JP4034836B2 - 船舶のための主動力によって独立に積極的操縦機構として使用可能な装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船舶のための主動力によって独立に積極的操縦機構として使用可能な装置、特に、中心のまわりに回転可能に水平に支持されたホイール本体を有し、ホイール本体には、細長い翼が、前記ホイール本体の中心から離れた位置に配置された垂直軸のまわりに回転可能に支持され、ホイール本体が回転するとき、動力伝達機構を通じて前記翼が使用されることによって推進力を生じさせる運動が引き起こされる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置として、例えば、DE−AS1941652に記載された装置がある。この装置によれば、船舶を任意の方向に操縦することができる。しかしながら、この場合、備えられたフォイト・シュナイダー・プロペラは、航行中に、エネルギー節約型の消極的な舵としては使用されていない。その原因は、フォイト・シュナイダー・プロペラの運動学および翼の数にあり、船舶の長さ方向において、および必要な舵角の下に翼を調節する際に大きな抵抗を生じることにある。フォイト・シュナイダー・プロペラによれば、積極的なエネルギーの供給なしに、船舶の必要な進路変更を達成することはできない。さらに、フォイト・シュナイダー・プロペラは、重量が重く、構造が複雑であり、製造および装備が簡単ではない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、軽量かつ簡単な構造を有し、比較的低コストで製造でき、船舶の航行中、あるいは特に低速度での航行中に、積極的な翼の運動によって任意の方向に大きな推力を生じさせることができる装置を提供することにより、上記の欠点を解消することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明は、船舶のための主動力によって独立に積極的操縦機構として使用可能な装置であって、中心のまわりに回転可能に水平に支持されたホイール本体を有し、前記ホイール本体には、細長い翼が、前記ホイール本体の中心から離れた位置に配置された垂直軸のまわりに回転可能に支持され、前記ホイール本体が回転するとき、動力伝達機構を通じて前記翼が使用されることによって推進力を生じさせる運動が引き起こされるようにした装置において、船舶の消極的な舵としてまたは船舶の積極的操縦機構として使用可能であり、複数の翼が前記ホイール本体に、前記ホイール本体の中心から離れた位置に配置されたそれぞれの垂直軸のまわりに回転可能に支持され、前記ホイール本体および前記翼が前記ホイール本体内部の中心に配置された中央平歯車によって独立に駆動され得るようにした装置を構成したものである。そして、船舶の消極的な舵として使用されるときには、前記ホイール本体は固定され、前記複数の翼は、制御ユニットによって、前記ホイール本体の中心を通って配置された複数の中心軸と、前記中心軸に取り付けられた中央平歯車と、前記翼の回転軸に結合された外側平歯車と、前記ホイール本体の内部であって前記中央平歯車および前記外側平歯車の間に配置され、前記中央平歯車および前記外側平歯車の両方に係合する中間平歯車とからなる歯車機構を介して、船舶の縦軸の方向に方向選定されるとともに、必要な舵の角度を伝達されるようになっている。この装置が船舶の積極的な操縦機構として使用されるときには、前記中心軸と、前記中心軸に取り付けられた前記中央平歯車は、360°変化し得る望まれた推進方向に対応して回転角度を設定され、前記推進方向に固定された前記中央平歯車に対して前記ホイール本体が回転せしめられ、遊星歯車機構の作用によって、前記翼は周囲の水に対して運動し、前記中央平歯車の回転角度に対応する方向に推進力が生じる。
【0005】
この構成において、装置を消極的に使用する場合には、ホイール本体は固定され、必要な舵の角度に応じて中央平歯車の回転角が設定され、この中央平歯車の回転角が遊星歯車機構を通じて翼に伝達される。また、装置を積極的に使用する場合には、遊星歯車機構によって、ホイール本体が回転して、翼は、その回転軸のまわりに回転すると同時にホイール本体の中心のまわりにも回転し、その結果、正確に方向選定された推進力が生じる。
【0006】
本発明の好ましい実施例によれば、前記翼の調節は、中央平歯車と、外側平歯車と、前記中央平歯車および前記外側平歯車に係合する多数の中間平歯車と、チェーンまたはベルトからなる歯車機構によってなされる。
本発明の別の好ましい実施例によれば、前記翼は、その回転軸に対して垂直な方向に沿って流線形断面を有している。
また、好ましくは、本発明による装置の1つまたは2つが、船舶の船首または船尾に備えられている。
【0007】
DE−PS 838865およびUS−PS 5082423には、動力伝達手段として使用された遊星歯車機構が記載されている。この遊星歯車機構は、中央平歯車と、中央平歯車に係合する中間平歯車と、中間平歯車に係合しかつ駆動機構を支持する外側平歯車とからなっている。しかしながら、この場合、駆動機構は垂直軸のまわりに回転することがなく、よって、この駆動機構は、翼板駆動機構として典型的な構造を備えており、翼板は、相互に独立して動かされることも、調節されることもできない。特別な操縦性はこれには備わっていない。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施例について説明する。本発明による船舶の消極的な舵としてまたは船舶の積極的操縦機構として使用可能な装置は、船舶の(図示はしない)主動力によって独立に作動する。
図1は、本発明による装置の実施例であって、複数の翼を備えた装置を示す側面図である。図1に示したように、装置は、(図示はしない)船底に水平に配置されたホイール本体2と、ホイール本体2の中心から離れた位置においてホイール本体2から垂直下向きに突出して配置された複数の翼3a、3bと、ホイール本体2の内部に配置され、翼3a、3bの位置をそれぞれ独立に変化させる歯車機構と、ホイール本体2を駆動するための(図示はしない)駆動装置とを備えている。
