以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1を参照して、本発明に係る携帯端末の一態様である携帯電話100について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る携帯電話100の外観を表わす図である。なお、携帯端末は、携帯電話100に限られず、PDA(Personal Digital Assistant)その他の端末であってもよい。携帯電話100は、筐体120と、筐体120に配置されたディスプレイ150と、マイク110と、スピーカ160と、ディスプレイ150に表示されるカーソルを移動させるための移動キー、その他の数字キーを有する操作ボタン130とを含む。
図2を参照して、携帯電話100の構成について説明する。図2は、本実施の形態に係る携帯電話100の機能ブロック図である。携帯電話100は、アンテナ102と、外部からの指示の入力を受付けるための入力部200と、時刻を計測するための計時部140と、バッテリ170と、データを記憶するための記憶部220と、外部から入力される指示と記憶部220に格納されているデータおよびプログラムとに基づいて、予め定められた処理を実行するための制御部230と、制御部230あるいは記憶部220からのデータに基づいて情報を出力するための出力部210とを含む。入力部200は、たとえば図1に示したマイク110と、操作部130とを含む。
制御部230は、バッテリ170の電圧を検知してその電圧値を表わす信号を出力するための電圧検知部290と、アンテナ102により受信される信号およびアンテナ102を介して信号を送信する処理を制御するための通信制御部240と、バッテリ170の電圧値が予め定められた第1の電圧を上回っている間携帯電話100が有する機能を実現するための第1の処理部250と、バッテリ170の電圧値が予め定められた第2の電圧値を上回っている間、第1の処理部250により実現される機能と異なる第2の機能を実現するための第2の処理部280と、計時部140、記憶部220あるいはその他の各部から入力される信号に基づいて携帯電話100の使用状態を検出するための検出部260と、検出部260により検出された携帯電話100の使用状態に基づいて第1の電圧値を変更するための変更部270とを含む。
ここで、第1の処理部250は、携帯電話100の基本的な機能を実現する。この機能には、電話機能(テレビ電話機能を含む)、電話帳データの更新、削除その他の処理機能、電子メールの送受信機能等が含まれる。また、携帯電話100その他の携帯端末が、テレビやラジオの放送信号を受信可能なチューナその他の受信機能、または静止画や動画を撮影可能なCCD(Charge Coupled Device)、レンズその他の撮影機能を備えている場合には、上記第1の処理部250において実現される機能として、上記受信機能または撮影機能を含めてもよい。
要するに、携帯端末の使用状態に応じて、継続的に使用する優先順位が高い処理を、上記第2の処理部280に行なわせ、当該第2の処理部280で行なわれる処理以外の処理を上記第1の処理部250で行なわせるように、上記第1の電圧値を変更する。このことにより、ユーザの使用状態に応じて動作を制御することが出来る携帯端末を提供することができる。
第2の処理部280は、従来携帯電話100以外のものにより実現されていた機能を実現する。この機能には、たとえば電子マネーの情報処理機能、会員証としての機能、交通機関の乗車券としての機能等が含まれるが、これらに限られない。また、これらの機能に加えて、所定のデータあるいはプログラムを携帯電話100に取り込むことにより、新たな機能も追加可能である。このような機能は、たとえば通信回線を介してデータ等を取得することにより、あるいは、そのデータが格納されたメモリカード(図示しない)を携帯電話100に装着することにより、追加することができる。
記憶部220は、ディスプレイ150に画像を表示させるためのデータを一時的に格納する出力データ一時記憶部222と、制御部230による処理の実行のためのデータを一時的に格納するデータ一時記憶部224と、予め準備されたデータあるいはプログラムを格納するデータ記憶部226とを含む。出力データ一時記憶部222は、たとえばVRAM(Video Random Access Memory)である。データ一時記憶部224は、たとえばRAMである。データ記憶部226は、たとえばフラッシュメモリである。なお、記憶部220の構成は、図2に示した態様に限られずその他の構成であってもよい。
出力部210は、通信制御部240から出力される音声信号に基づいて音声を出力するスピーカ160と、ディスプレイ150と、第1の処理部250から出力される信号に基づいて予め定められた発信動作を実行するバイブレータ152と、第1の処理部250から出力される信号に基づいて予め定められた色の光を発するLED(Light Emitting Diode)154とを含む。
図2をさらに参照して、第2の処理部280は、外部とデータを通信するためのデータ通信部286と、予め準備されたデータおよびデータ通信部286により通信されたデータを記憶するためのデータ記憶部284と、バッテリ170からの電力の供給に基づいて予め定められた機能を実現する処理を実行するための情報処理部282とを含む。
変更部270は、携帯電話100の使用状態に基づいて第1の電圧値として使用される新たな電圧値を算出するための算出部272と、その新たな電圧値を第1の電圧値としてデータ記憶部226の所定のデータ領域に書き込むための記録部274とを含む。
