JP4030747B2 - ロストモーション補正方法およびロストモーション補正装置 - Google Patents

ロストモーション補正方法およびロストモーション補正装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はロストモーション補正方法およびロストモーション補正装置に関するもので、特に、数値制御(NC)工作機械の送り機構やロボット等における位置決め時に発生するロストモーションの補正方法および補正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
NC工作機械やロボット等では位置決めが極めて重要であり、プログラム制御により位置決め精度を向上させるような送り制御が行われている。
【0003】
例えば、三次元切削等を行う工作機械においては、プログラム制御によりX軸、Y軸、Z軸の各軸毎に配置された駆動機構を用いて加工工具あるいはワークを移動させることにより、三次元的な立体加工を実現している。すなわち、NC装置は外部から入力されたデータから所定の動作プログラムにより、各軸等の動作指令値を解析し、各軸毎のデータを工作機械の各軸の駆動機構に順次出力し、動作プログラムにより設定された所期の動作を実行させる。
【0004】
ここで、駆動機構は、加工工具あるいはワークを移動させる駆動源としてのサーボモータと、モータの回転を各軸に伝達するためのボールねじ、ギヤトレイン等の伝達機構と、モータを回転駆動するため駆動信号を供給するとともに位置、速度を検出し駆動信号にフィードバックするための位置、速度制御ループ等の制御回路とを含んでいるが、このような駆動機構では、加工工具あるいはワークを移動させる際に、伝達機構によるロストモーションが生じ、そのために輪郭制御に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
そこで、従来より、このロストモーションを補正する技術が種々考案されている。
【0006】
典型的なNC装置におけるロストモーションの補正としては、例えば、切削送り、早送りあるいは円弧補間等の曲線制御における送り速度をある速度に設定し、そのときに生じるバックラッシ量を測定し、これをバックラッシ補正量として蓄積しており、駆動機構の速度制御系に供給して補正する方法、特開昭60−172444号公報に開示されたようなサーボモータ駆動の1サンプリングタイムの間にバックラッシ補正量に相当するパルスを一時に加えて速度制御系を介してサーボモータに供給せず、円弧補間時に生じるバックラッシ補正量を複数の位置間隔で分解したバックラッシ補正データを用意しておき、移動位置ごとにバックラッシ補正量を徐々に加える方法などが提案されている。
【0007】
円弧補間等の曲線制御において、真円加工を行う場合は、2軸同時制御が必要であるが、この場合のバックラッシ補正は、各軸等のバックラッシ補正量を用いて各軸毎に行われる。このような加工において象限の切り換え時、すなわち、一つの軸の送り方向が+から−、あるいは−から+ヘ変化するとき、通常のバックラッシ補正を行うと、所謂、喰い込み現象が生ずる場合がある。
【0008】
この原因は、通常のバックラッシ補正は、サーボモータ駆動の1サンプリングタイムの間にバックラッシ補正量に相当するパルスを一時に加えて速度制御系を介してサーボモータに供給するため、象限切り換え時に立ち上がりが緩慢な場合には、バックラッシ補正後の軌跡が、加工したい円弧の内側に喰い込んだ軌跡を描くことになるためである。
【0009】
このような問題を解決するためになされた技術として特公平7−71781号公報に記載された数値制御工作機械のバックラッシ補正方法があり、象限切換時にも正確なバックラッシ補正を可能としている。
【0010】
なお、漸増型ロストモーションはリニアボールガイドを用いた送り駆動機構において顕著に見られ、ロストモーションには伝達機構の剛性に依存する弾性変形に伴うものと、歯車のキー材の遊びやボールねじとナット間の遊び等のバックラッシに伴うものとがあるが、以下の説明では特に区別せずにロストモーションとして総称することとする。
【0011】
この他にスティックモーションという現象があり、これが起こるのは、運動方向の急激な変化があると摩擦トルクの分だけトルク指令を変える必要があるにもかかわらず、主に回転系の摩擦に起因する速度ループの応答特性による遅れがあるため、送り軸が一時的に停止することによるものと考えられている。
【0012】
一方、ロストモーションやスティックモーションの補正技術については、例えば、移動軸が反転した際に発生するロストモーションを補正する補正機能や加速度制御についてすでに種々の提案がなされている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特に高加速度の円弧運動を指令した場合や、移動質量が大きい場合の円弧運動など加速度が変化する運転条件、及び直線補間において、移動指令と逆方向に働く慣性力が案内面の摩擦力を上回った際に発生するロストモーション(歯車のバックラッシやキー材のがたを含む)については、従来のバックラッシ補正では考慮されておらず、これらのバックラッシによる送り駆動系の精度低下を防ぐことができなかった。
