JP4027622B2 - エレベーターの運行制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベーターの運行制御方法及び装置に係り、特に、エレベーターホールから離れた場所からエレベーターの利用要求を受け付けるに好適なエレベーターの運行制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベーターはビル内の縦の輸送機関として、特に高層建築物では必須の設備であり、利用する場合には、エレベーターホールに設けられるホール呼び(手段)釦を操作して呼びを伝えてエレベーターを呼び寄せ、かごに乗り込んで行先階を指示するかご呼び(手段)釦を操作することが一般的である。しかし、エレベーター装置の外部からエレベーターのホール呼びやかご呼びを登録する技術が知られている。エレベーター装置の外部から携帯端末等によりエレベーターの利用要求を発するものとして、▲1▼特開昭56−155169号公報、▲2▼特開昭63−97584号公報、▲3▼特開平4−354770号公報、▲4▼特開平5−201624号公報、▲5▼特開平5−330748号公報、▲6▼特開平6−345341号公報、▲7▼特開平7−321936号公報、▲8▼特開平9−40310号公報、▲9▼特開平9−77400号公報、(10)特開平9−188481号公報及び(11)特開平11−11807号公報等がある。これら遠隔からエレベーターの利用要求を作る従来技術では、エレベーターを特定者専用運転(いわゆるVIP呼び)として扱う場合と、一般ホール呼びや車いすホール呼びとして扱う場合とがある。
【0003】
これら従来技術において、遠隔からの利用要求が多数作成される場合には、例えば上記▲2▼特開昭63−97584号公報には、▲1▼かご呼び、▲2▼遠隔呼び、▲3▼ホール呼びの順に固定の優先順位をつけることが開示されている。
【0004】
一方、携帯電話やPDA(Personal Digital(Data)Assistants)等と呼ばれる多機能な携帯型情報端末が普及しており、これら携帯端末から無線通信機能等を用いてエレベーターの遠隔呼びを作成することが、例えば、上記▲7▼特開平7−321936号公報等に開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
携帯端末からのエレベーター利用要求では、エレベーターホールでのホール呼び釦の操作に比べ、利用者が所定の時間内にエレベーターホールに到達せず、無駄な運行が増える可能性がある。
【0006】
そこで本発明の第1の目的は、携帯電話に代表される外部端末からのエレベーターの利用要求に対し、利用者が納得し易く、かつ無駄が少なく運行効率を高めたエレベーターの運行制御方法及び装置を提供することである。
【0007】
また、従来技術では、遠隔呼びはVIP等の特定の限られた利用者のみに利用させることを前提としたものか、戸開閉時間を変更する程度の利用や車いす呼び等、あくまで特殊な利用要求として扱われてきた。
【0008】
そこで本発明の第2の目的は、携帯端末からのエレベーターの利用要求に対して、使い勝手の向上を図り、外部からの利用要求の普及を促すエレベーター運行制御方法及び装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の特徴とするところは、通常のホール呼び及びかご呼び手段の外に、エレベーター装置の外部からのエレベーターの利用要求を受け付ける外部インターフェース手段を備えたエレベーターの運行制御方法又は装置において、外部インターフェース手段を介して受け付けた利用要求に関するエレベーター利用状況を記録し、新たな利用要求に対するエレベーター運行を、利用状況記録手段の記録内容を加味して決定することである。
【0010】
本発明のひとつの実施の形態では、利用状況記録手段に記録された過去の利用要求数及び/又は過去の利用要求数に対する実際の利用実績数の割合を、新たな利用要求に対するエレベーター運行の決定の一要素としている。
【0011】
より具体的には、外部インターフェース手段を介して受け付けられた利用要求が同時に複数発生した場合に、過去の利用要求数及び/又は過去の利用要求数に対する実際の利用実績数の割合等により、複数の利用要求の中から優先してサービスすべき利用要求を決定する。
【0012】
これにより、携帯電話に代表される携帯端末からのエレベーターの利用要求に対して、利用者が納得し易く、かつ無駄が少なく運行効率を高めることができる。
【0013】
本発明の第2の特徴とするところは、外部端末からの利用要求に対するサービスの可否あるいはサービス内容を決定する手段と、この決定手段が決定したサービスの可否あるいはサービスの内容等を利用要求を発した外部端末に通知する手段とを備えたことである。
【0014】
