極21及びn側電極14に対して電流を注入すると、活性層17からは、しきい値電流を超える電流が注入されている場合であっても、レーザ発振に寄与しない自然放出光が周囲に放出され続ける。さらに、発振波長が410nm程度の放出光は、サファイアからなる基板11、AlGaNからなるn型及びp型クラッド層16,18並びにGaNからなるn型及びp型コンタクト層13,19に対していずれも透明であるため、活性層17の周囲のすべての方向にわたって放出される。
【0050】
しかしながら、本実施形態によると、n型クラッド層16とn型コンタクト層13との間に、活性層17よりもInの混晶比が大きい、すなわち、活性層17よりもエネルギーギャップが小さい自然放出光吸収層15Aを設けているため、この自然放出光吸収層15Aは活性層17からの自然放出光に対して透明でなくなり、その結果、この自然放出光は自然放出光吸収層15Aに吸収されることになる。
【0051】
このように、本実施形態によると、窒化物半導体レーザ装置1Aがサブマウント2に実装された状態では、活性層17の基板11側に放出される自然放出光の漏出を防止できるため、基板11側に配置される光素子に対する光学的ノイズを除去できる。
【0052】
また、自然放出光吸収層15Aはn型クラッド層16と隣接して設けられていることにより、光源である活性層17の最も近い位置にあり、自然放出光の吸収効率が高くなる。
【0053】
なお、本実施形態においては、自然放出光吸収層15Aに活性層17と比べてエネルギーギャップが小さいInGaNを用いたが、これに限らず、GaN系半導体結晶が成長可能な半導体材料であればよい。
【0054】
以下、前記のように構成された窒化物半導体レーザ装置1Aの製造方法について説明する。
【0055】
ここでは、窒化物半導体の成長法として、高温の反応炉に、III 族源としてトリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)及びトリメチルインジウム(TMI)等の有機金属化合物原料を導入すると共に、窒素源にアンモニア(NH3 )ガスを導入して、反応炉内で各有機金属化合物原料及びNH3 を熱分解することにより基板上に窒化物半導体を成長させる有機金属気相エピタキシ(MOVPE)法を用いる。
【0056】
まず、基板温度を600℃程度に設定した後、反応炉内に保持された基板11の主面上にTMGとNH3 とを導入しながら、基板11の主面にGaNからなるバッファ層12を成長させる。このように、GaN系半導体と格子定数が異なるサファイア上に成長させる、いわゆる低温バッファ層を設けることにより、クラック等の欠陥が生じにくくできることが知られている。なお、基板11上にAlNからなるバッファ層12を成長させる場合には、TMGの替わりにTMAを用いる。
【0057】
次に、基板温度を1000℃程度にまで昇温した後、TMGとNH3 とを導入しながら、バッファ層12の上面にn型不純物としてSiがドープされたn型GaNからなるn型コンタクト層13を成長させる。
【0058】
次に、基板温度を800℃程度にまで降温した後、III 族源にTMIを追加して、n型コンタクト層13の上面にn型Inx Ga1-x Nからなる自然放出光吸収層15Aを成長させる。
【0059】
次に、基板温度を1000℃程度にまで昇温した後、III 族源としてTMG及びTMAを基板11上に導入して、自然放出光吸収層15Aの上面にn型AlGaNからなるn型クラッド層16を成長させる。
【0060】
次に、基板温度を800℃程度に降温した後、III 族源としてTMAの導入を止め替わりにTMIを追加して、n型クラッド層16の上面にIny Ga1-y Nからなる活性層17を成長させる。ここで、活性層17として、例えば、膜厚がそれぞれ5nm以下で、InGaNからなる井戸層とAlGaNからなる障壁層とを交互に積層してなる多重量子井戸構造とすることにより、レーザ発振のしきい値電流を小さくすることができる。
【0061】
次に、基板温度を1000℃程度にまで昇温した後、III 族源としてTMG及びTMAを基板11上に導入することにより、活性層17の上面に、p型不純物としてMgがドープされたp型AlGaNからなるp型クラッド層18と、TMAの導入を止めてp型クラッド層18の上面にp型GaNからなるp型コンタクト層19とを順次成長させる。
【0062】
次に、各窒化物半導体層が形成された基板(エピタキシャル基板)を反応炉から取り出し、p型コンタクト層19の上面にシリコン酸化膜等の絶縁膜20を形成する。続いて、絶縁膜20に対して選択的にエッチングを行なって絶縁膜20にストライプ状の開口部を形成する。
【0063】
次に、蒸着法等を用いて、開口部を含む絶縁膜20の全面にわたって、Ni/Au等の積層膜からなるp側電極21を形成する。
【0064】
次に、p側電極21の素子形成領域をマスクし、エピタキシャル層に対してエッチングを行なうことにより、n型コンタクト層13を露出してn側電極形成領域を形成する。このn側電極形成領域の上に、例えば蒸着法を用いてTi/Alの積層膜からなるn側電極14を形成する。
【0065】
次に、エピタキシャル基板に対して共振器が得られるように該エピタキシャル基板を劈開する。続いて、共振器端面に所定の端面コートを施し、窒化物半導体レーザ装置1Aにおける基板11の素子形成面側をサブマウント2の主面と対向させ、p側電極21及びn側電極14とそれぞれ接続されるp側端子電極23及びn側端子電極25との位置合わせを行なった後、それぞれの電極同士を半田材22、24により固着することにより、図1に示す窒化物半導体レーザ装置1Aを得る。
【0066】
なお、活性層17の基板11側及び基板11と反対側には該活性層17と接するように形成され、活性層17への光閉じ込め率を向上させるn型GaNからなるn型光ガイド層及びp型GaNからなるp型光ガイド層を設けると、活性層17への光閉じ込め効果が向上して、しきい値電流をさらに低減できる。
【0067】
(第1の実施形態の第1変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第1変形例について図面を参照しながら説明する。
【0068】