【0014】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、象限切換位置でないところで摩擦力と慣性力との関係で生じ得るロストモーションの発生を防ぎ、運動誤差を許容範囲内に収めることのできるロストモーション補正方法およびロストモーション補正装置を提供することを目的とする。
【0015】
本発明の第1の実施の形態にかかるロストモーション補正方法は、移動軸の移動方向とトルクから、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定し、
移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求め、
制御対象の駆動部から取り出した位置信号と記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正としてフィードバックすることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第2の実施の形態にかかるロストモーション補正方法は、移動軸の移動方向とトルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定し、
移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求め、
制御対象の移動を検出して得られた位置信号と前記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正としてフィードバックすることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第3の実施の形態にかかるロストモーション補正方法は、移動軸の移動方向とトルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定し、
移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求め、
制御対象の駆動部から取り出した第1の位置信号と前記ロストモーション補正値との第1の偏差を求め、
制御対象の移動を検出して得られた第2の位置信号と前記第1の偏差との第2の偏差を求め、
前記第1の偏差および前記第2の偏差の和を前記位置指令に対する位置補正としてフィードバックすることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第1の実施の形態にかかるロストモーション補正装置は、制御対象に対する制御プログラムを解析する解析部と、
前記解析部による解析結果に基づき運転の状態を表す情報と位置指令を発生する補間部と、
前記補間部から発生された位置指令に基づき、制御対象を駆動するためのトルク指令を発生する位置制御部と、
前記補間部より得られた移動軸の移動方向を表す信号をもとに前記位置制御部から得られたトルク指令値から、移動軸の移動方向とトルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定するトルク検出部と、
前記補正タイミングをもとに前記位置制御部より得られた移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求めるロストモーション補正部と、
制御対象の駆動部から取り出した位置信号と前記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正とするフィードバックループとを備えたことを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第2の実施の形態にかかるロストモーション補正装置は、制御対象に対する制御プログラムを解析する解析部と、
前記解析部による解析結果に基づき運転の状態を表す情報と位置指令を発生する補間部と、
前記補間部から発生された位置指令に基づき、制御対象を駆動するためのトルク指令を発生する位置制御部と、
前記補間部より得られた移動軸の移動方向を表す信号をもとに、移動軸の移動方向とトルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定するトルク検出部と
前記補正タイミングをもとに前記位置制御部より得られた移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求めるロストモーション補正部と、
制御対象の位置を直接検出する位置検出部と、
前記位置検出部から取り出した位置信号と前記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正とするフィードバックループとを備えたことを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第3の実施の形態にかかるロストモーション補正装置は、制御対象に対する制御プログラムを解析する解析部と、
