JP4033486B2 - 炎症アデノイドで発現する新規なケモカイン、その産生と使用 - Google Patents
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Description
本出願は、1994年2月4日に出願された“新規なヒトアデノイド細胞由来ポリペプチド及びその製造と使用(Novel Human Adenoid Cell-Derived Polypeptides, Their Productin and Uses)”なる名称の係属中の米国特許出願第08/194,317号に関連する。
背景技術
単球、マクロファージ、好塩基球、及び好酸球を含む白血球は、T細胞及び/またはB細胞により開始される病理メカニズムにおいて重要な役目を果たす。特に、マクロファージは、組織の破壊をもたらす強力な酸化剤及びタンパク質分解酵素を作り出し、かつ他の炎症性細胞を増やし活性化するサイトカイン類を分泌する。
白血球がその適切な目的地の方に進み、他の細胞と相互作用する過程での重要な調節プロセスに関する研究は現在進行中である。血液から損傷組織または炎症組織への白血球の移動を説明する現在のモデルは、以下のようなステップを含む。第1ステップは、白血球が血管壁の内皮細胞をローリングし接着する。この動きは、セレクチンとそのリガンドとの一時的な相互作用により媒介されている。第2ステップは、インテグリン及びそのリガンドにより媒介されるより安定的な白血球−内皮細胞相互作用を促進する細胞の活性化である。このより強力でより安定的な接着により、白血球の血管外遊出及び組織への浸出という最終ステップが促進される。
インタークリン(intercrine)なる名称でも知られている、ポリペプチドサイトカインのケモカインファミリーは、異なる炎症部位への白血球動員を説明するために必要な細胞特異性を有している。第1に、ケモカインは内皮細胞上の特定の接着分子の発現を媒介する。第2に、ケモカインは、特定の種類の細胞を活性化する化学誘因物質因子の勾配を作り出す。更に、ケモカインは特定の種類の細胞の増殖を刺激し、特定のレセプタを有する細胞の活性化を調節する。これらの作用の何れもが、標的細胞特異性の程度が高いことを説明している。
このケモカインは小型のポリペプチドで、一般に約70〜100個のアミノ酸(aa)からなる長さで、8〜11kBの分子量を有し、1〜100nG/mlの濃度の範囲にわたって活性である。初めに、このケモカインは炎症組織から単離、精製され、その生理活性に関して特性化された。最近では、ケモカインは分子クローニング技術によって発見され、構造の解析と共に機能の解析により特性化されている。
各種ケモカインは、主として成熟分子における初めの2つのシステイン残基のスペーシングに基づいて形成される4つのシステインモチーフに基づく近縁関係を有している。現在、各種ケモカインは2つのファミリー、即ちC−X−Cケモカイン(α)及びC−Cケモカイン(β)の何れか一方に割り当てられている。例外は存在するが、C−X−Cケモカインは、好中球及び繊維芽細胞を活性化し、C−Cケモカインは、単球/マクロファージ、好塩基球、好酸球、T細胞他を含むより多様な標的細胞のグループに作用する。これらのケモカインの両ファミリーは多種多様な細胞により合成され、その概要は“Thomson A.(1994)The Cytokine Handbook,2d Ed.Academic Press,NY.”に記載されている。ケモカインのこの2つのグループについては後に再び説明する。
典型的な、最も広く研究されているC−X−Cケモカインは、血小板第4因子(PF4)である。この70個のアミノ酸からなるタンパク質は、特徴的な4つのシステインを示し、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子β(PGF−β)及びβトランボグロブリン(β−TG)と共に、刺激された血小板の顆粒から放出される。このホモ四量体分子は、インターロイキン−8(IL−8)と類似の構造を有しており、繊維芽細胞、好中球、及び単球の体内移動を誘発し、またヘパリンと結合する。PF4は血栓症、炎症、及び創傷治癒の間の関連についての生物学的モデルを提供する。
血小板の顆粒に見いだされる他のケモカインには、β−TG、結合組織活性化タンパク質III(CTAP−III)、及び好中球活性化ペプチド2(NAP−2)がある。これらの3つのペプチドは、前駆体分子、血小板塩基性タンパク質(platelet basic protein)(PBP)の異なるプロセシングに由来する。β−TGは、81個のアミノ酸からなる、高い塩基性のタンパク質であり、繊維芽細胞の体内移動に作用するが、好中球または単球に対しては影響を及ぼさない。CTAP−IIIは、85個のアミノ酸からなる長さを有するが、4番目から85番目までのアミノ酸はβ−TGと同一である。CTAP−IIIは、顆粒における主なタンパク質であり、精製されたタンパク質としてのその役割は明らかにされていないことから、これは、更にプロセシングされるまで不活性な第2の前駆体である可能性がある。NAP−2は、好中球を誘引するが、単球は誘引しないものと考えられている。
血小板由来でないC−X−Cケモカインとしては、IL−8、γインターフェロン誘発性タンパク質(IP−10)、メラニン細胞増殖刺激活性化(MGSAまたはgro)タンパク質、上皮由来好中球誘因物質−78(ENA−78)、顆粒球走化性タンパク質−2(GPC−2)、及びストロマ細胞由来1α因子、及び1β因子(SDF−1α及びSDF−1β)等が挙げられる。(NAP−1とも称する)IL−8は、炎症誘発性のサイトカインであるIL−1及び3、IFN−γ及びTNFや、内毒素、マイトジェン、微粒子、細菌及びウィルスに応答して単球/マクロファージ、好中球、繊維芽細胞、内皮細胞、ケラチノサイト及びT細胞により分泌される。IL−8は、好中球の接着及びケラチノサイトの成長の両方のアップレギュレーションと、好塩基球によるヒスタミンの産生のダウンレギュレーションとを引き起こし、急性の炎症を刺激する。
IP−10は機能が未知である10kDのタンパク質であって、そのmRNAは、単球、繊維芽細胞、及び内皮細胞において発見された。単球、ケラチノサイト、及び活性化したT細胞は、IP−10タンパク質を分泌するが、このタンパク質は遅延型過敏症反応を起こした部位に局在していた。MGSA/gro aのcDNAは、15kDのタンパク質を作り出し、これは繊維芽細胞内に現われる。その転写は成長に関連しており(growth related)、オートクライン成長因子として機能する。異なる非アレルのgro βとgro gは、gro aとそれぞれ90%及び86%が一致している。組換え体gro aタンパク質は、好中球を誘引し活性化する。ENA−78は、肺胞細胞の上清から精製された。これも、gro γのようにin vitroで好中球を誘引し、活性化する。
GCP−2は、6kDのタンパク質であって、骨肉腫細胞の上清から単離されたものである。GCP−2には様々なN末端切断状態で存在し、in vitroで好中球を誘引し、活性化すると共に、in vivoで顆粒球の集積を引き起こす。SDF−1α及び−1βは、分泌性分子及びI型膜タンパク質をコードする、新たに単離されたcDNAである。
“Strieterら(1995)Journal of Leukocyte Biology,57:752−762”(以下Strieter A論文)、及び“Strieterら(1995)The Journal of Biological Chemistry,270:27348−27357”(以下StrieterB論文)には、C−X−Cケモカインファミリーのメンバーの、第1のシステインアミノ酸残基の前にあるNH2−末端ELR(Glu−Leu−Arg)モチーフの存在または不在に応じて、C−X−Cケモカインファミリーが異なる血管新生作用を示すことが立証されている。例えば、ELRが存在するIL−8 C−X−Cケモカインが、血管新生特性を示し、一方非ELR型のPF4が血管形成を阻害していたことが立証されている。血管新生は、血管を新たに形成することが特徴であり、胚発生、創傷治癒、慢性の炎症、及び悪性の中実腫瘍の増殖において必要不可欠の生物学的事象である。
StrieterのB論文によれば、血管新生因子及び血管形成阻害因子の産生の生物学的不均衡が、慢性関節リウマチ、強皮症、乾癬、及び腫瘍形成を含むいくつかの血管形成依存性疾患の病因となっていることが示唆されている。StrieterのA論文によれば、IP−10及びPF4のような非ELR型のC−X−Cケモカインが、腫瘍に由来する血管形成活性の低下を介して血管新生に負の影響を及ぼすことが示唆されている。
炎症組織或いは患部の組織における異常の診断のための現在の技術は、主として臨床的な症状の観察、または人体組織若しくは体液の、ホルモン、ポリペプチド、または様々な代謝物質の血清学的な分析に依存している。疾病または腫瘍形成の早期には、患者は臨床的な症状を示さないことが多い。更に、血清学的分析では、侵襲性の病気と重複または非常に近い範囲にある遺伝的症候群との間の区別が、必ずしもつくわけではない。従って、発現されるケモカインのような小さな分子を含む新たな診断技術の開発は、早期の正確な診断を可能にし、分子病因論に関する理解を深め、効果的な治療法の開発において使用するために重要である。
このケモカイン分子については、“Schall TJ (1994)Chemotactic Cytokines: Targets for Terapeutic Development. Internation Business Communications, Southborough, MA, pp 180−270”及び“Paul WE (1993) Fundamental Immunology, 3rd Ed. Raven Press, NYC, pp 822−826”なる文献に記載されている。
発明の開示
本発明は、炎症を発症しているアデノイドである炎症アデノイドに由来する新規なヒトタンパク質を一義的にコードするヌクレオチド配列を提供する。
この新たな遺伝子は、アデノイドで発現されることからアデノイド発現型ケモカイン、または符号でadec(インサイト社クローンNo.20293)と称するものであり、C−X−Cケモカインファミリーに属し、符号ADECで表されるポリペプチドをコードする。また本発明は、adecのDNA、またはそのフラグメント、またはオリゴマーを用いて、試料またはその抽出物を試験する過程を有する炎症状態の診断のための試験方法を含む。更に、本発明には、ADECをコードするヌクレオチド配列に対するアンチセンス分子、ADECをコードする核酸を含むクローニングベクターまたは発現ベクター、ADECをコードする核酸を含む発現ベクターで形質転換された宿主細胞または生物、精製されたADEC、及び宿主細胞から精製されたADECを産生させ回収する方法も含まれる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、アデノイド発現型ケモカインのヌクレオチド配列(adec;配列番号:1)及び推定されるアミノ酸配列(ADEC;配列番号:2)を示した図である。
第2図は、C−X−Cファミリーの他のヒトケモカインとADECとのアミノ酸アラインメントを示した図である。ここに示したアラインメントは、DNAstar software社(Madison WI)の多重配列アラインメントプログラム(multisequence alignment program)を用いて作成されたものである。
