JP4025991B2 - ミラーデバイス、光スイッチ、電子機器およびミラーデバイス駆動方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミラーデバイス、光スイッチ、電子機器およびミラーデバイス駆動方法に関する。
【0002】
【背景技術】
例えば、特許文献1等に記載されているように、クーロン力等を用いて微小ミラーを駆動することによって光路を切り替える種々のミラーデバイスが提案されている。
【0003】
このようなミラーデバイスに対しては、100〜500G程度の加速度を、X、Y、Z方向に印加し、その際のミラーの変位や光のスイッチング効率を評価する加速度印加試験が行われる。この加速度印加試験の際には、ミラーを変位させないことが必要となる。
【0004】
また、ミラーデバイスは、例えば、交換可能な部品としてスロットのような形でスロットを抜き差しすることによって交換される場合がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−159937号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のミラーデバイスでは、交換時等における振動に対する考慮がなされていないため、交換時等にミラーの位置がずれてしまい、実際の使用時に光路を正確に切り替えることができなくなることが考えられる。
【0007】
このような課題を解決するため、ミラーを支持するヒンジの強度を上げる手法も考えられるが、この手法ではミラーの駆動電圧が上がってしまったり、ミラーの駆動速度が落ちてしまったりする。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、使用していない時においても低電圧でミラーの位置を安定させることが可能なミラーデバイス、光スイッチ、電子機器およびミラーデバイス駆動方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るミラーデバイスは、光を反射するミラーを有するミラー部と、
当該ミラー部を回転可能に支持する回転軸部と、
前記ミラー部の垂直方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによって前記ミラー部を吸引して回転させる回転用吸引部と、
前記ミラー部の水平方向であって、かつ、前記ミラー部の回転方向の両端部に対向する位置に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによって前記ミラー部の位置を保持する位置保持用吸引部と、
を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る光スイッチは、上記ミラーデバイスを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る電子機器は、上記ミラーデバイスを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るミラーデバイス駆動方法は、ミラーの回転時において、ミラーの垂直方向にクーロン力を発生することによってミラーを吸引して回転させ、
ミラーの位置保持時において、前記ミラーの水平方向であって、かつ、前記ミラーの回転方向の両端部に対向する位置でクーロン力を発生することによってミラーの位置を保持することを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、ミラーデバイス等は、ミラーの水平方向であって、かつ、ミラーの回転方向の両端部に対向する位置でクーロン力を発生することにより、ミラーを両側から吸引して保持することができるため、ミラーを使用していない時においても低電圧でミラーの位置を安定させることができる。
【0014】
また、本発明によれば、クーロン力を用いることにより、ミラーデバイス等は、低消費電力でミラーの位置を保持することができる。
【0015】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラー部および前記位置保持用吸引部は、お互いの対向部分が相互に噛み合うように、当該対向部分が、凹凸状に形成されていてもよい。
【0016】
これによれば、ミラーデバイス等は、ミラー部および位置保持用吸引部において、お互いの対向部分を平面状に形成した場合と比べ、凹凸状に形成することにより、対向部分の面積が増えるため、ミラーの位置保持時により安定させることができる。
【0017】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記回転用吸引部および前記位置保持用吸引部は、電極を含んでもよい。
【0018】
これによれば、ミラーデバイス等は、電極に電圧を印加することにより、クーロン力を発生することができる。
【0019】
また、前記ミラーデバイス、前記光スイッチおよび前記電子機器において、前記ミラー部は、導電性シリコン製であってもよい。
【0020】
これによれば、ミラーデバイス等は、ミラー部に電極を設けることなく、各吸引部の電極に電圧を印加することにより、クーロン力を発生することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、ミラーデバイスに適用した場合を例に採り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施形態に示す構成の全てが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0022】
(実施例)
図1は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの状態を示す模式図であり、図1(A)は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの回転時の状態を示す模式図であり、図1(B)は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの位置保持時の状態を示す模式図である。また、図2は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【0023】
本実施形態のミラーデバイスは、光を反射するミラーを有するミラー部10と、ミラー部10を回転可能に支持する回転軸部として機能するヒンジ19と、ミラー部10の垂直方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによってミラー部10を吸引して回転させる回転用吸引部21、22と、ミラー部10の水平方向であって、かつ、ミラー部10の回転方向の両端部に対向する位置に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによってミラー部10の位置を保持する位置保持用吸引部11、12とを含んで構成されている。
【0024】
なお、回転用吸引部21、22はミラー部10を支持するガラス基板2上に設けられている。また、ミラー部10およびヒンジ19は、電極13によって0Vの電圧に保持されるが、必ずしも電極13を設ける必要はない。
【0025】
例えば、ミラー部10の回転時には、図1(A)に示すように、ミラーデバイスは、回転用吸引部22に5Vの電圧を印加し、ミラー部10、回転用吸引部21および位置保持用吸引部11、12を0Vの電圧に保持する。
