JP4032103B2 - 量子ドットによる演算回路 - Google Patents

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Description

本発明は、特にナノスケールの光通信ネットワーク、光計測等の分野に適用される量子ドットによる演算回路、量子ドットによる遅延回路、量子ドットによる判別回路に関するものである。
近年の半導体微細加工技術の発展により、量子力学的効果が顕著に現れるサイズまでに微細な構造をもつ半導体素子が実現されている(例えば、非特許文献1参照。)。この量子力学的効果を利用した半導体素子として、例えばHBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)や量子井戸レーザ等が実用化されている。また量子力学的効果を利用し、単一電子を制御することにより電子の粒子性を極限まで利用するナノスケールの量子ドットが注目されている。
量子ドットは、上述した半導体微細加工技術を用いることにより、励起子に三次元的な量子閉じ込めを与えるほど微細なポテンシャルの箱を形成したものである。この励起子の閉じ込め系を利用し、量子ドット内のキャリアのエネルギー準位が離散的になり、状態密度がデルタ関数的に尖鋭化する。この量子ドットにおける尖鋭化した状態間における光の吸収を利用する単一電子メモリや、量子ドットを出入りする単一電子をON/OFF動作させる単一電子トランジスタが既に研究されており、単一電子のナノスケール操作が実現化されつつある。
M.Ohtsu,K.Kobayashi,T.Kawazoe,S.Sangu,T.Yatsui,IEEE J.Sel.Top.Quant.Electron.,to be published Vol8.No4 2002July-Aug,P839-P862
ところで、将来の大容量情報処理への要求に応えるべく、光の回折限界に支配されることなく演算処理、情報処理、遅延処理等を行うことができるナノスケールの演算回路、遅延回路等の実現が望まれている。
しかしながら、かかるナノスケールの回路を電子デバイスで実現化しようとした場合、量子的なゆらぎが生じてしまうという問題点があり、また光デバイスで実現しようとした場合には、やはり光の回折限界により微小化が制限されてしまうという問題点がある。更に量子デバイスでこれを実現化しようとした場合には、コヒーレンス性において長期に亘る信頼性を確保することが困難になるという問題点がある。このため、実用的なナノスケールの回路自体が未だ案出されていないのが現状である。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出し、光の回折限界に支配されることなく演算処理等を行うことができる量子ドットによる演算回路、量子ドットによる遅延回路を提供することにある。また、これらを利用して量子ドット間における双極子−双極子相互作用に基づく近接場光結合状態を判別する量子ドットによる判別回路を提供することにある。
本発明を適用した量子ドットは、上述した問題点を解決するために、ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出しつつ、エネルギー準位が予め調整された第3の量子ドット等を形成し、またこれらの系における対称度を制御する。
即ち、本発明を適用した量子ドットによる演算回路は、誘電性の基板と、供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも高準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットを備え、上記各量子ドットは、上記第3の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように、上記基板上に形成され、上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、上記第3の量子ドットのエネルギー準位は、1励起子状態で分離されたエネルギーの高エネルギー側に共鳴するエネルギー準位としたことを特徴とする。
また、本発明を適用した量子ドットによる演算回路は、誘電性の基板と、供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットを備え、上記各量子ドットは、上記第3の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように、上記基板上に形成され、上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、上記第3の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ低いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる2励起子状態のエネルギーと、演算の終状態における第3の量子ドットに1つの励起子が存在し、且つ、第1,第2の量子ドットに1励起子状態が形成された状態で高エネルギー側のエネルギーが等しくなることを特徴とする。
