JP5142908B2 - ノッチゲート素子 - Google Patents

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本発明は、特にナノスケールの光通信ネットワーク、光計測等の分野に適用される量子ドットを用いたノッチゲート素子、及びノッチゲート素子による信号制御方法に関するものである。
近年の半導体微細加工技術の発展により、量子力学的効果が顕著に現れるサイズまでに微細な構造をもつ半導体素子が実現されている(例えば、非特許文献1参照。)。この量子力学的効果を利用した半導体素子として、例えばHBT(Hetero-junction Bipolar Transistor)や量子井戸レーザ等が実用化されている。また量子力学的効果を利用し、単一電子を制御することにより電子の粒子性を極限まで利用するナノスケールの量子ドットが注目されている。
量子ドットは、上述した半導体微細加工技術を用いることにより、励起子に三次元的な量子閉じ込めを与えるほど微細なポテンシャルの箱を形成したものである。この励起子の閉じ込め系を利用し、量子ドット内のキャリアのエネルギー準位が離散的になり、状態密度がデルタ関数的に尖鋭化する。この量子ドットにおける尖鋭化した状態間における光の吸収を利用する単一電子メモリや、量子ドットを出入りする単一電子をON/OFF動作させる単一電子トランジスタが既に研究されており、単一電子のナノスケール操作が実現化されつつある。
M.Ohtsu,K.Kobayashi,T.Kawazoe,S.Sangu,T.Yatsui,IEEE J.Sel.Top.Quant.Electron.,to be published Vol8.No4 2002July-Aug,P839-P862 M.J.O’Mahony, D. Simeonidou, D. K. Hunter, A.Tzanakaki, IEEE Commn.Mag.39,128(2001)
ところで、将来の大容量情報処理への要求に応えるべく、光の回折限界に支配されることなく演算処理、情報処理、遅延処理等を行うことができるナノスケールの演算回路、遅延回路等の実現が望まれている。特に、これら論理演算系を完全なものとするためには、デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲート素子が必須となる。
しかしながら、かかるナノスケールの回路を電子デバイスで実現化しようとした場合、量子的なゆらぎが生じてしまうという問題点があり、また光デバイスで実現しようとした場合には、やはり光の回折限界により微小化が制限されてしまうという問題点がある。このため、実用的なナノスケールのノッチゲート素子が未だ案出されていないのが現状である。
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、ナノメートル領域に配置した量子ドット間に特有な光物理現象を見出し、光の回折限界に支配されることなくナノオーダの領域において出力信号に転流ノッチを発生させることが可能なノッチゲート素子及びノッチゲート素子による信号制御方法を提供することにある。
本発明に係るノッチゲート素子は、上述した課題を解決するために、デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲート素子において、供給される入力光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有し、当該第1のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光を生成する第1の量子ドットと、上記ゲート信号に対応する信号光による励起子の励起状態に応じて上記第1のエネルギー準位と共鳴するようにシフトする第2のエネルギー準位を有し、上記第1の量子ドットより大体積で構成される第2の量子ドットと、が誘電性の基板上に形成されてなり、上記ゲート信号をONにする場合には、上記第1の量子ドットに対して入力光が供給され続けるとともに上記第2量子ドットに対して信号光が供給されることにより、当該第2の量子ドットにおける上記第2のエネルギー準位を下位にシフトさせて、上記第1のエネルギー準位から上記励起子を注入することにより、上記放出されるエネルギーを減少させて上記出力信号の信号強度を低下させ、上記ゲート信号のON時に、上記入力光が供給され続けるとともに、上記信号光の供給を停止された場合には、上記第2の量子ドットにおいて、上記第2のエネルギー準位へ注入された上記励起子をこれよりも下位準位へと遷移させ、当該下位準位に一時的に蓄積させた上記励起子に基づいて、上記信号光による励起子の励起に代替させて上記第2のエネルギー準位を上記第1のエネルギーと共鳴するようにシフトさせることにより、上記信号光が供給の停止状態においても上記出力信号の信号強度を低い状態で保持することを特徴とする。
