JP4027237B2 - デュアルバンドアンテナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種類の周波数帯域(バンド)の信号波の送信や受信が可能で、車載用通信機等に組み込んで好適な小型のデュアルバンドアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種のデュアルバンドアンテナとして、図4に示すように、ピッチが異なる2種類のメアンダラインを連結してなる放射導体を基板表面に設けたアンテナ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4に示す従来のデュアルバンドアンテナ1は、接地導体板2上に立設された誘電体基板3の表面に銅箔等からなる放射導体4がパターニングされており、この放射導体4が、比較的広いピッチで給電点に近い側からメアンダ形状に延出形成された第1の放射導体部4aと、比較的狭いピッチで第1の放射導体部4aの先端からメアンダ形状に延出形成された第2の放射導体部4bとを連結した構成になっている。
【0004】
このように構成されたデュアルバンドアンテナ1においては、放射導体4の給電点に同軸ケ−ブル等の給電線を介して第1の高周波電力を供給することにより、第1の放射導体部4aから第2の放射導体部4bへと至る放射導体4の全体を第1の周波数f1に共振させることができると共に、該給電点に第2の高周波電力を供給することにより、第1の放射導体部4aだけを第1の周波数f1よりも高周波な第2の周波数f2に共振させることができる。つまり、狭ピッチのメアンダライン(第2の放射導体部4b)には周波数の高い高周波電流が流れにくいため、第2の周波数f2に対しては第1の放射導体部4aだけを放射素子として動作させることが可能となる。また、このように放射導体4が蛇行したメアンダ形状に形成してあると、直線状に延出形成した放射導体に比べて、同じ電気長で高さ寸法を大幅に低減することができるので、アンテナ全体の小型低背化に有利である。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−68917号公報(第3−4頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4に示す従来のデュアルバンドアンテナ1においては、放射導体4のメアンダピッチ(蛇行部の間隔)を過度に狭くすると高次モードが発生しやすく、放射導体4を過度に細くすると共振周波数帯域が狭くなってしまうので、結局、アンテナ性能を劣化させないためには、放射導体4をある程度の太さに形成してメアンダピッチも狭くなりすぎないように配慮した設計が要求される。そのため、メアンダピッチが異なる2種類の放射導体部4a,4bを直列に連結して第1の周波数f1に対応する電気長を確保しようとすると、誘電体基板3による波長短縮効果を加味しても長寸な放射導体4になってしまい、アンテナ全体の低背化が促進しにくいという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、小型低背化が促進しやすいデュアルバンドアンテナを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため、本発明のデュアルバンドアンテナは、平坦な接地導体上に立設された誘電体基板の表面に導体パターンからなる放射導体を設けてなり、この放射導体が、メアンダ形状に形成されて下端部に高周波電力が供給される第1の蛇行部と、この第1の蛇行部よりも狭ピッチなメアンダ形状に形成されて該第1の蛇行部の上端部に連続する第2の蛇行部と、この第2の蛇行部に連続して前記誘電体基板の上端部に形成された容量性導体部とを備えていると共に、前記第1の蛇行部の上端部と前記容量性導体部とを前記誘電体基板の一側部近傍で局部的に対向させて容量結合部となし、この容量結合部と前記誘電体基板の他側部との間に前記第2の蛇行部を配置する構成にした。
【0009】