これにより、携帯端末からのエレベーターの利用要求に対して適切な情報を与えることができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面により説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態における、単独エレベーターの場合のシステム構成図である。エレベーターが1台の場合には、号機制御装置1が、ホールに配置されたホール呼び釦2(21〜23)及び乗りかご31内に配置されたかご呼び81に基き、エレベーターの運行を制御することができる。号機制御装置1には、エレベーターの運行を決定するエレベーター運行部101、入出力インターフェース102、本発明の要点のひとつである利用状況データベース103を備えている。乗りかご31は、伝送路4で号機制御装置1と接続され、ホール呼び釦2(21〜23)も伝送路4を介して号機制御装置1と接続される。
【0017】
また、伝送路4を介して外部インターフェース(手段)5(51〜54)が接続され、利用者が保有する外部端末6(61,62)との間で情報を授受し、利用要求を受け付ける。外部端末6の実際のハードウェアとしては、無線通信機能、キーボードとディスプレイを備えた携帯端末PDA、あるいは、携帯電話等61のほか、遠隔の応接室に設置し有線配線した呼び釦62などがある。外部端末61は、キーボード等の指令入力部611とディスプレイ等の情報出力部612を備える。遠隔呼び釦62の場合には、呼び釦621自体が指令入力部であり、呼び釦621に内蔵された応答ランプ622を情報出力部と見なすことができる。また、外部インターフェース5(51〜54)は、有線配線の差込口、無線通信のアンテナ、電話と接続するモデム、インターネット/イントラネットと接続するハブ、エレベーター監視盤と接続する通信回線インターフェースなどが相当する。
【0018】
図2は、本発明の他の実施の形態である複数エレベーターの場合のシステム構成図である。図1と異なり、乗りかご31、32が複数台となったため、ホール呼び釦2(21〜23)や外部インターフェース5(51〜55)が群管理制御装置7に接続され、各乗りかご31、32毎に号機制御装置11,12を備える。これらの号機制御装置11,12はそれぞれ号機制御部111,121及び入出力インターフェース112,122を備えている。群管理制御装置7は、エレベーターの群としての運行を決定するエレベーター運行部71、入出力インターフェース72及び本発明の要点である利用状況データベース73を備えている。
【0019】
以下に、図1、2のいずれの構成にも適用できる本発明の実施例を説明する。
【0020】
図3は、図1の101又は図2の71で示すエレベーター運行部が実行する外部からの利用要求の受け付け処理300を示すフローチャートである。この処理は、適切なオペレーティングシステムにより、周期的に、あるいは必要に応じて割り込み処理として起動されるものとする。
【0021】
ステップ301では、以下の処理に備えてエレベーターの運行状態を確認する。エレベーターの運行状態とは、一般の呼びに応答して運行中、特定者からの優先的な利用要求に基く専用呼びに応じて専用運行中、呼びが無く待機中等である。
【0022】
ステップ302では、外部インターフェース5(51〜54)を介した外部端末30からの利用要求があるかを確認する受け付け処理を行う。以下の説明では、外部からの利用要求として、優先者からの入力に従い、所定時限はその優先者専用の呼びを作って専用運行を行う「専用化」利用要求と、遠隔地からの単純な利用要求により一般呼びを作成する「一般」利用要求を例に挙げる。
【0023】
ステップ303で利用要求として、「専用化」の利用要求があるかを確認し、ある場合にはステップ304で、専用化が可能な非専用エレベーターがあるかを確認する。ステップ304で、待機中のエレベーターがあるなど、非専用エレベーターを専用化可能な場合には、ステップ305で専用化を指令する。
【0024】
しかしステップ304で専用化可能な非専用エレベーターがない場合には、ステップ306で、専用中のエレベーターで専用者を変更可能なエレベーターがあるかを確認する。つまりステップ306は、複数の優先利用要求がある場合に、いずれの要求をより重要な利用要求として扱い、専用運転を実行するかを決定する処理となる。
【0025】
この決定の基本的考え方は、遠隔からの利用要求は無駄となる確率が高いことに立脚している。すなわち、エレベーターホールでホール呼び釦を操作する場合に比べ、外部から利用要求を作成する場合、その要求者が他の用件等で所定の時間内にエレベーターホールに到達できず、この利用要求に基いて作成した呼び、またそれに伴う運行が無駄になるケースが多くなる。したがって、複数の専用化要求が同時に発生した場合には、過去の利用状況を基に、要求に対する実際の利用の実績の割合が高い要求者を優先するのである。
【0026】
