JP4026266B2 - 半導体電極及び光電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電気分解センサー等の広い分野で好適に使用することができる半導体電極及びそれを用いた光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、化石燃料の大量消費に伴う地球環境の破壊とCO2増加による地球温暖化の問題が深刻になってきており、CO2削減の必要性が叫ばれている。こうした状況の下、環境に優しく、化石燃料の代替エネルギー源として、太陽エネルギーが注目され、該太陽エネルギーを利用したエネルギー研究が盛んに行われている。その中でも特に、シリコン半導体やひ素化ガリウム等の無機化合物半導体を用いて太陽エネルギーを直接電気エネルギーに変換する素子の研究が盛んに行われ、該無機化合物半導体の単結晶、多結晶あるいはアモルファス薄膜を用いた光電池が実用化されてきている。
【0003】
しかしながら、無機化合物半導体を用いたこれらの光電池は、その作製に際して極めて高度な技術を必要とする上、多くのエネルギーを投入を要するという問題がある。また、有毒なガスを原料として用いる等の点で環境上の問題もあり、原料の精製、単結晶の作製、結晶のマルチワイヤー等による高速スライス、アモルファス薄膜の作製、ドーピングプロセス等の製造過程が必要なため、生産性が低く、製造コストも多額であるという問題がある。また、結晶系を用いた光電池の場合、曲率半径の小さな曲面部分などに設置することが困難であったり、光電池の設置に際し受光面積を大きくする合理的な配置を容易に行うことができない等、用途が限定されてしまう問題もある。
【0004】
そこで、前記無機化合物半導体を用いた光電池における諸問題を克服する目的で、多様性、安全性、加工性等に優れ、低コストで製造し得る有機化合物半導体を用いた光起電力素子の研究も盛んに行われている。前記光起電力素子においては、光電流の生成に内部電界の存在が必要となるが、前記有機化合物半導体を用いて前記内部電界を形成する方法を以下に幾つか挙げる。
【0005】
1)ショットキー接合又はMIS型接合による方法
これは、金属/半導体接合で生じる内部電界を利用したものであり、前記有機半導体化合物として、メロシアニン色素、フタロシアニン色材を利用した光起電力素子が報告されている(A.K.Ghosh et al.,J.Appl.Phys.,49,5982,1978)。この光起電力素子は、開放電圧を大きくすることができるものの、電極として金属材料を用いるため該電極の透光性が低く、光電流を低下させ、変換効率が低くなってしまう問題がある。また、これらの材料は耐酸化性に乏しいため、安定性に欠け、光電変換効率が低下してしまう問題がある。
【0006】
2)n型有機半導体/p型有機半導体接合を利用したヘテロp/n接合による方法n型材料として、電子受容性有機物質であるマラカイトグリーン、メチルバイオレット等の色素、ペリレン色材を用い、p型有機半導体材料として電子供与性有機物質であるメロシアニン色素、フタロシアニン色材を用いたものが報告されている(C.W.Tang, et al.,Appl.Phys.Lett., 48,183,1986)。この素子においては、素子構成が複雑になるため、成膜時にピンホールができ易く、光電流、開放電圧、安定性等が十分でないという問題がある。また、蒸着法を用いて薄膜を作製する場合、無機半導体化合物を用いた光電池におけるアモルファス薄膜と同様に幾つかの製造プロセスを必要とし、製造コストが多額になるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光電変換効率、安定性等に優れ、安価にかつ容易に製造することができ、広い分野で好適な半導体電極及びそれを用いた光電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> 導電性基体上に、フタロシアニン系色材、ナフタロシアニン系色材もしくはペリレン系色材を高分子有機化合物中に分散してなる有機微粒子が凝集してなる光電変換層を有することを特徴とする半導体電極である。
> 有機微粒子が、有機色材及び高分子有機化合物を溶剤中に溶解乃至分散させた油性相成分を、水性相中で懸濁造粒して得られる前記<1>に記載の半導体電極である。
> 有機色材が、下記一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種である前記<1>又は<2>に記載の半導体電極である。
一般式(1)
【0009】
【化2】
Figure 0004026266
【0010】
前記一般式(1)において、L1〜L4は、ベンゼン環又はナフタレン環を表す。X1 〜X4 は、水素原子、ハロゲン原子、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、複素環基、アルコキシル基、スルホニル基又はエステル基を表し、これらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。Mは、水素原子(2個)、金属又はその誘導体を表す。k、m、n及びqは、0〜8の整数を表す。
> 導電性基体が、可撓性高分子の表面に導電性材料が被覆されてなる前記<1>から<>のいずれかに記載の半導体電極である。
> 前記<1>から<>のいずれかに記載の半導体電極と、対向電極とを備え、該半導体電極と該対向電極とを電解質に接触するように対向配置したことを特徴とする光電池である。
【0011】