また、本発明を適用した量子ドットによる遅延回路は、誘電性の基板と、供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、遅延時間に合わせて供給される制御光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも高準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第4のエネルギー準位を有し、当該第4のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第4の量子ドットとを備え、上記各量子ドットは、上記第3の量子ドット又は上記第4の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように、上記基板上に形成され、上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、上記第3の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ高いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる1励起子状態の分離された高エネルギー側に共鳴するエネルギー準位を有し、
上記第4の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ低いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる2励起子状態のエネルギーと、演算の終状態における第4の量子ドットに1つの励起子が存在し、且つ、第1,第2の量子ドットに1励起子状態が形成された状態で分離された高エネルギー側のエネルギーが共鳴するエネルギー準位とすることを特徴とする。
さらに、本発明を適用した量子ドットによる判別回路は、誘電性の基板と、供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも高準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットと、上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第4のエネルギー準位を有し、当該第4のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第4の量子ドットとを備え、上記各量子ドットは、上記第3の量子ドット又は上記第4の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに非対称となるように、上記基板上に形成され、上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、上記第3の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ高いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる1励起子状態の分離された高エネルギー側に共鳴するエネルギー準位を有し、上記第4の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ低いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる1励起子状態の分離された低エネルギー側に共鳴するエネルギー準位を有することを特徴とする。
本発明を適用した量子ドットによる演算回路,遅延回路,判別回路は、ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出しつつ、エネルギー準位が予め調整された第3の量子ドット等を形成し、またこれらの系における対称度を制御することができるため、光の回折限界に支配されることなく演算処理、遅延処理等を行うことができるナノスケールの回路を提供することが可能となり、将来の大容量情報処理への要求に応えることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、本発明を適用した量子ドットによる演算回路1について説明をする。演算回路1は、例えば図1に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF等の導電性材料により構成される(誘電性の)基板11と、基板11の表面上において形成されている第1の量子ドット12並びに当該第1の量子ドット12の近傍において形成されている第2の量子ドット13からなる演算部10と、上記演算部10近傍に形成されている第3の量子ドット21からなる出力部20とを備えている。
演算部10を構成する各量子ドット12,13、並びに出力部20を構成する量子ドット21は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。この量子ドット12,13間において、励起子の閉じ込め系により、量子ドット内のキャリアのエネルギー準位が離散的になり、状態密度をデルタ関数的に尖鋭化させることができる。