そのため、複数の優先者の中のある優先者をi、その優先者の優先度をP(i)、優先者の優先利用要求に対してエレベーター運行制御装置が応答した回数をb(i)、優先者がエレベーター運行制御装置により優先されたサービスを実際に利用した利用実績数をc(i)、全優先者の優先利用要求に対してエレベーター運行制御装置が応答した回数をΣb(i)、任意の重み係数をW1、W2とする。そして、複数の優先者が同時にエレベーターの優先利用を要求した場合に、数1で求めた評価値E(i)により、優先する利用者を決定する。
【0027】
【数1】
【0028】
ここで、数1の第2項c(i)/b(i)が、過去の要求に対する実際の利用の実績の割合に相当する。
【0029】
さらに数1では、過去の利用要求数、利用実績数が1回のみの場合と、100回利用要求して99回実際に利用した優先者の比較が可能となるように、第1項c(i)/Σb(i)を設け、全優先者の優先利用に占める比率を考慮している。
【0030】
また、P(i)は、重要来客、役員などの特定の重要利用者と、一般利用者の優先度を変更可能な係数であり、W1、W2は第1項と第2項の優先度を変更可能な係数である。
【0031】
これにより、ステップ306で、今回対象とする優先者の評価値E(i)がより高得点な場合には、優先者を変更可能と判断し、ステップ307で従来の専用者に非専用化を通知し、ステップ305で今回の優先者に対する専用化を指令する。ステップ308では、ステップ305で決定した専用運転の指令者に専用化を通知する。
【0032】
またステップ306で、評価値E(i)が相対的に低いなど、専用者を変更できない、または専用化できるエレベーターがない場合、およびステップ309で「一般呼び」としての利用要求がある場合には、ステップ310で一般呼びとして登録し、ステップ311で指令者に一般呼びとして登録したことを通知する。これにより、利用要求者が希望する専用運転はできないものの,一般呼びとしてサービスすることを、利用者に伝えることができる。前記ステップ308と311にて、外部からの利用要求に対するサービスの可否や理由を、利用要求を発した外部端末に通知する手段を構成している。
【0033】
図4は、外部からの利用要求に対する応答通知の例を示す図である。図中下線をつけた文字は、状況により変更する部分を示している。
【0034】
前記図3の処理で専用化が設定できた場合には、図3のステップ308で図4(1)の専用化の通知例を外部端末61の情報出力部612に出力する。
【0035】
前記ステップ306における数1の比較により、専用化が解除された場合、あるいは、専用化の時限が経過した場合、エレベーター利用状況を示す交通流モードが昼食時などに変って専用化が継続できなくなった場合などには、ステップ307では、それまでの専用運転の利用予定者に対して図4(2)の通知を行う。
【0036】
専用運転が設定できなかった指令者に対しては、図4(3)又は(4)の文面を通知し、また、一般利用要求者に対しては、図4(4)の文面を通知する。
【0037】
本実施の形態によれば、専用運転設定可否の理由を説明でき、利用者の納得を得られ易い効果がある。
【0038】
図5は、利用状況確認処理500の例を示すフローチャートである。
【0039】
前記数1は、過去の利用状況に応じて優先運転・専用運転を行うことを実現する評価式である。そのためには、過去の利用状況を記録することが必要であり、エレベーター運行部101又は71によるその処理の例を図5の利用状況確認処理500に示している。
【0040】
ステップ501で専用運転の指定階に到着した場合には、ステップ502で呼び応答数b(i)を1単位分増加させる。前記のように専用運転の指令回数(呼び作成数a(i))だけ必ず専用運転を提供できるとは限らないため、実際に応答できた回数を指標となる呼び応答数b(i)とする。ステップ503では、専用化を指令した指令者の乗車があるかを確認する。この乗車は、例えば乗りかご31の外部インターフェース54と指令者の外部端末61との通信で指令者の個人認識符号(ID)を確認したり、かご呼び操作に暗号入力などの特殊操作を義務付けて確認するなどの方法や、乗りかご31の荷重センサの信号変化とかご呼び入力の作成などで行うことができる。
【0041】
利用要求者の乗車を確認した場合には、ステップ504で利用実績数c(i)を1単位分増加させる。
【0042】
ステップ503で、利用要求者の乗車を確認できない場合には、ステップ505で専用化の設定時限が満了するまで確認処理を繰り返し、待機する。ステップ505のタイマが満了しても利用要求者の乗車を確認できない場合には、ステップ506で専用化の指令を解除する。この場合、利用実績数c(i)は変化しない。
【0043】
このように、図1又は図2のエレベーター運行部101又は71と利用状況データベース103又は73により、外部からの利用要求に基くエレベーターの運行状況を記録する運行状況記録手段を構成している。
【0044】
図6は、利用状況データベース103(図1)又は73(図2)の記録内容の具体例を示す図である。利用状況データベース103又は73は、利用者の個人識別符号「利用者ID」別に、優先度P(i)、呼び作成数a(i)、呼び応答数b(i)、利用実績数c(i)を記録する。
