JP4029573B2 - エレクトロスラグ再溶解用電極およびエレクトロスラグ再溶解法 - Google Patents

エレクトロスラグ再溶解用電極およびエレクトロスラグ再溶解法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エレクトロスラグ再溶解法に供される消耗電極およびこの電極を用いたエレクトロスラグ再溶解法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロスラグ再溶解法は、例えば他の溶解炉で溶解後に精錬して得た溶鋼を鋳造して作製した、消耗電極を、再び溶解する際に精錬を行うものであり、優れた品質の鋼塊を得るのに適した手法であり、例えば特開平5−285632号公報、特開平7−188794号公報および特開平7−188795号公報等に記載がある。
【0003】
すなわち、エレクトロスラグ再溶解法は、図1に例示するように、基盤1上に設置した筒状の水冷モールド2内に、溶融状態のエレクトロスラグ3を用意しておき、この水冷モールド2内に消耗電極4を装入して行う。消耗電極4は、その上端に取り付けたスタブ5を介して水冷モールド2内に導き、次いで消耗電極4と水冷モールド2のベース2aとの間に電流を供給して、エレクトロスラグ3を主にジュール熱によって加熱して高温化し、このエレクトロスラグ3に浸漬した消耗電極4の下端から順に溶解する。消耗電極4の溶解部分は、エレクトロスラグ3中を降下する際に精錬され、水冷モールド2の底部にたまって、ここで凝固して新たな鋼塊となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、このエレクトロスラグ再溶解法において用いられる電極には、溶鋼から円柱または角柱状に鋳造した鋳造品を供するのが通例である。すなわち、エレクトロスラグ再溶解用の電極を、それ専用の鋳造にて製造する必要があったため、電極の作製費用が高価になるのを避けることができず、結局はエレクトロスラグ再溶解法によって得られる高品質鋼の価格を高める要因となっていた。
【0005】
そこで、この発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、エレクトロスラグ再溶解用電極を安価にかつ簡便に提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、この発明の要旨構成は、次のとおりである。
(1)エレクトロスラグ再溶解法に供する消耗電極であって、連続鋳造後に所定長さに切断されたスラブを、電極における溶解方向と直交する向きに厚み方向に重ね合わせ接合し、長さ方向の一端面にスタブとの接続を可能にするスリットを形成したことを特徴とするエレクトロスラグ再溶解用電極。
【0008】
(2)上記(1)において、前記スラブは、鋳造のままのスラブをその幅方向に切断したものであることを特徴とするエレクトロスラグ再溶解用電極。鋼材が鋳造のままのスラブをその幅方向に切断したものであることを特徴とするエレクトロスラグ再溶解用電極。
【0009】
(3)上記(1)または(2)において、前記スラブ相互を、その長手方向に施した溶接にて接合したことを特徴とするエレクトロスラグ再溶解用電極。
【0010】
(4)溶製対象の鋼から成る消耗電極を、その下端から順次溶解しつつ精錬を行って積層凝固させるエレクトロスラグ再溶解法において、上記消耗電極に上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のエレクトロスラグ再溶解用電極を用いることを特徴とするエレクトロスラグ再溶解法。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、この発明に従うエレクトロスラグ再溶解用電極について、図面を参照して詳しく説明する。
図2に示すエレクトロスラグ再溶解用電極4は、複数の鋼材、図示例では鋳造ままの連続鋳造製スラブ4aおよび4bの2枚を、その厚み方向に重ね合わせてスラブ相互を接合することによって、角柱状に形成して成る。かようなスラブ4aおよび4bの2枚を合わせて成る電極は、その長手方向を溶解方向として用いる。
【0012】
具体的には、電極4の長手方向の一端面に、図3に示すように、厚み中心部で幅方向に延びるスリット4cを形成し、このスリット4cに、図4に示すように、スタブ5を嵌めてボルト6で留めることによって、図1に示したように、該スタブ5を介して電極4を水冷モールド2内に装入することができる。
【0013】
かように、エレクトロスラグ再溶解用電極を、それ専用に作製した鋳造品ではなく、例えば通常のスラブ連続鋳造法にて得られる連続鋳造製のスラブの複数を用いて、その重ね合わせによって角柱状に成形した組み合わせ材とすることによって、エレクトロスラグ再溶解用電極の提供が既存の素材を用いて可能になるのである。従って、エレクトロスラグ再溶解用電極自体を作製する必要がなく、それに要するコストを削減することができる。
【0014】
ここで、電極4を構成する鋼材には、連続鋳造で製造された鋳造のままのスラブを用いることができる。