この演算部10を構成する各量子ドット12,13には、近接場光としての信号光がそれぞれ独立に供給される。ここで、第1の量子ドット12に供給される近接場光を信号光Aとし、第2の量子ドット13に供給される近接場光を信号光Bとする。これら信号光A, 信号光Bは、基板11に形成されたプラズモン導波路31、32を介してそれぞれ各量子ドット12,13に供給されるが、かかる場合に限定されるものではなく、例えば各量子ドット12,13に近接された図示しない近接場光プローブを介して供給されるようにしてもよい。
出力部20を構成する第3の量子ドット21は、第1の量子ドット12、或いは第2の量子ドット13から注入される励起子に応じて出力光を生成する。第3の量子ドット21の周囲には、生成した出力光を伝搬させて外部出力するためのプラズモン導波路33が設けられている。
即ち、この演算回路1では、第1の量子ドット12及び/又は第2の量子ドット13に対して、信号光A,信号光Bがそれぞれ独立に供給される。第3の量子ドット21は、演算部10を構成する量子ドット12,13へ供給された信号光A,Bに応じて、出力光を生成する。ここで信号光A,Bが供給されている状態、或いは生成された出力光が放出されている状態をHレベルとし、信号光A,Bが供給されていない状態、或いは出力光が生成されていない状態をLレベルとすれば、演算回路1は、信号光A,Bに応じて出力光をON/OFFすることにより、Hレベルの信号値、Lレベルの信号値を論理演算するための回路として機能することになる。
ちなみに、各量子ドット12,13,21は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなる。ちなみに、各量子ドット12,13,21を構成する材料系がCuClである場合に、これらは立方体として構成され、また各量子ドット12,13,21を構成する材料系がGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。これらの各量子ドット12,13,21は、ブリッジマン法や分子エピタキシー(MBE)成長法に基づいて基板11上に作製してもよいし、また近接場光CVDを利用して量子ドットの形成位置を精度よく制御してもよい。
第1の量子ドット12並びに第2の量子ドット13は、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係になるように、基板11上に形成される。このとき、第1の量子ドット12並びに第2の量子ドット13は、第3の量子ドット21を介して対称となるように基板11上に形成される。このとき、図2に示すように、第3の量子ドット21を頂点として第1の量子ドット12と第2の量子ドット13との間で二等辺三角形が形成されるようにしてもよい。
次に、本発明を適用した演算回路1の動作につき説明をする。この演算回路1は、基板上11に形成された量子ドット12,13間に生じる特有の光物理現象に基づいて、AND演算素子として、又はXOR演算素子として動作する。換言すれば、系のコヒーレンスを或る程度保持し、或る条件下でデコヒーレンス(緩和)により、出力光の信号値を確定する。
図3は、各量子ドット12,13,21を構成する材料系がCuClである場合のエネルギ図を示している。各量子ドット12,13,21における量子閉じ込め準位E(nx,ny,nz)は、粒子の質量をmとし、また量子ドットの辺長をLとしたときに、以下の式(1)により定義される。
E(nx,ny,nz)=h2/8π2m(π/L)2(nx 2+ny 2+nz 2)・・・・・(1)
この式(1)に基づき、各量子ドット12,13,21のE(nx,ny,nz)を計算する。このとき、第1の量子ドット12と第2の量子ドット13の辺長比は、およそ1:1としたとき、第1の量子ドット12における量子準位が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2の量子ドット13における量子準位が(1,1,1)であるときのE(111)とが等しくなる。すなわち、第1の量子ドット12の量子準位(1,1,1)と、第2の量子ドット13の量子準位(1,1,1)は、励起子の励起エネルギー準位が共鳴する関係にある。実際これらの間で共鳴を起こさせるために、第1の量子ドット12における量子準位(1,1,1)に対応する波長をもつ光を、信号光Aとして供給し、或いは、第2の量子ドット13における量子準位(1,1,1)に対応する波長をもつ光を、信号光Bとして供給する必要がある。
かかる共鳴が生じる場合に、第1の量子ドット12に存在する量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第2の量子ドット13における量子準位(1,1,1)へ移動し、また第2の量子ドット13の量子準位(1,1,1)に存在する励起子が、第1の量子ドット12における量子準位(1,1,1)へ移動するが、量子ドット12,13間において励起子がコヒーレントに結合して、見かけ上1つの励起モードが形成される。