第3図は、ヒトC−X−Cケモカインの近縁関係の樹形図である。系統樹は、PAM250残基重み付け行列とともにClustal法を用いるDNASTAR software系統樹プログラム(DNASTAR, Inc. Madison, WI)により作成された。
第4図は、推定されるアミノ酸配列及び組成に基づくADECの免疫学的特性及び疎水性の分析結果を示した図である。
発明の実施の形態
用語の定義
本明細書において、“アデノイド発現型ケモカイン”またはADECなる用語は、配列番号:1の核酸から転写されたmRNAによりコードされる配列番号:2に示すポリペプチド、若しくはそのフラグメントを意味する。ADECは、自然発生したものか、化学的に合成されたものであるかの何れかである。本明細書において、小文字の“adec”は、核酸配列を表し、大文字の“ADEC”は、タンパク質、ペプチドまたはアミノ酸配列を表す。
本明細書において、“活性”なる用語は、自然発生ADECの生物学的及び/または免疫学的活性を保持しているADECの形態を意味する。
本明細書において、“自然発生ADEC”なる用語は、遺伝子操作を受けていないヒト細胞により生成されたADECを意味し、より具体的には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化(lipidation)及びアシル化を含む、ポリペプチドの翻訳語修飾から生成される様々なADECの形態を表現する用語である。
本明細書において、“誘導体”なる用語は、ユビキチン化、ラベリング(例えば放射性核種や、様々な酵素修飾による標識付け)、ポリエチレングリコール化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)のような化学的修飾、若しくは例えばオルニチンのような通常はヒトタンパク質において生じないアミノ酸の化学合成による挿入、置換によって得られた自然発生ADECに由来するポリペプチドを意味する。
本明細書において、“変異体”または“突然変異体”または“組換え変異体”なる用語は、組換えDNA技術を用いて作製される、アミノ酸の挿入、欠失、及び/または置換により自然発生ADECとは異なるものとなった任意のポリペプチドを意味する。興味の対象となる活性、即ち細胞接着性、走化性を損なわずに置換、付加、あるいは除去され得るアミノ酸残基を決定するためには、特定のADECの配列と相同のサイトカインの配列とを比較し、相同性の高い領域でのアミノ酸配列の変化の数を最小にすればよい。
アミノ酸の置換では、例えばロイシンからイソロイシンまたはバリンへの置換、アスパラギン酸からグルタミン酸への置換、スレオニンからセリンへの置換、即ち保存的アミノ酸置換のような1個のアミノ酸が構造的及び/または化学的特性がそれに類似した他の1個のアミノ酸で置換されるのが好ましい。アミノ酸の挿入または除去は、通常1〜5個のアミノ酸の範囲で行われる。組換えDNA技術を用いてADECのアミノ酸の挿入、除去、または置換を体系的に行い、得られた組換え変異体の活性をアッセイすることにより、許容される変異体を実験的に決定し得る。
必要ならば、ADECまたはADEC変異体に遺伝子操作を施して、細胞膜を通してポリペプチドを移動させることができる“シグナル配列またはリーダー配列”を含むようにすることができる。このような配列は、本発明のポリペプチド上に天然に存在するか、あるいは組換えDNA技術により異種のタンパク質のソースから得られる。
本明細書において、ADECの“フラグメント(断片)”、“部分”、または“セグメント”なる用語は、生物学的及び/または免疫学的活性を示すに十分な長さを有するアミノ酸のストレッチ(一連の配列)を意味する。好適実施例では、このADEC断片は少なくとも約5個のアミノ酸、少なくとも約7個のアミノ酸、または少なくとも約8〜13個のアミノ酸を含み、別の実施例では約17個またはそれ以上のアミノ酸を含む。
本明細書において、“オリゴヌクレオチド”またはポリヌクレオチドの“フラグメント”、“部分”、または“セグメント”なる用語は、同一の、若しくは近縁関係にある核酸を同定、若しくは増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法や、当業者には周知の様々なハイブリッド形成法におけるプライマーとして使用するのに十分な長さを有する、ADECをコードする核酸の任意のストレッチを意味する。
本発明には、ADECをコードする組換え核酸分子で形質転換された宿主細胞、ベクター、及び天然または組換え体のポリペプチドのソースから得られた精製されたADECポリペプチドが含まれる。ADECポリペプチドを単離するための様々な方法は、当業者の周知となっている。例えばこのようなポリペプチドの精製のために、本発明の提供する抗体を用いたイムノアフィニティクロマトグラフィーを利用することができる。タンパク質の精製のための他の公知の方法は、例えば、“Deutscher M (1990) Methods in Enzymology Vol 182, Academic Press, San Diego”及び“Scopes R (1982) Protein Purification: Principles and Practice. Springer−Verlag, NYC”に記載されており、これらの文献を本明細書と共に参照されたい。
本明細書において、“組換え体”なる用語は、組換えDNA技術を用いて作製される、ADECをコードするポリヌクレオチドを意味する。ADECをコードするDNAも、アレルまたは組換え変異体、及び突然変異体を含み得る。
本明細書において、“プローブ”または“核酸プローブ”または“オリゴヌクレオチドプローブ”なる用語は、所望の標的配列とハイブリッド形成し得るADECの部分、フラグメント、またはセグメントを意味する。このプローブを使用して、分子生物学における従来の技術を用いて、ADECをコードするcDNAまたは内因性の核酸の検出、増幅、または定量を行うことができる。プローブの長さは様々であり、好ましくは、約10から最大約数100ヌクレオチドの長さを有するものである。当業者には理解されようが、ハイブリッド形成条件及びプローブの設計は、使用目的に応じて変化する。例えば、PCRでの使用を目的としたプローブは、長さが15〜30ヌクレオチドであり、縮重プローブのプールの一部分であり得る。即ちPCR用プローブは、ヌクレオチドの不一致に対する許容性を有するが、未知の配列に対する結合に適合するオリゴヌクレオチドである得るのに対して、サザンハイブリダイゼーションまたはノーザンハイブリダイゼーション用のプローブは、長さが数100ヌクレオチドの、1つの特定のヌクレオチド配列であり得る。従って、ADECを特異的に検出するためのプローブで好適なものは、配列番号:1の配列の非保存ヌクレオチド領域から得られるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドフラグメントであり得る。本明細書において、“非保存ヌクレオチド領域”なる用語は、配列番号:1に独特に存在し、かつC−X−Cケモカインのファミリーにおいて保存される領域を含まないヌクレオチド領域を意味する。プローブは一本鎖または二本鎖で、in situハイブリッド形成及びELISA(固相酵素免疫検定法)のような技術を含む、溶液、細胞、組織または膜を用いるハイブリダイゼーション技術ににおいて、特に用いることができる。本発明の範囲には、ここに開示するポリペプチドのオリゴヌクレオチド、フラグメント、または部分、若しくはその相補的な鎖であって、プローブとして用いられるものが含まれる。
“オリゴヌクレオチド”または“オリゴヌクレオチドプローブ”は、ADECをコードするここに開示するヌクレオチド配列に基づいて作製される。オリゴヌクレオチドは、ここに開示するヌクレオチド配列の部分を含み、少なくとも約15個のヌクレオチドからなるが、通常は約20ヌクレオチド、最大約60個のヌクレオチドからなる。核酸プローブは、約6kbより少ないヌクレオチド数の、通常は約1kb未満の配列の部分からなり得る。本発明のオリゴヌクレオチド及び核酸プローブを用いて、細胞または組織内にADECをコードする核酸が存在するか否かを判定したり、または“Walsh PS 他(1992)PCR Methods Appl. 1:241−250”に記載のように染色体のDNAから類似した核酸配列を分離することができる。
本発明の核酸プローブは、自然発生核酸、組換え一本鎖または二本鎖核酸から誘導されるか、若しくは化学的に合成され得る。プローブの標識化は、ニックトランスレーション法、クレノウフィルイン反応法、PCR法、または当分野において周知の他の方法を用いて行われ得る。本発明のプローブを調製し、標識する方法は、“Sambrook J 他(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed, Cold Spring Harbor, NY”または“Ausubel FM et al (1989) Current Protocls in Molecular Biology, Vol 2, John Wiley & Sons”に詳しく述べられており、これらの文献を本明細書と共に参照されたい。
別の形態として、本発明のポリペプチド、またはそれと近縁関係にあるポリペプチドをコードする組換え変異体は、当業者に周知の技術を用いて、遺伝暗号の“冗長性”を利用することにより合成、または同定され得る。様々な切断部位を作り出すサイレント変化のような、様々なコドン置換を導入することで、プラスミドやウィルスベクターへのクローニング、或いは特定の原核細胞形または真核細胞形における発現を最適化することができる。また、突然変異を導入することによって、リガンド結合親和力、鎖間親和力、またはポリペプチド分解或いは代謝回転速度などのポリペプチドの特性を変更することもできる。
発明の詳細な説明
本発明は、CーX−Cファミリーの新規なケモカインであるADECを一義的に特定するヌクレオチド配列を提供する。ADECをコードするヌクレオチド配列は、炎症性アデノイド組織から作られたcDNAライブラリ、胎児の脾臓組織から作られたcDNAライブラリ、及び股関節のリウマチ様滑膜から作られたcDNAライブラリにおいて同定された。ADECをコードするヌクレオチド配列は、3時間培養された接着性単球、及び培養されたT細胞においても同定された。ADECをコードするヌクレオチド配列は、72時間培養された接着性単球または酢酸ミリスチル酸ホルボール(PMA)で処理されたT細胞においても見いだされた。
ADECが同定された組織において、その発現を検出する診断目的の試験を行うことは有用である。組織の損傷または破壊をもたらし得るタンパク質分解酵素及び他の分子が大量に生成されることに応答して好中球及び繊維芽細胞は活性化する。従って、ADECの過剰な発現に対する診断目的の試験を行うことにより、診断が速やかになり、過剰な組織の損傷や破壊が起こる前に炎症の適切な治療を行うことができる。
最近の研究成果は、走化性サイトカインのC−X−Cケモカインファミリーは炎症に関する活性を有していると共に、血管形成の媒介における全く異なる効果を、その一つの機能として、或いはELRドメインの存在または不存在という形で(上述のStrieter A論文及びB論文参照)示すことを示唆している。ELRのないC−X−Cケモカインは血管形成の阻害効果を示した。従って、ADECまたはそのフラグメントを用いて、血管新生依存性疾患、例えば腫瘍形成、慢性関節リウマチ、強皮症、及び乾癬等を予防または治療し得る。