本発明に係るノッチゲート素子による信号制御方法は、上述した課題を解決するために、 デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲート素子による信号制御方法において、供給される入力光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有し、当該第1のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光を生成する第1の量子ドットと、上記ゲート信号に対応する信号光による励起子の励起状態に応じて上記第1のエネルギー準位と共鳴するようにシフトする第2のエネルギー準位を有し、上記第1の量子ドットより大体積で構成される第2の量子ドットと、が誘電性の基板上に形成されてなるノッチゲート素子に対して、上記ゲート信号をONにする場合には、上記第1の量子ドットに対して入力光を供給し続けるとともに上記第2量子ドットに対して信号光を供給することにより、当該第2の量子ドットにおける上記第2のエネルギー準位を下位にシフトさせて、上記第1のエネルギー準位から上記励起子を注入することにより、上記放出されるエネルギーを減少させて上記出力信号の信号強度を低下させ、上記ゲート信号のON時に、上記入力光を供給し続けるとともに、上記信号光の供給を停止して、上記第2の量子ドットにおいて、上記第2のエネルギー準位へ注入された上記励起子をこれよりも下位準位へと遷移させ、当該下位準位に一時的に蓄積させた上記励起子に基づいて、上記信号光による励起子の励起に代替させて上記第2のエネルギー準位を上記第1のエネルギーと共鳴するようにシフトさせることにより、上記信号光が供給の停止状態においても上記出力信号の信号強度を低い状態で保持することを特徴とする。
即ち、本発明を適用したノッチゲート素子は、信号光Cの供給により先ず第2のエネルギー準位をシフトさせて第1の量子ドットと共鳴準位を作ることにより、エネルギー移動確率φを上昇させる。そして、このエネルギー移動確率φが高くなると、ゲート用エネルギー準位に一時的に蓄積される励起子の量を増やすことが可能となり、信号光Cの供給が無くても第2のエネルギー準位を下位へシフトさせ続けることが可能となる。かかる現象が定常的に起こすことにより、第1の量子ドットから第2の量子ドットへのエネルギー移動が定常的に生じ、第1の量子ドットから放出される出力光Bは、信号強度が低下した状態で保持されることになる。
このため、本発明を適用したノッチゲート素子は、デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲートとしての動作を発揮させることが可能となる。しかも、本発明では、ナノスケールの量子ドットで一つの演算回路を実現することが可能となり、光の回折限界により微小化が制限されることも無くなり、電子デバイスの小型化の要求にも応えることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
先ず、本発明を適用した量子ドットによるノッチゲート素子1について説明をする。ノッチゲート素子1は、デジタル化されたゲート信号の入力に対する出力信号を生成する演算回路であって、例えば図1に示すように、例えばNaCl、KCl又はCaF等の導電性材料により構成される基板10と、基板10の表面上において形成されている第1の量子ドット11と、第1の量子ドット11近傍に形成されてなり、第1の量子ドット11より大体積で構成される第2の量子ドット12とを備えている。
第1の量子ドット11,第2の量子ドット12は、励起子を三次元的に閉じ込めることにより形成される離散的なエネルギー準位に基づき、単一電子(励起子)を制御する。これら量子ドット11,12では、励起子の閉じ込め系によりキャリアのエネルギー準位が離散的になり、状態密度をデルタ関数的に尖鋭化させることができる。
第1の量子ドット11は、外部から供給される入力光Aに応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位21を有し、当該第1のエネルギー準位21から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光Bを生成する。入力光Aは、図示しないプラズモン導波路を介して第1の量子ドット11へ供給されるようにしてもよいし、近接場光プローブを介して供給されるようにしてもよい。さらに、この入力光Aはファーフィールドの伝搬光として供給されるようにしてもよい。この入力光Aは、ノッチゲート素子1として