前記<1>に記載の半導体電極は、無機半導体を用いないので複雑な製造工程を要せず、安価にかつ容易にしかも均一に製造し得る。また、導電性基体上に、有機微粒子が凝集してなる光電変換層を有するので、該光電変換層の表面積が広く、光電変換効率、安定性等に優れる。更に、蒸着法を用いて形成した従来の場合におけるピンホール等の欠陥を抑えることができる。その上、該光電変換層は、前記導電性基体との密着性がよく、剥離乃至破損を生ずることもない。
【0012】
また前記<>に記載の半導体電極は、前記有機微粒子が、有機色材を高分子有機化合物中に分散してなるので、前記光電変換層において前記有機色材が均一に広く分散しており、更に光電変換効率、安定性等に優れる。
【0013】
前記<>に記載の半導体電極は、前記有機微粒子が、有機色材及び高分子有機化合物を溶剤中に溶解乃至分散させた油性相成分を、水性相中で懸濁造粒して得られるので、前記光電変換層において前記有機色材が均一に広く分散しており、光電変換効率、安定性等に優れた光電変換層が安価にかつ容易に得られる。
【0014】
前記<>に記載の半導体電極においては、前記有機色材が、前記一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種であるので、光電変換効率、安定性等により優れる。
【0015】
前記<>に記載の半導体電極は、可撓性高分子の表面に導電性材料が被覆されてなるので、フレキシブルである。
【0016】
前記<>に記載の光電池は、半導体電極と対向電極とを備え、該半導体電極と該対向電極とを電解質に接触するように対向配置してなり、該半導体電極が、前記<1>から<>のいずれかに記載の半導体電極であるので、光電変換効率、安定性等に優れ、安価にかつ容易に製造し得る。
【0017】
【発明の実施の形態】
(半導体電極)
本発明の半導体電極は、導電性基体上に、有機微粒子が凝集してなる光電変換層を有する。
【0018】
−導電性基体−
前記導電性基体としては、前記光電変換層とオーミックに接合することができれば、導電性材料のみで形成されていてもよいし、該導電性材料と非導電性材料とが組み合わされて形成されていてもよい。後者の場合としては、前記非導電性材料の表面に前記導電性材料が被覆されてなる導電性基体が挙げられる。
【0019】
前記導電性基体は、透光性であってもよいし、そうでなくてもよいが、透光性である場合には、可視光領域の波長の光を広く透過するものが好ましい。
【0020】
前記導電性基体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、板状、フィルム状、シート状、棒状、などが挙げられる。
前記導電性基体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、一つの部材から形成されていてもよいし、二以上の部材から形成されていてもよく、また、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
前記導電性基体の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
前記導電性材料としては、例えば、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム、酸化亜鉛、銅、クロム、金などが挙げられる。
【0022】
前記非導電性材料としては、例えば、合成石英、並ガラス、BK7、鉛ガラス等のガラス、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルブチラート、ポリプロピレン、透明ナイロン、ポリ四弗化エチレン、四弗化エチレン、六弗化プロピレン共重合体等の可撓性高分子、などが挙げられる。
【0023】
本発明においては、前記可撓性高分子の表面に前記導電性材料が被覆されてなる導電性基体を使用すると、半導体電極をフレキシブルにすることができる。
【0024】
―光電変換層―
前記光電変換層は、有機微粒子が凝集してなる。
前記有機微粒子は、有機色材を高分子有機化合物中に分散してなる。
【0025】
前記高分子有機化合物としては、例えば、絶縁性高分子、導電性高分子、などが挙げられる。
前記絶縁性高分子としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン等を重合して得られるポリスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸2-エチルヘキシル、ポリメタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル系重合体、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、変性エーテル型ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン樹脂、クマリン樹脂、テンペル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ヒドロキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体等の塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アルキッド樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド、などが挙げられる。
【0026】
前記導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の電荷輸送性物質、などが挙げられる。
【0027】