ADECをコードするヌクレオチド配列またはその相補配列は、分子生物学の分野における公知の技術において数多くの用途を有する。これらの技術には、ハイブリダイゼーションプローブとしての使用、PCR用オリゴマーとしての使用、染色体及び遺伝子マッピングにおける使用、ADECの組換え体の作製における使用、及びアンチセンスDNAまたはRNAの、またはこれらの化学的類似体等の生成における使用が含まれる。ここに記載したADECをコードするヌクレオチドの使用方法は、公知技術の一例に過ぎず、特定の公知技術にその使用を限定しようとするものではない。更に、未だ開発されていない分子生物学の技術であっても、それが例えばトリプレット遺伝暗号及び特異的な塩基対相互作用のような既知のポリヌクレオチド配列の特性に基づく技術である限り、ここに開示するヌクレオチド配列を使用することができる。
遺伝暗号の縮重(degeneracy)の結果、そのヌクレオチド配列がADECをコードするもので限り、多種のADECをコードするヌクレオチド配列(既知のヌクレオチド配列及び自然発生遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小限の相同性しか有していないものを含む)が作製され得るが、このことは当業者には理解されよう。本発明は、より具体的には可能なコドン選択に基づいて組合せを選択することにより作られ得る全ての可能なヌクレオチド配列をその範囲に含んでいる。これらの組合せは、自然発生ADECのヌクレオチド配列に対して適用されるような標準的なトリプレット遺伝暗号に基づいて作られる。また、このような全ての変異配列は、具体的にここで開示されたものと考えられる。
ADEC及び/またはADEC変異体をコードするヌクレオチド配列は、ストリンジェントな条件の下で自然発生ADEC遺伝子のヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能なものであるのが好ましいが、実質的に異なるコドンを使用するADECまたはADEC誘導体をコードするヌクレオチド配列を作り出すことは有益であり得る。コドンの選択は、特定の原核細胞または真核細胞の発現宿主におけるペプチドの発現率を高めるように選択することができるが、そのコドンの選択のしかたは、その宿主における特定のコドンの使用頻度に基づいて決まる。本発明のADEC及び/またはADEC誘導体をコードするヌクレオチド配列を、このコードされたアミノ酸配列を変えることなく実質的に変化させる他の理由は、より望ましい特性、例えば自然発生ヌクレオチド配列から作られたものより長い半減期を有するRNA転写物を作り出すためである。
ADECをコードするヌクレオチド配列は、完全に確立された組換えDNA技術(“Sambrook J 他(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Ed, Cold Spring Harbor, NY”参照)により様々な他のヌクレオチド配列と結合してもよい。
adecに結合するのに有用なヌクレオチド配列には、例えば従来より周知のプラスミド、コスミド、λファージ誘導体、ファージミド等のクローニングベクターの組合せが含まれる。対象となるベクターには、発現ベクター、複製用ベクター、プローブ生成用ベクター、シークエンシング用ベクター等が含まれる。一般に、対象となるベクターは、少なくとも1つの生物における複製起点、便利な制限エンドヌクレアーゼ検知サイト、及びその宿主細胞用の選択マーカーを有し得る。
本発明の別の実施例では、ADECをコードする自然発生ヌクレオチド配列とハイブリッド形成可能なadec特異的核酸ハイブリダイゼーションプローブが提供される。ADECをコードする配列の検知のためのこのようなプローブは、配列番号:1の非保存領域から得られるヌクレオチドフラグメントを含むのが好ましい。近縁関係にあるケモカインをコードする配列の検出のためのこのようなプローブは、C−X−CまたはC−Cをコードする配列のヌクレオチドの少なくとも50%を含むのが好ましい。本発明のハイブリダイゼーションプローブは、配列番号:1のヌクレオチド配列、または自然発生adecのプロモータ、エンハンサーエレメント、及びイントロンを含むゲノムの配列から導き出すことができる。ハイブリダイゼーションプローブは、様々なリポーターグループにより標識され得るが、このリポーターグループには、32Pまたは35Sのような放射性核種、若しくはアルカリホスファターゼのような酵素標識が含まれ、これらはアビジン/ビオチン結合系を介してプローブに結合する。この他当業者に周知の技術を用いてプローブを標識することができる。
米国特許第4,965,188号、第4,683,195号、及び第4,800,195号明細書に記載されているようなPCR法の実施において、ADECをコードするヌクレオチド配列に基づくオリゴヌクレオチドの別の使用方法がある。このようなPCRにおいて使用されるプローブは、組換え体から作られたものであるか、化学的に合成されたものであるか、若しくは両者の組み合わせであり得、また、診断的な使用に共される個別のヌクレオチド配列または近縁関係にあるゲノム配列の同定に用いられる可能な配列の縮重プールを含み得る。
adec特異的ハイブリダイゼーションプローブを作製するための他の方法には、mRNAプローブの作製のため、ベクターにADEC及びADEC誘導体をコードする核酸配列をクローニングすることが含まれる。このようなベクターは従来より周知で市販されており、これを用いて、例えばT7またはSP6 RNAポリメラーゼのような適当なRNAポリメラーゼと、適当な放射性の標識をなされたヌクレオチドを加えることによって、in vitroでRNAプローブを合成することができる。
現在、完全に合成化学によりADEC及びADEC誘導体をコードするDNA配列、またはその部分を作製することが可能であり、作製した後、本出願の時点で周知の試薬、ベクター、及び細胞を用いて、様々な市販のDNAベクターにそれを挿入することができる。合成化学を用いて、adecポリヌクレオチド配列若しくはその部分に変異を導入することも可能である。
DNA配列決定の方法は、従来より周知である。従来の酵素を用いる方法では、DNAポリメラーゼクレノウフラグメント、SEQUENASE(登録商標)(US Biochemical Corp. Cleveland, OH)またはTaqポリメラーゼを用いて、対象のDNA鋳型にアニーリングされたオリゴヌクレオチドプライマーからDNA鎖を延長する。この方法は、一本鎖及び二本鎖の双方の鋳型を用いるのに開発されたものである。連鎖停止反応の生成物を、通常ウレアアクリルアミドゲル上で電気泳動処理し、オートラジオグラフィ(放射性核種で標識された前駆体の検出用)、または蛍光体(蛍光体で標識化された前駆体の検出用)の何れかにより検出する。機械を用いた反応調製、蛍光体検出を利用した分析及び配列決定の技術の近年の進歩により、1日当たりに決定され得る配列数は増加した(ここでは、例えばCatalyst 800及びApplied Biosystem 373 DNAシーケンサのような機械を用いる)。
このヌクレオチド配列を用いて、ADECの発現レベルの異常に関連する炎症及び疾病の検出のためのアッセイを構築することができる。このヌクレオチド配列は、従来より周知の方法で標識した上で、ハイブリッド形成条件の下で患者の体液または組織の試料に加えることができる。インキュベーション時間の経過後、試料は、ヌクレオチドが酵素で標識されていた場合には、所望に応じて染料(または他の顕色剤を必要とする標識)を含有する適合性の液体で洗浄される。この適合性の液体を洗い流した後、染料を定量し、標準値と比較する。染料の量が有意に増加していた場合には、このヌクレオチド配列は試料とハイブリッド形成したことになる。adecが異常なレベルで存在している場合には、このアッセイにより炎症及び/または疾病の存在が確認されたことになる。
adecのヌクレオチド配列を用いて、その遺伝子のマッピング用のハイブリダイゼーションプローブを構築することができる。ここに開示するヌクレオチド配列の染色体及び染色体の特定の領域へのマッピングを、周知の遺伝子及び/または染色体マッピング技術を用いて行うことができる。このような技術には、in situハイブリダイゼーション、既知の染色体マーカーに対する連鎖解析、既知の染色体に対して特異的なライブラリまたはフローソートされた染色体調製物を用いたハイブリダイゼーションスクリーニング等が含まれる。染色体展開物(chromosome spread)の蛍光in situハイブリダイゼーション技術については、他の文献、即ち“Verma 他(1988) Human Chromosomes: A Manual of Basic Techniques, Pergamon Press, NYC”に記載されている。
染色体調製物の蛍光in situハイブリダイゼーション及び他の物理的染色体マッピング技術は、別の遺伝子地図データと相互関係を有し得る。遺伝子地図データの例としては、“O’Brien (1990) Genetic Maps: Locus Maps of Complex Genomes, Book 5; Human Maps, Cold Spring Harbor Laboratory, NY”がある。物理的染色体地図上でのadecをコードする遺伝子の位置と特定の疾病(或いは特定の疾病の素因)との間の相関関係は、この遺伝病に関連するDNAの領域の範囲を特定するための助けとなる。本発明のヌクレオチド配列を用いて、正常者の遺伝子配列と、キャリア即ち遺伝病の保因者の遺伝子配列との相違を検出することができる。
ADECをコードするヌクレオチド配列を用いて、周知の組換えDNA技術を利用して精製されたADECを作り出すことができる。遺伝子を単離した後、その遺伝子を発現させる方法を記載した文献は数多くあるが、その例としては、“Goeddel (1990) Gene Expression Technology, Methods and Enzymology. Vol 185, Academic Press, San Diego”がある。ADECは、原核生物または真核生物を起源とする様々な宿主細胞内において発現され得る。宿主細胞は、adecヌクレオチド配列が内生である種と同一の種、あるいは異なる種の何れを起源とするものでもよい。組換えDNA技術によってADECを製造することの利点には、精製用として高濃度に濃縮されたタンパク質源が得られること、及び精製のための簡単な手順が利用できるようになることが挙げられる。
ADECは、タンパク質精製を容易にするために加えられた、1または2以上の追加のポリペプチドを有するキメラタンパク質として発現され得る。このような精製促進ドメイン(分子内領域)には、固定化金属を用いた精製を可能にするヒスチジン−トリプトファンモジュールのような金属キレート化ペプチド固定化免疫グロブリンを用いた精製を可能にするプロテインAドメイン、及びFLAGSエクステンション/アフィニティ精製システム(Immunex Corp, Seattle, WA)において利用されるドメイン等があるが、これらに限定されるものではない。切断可能なリンカー配列(例えばXA因子またはエンテロキナーゼ)が、精製ドメインと、ADECをコードする配列との間に含まれていると、ADECの精製を促進するのに役立ち得る。
ADECをコードするDNAによって形質転換された細胞は、ADECの発現及び細胞培地からのタンパク質の回収に適切な条件の下で培養され得る。組換え体細胞により産生されたADECは、使用される特定の遺伝子の構造に応じて、分泌されるか、あるいは細胞内に保持され得る。一般に、組換えタンパク質は、分泌型に調整するのがより便利である。精製のステップは、使用される製造プロセスの性質及び製造される特定のADECの性質に基づいて決まる。