図2は本実施形態の第1変形例に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図2において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図2に示すように、本変形例に係る窒化物半導体レーザ装置1Bは、活性層17と比べてエネルギーギャップが小さいn型InGaNからなる自然放出光吸収層15Bが、バッファ層12とn型コンタクト層13との間に形成されていることを特徴とする。
【0069】
このようにすると、自然放出光吸収層15Bは基板11の主面の全面を覆うことができるため、基板11側に放出される自然放出光の漏出を一層防止できる。
【0070】
さらに、自然放出光吸収層15Bを低温で成長させることにより、バッファ層12として用いれば、製造工程の負担とならない。
【0071】
(第1の実施形態の第2変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第2変形例について図面を参照しながら説明する。
【0072】
図3は本実施形態の第2変形例に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図3において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図3に示すように、本変形例に係る窒化物半導体レーザ装置1Cは、活性層17と比べてエネルギーギャップが小さいp型InGaNからなる自然放出光吸収層15Cが、p型クラッド層18とp型コンタクト層19との間に形成されていることを特徴とする。ここでは、自然放出光吸収層15Cをp型とする必要があり、p型ドーパントとしてMgを用いている。
【0073】
このようにすると、自然放出光吸収層15Cは、活性層17からp側電極21側に放出される自然放出光の漏出を防止できる。
【0074】
(第1の実施形態の第3変形例)
以下、本発明の第1の実施形態の第3変形例について図面を参照しながら説明する。
【0075】
図4は本実施形態の第3変形例に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図4において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図4に示すように、本変形例に係る窒化物半導体レーザ装置1Dは、活性層17と比べてエネルギーギャップが小さいp型InGaNからなる自然放出光吸収層15Dが、p型コンタクト層19とp側電極21との間に形成されていることを特徴とする。
【0076】
このようにすると、自然放出光吸収層15Dは、GaNからなるp型コンタクト層19よりもエネルギーギャップが小さいため、p型コンタクト層19と比べてコンタクト抵抗が小さくなるので、しきい値電圧を低減できる。
【0077】
以上説明したように、第1の実施形態及びその各変形例においては、レーザ構造を形成するエピタキシャル層中に、自然放出光吸収層15A〜15Dのいずれかを設けたが、自然放出光吸収層が活性層17に近い程、該自然放出光吸収層がレーザ光の一部を吸収してしまい、レーザ発振時の損失が増える。このため、逆に、発振しきい値電流が増大するので、レーザ光の光分布を十分に考慮して設計する必要がある。
【0078】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0079】
図5は本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図5において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。本実施形態においては、第1の実施形態のように自然放出光吸収層をエピタキシャル層中に設けるのではなく、レーザチップ本体の外面上に自然放出光防止膜を設ける構成とする。
【0080】
図5に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置1Eは、サファイアからなる基板11の素子形成面と反対側の面(裏面)に、活性層17からの自然放出光を吸収するか又は反射する自然放出光防止膜31Aが形成されている。
【0081】
ここで、InGaNからなる活性層17から放出される自然放出光を吸収する材料として、自然放出光のエネルギーよりも小さいエネルギーギャップを有する結晶シリコン又はアモルファスシリコンを用いる。このシリコン(Si)膜は、例えばスパッタ法等を用いて形成する。なお、Siに限らず、エネルギーギャップが自然放出光のエネルギーよりも小さく且つプロセスになじみやすい材料であればよい。
【0082】
また、活性層17から放出される自然放出光を高度に反射する材料として、例えば、Au膜、又はAuと他の金属とを積層した、例えば、Ti/Pt/Auからなる積層膜が好ましい。これらの金属膜又は積層膜は電子ビーム蒸着法又は抵抗加熱蒸着法等を用いる。
【0083】
また、自然放出光防止膜31Aの材料として、Au、Ti及びPt以外にも、Cr、Sn、Cu、Fe、Ag又はIn等の金属、又はこれらの積層膜、合金(例えば、AuとSn等)を用いる。
【0084】
さらに、吸収膜と高反射膜とを組み合わせても良く、例えば、Siからなる吸収膜の上にAuからなる高反射膜を積層すると一層効果的である。
【0085】
このように、本実施形態によると、窒化物半導体レーザ装置1Eがサブマウント2に実装された状態では、活性層17の基板11側に放出される自然放出光の漏出を防止できるため、窒化物半導体レーザ装置1Eにおける基板11側の周辺部に配置される光素子に対する光学的ノイズを除去できる。
【0086】
(第2の実施形態の第1変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の第1変形例について図面を参照しながら説明する。
【0087】
図6は本実施形態の第1変形例に係る窒化物半導体レーザ装置の外観を示している。図6において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図6に示すように、本変形例に係る窒化物半導体レーザ装置1Fは、レーザチップ本体における活性層のレーザ光出射部を除く出射端面上と該出射端面と反対側の反射端面上とに、活性層から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜31Bが形成されている。
【0088】