前記解析部による解析結果に基づき運転の状態を表す情報と位置指令を発生する補間部と、
前記補間部から発生された位置指令に基づき、制御対象を駆動するためのトルク指令を発生する位置制御部と、
前記補間部より得られた移動軸の移動方向を表す信号をもとに前記位置制御部から得られたトルク指令値から慣性力と摩擦力の関係に基づいた補正タイミングを決定するトルク検出部と、
前記補正タイミングをもとに前記位置制御部より得られた移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求めるロストモーション補正部と、
制御対象の駆動部から取り出した第1の位置信号と前記ロストモーション補正値との第1の偏差を位置指令に対する位置補正とする第1のフィードバックループと、
制御対象の位置を直接検出する位置検出部と、
前記位置検出部から取り出した第2の位置信号と前記第1の偏差との第2の偏差を位置指令に対する位置補正とする第2のフィードバックループとを備えたことを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
【0022】
まず、本発明の前提となる現象について説明する。特にワーク質量や本体質量が大きな工作機械において、図2に示すような円弧補間運動をさせると、図3に示す様に軸反転位置(象限切換え位置)の手前で、ロストモーション(バックラッシを含む)が発生する。これは慣性トルクが、案内面や回転系の摩擦トルクを超えた場合に物体が動かされるためである。
【0023】
まず、円弧補間の場合、x、y各軸の指令は、
【数1】
Figure 0004030747
となる。ただし、R:円弧半径、ω:角速度、t:時間を示す。
【0024】
また、指令速度vと加速度αはそれぞれ時間微分を行って
【数2】
Figure 0004030747
となる。式2から、慣性力、摩擦力をもとめると、
【数3】
Figure 0004030747
となり、ただし、質量M、粘性減衰係数cである。これにより、弾性変位を計算すると、
【数4】
Figure 0004030747
となる。直線補間の場合は所定の速度に達してからの加速度は0になる。
【0025】
円弧補間の場合は、図4に示すように加速度と速度の方向は角度によって異なる。このため、90度〜180度、270度〜360度では慣性力と摩擦力の方向が逆になる。
【0026】
式(3)から慣性力は角速度の2乗に比例し、摩擦力は角速度に比例するため、ある送り速度を超えると慣性力が摩擦力を超え、弾性変位の方向も逆になる。また、慣性力はワーク質量により、増大するため、同じ送り速度でもワークによって慣性力が摩擦力を超える場合がある。
【0027】
図3で、弾性変位が逆になる角度を求め、同時にスケール位置とトルクの関係を実測した結果を図5に示す。図5に示すように、図3から求めた弾性変位の反転が起こっている角度(135°付近)でのトルクは、0から反転トルクT1分下がった位置であることがわかる。なお、図5には、第2番目の反転トルクT2が180°付近の位置に、第3番目の反転トルクT3は第1番目の反転トルクの発生位置の逆位相位置である315°付近の位置に、第4番目の反転トルクは第2番目の反転トルクの発生位置の逆位相位置である360°付近に観察される。
【0028】
反転トルクの量は一定ではなく、現象が発生する位置を一般には完全には特定できないが、T1≒T2≒T3≒T4であることが実測により確かめられている。また、図3のような波形を観察することにより、反転トルク発生位置を推定することができ、逆位相位置に現れることも予想できる。
【0029】
なお、慣性力が摩擦力より小さい場合は、象限切換え位置でロストモーションが起こる。
【0030】
ここで、ロストモーション(ワインドアップ)の理論式は次式となる。
【0031】
【数5】
Figure 0004030747
ここで、Fは動摩擦力、kは機械のたわみを代表するばね定数であり、ロストモーションの大きさは摩擦力に比例し、ばね定数に反比例することがわかる。
【0032】
なお、kは厳密には変数で、非線形ばねを含む場合もある。この場合は、非線形はねの変化に合わせて、補正量を変化させる。
【0033】
案内面の非線形ばねは実測可能である(1996 精密工学会周期大会学術講演会講演論文p.511参照)。
【0034】
また、kをボールねじの駆動の軸方向総合剛性とした場合、次のように位置の変数となる。
【0035】
【数6】
Figure 0004030747
ただし、kb:ボールねじ軸剛性
kT :その他の総合剛性 である。
【0036】
ボールねじ取付が両端固定の場合のボールねじ軸剛性は、
【数7】
Figure 0004030747
となる。ここで、λ=SE(S:ボールねじ断面積、E:ヤング率)
L: ボールねじ取付距離
I: 荷重作用位置
を示す。kTには、ボールねじナットの剛性、ボールねじ支持ベアリングの剛性、ナットおよびベアリング取付部の剛性などが含まれる。
【0037】
