JP4031348B2 - ヒューム管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒューム管の製造方法に関し、詳しくは、粉末度の大きいセメントを使用したコンクリートや、水結合材比の小さいコンクリートを遠心力成形したときに管内面に形成される、締まりの悪い軟らかいペースト層を刷毛仕上げができるように硬く締め固めるヒューム管の製造方法であり、さらに、ノロ防止材を添加したコンクリートを遠心力成形した場合に形成される締まりの悪い軟らかいペースト層を刷毛仕上げができるように硬く締め固めるヒューム管の製造方法であり、ヒューム管製造時に発生するノロを低減させるヒューム管の製造方法に関する。
なお、本発明でいうノロ防止材とは、ノロの発生を低減する材(剤)も含むものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、ヒューム管の製造方法や内面仕上げ方法としては、重力加速度をGとすると、型枠を6G前後の、コンクリートが張り付く低速回転で回転させながらコンクリートを投入して、15〜20Gの中速回転を経て、最終的に30〜45G程度の高速回転で脱水させて内面を硬く締め、脱水により薄くなった分、管厚を調整するためと内面仕上げのために乾式モルタル又は湿式モルタルを添加して、さらに締め固めてから棒の先端に短い刷毛の付いたコテを用いて低速回転で仕上げる(刷毛仕上げ)方法が行われている。
そして、脱水させて締め固めしやすいようにコンクリートの配合を、例えば、単位水量160〜200kg/m3で、水結合材比が35%を超えるようにし、単位粗骨材量は660〜950kg/m3で、細骨材率(s/a)が45〜60%となるようにすることが通常行われている。
【0003】
しかしながら、最近では、推進管の高強度化が進み、設計強度が90N/mm2と大きくなると、早強ポルトランドセメントなどの水硬性が高く、粉末度が大きいセメントの使用や、コンクリートの水結合材比も35%以下とする、高強度混和材を併用するなどの対策を講じているが、粉末度の大きいセメントの使用や、水結合材比を小さくするほど遠心力成形では脱水し難くなって、軟らかいペースト層がヒューム管内面に形成されるようになり、刷毛仕上げが困難となる課題が生じている。
なお、刷毛仕上げ後のヒューム管内面は円周方向に刷毛目のついた状態となるが、締まらない軟らかいペースト層の厚さが0.5mm形成されても、停止までの惰性回転で刷毛目が消え、クレームの発生しやすい製品となる。
【0004】
さらに、遠心力成型時にノロ防止材を添加したコンクリートでヒューム管を製造する場合では、水結合材比に関係なく、1cm前後から数センチの厚さの軟らかいペースト層が必ず形成されるので刷毛を入れると全面的にペースト層が崩壊して仕上げを行うことができないという課題があった。
【0005】
一方、遠心力成形体のペースト層が締まらない場合に、内面に水を散布して、再度、遠心力成形してペースト層を締める方法が提案されている(特開昭56−038209号公報)。
しかしながら、ヒューム管の場合は、前述のように軟らかいペースト層が0.5mm程度と薄くても製品として仕上がらないことと、さらにノロ防止材を配合したコンクリートから遠心力成形で生成するペースト層の保水性はより強くなっているので、水のみの散布では軟らかいペースト層が残り、ヒューム管の製造はできないという課題があった。
【0006】
遠心力成形時のノロの発生を低減又は防止するノロ防止材の成分としては、ベントナイト、酸性白土、及び活性白土等の粘土鉱物や、シリカフュームなどの保水性のある超微粉、並びに、硫酸アルミニウムやミョウバンなどの可溶性アルミニウム化合物や硫酸鉄等のエトリンガイトの生成と同時にコンクリートに保水性を与える成分等が提案されている(例えば、特開平03−247543号公報、特開平03−261639号公報、特開平03−265552号公報、特開平03−265551号公報、特開平02−044053号公報、特公平02−028533号公報、及び特開昭62−007654号公報等)。
【0007】
さらに、水溶性高分子用いてコンクリートに強い粘性を付与してノロ発生を防止する方法も提案されている(特開昭62-278152号公報)。
【0008】