検出部260は、たとえば、第2の処理部280が実行するプログラムがデータ記憶部226に記憶されているか否かを検出するための機能と、データ記憶部226に記憶されているプログラムの数を検出する機能と、情報処理部282によって実行される頻度を検出する機能と、計時部140からの信号と情報処理部282による処理の実行履歴とに基づいて、情報処理部282が第2の機能を実現するために処理を実行した時刻である処理時刻を検出する機能と、検出した時刻に基づいてその情報処理が実行された時間帯を検出する機能と、データ通信部286による電波の受信を検知して、計時部140からの時刻データに基づいて、その電波の受信を検知するまでの所要時間を算出する機能と、電波の受信の検知に応答して、計時部140により計測される時刻に基づいて、その電波の受信を検知するための所要時間を算出する機能と、情報処理部282による処理の開始の検知に応答して計時部140により計測される時刻に基づいて、その処理が開始されるまでの起動時間を算出する機能とを含む。これらの機能は、後述するように、予め準備されたプログラムが実行されることにより実現される。なお、上記の各機能の全てが検出部260により実現されなくてもよい。
算出部272は、第2の処理部280が実行するプログラムがデータ記憶部226に記憶されている場合に予め定められた値を第1の電圧値に加算する機能と、データ記憶部226に記憶されているプログラムの数に応じて予め定められた変化量を第1の電圧値に加算する機能と、情報処理部282による情報処理の実行頻度が予め定められた標準頻度を上回る場合に、予め定められた変化量を第1の電圧値に加算する機能と、処理時間が予め定められた標準時間を上回る場合に予め定められた変化量を第1の電圧値に加算する機能と、特定された時間帯に対応付けられる変化量を第1の電圧値に加算する機能と、情報処理部282による処理の頻度が最大である時間帯を検出する機能とその時間帯に対して予め定められた変化量を第1の電圧値に加算する機能と、情報処理が実行された時刻が予め定められた時間帯に含まれる場合に、予め定められた変化量を第1の電圧値に加算する機能と、電波を受信するまでの所要時間とその時間について予め定められた変化量とに基づいて、新たな電圧値を算出する機能と、情報処理が開始されるまでの時間に対する電波の受信時間の比率を算出する機能と、その比率と予め定められた変化量とに基づいて電圧値を新たに算出する機能とを含む。
なお、ここで、情報処理の実行頻度とは、当該情報処理が実行される頻度をいう。この頻度は、たとえば1週間その他の所定期間における処理の実行回数であるが、これに限られない。標準頻度とは、当該情報処理の実行に関し、予め設定された頻度をいう。また、標準時間とは、当該情報処理が実行される場合に要する標準的な時間をいう。
なお、算出部272は、予め準備されたプログラムが実行されることにより、上記の各機能を実現することができる。あるいは、各機能は、たとえば予め構成された回路その他のハードウェアによっても実現可能である。また、算出部272は、上記の全ての機能を有する必要はない。
本実施の形態においては、電圧値を変化させるために、基準となる電圧値を設定しておき、使用状況に応じて変化量を加算して電圧値を変化させる場合を開示しているが、本発明は、その場合に限定されるものではない。たとえば、加算あるいは減算した後の電圧値そのものを記憶しておき、設定してもよいし、各状況での電圧値の変化率を設定しておき、基準となる電圧値等に変化率を乗じて電圧値を変化させても良い。また、本実施の形態においては、説明の便宜上「加算」という文言を使用しているが、場合により「減算」する場合も含む概念で使用されることに注意されたい。
また、本実施の形態に係る携帯電話100の第2の処理部280は、図2においては、携帯電話100に内蔵される態様で示されているが、この態様に限られるものではない。すなわち、第2の処理部280は、着脱可能な構成であっても良い。たとえば、第2の処理部280が、データ通信機能を有するメモリカード形式である場合には、第2の処理部280を着脱可能な構成とすることができる。このような構成により、携帯電話100に対して、新たな機能を容易に追加することができる。
図3〜図8を参照して、本実施の形態に係る携帯電話100におけるデータ構造について説明する。図3は、携帯電話100のデータ記憶部226に格納される携帯電話100の動作を制御するためのデータおよび任意の機能を実現するためのプログラムの格納の一態様を表わす図である。
第1の処理部250の動作を制御するための第1の電圧値のデータは、データ領域D300に格納される。バッテリ170の電圧値がこの第1の電圧値を上回っている間、第1の処理部250は所定の処理を実行することができる。しかし、検知された電圧値がこの第1の電圧値を下回ると、第1の処理部250はたとえ入力部200から動作の実行のための指令があっても何らの動作を実行することができない。
第2の処理部280の動作を制御するための第2の電圧値は、データ領域D302に格納される。第2の処理部280は、たとえば図3に示したようにバッテリ170の電圧値が3.5ボルト以上である間予め定められた処理を実行することができる。ここで、第1の電圧値は、第2の電圧値に対して所定の差異を設けて設定される。すなわち、たとえば第1の処理部250の動作を制御するためのしきい値は、第2の処理部280の動作を制御するためのしきい値よりも高く設定される。このようにすると、バッテリ170の電圧の低下により第1の処理部250が所定の動作を実行することができなくなっても、第2の処理部280は、なおも処理を実行することができる。
予め定められた第1の電圧値を変更するためのデータは、データ領域D310およびD312に格納される。たとえば、第2の処理部280による処理のためのアプリケーションプログラムが使用可能である場合、第1の電圧値を変更するためのデータは、データ領域D310に格納される。すなわち、後述するようにアプリケーションプログラムがデータ記憶部226に格納されている場合には、そのプログラムはたとえ実際に実行されていない場合でも第1の電圧値を基準値よりも0.1ボルト上回るように設定される。また、実際にアプリケーションプログラムが実行されている場合には、さらに余裕を持たせた電圧値が設定される。すなわち、たとえば0.2ボルトの電圧値が加算される。このデータは、図3に示すようにデータ領域D312に格納される。
第1の処理部250が実行するプログラムは、たとえばデータ領域D320からD328にそれぞれ格納される。すなわち、携帯電話100が本来有する機能を実現するためのプログラムは、各領域に格納される。この機能は、携帯電話100の入出力制御、電源制御その他の動作を制御する動作制御プログラム、電話、データ通信その他の通信制御プログラム、メールの作成、編集等を行なうメール編集プログラム、携帯電話100が受信する映像音声信号に基づいて映像を再生する機能などを含む。なお、データ記憶部226におけるデータの格納態様は、図3に示した態様に限られない。