これらの高分子有機化合物は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、これらの高分子の中でも、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などが好ましい。
【0028】
前記有機色材としてはフタロシアニン系色材、ナフタロシアニン系色材、ペリレン系色材挙げられる。
【0029】
本発明においては、これらの中でも、下記一般式(1)〜()のいずれかで表される化合物が好ましい。
一般式(1)
【0030】
【化3】
Figure 0004026266
【0031】
前記一般式(1)において、Mは、水素原子(2個)、又は、Li,Be,Na,Mg,Al,Si,K,Ca,Sc,Ti,V,Cr,Hn、Fe,Co,Cu,Zn,Ga,Ge,As,Y,Zr,Nb,Mo,Tc,Ru,Rh,Pb,Ag,Cb、In,Sn,Sb、Ba,Hf,Ta,W,Os,Ir,Pt,Au,Hg,Tl,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm、Yb,Lu,Th,Pa,U,Np及びAmから選択される金属若しくはその誘導体を表す。L 1 〜L 4 は、ベンゼン環又はナフタレン環を表す。X1 〜X4 は、水素原子、ハロゲン原子、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、複素環基、アルコキシル基、スルホキシド基又はエステル基を表す。k、m、n及びqは、0〜8の整数を表す。
【0032】
前記一般式(1)において、Mで表される金属誘導体としては、TiO、GaCl又はGaOHが好ましい。
【0034】
これら有機色材は、アモルファス状態でも結晶状態のどちらを用いてもよいが、結晶性によりその特性が変化するため、電荷発生効率、光吸収性等の観点から、チタニルフタロシアニン色材では、CuKαを線源とするX線回折のブラック角度(2θ±0.2°)が、9.3、10.6、13.2、15.1、15.7、16.1、20.8、23.3及び26.6°に強い回折ピークを有する結晶、並びにブラック角度(2θ±0.2°)が、9.7、11.7、15.0、23.5及び27.3°に強い回折ピークを有する結晶が好ましく、クロロガリウムフタロシアニン色材では、CuKαを線源とするX線回折のブラック角度(2θ±0.2°)が7.4、16.6、25.5及び28.3°に強い回折ピークを有する結晶、ブラック角度(2θ±0.2°)が6.8、17.3、23.6及び26.9°に強い回折ピークを有する結晶、並びにブラック角度(2θ±0.2°)が8.7〜9.2、17.6、24.0、27.4及び28.8°に強い回折ピークを有する結晶が好ましく、ヒドロキシガリウムフタロシアニン色材においてCuKαを線源とするX線回折のブラック角度(2θ±0.2°)が7.7、16.5、25.1及び26.6°に強い回折ピークを有する結晶、ブラック角度(2θ±0.2°)が7.9、16.5、24.4及び27.6°に強い回折ピークを有する結晶、並びにブラック角度(2θ±0.2°)が7.0、7.5、10.5、11.7、12.7、17.3、18.1、24.5、26.2及び27.1°に強い回折ピークを有する結晶、が好ましい。
【0035】
【化4】
Figure 0004026266
【0036】
前記一般式(2)〜(5)で表されるペリレン系色材において、A及びA'は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、2価の芳香族炭化水素又は窒素原子を含む2価の複素環基を表し、下記式(a1)〜(a6)で表される基が好ましい。
【0037】
【化5】
Figure 0004026266
【0038】
これらにおいて、Xは、アルキル基、アルコキシル基、エステル基、ハロゲン基又はニトロ基を表す。nは、0、1又は2を表す。
【0039】
また、前記一般式(2)〜(5)で表されるペリレン系色材において、B及びB'は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、アルキル基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、置換若しくは未置換のアラルキル基を表し、下記式(b1)〜(b3)で表される基が好ましい。
【0040】
【化6】
Figure 0004026266
【0041】
これらにおいて、Xは、アルキル基、アルコキシル基、エステル基、ハロゲン基又はニトロ基を表す。Yは、−S−又は−NH−を表す。nは、0、1又は2を表す。
【0060】
前記有機微粒子は、例えば、界面重合法、in situ重合法、液中硬化被覆法、コアセルベーション法、などの公知の手法に従って得られるが、これらの中でも、例えば以下の手法に従って好適に得られる。
【0061】
即ち、前記有機微粒子は、前記高分子有機化合物を第1の溶剤中に溶解乃至分散し、更に前記有機色材を溶解乃至分散した後で、又は、前記有機色材と前記高分子有機化合物とを第1の溶剤に溶解乃至分散した後で、この溶解物乃至分散物を該第1の溶剤とは異なる第2の溶剤中に液滴状に分散(懸濁)し、該第1の溶剤及び/又は該第2の溶剤を除去して造粒することにより得られる。具体的には、前記高分子有機化合物が油溶性の場合、該高分子有機化合物を特定の溶剤中に溶解乃至分散し、更に前記有機色材を溶解乃至分散して油性相を形成し、この油性相成分を水性溶剤中に液滴状に乳化分散(懸濁)して水中油滴型のエマルジョンを形成させた後、該溶剤を除去して造粒することにより得られる。
【0062】
前記有機微粒子の平均粒径としては、0.01〜10μmが好ましい。