動作させる際において常に外部から供給されている状態となる。このノッチゲート素子1では、入力光Aが供給されることにより動作可能となることから、この入力光Aは、いわゆる電源光としての役割を果たす。
第2の量子ドット12は、ゲート信号としての波長からなる信号光Cに応じて励起子が励起されるゲート用エネルギー準位23と、このゲート用エネルギー準位23における励起子の供給状態に応じて上下方向にシフトする第2のエネルギー準位22を有する。
各量子ドット11,12は、CuCl、GaN又はZnO等の材料系からなる。ちなみに、各量子ドット11,12を構成する材料系がCuClである場合に、これらは量子箱と呼ばれる立方体状で構成され、また各量子ドット11,12を構成する材料系がGaNやZnOである場合に、これらは球形或いは円盤形として構成される。
これら各量子ドット11,12は以下のブリッジマン法を用いることにより、基板10上に形成させることができる。各量子ドット11,12を構成する材料系として上記CuClを用いる場合において、先ずCuClの粉末と、NaClの粉末を混合して約800℃の温度で融解する。次に、上下方向に温度勾配が施された炉内へ上記融解した混合粉末をつり下げ、数mm/hの速度で炉内を上下移動させることにより、混合粉末内部に温度勾配を作り出して序々に結晶化させてゆく。そして約200℃程度の温度で数分から数10分間熱処理をすると、CuClの量子ドット11,12を包含したNaCl結晶を作製することができる。ちなみに、このブリッジマン法では、熱処理温度や熱処理時間を変えることにより、生成する量子ドット11,12のサイズを自在に制御することもでき、これらを100nm以下の領域に並べて形成させることも可能となる。
なお、これら各量子ドット11,12は、更に分子エピタキシー(MBE)成長法に基づいて基板10上に作製してもよいし、また近接場光CVDを利用して量子ドットの形成位置を精度よく制御してもよい。
各量子ドット11,12におけるエネルギー準位E(nx,ny,nz)は、粒子の質量をmとし、また量子ドットの辺長をLとしたときに、以下の式(1)により定義される。
E(nx,ny,nz)=h2/8π2m(π/L)2(nx 2+ny 2+nz 2)・・・・・(1)
なお、本発明では、量子ドットの形状や材質に応じて、この式(1)で定義されるエネルギー準位E(nx,ny,nz)の式以外に、他の一般的なエネルギー準位の式が適用される場合もある。
この式(1)に基づき、各量子ドット11,12のE(nx,ny,nz)を計算する。ここで第1の量子ドット11と、第2の量子ドット12との辺長比が、およそ1:√2であるとき、図2に示すように、第1の量子ドット11における第1のエネルギー準位21が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2の量子ドット12におけるエネルギー準位が(2,1,1)であるときのE(211)とが等しくなる。即ち、第1の量子ドット11における第1のエネルギー準位21の(1,1,1)と、第2の量子ドット12における第2のエネルギー準位22の(2,1,1)は、それぞれ励起子の励起エネルギー準位が共鳴する関係にある。
即ち、基板10上において辺長比が互いに異なる各量子ドット11,12を形成させることにより、(1)式に基づく量子準位をほぼ等しくすることができ、これらの間で共鳴を起こさせることにより、体積の小さい量子ドット11から体積の大きい量子ドット12へ励起子を注入することができる。換言すれば、量子ドット間で体積(サイズ)を互いに異ならせることにより、これらの間で励起子を伝送することができ、ひいては共鳴エネル
ギー移動を実現することができる。
本発明を適用したノッチゲート素子1では、かかる励起子の伝送原理を応用し、以下に示すような伝送メカニズムに基づき、デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲート動作を行う。
先ず、第1の量子ドット11と、第2の量子ドット12を辺長比5:6となるように構成する。以下の説明では、第1の量子ドット11の辺長を5nmとし、第2の量子ドット12の辺長を6nmとした場合を例にとり説明をする。
このような辺長比を上記(1)式に当てはめると、図3に示すように第1のエネルギー準位21が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2のエネルギー準位22が(2,1,1)であるときのE(211)とが互いに異なることになる。かかる辺長比に制御した状態において、第1の量子ドット11に入力光Aを供給すると、当該入力光Aに応じて第1のエネルギー準位21の(1,1,1)に励起子が励起されるが、第1のエネルギー準位21の(1,1,1)と、第2のエネルギー準位22の(2,1,1)とは互いに異なることから共鳴が生じることはないため、上述の如く共鳴エネルギー移動が生じることもなくなる。その結果、第1のエネルギー準位21の(1,1,1)に励起された励起子が蓄積する結果、下位準位に対してそのエネルギーが放出されることになる。