【0026】
これにより、ミラーデバイスは、ミラー部10の回転方向の端部を回転用吸引部22に吸引し、ヒンジ19をねじることによってミラー部10を回転駆動する。
【0027】
また、本実施の形態では、ミラー部10の位置保持時には、図1(B)に示すように、ミラーデバイスは、ミラー部10の水平方向かつ回転方向の両端部に対向する位置にある位置保持用吸引部11、12に5Vの電圧を印加し、ミラー部10および回転用吸引部21、22を0Vの電圧に保持する。
【0028】
これにより、ミラーデバイスは、ミラー部10を位置保持用吸引部11と位置保持用吸引部12の両方から吸引することにより、吸引力が相殺され、ミラー部10を水平方向に対して傾きがない状態で保持することができる。
【0029】
なお、このようなミラーデバイスを実現するための材料としては、例えば、以下のものを適用できる。
【0030】
ミラー部10としては、例えば、シリコンにボロンをドープして導電性を付与した導電性シリコン素材等を用い、ガラス基板2としては、例えば、ホウケイ酸ナトリウムガラス等を用い、ヒンジ19としては、例えば、ミラー部10と同材料であってもよく、別の材料であってもよい。
【0031】
また、位置保持用吸引部11、12および回転用吸引部21、22としては、例えば、ITO等の透明電極を用いてもよい。
【0032】
なお、本実施形態のミラーデバイスの製造方法としては、一般的なマイクロマシニング技術を用いて実現でき、例えば、特開平9−159937号公報に記載された手法を用いてもよい。特に、マイクロマシニング技術を用いることにより、ミラーデバイスを容易に小型化することが可能となる。
【0033】
以上のように、本実施形態によれば、ミラーデバイスは、ミラー部10の水平方向であって、かつ、ミラー部10の回転方向の両端部に対向する位置でクーロン力を発生することにより、ミラー部10を両側から吸引して保持することができるため、ミラーを使用していない時においてもミラーの位置を安定させることができる。
【0034】
また、本実施形態によれば、クーロン力を用いることにより、ミラーデバイスは、低消費電力でミラーの位置を保持することができる。また、一般に、ミラーを駆動する場合よりはミラーの位置を保持する場合のほうが低電圧でよい。
【0035】
(変形例)
また、本発明の適用は、上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。
【0036】
例えば、上述した実施例では、ミラー部10と位置保持用吸引部11、12の対向部分は平面状であったが、相互の対向部分が噛み合うように、対向部分に凹凸を設けてもよい。
【0037】
図3は、本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【0038】
図3に示すように、ミラー部110および位置保持用吸引部111、112は、お互いの対向部分が相互に噛み合うように、当該対向部分が、連続する複数の凹凸状に形成されている。
【0039】
このように、対向部分をいわゆる櫛歯型に形成することにより、対向部分を平面状に形成した場合と比べ、対向部分の面積が増えるため、ミラーデバイスは、ミラーの位置をより安定して保持することができる。
【0040】
また、ミラー部110の対向部分と、位置保持用吸引部111、112の対向部分との間隔は、等間隔に限定されず、例えば、ミラー部110の回転方向の間隔が非回転方向の間隔と比べて広くなるように形成してもよい。
【0041】
これによれば、ミラーデバイスは、ミラーの使用時にはミラーを回転させやすく、かつ、ミラーの位置保持時にはミラーの位置を安定させやすくすることができる。
【0042】
また、位置保持用吸引部11等に印加する電圧は、上述した実施例では、0V、5Vであったが、これらの数値には限定されない。
【0043】
また、上述した実施例では、クーロン力を用いてミラーの位置を保持したが、例えば、位置保持用吸引部とミラー部の極性を逆(例えば、S極とN極)にして電磁気力を用いてミラーの位置を保持してもよい。
【0044】
また、本発明に係るミラーデバイスは、光スイッチのほか、ルータ、プロジェクタ等の種々の電子機器に実装することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態の一例に係るミラーデバイスの状態を示す模式図であり、図1(A)は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの回転時の状態を示す模式図であり、図1(B)は、本実施形態の一例に係るミラーデバイスの位置保持時の状態を示す模式図である。
【図2】 本実施形態の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【図3】 本実施形態の他の一例に係るミラーデバイスの平面図である。
【符号の説明】
10、110 ミラー部、 11、12、111、112 位置保持用吸引部
19 ヒンジ(回転軸部)、 21、22 回転用吸引部
Claims (7)
- 光を反射するミラーを有するミラー部と、
当該ミラー部を回転可能に支持する回転軸部と、
前記ミラー部の垂直方向に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによって前記ミラー部を吸引して回転させる回転用吸引部と、
前記ミラー部の水平方向であって、かつ、前記ミラー部の回転方向の両端部に対向する位置に設けられ、クーロン力を発生可能に形成され、クーロン力を発生することによって前記ミラー部の位置を保持する位置保持用吸引部と、
を含み、
前記ミラーの位置保持時に前記位置保持用吸引部に印加される電圧は、前記ミラーの回転時に前記回転用吸引部に印加される電圧未満であることを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1において、
前記ミラー部および前記位置保持用吸引部は、お互いの対向部分が相互に噛み合うように、当該対向部分が、凹凸状に形成されていることを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1、2のいずれかにおいて、
前記回転用吸引部および前記位置保持用吸引部は、電極を含むことを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記ミラー部は、導電性シリコン製であることを特徴とするミラーデバイス。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のミラーデバイスを有することを特徴とする光スイッチ。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のミラーデバイスを有することを特徴とする電子機器。
- ミラーの回転時において、電圧を印加することにより、ミラーの垂直方向にクーロン力を発生することによってミラーを吸引して回転させ、
ミラーの位置保持時において、電圧を印加することにより、前記ミラーの水平方向であって、かつ、前記ミラーの回転方向の両端部に対向する位置でクーロン力を発生することによってミラーの位置を保持するミラーデバイス駆動方法であって、
前記ミラーの位置保持時に印加する電圧は、前記ミラーの回転時に印加する電圧未満であることを特徴とするミラーデバイス駆動方法。
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