レーザ光出射部のスポットサイズは5μm角程度である。また、反射端面から例えばモニター用のレーザ光を取り出さないような場合には反射端面の全面に自然放出光防止膜31Bを形成することが好ましい。このようにすると、発振しきい値をより低減できる。
【0089】
吸収膜としては、第2の実施形態と同様にSi膜が好ましい。また、高反射膜としては、前述の金属膜でよいが、ただし、金属等の導電性膜を設ける場合には、各半導体層の電気的な短絡を防ぐため、あらかじめSiO2 等からなる絶縁膜を下地層として形成しておく必要がある。
【0090】
ここで、本変形例に係る自然放出光防止膜31Bは、レーザチップ本体におけるレーザ光の共振方向と垂直な方向の端面に設けられているため、吸収膜とするよりは、反射膜とするほうが好ましい。このようにすると、自然放出光防止膜31Bで反射される自然放出光がレーザ発振に寄与できるからである。
【0091】
また、高反射膜は、例えば、SiO2 /TiO2 のように共に誘電体からなる積層膜を用いてもよい。この場合は、自然放出光の波長の1/4に相当する膜厚を有するSiO2 膜とTiO2 膜とを交互に積層することにより、例えば、6層構造とすると94%までの反射率を得ることができる。
【0092】
このように、本変形例によると、活性層17から共振器に対してほぼ平行な方向に放出される自然放出光の漏出を防止できるため、窒化物半導体レーザ装置1Fにおけるレーザ光の出射方向又は該出射方向と反対方向の周辺部に配置される光素子に対する光学的ノイズを除去できる。
【0093】
(第2の実施形態の第2変形例)
以下、本発明の第2の実施形態の第2変形例について図面を参照しながら説明する。
【0094】
図7は本実施形態の第2変形例に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図7において、図1に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図7に示すように、本変形例に係る窒化物半導体レーザ装置1Gは、レーザチップ本体におけるレーザ光の出射方向と平行な側面上に、活性層17から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止膜31Cが形成されている。
【0095】
ここで、吸収膜としては、第2の実施形態と同様にSi膜が好ましい。また、高反射膜としては、前述のAu等の金属膜でよいが、但し、金属等の導電性膜を設ける場合には、各半導体層の電気的な短絡を防ぐため、あらかじめSiO2 等からなる絶縁膜を下地層として形成しておく必要がある。
【0096】
また、吸収膜と高反射膜とを組み合わせて用いてもよく、例えば、Siからなる吸収膜の上にAuからなる高反射膜を積層してなる積層体を用いてもよい。
【0097】
このように、本変形例によると、活性層17から共振器に対してほぼ垂直な方向に放出される自然放出光の漏出を防止できるため、共振器と垂直な方向の周辺部に配置される光素子に対する光学的ノイズを除去できる
以上、第1の実施形態及びその変形例並びに第2の実施形態及びその変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例をそれぞれ組み合わせると、レーザチップ本体から漏出する自然放出光をほぼ完全に防止できる。
【0098】
なお、製造プロセスが複雑化することをも考慮すると、例えば、図1に示す第1の実施形態に係る自然放出光吸収層15A又は図2に示す第1の実施形態の第1変形例に係る自然放出光吸収層15B、及び図5に示す第2の実施形態に係る自然放出光防止膜31Aからなる吸収層及び防止膜を一の半導体レーザ装置に設けることが好ましい。
【0099】
図8は本発明に係る自然放出光吸収層15A及び自然放出光防止膜31Aを設けた場合の窒化物半導体レーザ装置と従来の窒化物半導体レーザ装置の各注入電流に対するそれぞれの光出力特性を表わしている。図8において、横軸はレーザ装置に注入する電流値(単位mA)を表わし、縦軸はレーザ光の出力値(単位mW)を表わし、曲線3は本発明に係るレーザ装置を表わし、曲線4は従来のレーザ装置を表わしている。図8に示すように、曲線4に示す従来の半導体レーザ装置においては、発振しきい値に達するまで自然放出光の漏出が見られるのに対し、曲線3に示す本発明に係る半導体レーザ装置においては、発振しきい値の近傍における自然放出光の出力がほとんどなく、レーザ光のみが出射していることが分かる。
【0100】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0101】
図9は本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図9において、図5に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図9に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置1Hは、レーザチップ本体におけるp側電極21から電流が注入される電流注入領域(いわゆるストライプ領域)の側方の領域であって、p型コンタクト層19からn型コンタクト層13にまで達することにより活性層17を共振器の長手方向に分断すると共に、電流注入領域とほぼ平行に延びる溝部26がエッチングにより形成されていることを特徴とする。
【0102】
また、基板11の素子形成面と反対側の面上には、例えばシリコンからなる自然放出光防止膜31Aが形成されている。
【0103】
溝部26の壁面上には、シリコン酸化膜等からなる絶縁膜27が形成されており、溝部26は、絶縁膜27上に、例えば金(Au)のように自然放出光を吸収可能な自然放出光吸収材28が蒸着等により充填されている。
【0104】
MOVPE法によって積層されたレーザチップ本体は、総膜厚が約5μmと小さいものの、積層体からなるため、各半導体層から基板面の面内方向に放出される自然放出光も無視できない。
【0105】
本実施形態によると、レーザチップ本体における電流注入領域の側方の領域に、自然放出光吸収材28が充填された溝部26により活性層17を分断する自然放出光吸収領域が形成されているため、基板11の面内方向に放出される自然放出光を吸収させることができる。
【0106】