このように構成されたデュアルバンドアンテナでは、供給される高周波電力の周波数が比較的低いときには、第1の蛇行部から第2の蛇行部へと電流が流れ、容量性リアクタンスが大となる容量結合部は第1の蛇行部に対して電気的にほぼ遮断した状態に設定することができるので、第1および第2の蛇行部の全体を長めの共振長で共振させることが可能となる。しかるに、周波数が高くなるにつれて第2の蛇行部の誘導性リアクタンスが増大し、逆に容量結合部の容量性リアクタンスは低減する。したがって、供給される高周波電力の周波数がある程度高いときには、容量結合部を介して第1の蛇行部を容量性導体部と電気的に接続し、第2の蛇行部へは電流がほとんど流れない状態に設定することができ、第1の蛇行部だけを短い共振長で共振させることが可能となる。そして、高低いずれの共振状態においても容量性導体部が短縮コンデンサとして機能するため、所定の周波数に共振させるうえで必要な放射導体の電気長が短縮され、これに加えて容量結合部の側方のスペース内に第2の蛇行部をコンパクトに配置できるため、アンテナ全体の高さ寸法を大幅に低減できる。
【0010】
また、かかる構成において、前記容量性導体部を前記誘電体基板の片面とその裏面に設け、これら両面の容量性導体部どうしをスルーホールを介して接続しておけば、アンテナ全体を大型化しなくても容量性導体部に広い面積が確保できるため、小型低背化が促進しやすくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係るデュアルバンドアンテナの正面図、図2は該デュアルバンドアンテナの背面図、図3は該デュアルバンドアンテナの等価回路図である。
【0012】
図1,2に示すデュアルバンドアンテナ10は、接地導体板11上に立設された誘電体基板12の表裏両面に、銅箔等を所定形状にパターニングしてなる放射導体13を設けて構成されている。この放射導体13は、太い帯状のメアンダ形状に形成された第1の蛇行部14と、やや細い帯状のメアンダ形状に形成されて第1の蛇行部14の上端部に連続する第2の蛇行部15と、誘電体基板12の最上部の表裏両面を占有する領域に形成されてスルーホール17にて接続された容量性導体部16a,16bとに区別され、容量性導体部16aから下向きに延びる延出部16cが第2の蛇行部15の上端部と連続している。また、誘電体基板12の一側部近傍(図1の左側部)で第1の蛇行部14の上端部と容量性導体部16aの延出部16cとを所定の隙間18aを存して対向させることにより、両者14,16aを容量結合させている。つまり、第1の蛇行部14および容量性導体部16aが隙間18aを挟んで対向している部分が容量結合部18となっており、この容量結合部18と誘電体基板12の他側部(図1の右側部)とで挟まれたスペース内に第2の蛇行部15が形成されている。
【0013】
第1の蛇行部14の下端部には、同軸ケ−ブル等の給電線を介して、相対的に低い第1の周波数f1の高周波電力と、第1の周波数f1よりも高周波な第2の周波数f2の高周波電力とが、選択的に供給されるようになっている。この第1の蛇行部14は、太くてメアンダピッチも広いためインダクタンスは小さいが、第2の蛇行部15は、第1の蛇行部14よりも細くて狭ピッチなメアンダラインなのでインダクタンスは大きい。そのため、第2の蛇行部15は、供給される高周波電力の周波数がf1程度に低ければ誘導性リアクタンスが小さいため電流を妨げないが、周波数がf2程度に高くなると誘導性リアクタンスが増大するため、第2の蛇行部15には電流が流れにくくなる。一方、容量結合部18は、供給される高周波電力の周波数がf1程度に低ければ容量性リアクタンスが大きいため、第1の蛇行部14とは電気的にほぼ遮断された状態になるが、周波数がf2程度に高くなると容量性リアクタンスが低減するので、この容量結合部18を介して第1の蛇行部14が容量性導体部16aと電気的に接続された状態となる。
【0014】
また、かかるデュアルバンドアンテナ10の等価回路図である図3において、インダクタL1は第1の蛇行部14を示し、インダクタL2は第2の蛇行部15を示し、キャパシタC1は容量結合部18を示し、キャパシタC2は容量性導体部16aおよび16bを示している。また、同図においてRxは放射抵抗を示している。
【0015】