第1のエネルギー準位21の(1,1,1)から下位準位へエネルギーが放出されると、これに応じた発光が生じる。この発光成分を出力光Bとして取り出すことにより、これを上記出力信号とすることができる。
図4は、入力光Aと出力光Bの関係を示している。期間t1では、入力光Aのみを第1の量子ドット11へ供給することにより、上述したメカニズムにより当該第1の量子ドット11から出力光Bが放出されるが、第2の量子ドット12への共鳴エネルギー移動が生じないため、この放出される出力光Bのエネルギーが大きくなる。
これに対して、期間t1の終了後、期間t2への移行時において、第2の量子ドット12にゲート信号に対応する信号光Cを供給すると、これに伴って第2の量子ドット12におけるゲート用エネルギー準位23へ励起子が励起される。ゲート用エネルギー準位23へ励起子が励起されると、これに応じてかかる第2のエネルギー準位22の(2,1,1)は、図5に示すように下位へシフトする。その結果、第1のエネルギー準位21が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2の量子ドット12における第2のエネルギー準位22が(2,1,1)であるときのE(211)とが略同一準位で構成されることになる。このため、第1のエネルギー準位21の(1,1,1)と、第2のエネルギー準位22の(2,1,1)との間で共鳴が生じ、体積の小さい第1の量子ドット11から体積の大きい第2の量子ドット12へ励起子が注入されることになる。ちなみに、第2の量子ドット12へ注入された励起子は、そのまま第2の量子ドット12におけるゲート用エネルギー準位23へ遷移した上で、放出光Dとして放出されることになる。
かかる状態において、第1の量子ドット11に対して入力光を供給すると、第1のエネルギー準位21の(1,1,1)へ励起された励起子は、共鳴エネルギー移動に伴って第2の量子ドット12へ多くが移動することになることから、ゲート用エネルギー準位23に対して放出されるエネルギーが減少することになる。その結果、出力光Bは、かかるエネルギー移動に応じて発光強度が低下する。これは、出力光Bとしての信号強度そのものを低下させることにもなる。
ここで、第1の量子ドット11から第2の量子ドット12へのエネルギー移動確率φが
、ゲート用エネルギー準位23から放出される放出光Dの放出確率εとの間で以下の式(2)を満たすとき、このゲート用エネルギー準位23において励起子が一時的に蓄積することになる。
エネルギー移動確率φ>放出光Dの放出確率ε・・・・・・・・・・(2)
ここでいうエネルギー移動確率φは、詳細には、文献(K. Kobayashi, S. Sangu, T. Kawazoe, M. Ohtsu、Erratum to: ‘‘Exciton dynamics and logic operations in a near-field optically coupled quantum-dot system’’ Journal of Luminescence 114 (2005) 315-316)等に開示されている。
このゲート用エネルギー準位23における励起子の一時的な蓄積は、これは第1の量子ドット11から第2の量子ドット12へ移動してくる励起子の量が、この第2の量子ドット12から放出される励起子の量を上回ることにより起きる現象ともいえる。
ゲート用エネルギー準位23において励起子が一時的に蓄積することにより、第2の量子ドット12に信号光Cを供給することによりゲート用エネルギー準位23へ励起子を励起させるのと同等の作用が起きることになる。即ち、ゲート用エネルギー準位23において励起子が一時的に蓄積させることに伴い、これに応じてかかる第2のエネルギー準位22は、図5に示すように下位へシフトする。その結果、第1のエネルギー準位21が(1,1,1)であるときのE(111)と、第2の量子ドット12における第2のエネルギー準位22が(2,1,1)であるときのE(211)とが略同一準位で構成されることになる。このため、第1のエネルギー準位21の(1,1,1)と、第2のエネルギー準位22の(2,1,1)との間で共鳴が生じ、体積の小さい第1の量子ドット11から体積の大きい第2の量子ドット12へ励起子が注入されることになる。