図4は、携帯電話100のデータ記憶部226に格納されるデータの格納の一態様を表わす図である。第2の処理部280が複数のアプリケーションプログラムを実行することができる場合、第1の処理部250の動作を制御するための電圧値をその各アプリケーションプログラムに応じて変更するようにしてもよい。
すなわち、図4において、たとえば第1のアプリケーションプログラムのための電圧値の変更量は、データ領域D330に格納される。第2のアプリケーションプログラムのための変更量は、データ領域D332に格納される。このように、アプリケーションに応じて第1の処理部250のしきい値を変更することにより、ユーザによる携帯電話100の使用状態に応じて、適切に第1の処理部250および第2の処理部280の動作を制御することができる。
図5を参照して、携帯電話100におけるデータ構造についてさらに説明する。第2の処理部280が実行するアプリケーションプログラムの単位使用頻度当りの変更量は、データ領域D340に格納される。ここで単位使用頻度とは、たとえば予め定められた時間内においてそのプログラムが実行される頻度をいう。データ通信部286が電波を検出する時間と、その電波に含まれる指示に基づいて特定のアプリケーションプログラムが起動する時間との比に応じた変更量は、データ領域D342に格納される。この変更量は、たとえば図5に示すように0.1当りの電圧値として予め設定される。なお、図5に示した変更量の値およびその基準となる単位はこれらに限られない。
図6は、携帯電話100の第2の処理部280によるアプリケーションの実行履歴の格納の一態様を表わす図である。この履歴は、たとえば、第2の処理部280がそのアプリケーションを実行した時間帯に応じて取得される。
図6において、たとえば、基準となる時間帯が1時間毎に設定されている場合、7時から8時までの間に特定のアプリケーションが使用された回数は、データ領域D352に格納される。同様にして次の時間帯すなわち8時から9時までの間に使用された回数は、データ領域D354に格納される。なお、時間帯の単位は、たとえば1時間であるがこれよりも短くてもよいし長くてもよく、最適な単位は、使用形態などに応じて適宜設定すればよい。このように、時間帯に応じて、電圧値を変更することにより、携帯電話100は、そのユーザの使用態様に応じた電源制御を実行することができる。
これまでは、しきい値の変更は、予め定められた項目に基づいて実行された。これに代えて、ユーザが、携帯電話100による第1の処理部250に対するしきい値の設定を任意に行なえるようにしてもよい。すなわち、ユーザが予め指定した少なくとも1つ以上の時間帯については、その間第1の処理部250に対するしきい値が通常よりも高くなるように設定可能とすることができる。
図7を参照して、第1のユーザ設定時間帯を表わすデータは、データ領域D360に格納される。第2のユーザ設定時間帯を表わすデータは、データ領域D362に格納される。各時間帯における電圧値の変更量を表わすデータは、データ領域D364に格納される。その結果、ユーザが携帯電話100を7時から8時および17時から18時の間使用する場合には、第1の処理部250に対するしきい値は、通常よりも0.2ボルト高く設定される。このようにすると、ユーザのライフスタイルに応じて第2の処理部280によるプログラムの実行のための電圧を確保することができる。なお、ユーザが任意に設定可能な時間帯は、図7に示すように、2つの時間帯である必要はない。たとえば1つの時間帯のみを指定できても良いし、3つ以上の時間帯、あるいは曜日ごとに時間帯の数が異なる態様であってもよい。
図8は、第2の処理部280に含まれるデータ記憶部284におけるアプリケーションプログラムおよび必要なデータの格納の一態様を表わす図である。データ記憶部284は、アンテナ102を介して受信された信号に基づいてあるいはデータ通信部286を介して受信した信号に基づいて特定の処理を実現するためのプログラムおよび必要な初期データを記憶することができる。このようなプログラムは、たとえば電子マネー機能を実現するためのものであり、あるいは、切符、会員証その他の機能を実現するためのものである。
図8を参照して、第2の処理部280が電子マネーの機能を実現する場合、そのためのプログラムはデータ領域D800に格納される。残高情報は、データ領域D802に格納される。暗証番号は、データ領域D804に格納される。この場合、プログラムと、残高情報と、暗証番号とは、それぞれ対応付けて記憶される。
また、第2の処理部3280がチケット機能を実現する場合には、そのためのプログラムはデータ領域D810に格納される。この電子チケットが有効である期限は、データ領域D812に格納される。携帯電話100のユーザが乗車した駅を表わすデータは、データ領域D814に格納される。ユーザが乗車した時刻は、データ領域D816に格納される。この場合、そのプログラムと、有効期限と、乗車駅と、乗車時刻とは、それぞれ対応付けて記憶される。
さらに、第2の処理部280が会員証機能を有する場合には、会員証データすなわち会員証番号は、データ領域D820に格納される。その会員証の有効期限は、データ領域D822に格納される。データ領域D820およびD822に格納されるデータは、それぞれ関連付けられている。この場合、会員証データと有効データとは対応付けて記憶される。したがって、たとえば、データ領域D812に格納されるデータと、データ領域D822に格納されるデータとは、別個のプログラムにより参照されることはない。
このようにして第2の処理部280に含まれるデータ記憶部284は、所定の処理を実行することにより追加したり削除したりすることができる。したがって、データ記憶部284に格納されるプログラムおよびデータは、図8に示したものに限られない。