本発明のADECのcDNAのタンパク質への翻訳は、cDNAを適当な発現ベクターにサブクローニングし、このベクターを適切な発現用宿主にトランスフェクトすることによりなされ得る。実施例7に記載されているように、ADECの発現及び精製用として好適なベクターは、ADECを含む融合タンパク質を発現するもので、6個のヒスチジン残基、それに続くチオレドキシン及びエンテロキナーゼ切断サイトをコードする核酸を含むものである。ヒスチジン残基は、IMIAC(固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー“Porath 他(1992) Protein Expression and Purification 3:263:281”に記載)による精製を促進し、一方エンテロキナーゼ切断サイトは、融合タンパク質からのケモカインの精製のための手段となる。
ここに開示するcDNAライブラリの作製に用いられる発現ベクターは、クローニングサイトの上流にあるβ−ガラクシトシダーゼに対するプロモータ、それに続くアミノ末端 Met、それに続くβ−ガラクシトシダーゼの7個の残基、それに続く人工的プライミング及び転写のために有用なバクテリオファージプロモータ、及び種々のユニークな制限サイト(Eco RIを含む)を含むヌクレオチド配列を有し、またこの発現ベクターは本発明のケモカインの発現のためにも用いることができる。標準的な方法でIPTGを用いて単離された菌株を誘導することにより、β−ガラクシトシダーゼの7個の残基に始まり、リンカーの約15個の残基、及びcDNA内部でコードされたADECに対応する融合タンパク質が産生される。cDNAクローンインサートは、ランダムなプロセスにより作製せざるを得ないことから、含まれたcDNAが適切な翻訳のための正しい読み枠に存在する可能性は3分の1である。cDNAが適切な読み枠に存在しない場合には、in vitro突然変異を含む周知の方法による適切な数の塩基の除去または挿入や、エキソヌクレアーゼIIIまたはマングビーンヌクレアーゼを用いた消化、若しくはオリゴヌクレオチドリンカーを含めることにより、正しい読み枠に存在するものを得ることができる。上述のように、ADECは細菌系において発現される。
ADECをコードする本発明のヌクレオチド配列は、特定の宿主におけるタンパク質の発現に有用であることが知られているベクターでシャトルさせることができる。クローニングサイトと共に、目標のcDNA(25塩基)の両端におけるストレッチとハイブリッド形成するのに十分なDNAのセグメントを含むオリゴヌクレオチドアンプリマーは、標準的な方法で化学的に合成され得る。次いで、これらのプライマーを用いて、PCR法により所望の遺伝子セグメントを増幅することができる。得られた新たな遺伝子セグメントは、標準的な条件の下で適当な制限酵素で切断し、ゲル電気泳動法により単離することができる。別の形態として、適当な制限酵素を用いてヌクレオチド配列を消化し、欠失した遺伝子セグメントの部分を化学的に合成されたオリゴヌクレオチドで補充することにより、類似の遺伝子セグメントを作製することができる。更に、2以上の遺伝子から得られたコード配列のセグメントを相互に結合し、適当なベクターにクローニングして、組換え体配列の発現を最適化することができる。
このようなキメラ分子用の適切な発現宿主には、チャイニーズハムスターの卵巣及びヒト293細胞のような哺乳動物の細胞、Sf9細胞のような昆虫の細胞、サッカロミセスセルビシエ(Saccharomycescerevisiae)のような酵母菌細胞、及びE.coliのような細菌が含まれるが、これらに限定されるものではない。このような細胞系のそれぞれに対して有用な各発現ベクターも、細菌内での増殖を可能にする複製起点、及びβ−ラクタマーゼ抗抗生物質遺伝子のような細菌内での選択を可能にする選択マーカーを含み得る。更に、このベクターは、トランスフェクトされた真核宿主細胞群における選択を可能にする、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子のような第2の選択マーカーを有し得る。真核細胞の発現宿主において使用するためのベクターは、3′ポリアデニル化配列等のRNAプロセシングエレメントを、それが対象のcDNAに含まれていない場合には必要とすることがある。
更に、このベクターは遺伝子の発現を増加させるプロモータまたはエンハンサーを含み得る。このようなプロモータは宿主特異的であって、MMTV、SV40、またはCHO細胞用のメタロチオネインプロモータや、細菌宿主用のtrp、lac、tac、またはT7プロモータや、酵母菌用のα因子、アルコール酸化酵素、またはPGHプロモータが含まれる。RSVエンハンサー等の転写エンハンサーは、哺乳動物の宿主細胞において使用され得る。ひとたび標準的な培養法によりホモジニアス(均一)な組換え体細胞の培養物が得られると、組換え体により産生されたADECが大量に条件培地から得られ、当技術分野において周知のクロマトグラフィー法により分析できることになる。
組換え体の産生に加えて、固相技術を用いた直接のペプチド合成によりADECフラグメントを製造することもできる。(“Stewart他(1969) Solid−Phase Peptide Synthesis, WH Freeman Co. San Francisco; Merrifield R (1963) J Am Chem Soc 85:2149−2154”参照)。in vitroでのタンパク質合成は、手作業、あるいは機械により自動的に行うことができる。自動的な合成は、例えばApplied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Foster City, California)を製造業者の指示に従って用いることにより行うことができる。ADECの様々なフラグメントを個別に化学合成し、化学的な方法により結合することによって完全長のADECを作製することもできる。
抗体の誘発において使用するためのADECは、免疫活性を有していなければならない。ADEC特異的抗体の誘発において使用するためのペプチドは、そのペプチドが、自然発生ADECの一部分の三次元的構造を保持するように、少なくとも5個、好ましくは少なくとも10個のアミノ酸からなるアミノ酸配列を含み、自然発生ADECの全アミノ酸配列を含んでいてもよい。ADECのアミノ酸配列の短いストレッチは、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)や抗体産生に使用されるキメラ分子のような他のタンパク質のストレッチと融合され得る。
本発明のADECに対するモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体を作製するための方法は、様々なものが当業者の知るところであろう。その方法の1つは、逆相HPLC分離から変性したADECを得て、これを用いて当業者に周知の技術でマウスまたはウサギを免疫化する方法である。マウスの免疫化には変性ADEC約100μgで十分であり、ウサギの免疫化には最大1mgが用いられ得る。マウスのハイブリドーマを同定するために、変性タンパク質を放射性要素で標識し、これを用いてネズミB細胞ハイブリドーマの可能性があるものをスクリーニングして、抗体を産生するものを分離することができる。この方法では、必要なタンパク質の量はわずかであり、数1000のクローンを標識しスクリーニングするためには20mgで十分である。
別の方法では、ADECのアミノ酸配列はcDNA配列から類推されるが、その分析により免疫原性の高い領域が決定される。これらの領域を含むポリペプチドを合成し、適切な免疫化プロトコルで使用して抗体を産生する。適切なエピトープを選択するための分析方法は、“Ausubel FM 他(1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol 2. John Wiley & Sons)”に記載されている。免疫化のための最適なアミノ酸配列は、通常、そのタンパク質が自然のコンフォーメーションをなしているときに外部環境にさらされやすいポリペプチドのC末端、N末端、及びその間に介在する親水性領域に存在する。
典型的には、約15残基の長さを有する選択されたポリペプチドは、fmocケミストリを用いるApplied Biosystems Peptide synthesizer model 431Aを用いて合成され、M−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(MBS;上述のAusubel FM他 参照)と反応させることによりキーホールリンペットヘモシアニン(KLH;Sigma)と結合される。必要ならば、KLHに結合できるようにペプチドのN末端にシステインを挿入してもよく、動物は、フロイント完全アジュバントに含められたペプチド−KLH複合体で免疫化される。得られた抗血清の抗ペプチド活性を試験するためには、ペプチドをプラスチックに結合し、1%のBSAでブロックし、抗血清と反応させ、その後洗浄し、(放射性または蛍光性の)標識をなされたアフィニティ精製された特異的ヤギ抗ウサギIgGと反応させる。
ハイブリドーマも標準的な技術を用いて調製され、スクリーニングされる。対象のハイブリドーマは、標識にしたADECでスクリーニングすることにより検出し、所望の特異性を有するモノクローナル抗体を産生するそれらの融合体を特定する。例えば、典型的なプロトコルでは、プレート(FAST, Becton−Dickinson, PaloAlto, CA)の穴を、アフィニティ精製された特異的なウサギ抗マウス抗体(または適当な抗種(anti-species)Ig)約10mg/mlでコーティングされる。コーティングされた穴を1%のBSAでブロックし、洗浄して、ハイブリドーマの上清液にさらす。インキュベーションの後、この穴を約1mg/mlの濃度の標識したADECにさらす。抗体を産生するクローンは、上述のような条件の下で検出可能な量の標識化ADECと結合する。このようなクローンは、延ばした上で、限界希釈(1細胞/3穴)で2サイクルのクローニングを施す。クローニングされたハイブリドーマは、プリスタン処置を受けたマウスに注射し、マウスの腹水を生じさせる。モノクローナル抗体は、プロテインAを用いるアフィニティクロマトグラフィーにより、マウスの腹水から精製される。少なくとも108M-1、好ましくは109〜1010以上の親和力を有するモノクローナル抗体は、典型的には、“Harlow and Lane (1988) Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, NY”または“Goding (1986) Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 2d Ed. Academic Press New York City”に記載の標準的な手順により作られる。これらの文献を本明細書と共に参照されたい。
特定のADEC配列に対して特異的な抗体は、適当な動物にADEC配列を接種することにより産生され得る。抗体が、配列番号:2に開示されたADECポリペプチドの全体または一部分に対して産生され、そのタンパク質の全体または一部分に結合するならば、その抗体はADECに対して特異的であると言える。抗体の誘発方法としては、動物への注射により生ずる免疫応答の刺激、組換え体免疫グロブリンライブラリ(“Orlandi 他(1989) PNAS 86:3833−3837またはHuse et al (1989) Science 256:1275−1281”参照)のスクリーニングのような、合成抗体或いは他の特異的に結合する分子の製造における類似したステップ、またはリンパ球集団のin vitro刺激すること等が挙げられる。現在の技術(“Winter and Milstein (1991)Nature 349:293−299”)では、抗体形成の原理に基づき、高度に特異的に結合する多種の試薬を提供することができる。このような技術は、ADECに特異的に結合し得る分子の製造に容易く適用することができる。