本発明者は、粉末度の大きいセメントを使用したコンクリート、水結合材比の小さいコンクリート、及びノロ防止材を添加したコンクリートを、遠心力成形してヒューム管を製造する際に、管内面に形成される軟らかいペースト層を、刷毛仕上げができるように硬く締め固める方法を鋭意研究した結果、減水剤を用いた簡便な方法が前記課題を解決できるというを知見して本発明を完成させたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、型枠に、単位粗骨材量が1,050〜1,400kg/m3のコンクリートを投入し、型枠を回転させながら、遠心力成形が終了するまでの間に、ヒューム管内面に、内面積1cm2当たり、固形分換算で0.0005〜0.25gの減水剤を、一回又は二回以上に分けて散布するヒューム管の製造方法であり、前記コンクリートの単位粗骨材量が1,050〜1,350kg/m3である該ヒューム管の製造方法であり、前記コンクリートの単位粗骨材量が1,100〜1,300kg/m3である該ヒューム管の製造方法であり、前記コンクリートに、ノロ防止材を添加する該ヒューム管の製造方法であり、さらに、ヒューム管内面を刷毛仕上げする該ヒューム管の製造方法である。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、本発明の部や%は質量基準である。
【0011】
本発明は、型枠にコンクリートを投入し、型枠を回転させながら、遠心力成形が終了するまでの間に、ヒューム管内面に、内面積1cm2当たり、固形分換算で0.0005〜0.25gの減水剤を、一回又は二回以上に分けて散布することを特徴とするヒューム管の製造方法である。
【0012】
本発明で使用する減水剤としては、リグニンスルホン酸塩系、オキシカルボン酸塩系、及びポリオール系等の一般的な減水剤、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系やメラミン樹脂スルホン酸ホルマリン縮合物系等の高性能減水剤、並びに、ポリカルボン酸塩系高性能AE減水剤のいずれでも使用可能であり、液体の状態で使用する。
また、減水剤の中でも、少ない散布量でペースト層の締め固め効果が大きく、かつ、発生するノロ量も少ない、ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤の使用がより好ましい。
減水剤の使用量は、ヒューム管内面積1cm2当たり、固形分換算で0.0005〜0.25gが好ましく、0.0015〜0.05gがより好ましく、0.0025〜0.025gが最も好ましい。0.0005g未満では、ペースト層が厚い場合や、ペースト層の保水性が強い場合は軟らかいペースト層が残り、仕上げができなくなる場合があり、0.25gを超えると発生するノロ量が多くなる場合がある。
【0013】
また、本発明では、減水剤を散布する回数を、一回又は二回以上とする。
ヒューム管を製造する場合、小径管の場合は、コンクリートを一回投入して成形する一層成形法で行われ、管径が大きくなると複数回に分けてコンクリートを投入しながら、そのつど、高速回転まで上げて締め固めて行く複数層成形法があり、かつ、最終的には仕上げ用の乾式モルタルや湿式モルタルを投入して高速回転で締め固める。
減水剤の散布は、この各層毎に、又は最後の層のみに、さらには任意の層が締まるまで複数回散布しても良く、仕上げモルタル投入後に散布することも可能である。
なお、本発明の減水剤の散布は、回転している管内面のコンクリート又はペースト表面に行うものである。
【0014】
減水剤を散布するタイミングは、低速回転でのコンクリート投入完了直後でも、回転を上げていく過程でも、さらには、中速又は高速回転に入ってからでも、いずれでも良いが、低速回転での散布ではノロ発生量は多くなる傾向にあり、高速回転に入ってからの散布はノロ発生量は少なくなる傾向にある。
なお、減水剤は、市販の減水剤原液を2〜4倍程度に希釈して使用すると作業性がよく、ヒューム管内面への散布手段は柄杓で所定量を全体的に撒くようにしてもよいし、噴霧器で噴霧しても良く、散布方法は特に限定されるものではない。
【0015】
本発明の遠心力成形におけるノロ防止材とは、ノロの発生を低減する材(剤)も含むもので、コンクリートの保水力を強くする粘土鉱物、超微粉、保水性を与えながら多量の結晶水を有するエトリンガイトを速く生成させて余剰水を固定する性質を持つ可溶性アルミニウム化合物等、並びに、コンクリートに高い粘性を与えてノロを低減する水溶性高分子等、ノロ低減作用のあるものであれば特に限定されるものではない。
【0016】
なお、ベントナイト以外の粘土鉱物、その焼成品であるメタカオリン、及び超微粉であるシリカフューム(以下、シリカフュームなどという)はノロを低減又は防止するためには比較的多量に必要であること、また、これらはポゾラン活性があり強度も高くすることから、本発明では結合材として扱う。