歯車やキー材にバックラッシがある場合の軸方向変位は次式になる。
【0038】
【数8】
Figure 0004030747
ここで、δ:バックラッシによる軸方向変位、Bl:バックラッシ、P:ボールねじのリード、Z:歯数、m:モジュール、D:軸径、gear:歯車、key:キー材を示す。
【0039】
本願発明では、このようなバックラッシを含むロストモーションが生じた場合の補正について取り上げる。
【0040】
図1は本発明の実施の一形態にかかるロストモーション補正装置の構成を示すブロック図である。なお、ここでは工作機械のテーブルの位置制御を円弧補間により行う場合を取り上げる。
【0041】
図1はセミクローズドループと言われる制御方式を示しており、この制御装置は読み込まれたプログラム10を解析する解析部20、この解析部での解析結果に対して必要な補正を行って位置指令を発する補間器30,位置指令からテーブル90を駆動するモータ70に与えるトルクを発生させる位置制御器40,このトルク指令を増幅するアンプ60を備えている。
【0042】
モータ70にはその回転状況を検出するためのエンコーダ80が設けられ、また、モータ70の回転により回転するボールねじ91が設けられ、このボールねじ91に係合するテーブル92はボールねじの回転により移動される。
【0043】
位置制御器40の出力であるトルク指令はトルク検出部50に送られてトルク量が検出されるとともに、補間器30から出力された移動方向信号が与えられて象限切換時でないことが確認した上で、補正のタイミングとして次のバックラッシ補正器100に出力される。
【0044】
バックラッシ補正部100は、位置制御器40からの信号を演算器110で演算することによりパラメータ設定されたロストモーション量(歯車やキー材のバックラッシを含む)およびバックラッシ量の少なくともいずれかをバックラッシ補正量として出力する。
【0045】
差分器105において、エンコーダ80から出力された位置信号からバックラッシ補正量が減算され、これにより得られた位置フィードバック信号は補間器30から出力された位置指令から差分器35で減算され、この結果得られた補正量に基づいてテーブルの位置制御が行われることになる。
【0046】
なお、トルク検出部50は、同一出願人、同一発明者による特願2001−327974号に示されたように、補間器30から送りの条件としての移動方向、半径、送り速度の各情報も与えられ、後述する演算が行われて速度、加速度制限演算値として補間器30に対して出力されるとともに、トルク検出部50内の記録部に記録されるようにしても良い。
【0047】
次に、図1に示した制御装置の動作を詳細に説明する。
【0048】
まず、慣性力の影響を観測するために、円弧補間運動を実施する。この円弧補間運動の実施時に、トルク検出部50は、位置制御器40から発せられたトルク指令と、補間器30より送出された移動方向から、象限切換え時でないことを確認する。更に、送りトルクの慣性力による変化と式(2)、(4)より、送りトルクが0から反転トルクTになる位置(ロストモーションの発生位置)を推定、または演算する。この結果に基づき、前述のロストモーション補正を行なう。ここで、T=Tと仮定して、演算を行う。補正のタイミングはT×r,T×(α+1)、またはT±βとして、パラメータ設定できる。
【0049】
なお、粘性摩擦は速度により変化することがわかっており、厳密には制限される加速度や速度は送りの条件により異なる。したがって、円弧補間運動は2種類以上実施して傾向を把握する。
【0050】
トルク検出部50には、送りの条件とトルクの変化パターンを記録することができ、このような記録を行った場合には、同じ送りの条件が指令された場合、過去の事例をもとに補正タイミングを決める事ができる。しかしながら、全ての加工におけるあらゆる送り条件とトルクの関係を記録するのは記録容量等の関係で現実的ではない。
【0051】
このため、速度と反転トルクの曲線を作成するようにすると良い。円弧補間の場合は式(4)、及びプログラムの解析により、加速度が演算でき、移動質量をトルク変化により検出するか、入力すれば、慣性力がわかる。さらに反転トルクTがわかれば、このロストモーシヨンが発生する位置が演算できる。したがって、速度と反転トルクの曲線について、同じ条件が繰り返される場合は、その速度での平均反転トルクを求め、または、低い反転トルクを記録する。送り条件と反転トルクデータのない部分は、データのある部分を直線、または最小自乗法等に既存の近似解法を用いた近似曲線でつなげば良い。
【0052】
一方、反転トルクについてはクーロン摩擦と粘性摩擦を考慮した速度摩擦曲線や、ストライベック(Stribeck)曲線から求める方法がある。ストライベック曲線は送り速度と反転トルクの関係を示すもので、その一例を図6に示す。
【0053】
ロストモーションは高速領域のみで発生するが、図6から明らかなように、送り速度が5000mm/分(F5000)以上の高速領域では反転トルクはほぼ速度に比例するとみなすことができるので、直線近似された推定曲線を用いることが可能である。このような反転トルクの推定曲線から、動摩擦力を求めると、