なお、自然放出光吸収材28としてAuを用いたが、これに限らず、Ti、Cr、Sn、Cu、Fe、Ag、Pt若しくはIn等の金属、又はこれらのうちの複数の金属(例えば、Ti/Au等)を含む積層膜や合金を用いてもよい。また、単結晶シリコン又はアモルファスシリコン等のエネルギーギャップが比較的小さい半導体を用いてもよい。
【0107】
また、本実施形態においては、レーザチップ本体における電流注入領域に対してn側電極14と反対側の領域にのみ自然放出光吸収材28を設けたが、電流注入領域に対してn側電極14側の領域に設けてもよい。
【0108】
なお、図9に示すように、電流注入領域に対してn側電極側の領域に溝部26を設けない場合でも、n側電極14とn側端子電極25との間に介在させた半田材24によって、自然放出光は吸収され得る。また、Pb及びSn等を含む半田材22の代わりに、自然放出光を吸収可能な材料、例えば、導電性接着材又は銀ペースト材を用いてもよい。
【0109】
また、この溝部26は、活性層17から導波路以外に放出される自然放出光を抑制すればよく、必ずしも電流注入領域に平行に設けられる必要はない。
【0110】
本実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置における注入電流に対する光出力特性は、図8に示す曲線3とほぼ同等の特性を示すことを観察している。
【0111】
このように、本実施形態によると、レーザチップ本体の内部に設けられた自然放出光吸収材28、及び基板11の素子形成面と反対側の面上に設けられた自然放出光防止膜31Aにより、レーザチップから放出される自然放出光が低減されるため、コヒーレントなレーザ光を確実に得ることができる。また、光出力モニタ用のフォトダイオードに対する自然放出光の影響を小さくできるため、レーザ光の光出力の制御性を向上させることができる。
【0112】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0113】
図10は本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置の断面構成を示している。図10において、図5に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付すことにより説明を省略する。図10に示すように、本実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置1Iは、サブマウント2上にp側端子電極23又はn側端子電極25を介すると共に、レーザチップ本体におけるレーザ光の出射方向と平行な側面と間隔をおいて設けられ、活性層17から放出される自然放出光を吸収又は反射する自然放出光防止壁32が形成されていることを特徴とする。
【0114】
さらに、基板11の素子形成面と反対側の面上には、第2の実施形態において説明した、例えば、Au又はSi等からなる自然放出光防止膜31Aが形成されている。
【0115】
自然放出光防止壁32は、自然放出光防止膜31Aと同等の材料でよく、レーザチップから放出される自然放出光を吸収する材料が好ましい。
【0116】
この自然放出光防止壁32の形成方法は、前述した金属からなるバルク状若しくは焼結体状のブロック材、又はSiCからなるブロック材として形成し、サブマウント2のp側端子電極23及びn側端子電極25上にレーザチップの側面と間隔をおいて半田材等によりそれぞれ固着する。ここで、p側端子電極23又はn側端子電極25と自然放出光防止壁32との間に絶縁膜を介在させてもよい。
【0117】
また、他の形成方法として、ガラスからなるブロック材の表面に蒸着により前述の金属からなる薄膜を形成し、これを接着材等を用いて各端子電極23、25上に固着してもよい。
【0118】
このように、本実施形態によると、レーザチップ本体におけるレーザ光の出射方向と平行な方向の側面に間隔をおいて設けられた自然放出光防止壁32、及び基板11の素子形成面と反対側の面上に設けられた自然放出光防止膜31Aにより、レーザチップから放出される自然放出光が低減されるため、コヒーレントなレーザ光を確実に得ることができる。
【0119】
また、本実施形態における自然放出光防止膜31A及び自然放出光防止壁32はいずれも、レーザチップの各エピタキシャル層にダメージを与えるおそれがない。
【0120】
なお、自然放出光防止壁32は、レーザチップ本体におけるレーザ光の出射方向と平行な側面のうちのいずれか一方でもよい。
【0121】
また、基板11に絶縁性のサファイアではなく、例えばn型GaNのように導電性基板を用いる場合には、自然放出光防止膜31Aをn側電極14としてもよい。
【0122】
(第4の実施形態の一変形例)
以下、本発明の第4の実施形態の一変形例について図面を参照しながら説明する。
【0123】
図11(a)及び図11(b)は本発明の第4の実施形態の一変形例に係る窒化物半導体レーザ装置であって、(a)は断面構成を示し、(b)は外観を示している。図11(a)及び(b)において、図10に示す構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付している。図11(a)及び(b)に示すように、本変形例に係る窒化物半導体レーザ装置1Jは、サブマウント2上に、Au、Ti又はPtを含む金属等からなり、レーザチップ本体を覆うように設けられた蓋(ふた)状の遮光ケース33を有していることを特徴とする。この遮光ケース33は、底面が基板11の素子形成面と反対側の面と間隔をおくと共に、内壁面はレーザチップ本体の各側面と間隔をおき、且つ、p側端子電極23及びn側端子電極25との間にそれぞれ絶縁膜34を介在させて固着されている。
【0124】
また、図11(b)に示すように、遮光ケース33は、レーザチップにおけるレーザ光出射部と対向する部分にはレーザ光を外部に出力するための開口部33aが設けられている。活性層17の電流注入領域の幅が約5μmとしているため、レーザ光の出射端面におけるスポットサイズは5μm角程度である。従って、開口部33aの開口径は5μmか又は5μmをやや越える程度とすればよい。
【0125】
また、レーザ光の出力をモニタする必要がある場合には、遮光ケース33の側面における開口部33aと対向する部分に該開口部33aと同形状の他の開口部(図示せず)を設けてもよい。
【0126】