【0016】
ホイール本体2は、船底に、その中心のまわりに回転可能に支持されている。翼3a、3bは、それぞれ垂直な回転軸3a’、3b’のまわりに回転可能に配置されており、回転軸3a’、3b’に垂直な方向に沿って流線形断面を有している。
【0017】
歯車機構は、遊星歯車機構として形成されており、それぞれホイール本体2の中心を通って垂直に配置された複数の中心軸4a’、4b’に取り付けられた複数の中央平歯車4a、4bと、翼3a、3bの回転軸3a’、3b’に取り付けられた外側平歯車5a、5bを有している。さらに、ホイール本体2の内部における中央平歯車4a、4bおよび外側平歯車5a、5bの間には、中央平歯車および外側平歯車の両方に係合する中間平歯車6a、6bが回転可能に支持されている。
さらに、外側平歯車5a、5bは、ホイール本体2の環状内周面に係合しており、ホイール本体2がその中心のまわりに回転するのに伴って、回転軸3a’、3b’のまわりに回転するようになっている。
【0018】
こうして、2つの独立な中心軸4a’、4b’によって、翼3a、3bをそれぞれ独立に方向選定することが可能である。翼3a、3bは、ホイール本体2が回転するにつれて、ホイール本体2の中心のまわりに回転すると同時に、それぞれの回転軸3a’、3b’のまわりにも回転し、積極的な操縦装置として作用する。そして、中心軸4a’、4b’および中央平歯車4a、4bの回転角度によって翼3a、3bによる推進力の方向が決定される。この推進力の方向は、360°変化し得る。
【0019】
図2は、図1に示した装置が消極的な舵として使用された場合の翼の位置を示す平面図である。図2において、ホイール本体2は一定位置に固定されている。そして、翼3a、3bは、中心軸4a’、4b’および中央平歯車4a、4bを介して、それぞれの回転軸3a’、3b’に対する回転角度が0°の位置において、その流線形断面の縦軸が船舶の縦軸Aに平行になるように位置設定されている。そして、翼3a、3bのそれぞれの0°位置からの角度が、船舶の舵の角度に対応するようになっている。舵の角度は、1つまたは複数の(図示はしない)制御ユニットによって、互いに連結されたまたは独立した2つの中心軸4a’、4b’と、中央平歯車4a、4bおよび中間平歯車6a、6bを介して、外側平歯車5a、5b、よって翼3a、3bに伝達されるようになっている。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、遊星歯車機構を使用したことにより、軽量かつ簡単な構造を有し、比較的低コストで製造でき、船舶の航行中、あるいは特に低速度での航行中に、積極的な翼の運動によって任意の方向に推進力を生じさせ得る装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の実施例であって、複数の独立した制御可能な翼を備えた装置の側面図である。
【図2】図1に示した装置が、消極的な舵として使用された場合の翼の位置を示す平面図である。
【符号の説明】
2 ホイール本体
3 翼
3’回転軸
4 中央平歯車
4’中心軸
5 外側平歯車
6 中間平歯車
Claims (4)
- 船舶のための主動力によって独立に積極的操縦機構として使用可能な装置であって、中心のまわりに回転可能に水平に支持されたホイール本体を有し、前記ホイール本体には、細長い翼が、前記ホイール本体の中心から離れた位置に配置された垂直軸のまわりに回転可能に支持され、前記ホイール本体が回転するとき、動力伝達機構を通じて前記翼が使用されることによって推進力を生じさせる運動が引き起こされるようにした装置において、
船舶の消極的な舵としてまたは船舶の積極的操縦機構として使用可能であり、複数の翼が前記ホイール本体に、前記ホイール本体の中心から離れた位置に配置されたそれぞれの垂直軸のまわりに回転可能に支持され、前記ホイール本体および前記翼が前記ホイール本体内部の中心に配置された中央平歯車によって独立に駆動され得るようになっており、
船舶の消極的な舵として使用されるときには、前記ホイール本体(2)は固定され、前記複数の翼(3a,3b)は、制御ユニットによって、前記ホイール本体(2)の中心を通って配置された複数の中心軸(4a’,4b’)と、前記中心軸に取り付けられた中央平歯車(4a,4b)と、前記翼(3a,3b)の回転軸に結合された外側平歯車(5a,5b)と、前記ホイール本体(2)の内部であって前記中央平歯車(4a,4b)および前記外側平歯車(5a,5b)の間に配置され、前記中央平歯車(4a,4b)および前記外側平歯車(5a,5b)の両方に係合する中間平歯車(6a,6b)とからなる歯車機構を介して、船舶の縦軸(A)の方向に方向選定されるとともに、必要な舵の角度を伝達されるようになっており、
船舶の積極的な操縦機構として使用されるときには、前記中心軸(4a’,4b’)と、前記中心軸(4a’,4b’)に取り付けられた前記中央平歯車(4a,4b)は、360°変化し得る望まれた推進方向に対応して回転角度を設定され、前記推進方向に固定された前記中央平歯車(4a,4b)に対して前記ホイール本体(2)が回転せしめられ、遊星歯車機構の作用によって、前記翼(3a,3b)は周囲の水に対して運動し、前記中央平歯車(4a,4b)の回転角度に対応する方向に推進力が生じることを特徴とする装置。 - 前記複数の翼の調節は、中央平歯車と、外側平歯車と、前記中央平歯車および前記外側平歯車に係合する多数の中間平歯車と、チェーンまたはベルトからなる歯車機構によってなされることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 前記翼(3;3a,3b)は、その回転軸に対して垂直な方向に沿って流線形断面を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の装置の1つまたは2つが、船舶の船首または船尾に備えられていることを特徴とする装置。
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