即ち、この演算回路1は、辺長比がそれぞれ1:1であるほぼ同一の形状、サイズからなる各量子ドット12,13を基板11上に設けることにより、状態密度関数がほぼ等しくなる量子準位を作り出すことができ、これらの間で共鳴効果を起こさせることにより、互いの量子準位(1,1,1)間において1つの励起モードを形成させることができる。
図3(a)は、第1の量子ドット12に信号光Aが供給され、或いは第2の量子ドット13に信号光Bが供給された結果、基底準位からhのエネルギー差を有する励起エネルギー準位へ励起子が励起された場合を示している。即ち、この演算部10を構成する第1の量子ドット12,第2の量子ドット13間で1つの励起子のみが励起された場合(1励起子状態)には、近接場光結合の強さUに応じてエネルギーが分離する。この近接場光結合は、双極子−双極子相互作用により生じる結合であり、双極子間におけるカップリングの強さを示すパラメータである。分離されたエネルギーの高準位側をエネルギー準位Sとし、低準位側をエネルギー準位Aとするとき、エネルギー準位Sと基底準位とのエネルギー差はh+Uとなり、エネルギー準位Aと基底準位とのエネルギー差はh−Uとなる。
ここで、基底準位からhのエネルギー差を有する第3の量子ドット21における励起エネルギー準位Pを、上記エネルギー準位Sへ合わせ込む。換言すれば、第3の量子ドット21における励起エネルギー準位Pをhより近接場光結合の強さU分だけ高く調整する。これにより、両準位間で上述した共鳴効果を起こさせることができ、エネルギー準位Sに存在する励起子が励起エネルギー準位Pへ注入されることになる。ちなみに、かかる共鳴の条件は、Δh=h−h=+Uで表されることになる。
この注入された励起子は、励起エネルギー準位Pから下位のエネルギー準位へ熱として放出され、かかる熱放出に応じて出力光が放出されることになる。即ち、この第3の量子ドット21では、励起エネルギー準位Pからエネルギーが放出される結果、出力光が生成されることになる。この出力光をプラズモン導波路33を介して伝搬させることにより、外部へ信号出力することができる。
なお、第3の量子ドットにおける励起エネルギー準位Pと、上記エネルギー準位Aとは、互いに禁制となるため両準位間で共鳴することはない。図4は、エネルギー準位Sとエネルギー準位Aにおける電気双極子の方向を示している。エネルギー準位Sにおいて、第1の量子ドット12と第2の量子ドット13とは、電気双極子の方向が互いに同一となる。これに対し、エネルギー準位Aにおいて、第1の量子ドット12と第2の量子ドット13とは、電気双極子の方向が互いに逆方向となる。即ち、第1の量子ドット12,第3の量子ドット21間における双極子のペアと、第2の量子ドット13,第3の量子ドット21間における双極子のペアは互いにその方向が異なる。量子ドット12,13が互いに相手側の双極子を同じ方向へ向けようとする結果、相殺されて第3の量子ドット21との間で共鳴が生じることがなくなる。
このため、励起エネルギー準位の等しい第1の量子ドット12、並びに第2の量子ドット13において、何れか一の量子ドット12,13から励起子が励起された場合に、エネルギー準位Sのみに注入可能な励起子を励起させることができ、かかる準位に対して状態密度関数がほぼ等しくなるエネルギー準位Pを第3の量子ドット21において作製することにより、これらの間で共鳴効果を起こさせることができる。
即ち、本発明を適用した演算回路1は、第1の量子ドット12又は第2の量子ドット13の何れかに信号光が供給された場合、換言すれば何れかの量子ドット12,13にHレベルの信号が供給された場合には、上述した共鳴効果により出力光が生成されHレベルの信号を出力する。これに対して、第1の量子ドット12又は第2の量子ドット13の何れに対しても信号光が供給されなかった場合、換言すれば量子ドット12,13の双方にLレベルの信号が供給された場合には、上述した共鳴も起こらず、出力光も生成されないことから、Lレベルの信号が出力される。同様に、第1の量子ドット12又は第2の量子ドット13の何れに対しても信号光が供給された場合、換言すれば量子ドット12,13の双方にHレベルの信号が供給された場合においても、上述した共鳴も起こらず、出力光も生成されないことから、Lレベルの信号が出力される。
ここで信号光A,信号光Bの信号レベルを(A,B)で表示するとき、演算回路1は、(H,L)、(L,H)の信号値が供給された場合には、Hレベルの信号を出力し、(H,H)、(L,L)の信号が供給された場合には、Lレベルの信号を出力する、いわゆるXOR演算素子として作用することになる。
同様に、本発明を適用した演算回路1は、AND素子としても作用する。図3(b)は、第1の量子ドット12に信号光Aが供給され、また第2の量子ドット13に信号光Bが供給された結果、基底準位から2hのエネルギー差を有する励起エネルギー準位Pへ2つの励起子が励起された状態(2励起子状態)を示している。かかる状態を初期状態としたとき、何れか一の励起子が第3の量子ドット21へ注入された結果、第1の量子ドット12,第2の量子ドット13間において1つの励起子が存在し、また第3の量子ドット21に1つの励起子が存在する場合を終状態という。