図9を参照して、本実施の形態に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図9は、携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。この処理は、データ記憶部226に予め格納されたプログラムに基づいて実行される。
ステップS910にて、携帯電話100の制御部230は、計時部140からの時刻データを初期化する。その後、制御部230は、時間の計測を開始する。ステップS920にて、制御部230は、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過している場合には(ステップS920にてYES)、処理はステップS930に移される。そうでない場合には(ステップS920にてNO)、処理は再びステップS920に戻され、時刻の計測が継続する。
ステップS930にて、制御部230は、データ記憶部284におけるプログラムの格納状態を検出する。ステップS940にて、制御部230は、特定のアプリケーションプログラムが格納されているか否かを判断する。特定のプログラムが格納されている場合には(S940にてYES)、処理はステップS950に移される。そうでない場合には(ステップS940にてNO)、処理は終了する。
ステップS950にて、制御部230は、データ記憶部226から電圧値の更新用のデータを読み出す。すなわち、図3に示したデータ領域D310に格納されているデータが、データ一時記憶部224の所定のワーク領域に読み出される。
ステップS960にて、制御部230は、第1の電圧値に読出した電圧値を加算して新たな第1の電圧値を算出する。すなわち、データ領域D300に格納されているデータとデータ領域D310に格納されているデータとが加算される。
ステップS970にて、制御部230は、新たに算出した第1の電圧値をデータ記憶部226の所定の領域すなわちデータ領域D300に格納する。これによりデータ領域D300に格納されるデータの値は3.8ボルトとなる。
図10を参照して、本実施の形態に係る携帯電話100の制御構造についてさらに説明する。図10は、制御部230が実行する動作制限処理の手順を表わすフローチャートである。この処理は、たとえば、予め定められた時間毎に、予め定められた時刻に、あるいは予め設定された特定のアプリケーションが実行されるときに、行なわれる。
ステップS1010にて、制御部230は、第2の処理部280におけるアプリケーションプログラムの実行の開始を検知する。ステップS1020にて、制御部230は、計時部140からの時刻データを初期化する。ステップS1030にて、制御部230は、所定時間が経過したか否かを判断する。所定時間が経過している場合には(ステップS1030にてYES)、処理はステップS1040に移される。そうでない場合には(ステップS1030にてNO)、処理はステップS1030に戻される。
ステップS1040にて、制御部230は、バッテリ170の電圧値を検出する。ステップS1050にて、制御部230は、データ記憶部226の第1のデータ領域D300に格納されている電圧値を読み出す。
ステップS1060にて、制御部230は、読出した電圧値がバッテリ170の電圧値を上回るか否かを判断する。読出した電圧値がバッテリ170の電圧値を上回る場合には(ステップS1060にてYES)、処理はステップS1070に移される。そうでない場合には(ステップS1060にてNO)、処理は終了する。
ステップS1070にて、制御部230は、携帯電話100の所定の動作を制限する指示を出力する。この指示が出力されると、たとえば操作部130を介して入力される指示あるいはディスプレイ150に画像を表示する処理が実行されなくなる。
ステップS1080にて、制御部230は、そのアプリケーションプログラムの実行が終了しているか否かを判断する。アプリケーションプログラムの実行が終了している場合には(ステップS1080にてYES)、処理は終了する。そうでない場合には(ステップS1080にてNO)、処理は、ステップS1080に戻される。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る携帯電話100の動作について説明する。ここでは、電子チケット機能が携帯電話100に追加されている場合について説明する。この機能は、たとえば電車に乗車するための切符として機能することができる。
ユーザが携帯電話100にチケット機能を追加すると、その機能を実現するためのプログラムが第2の処理部280のデータ記憶部284に格納される。そのプログラムの格納後予め定められた時刻が最初に検知されたときに、その電子チケット機能プログラムが格納されていることが検知される(ステップS940にてYES)。そのアプリケーションプログラムの格納に応じて予め定められた電圧値のデータがデータ記憶部226のデータ領域D310から読出される(ステップS950)。携帯電話100における当初の設定値「3.7ボルト」(データ領域D300)は、新たに「3.8ボルト」(すなわち3.7+0.1)に更新される(ステップS960)。
ユーザがその携帯電話100を使用して駅の改札口を通過すると、データ記憶部226のデータ領域D814およびD816に乗車駅および乗車時刻を表わすデータがそれぞれ格納される。このようなデータ領域におけるデータの変化に応じてアプリケーションプログラムの実行が開始されたことが検知される(ステップS1010)。その後所定時間が経過すると(ステップS1030にてYES)、バッテリ170の電圧値が検出される(ステップS1040)。ユーザが駅の改札口を通った後に携帯電話100の他の機能(たとえばメール機能、通話機能あるいはゲーム)を使用してバッテリ170の電圧値が低下し、その電圧値が第1の電圧値よりも小さくなっていることが検出されると(ステップS1060にてYES)、携帯電話100の第2の処理部280が実行する機能以外の機能が制限される(ステップS1070)。すなわち、ユーザはそれまで使用していたメール機能、通話機能その他の機能を使用することができなくなる。この場合、ユーザは少なくとも乗車した列車から下車して、出札するところまでは、その携帯電話100を電子チケットとして使用することができる。したがって、第2の処理部280がバッテリ170の電圧値の不足により所定の処理を実行することができなくなるという事態が防止される。