また、窒化物半導体レーザ装置1Jの用途によっては、必ずしもレーザチップ本体の4つの側面を覆う必要はない。例えば、遮光ケース33における光軸方向と交差する側の側板はいずれか一方でもよく、また、これら両方の側板がなくてもよい。
【0127】
本実施形態及びその変形例に係る窒化物半導体レーザ装置においても、注入電流に対する光出力特性が、図8に示す曲線3とほぼ同等の特性であることを観察している。
【0128】
以上説明した窒化物半導体レーザ装置1A〜1Jは、p型コンタクト層19をストライプ状の開口部を持つ絶縁膜20で覆うことにより、活性層17にストライプ状の電流注入領域を形成したが、さらにレーザ光の横モードの制御性を高めるために、p型コンタクト層19とp型クラッド層18をリッジ状に形成してもよい。
【0129】
なお、InGaNからなる活性層17を有する窒化物半導体レーザ装置に限らず、活性層17のエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを持つ基板11を用いる窒化物系半導体レーザ装置にも適用できる。
【0130】
また、各実施形態においては、窒化物半導体結晶をMOVPE法によって形成したが、これに限らず、分子線エピタキシ(MBE)法やハライドVPE(H−VPE)等用いて形成してもよい。
【0131】
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0132】
図12は本発明の第5の実施形態に係る光ディスク装置の構成を模式的に表わしている。本実施形態に係る光ディスク装置は、本発明の窒化物半導体レーザ装置を光ディスク装置の発光部に用いている。図12に示すように、光ディスク装置には、半導体レーザ装置41の出射端面と、所望のデータが記録された記録媒体である光ディスク50のデータ保持面とが互いに対向するように設けられ、半導体レーザ装置41と光ディスク50との間には、集光光学系装置としての集光光学部40が設けられている。
【0133】
集光光学部40は、半導体レーザ装置41側から順に設けられた、半導体レーザ装置41から出射される出射光51を平行光とするコリメータレンズ42と、平行光を3本のビーム(図示せず)に分割する回折格子43と、出射光51を透過し且つ光ディスク50からの反射光52の光路を変更するハーフプリズム44と、3本のビームを光ディスク50上に集光させる集光レンズ45とを有している。ここでは、発光光51として波長が約410nmのレーザ光を用いている。
【0134】
光ディスク50上に集光された3本のビームは径がそれぞれ0.4μm程度のスポット形状となる。この3つのスポットの位置によって検出される光ディスク50の半径方向の位置ずれを、集光レンズ45を適当に移動させることにより修正する駆動系回路46が設けられている。
【0135】
ハーフプリズム44からの反射光52の光路上には反射光52を絞る受光レンズ47と、焦点の位置ずれを検出するシリンドリカルレンズ48と、集光された反射光52を電気信号に変換する光検出器としてのフォトダイオード素子49とが設けられている。
【0136】
このように、半導体レーザ装置41からの発光光51を光ディスク50に導く集光光学部40、及び光ディスク50により反射した反射光52を受光するフォトダイオード素子49とを備えた光ディスク装置の発光部として、自然放出光の漏出を抑制又は防止する半導体レーザ装置41を用いるため、光ディスク50がデータの記録密度が高い高密度光ディスクであっても、該光ディスク50からのデータの読み出し(再生)時のS/N比が向上するので、低歪みの読み出し(再生)動作を実現できる。
【0137】
光ディスク50に対してデータの記録を行なうには、記録時にレーザ光の出力として、5mW程度の低出力から30mW程度の高出力に至るまで出力値を正確に制御する必要がある。それは、出力が30mWで書き込む前に低出力でアドレスを探す必要があるからである。
【0138】
本実施形態に係る光ディスク装置によると、半導体レーザ装置41から雑音源である自然放出光の漏出が抑えられるため、半導体レーザ装置41の光出力を検出(モニタ)するフォトダイオード(図示せず)は、出力中のレーザ光をより正確に電流に変換することができるようになる。具体的には、半導体レーザ装置41は光出力を変更させた時に線形的にモニタ電流が変化するため、該半導体レーザ装置41の出力動作を確実にコントロールできる。その結果、光ディスク装置の再生時又は記録時の動作が向上する。
【0139】
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0140】
図13は本発明の第6の実施形態に係る光集積化装置の構成を模式的に表わしている。図13に示すように、本実施形態に係る光集積化装置は、Siからなる1つの基体61上に形成されている。基体61の主面上には凹部61aが設けられ、該凹部61aの底面上には本発明の半導体レーザ装置62が半田材等により固着されている。凹部61aにおける半導体レーザ装置62の出射端面側の側壁には、基体61の主面に対して45°の角度をなすマイクロミラー63が設けられている。これにより、レーザチップ62から出射される発光光51は、マイクロミラー63により反射されて基体61の主面に対してほぼ垂直に進行する。ここで、マイクロミラー63はSiの面方位の(111)面を用いることが好ましい。
【0141】
基体61の凹部61aの壁面のうち、マイクロミラー63と対向する壁面には、半導体レーザ装置62の反射端面から若干出射されるレーザ光からレーザチップの出力値をモニタする出力モニタ用フォトダイオード素子64が形成されている。マイクロミラー63の表面はシリコンのままでもよく、Au、Ag又はAl等の金属薄膜を蒸着してもよい。
【0142】
基体61の上部におけるマイクロミラー63の反射面と平行な方向であって該マイクロミラー63を互いに挟む領域には、発光光51の光ディスク(図示せず)による反射光52を受光する光検出器としての第1のフォトダイオード素子65A及び第2のフォトダイオード素子65Bが、基体61に直接形成されている。
【0143】
このように、1つの基体上に発光部と受光部とが設けられ、小型化及び薄型化を図る光集積化装置の発光部に、自然放出光の放出が低レベルに抑制された半導体レーザ装置62を用いているため、受光部のS/N比を確実に向上させることができる。