前記平均粒径が、0.01μm未満であると、取扱いが難しくなり、成膜が困難になることがあり、10μmを超えると、表面積を増すのに光電変換層を厚くしなければならず、そのため内部抵抗が上昇し効率が低下することがある。
【0063】
前記有機微粒子における、前記有機色材と前記高分子有機化合物との重量比(有機色材:高分子有機化合物)としては、通常40:1〜1:20であり、10:1〜1:10が好ましい。
前記重量比が、1/20未満であると、光吸収性が小さくなり、また内部抵抗が増大し、光電変換効率が低下することがあり、40/1を超えると、有機微粒子が凝集し易くなり、成膜し難く光電変換層の形成が困難になることがあり、また、電荷が発生する光電変換層と電解質との界面に光が届かなくなり、光電変換効率が低下することがあるため好ましくない。
【0064】
また、本発明においては、前記有機微粒子において、前記高分子有機化合物中に前記有機色材を分散させる場合、電荷発生効率、電荷輸送効率を向上させる目的で、電子受容性の高分子有機化合物を用いて電子供与性の前記有機色材を増感させることもできる。
【0065】
前記電子受容性の高分子有機化合物としては、例えば、前記高分子有機化合物中に電子受容性分子を混入させたものや、それ自身が電子受容性である前記高分子有機化合物、などが挙げられる。
【0066】
前記電子受容性分子としては、例えば、p-ベンゾキノン、p-クロラニル、ブロモアニル、2,3−ジクロロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、4-ニトロベンズアルデヒド等の芳香族化合物、N-(n-ブチル)−1,8−ナフタルイミド等の芳香族カルボン酸イミド類、無水マレイン酸等の環状カルボン酸無水物、9−ジシアノメチレンフルオレン−4−カルボン酸n−オクチル、2,4,7−トリニトルフルオレノン等のフルオレン系化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物、などが挙げられる。
【0067】
前記電子受容性の高分子有機化合物を用いることにより、前記有機色材が増感されるメカニズムは、以下の通りであると考えられる。即ち、前記有機色材と、光キャリア生成物質である電子供与性の前記高分子有機化合物との電子相互作用により、キャリアの解離効率が促進され、かつキャリアの再結合が抑制され、自由キャリアの生成に有利に作用しているためと考えられる。
【0068】
また、本発明においては、前記有機色材として、錫フタロシアニン、ペリレン系色材等の電子受容性のものを用いた場合は、前記高分子有機化合物として、電子供与性のものを用いると、該有機色材を増感させることができる。
【0069】
前記電子供与性の高分子有機化合物としては、例えば、前記高分子有機化合物中に電子供与性分子を混入させたものや、それ自身が電子供与性である前記高分子有機化合物、などが挙げられる。
【0070】
前記電子供与性分子としては、例えば、2,5−ビス(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール類、9−(4−ジメチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、N−メチル−N−フェニルヒドラゾン−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、トリ(4−メチルフェニル)アミン、N,N‘−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)ベンジジン等のトリフェニルアミン系化合物、テトラチアフルバレン、N,N,N‘,N’−テトラエチルフェニレンジアミン、などが挙げられる。
【0071】
前記第1の溶剤としては、特に制限はなく、該高分子有機化合物の溶解性又は分散性、該有機色材の溶解性又は分散性等に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭素類、リグロイン等の鉱油、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族ハロゲン化炭化水素類、などが挙げられる。
これらは、一種単独で使用してよいし、2種以上を併用してもよい。
【0072】
前記第1の溶剤中への前記高分子有機化合物の溶解乃至分散及び前記有機色材の溶解乃至分散は、公知の方法に従って公知の装置等を用いて行なうことができ、前記溶解は、例えば、マグネッティクスターラー、超音波等を用いて行なうことができ、前記分散は、例えば、ボールミル、アトライター、サンドミル等を用いて行なうことができる。
【0073】
前記第2の溶剤としては、前記第1の溶剤と異なる性質を有するもの、即ち前記高分子有機化合物及び前記有機色材を溶解乃至分散させた前記第1の溶剤を、分散してエマルジョン化し、造粒することができれば特に制限はなく、例えば、前記第1の溶剤が油性溶剤の場合には、水、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール等の脂肪族アルコール等の水性溶剤が好適に挙げられ、前記第1の溶剤が水性溶剤であれば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエチレン、トリクロロエチレン等の脂肪族ハロゲン化炭素類等の油性溶剤が好適に挙げられる。
【0074】
前記第2の溶剤中で、前記高分子有機化合物及び前記有機色材を溶解乃至分散させた前記第1の溶剤を分散してエマルジョン化し造粒する場合、平均粒径の小さな有機微粒子を得る観点からは高速剪断下で造粒するのが好ましく、高速剪断機能を有する分散機を用いて造粒するが好ましい。