ADECをコードするポリペプチドは、例えば腫瘍形成、慢性関節リウマチ、強皮症、及び乾癬のような血管新生に関連する様々な異常な状態を治療するのに有用なものとなり得る。ADEC遺伝子配列を細胞に導入することによる遺伝子治療を用いて、血管新生関連の疾病状態に関連するADECの過剰発現または過少発現によって特性化される状態を処置することができる。例えば、ADECをコードするポリヌクレオチドは、機能不全の内生遺伝子を置換して、それに代わって効果を発揮させる目的で用いられる。或いは、ADEC若しくはそのフラグメントを用いて、血管新生関連の病気または状態の処置を行うことができる。
レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシ乳頭腫ウイルスのようなウイルス由来の発現ベクターを用いて、ADECをコードするヌクレオチド配列を、標的の細胞集団に導入することができる。当業者には周知の方法を用いて、ADECポリヌクレオチド配列を含む組換え体ウイルスベクターを構成することができる。このような技術の例は“Maniatis 他, 1989,Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, N.Y.”及び“Ausubel 他, 1989 Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.”に記載されており、これらを参照されたい。或いは、組換え体ADEC分子を、リポソーム内に再構成して、標的の細胞に導入することができる。従って、本発明は、効果的な量のADECをコードするポリヌクレオチド配列及び薬学的に許容される担体を含む血管新生関連の疾病状態を処置するたための医薬組成物を提供する。本発明は更に、効果的な量のADECをコードするポリヌクレオチドの患者への投与を含む、血管新生関連の疾病を患っている患者を処置する方法を提供する。或いは、炎症に関連する状態のような、ADECの過剰発現によって特性化される異常状態を、ADECのmRNAの翻訳を阻害するアンチセンス核酸を遺伝子治療技術を用いて導入することにより処置することができる。
ADECの抗体、阻害剤、アンチセンス分子、レセプタ、若しくは類似体(過剰なADECが産生される状態に対する処置剤、以下略して“TEC”と称する)は、治療的に投与されたときそれぞれ異なる効果を与え得る。このTECは、無毒性で、不活性で薬学的に許容される水性担体媒質でありそのpHは約5〜8、より好適には6〜8である。但し、このpH値は、調合される抗体、阻害剤、レセプタ、または類似体の特性や治療される病状に応じて変わってくる。TECの特性には、分子の溶解性、半減期、及び抗原性/免疫原性等が含まれ、効果的な担体を決定するのに役立ち得る。自然発生ヒトタンパク質はTECとして好適であるが、薬物スクリーニングによって得られた有機分子も特定の状態の下では同様に効果的であり得る。
TECは、局所塗布用クリームまたはゲル、粘膜透過性スプレーまたはエーロゾル、皮膚透過性パッチまたは包帯、注射可能な静脈内注射用または潅注用製剤、及び経口投与用の液剤若しくは錠剤等の、周知の投与経路によって投与できるが、投与の仕方は以上挙げたものに限定されない。特定の配合、正確な投与量、及び投与経路は、担当医師により決定され、それぞれの状況に応じて変わってくる。
このような決定は、処置を受ける条件、投与されるTEC、及び特定のTECの薬動力学的プロフィールのような様々な変量を考慮してなされる。考慮され得る他の因子には、病状の重篤度、患者の年齢、体重、性別、食事、投与の回数、薬物の組合せ、反応の感受性及び治療に対する耐性/応答が含まれる。長時間作用するTEC製剤の投与の頻度は、特定のTECの半減期及びクリアランス速度に応じて、3日から4日に1回、1週間に1回、または2週間に1回であり得る。
通常の投与量は、投与経路に応じて0.1〜100,000μg、最大1gの間で変化し得る。TECの特定の投与量に関してのガイドは以下の文献、即ち米国特許第4,657,760号、第5,206,344号、または第5,225,212号明細書に記載されている。TECの種類に応じて効果的な配合も変わり、また肝臓を標的にする投与と、下垂体を標的にする場合では、投与方法も異なってくることが予測される。
炎症性アデノイドに関連する状態、または白血球、特定の単球及びマクロファージを活性化する疾病及び永続性の損傷は、TECで治療され得ると考えられる。これらの状態若しくは疾病は、後に説明する診断のための試験により特定する形で診断し得る。このような診断のための試験は、例えばエプスタイン・バーウイルス、ホジキン病、様々な新生物または非特異咽頭炎にかかっている疑いのある患者に対して行われるべきである。
以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
実施例
1.mRNAの単離及びcDNAライブラリの構築
adecのcDNA配列は、炎症性アデノイドライブラリを含むポリヌクレオチド配列の中から初めに同定された。このライブラリは、扁桃摘出においてヒトの子供から外科的に取り出された扁桃腺リンパ系組織とアデノイドの混合物から構築された。アデノイド組織は、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校から冷凍状態のものが得られた。冷凍組織は、乳鉢と乳棒ですりつぶし、すぐにグアニジニウムイソチオシアネート(“Chirgwin JM et al (1979) Biochemistry 18:5294”参照)を含有するバッファーに溶解させた。溶解させた後、フェノール−クロロホルム抽出及びエタノール沈殿を数回行った。ポリ(A+)mRNAは、常磁性粒子に結合されたストレプトアビジンとビオチニル化オリゴd(T)を用いて単離した(“Poly(A) Tract Isolation System; Promega, Madison, WI”)。
炎症性アデノイド組織から得られたポリ(A)mRNA(Stratagene Inc. ;11011 N. Torrey Pines Rd., La Jolla, CA 92037)を用いて、cDNAライブラリを構築した。cDNAの合成は、オリゴd(T)及び/またはランダム六量体をプライマーとして用いて行った。合成アダプタオリゴヌクレオチドをcDNAの末端に結合して、UNI−ZAP(商標)vector system(Stratagene Inc.)に挿入できるようにした。これにより高い効率で一方向性(センス方向)のλライブラリを作製することが可能となり、かつcDNAインサートを有するクローンを検出するための青−白の色による選択ができるプラスミド系の利点を利用できるようになる。
各cDNAライブラリを、その質について、DNAプローブか抗体プローブの何れかを用いてスクリーニングし、次いでpBluescript(商標登録)ファージミド(Stratagene Inc.)を生細胞の中で手早く切り出した。このファージミドにより、インサートの特性化、配列決定、部位指定突然変異誘発、一方向性の欠失の形成及び融合タンパク質発現を容易に行うために、プラスミド系を使用することが可能となる。各ライブラリからのファージ粒子を、E.coli宿主株XL1−BLUE(商標登録)(Stratagene Inc.)に感染させた。XL1−BLUEの形質転換効率が高いために、まれにしか存在しないクローンをcDNAライブラリから得られる可能性が高められる。
2.cDNAクローンの単離
ファージミド型の各cDNAクローンは、in vivo切除プロセスにより得られた。このプロセスでは、XL1−BLUEを、f1ヘルパーファージと同時に感染させる。λファージ及びf1ヘルパーファージの双方に由来するタンパク質は、λ標的DNA上の定められた配列から新たなDNA合成を開始し、pBluescriptプラスミド及びcDNAインサートの全てのDNA配列を含む小さな一本鎖環状ファージミドDNA分子を形成した。このファージミドDNAは、細胞から放出され、精製されて、次いで新しい細菌性の宿主細胞(SOLR, Stratagene Inc.)に再感染するのに使用されて、ここで二本鎖のファージミドDNAが作られた。ファージミドがβ−ラクタマーゼの遺伝子を保有していたことから、新たに形質転換された細菌を、アンピシリンを含有する培地上で選択した。
ファージミドDNAは、QIAGEN(商標登録) DNA Purification System (QIAGEN Inc., 9259 Eton Ave., Chatsworth, CA 91311)のQIAWELL−8 Plasmid Purification Systemを用いて精製した。この技術は、細菌細胞を溶解し、高度に精製されたファージミドDNAを単離するための、高速で信頼性が高く高スループットの方法である。精製用樹脂から溶離されたこのDNAは、DNA配列決定及び他の分析操作に適する。
3.cDNAクローンの配列決定
炎症アデノイドライブラリのランダムな単離により得られたcDNAインサートを、部分的に配列決定した。このcDNAは、Hamilton Micro Lab 2200 (Hamilton, Reno NV)と、4台のPeltier Thermal Cyclers (PTC200 from MJ Research, Watertown MA)及びApplied Biosystems 377 or 373 DNA Sequencing Systems (Perkin Elmer)を組み合わせて用いて、Sanger F. And AR Coulson (1975; J. Mol. Biol, 94:441f)記載の方法により配列決定し、DNAの読み枠を決定した。
4.cDNAクローン及び類推されるタンパク質の相同性検索
各cDNAの配列を、Applied Biosystems社製の検索アルゴリズムを、INHERIT(商標) 670 Sequence Analysis Systemに組み込んで用いて、GenBankの配列と比較した。このアルゴリズムでは、Pattern Specification Language (TRW Inc., Los Angeles CA)を用いて、相同の領域を決定した。配列比較をどのように行うかを定める3つのパラメータは、ウィンドウサイズ、ウィンドウオフセット、及び誤差許容度であった。これら3つのパラメータの組合せを用いて、対象の配列に対して相同性を有する領域を含む配列を、DNAデータベースから検索し、適当な配列に対して初期値を用いてスコアが付けられた。続いて、これらの相同領域を、ドットマトリクス相同性プロット法を用いて検定し、偶然の一致と真の相同領域とを区別した。相同性検索の結果を表示するためにSmith−Watermanアラインメント用いた。
ペプチド及びタンパク質配列の相同性は、INHERIT(商標)670 Sequence Analysis Systemを用いて、DNA配列の相同性の検査に類似した方法で確認した。Pattern Specification Language及びパラメータウィンドウを用いて、相同性領域を含むタンパク質配列のデータベースを検索し、相同性領域は初期値を用いてスコアを付けられて表示させた。ドットマトリクス相同性プロット法により検定を行い、有意な相同性領域を偶然の一致と区別した。