なお、本実施の形態は、ステップS1060においてYESの場合、ステップS1070にて携帯電話100の所定の動作を制限する指示を出力する場合を例示している。このような場合に代えて、所定の動作を制限する指示を行なう前に、画面表示や音声などによりユーザに対してこれから所定の動作を制限する旨の報知、制限する処理の内容をユーザに選択させるように構成しても良い。あるいは、その動作を制限しない場合に、他のどの処理を制限するかをユーザが選択可能であってもよい。この場合、たとえば各処理の有効性を制御するための制御データを、その処理に関連付けて記憶させることにより、処理の動作を制限することができる。このことにより、すぐに改札を出るのに所望の動作(たとえば、メールの送受信、音声通話の送着信、アプリケーションの実行等)ができなくなるといった不便さを軽減することができる。また、上述のような所望の動作をすぐに行ないたい場合に、減電による処理を延期するなどの柔軟な対応が可能になる。その結果、ユーザによる使い勝手を向上させることができる。
以下、図11〜図18を参照しつつ、本実施の形態の変形例について説明する。なお、以下の変形例に係る携帯電話は、前述の実施の形態に係る携帯電話100と同じハードウェア構成を有する。それらの機能も同じである。したがって、ここではそのハードウェア構成および各構成要素の作用について、詳細な説明は繰返さない。また、各変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理において、前述の処理と同一の処理には同一のステップ番号を付し、それらについての説明は繰返さない。さらに、携帯電話の動作について、同じ動作の説明は繰り返さない。
<第1の変形例>
以下、本実施の形態の第1の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話100は、アプリケーションプログラムの数に応じて携帯電話100の動作を制御する第1の電圧値を変更する機能を有する点で、前述の実施の形態に係る携帯電話100と異なる。なお、この機能はデータ記憶部226に予め記憶されているプログラムにより実現される。
図11を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図11は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1130にて、制御部230は、データ記憶部284に格納されているアプリケーションプログラムの数を検出する。
ステップS1160にて、制御部230は、その数に応じた電圧値の変更量を算出する。この算出は、たとえばデータ記憶部226に予め格納されている変更量とそのプログラムの数とを乗ずることにより行なわれる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本変形例に係る携帯電話100の動作について説明する。なお、前述の実施の形態における動作と同じ動作の説明は、ここでは繰り返さない。
ユーザが電子チケット機能に加えて、会員証機能を携帯電話100に追加すると、会員証機能のためのデータが第2の処理部280のデータ記憶部284のデータ領域に格納される(図8)。その後、所定の時間が経過すると(ステップS920にてYES)、アプリケーションプログラムの数が検知される(ステップS1130)。携帯電話100は、電子チケット機能と会員証機能、すなわち2つの機能を有するため、第1の電圧値は、2つのアプリケーションプログラムを使用する場合に変更される(ステップS1160)。
ユーザが、携帯電話100の電子チケット機能を使用して、駅の改札を通り、さらに乗車する(ステップS1010)。その後、所定の時間が経過すると(ステップS1030にてYES)、バッテリ170の電圧値が計測される(ステップS1040)。バッテリ170の電圧値が第1の電圧値より下回ると(ステップS1060にてYES)、その動作が制限される(ステップS1070)。すなわち、携帯電話100は2つのアプリケーションプログラムを使用しているため、1つのアプリケーションプログラムを使用する場合に比べて、携帯電話100の基本的な機能の使用のための電圧値が、通常よりも高く設定されている。その結果、バッテリ170の電圧値の低下による動作の制限が、1つのアプリケーションを使用する場合に比べて、早期に行なわれる。そのため、携帯電話100は、実行中のアプリケーションの実行を妨げられにくくなり、ユーザの利便性が向上する。
以上のようにして本変形例に係る携帯電話100によると、第1の処理部250による動作を制限するための第1の電圧値は、第2の処理部280に格納されているアプリケーションプログラムの数に応じて変更される。このようにすると、携帯電話100のユーザの使用態様に応じて第1の処理部250の動作が制限される。したがって、ユーザの使用状態に応じた携帯電話100を提供することができる。
<第2の変形例>
以下、本実施の形態の第2の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話100は、アプリケーションプログラムの実行頻度に応じて第1の電圧値を変更する機能を有する点で、前述の実施の形態および変形例と異なる。
図12を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図12は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1230にて、制御部230は、データ記憶部226から特定のアプリケーションプログラムの実行頻度と予め定められた標準頻度とを読み出す。ステップS1240にて、制御部230は、その実行頻度が標準頻度を上回っているか否かを判断する。実行頻度が標準頻度を上回っている場合には(ステップS1240にてYES)、処理はステップS950に移される。そうでない場合には(ステップS1240にてNO)、処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本変形例に係る携帯電話100の動作について説明する。なお、前述の動作と同じ動作の説明は、ここでは繰り返さない。