=cv+F (9)
となる。ここで、F:クーロン摩擦などの一定の摩擦力である。なお、動摩擦力は油の動粘度、グリースの増ちょう剤の種類、温度変化、案内面の負荷、初期時の攪拌抵抗やグリースのチャンネリング(わだちの形成)などにより変化し、一般にグリースが多いとかえって摩擦力が大きくなる傾向がある。
【0054】
図7は本発明の第2の実施の形態にかかるロストモーション補正装置の構成を示すブロック図であり、この制御はフルクローズド制御と称される。
【0055】
図7においてはフィードバック信号としてテーブル駆動用のモータ70に取り付けられたエンコーダ80の出力信号を用いることなく、テーブルの位置を直接測定できるスケール92の出力信号を用いている。このスケール92としては、例えば、平面スケールを格子状に交差させたKGM測定器や、機体に付属されたスケールを用いることができる。KGM測定器やスケールを用いれば、図3のような計測ができ、このデータをもとに、このロストモーション発生位置を検出し、補正タイミングを決めることができる。又、このデータも記録し、使うことができる。
【0056】
図8は本発明の第3の実施の形態にかかるロストモーション補正装置の構成を示すブロック図である。
【0057】
この実施の形態では、第1および第2の実施の形態を組み合わせたものであるため、ハイブリッド制御と称される。すなわち、エンコーダ80で得られたエンコーダフィードバック値とバックラッシ補正器100より出力されたバックラッシ補正量から差分器111で得られた第1の差分は加算器113に与えられるとともに、差分器112に与えられる。差分器112の非反転入力側にはスケール92の出力が入力され、差分器112で得られた第2の差分は、一次遅れフィルタ120を介して加算器113で第1の差分と加算され、これが位置フィードバック信号となる。
【0058】
なお、一次遅れフィルタ120は必ずしも必要ではないが、制御系に振動がある場合に共振を除去して制御の安定性および位置決め精度を向上させるのに有効である。
【0059】
さらに、この一次遅れフィルタ120の時定数を0としたときにはフルクローズド制御に相当し、無限大としたときにはセミクローズド制御に相当する。
【0060】
以上の実施の形態は円弧補間を例にとって説明したが、直線補間についても曲率半径を演算して同様に適用できる。
【0061】
また、垂直軸のように自重によって、トルクの中立点が0にならない場合は、自重分のトルクをシフトしたトルクになる速度から反転トルクTとなる位置をロストモーション発生位置とすればよい。さらに、微小ブロックをつなぎ合わせて、加工中に加速度が変化するような場合にも適用することができる。この場合はプログラムを数ブロック先読みし、形状を認識する。
【0062】
本発明は、送りや位置決めを行うあらゆる装置、例えばNC制御装置、NC工作機械、ロボット等に幅広く適用することができる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、慣性力によって軸反転前に生じたロストモーションやバックラッシを適切に補正することが可能となり、慣性力が大きな使用条件でも送り精度を許容範囲内に収めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかるロストモーション補正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】円弧補間運動を示す説明図である。
【図3】軸反転位置(象限切換え位置)の手前で、ロストモーション(バックラッシを含む)が発生する様子を示すグラフ。
【図4】位置、速度、加速度の関係を示すグラフである。
【図5】弾性変位が逆になる角度を求め、同時にスケール位置とトルクの関係を実測した結果を示すグラフである。
【図6】送り速度と反転トルクの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施の形態にかかるロストモーション補正装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかるロストモーション補正装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 プログラム
20 解析部
30 補間器
35 差分器
40 位置制御器
50 トルク検出部
60 アンプ
70 モータ
80 エンコーダ
90 ボールねじ
91 テーブル
92 スケール
100 バックラッシ補正器
105、111、112、113 差分器
120 一次遅れフィルタ

Claims (8)

  1. 移動軸の移動方向とトルクから、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定し、
    移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求め、