【0144】
(第7の実施形態)
以下、本発明の第7の実施形態について説明する。
【0145】
本実施形態は、半導体レーザ装置における自動出力制御(APC)を確実に実行できる構成を説明する。
【0146】
一般に、半導体レーザ装置の光出力値はレーザチップに流す電流値によって変化するため、半導体レーザ装置を光ディスクや光通信等の光情報処理装置に用いる場合には、半導体レーザ装置に流す電流値を調節することにより所定の光出力を得ている。以下、この様子をグラフで説明する。
【0147】
図16(a)は半導体レーザ装置の動作電流値と光出力値との関係(以下、I−L特性曲線と呼ぶ。)を表わし、図16(b)はI−L特性曲線の温度変化を表わしている。図16(a)に示す動作電流の変化分(ΔI)に対する光出力の変化分(ΔL)は一般にスロープ効率と呼ばれている。
【0148】
図16(b)は、第1の温度T1 のときに第1の動作電流値I1 で所定の光出力値L0 を得られたとすると、この光出力値L0 を維持するには、第1の温度T1 よりも高い第2の温度T2 、さらに第2の温度T2 よりも高い第3の温度T3 においては、それぞれ第1の動作電流値I1 よりも大きい第2の動作電流値I2 、及び該第2の動作電流値I2 よりも大きい第3の動作電流値I3 を与える必要があることを示している。
【0149】
スロープ効率はレーザ素子の個体差が大きいため、温度によって敏感に変化する。具体的には、図16(b)に示すように、温度が高くなるに連れてしきい値電流が増大し且つスロープ効率が低下する傾向にある。従って、前述したように、温度が高くなるに連れて、所定の光出力値を得るための動作電流を増やす必要がある。
【0150】
このような温度依存性を持つ半導体レーザ装置を製品に応用する際には、所定の光出力値L0 を維持するために、レーザ素子の温度に対して動作電流値を調節するか、又はレーザ素子の温度を所定値に保つような温度制御が必要となる。
【0151】
温度に依らず光出力値を維持する方法として、一般には、レーザ光の一部を光電変換素子で検出して光出力をモニタし、半導体レーザ装置の動作電流値を調節する自動出力制御方法が採用されている。自動出力制御に必要な光出力値のモニタを行なうには、半導体レーザ装置からの出射光をフォトダイオード等の光電変換素子により受光する必要がある。半導体レーザ装置は、通常、共振器ミラーの両端面からレーザ光が出射するため、一方の出射光(以下、前方光と呼ぶ。)を素子のパッケージから外部に取り出し、他方の出射光(以下、後方光と呼ぶ。)をパッケージ内でフォトダイオードにより受光する構成を採る。
【0152】
このとき、レーザ光の発振しきい値に達する前に、半導体レーザ装置の活性領域からは、無指向性の自然放出光がレーザ装置の周囲に放出される。このうち、半導体レーザ装置の共振器ミラー方向に放出される成分は、図16(a)に示すI−L特性曲線上に、印加電流がしきい電流値に達する前の光出力として表われる。
【0153】
以下、半導体レーザ装置の材料、すなわち発振波長の相違によるI−L特性を比較する。
【0154】
図17は発振波長が異なる半導体レーザ装置のI−L特性曲線であって、曲線5はGaAsからなる基板上に形成され発振波長が約650nmのInGaAlP系半導体レーザ装置のI−L特性を示し、曲線6はサファイアからなる基板上に形成され発振波長が約400nmのInGaAlN系半導体レーザ装置のI−L特性を示している。図17から分かるように、曲線5に示すInGaAlP系半導体レーザ装置と比べて、曲線6に示すInGaAlN系半導体レーザ装置はしきい値における自然放出光量が5倍以上も多い。これは、GaAs基板は波長が870nm以下の光を吸収するため、InGaAlP系半導体レーザ装置の波長が650nmの自然放出光は吸収されるのに対し、サファイア基板はInGaAlN系半導体レーザ装置の波長が400nmの自然放出光を吸収できないからである。
【0155】
このように、発振しきい値に達する前の自然放出光が多いと、モニタ用のフォトダイオードにバイアス光として入力されてしまうため、自動出力制御による正確な光出力制御が困難となる。
【0156】
以下、本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザパッケージについて図面を参照しながら説明する。
【0157】
図14は本実施形態に係る半導体レーザパッケージ70の一部を切り欠いた斜視図である。図14に示すように、本実施形態に係る半導体レーザパッケージ70は、放熱性に優れた金属等からなる円板状のベース71と、放熱性に優れた金属等からなる四角錐台形状を有し、上底面がベース71の軸方向と平行となるようにその側面がベース71の上面と固着されたマウント72と、マウント72の上底面の上にサブマウント73を介在させ且つベース71の軸線方向とレーザ光の光軸とがほぼ一致するように固着された半導体レーザチップ74とを備えている。
【0158】
ベース71上には、半導体レーザチップ74におけるベース71と対向する領域に半導体レーザチップ74からの後方光Lb を検出する光電変換素子としてのフォトダイオード素子75が固着されている。
【0159】
マウント72の上底面上の半導体レーザチップ74とフォトダイオード素子75との間に設けられ、後方光Lb の光軸上に開口部76aを有する遮光手段としての遮光板76を有している。遮光板76は、レーザ光が透過しない材料であればよく、金属材、プラスチック材又はガラス材等を用いる。また、遮光板76の半導体レーザチップ74と対向する対向面は、後方光Lb の反射光が前方光Lf に混入しないように、少なくとも対向面をマット状(つや消し状)とすることが好ましい。さらには、遮光板76がレーザ光を吸収する材料、又は少なくとも対向面にレーザ光を吸収する塗料等が塗布されていることが好ましい。
【0160】
ベース71の上面には、マウント72及び遮光板76を覆うキャップが気密に固着されている。キャップ77における前方光Lf の光軸上には、該前方光Lf を透過する窓部が設けられ該窓部の内側にはウィンドガラス78が気密に設けられている。また、ベースの下面には、半導体レーザチップ74及びフォトダイオード75と外部とを電気的に接続する外部リード79が設けられている。
【0161】