アプリケーションの実行頻度に基づく電圧値の変更が有効である場合、所定の時間が経過すると(ステップS920にてYES)、そのアプリケーションの実行頻度と、予め設定された標準頻度とが読み出される(ステップS1230)。実行頻度が標準頻度を上回っている場合(ステップS1240にてYES)、変更用の電圧値が読み出され、初期値に加算される(ステップS950)。これにより、その後、そのアプリケーションが実行される際には、通常よりも高い電圧値で、他の機能が実行不可となるため、ユーザは、そのアプリケーションを継続して実行させることができる。
以上のようにして、本変形例に係る携帯電話100によると、ユーザが特定のアプリケーションプログラムを使用する回数が多い場合には、携帯電話100の他の機能の実行が制限される。ユーザは、そのアプリケーションを優先して使用することができる。これにより、ユーザの第2の処理部280の使用状態に応じて適切な制御をする携帯電話100を提供することができる。
<第3の変形例>
以下、本実施の形態の第3の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話100は、アプリケーションの実行時間に応じて、第1の電圧値を変更する機能を有する点で、前述の各携帯電話と異なる。
図13を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図13は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1310にて、制御部230は、特定のアプリケーションプログラムの実行の開始を検知する。ステップS1320にて、制御部230は、データ記憶部226からそのアプリケーションプログラムについて予め定められた標準時間を読み出す。ステップS1330にて、制御部230は、そのプログラムが実行された処理時間を算出する。
ステップS1340にて、制御部230は、アプリケーションが実行された処理時間が標準時間を上回るか否かを判断する。処理時間が標準時間を上回る場合には(ステップS1340にてYES)、処理はステップS950に移される。そうでない場合には(ステップS1340にてNO)、処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本変形例に係る携帯電話100の動作について説明する。なお、前述の実施の形態および各変形例における動作と同じ動作の説明は、繰り返さない。
ユーザが特定のアプリケーションを使用している場合、所定の時間が経過すると、アプリケーションの使用が検知される(ステップS1310)。そのアプリケーションの使用時間について予め設定された標準時間が読み出される(ステップS1320)。そのアプリケーションが実行された処理時間が算出される(ステップS1330)。処理時間が標準時間よりも長い場合(ステップS1340にてYES)、電圧値が変更される(ステップS960)。
以上のようにして、本変形例に係る携帯電話100によると、ユーザが特定のアプリケーションプログラムを標準時間よりも長い間使用する場合には、予め設定された第1の電圧値よりも大きな値がその電圧値として設定される。すなわち、ユーザが特定のアプリケーションを通常よりも長い時間使用している場合には、第1の電圧値が通常よりも高く設定される。その結果、そのアプリケーション以外の携帯電話の機能の実行が制限される。したがって、たとえば頻繁に使用するアプリケーションを、通常よりも特に長い時間使用する場合であっても、そのアプリケーションを実行させるために必要な電圧をバッテリ170に確保させることができる。このようにすると、ユーザが特定のアプリケーションプログラムを通常よりも長い間使用していてもその使用を妨げることなく携帯電話100は動作をすることができる。
<第4の変形例>
以下、本実施の形態の第4の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話は、ユーザがアプリケーションを実行する時間帯に応じてその他の機能の動作を制限する機能を有する点で、前述の実施の形態に係る携帯電話100と異なる。
図14を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図14は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1410にて、制御部230は、特定のアプリケーションプログラムの実行が開始された時刻を検出する。ステップS1420にて、制御部230は、そのプログラムが実行されている時間帯を特定する。ステップS1430にて、制御部230は、データ記憶部226からその時間帯に対応する電圧値の更新用のデータを読み出す。
以上のようにして、本変形例に係る携帯電話100は、ユーザの使用時間帯に応じてその他の機能の動作を禁止する。このようにすると、ユーザが特定のアプリケーションプログラムを特定の時間帯に使用する場合には、そのプログラムを実行するために十分な電圧値が確保されるため、処理が途中で中断されたり禁止されたりすることを防止できる。
<第5の変形例>
以下、本実施の形態の第5の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話は、アプリケーションが実行される時間帯に応じてその他の動作を制限する機能を有する点で、前述の各変形例に係る携帯電話と異なる。
図15を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図15は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1520にて、制御部230は、アプリケーションプログラムが実行されている時間帯別のデータを更新する。ステップS1530にて、制御部230は、そのデータをデータ記憶部226に格納する。ステップS1540にて、制御部230は、アプリケーションプログラムが実行されている時間帯が実行頻度が高い時間帯であるか否かを判断する。その時間帯が実行頻度が高い時間帯である場合には(ステップS1540にてYES)、処理はステップS950に移される。そうでない場合には(ステップS1540にてNO)、処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本変形例に係る携帯電話100の動作について説明する。