この終状態においても、演算部10を構成する第1の量子ドット12,第2の量子ドット13間で1つの励起子のみが励起された状態となるため、近接場光結合の強さUに応じてエネルギーが分離する。この分離されたエネルギーの高準位側をエネルギー準位Sとし、低準位側をエネルギー準位Aとするとき、エネルギー準位Sと基底準位とのエネルギー差は、h+h+Uとなる。
ここで初期状態における励起エネルギー準位Pが、終状態におけるエネルギー準位Sと等しくなる場合に共鳴が生じるため、共鳴の条件は、h+h+U=2hで表される。ここで、かかる共鳴の条件式を整理すると、Δh=h−h=−Uとなり、第3の量子ドット21における励起エネルギー準位をhより近接場光結合の強さU分だけ低く調整することにより、上記共鳴効果を得ることが可能となる。
第3の量子ドット21におけるエネルギー準位Sに注入された励起子は、下位のエネルギー準位へ熱として放出し、出力光が生成されることになる。この出力光をプラズモン導波路33を介して伝搬させることにより、外部へ信号出力することができる。
なお、エネルギー準位Aと、励起エネルギー準位Pとは、上述したメカニズムにより互いに禁制となるため共鳴することはない。
即ち、本発明を適用した演算回路1は、第1の量子ドット12又は第2の量子ドット13の双方に信号光が供給された場合、換言すれば量子ドット12,13にそれぞれHレベルの信号が供給された場合には、上述した共鳴効果により出力光が生成されHレベルの信号を出力する。これに対して、第1の量子ドット12又は第2の量子ドット13の何れに対しても信号光が供給されなかった場合、また第1の量子ドット12又は第2の量子ドット13の何れか一方のみに信号光が供給された場合には、上述した共鳴も起こらず、出力光も生成されないことから、Lレベルの信号が出力される。
また、本発明を適用した演算回路1は、第1の量子ドット12並びに第2の量子ドット13に対して、それぞれ(H,H)の信号が供給された場合には、Hレベルの信号を出力し、(H,L)、(L,H)、(L,L)の信号が供給された場合には、Lレベルの信号を出力する、いわゆるAND演算素子として作用することになる。
なお本発明を適用した演算回路1は、あくまで第3の量子ドット21を介して第1の量子ドット12並びに第2の量子ドット13が互いに対称となるように形成されている、いわゆる対称な系であることが前提となる。このような対称な系において、1励起子状態である場合のポピュレーションを計算すると、図5(a)に示すように、各量子ドット12,13に対して第3の量子ドット21が正に階調された場合(Δh=+U)に、演算部10から出力部20へ共鳴的なエネルギーの移動が生じることが分かる。ちなみに、かかる場合におけるポピュレーションは、確率0.5まで上昇することになる。
また、2励起子状態である場合のポピュレーションは、図5(b)に示すように、各量子ドット12,13に対して第3の量子ドット21が負に階調された場合(Δh=−U)に、演算部10から出力部20へ共鳴的なエネルギーの移動が生じることが分かる。かかる場合におけるポピュレーションは、確率1.0付近まで上昇することになる。
なお、上述した実施の形態では、第3の量子ドット21における励起エネルギー準位をhより近接場光結合の強さU分だけ高く又は低く調整する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではなく、励起エネルギー準位をhよりも高準位又は低準位であれば、上述とほぼ同様の効果を得ることが可能となる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すナノメータサイズの情報処理回路4や遅延回路5に適用してもよい。図6は、かかる情報処理回路4や遅延回路5の構成を示している。上述した演算回路1と同一の構成要素には、同一の番号を付して説明を省略する。
情報処理回路4,遅延回路5は、導電性材料により構成される(誘電性の)基板11と、基板11の表面上において形成されている第1の量子ドット12並びに当該第1の量子ドット12の近傍に形成されている第2の量子ドット13と、これら量子ドット12,13からそれぞれ等距離に形成された第3の量子ドット41,第4の量子ドット42を備えている。第1の量子ドット12,第2の量子ドット13は、上記第3の量子ドット41又は上記第4の量子ドット42を介して互いに対称となるように形成されており、この図6では、第1の量子ドット12〜第4の量子ドット42によりいわゆる菱形が形成される例を示している。
第3の量子ドット41は、エネルギー準位Sとの共鳴に応じて各量子ドット12,13から励起子が注入されるエネルギー準位Pを有する。このエネルギー準位Pは、上述の如く第1の量子ドット12におけるhより近接場光結合の強さU分だけ高く調整されている。第3の量子ドット41は、エネルギー準位Pから放出されたエネルギーに応じて第1の出力光を生成し、これを基板11上に設けられたプラズモン導波路53中を伝搬させることにより外部へ供給する。
第4の量子ドット42は、エネルギー準位Pとの共鳴に応じて各量子ドット12,13から励起子が注入されるエネルギー準位Sを有する。このエネルギー準位Sは、上述の如く第1の量子ドット12におけるhより近接場光結合の強さU分だけ低く調整されている。第4の量子ドット42は、エネルギー準位Sから放出されたエネルギーに応じて第2の出力光を生成し、これを基板11上に設けられたプラズモン導波路54中を伝搬させることにより外部へ供給する。