かかる状態にある期間t2において、第1の量子ドット11に対して入力光Aを供給し続けるとすると、第1のエネルギー準位21の(1,1,1)へ励起された励起子は、共鳴エネルギー移動に伴って第2の量子ドット12へ多くが移動することになることから、ゲート用エネルギー準位23に対して放出されるエネルギーが減少することになる。その結果、出力光Bは、図4に示すようにかかるエネルギーの放出に応じて発光強度が低下する。これは、出力光Bとしての信号強度そのものを低下させることにもなる。
また、第1のエネルギー準位21の(1,1,1)へ励起された励起子が、共鳴エネルギー移動に伴って第2の量子ドット12へ多くが移動し続けることにより、エネルギー移動確率φを高くすることが可能となり、上述した(2)式が常時成り立つことになる。その結果、特段信号光Cの供給する必要も無くなることから、信号光Cの供給時間は、図4に示すようにt2の開始点において非常に短い時間とされていても、上述した動作を発揮し続けることが可能となる。
即ち、本発明では、信号光Cの供給により先ず第2のエネルギー準位22をシフトさせて第1の量子ドット11と共鳴準位を作ることにより、エネルギー移動確率φを上昇させる。そして、このエネルギー移動確率φが高くなると、ゲート用エネルギー準位23に一時的に蓄積される励起子の量を増やすことが可能となり、信号光Cの供給が無くても第2のエネルギー準位22を下位へシフトさせ続けることが可能となる。かかる現象が定常的に起きることにより、第1の量子ドット11から第2の量子ドット12へのエネルギー移動が定常的に生じ、第1の量子ドット11から放出される出力光Bは、信号強度が低下した状態で保持されることになる。
この期間t2を終了させたい場合には、図4に示すように、入力光Aを一度停止することにより、第2の量子ドット12へエネルギー移動を無くすことで上記(2)式を成り立
たなくさせ、その上で再度入力光Aの供給を開始すると、出力光Bは元に戻ることになる。
即ち、本発明を適用したノッチゲート素子1は、第2の量子ドット12に対して、信号光Cにつき1か0の何れかの値をとるデジタル信号aに当てはめ、a=1であるときに第2の量子ドット12へ信号光Cを供給し(ゲート信号をONにし)、a=0であるときに信号光の供給Cを停止する(ゲート信号をOFFにする)。この間、第1の量子ドット11に対しては常時入力光Aを供給し続ける。信号光Cの供給を開始させることにより、上述の如く第2のエネルギー準位22が下位にシフトする結果、共鳴エネルギー移動が生じることから、第1の量子ドット11において下位準位へ放出されるエネルギーが減少し、出力光Bは低くなる。しかもその後に信号光Cの供給を停止しても、この出力光Bは低い状態で維持されることになる。また、a=0であるときには、共鳴エネルギー移動が生じることは無いため、第1の量子ドット11において下位準位へ放出されるエネルギーは増大する。
即ち、本発明を適用したノッチゲート素子1は、デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲートとしての動作を発揮させることが可能となる。しかも、本発明では、ナノスケールの量子ドットで一つの演算回路を実現することが可能となり、光の回折限界により微小化が制限されることも無くなり、電子デバイスの小型化の要求にも応えることが可能となる。
本発明においては、上記式(2)を成立させるために好適な構成として、例えば第1の量子ドット11と第2の量子ドット12との距離を50nm以下まで近づけるようにしてもよい。これにより、第1の量子ドット11から第2の量子ドット12へ高い確率をもって励起子を移動させることが可能となり、エネルギー移動確率φを向上させることが可能となる。
更に本発明では、上記式(2)を成立させるために好適な構成として、例えば第1の量子ドット11と第2の量子ドット12の寸法誤差を±10%以内まで調整することが望ましい。その理由として誤差10%以内であれば、説明に使っていない他のエネルギー準位、例えば(2,2,1)や(3,1,1)などとの複雑なエネルギー移動を考慮する必要がなくなり、ノッチゲート動作が容易になるからであるである。
本発明を適用した量子ドットによるノッチゲート素子の構成を示す図である。 本発明を適用したノッチゲート素子における量子ドットのエネルギー準位につき説明するための図である。 信号光を入射させることによるエネルギー準位のシフトにつき説明するための図である。 本発明を適用した量子ドットによるノッチゲート素子の動作について説明するための図である。 ゲート用エネルギー準位において励起子を一時的に蓄積させることにより第2のエネルギー準位を下位へシフトさせる例を示す図である。
符号の説明
1 ノッチゲート素子
10 基板
11 第1の量子ドット
12 第2の量子ドット
21 第1のエネルギー準位
22 第2のエネルギー準位