【0017】
本発明の実施に当たり、脱水効率を高めて締め固めやすくするためには、ヒューム管内面に形成される軟らかいペースト層厚をより薄くすることが好ましい。このためには、コンクリート配合の中の粗骨材の最大寸法は20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。
また、単位粗骨材量は、1,050〜1,400kg/m3が好ましく、1,050〜1,350kg/m3がより好ましく、1,100〜1,300kg/m3が最も好ましい。1,050kg/m3未満ではペースト層厚が厚くなり、脱水効率と締め固め効率が悪くなる場合があり、1,400kg/m3を超えると粗骨材がスパイラル筋に引っかかって積み重なり、内面に段差ができたり、端部にジャンカが生成したりする場合がある。また、ペースト層厚を薄くすることにより強度が高くなる効果も発揮する。
【0018】
さらに、本発明ではノロ防止材を使用しないコンクリートの水結合材比は35%以下が好ましい。35%を超える高い水結合材比では脱水性が良好であるので本発明の効果は必要とせず、35%以下で、より小さくなるほどコンクリートの保水力は強くなるので、軟らかいペースト層が厚く形成されやすくなる分、発生するノロ量も少なくなり、ノロ発生量を抑止しながら締まらないペースト層を減水剤の散布で締め固めるという本発明の効果が顕著に発揮することが可能である。
【0019】
なお、結合材とは、セメント、膨張材、高強度混和材の合量であり、前記のとおりノロ防止材として使用するシリカフュームやメタカオリンなどは高強度混和材としても効果を発揮するので、結合材として取り扱う。
【0020】
本発明のヒューム管の製造において使用されるセメントとしては、普通、早強、及び超早強等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントにスラグなどを混合した各種混合セメントが挙げられる。
また、本発明では、通常、普通ポルトランドセメントを使用するが、本発明は、ノロ発生量の低減も目的としていることから、保水力の大きく、粉末度の大きい、ノロの発生をより抑える、早強ポルトランドセメントや超早強ポルトランドセメントを使用することは好ましい。
また、膨張材はヒューム管の外圧強度を高くするために、また、高強度混和材は圧縮強度を高くするために通常使用されている混和材である。
【0021】
さらに遠心力成形方法も常法でよく、特に限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実験例で詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実験例1
表1の配合No.1のコンクリート配合を用いてコンクリートを調製し、型枠に15kg投入して、6Gの低速回転で2分、15Gの中速回転で2分、35Gの高速回転で6分回転させて遠心力成形し、φ20×30L×4t cmの遠心力成形供試体を一回で成形した。
この際、低速回転の回転し始め(低速)、中速回転の回転し始め(中速)、又は高速回転の回転し始め(高速)に、型枠中央のφ10cmの穴から、各種減水剤を固形分換算で表2に示す量、スプレーで散布して締め固めた。そして締まらない軟らかいペースト層厚、脱水量、及び圧縮強度を測定した。結果を表2に併記する。
なお、散布量は、散布前後の重量を秤量しながら調節した。
また、セメントはセメントαを、減水剤は原液を2倍に希釈したものを使用し、ノロ防止材▲1▼は練混ぜ水の一部を用いてスラリーにしてコンクリートに練混ぜた。
【0024】
<使用材料>
セメントα:普通ポルトランドセメント、ブレーン比表面積3,200cm2/g
細骨材(S):新潟県姫川産川砂
粗骨材(G):新潟県姫川産砕石、最大寸法13mm
混和材a :膨張材、主成分カルシウムサルホアルミネート、市販品
混和材b :高強度混和材、主成分無水石膏、市販品
減水剤A :ポリアルキルアリルスルホン酸塩系高性能減水剤、市販品
減水剤B :ポリカルボン酸塩系高性能AE減水剤、市販品
減水剤C :リグニンスルホン酸塩系減水剤、市販品
ノロ防止材▲1▼:主成分ベントナイト、膨潤度25、市販品
【0025】
<測定方法>
ペースト層厚:スケールをさしこみ測定した。
脱水量 :シリンダーにいれ測定した。固形分含有