BLAST(“Basic Local AIignment Search Tool (Altschul SF(1993) J Mol Evol 36:290−300, Altschul, SF et al (1990) J Mol Biol 215:403−10)”参照)を用いて、局部的な配列の一致を検索した。BLASTは、ヌクレオチド及びアミノ酸配列双方のアライメントを検出して、これにより配列の類似性が決定する。アライメントが局部的であるために、BLASTは、ギャップを含まないアライメントを求めるのに有用なものである。BLASTアルゴリズム出力の基本単位は、High−scoring Segment Pair(HSP)である。
HSPは、そのアライメントが局部的に最大となる長さが等しく、アライメントスコアがユーザがセットしたカットオフスコア即ち閾値スコア以上であるような2つの配列フラグメントからなる。BLASTを用いる方法では、対象の配列とデータベース配列とのHSPを捜し、発見された一致の統計的有意性を評価し、ユーザが選択した有意性の閾値を超える一致のみを報告する。パラメータEは、データベース配列との一致で報告されるものを選択するための、統計的有意性の閾値を設定する。Eは、全データベース検索の文脈の中で、HSP(若しくはHSPの組)の偶然の一致の期待発生頻度の上限と解釈される。Eを満たすデータベース配列は、プログラムの出力において報告される。
アデノイド発現型ケモカイン(ADEC)に対するヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれ配列番号:1及び配列番号:2に示されている。
5.遺伝子の同定及び完全長配列の決定
炎症性アデノイドライブラリのクローンの中からランダムにピックアップし配列決定すると、既知のC−X−Cケモカイン分子との相同性を有するが、明らかに異なっているadec配列が見つけられた。このadecに対するヌクレオチド配列はサイトカイン社クローンNO.20293内において発見された。推定される3種類の可能なこの配列の翻訳物の全てについて、SwissProt及びPIRのようなタンパク質データベースを検索したが、adecの可能な翻訳物と完全に一致するものは見つけられなかった。第2図に示すのは、ADECと他のケモカイン分子との比較であって、C−X−Cモチーフを含む実質的な相同な領域が斜線で示されている。しかし、系統樹分析により、ADECは、他のよく特性化されたヒトC−X−Cケモカインとは近縁関係にないことが分かった(第3図参照)もこれらの分子の最も近縁なものは、図面の右側に集まっている。この結果が表しているのは、ADECが、C−X−Cケモカインの新たなサブファミリーまたは変異体であることだと考えられる。
6.アンチセンス分析
ADECの正しい完全なcDNA配列を知ることにより、遺伝子機能の調査において、アンチセンス技術を適用することが可能になる。ADECをコードするポリヌクレオチド配列のアンチセンス鎖を含むゲノムのまたはcDNAのフラグメントをin vitroまたはin vivoで用いて、特定のタンパク質の発現を阻害することができる。このような技術は周知であり、ヌクレオチド配列の様々な部位に対するプローブをデザインすることができる。細胞または実験動物の全身をこのようなアンチセンス配列で処置することより、対象の遺伝子の機能を効果的に阻害することができる。多くの場合、細胞レベル、組織レベル、若しくは生物体全体のレベルでの動き(例えば死亡率、分化した機能の消失、形態の変化等)を観察することにより、その遺伝子の機能を確認することができる。
オープンリーディングフレームの転写を阻害するように構築された配列を用いることに加えて、イントロン領域、プロモータ/エンハンサー配列、またはトランス作用性調節遺伝子に対するアンチセンス配列をデザインすることにより、遺伝子発現を変化させることができる。同様に、“三重らせん体(トリプルヘリックス)”塩基対として知られるHogeboom塩基対を用いて阻害を達成することができる。
7.ADECの発現
ADECをコードするヌクレオチド配列を発現ベクターにクローニングした。この発現ベクターは、T7プロモータ、それに続く開始コドンのメチオニンコドン(ATG)、それに続くE.coliのTrxA遺伝子(チオレドキシンをコードするもの)、それに続くエンテロキナーゼ切断可能部位をコードする配列、及びADECをコードするヌクレオチド配列を含むものである。ADECのためには、発現されるタンパク質のN末端残基は配列番号:2の配列の第24番目の残基のLeu(ロイシン)である。
6個のヒスチジンコドンを含む上述の発現ベクターを用いて宿主細胞を形質転換し、宿主細胞培地をIPTGで誘導して発現されたタンパク質に、変性SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を施した。発現ベクターからの核酸は、上述のSambrookのミニプレッププロシージャを用いて部分的に精製され、これによりスーパーコイルしたDNAを作り出した。約100ngのDNAを用いて、宿主細菌細胞W3110/DE3を形質転換させた。W3110/DE3は、ATCCのW3110及びNovagen社製のlambda DE3 lysogenization kit(DE3溶原化キット)を用いて構築した。DE3溶源は、その親W3110よりコンピテントでない(形質転換受容性が低い)ことが多く、効率的な形質転換のためのスーパーコイルしたDNAの使用に適合する。
各ケモカイン形質転換体から1つの形質転換体を選択し、それを用いてアンピシリン含有L−ブロスの5mlの培地に播いた。各5mlの培地は、振とうした上で37℃で一晩(12〜15時間)成長させた。一晩おいた後、その培地の1mlを、500mlのフラスコ内で、アンピシリン含有L−ブロスの100mlの培地に播いて、振とうした上で37℃で成長させ、培地のOD600が0.4〜0.6に達するで放置した。播いた細胞がOD600の値で0.6を越えるまで成長した場合には定常期に入り、誘導レベルは低減する。
播種の時に、5mlの試料を取り出し、氷上に設置して、誘導前preinduction)試料(または0時間試料)として用いた。この細胞培地がOD600の値で0.6に達したとき、100mM IPTG原液の400μlを添加して、最終的な濃度は0.4mMになるようにした。この培地は、振とうした上、37℃で3時間成長させた。1時間から最大6時間の間隔で、培地の5mlのアリコットを取り、変性SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法で分析することにより、誘導の分析を行った。融合タンパク質は、細胞の不溶性分画に蓄積していることが観察された。
ADECの誘導が最大となるのは2時間経過したときであった。4時間以上成長させると、培地で溶解が生じ、このタンパク質分解により所望のタンパク質の全体としての収量は低減した。0時間、1時間、及び2時間経過したときに細胞培地の5mlのアリコットを取り4℃で5分間3000RPMで遠心分離した。その上清を吸引し、細胞の溶解を促進すべくペレットに凍結融解処理を施した。このペレッは4℃でTE[10mM Tris−HCL pH 8.0, 1mM EDTA pH8.0]に再懸濁した。その量はTE(μl)=(OD600)(250)で計算される量であった。各試料には同量の2×SDS Sample Loading Buffer(Novex)を添加した。この試料を5分間煮沸し、各レーンにつき10μlの各試料を負荷したゲル電気泳動の結果、ADEC融合タンパク質は、変性SDSゲル上で24KD分子量(予定分子量24093ダルトン)の位置に移動した。
8.組換え体ADECの単離
ADECはキメラタンパク質として発現された。このキメラタンパク質は、6個のヒスチジン、それに続くE.coliのチオレドキシン(TrxA)遺伝子を有し、TrxAタンパク質とADECとの間にエンテロキナーゼ切断部位を有するものであった。ヒスチジンは、タンパク質の精製を促進するために加えられたものである。ヒスチジンが存在することにより、IMIACクロマトグラフィー(Porath:上述)を用いた精製が可能となる。
9.ADECに特異的な抗体の製造
PGECに対するポリクローナル抗体を、上述のセクション7に記載したように、電気泳動で精製されたPGEC融合タンパク質を約100μgウサギに注射することにより調製した。一次抗原の注射から約8週間の後、ポリクローナルの抗血清を回収した。配列番号:2のADECの25番目〜42番目の残基からなるADECのペプチドに対するポリクローナル抗体が、通常の方法により調製された。
10.ADEC特異的抗体を用いた診断のための試験
特定のADEC抗体を、前病状態の診断、及びADECの量または分布の差によって特性化される慢性または急性の疾病の診断のために用いることができる。ADECは、それが同定される特定の組織の異常または疾病状態に対して特異的であることが多い。
ADECについての診断のための試験には、ヒトの体液、組織またはこのような組織の抽出物においてADECを検出するために抗体及び標識を用いる方法が含まれる。本発明のポリペプチド及び抗体は、修飾した上で使用されることもあれば、修飾せずに使用されることもある。多くの場合ポリペプチド及び抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質と共有結合または非共有結合で結合させることにより標識される。標識及び接着技術には様々なものが知られており、化学の文献あるいは特許明細書の双方において広く記載されている。適当な標識としては、放射線核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光剤、化学ルミネセンス剤、磁性粒子等が有る。このような標識の使用について記載されている特許明細書には、例えば米国特許第3,817,837号、第3,850,752号、第3,939,350号、第3,996,345号、第4,277,437号、第4,275,149号、第4,366,241号の明細書がある。また組換え免疫グロブリンの製造方法は、米国特許第4,816,576号明細書に記載されている方法を用いることができ、本明細書と共に参照されたい。
ADECに対して特異的なポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の何れかを用いて可溶性または膜結合型ADECを測定するための、様々なプロトコルが周知となっている。その例を挙げると、固相酵素免疫検定法(ELISA)、放射線免疫検定法(RIA)、及び蛍光活性化細胞分析分類法(FACS)等が有る。好適なのは、ADEC上の2つの非干渉なエピトープに反応するモノクローナル抗体を利用する、2部位モノクローナルベースの免疫検定法であるが、競合的結合検定法を用いてもよい。これらの検定法は、“Maddox, DE et al (1983, J Exp Med 158:1211)”他の文献に記載されている。
11.特異的抗体を用いるネイティブADECの精製
ネイティブADECまたは組換え体ADECは、ADEC特異的抗体を用いたイムノアフィニティクロマトグラフィーにより精製された。一般に、イムノアフィニティカラムは、抗ADEC抗体と活性化クロマトグラフィー樹脂が共有結合で結びつくことによって構成される。