ここで、図6のような構成からなる各量子ドット12,13,41,42を情報処理回路として動作させる場合には、信号光A及び/又は信号光Bが、それぞれプラズモン導波路31,32を介して供給される。
ちなみに、信号光Aのみプラズモン導波路31を介して供給された場合、或いは信号光Bのみプラズモン導波路32を介して供給された場合には、1励起子状態となるため、エネルギー準位Sと共鳴する第3の量子ドット41におけるエネルギー準位Pへ励起子が注入される。これに対して、エネルギー準位Sと第4の量子ドット42におけるエネルギー準位Sとは共鳴することはなく、当該量子ドット42に対して励起子が注入されることはない。即ち、第3の量子ドット41のみに対して励起子を選択的に注入させることができ、ひいては第1の出力光のみを選択的に出力することが可能となる。
また、信号光A及び信号光Bの双方が、それぞれプラズモン導波路31,32を介して供給された場合には、2励起子状態となるため、エネルギー準位Pと共鳴する第4の量子ドット42におけるエネルギー準位Sへ励起子が注入される。これに対して、エネルギー準位Pと第3の量子ドット41におけるエネルギー準位Pとは共鳴せず、当該量子ドット41に対して励起子が注入されることはない。即ち、第4の量子ドット42のみに対して励起子を選択的に注入させることができ、ひいては第2の出力光のみを選択的に出力することが可能となる。
また、図6のような構成からなる各量子ドット12,13,41,42を遅延回路5として動作させる場合には、信号光Aがプラズモン導波路31を介して供給され、また遅延時間に合わせて制御光がプラズモン導波路32を介して供給される。
信号光Aのみがプラズモン導波路31を介して第1の量子ドット12へ供給され、かつ制御光が第2の量子ドットへ供給されない場合には、1励起子状態となるため、第3の量子ドット41のみに対して励起子が選択的に注入されることになり、第1の出力光が出力される。
また遅延時間経過後に信号光Bがプラズモン導波路32を介して第2の量子ドット13へ供給された場合には、2励起子状態となるため、第4の量子ドット42に励起子が注入される結果、当該遅延時間に合わせて第2の出力光が出力される。
即ち、この遅延回路5では、信号光Aが供給された場合に、これに基づく第1の出力光を出力し、遅延時間経過後に供給された制御光に応じて第2の出力光を出力することができる。
また本発明では、各量子ドットを任意に配置して、いわゆる非対称な系を作り出すことにより、上記演算回路1とは別の励起モードを形成することもできる。図7は、かかる非対称性を利用することにより量子ドット間における近接場相互作用を判別するための判別回路6を示している。なお、上述した演算回路1と同一の構成要素には、同一の番号を付して説明を省略する。
判別回路6は、導電性材料により構成される(誘電性の)基板11と、基板11の表面上において形成されている第1の量子ドット12並びに当該第1の量子ドット12の近傍に形成されている第2の量子ドット13と、第2の量子ドット13近傍に形成された第3の量子ドット61と、第2の量子ドット13の近傍に形成された第4の量子ドット62とを備えている。
各量子ドット12,13,61,62は、第3の量子ドット61又は第4の量子ドット62を介して第1の量子ドット12並びに第2の量子ドット13が互いに非対称となるように基板上11に形成される。この図7では第1の量子ドット12〜第4の量子ドット46によりいわゆるL字型が形成される例を示している。
このように各量子ドット12,13,61,62を非対称に配置することにより、対称な系と比較して正反対の共鳴条件を有することとなるため、エネルギー差Δhに対する依存性が異なることになる。その結果、電気双極子の方向が互いに逆方向なエネルギー準位Aにおいても、第4の量子ドット62との間で共鳴が生じることになる。一方、第3の量子ドット61は、上述と同様にエネルギー準位Sとの間で共鳴が生じることになる。
このように本発明を適用した判別回路6は、演算部10における量子状態に応じて、第3の量子ドット61又は第4の量子ドット62に対して励起子を注入させることができる。これら第3の量子ドット61又は第4の量子ドット62に注入された励起子を、これらに基づいて放出された出力光を介してそれぞれ検出することにより、演算部10における量子状態を識別することが可能となる。
従って、ユーザは、双極子の方向が未知である複数の量子ドットにおける量子状態を選択的に抽出を望む場合に、かかる複数の量子ドットに対して非対称となるように第3の量子ドット61,第4の量子ドット62を形成し、それらの周囲に設けられたプラズモン導波路を介して放出される出力光を検出することにより、これを実現することが可能となる。
なお、これら遅延回路5,判別回路6についても、演算回路1と同様に第3の量子ドット41,61並びに第4の量子ドット42,62における励起エネルギー準位をhより近接場光結合の強さU分だけ高く又は低く調整する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではないことは勿論であり、励起エネルギー準位をhよりも高準位又は低準位であれば、同様の効果を得ることが可能となる。