レーザ光は強い指向性を有し、ある程度の広がり角を持ちながら光軸に沿って出射される。それに対して自然放出光は半導体レーザチップ74からチップ74の周囲全体に出射する。自然放出光のうちレーザ光の光軸方向に出射する成分はレーザ光と分離することは困難である。しかしながら、本実施形態のように、レーザ光の光軸に沿った位置に開口部76aを持つ遮光板76を、半導体レーザチップ74とフォトダイオード75との間に設けることにより、自然放出光の光軸方向と異なる成分をフォトダイオード75に検出されなくすることができる。
【0162】
前述したように、半導体レーザチップ74の基板に、サファイア、SiC又はGaNを用いる、発振波長が400nm付近のInGaAlN系レーザ装置においては、基板が自然放出光を吸収しないため、半導体レーザチップ74から漏れる自然放出光が、発振波長が650nm程度の赤色レーザ装置の場合よりも多い。従って、本実施形態のように、半導体レーザチップ74と光出力モニタ用のフォトダイオード75との間に、自然放出光における遮光板76の通過後の減衰量が、後方光Lb における遮光板76の通過後の減衰量よりも多くなるように設けられた遮光板76を有する構成は極めて効果が大きい。
【0163】
なお、開口部76aの開口径は、大きくする程、後方光Lb 及び自然放出光の減衰量が少なくなるため、後方光Lb の減衰量は少なく且つ自然放出光の減衰量は多くなるように、適当な径を選ぶことが好ましい。さらに、後方光Lb の減衰量が0となるように設定するのが好ましい。
【0164】
また、遮光板76の開口部76aの開口形状は円形でも方形でもよい。より好ましくは、半導体レーザチップから出射されるレーザ光のビーム形状が一般に長円形であるため、ビーム形状と対応した長円形とする。但し、半導体レーザチップの実装状態によっては、後方光のビーム形状が乱れる場合があり、必ずしも長円形状が最適な形状とは限らない。
【0165】
図15は本実施形態に係る半導体レーザパッケージが自動出力制御される様子を模式的に表わしている。図15において、図14に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付している。図15に示すように、半導体レーザチップ74から出射される後方光Lb は、フォトダイオード75により光電変換されてAPC回路80にモニタ信号として出力される。該モニタ信号を受けるAPC回路80は、半導体レーザチップ74の光出力値が所定値を維持できるように、半導体レーザチップ74の動作電流の電流量を調節する。
【0166】
本実施形態によると、半導体レーザチップ74から放出される自然放出光のうちレーザ光の後方光Lb と同方向に放出される成分を除いた成分は、半導体レーザチップ74とフォトダイオード75との間に設けられた遮光板76により遮られるため、フォトダイオード75に入射されない。これにより、遮光板76を設けない場合と比べて、自然放出光の検出量を10分の1程度にまで低減することができる。その結果、動作電流のしきい値近傍の低光出力状態であっても、自然放出光の影響を低減できるため、自動出力制御を高精度に行なうことができる。
【0167】
従来は、フォトダイオード75が後方光Lb に比較的多く混入する自然放出光までをも後方光Lb の検出光として光電変換してしまうため、実際のレーザ光の出力値を高く評価することとなる。その結果、APC回路80は所定の光出力値よりも低い動作電流を設定することとなる。
【0168】
なお、本実施形態においては、遮光手段を、開口部76aを持つ遮光板76としたが、開口部76aは必ずしも必要ではない。例えば、自然放出光の減衰量がレーザ光の減衰量よりも大きい薄膜でもよい。
【0169】
また、板状の部材以外にも、例えば、後方光Lb の光軸を包含するように延びる筒状の部材であってもよい。
【0170】
また、遮光手段は、半導体レーザチップ74とフォトダイオード75との間に設けられる部材に限られない。例えば、図14に示すキャップ77の内部に充填され、自然放出光の減衰量がレーザ光の減衰量よりも大きい気体又は樹脂材であってもよい。
【0171】
また、効果は弱まるものの、長波長発振型のInGaAlP系レーザ装置に対しても本実施形態と同様の遮光板76を設けることにより、自然放出光を低減できることはいうまでもない。
【0172】
【発明の効果】
本発明に係る半導体レーザ装置によると、レーザ発振に付随する自然放出光が装置の外部に放出されなくなるため、該装置の周辺部に配置される光素子に対する光学的ノイズを除去できる。従って、光ディスク等の読み取り動作時のS/N比が向上するので、自動出力制御をより確実に行なえるようになると共に、光集積化装置への応用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の第1変形例に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の第2変形例に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の第3変形例に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の第1変形例に係る窒化物半導体レーザ装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態の第2変形例に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図8】本発明に係る窒化物半導体レーザ装置と従来の窒化物半導体レーザ装置の各注入電流に対するそれぞれの光出力特性を表わすグラフである。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る窒化物半導体レーザ装置を示す構成断面図である。
【図11】(a)及び(b)は本発明の第4の実施形態の一変形例に係る窒化物半導体レーザ装置を示し、(a)は構成断面図であり、(b)は斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施形態に係る光ディスク装置を示す模式的な構成図である。
【図13】本発明の第6の実施形態に係る光集積化装置を示す模式的な斜視図である。
【図14】本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザ装置を示す一部切欠断面斜視図である。