23 ゲート用エネルギー準位

Claims (4)

  1. デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲート素子において、
    供給される入力光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有し、当該第1のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光を生成する第1の量子ドットと、
    上記ゲート信号に対応する信号光による励起子の励起状態に応じて上記第1のエネルギー準位と共鳴するようにシフトする第2のエネルギー準位を有し、上記第1の量子ドットより大体積で構成される第2の量子ドットと、が誘電性の基板上に形成されてなり、
    上記ゲート信号をONにする場合には、上記第1の量子ドットに対して入力光が供給され続けるとともに上記第2量子ドットに対して信号光が供給されることにより、当該第2の量子ドットにおける上記第2のエネルギー準位を下位にシフトさせて、上記第1のエネルギー準位から上記励起子を注入することにより、上記放出されるエネルギーを減少させて上記出力信号の信号強度を低下させ、
    上記ゲート信号のON時に、上記入力光が供給され続けるとともに、上記信号光の供給を停止された場合には、上記第2の量子ドットにおいて、上記第2のエネルギー準位へ注入された上記励起子をこれよりも下位準位へと遷移させ、当該下位準位に一時的に蓄積させた上記励起子に基づいて、上記信号光による励起子の励起に代替させて上記第2のエネルギー準位を上記第1のエネルギーと共鳴するようにシフトさせることにより、上記信号光が供給の停止状態においても上記出力信号の信号強度を低い状態で保持すること
    を特徴とするノッチゲート素子。
  2. 上記ゲート信号のON期間中に、上記入力光の供給が停止された場合には、上記第2の量子ドットへの励起子の移動を無くすことで、上記第1の量子ドットから上記第2の量子ドットへ移動する励起子のエネルギー移動確率φが、第2の量子ドットにおける下位準位から放出される励起子に基づく放出光の放出確率ε以下とし、その上で再度入力光の供給を開始することにより、上記出力信号の信号強度を向上させて上記ゲート信号をOFFに制御可能とされていること
    を特徴とする請求項1記載のノッチゲート素子。
  3. デジタル化されたゲート信号の入力に応じて出力信号に転流ノッチを発生させるノッチゲート素子による信号制御方法において、
    供給される入力光に応じて励起子が励起される第1のエネルギー準位を有し、当該第1のエネルギー準位から放出されたエネルギーに応じて上記出力信号としての出力光を生成する第1の量子ドットと、上記ゲート信号に対応する信号光による励起子の励起状態に応じて上記第1のエネルギー準位と共鳴するようにシフトする第2のエネルギー準位を有し、上記第1の量子ドットより大体積で構成される第2の量子ドットと、が誘電性の基板上に形成されてなるノッチゲート素子に対して、
    上記ゲート信号をONにする場合には、上記第1の量子ドットに対して入力光を供給し続けるとともに上記第2量子ドットに対して信号光を供給することにより、当該第2の量子ドットにおける上記第2のエネルギー準位を下位にシフトさせて、上記第1のエネルギー準位から上記励起子を注入することにより、上記放出されるエネルギーを減少させて上記出力信号の信号強度を低下させ、
    上記ゲート信号のON時に、上記入力光を供給し続けるとともに、上記信号光の供給を停止して、上記第2の量子ドットにおいて、上記第2のエネルギー準位へ注入された上記励起子をこれよりも下位準位へと遷移させ、当該下位準位に一時的に蓄積させた上記励起子に基づいて、上記信号光による励起子の励起に代替させて上記第2のエネルギー準位を上記第1のエネルギーと共鳴するようにシフトさせることにより、上記信号光が供給の停止状態においても上記出力信号の信号強度を低い状態で保持すること
    を特徴とするノッチゲート素子による信号制御方法。
  4. 上記ゲート信号のON期間中に、上記入力光の供給を停止し、上記第2の量子ドットへの励起子の移動を無くすことで、上記第1の量子ドットから上記第2の量子ドットへ移動する励起子のエネルギー移動確率φが、第2の量子ドットにおける下位準位から放出される励起子に基づく放出光の放出確率ε以下とし、その上で再度入力光の供給を開始することにより、上記出力信号の信号強度を向上させて上記ゲート信号をOFFに制御すること
    を特徴とする請求項3記載のノッチゲート素子による信号制御方法。
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