【0075】
前記高速剪断機能を有する分散機としては、例えば、各種ホモミキサ−、ホモジナイザー、コロイドミル等の高速羽根回転型の分散機、強制間隔通過型の分散機などが好適に挙げられる。
【0076】
前記造粒の後に(前記造粒の際であってもよい)、前記第1の溶剤(該第1の溶剤が溶剤である場合は該溶剤)を除去するが、該第1の溶剤の除去は、例えば、常温で行ってよい。この場合は、前記第1の溶剤の沸点より低く、かつ前記高分子有機化合物同士が凝集しないよう該高分子有機化合物のガラス転移点(以下「Tg」と称することがある。)を考慮して温度を設定する。また、ロータリーエバポレーター等を用いて減圧しながら行ってもよいし、凍結乾燥しながら行ってもよい。
以上の造粒の結果、平均粒径が0.01〜10μm程度の有機微粒子が得られる。
【0077】
なお、前記高分子化合物及び前記有機色材を分散させた前記第1の溶剤を、前記第2の溶剤中に分散させて造粒する際、該第2の溶剤中に予め保護コロイドを含有させておいてもよい。
【0078】
前記保護コロイドとしては、例えば、前記第2の溶剤として水性媒体を用いた場合には水溶性高分子を好適に使用することができ、具体的には、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコール、ゼラチン及びセルロース系水溶性高分子が特に好ましい。
【0079】
こうして得られた有機微粒子は、適宜、洗浄操作を施し、ろ過して、有機微粒子単体として使用してもよいし、溶剤置換を行い、有機微粒子を分散した分散溶液状態で使用してもよい。
【0080】
前記光電変換層は、例えば、前記有機微粒子を前記導電性基体上に公知のコーティング法に従ってコーティングすることにより形成することができ、具体的には、例えば、前記有機微粒子単体を使用する場合は、再びこれを適宜選択した溶剤中に分散させてから、また、前記分散溶液状態で使用する場合はそのままこの分散溶液を、スピンコーティング法、ブレードコーティング法、デップコーティング法、エアーナイフコーティング法、スプレーコーティング法等の公知のコーティング法に従って、前記導電性基体上にコーティングすることにより形成することができる。また、その後、適宜、真空乾燥機等を行なって乾燥又は加熱等することにより、前記光電変換層を前記導電性基体上に形成することができ、所望の半導体電極を作製することができる。
【0081】
こうして形成された前記光電変換層は、前記有機微粒子が凝集してなる構造を有する。なお、前記光電変換層は、透光性であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0082】
本発明の半導体電極は、前記光電変換層が、無機半導体を用いて形成する必要がないので、複雑な製造工程を要せず、安価にかつ容易に、しかも均一に製造し得る。また、前記有機微粒子が凝集してなる構造を有するので、該光電変換層の表面積が広く、光電変換効率、安定性等に優れる。更に、蒸着法を用いて形成した従来の場合におけるピンホール等の欠陥を抑えることができ、短絡電流を効果的に抑えることができる。その上、該光電変換層は、前記導電性基体との密着性がよく、剥離乃至破損を生ずることもない。
【0083】
本発明の半導体電極は、各種分野において好適に使用することができるが、以下の本発明の光電池に特に好適に使用することができる。なお、本発明の半導体電極を本発明の光電池に使用する場合、該半導体電極を透光性に設計すると好ましい。
【0084】
(光電池)
本発明の光電池は、前記本発明の半導体電極と、対向電極とを備え、該半導体電極と該対向電極とを電解質に接触するように対向配置している。
【0085】
―電解質―
前記電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安定な化学種のレドックス対で電荷を十分な速度で電極間を輸送できる物質が好ましい。
【0086】
前記レドックス対としては、例えば、I- /I3 -、Br- /Br3 -、キノン/ヒドロキノン対、などが挙げられ、該レドックス対のポテンシャルが、前記半導体電極における前記光電変換層の伝導帯電位より小さいことが必要である。
【0087】
前記電解質は、通常、溶剤に溶解されて使用されるが、該溶剤を用いずに前記電解質に代えてイオン伝導性を有する高分子固体電解質を前記電解質として使用してもよい。
【0088】
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、電気化学的に不活性であり、電解質を十分な量を溶解でき、かつ前記半導体電極における前記光電変換層中の成分を溶解しない性質を有するものが好ましく、例えば、アセトニトリル、炭酸プロピレン、水などが好適に挙げられる。
これらの溶剤は、精製してから使用するのが好ましく、例えば、アセトニトリルの場合、分子ふるいで水分を取り除いたアセトニトリル3000mlに対してメタノール300mlを添加し、蒸留した後、残った溶剤中に、パラフィンオイル中に縣濁させておいたNaHを1g加えて蒸留し、その留分を酸化アルミナを詰めたカラムに通し、さらにCaH2 を5g加えてから該留分を使用するのが好ましい。
【0089】
―対向電極―
前記対向電極としては、例えば、I- などの還元体の酸化反応を十分な速さで行い得る材料で形成されているのが好ましく、例えば、白金、金、銀、錫、炭素、インジウム、アルミニウム、酸化ルテニウム、ニッケル、アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、若しくは酸化スズインジウムで形成されたもの、又は、これらを導電性基体に担持したものなどが挙げられる。該導電性基体としては、上述のものが好適に挙げられる。