ポリクローナル免疫グロブリンは、実施例4に記載したように調製され、モノクローナル抗体は硫安沈殿または固定化したプロテインA上でのクロマトグラフィーによりマウスの腹水から調製する。部分的に精製された免疫グロブリンは、CnBr活性化Sepharose(Pharmacia LKB Biotechnology)のようなクロマトグラフィー樹脂に共有結合によって付着させる。抗体を樹脂に結合し、製造者の指示に従いこの樹脂をブロックした後、誘導体樹脂を洗浄する。
このようなイムノアフィニティカラムは、可溶型のADECを含む細胞からの分画を調製することによってADECを精製する際に用いられる。可溶型ADECは、界面活性剤の添加または従来より周知の他の方法により分画遠心法を用いて得られた細胞成分分画、若しくは細胞全体を可溶化することによって誘導される。或いは、シグナル配列を含む可溶型ADECを、細胞を成長させる培地中に有用な量だけ分泌させてもよい。
可溶型ADECを含む調製物は、イムノアフィニティカラムに通して、このカラムを、ADECの優先的吸着が可能となる条件の下で(即ち、界面活性剤の存在の下、高イオン強度のバッファーで)洗浄する。次いで、抗体とADECの結合を分裂させるような条件(例えばpHが2から3のバッファー、或いは高濃度の尿素またはチオシアネートイオンのようなカオトロープ)でADECを溶出させ、このADECを回収した。
12.ADECに誘導された走化性或いは細胞活性化の判定
ADECの走化性の活性は、48穴マイクロケモタキシスチャンバ(“Falk WR 他(1980) J Immunol Methods 33:239”参照)で測定する。各穴をフィルタによって2つの区画に分割するが、このフィルタは細胞が化学的勾配に応じて通過できるようになっている。ADECを含むRMPI 1640のような細胞培養液は、通常はポリカーボネート製のフィルタの一方の側に入れて、同じ培養液内で懸濁された細胞をフィルタの他方の区画に入れる。十分なインキュベーション時間が経過すると、フィルタ前後の濃度勾配に応じて細胞がフィルタを通過する。その後、フィルタを各穴から取り出し、フィルタのADEC側に付着した細胞を類別し定量する。
特異的な細胞集団に対してケモタキシスアッセイを実施することにより、その化学走性の特異性を判定する。初めに、静脈穿刺で得た血液細胞を、密度勾配遠心分離法により分画し、特定のADECの走化性の活性を、好中球、末梢血単核細胞、単球及びリンパ球を多く含む細胞集団に対して試験する。所望に応じて、このような濃縮された細胞集団を、CD4+及びCD8+を豊富に含むT細胞集団をネガティブ選択するためのCD8+及びCD4+特異的抗体をそれぞれ用いてそれぞれ更に分画化する。
別のアッセイにより、活性化されたT細胞に対するADECの走化性の効果を解明する。ここでは、分画化されていないT細胞または分画化されたT細胞のサブセットを、CD−3抗体でコーティングされた組織培養用容器内で6〜8時間培養する。このCD3活性化の後、ADECの走化性の活性を、後述するように試験する。濃縮された細胞集団を得るための方法は、他にも様々な方法が知られている。
ケモカインの中には、非走化性の好中球及び単球の細胞活性化作用をもつものがある。これは、アクチン重合、呼吸バースト活性の上昇、アズール顆粒の脱顆粒、及びシグナル伝達経路の一部としてのCa2+動員等の、好中球の活性化の標準的な測定手段によって試験する。Ca2+の動員の検定法としては、好中球にCa2+の結合によって放射特性が変化する蛍光プローブを前負荷する方法が挙げられる。細胞が活性化作用のある刺激にさらされたとき、Ca2+の流動を、蛍光光度計による細胞の観測により決定する。Ca2+ の動員の測定については、“Grynkievicz G 他(1985) J Biol Chem 260:3440, and McColl S 他(1993) J Immunol 150:4550−4555”に記載されており、これを本明細書と共に参照されたい。
脱顆粒及び呼吸バーストの反応は、単球でも測定される(“Zachariae COC 他(1990) J Exp Med 171:2177−82”参照)。更に別の単球活性の測定手段としては、サイトカインの産生及び接着分子の発現を基準とすることが挙げられる(“Jiang Y 他(1992) J Immunol 148:24243−8”参照)。接着分子の発現は)リンパ球の活性化に応じた変化も示す(“Taub D 他(1993) Science 260: 355−358”参照)。
13.薬物スクリーニング
ADEC若しくはそのフラグメントは、様々な薬物スクリーニング技術で化合物をスクリーニングする際に有用である。このような試験において用いられるADECポリペプチドまたはフラグメントは、溶液の中に遊離している形態のものか、固体の支持体に付着している形態のものか、細胞の表面に支持されている形態のものか、あるいは細胞内に存在する形態のものの何れかである。薬物スクリーニングの一方法では、宿主細胞として、ADECポリペプチドまたはそのフラグメントを発現する組換え核酸で安定的に形質転換される真核細胞または原核細胞を利用する。そのような形質転換された細胞から競合的結合アッセイを用いて薬物をスクリーニングする。このような細胞は、生存型であれ固定型であれ標準的な結合アッセイ用に使用することができる。これを用いて、例えばADECまたはそのフラグメントと試験される薬剤との複合体形成を測定したり、あるいは試験される薬剤によって生じた好中球または繊維芽細胞とADECまたはそのフラグメントとの複合体の減少を検査することができる。
従って、本発明は、炎症及び疾病に作用する薬剤または薬物のスクリーニング方法を提供するものである。これらの方法は、本発明のADECポリペプチド、若しくはそのフラグメントをこのような薬剤に接触させる過程と、(i)ADECポリペプチド若しくはそのフラグメントとその薬剤との複合体の存在、若しくは(ii)ADECポリペプチドまたはそのフラグメントと細胞との複合体の存在を、周知の方法により検定(アッセイ)する過程とを含む。このような競合的結合検定法においては、通常、ADECポリペプチドまたはそのフラグメントは標識される。適当なインキュベーションの後、遊離したADECポリペプチドまたはそのフラグメントが、結合状態で存在していたところから分離され、そして、遊離した即ち複合体を形成していないものの標識の量が、特定の薬剤の、ADECに結合する能力、またはADEC/細胞複合体を阻害する能力の尺度となる。
薬物スクリーニングのための他の技術として、本発明のADECポリペプチドに対する適切な結合親和性を有する複合体を得るための高スループットのスクリーニング方法があり、その技術の詳細は1984年9月13日公開の欧州特許出願第84/03564号明細書に記載されており、本明細書と共にこれを参照されたい。この方法を簡単に述べると、たくさんの異なる小さなペプチドの試験化合物を、例えばプラスチックピンまたは他の物質でできた固体基板の表面上で合成する。試験化合物を、ADECポリペプチドと反応させて、洗浄する。次いで、結合したADECポリペプチドを周知の方法により検出する。精製されたADECを、上述の薬物スクリーニング技術において使用するためのプレート上に直接コーティングしてもよい。更に、非中和性抗体を用いて、固体支持体上にペプチドを捕捉若しくは固定化することができる。
試験化合物とADECに結合し得る中和抗体とが、ECポリペプチド若しくはそのフラグメントとの結合について競合する競合的薬物スクリーニングアッセイの利用も本発明の企図するところである。このようにして、この抗体を用いることにより、1または2以上の抗原決定基がADECと共通な任意のペプチドの存在を検出することができる。
14.合理的ドラッグデザイン
合理的ドラッグデザインの目標は、対象の生物学的に活性のポリペプチドの構造上の類似体、または、それらのポリペプチドが相互作用する小さな分子(例えばアゴニスト、アンタゴニスト、若しくは阻害剤等)の構造上の類似体を作り出すことである。ここに例として挙げたものは何れも、活性または安定性がより高い型のポリペプチドである薬剤、またはin vivoでポリペプチドの機能を強化若しくは阻害する薬剤を創り出すために用いることができる(“Hodgson J (1991) Bio/Technology 9:19−21”を本明細書とともに参照されたい)。
1つの方法では、ADECまたはADEC−阻害剤複合体の三次元的構造を、X線結晶解析、コンピュータによるモデル化、若しくは最も典型的にはこの2つの方法の組合せにより決定する。ポリペプチド分子の構造を解明し、分子の活性部位を決定するためには、ポリペプチドの形状及び荷量状態を確認しなければならない。ポリペプチドの構造に関する有用な情報は、相同タンパク質の構造に基づいたモデル化によって得ることもできる。何れの場合においても、適切な構造の情報を用いることによって、類似したケモカイン様の分子をデザインしたり、あるいは効果的な阻害剤を特定する。合理的ドラッグデザインの有用なものの例としては、Braxton S及びWells JA(1992 Biochemistry 31:7796−7801)により提示されたような、活性または安定性が改善された分子、若しくは、Athauda SB等(1993 J Biochem 113:742−746)によって提示された天然ADECの阻害剤、アゴニストまたはアンタゴニストとして作用する分子があり、ここで引用することにより上述の両文献を本明細書の一部とする。
上述のように、機能アッセイにより選択された標的特異的抗体を単離し、その後にその結晶構造を解明することも可能である。この方法では、基本的に、その後に行われるドラッグデザインにおける基礎となり得るファーマコア(pharmacore)が作り出される。機能的な、薬理学的に活性の抗体に対する抗イディオタイプの抗体(抗id)を作り出すことにより、タンパク質の結晶解析をとばすことができる。鏡像の鏡像の関係で、抗idの結合部位は、もとのレセプタの類似体であることが予測される。次いで、その抗idを用いて、化学的または生物学的に作り出されたペプチドの集合(bank)からペプチドを同定し単離し得ることになる。その単離されたペプチドは、ファーマコアとして役立つ。
本発明により、X線結晶解析のような解析研究を行うのに使用できる十分な量のポリペプチドを作ることができる。更に、ここに開示したADECアミノ酸配列の知識を、X線結晶解析の代わりとして、、またはX線結晶解析と共に用いられるコンピュータによるモデル化技術の利用者に提供することができる。
15.ADECのレセプタの同定
精製されたADECを、特異的な細胞表面のレセプタ及び他の結合分子の特性化、精製に利用することができる。走化性若しくは他の特異的応答によってADECに応答する細胞は、ADECに対するレセプタを発現している可能性が高い。まず、ADECに放射性標識を組み込むが、そのために様々な当業者に周知の方法を用いることができる。好適実施例では、ADECの主たるアミノ基を、125Iボルトンハンター試薬(“Bolton, AE and Hunter, WM (1973) Biochem J 133:529”参照)で標識する。この試薬は、他のケモカインについても、その生物学的活性を損なうことなく標識するために用いられてきたものである(“Hebert CA 他(1991) J Biol Chem 266: 18989; McColl S et al (1993) J Immunol 150:4550−4555”参照)。次に、レセプタを有する細胞を、標識したADECと共にインキュベートする。次いで、この細胞を洗浄して、結合していないADECを除去し、次いでレセプタに結合したADECを定量する。異なる濃度のADECを用いて得られたデータから、レセプタの数及び親和性を表す数値を計算することができる。