圧縮強度 :遠心力成形した供試体を、20℃で前置き養生4時間、昇温3時間、80℃で5時間の条件で蒸気養生し、翌日まで養生槽で放置冷却した材齢1日の圧縮強度を測定した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
表2より明らかなように、減水剤の散布量を増加させていくと、締まらない軟らかいペースト層が脱水して締まり、管内面積1cm2当たり、0.0005gから締め固め効果が示され、かつ、圧縮強度も急増する。
さらに、ペースト層が完全に締まった状態において散布量が多くなるほど脱水量も僅かづつ多くなるが、締まりが増強されるためか圧縮強度も少しづつ増加する。
減水剤の散布量が0.05〜0.25gでは、脱水量はより多くなり、0.25gを超えて、0.3gとさらに多くなると、通常の場合と変わらない発生量となることが示される。
したがってノロ発生量の抑制と圧縮強度も加味すると、減水剤の散布量は、管内面積1cm2当たり、0.0005〜0.25gであり、0.0015〜0.05gが好ましく、0.0025〜0.025gがより好ましい(実験No.1-1〜1-10、 No.1-13〜1-19、及びNo.1-20〜1-22の比較)。
また、散布時期が低速段階か、中速段階か、又は高速段階かでペースト層の締まりは同一でもノロ発生量は、多い>低速段階>中速段階>高速段階>少ないの順となる(実験No.1-5、No.1-11、及びNo.1-12の比較)。
さらに、減水剤の種類ではポリアルキルアリルスルホン酸塩系がより少ない散布量でペースト層を締め固め、かつ、ノロ発生量も少なくなるのでより好ましい(実験No.1-5〜1-7、No.1-15〜1-17、及びNo.1-19〜1-22の比較)。
【0029】
実験例2
表1の配合No.2〜17のコンクリート配合を用いコンクリートを調製し、型枠に15kg投入して、6Gの低速回転で2分、15Gの中速回転で2分、35Gの高速回転で6分回転させてφ20×30L×4t cmの遠心力成形供試体を成形し、回転を一旦止めて、締まらないペースト層厚(ペースト層厚I)と脱水量(即ち、ノロ量、脱水量I)を測定した。
測定後、ノロは内面に戻して、型枠を低速回転させながら中央のφ10cmの穴から減水剤Aを固形分換算で0.03g/cm2、スプレーで散布し、再度、35Gの高速回転で3分締め固めた。
再締め固めの後に、再度、ペースト層厚(ペースト層厚II)、脱水量(脱水量II)、及び圧縮強度を実験例1と同様の手順で測定した。結果を表3に併記する。
【0030】
<使用材料>
セメントβ:早強ポルトランドセメント、ブレーン比表面積4,500cm2/g
ノロ防止材▲2▼:シリカフューム、市販品
【0031】
【表3】
【0032】
表3より、ノロ防止材を添加しない場合で、減水剤を散布しない比較例において、粗骨材量が950kg/m3で、水結合材比が35%を超えるコンクリート配合では脱水量も多く締まりもよい(実験No.2−1)。
また、粗骨材量が1,000kg/m3で水結合材比が35%の配合と、粗骨材量が1,050kg/m3で水結合材比が29.9%、及び粗骨材量が1,100kg/m3で水結合材比が25.9%のコンクリート配合の場合は再成形しても締まらないペースト層が残り、かつ、いずれも一回目の成形に対して再成形後のノロ量は加算されて多くなることが示される(実験No.2−2,No.2−4, No.2−6)。
これに対して同じ配合で減水剤を散布した本発明例では、一回目の成形で軟らかいペースト層が形成されノロが発生しても、減水剤を散布して再成形すると、ペースト層は締まり、かつ、一回目で発生したノロ中の固形分(主にセメント)も硬く締まるために再成形後のノロ量は少なくなることが示される(実験No.2−3,No.2−5, No.2−7)。
本発明において、更に粗骨材量を多くしながら水結合材比を低下させて行くと発生するノロ量は少なくなり、かつ、ノロは軟らかいペースト層がダレて溜まったペースト状態となるが減水剤を散布して再成形するとペースト層は脱水して締め固まり、かつ、ノロ量も順次少なくなる(実験No.2−7〜No.2−9)ので粗骨材量は多い方が好ましい。
ノロ防止材を添加した場合では、粗骨材量が950kg/m3 、1,000kg/m 3 と少ないと一回目の成形後のペースト層が厚くなり、減水剤を散布して再成形しても締まり難いことが示され、再々度、減水剤を散布して成形すれば締め固まるかもしれないが、この場合は発生するノロ量が多くなることが予測されノロ防止材を添加する意味がなくなるので好ましくない(実験No.2−11、No.2−12比較例)。