【0090】
前記対向電極の形状、構造、大きさ等ついては、特に制限はなく、前記半導体電極の大きさ、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
前記対向電極は、透光性であってもよいし、そうでなくてもよいが、本発明においては、前記半導体電極及び該対向電極の少なくとも一方が光透過性であるようにしておく。
【0091】
―構成―
前記光電池は、例えば、以下のように設計することができる。即ち、前記半導体電極と前記対向電極との間に、レドックス対を含む電界溶液と、両電極の接触を防止するためのスペーサーとを挟み、シール剤で封止する。
前記スペーサーとしては、特に制限はないが、例えば、テフロン、ガラス、ポリスチレン等の絶縁性シートなどが挙げられる。
【0092】
前記光電池において、前記半導体電極と前記対向電極との間の距離は、短いほど好ましいが、短すぎると短絡する危険が増すため、通常、1〜100μm程度が好ましい。
【0093】
前記シール剤としては、特に制限はないが、例えば、前記電解質を溶解した前記溶剤に対して不溶な材料が好ましく、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。
【0094】
以下、図面を参照しながら、本発明の光電池について説明する。図1は、本発明の半導体電極の概略説明図であり、該半導体電極は、前記高分子有機化合物中に前記有機色材を分散させてなる前記有機微粒子を凝集させて形成した光電変換層1を、前記非導電性材料の基板1上に前記導電性材料2を被覆してなる前記導電性基体上に有している。
【0095】
本発明の光電池における光起電力は、前記光電変換層(半導体層)と前記電解質との界面において、該光電変換層のフェルミエネルギーとレドックス・ポテンシャルとの差によって生ずる該光電変換層(半導体層)側の界面近傍の内部電界に起因している。この内部電界の領域で、光吸収による励起子が生成し、この励起子が該内部電界により電子とホールとに分離され、最終的に外部に電流として取り出される。このため、該内部電界の領域にいかに多くの光が吸収されるか、主に電子供与性の高分子有機化合物と、還元体の電子状態の相対的関係で決まる内部電界の大きさに起因するキャリア発生能、該光電変換層等の各層内での電子及びホールの移動度、及び電極への注入性等が、光電変換効率を支配する大きな要因となる。
【0096】
前記光電池における光電変換効率(η)は、例えば、下記数式(1)によって表わされる。
η(%)=(VOC×JSC×ff)×100/Pin・・・(1)
前記数式(1)において、VOCは、開放端電圧を表す。JSCは、短絡光電流密度を表す。ffは、光照射時の電圧・電流特性を示す形状因子を表し、0〜1までの数値であり、1に近いほど変換効率は高いことを意味する。Pinは、入射光のエネルギーを表す。ffは、前記光電変換層(電子供与性有機物層)と前記電解質との界面での逆電流、つまりリークと、前記光電変換層と前記電解質とにおける電子・ホール又はイオンの移動度及び電極への注入性等に代表される光電池の順方向への抵抗の比と、により大きく左右され、前者が小さいほど、また後者が小さいほど1に近づく。ここで、前記順方向とは、光照射時における電流の流れる方向のことである。
【0097】
光電池(太陽電池)としての性能を表す最も重要な指標は、光電変換効率であるが、同じ光電池(太陽電池)であっても、照射する光のスペクトルや強度により異なる値の光電変換効率を示す。
【0098】
前記数式(1)において、VOC(開放端電圧)、JSC(短絡光電流密度)、及びff(光照射時における電圧・電流特性を表す曲線因子)が増加すれば、光電変換効率(η)は大きくなるので、それぞれの値が大きい方が、光電変換効率(η)に優れた光電池となる。
【0099】
なお、前記光電池においては、前記半導体電極及び前記対向電極の少なくとも一方は、光を入射させるため透光性に設計され、また、両電極はそのまま使用してもよいし、これに支持体層、保護層等を設けてから使用してもよい。
【0100】
本発明の光電池は、前記本発明の半導体電極を用いるので、安定的にかつ容易に製造することができ、半導体電極における光電変換層が有機微粒子の凝集層であるので、該光電変換層と該電界質との界面が増加し、有機物を用いた従来の光電池に比べて光電変換効率を向上させることができ、安定した性能を発揮する。
【0101】
本発明の光電池は、光電気分解センサー等の広い分野で好適に使用することができる。
【0102】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0103】
なお、以下の実施例において作製した光電池の光電変換効率は、以下のようにして求めた。即ち、キセノンランプ(ORIEL社製)を光源として用い、該キセノンランプの光を、分光装置(光研工業製)を用いて波長400〜950nmにおける任意の波長の光に単色化させた。定光強度照射装置(オプテル社製)を用いて光強度を10〜1000μW/cm2 の範囲内で一定に保ちながら、前記光を半導体電極側から照射し、該半導体電極と対向電極との間に定電圧を印可した時に光電池に流れる電流をSource Measure Unit(KEITHLEY社製)を用いて測定することにより求めた。
【0104】