【0045】
ここで、前述した数1では呼び作成数a(i)を用いていないが、例えば、専用化の要求に対してエレベーターがどれだけ応答できたか、等の指標をb(i)/a(i)として求めることが可能であり、呼び作成数a(i)を記録することも有効である。
【0046】
図7は、その他の入力受け付け処理700の例を示すフローチャートである。前記のシステム構成を使用すれば、優先呼び以外の遠隔操作も可能であり、その例として図7では、運転方法の変更、運転状態のモニタを示している。
【0047】
運転方法の変更とは、一般の利用者が個人的には、夜間の防犯運転を各階停止、目的階直行などに変更することである。一方、管理者が、行事のために、ピストン運転を指令するなど、出勤時間帯以外に出勤モードをマニュアル操作で実現させるなどを行うものである。またモニタとは、エレベーターの運行状態を情報出力部612に出力するものである。
【0048】
ステップ701では、前述した専用化、一般呼び以外の、外部端末6からのその他の入力の受け付けを確認する。ステップ702で、「運転方法」の変更指令があると判断した場合には、ステップ703で現在の運行状態や利用者の指令資格など運転方法を変更可能か否かを確認し、ステップ704で運転方法を変更し、ステップ705で運転方法変更を指令者の外部端末61の情報出力部612に通知する。通常時には、防犯運転として直行運転は受付けない等の変更不可の条件が設定できる。
【0049】
ステップ703で運転方法変更は不可と判断した場合には、ステップ706で指令者に変更不可とその理由を通知する。ステップ707で、「モニタ」の要求がある場合には、ステップ708で要求者の外部端末61の情報出力部612にモニタ情報を発信する。
【0050】
以上の実施の形態によれば、外部からのエレベーターの利用要求に対して、過去の利用実績に応じてエレベーターの運行を決定あるいは変更することにより、無駄の少ない運行を実現できる。また、利用者に、サービスの可否及び/又はその理由を通知することにより、利用者の使い勝手を向上できる。また本実施の形態によれば、同一のシステム構成で、利用要求の指令の外にも、その他の運転方法変更、運転状態モニタ等にも対応可能である。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、携帯電話に代表される外部端末からのエレベーターの利用要求に対して、適切なサービス運行を決定することにより、利用者が納得し易く、かつ無駄が少なく運行効率を高めたエレベーター運行制御方法及び装置を提供することができる。
【0052】
また、本発明によれば、携帯端末からのエレベーターの利用要求に対して、その端末に応答に関する情報を通知することにより、使い勝手の向上を図ったエレベーター運行制御方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における単独エレベーターの場合のシステム構成図。
【図2】本発明の他の実施の形態である複数エレベーターの場合のシステム構成図。
【図3】エレベーター運行部での外部からの利用要求の受け付け処理フローチャート。
【図4】外部からの利用要求に対する応答通知の例を示す図。
【図5】エレベーター運行部での利用状況確認処理のフローチャート。
【図6】利用状況データベースの記録内容の具体例を示す図。
【図7】その他の入力受け付け処理のフローチャート。
【符号の説明】
1,11,12…号機制御装置、101,71…エレベーター運行部、102,72,112,122…入出力インターフェース、103,73…利用状況記録手段(データベース)、2(21〜23)…ホール呼び釦、31,32…乗りかご、4…伝送路、5(51〜55)…外部インターフェース、6…外部端末、61…携帯電話等の携帯端末、611…指令入力部、612…情報出力部、62…遠隔呼び釦、621…呼び釦、622…応答ランプ、7…群管理制御装置、81,82…かご呼び釦、300…利用要求の受け付け処理、500…利用状況確認処理、700…その他の入力の受け付け処理。
Claims (1)
- 複数の階床にサービスするエレベーターと、エレベーターホールに配置されたホール呼び手段と、エレベーターかご内に設けられたかご呼び手段と、エレベーター装置の外部端末であってエレベーターホールから離れた場所からエレベーターに対する利用要求を受け付ける外部インターフェース手段と、これらの呼び及び利用要求に応じてエレベーターの運行を制御する運行制御手段とを備えたエレベーターの運行制御装置において、前記利用要求に対するエレベーターのサービス内容を決定する手段と、この決定されたサービス内容を利用要求を発した前記外部端末に通知する手段とを備え、前記外部端末に通知するサービス内容は、専用呼びとして登録するか、又は通常のホール呼びとして登録するかの区別を含むことを特徴とするエレベーターの運行制御装置。
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