以上詳細に説明したように、本発明を適用した量子ドットによる演算回路1,情報処理回路4,遅延回路5,判別回路6は、ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出しつつ、エネルギー準位が予め調整された第3の量子ドット等を形成し、またこれらの系における対称度を制御することができるため、光の回折限界に支配されることなく演算処理、遅延処理等を行うことができるナノスケールの回路を提供することが可能となり、将来の大容量情報処理への要求に応えることが可能となる。
本発明を適用した量子ドットによる演算回路の構成を示す図である。 演算回路において、基板上に形成された量子ドットの位置関係につき説明するための図である。 対称な系におけるダイナミクスを示す図である。 第1の量子ドット並びに第2の量子ドットにおける量子状態につき説明するための図である。 各励起子状態におけるポピュレーションの経時的な変化を示す図である。 本発明を適用した量子ドットによる情報処理回路並びに遅延回路の構成を示す図である。 本発明を適用した量子ドットによる判別回路の構成を示す図である。
符号の説明
1 演算回路、4 情報処理回路、5 遅延回路、6 判別回路、10 演算部、11 基板、12 第1の量子ドット、13 第2の量子ドット、20 出力部、21 第3の量子ドット

Claims (8)

  1. 誘電性の基板と、
    供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、
    上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、
    上記第1,第2のエネルギー準位よりも高準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットを備え、
    上記各量子ドットは、上記第3の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように、上記基板上に形成され、
    上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、
    上記第3の量子ドットのエネルギー準位は、1励起子状態で分離されたエネルギーの高エネルギー側に共鳴するエネルギー準位としたこと
    を特徴とする量子ドットによる演算回路。
  2. 上記第3の量子ドットは、上記第1,第2のエネルギー準位間の双極子−双極子相互作用に応じた近接場光結合の強さ分だけ上記第1,第2の量子ドットにおける励起エネルギー準位が有する基底準位からエネルギー差よりも高い第3のエネルギー準位を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の量子ドットによる演算回路。
  3. 誘電性の基板と、
    供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、
    上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、
    上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットを備え、
    上記各量子ドットは、上記第3の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように、上記基板上に形成され、
    上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、
    上記第3の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ低いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる2励起子状態のエネルギーと、演算の終状態における第3の量子ドットに1つの励起子が存在し、且つ、第1,第2の量子ドットに1励起子状態が形成された状態で高エネルギー側のエネルギーが等しくなる
    ことを特徴とする量子ドットによる演算回路。
  4. 上記第3の量子ドットは、上記第1,第2のエネルギー準位間の双極子−双極子相互作用に応じた近接場光の強さ分だけ第1,第2の量子ドットにおける励起エネルギー準位が有する基底準位からのエネルギー差より低い第3のエネルギー準位を有する
    ことを特徴とする請求項3記載の量子ドットによる演算回路。
  5. 誘電性の基板と、
    供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、
    上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、遅延時間に合わせて供給される制御光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、