このようなデュアルバンドアンテナ10の動作について説明すると、第1の蛇行部14の下端部に第1の周波数f1の高周波電力を供給した場合には、第1の蛇行部14から第2の蛇行部15へと電流が流れて、第1および第2の蛇行部14,15の全体を長めの共振長で共振させることができる。このとき、リアクタンスの大きい容量結合部18は、第1の蛇行部14とは電気的にほぼ遮断された状態になっている。また、面積の大きな容量性導体部16a,16bが短縮コンデンサとして機能し、第1の周波数f1に共振させるうえで必要な電気長が大幅に短縮されていることから、第1および第2の蛇行部14,15の全長は比較的短くて済み、かつ、容量性導体部16aの側方のスペースを有効利用して第2の蛇行部15をコンパクトに配置することができ、それゆえアンテナ全体の低背化が図りやすくなっている。しかも、誘電体基板12の表裏両面を利用して容量性導体部16a,16bを形成しているので、誘電体基板12を大型化することなく容量性導体部16a,16bに十分広い面積を確保することができ、アンテナ全体の小型化が図りやすくなっている。
【0016】
また、第1の蛇行部14の下端部に第2の周波数f2の高周波電力を供給した場合には、第1の蛇行部14が容量結合部18を介して容量性導体部16a,16bと電気的に接続されて、第2の蛇行部15へは電流がほとんど流れない状態となり、第1の蛇行部14だけを短い共振長で共振させることができる。この場合も、容量性導体部16a,16bが短縮コンデンサとして機能し、第2の周波数f2に共振させるうえで必要な電気長は大幅に短縮されている。したがって、高低2種類の周波数に共振可能なデュアルバンドアンテナ10の小型低背化を容易に実現することができる。
【0018】
なお、上述した実施形態例では、誘電体基板12の表裏両面に容量性導体部16a,16bを形成して大きな容量値を得ているが、誘電体基板12の片面だけに容量性導体部を設ける構成や、誘電体基板12上に水平に設置した金属導体板等を容量性導体部に接続して容量値を大幅に増大させる構成にしてもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0020】
供給される高周波電力の周波数が相対的に低いときには、第1の蛇行部から第2の蛇行部へと電流が流れて両蛇行部の全体を共振させることができ、周波数が相対的に高いときには、第2の蛇行部へは電流がほとんど流れず第1の蛇行部だけを共振させることができるデュアルバンドアンテナであり、高低いずれの共振状態においても容量性導体部が短縮コンデンサとして機能するため、所定の周波数に共振させるうえで必要な放射導体の電気長が短縮され、しかも、第1の蛇行部の上端部と容量性導体部との間に存する容量結合部の側方に第2の蛇行部が形成されており、第1および第2の蛇行部と容量性導体部とからなる放射導体を誘電体基板上にコンパクトに配置できるため、アンテナ全体の小型低背化を容易に促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係るデュアルバンドアンテナの正面図である。
【図2】該デュアルバンドアンテナの背面図である。
【図3】該デュアルバンドアンテナの等価回路図である。
【図4】従来例に係るデュアルバンドアンテナの説明図である。
【符号の説明】
10 デュアルバンドアンテナ
11 接地導体板
12 誘電体基板
13 放射導体
14 第1の蛇行部
15 第2の蛇行部
16a,16b 容量性導体部
16c 延出部
17 スルーホール
18a 隙間
18 容量結合部
Claims (2)
- 平坦な接地導体上に立設された誘電体基板の表面に導体パターンからなる放射導体を設けてなり、この放射導体が、メアンダ形状に形成されて下端部に高周波電力が供給される第1の蛇行部と、この第1の蛇行部よりも狭ピッチなメアンダ形状に形成されて該第1の蛇行部の上端部に連続する第2の蛇行部と、この第2の蛇行部に連続して前記誘電体基板の上端部に形成された容量性導体部とを備えていると共に、前記第1の蛇行部の上端部と前記容量性導体部とを前記誘電体基板の一側部近傍で局部的に対向させて容量結合部となし、この容量結合部と前記誘電体基板の他側部との間に前記第2の蛇行部を配置したことを特徴とするデュアルバンドアンテナ。
- 請求項1の記載において、前記容量性導体部を前記誘電体基板の片面とその裏面に設け、これら両面の容量性導体部どうしをスルーホールを介して接続したことを特徴とするデュアルバンドアンテナ。
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