また、各実施例の光電池につき、光を照射したときの電圧−電流特性を以下のようにして測定した。即ち、測定条件は、照射した光が700nm、25μW/cm2 の単色光であって、電圧は−0.2〜0.6Vの範囲とした。得られた電圧−電流特性から、VOC(開放端電圧)、JSC(短絡光電流密度)、及びff(光照射時の電圧・電流特性を表わす曲線因子)を求めた。この電圧−電流特性において、電圧軸との交点、つまり電流I=0のときの電圧が開放電圧VOCである。また、電流軸との交点、つまり電圧V=0のときの電流を短絡光電流ISCと呼び、この値を光電池における素子面積で割ってJSC(短絡光電流密度)を求めた。さらに、ff(光照射時の電圧・電流特性を表わす曲線因子)は、素子の最大出力値(I×Vの最大値)を、先に求めたISC×VOCで割った値に相当する。
【0105】
(実施例1)
―導電性基体の作製―
10mm×10mmの正方形のITO電極が形成されたガラス基板を以下の手順で洗浄した。まず、アセトン(和光純薬製、特級)を用いて5分間超音波洗浄し、次に塩化メチレン(和光純薬製、特級)を用いて5分間超音波洗浄した。さらに、1.1重量%水酸化ナトリウム水溶液95体積部と、洗浄液(和光純薬製、NCW-601A)5体積部とからなるアルカリ洗浄液にて10分間超音波洗浄後、純水でリンスした。その後、アセトン(関東化学(株)製、EL級)を用いて5分間超音波洗浄し、イソプロピルアルコール(関東化学(株)製、EL級)を用いて5分間超音波洗浄し、さらにエタノール(関東化学(株)製、EL級)で5分間超音波洗浄し、窒素雰囲気中で十分乾燥させた。以上により得られたものを、前記導電性基体として用いた。
【0106】
―有機微粒子の調製―
前記高分子有機化合物としての、カルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH)を3重量部と、前記第1の溶剤としての、酢酸エチルを100重量部とを、ガラス容器に入れ、超音波洗浄機を用いて溶解、混合させた。さらに、前記有機色材としての、無金属フタロシアニンを3重量部、1mmφガラスビーズと共にペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて2時間分散し、スラリー状の分散溶液とし、これを油性相とした。該油性相20重量部を、前記第2の溶剤としての、ジイソオクチル・ソジウム・スルホサクシネート(和光純薬工業(株)製、Aerosol OT)の1重量%水溶液100重量部とポリビニルアルコール (クラレ(株)製)の1重量%水溶液100重量部とを混合した溶液に添加し、ホモジナイザー(エースホモジナイザー、日本精機社製)に投入し、8000rpmの回転数で2分間攪拌し乳化分散した。その後、60℃の恒温槽にて常圧で3時間加熱し、酢酸エチルを除去して、有機微粒子を造粒した。
【0107】
―半導体電極の作製―
調製した有機微粒子をエチルアルコールで溶剤置換した分散液を、スピンコーター(共和理研社製)を用いて、前述の手順にて洗浄して用意した前記導電性基体上に塗布し、光電変換層を形成した後、十分乾燥させて半導体電極を作製した。
【0108】
―対向電極―
前記対向電極としては、前述の手順にて洗浄して用意した前記導電性基体上に、スパッタリング装置(日立製作所製)を用いて厚みが360nmの白金薄膜を形成したものを用いた。
【0109】
―電解質―
前記電解質としては、ヨウ化リチウム(和光純薬製、0.25M)、ヨウ素(和光純薬製、0.025M)を用い、その溶剤としては、蒸留精製したアセトニトリルを用いた。該溶剤に該電解質を溶解したものを、電解質溶液とした。
【0110】
前記半導体電極と、前記対向電極と、前記電解質溶液とを用いて、光電池を作製した。光電池は、該電解質溶液及びスペーサーの両側を、前記半導体電極と前記対向電極(白金薄膜電極)とで挟んだサンドイッチ状構造として作製した。前記スペーサートしては、厚みが100μmであるテフロンシートを用いた。
こうして作製した光電池における有効面積は1.0cm2 であった。該光電池の光照射時における光電流の波長依存性を図2に示した。
なお、実施例1の光電池につき、上述の条件にて光電変換特性を測定した。その結果を表1に示した。
【0111】
(実施例2)
実施例1において、前記有機色材として、クロロガリウムフタロシアニンを用いた外は、実施例1と同様にした。また、作製した光電池につき、実施例1と同じ条件で光電変換特性を測定した。その結果を表1に示した。
【0112】
(実施例3)
実施例1において、前記有機色材として、チタニルフタロシアニンを用いた外は、実施例1と同様にした。また、作製した光電池につき、実施例1と同じ条件で光電変換特性を測定した。その結果を表1に示した。
【0113】
(実施例4)
実施例1において、前記有機色材として、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを用いた外は、実施例1と同様にした。また、作製した光電池につき、実施例1と同じ条件で光電変換特性を測定した。その結果を表1に示した。
【0114】
(実施例5)
実施例1において、前記有機色材として、銅フタロシアニンを用い、前記高分子有機化合物として、ポリスチレンを用いた外は、実施例1と同様にした。作製した光電池につき、実施例1と同じ条件で光電変換特性を測定した。その結果を表1に示した。
【0115】
(実施例6)
実施例1において、以下の点を変更した外は、実施例1と同様にした。
前記導電性基体として、ITO電極が形成されたガラス基板を、ITO電極が形成されたポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、T-COAT)に代えた。また、この導電性基体を、アセトンを用いて5分間超音波洗浄し、イソプロピルアルコールを用いて5分間超音波洗浄、さらにエタノールを用いて5分間超音波洗浄し、窒素雰囲気下で十分に乾燥させた。