    上記第1,第2のエネルギー準位よりも高準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットと、
    上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第4のエネルギー準位を有し、当該第4のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第4の量子ドットとを備え、
    上記各量子ドットは、上記第3の量子ドット又は上記第4の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに対称となるように、上記基板上に形成され、
    上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、
    上記第3の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ高いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる1励起子状態の分離された高エネルギー側に共鳴するエネルギー準位を有し、
    上記第4の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ低いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる2励起子状態のエネルギーと、演算の終状態における第4の量子ドットに1つの励起子が存在し、且つ、第1,第2の量子ドットに1励起子状態が形成された状態で分離された高エネルギー側のエネルギーが共鳴するエネルギー準位とする
    を特徴とする量子ドットによる遅延回路。
  6. 上記第3の量子ドットは、上記第1,第2のエネルギー準位間の双極子−双極子相互作用に応じた近接場光の強さ分だけ第1,第2の量子ドットにおける励起エネルギー準位が有する基底準位からのエネルギー差より高い第3のエネルギー準位を有し、
    上記第4の量子ドットは、上記第1,第2のエネルギー準位間の双極子−双極子相互作用に応じた近接場光の強さ分だけ第1,第2の量子ドットにおける励起エネルギー準位が有する基底準位からのエネルギー差より低い第4のエネルギー準位を有すること
    を特徴とする請求項5記載の量子ドットによる遅延回路。
  7. 誘電性の基板と、
    供給される第1の信号光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有する第1の量子ドットと、
    上記第1のエネルギー準位と同準位の第2のエネルギー準位を有し、供給される第2の信号光に応じて当該第2のエネルギー準位に励起子が励起される第2の量子ドットと、
    上記第1,第2のエネルギー準位よりも高準位の第3のエネルギー準位を有し、当該第3のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第3の量子ドットと、
    上記第1,第2のエネルギー準位よりも低準位の第4のエネルギー準位を有し、当該第4のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて出力光を生成する第4の量子ドットとを備え、
    上記各量子ドットは、上記第3の量子ドット又は上記第4の量子ドットを介して上記第1の量子ドット並びに第2の量子ドットが互いに非対称となるように、上記基板上に形成され、
    上記第1の量子ドットと第2の量子ドットは、互いに近接場光によりコヒーレントに結合するような位置関係にあって共鳴効果を起こし、励起子がコヒーレントに結合し、1励起子状態では近接場光結合の強さに応じてエネルギーが分離するものであって、
    上記第3の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ高いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる1励起子状態の分離された高エネルギー側に共鳴するエネルギー準位を有し、
    上記第4の量子ドットは、第1,第2の量子ドットにおけるエネルギー準位より近接場光の強さ分だけ低いエネルギー準位を有し、演算の初期状態における第1,第2の量子ドットによる1励起子状態の分離された低エネルギー側に共鳴するエネルギー準位を有すること
    を特徴とする量子ドットによる判別回路。
  8. 上記第3の量子ドットは、上記第1,第2のエネルギー準位間の双極子−双極子相互作用に応じた近接場光の強さ分だけ第1,第2の量子ドットにおける励起エネルギー準位が有する基底準位からのエネルギー差より高い第3のエネルギー準位を有し、
    上記第4の量子ドットは、上記第1,第2のエネルギー準位間の双極子−双極子相互作用に応じた近接場光の強さ分だけ第1,第2の量子ドットにおける励起エネルギー準位が有する基底準位からのエネルギー差より低い第4のエネルギー準位を有すること
    を特徴とする請求項7記載の量子ドットによる判別回路。
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