    制御対象の駆動部から取り出した位置信号と記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正としてフィードバックすることを特徴とするロストモーション補正方法。
  2. 移動軸の移動方向とトルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定し、
    移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求め、
    制御対象の移動を検出して得られた位置信号と前記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正としてフィードバックすることを特徴とするロストモーション補正方法。
  3. 移動軸の移動方向とトルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定し、
    移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求め、
    制御対象の駆動部から取り出した第1の位置信号と前記ロストモーション補正値との第1の偏差を求め、
    制御対象の移動を検出して得られた第2の位置信号と前記第1の偏差との第2の偏差を求め、
    前記第1の偏差および前記第2の偏差の和を前記位置指令に対する位置補正としてフィードバックすることを特徴とするロストモーション補正方法。
  4. 前記第2の偏差は一次遅れ要素を介して前記第1の偏差と加算されることを特徴とする請求項3に記載のロストモーション補正方法。
  5. 制御対象に対する制御プログラムを解析する解析部と、
    前記解析部による解析結果に基づき運転の状態を表す情報と位置指令を発生する補間部と、
    前記補間部から発生された位置指令に基づき、制御対象を駆動するためのトルク指令を発生する位置制御部と、
    前記補間部より得られた移動軸の移動方向を表す信号をもとに前記位置制御部から得られたトルク指令値から、移動軸の移動方向とトルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定するトルク検出部と、
    前記補正タイミングをもとに前記位置制御部より得られた移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求めるロストモーション補正部と、
    制御対象の駆動部から取り出した位置信号と前記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正とするフィードバックループとを備えたロストモーション補正装置。
  6. 制御対象に対する制御プログラムを解析する解析部と、
    前記解析部による解析結果に基づき運転の状態を表す情報と位置指令を発生する補間部と、
    前記補間部から発生された位置指令に基づき、制御対象を駆動するためのトルク指令を発生する位置制御部と、
    前記補間部より得られた移動軸の移動方向を表す信号をもとに、移動軸の移動方向とト ルクから慣性力と摩擦力の関係に基づいて、軸反転位置の手前で慣性力が案内面や回転系の摩擦トルクを超えたときを補正タイミングとして決定するトルク検出部と
    前記補正タイミングをもとに前記位置制御部より得られた移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求めるロストモーション補正部と、
    制御対象の位置を直接検出する位置検出部と、
    前記位置検出部から取り出した位置信号と前記ロストモーション補正値との偏差を位置指令に対する位置補正とするフィードバックループとを備えたロストモーション補正装置。
  7. 制御対象に対する制御プログラムを解析する解析部と、
    前記解析部による解析結果に基づき運転の状態を表す情報と位置指令を発生する補間部と、
    前記補間部から発生された位置指令に基づき、制御対象を駆動するためのトルク指令を発生する位置制御部と、
    前記補間部より得られた移動軸の移動方向を表す信号をもとに前記位置制御部から得られたトルク指令値から慣性力と摩擦力の関係に基づいた補正タイミングを決定するトルク検出部と、
    前記補正タイミングをもとに前記位置制御部より得られた移動軸の位置に応じたロストモーション補正値を求めるロストモーション補正部と、
    制御対象の駆動部から取り出した第1の位置信号と前記ロストモーション補正値との第1の偏差を位置指令に対する位置補正とする第1のフィードバックループと、
    制御対象の位置を直接検出する位置検出部と、
    前記位置検出部から取り出した第2の位置信号と前記第1の偏差との第2の偏差を位置指令に対する位置補正とする第2のフィードバックループとを備えたロストモーション補正装置。
  8. 前記第2のフィードバックループに一次遅れフィルタを含むことを特徴とする請求項7に記載のロストモーション補正装置。
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