ユーザが携帯電話100のアプリケーションを使用中、その使用開始時刻に基づいて、時間帯のデータが更新され(ステップS1520)、そのデータがメモリに格納される(ステップS1530)。そのアプリケーションの使用頻度がその時間帯に高い場合には(ステップS1540にてYES)、その時間帯に応じた電圧値に変更するためのデータ(図6)が読み出され、変更される(ステップS1960)。その結果、第1の電圧値が通常よりも高く設定されることにより、その時間帯においては、他の機能が実行されにくくなるため、ユーザは、そのアプリケーションを中断されることなく、その時間帯において使用することができる。
以上のようにして、本変形例に係る携帯電話100によると、ユーザが特定のアプリケーションプログラムを使用する時間帯においては、その他の動作を制限するように電圧値が変更される。一方、それ以外の時間帯については携帯電話が有する機能は通常通り実現され得る。これにより、ユーザの使用状況に応じて特定のアプリケーションプログラムの実行を確保することができる携帯電話を提供することができる。
<第6の変形例>
以下、本実施の形態の第6の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話は、ユーザが任意に時間帯を設定することにより特定のアプリケーションプログラムの実行を確保する機能を有する点で、前述の各変形例に係る携帯電話と異なる。この場合、ユーザは、たとえば操作部130を介して予め特定の時間帯を入力することができる。このようにして入力されたデータは、指定された時間帯として、図7に示したように所定のデータ領域に格納される。
図16を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図16は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1620にて、制御部230は、データ記憶部226から、ユーザが設定した時間帯のデータを読み出す。ステップS1630にて、制御部230は、そのアプリケーションプログラムが実行されている時間帯はユーザが設定した時間帯であるか否かを判断する。その時間帯がユーザが設定した時間帯である場合には(ステップS1630にてYES)、処理はステップS950に移される。そうでない場合には(ステップS1630にてNO)、処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本変形例に係る携帯電話の動作について説明する。なお、前述の動作と同じ動作の説明は、ここでは繰り返さない。
ユーザが操作部130に含まれる数字キーあるいはカーソル移動キーを操作して、特定の時間帯を指定する。この時間帯は、たとえばデータ記憶部226の所定のデータ領域に格納される(図7)。ユーザが携帯電話100の特定のアプリケーションを使い始めると、そのときの時刻に基づいて時間帯が特定される(ステップS1420)。その時間帯がユーザによって予め設定された時間帯である場合には(ステップS1630にてYES)、その時間帯に応じた電圧値に変更される(ステップS960)。その結果、その時間帯の間は、通常よりも早く、他の機能の動作が停止されるようになる。すなわち、特定のアプリケーションその他の第2の処理部230により実現される機能のみが、継続して実行可能になる。
以上のようにして、本変形例に係る携帯電話100によると、ユーザは特定のアプリケーションプログラムの実行を確保するために特定の時間帯だけ電圧値の設定を変更することができる。これによりユーザの使用状態に応じてアプリケーションプログラムの実行を確実にすることができる携帯電話を提供することができる。
<第7の変形例>
以下、本実施の形態の第7の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話100は、第2の処理部280のデータ通信部286が搬送波の受信を検知する時間に応じて第1の処理部250の動作を制限する機能を有する点で、前述の各変形例に係る携帯電話と異なる。この機能は、たとえば携帯電話100を電子チケットとして使用し、ユーザがその携帯電話100を情報読取機(たとえば駅の改札口)に近づけて、所定の情報通信を行なう場合に使用される。
図17を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図17は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1710にて、制御部230は、外部のカードリーダ(図示しない)との通信の開始を検知する。ステップS1720にて、制御部230は、カードリーダからの搬送波の受信を検知する。ステップS1730にて、制御部230は、情報処理部282と計時部140からの信号に基づいて、電波が受信された時刻を検出する。ステップS1740にて、制御部230は、搬送波の受信を検知するまでの受信時間を算出する。ステップS1750にて、制御部230は、その受信時間が予め定められた時間を上回るか否かを判断する。受信時間がその所定時間を上回る場合には(ステップS1750にてYES)、処理はステップS950に移される。そうでない場合には(ステップS1750にてNO)、処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本変形例に係る携帯電話100の動作について説明する。なお、前述の動作と同じ動作の説明は、ここでは繰り返さない。ここでは、ユーザが携帯電話100を会員証として使用する場合について説明する。この会員証とは、たとえば勤務先その他の特定の組織の一員であることを示す会員証、特定の施設への入館を管理するための会員証等である。