【図15】本発明の第7の実施形態に係る半導体レーザ装置における自動出力制御方法を示す模式的な構成図である。
【図16】(a)は通常の半導体レーザ装置における動作電流値と光出力値との関係(I−L特性曲線)を表わすグラフである。
(b)はI−L特性曲線の温度依存性を表わすグラフである。
【図17】従来の短波長発振型半導体レーザ装置と長波長発振型半導体レーザ装置とにおけるI−L特性曲線を比較したグラフである。
【符号の説明】
1A 窒化物半導体レーザ装置
1B 窒化物半導体レーザ装置
1C 窒化物半導体レーザ装置
1D 窒化物半導体レーザ装置
1E 窒化物半導体レーザ装置
1F 窒化物半導体レーザ装置
1G 窒化物半導体レーザ装置
1H 窒化物半導体レーザ装置
1I 窒化物半導体レーザ装置
1J 窒化物半導体レーザ装置
2 サブマウント
11 基板
12 バッファ層
13 n型コンタクト層
14 n側電極
15A 自然放出光吸収層
15B 自然放出光吸収層
15C 自然放出光吸収層
15D 自然放出光吸収層
16 n型クラッド層(第1のクラッド層)
17 活性層
18 p型クラッド層(第2のクラッド層)
19 p型コンタクト層
20 絶縁膜
21 p側電極
22 半田材
23 p側端子電極
24 半田材
25 n側端子電極
26 溝部
27 絶縁膜
28 自然放出光吸収材
31A 自然放出光防止膜
31B 自然放出光防止膜
31C 自然放出光防止膜
32 自然放出光防止壁
33 遮光ケース
34 絶縁膜
40 集光光学部(集光光学系装置)
41 半導体レーザ装置
42 コリメータレンズ
43 回折格子
44 ハーフプリズム
45 集光レンズ
46 駆動系回路
47 受光レンズ
48 シリンドリカルレンズ
49 フォトダイオード素子(光検出器)
50 光ディスク
51 発光光
52 反射光
61 基体
61a 凹部
62 半導体レーザ装置
63 マイクロミラー
64 出力モニタ用フォトダイオード素子
65A 第1のフォトダイオード素子(光検出器)
65B 第2のフォトダイオード素子(光検出器)
70 半導体レーザパッケージ
71 ベース
72 マウント
73 サブマウント
74 半導体レーザチップ
75 フォトダイオード素子(光電変換素子)
76 遮光板(遮光手段)
76a 開口部
77 キャップ
78 ウィンドガラス
79 外部リード
Lb 後方光
Lf 前方光

Claims (7)

  1. 基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、
    前記第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、
    前記活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層と、
    前記第2のクラッド層の上に形成され、前記活性層に対してストライプ状に電流を注入する電極とを備え、
    前記活性層におけるストライプ状の電流注入領域の側方には前記電流注入領域に平行に延びる溝部が形成され、
    前記溝部には、前記活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収材が充填されていることを特徴とする半導体レーザ装置。
  2. 前記自然放出光吸収材のエネルギーギャップは、前記活性層のエネルギーギャップよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  3. 前記自然放出光吸収材は、シリコンからなることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  4. 前記溝部は、前記電流注入領域に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  5. 前記溝部は、前記電流注入領域の両側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ装置。
  6. 半導体レーザ装置と、
    前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光をデータが記録された記録媒体上に集光する集光光学系装置と、
    前記記録媒体によって反射されたレーザ光を検出する光検出器とを備え、
    前記半導体レーザ装置は、
    基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、
    前記第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、
    前記活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層と、
    前記第2のクラッド層の上に形成され、前記活性層に対してストライプ状に電流を注入する電極とを有し、
    前記活性層におけるストライプ状の電流注入領域の側方には前記電流注入領域に平行に延びる溝部が形成され、
    前記溝部には、前記活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収材が充填されていることを特徴とする光ディスク装置。
  7. 半導体からなる基板上に設けられた半導体レーザ装置と、
    前記基板上に形成され、前記半導体レーザ装置から出射されたレーザ光の反射光を検出する光検出器とを備え、
    前記半導体レーザ装置は、
    基板上に形成された第1導電型の窒化物半導体からなる第1のクラッド層と、
    前記第1のクラッド層の上に形成された窒化物半導体からなる活性層と、
    前記活性層の上に形成された第2導電型の窒化物半導体からなる第2のクラッド層と、
    前記第2のクラッド層の上に形成され、前記活性層に対してストライプ状に電流を注入する電極とを有し、
    前記活性層におけるストライプ状の電流注入領域の側方には前記電流注入領域に平行に延びる溝部が形成され、
    前記溝部には、前記活性層から放出される自然放出光を吸収する自然放出光吸収材が充填されていることを特徴とする光集積化装置。
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