そして粗骨材量を1,050kg/m3以上とすることによりペースト層は薄くなるので締め固まりやすくなり、発生するノロ量も少なくなることが示され、粗骨材量は多い方が好ましい(実験No.2−13〜No.2−18実施例)。
しかしながら粗骨材量が1,400kg/m3を超えて多くなり過ぎると無筋の供試体でもジャンカが発生し、好ましくない(実験No.2−19比較例)。
さらに、粗骨材が1,400kg/m3でもジャンカが僅かに発生して圧縮強度は低下する傾向にある(実験No.2−18実施例)。
したがって、粗骨材量は1,050〜1,400kg/m3が好ましいが、より好ましくは1,100〜1.300kg/m3であることが示される。
【0033】
実験例3
表1のコンクリート配合No5を用いて、φ400mmのB型の埋設管を、また、配合No.13を用いてφ400mmの推進管を一層成形で成形した。
遠心力成形条件はいずれも6Gの低速でコンクリートを投入してから3分回転させ、次いで15Gの中速で2分、30Gの高速で10分回転させた。
この際、高速回転に移行した直後に、減水剤Aを2倍に希釈して固形分換算で0.0025g/cm2をヒューム管内面に噴霧器で散布した場合と、散布しない場合とで比較した。
そして、30Gの高速回転を終了した後、一旦、止めて両端から流れ出るノロをバケツで受けてノロ発生量(管1本当たりの)と軟らかいペースト層厚を測定し、8Gで回転させながら仕上げモルタル(OPC/1.2mmの珪石砂/水=100/60/45)を投入して、35Gで5分回転させてからゴム刷毛で水を切り、低速回転に落として、通常の刷毛で仕上げた。
製管したヒューム管は20℃で前置き養生4時間、昇温3時間、80℃で5時間蒸気養生して翌日まで養生槽で放置冷却し、脱型後、14日間屋外曝露養生した後に外圧試験を行った。ペースト層厚、ノロ発生量、及び外圧強度を測定した結果を表4に示した。
【0034】
【表4】
【0035】
表4より、ノロ防止材を添加しない配合No.5において、減水剤を散布した本発明例(実験No.3- 2)と散布しない比較例(配合No.3実験No.3- 1)では本発明例の方が締まりは良く軟らかいペースト層が形成されないので刷毛仕上げができる。また、ノロ発生量も1/2以下と少なくなることが示される。
ノロ防止材を添加した配合No.13において、比較例では、ノロ防止材の使用によりノロ発生量は少なくなるが、軟らかく締まらないペースト層が残り、仕上げができなくなる(実験No.3-3)。
そして、本発明の減水剤を散布した例では、ペースト層が硬く締まり刷毛仕上げができ、ノロ発生量も少なくなることが示される(実験No.3- 4)。
加えて、ペースト層を硬く締めることによってヒューム管の外圧強度も高くなることが示される(実験No.3- 1と実験No.3- 2の比較。実験No.3- 3とNo.4の比較)。
【0036】
【発明の効果】
本発明のヒューム管の製造方法において、型枠を回転させながらコンクリートを投入完了してから遠心力成形が終了するまでの間にヒューム管内面に適量の減水剤を散布することにより、粉末度の大きいセメントを使用したコンクリートや低水結合材比のコンクリートやノロ防止材を添加したコンクリートの締まらないペースト層を、内面仕上げができるように硬く締め固めることができ、刷毛仕上げが可能となる、また、ノロ発生量も少なくすることができるので、産業廃棄物として廃棄するノロがなくなり環境保全に貢献する。
Claims (5)
- 型枠に、単位粗骨材量が1,050〜1,400kg/m3のコンクリートを投入し、型枠を回転させながら、遠心力成形が終了するまでの間に、ヒューム管内面に、内面積1cm2当たり、固形分換算で0.0005〜0.25gの減水剤を、一回又は二回以上に分けて散布することを特徴とするヒューム管の製造方法。
- 前記コンクリートの単位粗骨材量が1,050〜1,350kg/m3であることを特徴とする請求項1に記載のヒューム管の製造方法。
- 前記コンクリートの単位粗骨材量が1,100〜1,300kg/m3であることを特徴とする請求項2に記載のヒューム管の製造方法。
- 前記コンクリートに、ノロ防止材を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のヒューム管の製造方法。
- さらに、ヒューム管内面を刷毛仕上げすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のヒューム管の製造方法。
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