ユーザが施設の入り口においてカードリーダ(図示しない)に携帯電話100を近づけると、携帯電話100は、カードリーダからの電波の受信を開始する(ステップS1710)。携帯電話100は、さらに、搬送波の受信を検知する(ステップS1720)。携帯電話100のデータ通信部286は、その電波から特定の情報を読み取る。搬送波の受信が検知されるまでの時間が算出される(ステップS1740)。その時間が予め定められた時間よりも長い場合(ステップS1750にてYES)、携帯電話100の第1の処理部250の作動を制限するために、第1の電圧値が通常よりも高く設定される(ステップS960)。
その結果、ユーザが施設の中にいる間、第2の処理部280のための電力が確保されるため、そのユーザは、入り口から出場することができる。これにより、施設のカードリーダは、ユーザの入出館を電子的に確実に管理することができる。
以上のようにして、本変形例に係る携帯電話100によると、たとえば第2の処理部280が実行するプログラムの数が多い場合には、搬送波の受信を検知するまでの時間が長くなる。この場合には、第2の処理部280による処理を可能にするために第1の処理部250による動作を制限するための電圧値が高く変更される。これによりユーザの使用状態に応じて第1の処理部250の動作を制限できる携帯電話100を提供することができる。
<第8の変形例>
以下、本実施の形態の第8の変形例について説明する。本変形例に係る携帯電話100は、搬送波の受信が検知されるまでの時間とアプリケーションが実行されるまでの時間との割合に応じて電圧値が更新される機能を有する点で、前述の各変形例に係る携帯電話と異なる。
図18を参照して、本変形例に係る携帯電話100の制御構造について説明する。図18は、本変形例に係る携帯電話100の制御部230が実行する処理の手順を表わすフローチャートである。
ステップS1840にて、制御部230は、特定のアプリケーションプログラムが実行されるまでの起動時間を算出する。ステップS1850にて、制御部230は、その起動時間に対する受信時間の割合を算出する。ステップS1860にて、制御部230は、その割合が予め定められた値を上回るか否かを判断する。その割合が予め定められた値よりも大きい場合には(ステップS1860にてYES)、処理はステップS950に移される。そうでない場合には(ステップS1860にてNO)、処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本変形例に係る携帯電話100の動作について説明する。なお、前述の動作と同じ動作の説明は、ここでは繰り返さない。以下では、ユーザが総合病院における各部門の診察をうける場合において、その携帯電話100がカルテとして使用される場合について説明する。
ユーザが病院の入り口においてカードリーダ(図示しない)に携帯電話100を近づけると、携帯電話100は、カードリーダからの電波の受信を開始する(ステップS1710)。携帯電話100は、さらに、搬送波の受信を検知する(ステップS1720)。携帯電話100のデータ通信部286は、その電波から特定の情報を読み取る。搬送波の受信が検知されるまでの時間が算出される(ステップS1740)。
携帯電話100がデータ記憶部226からカルテ情報を読み出し、そのカルテ情報を使用するアプリケーションが立ち上がる。そのアプリケーションが実行されるまでの起動時間が算出される(ステップS1840)。さらに、その起動時間に対する受信時間の割合(すなわち、受信時間/起動時間)が算出される(ステップS1850)。算出結果が、予め設定された値よりも大きい場合には(ステップS1860にてYES)、そのアプリケーションに応じて、第1の電圧値が変更される(ステップS960)。
たとえば、ユーザが複数の診察(内科、眼科等)を受ける場合、ユーザ情報あるいは各診療科に応じた診察情報が、それぞれ読み出される。これにより、ユーザがその病院に滞在している間、携帯電話100は、診察券として機能することができる。また、その際、通常の電話機能あるいはメール機能などの使用が制限されるため、電磁波の発生も防止される。
本変形例に係る携帯電話100によると、搬送波が受信されてから特定のアプリケーションプログラムが実行されるまでの時間が相対的に長い場合には、そのアプリケーションプログラムを実行するために必要な電圧値が確保されるように第1の電圧値が高めに設定される。すなわち、そのプログラムのサイズあるいは実行する処理の数の多さによりアプリケーションプログラムが実行されるまでの起動時間が長い場合には、第2の処理部280が十分にその処理を実行することができるように第1の処理部150の動作が制限される。
以上詳述した本実施の形態および各変形例に係る携帯電話100によると、その携帯電話100が予め準備された機能とそれ以外の特定のアプリケーションプログラムにより実現される機能とを有する場合には、バッテリ170に対するしきい値が変更される。すなわち、第1の処理部250に対するしきい値である第1の電圧値は、第2の処理部280の実行するアプリケーションプログラムに応じて変更される。このようにすると、ユーザによって第2の処理部280が実行する機能が異なる場合、あるいは実行頻度、回数、時間帯などが異なる場合、その各使用状態に応じて第1の処理部250の動作が制限される。その結果、第1の処理部250の動作は一律に制限されなくなるため、各ユーザのライフスタイルに応じて各機能を実現することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 携帯電話、102 アンテナ、110 マイク、120 筐体、130 操作部、140 計時部、150 ディスプレイ、152 バイブレータ、154 LED、160 スピーカ、170 バッテリ、200 入力部、210 出力部、220 記憶部、222 出力データ一時記憶部、224 処理データ一時記憶部、226 データ記憶部、230 制御部、240 通信制御部、250 第1の処理部、260 検出部、270 変更部、272 算出部、274 記録部、280 第2の処理部、282 情報処理部、284 データ記憶部、286 データ通信部、290 電圧検知部。