【0116】
また、前記高分子有機化合物としてのカルボキシル変性塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(VMCH)を3重量部と、前記第1の溶剤としての酢酸エチルを100重量部とを、ガラス容器に入れ超音波洗浄機を用いて溶解させた。更に、前記有機色材としてのチタニルフタロシアニンを3重量部、2,4,7−トリニトロフルオレノンを0.1重量部、1mmφガラスビーズと共にペイントシェーカー(浅田鉄工社製)を用いて、2時間分散してスラリー状の分散溶液を調製した。これを油性相とした。該油性相20重量部を、前記第2の溶剤であるジイソオクチル・ソジウム・スルホサクシネート(和光純薬工業(株)製、Aerosol OT)の1重量%水溶液100重量部と、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製)の1重量%水溶液100重量部を混合した溶液に添加し、ホモジナイザー(エースホモジナイザー、日本精機社製)に投入し2000rpmの回転数で2分間攪拌し乳化分散した。その後、60℃の恒温槽にで常圧で3時間加熱し、酢酸エチルを除去し、有機微粒子を作製した。
【0117】
―半導体電極の作製―
エチルアルコールで溶剤置換した前記有機微粒子の分散液を、スピンコーター(共和理研社製)を用いて前記導電性基体上に塗布し光電変換層を形成した後、十分乾燥させて半導体電極を作製した。
【0118】
―光電池―
前記対向電極として、前述の手順にて洗浄した前記導電性基体に白金薄膜を形成したものを使用した。前記スペーサーとして、ミクロパール(積水ファインケミカル、SP-21)をエタノールに分散させ、前記対向電極に塗布し、実施例1と同様の電解質を注入し、シール剤で封止し、光電池を作製した。実施例1と同じ条件での光電変換特性を測定した。その結果を表1に示した。
【0119】
(比較例1)
実施例1において、前記導電性基体上に、下記構造式(2)(A)及び(B)で表されるペリレン色材と、無金属フタロシアニン色材とを、真空蒸着法により順次積層した。各々の色材による層の厚みは、0.1μmであり、この時の真空度は10-5Torrであった。続いて、アルミニウムを背面電極として真空蒸着法により形成した。以上の手順により、光電池を作製した。該光電池における素子の有効面積は、1.0cm2 であった。作製した光電池につき、実施例1と同じ条件で光電変換特性を測定した。その結果を表1に示した。
構造式(2)
【0120】
【化15】
Figure 0004026266
【0121】
【表1】
Figure 0004026266
【0122】
表1の結果から、フタロシアニン系色材を用いた実施例1〜6の光電池では、ペリレン色材及び無金属フタロシアニン系色材を用いた光電池に比べて特性が良いことが明らかである。また、実施例1〜5では、半導体電極の光電変換層は、有機微粒子が凝集した構造を有し、蒸着法等を要しないので製造が容易である。さらに、実施例6においては、前記導電性基体及び前記対向電極にポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることにより、フレキシブルで加工性の高い光電池が得られた。また、図2から明らかなように、フタロシアニン系色材を使用した光電池は、広い波長領域において良好な光感度を示した。
【0123】
【発明の効果】
本発明は、光電変換効率、安定性等に優れ、安価にかつ容易に製造することができ、広い分野で好適な半導体電極及びそれを用いた光電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の半導体電極の概略説明図である。
【図2】 図2は、実施例1の光電池の光照射時における光電流の波長依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 非導電性材料の基板
2 導電性材料
3 光電変換層

Claims (5)

  1. 導電性基体上に、フタロシアニン系色材、ナフタロシアニン系色材もしくはペリレン系色材を高分子有機化合物中に分散してなる有機微粒子が凝集してなる光電変換層を有することを特徴とする半導体電極。
  2. 有機微粒子が、有機色材及び高分子有機化合物を溶剤中に溶解乃至分散させた油性相成分を、水性相中で造粒して得られる請求項に記載の半導体電極。
  3. 有機色材が、下記一般式(1)で表される化合物から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の半導体電極。
    一般式(1)
    Figure 0004026266
    前記一般式(1)において、L1〜L4は、ベンゼン環又はナフタレン環を表す。X1 〜X4 は、水素原子、ハロゲン原子、芳香族炭化水素基、脂肪族炭化水素基、複素環基、アルコキシル基、スルホニル基又はエステル基を表し、これらは互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。Mは、水素原子(2個)、金属又はその誘導体を表す。k、m、n及びqは、0〜8の整数を表す。
  4. 導電性基体が、可撓性高分子の表面に導電性材料が被覆されてなる請求項1からのいずれかに記載の半導体電極。
  5. 請求項1からのいずれかに記載の半導体電極と、対向電極とを備え、該半導体電極と該対向電極とを電解質に接触するように対向配置したことを特徴とする光電池。
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