従来、エレクトロスラグ再溶解用電極は、円柱や角柱の電極製造に専用の造塊にて製造された造塊製鋼塊から得ていたが、この発明では、歩留りに優れ、かつ多量生産にて製造が行われている、連続鋳造鋳片であるスラブを、そのまま用いることにより、エレクトロスラグ再溶解用電極の素材として利用するものである。さらに、エレクトロスラグ再溶解用電極として、連続鋳造後に所定長さに切断された状態での連続鋳造鋳片製スラブが寸法の関係でそのまま使用できない場合、スラブを幅方向に切断して、厚み方向に重ね合せ接合し寸法調整を行うことにより、エレクトロスラグ再溶解用電極の素材として用いることができる。これにより、エレクトロスラグ再溶解用電極の製造コストの大幅削減が達成される。
【0015】
さて、エレクトロスラグ再溶解用電極は、再溶解用の電極であるがゆえ、所謂消耗電極とも呼ばれ、再溶解して製造される新たな鋼魂の素材となるもので、必要な成分、重量および寸法を備えれば良い。ここに、消耗電極と見方を換えた時、従来のようにエレクトロスラグ再溶解用電極としての円柱や角柱の電極を、電極製造に専用の造塊にて製造する造塊製鋼塊という制約はなくなる。すなわち、連続的に多量に得られる連鋳鋳片を長さ方向及び幅方向に切断して重ね合わすことにより、造塊製鋼塊と同じ電極とすることができ、使用する連鋳鋳片に、図3に示すように、長手方向一端側にスタブとの接続を可能にするスリット4Cを形成することにより、電極が完成する。
【0016】
なお、連鋳鋳片は重ね合せて電極にするため、重ね合せ部分を溶接によって一体化することが必要である。なぜなら、連鋳鋳片を重ね合せたのみで使用する場合、重ね合せ部分が、再溶解時の熱により、大きく反って所謂又割れ状となり、再溶解用水冷モールド内壁面に当接し、再溶解作業を中断する事故が生じるためである。
【0017】
従って、鋼材相互、あるいは連鋳鋳片相互を接合して電極とするに当たり、図2に示すように、鋼材4aおよび4bの長手方向に施す溶接部7にて接合することが、エレクトロスラグ再溶解時の電極における又割けを防止するのに好ましい。なお、鋼材4aおよび4bの長手方向に施す溶接部7は、連続した溶接部の他、図示したように所定間隔に重点的に溶接する接合方法でも構わない。
【0018】
また、上記のごとく溶接による接合方法をとることにより、造塊製鋼塊から製造した電極が大型になった場合に時々生じる、エレクトロスラグ再溶解時の電極の欠損や割落事故も回避でき、電極として十分に使用に耐える、在来の電極に比べて遜色のないものとなる。
【0019】
【実施例】
連続鋳造によって得た5mass%Crを含有する鋼スラブ(長さ5000mm、幅1000mmおよび厚み220mm )を1/2幅において切断して2分割し、分割した2枚の鋼スラブを、その厚み方向に重ねて長さ方向に溶接を行って接合し、440mm ×500mm角で長さが5000mmの角柱状の電極に成形した。かくして得られた電極を用いて、図1に示したところに従って、800 mmφの内径の水冷モールドを用いてエレクトロスラグ再溶解を行った。 合金元素は再溶解による影響はなかったが、 P:0.015 mass%→0.012 mass%、S:0.008 mass%→0.0013mass%およびO:0.0021mass%→0.0015mass%の高品質の鋼塊を得ることができた。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、エレクトロスラグ再溶解用電極を安価にかつ簡便に提供することができるから、エレクトロスラグ再溶解による高品質材の製造が低コストで実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エレクトロスラグ再溶解法を説明する図である。
【図2】 この発明のエレクトロスラグ再溶解用電極を示す斜視図である。
【図3】 この発明のエレクトロスラグ再溶解用電極を示す斜視図である。
【図4】 この発明のエレクトロスラグ再溶解用電極を示す側面図である。
【符号の説明】
1 基盤
2 水冷モールド
3 エレクトロスラグ
4 電極
4a,4b 鋼材
5 スタブ
7 溶接部

Claims (4)

  1. エレクトロスラグ再溶解法に供する消耗電極であって、連続鋳造後に所定長さに切断されたスラブを、電極における溶解方向と直交する向きに厚み方向に重ね合わせ接合し、長さ方向の一端面にスタブとの接続を可能にするスリットを形成したことを特徴とするエレクトロスラグ再溶解用電極。
  2. 請求項1において、前記スラブは、鋳造のままのスラブをその幅方向に切断したものであることを特徴とするエレクトロスラグ再溶解用電極。
  3. 請求項1または2において、前記スラブ相互を、その長手方向に施した溶接にて接合したことを特徴とするエレクトロスラグ再溶解用電極。
  4. 溶製対象の鋼から成る消耗電極を、その下端から順次溶解しつつ精錬を行って積層凝固させるエレクトロスラグ再溶解法において、上記消耗電極に請求項1ないしのいずれかに記載のエレクトロスラグ再溶解用電極を用いることを特徴とするエレクトロスラグ再溶解法。
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