標識したADECは、その特異的なレセプタの精製のための試薬として有用である。ADECはクロマトグラフィカラムに共有結合で結合する。レセプタを有する細胞を抽出し、その抽出物をカラムに通す。レセプタは、そのリガンドとの生物学的な親和性のためにカラムに結合する。レセプタをカラムから回収し、N末端タンパク質シークエンシングを行う。次に、得られたアミノ酸配列を用いて、レセプタ遺伝子のクローニング用の縮重オリゴヌクレオチドプローブをデザインする。
別の方法である発現クローニングでは、mRNAをレセプタを有する細胞から得て、cDNA発現ライブラリを形成する。このライブラリを、細胞の集団ヘトランスフェクトして、集団内のレセプタを発現する細胞を、蛍光標識したADECを用いて選択する。このレセプタは、強く標識した細胞から組換えDNAを回収し配列決定することにより同定する。
別の方法では、レセプタを有する細胞の表面に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体を産生させ、更にこのモノクローナル抗体をスクリーニングして、標識したECの結合を阻害するものを特定する。次に、これらのモノクローナル抗体を、レセプタのアフィニティ精製または発現クローニングに用いる。
可溶性のレセプタまたは他の可溶性の結合する分子の同定も類似した方法で行う。まず、標識したADECを、炎症性アデノイド由来の抽出物または他の適切な材料と共にインキュベートする。インキュベーションの後、精製されたADECのサイズより大きいADEC複合体を、例えば、サイズ排除クロマトグラフィまたは密度勾配遠心分離法のような分子の大きさによって分離するサイジング技術を用いて同定し、公知の方法で精製する。可溶性のレセプタまたは結合するタンパク質にN末端シークエンシングを行い、その可溶性タンパク質が既知である場合にはデータベースで同定するため、その可溶性タンパク質が未知である場合にはクローニングのための十分な情報を得る。
上述の明細書の記載の中で引用された全ての文献及び特許明細書は、本明細書の一部とする。上述した本明細書の内容は、当業者が本発明を実施するのに十分なものであると考えられる。実際、当業者は、以下の請求の範囲に記載の本発明の範囲内で、上述の実施例に様々に変更を加えて実施することができるであろう。
配列表
(1)配列番号:1(SEQ ID NO:1)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 330塩基
(B)配列の型: 核酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: cDNA
(iii)直接の起源
(A)ライブラリー名: 炎症アデノイド
(B)クローン名: 20293
(ix)配列:
(2)配列番号:2(SEQ ID NO:2)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 109アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: ポリペプチド
(iii)直接の起源
(A)ライブラリー名: 炎症アデノイド
(B)クローン名: 20293
(ix)配列:
(3)配列番号:3(SEQ ID NO:3)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 114アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: タンパク質
(ix)配列:
(4)配列番号:4(SEQ ID NO:4)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 107アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: タンパク質
(ix)配列:
(5)配列番号:5(SEQ ID NO:5)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 106アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: タンパク質
(ix)配列:
(6)配列番号:6(SEQ ID NO:6)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 99アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: タンパク質
(ix)配列:
(7)配列番号:7(SEQ ID NO:7)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 107アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: タンパク質
(ix)配列:
(8)配列番号:8(SEQ ID NO:8)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 101アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類:タンパク質
(ix)配列:
(9)配列番号:9(SEQ ID NO:9)
(i)配列の特徴
(A)配列の長さ: 109アミノ酸
(B)配列の型: アミノ酸
(C)鎖の数: 一本鎖
(D)トポロジー: 直鎖状
(ii)配列の種類: タンパク質
(ix)配列:
Claims (14)
- 配列番号:2の配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列またはその相補的配列を含むポリヌクレオチドであって、前記ポリペプチドは炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有することを特徴とする精製されたポリヌクレオチド。
- 前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号:1の配列からなることを特徴とする請求項1に記載のポリヌクレオチド。
- ストリンジェントな条件の下で、配列番号:1の配列を含むポリヌクレオチドとハイブリッド形成可能で、炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有するポリペプチドをコードする配列を含むことを特徴とする精製されたポリヌクレオチド。
- 請求項2に記載の前記精製されたポリヌクレオチドを含むことを特徴とする発現ベクター。
- 請求項4に記載の前記発現ベクターを含むことを特徴とする宿主細胞。
- (a)配列番号:2の配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列、または
(b)配列番号:2の配列のポリペプチドの変異体をコードするポリヌクレオチド配列であって、前記ポリペプチドの変異体は、炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有し、かつその配列は、(i)配列番号:2の配列のなかで保存的なアミノ酸置換を含む配列、(ii)配列番号:2の配列のなかに1個乃至5個のアミノ酸が挿入された配列、(iii)配列番号:2の配列のなかから1個乃至5個のアミノ酸が欠失した配列の何れか1つである、該ポリペプチドの変異体をコードするポリヌクレオチド配列の何れかを含むことを特徴とするポリヌクレオチド。 - 配列番号:2のポリペプチドをコードする配列を含むポリヌクレオチドに相補的であり、かつ炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有するポリペプチドをコードする配列を含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
- 配列番号:2の配列のポリペプチドを製造する方法であって、
a)前記ポリペプチドの発現に適切な条件の下で、請求項5に記載の前記宿主細胞を培養する過程と、
b)前記細胞培養物から前記ポリペプチドを回収する過程とを有することを特徴とするポリペプチドの製造方法。 - 診断のために、生物学的試料において炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有するアデノイド発現型ケモカインをコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチドを検出する試験方法であって、
a)前記生物学的試料と、配列番号:1のヌクレオチド配列を含むヌクレオチドの断片を含むハイブリダイゼーションプローブとを、核酸ハイブリダイゼーション複合体の形成に適した条件の下で結合する過程と、
b)前記ハイブリダイゼーション複合体を検出する過程であって、前記複合体の存在が、前記生物学的試料におけるアデノイド発現型ケモカインをコードする前記ヌクレオチドの存在と相互関係を有する、該過程と、
c)前記試料におけるアデノイド発現型ケモカインをコードする前記ヌクレオチドの量とその存在量の標準値とを比較し、前記第2のヌクレオチド配列の量が前記標準値と異なっているか否かを判定する過程であって、アデノイド発現型ケモカインをコードする前記ヌクレオチドが異常な量存在することが、炎症に関連する状態と相互関係を有する、該過程とを有することを特徴とする試験方法。 - 前記ハイブリダイゼーションプローブがリポーター分子で標識され、前記ハイブリダイゼーション複合体が前記リポーター分子を測定することにより検出されることを特徴とする請求項9に記載の試験方法。
- 診断のために、生物学的試料において炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有するアデノイド発現型ケモカインをコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチドを検出する試験方法であって、
a)核酸増幅に適した条件の下で、前記生物学的試料とPCR用プライマーとを結合する過程であって、前記プライマーが配列番号:1のヌクレオチド配列を含むヌクレオチドの断片を含む、該過程と、
b)増幅されたヌクレオチドを検出する過程と、
c)前記生物学的試料における前記増幅されたヌクレオチドの量を、その存在量の標準値と比較し、前記ヌクレオチドの量が前記標準値と異なっているか否かを判定する過程であって、前記ヌクレオチドが異常な量存在することが、炎症に関連する状態と相互関係を有する、該過程とを有することを特徴とする試験方法。 - その配列が、配列番号:2の配列を含むポリペプチドであって、炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有することを特徴とする精製されたポリペプチド。
- 配列番号:2の配列の第24番目の残基のロイシンをN末端アミノ酸残基として有するアデノイド発現型ケモカインであって、炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有することを特徴とする精製されたアデノイド発現型ケモカイン。
- 配列番号:2の配列の第25番目乃至第42番目の残基のアミノ酸残基からなるアデノイド発現型ケモカインであって、炎症の発症に関連するリンパ球に対する走化性活性を有することを特徴とする精製されたアデノイド発現型ケモカイン。
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