以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。図1に示すように、第1実施形態のパチンコ機10は、大きくは長方形の外枠11と前面枠12とからなり、外枠11の左隣に公知のプリペイドカードユニット13が設けられている。前面枠12は、左端上下のヒンジ14により外枠11に対し回動可能に取り付けられている。前面枠12の下方には上皿15が設けられ、この上皿15の上面に貸出釦16、精算釦17及び残高表示部18が設けられている。プリペイドカードユニット13のカード口19にプリペイドカードを挿入すると、記憶された残高が残高表示部18に表示され、貸出釦16を押下すると遊技球の貸出しが実行され上皿15の払い出し口より遊技球が排出される。前面枠12には、窓状の金枠20が前面枠12に対して解放可能に取り付けられている。この金枠20には板ガラス21が二重に嵌め込まれている。板ガラス21の奥には遊技盤22が収納されている。上皿15の前面枠12下部には、下皿23が設けられ、下皿23の右側には発射ハンドル24が取り付けられている。この発射ハンドル24の外周には、図示しない回動リングが擁され、これを時計方向に回動すれば遊技球を遊技盤22上に発射することができる。上皿15と下皿23とは連結されていて、上皿15が遊技球で満杯状態になれば下皿23に遊技球を誘導するよう構成されている。
図2はパチンコ機10の裏面図であり、前述した遊技盤22を脱着可能に取り付ける機構盤26が前述した外枠11に収納されている。この機構盤26には、上方から、球タンク27、誘導樋28及び払出し装置29が設けられている。この構成により、遊技盤22上の入賞口に遊技球の入賞があれば球タンク27から誘導樋28を介して所定個数の遊技球を払出し装置29により前述した上皿15に排出することができる。
また、機構盤26には主制御基板30及び賞球制御基板31が脱着可能に、遊技盤22には特別図柄表示装置32が、前面枠12左下部には発射制御基板33が、特別図柄表示装置32の左側に外部接続端子基板40が、各々取り付けられている。尚、機構盤26を中心とした遊技球の払い出し等に関する構造は従来の構成と同様なのでその詳細な説明は割愛する。
次に図3を用いて遊技盤22について説明する。図3に示すように、中央部に特別図柄表示装置32、遊技盤22の下部に設けられた特別図柄作動口としての普通電動役物36、上部にある普通図柄表示装置37、普通図柄表示装置37に表示される図柄の変動開始に用いられる左右の普通図柄作動ゲート38及び39、盤面最下部のアウト口41、普通電動役物36下部の大入賞口52を備えた第1特別電動役物50、遊技盤22の中央にある第2特別電動役物60、普通電動役物36の左右に一対設けられた羽根作動口61a,61b、その他の各種入賞口、風車及び図示しない遊技釘等が備えられている。第2特別電動役物60は、上部に大入賞口として機能する一対の羽根62a,62b、中央部に前述の特別図柄表示装置32、下部に回転体68、V通過口69を備え、羽根作動口61a又は61bへの入賞に起因して羽根62a及び62bが開閉作動するようになっている。前述した発射ハンドル24を回動すれば発射制御基板33により駆動される発射モータ33a(図4参照)が駆動されて上皿15上の遊技球がガイドレールに沿って遊技盤22上に発射される。発射された遊技球が各入賞口に入賞すれば遊技球は盤面裏面にセーフ球として取り込まれ、入賞しなければアウト口41を介してアウト球として同様に盤面裏面に取り込まれるようになっている。
続いて前述したパチンコ機10の電気的構成を図4のブロック図を用いて説明する。パチンコ機10の電気回路は、図示するように、主として、前述した主制御基板30、賞球制御基板31、特別図柄表示装置32、発射制御基板33、ランプ制御基板34及び音制御基板35等から構成されている。尚、この回路図には、信号の受け渡しを行うための所謂中継基板及び電源回路等は記載していない。
主制御基板30は、遊技制御プログラムを記憶したROM、演算等を行うCPU、演算等の作業領域として働くRAM等を内蔵した8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成され、この他各基板又は各種スイッチ類及び各種アクチュエータ類との入出力を行うための外部入出力回路も設けられている。主制御基板30の入力側には、特別図柄作動スイッチ36a、普通図柄作動スイッチ38a及び39a、カウントスイッチ54、役物連続作動スイッチ(以下、単に「Vスイッチ」と呼ぶ)55、賞球払出しスイッチ29a、満タンスイッチ43、補給スイッチ44、タッチスイッチ24a、羽根作動スイッチ63a,63b、カウントスイッチ64、Vスイッチ65等が接続されている。また、主制御基板30の出力側には、大入賞口ソレノイド56、Vソレノイド57、普通役物ソレノイド36b、外部接続端子基板40、及び羽根ソレノイド66a,66b等が接続されている。
満タンスイッチ43は下皿23内、補給スイッチ44は球タンク27内、タッチスイッチ24aは発射ハンドル24、特別図柄作動スイッチ36aは前述した遊技盤22上の普通電動役物36内、普通図柄作動スイッチ38a及び39aは各々普通図柄作動ゲート38及び39内、Vスイッチ55は大入賞口52内の特定領域内、同じくカウントスイッチ54は大入賞口52内、賞球払出しスイッチ29aは払出し装置29内の球切りモータ29b(図4参照)の下方、羽根作動スイッチ63a,63bは羽根作動口61a,61b内、カウントスイッチ64は羽根62a,62bの取付部近傍、Vスイッチ65はV通過口69内に、各々取り付けられている。
ここで、満タンスイッチ43は下皿23内に遊技球が満タン状態になったことを、補給スイッチ44は球タンク27内に遊技球が存在することを、タッチスイッチ24aは発射ハンドル24に内蔵され遊技者が発射ハンドル24に触れていることを、特別図柄作動スイッチ36aは普通電動役物36に入賞したことを、普通図柄作動スイッチ38a,39aは普通図柄作動ゲート38,39を遊技球が通過したことを、カウントスイッチ54は大入賞口52内に入賞する全ての遊技球を、Vスイッチ55は大入賞口52内に入賞した遊技球が特別装置作動領域(以下、「特別領域」という。)を通過したことを、賞球払出しスイッチ29aは球切りモータ29bにより上皿15に排出される遊技球を、羽根作動スイッチ63a,63bは羽根作動口61a,61bに入賞したことを、カウントスイッチ64は羽根62a,62b部分から入賞する全ての遊技球を、Vスイッチ65は羽根62a,62b部分から入賞した遊技球がV通過口69を通過したことを、各々検出するためのものである。
また、主制御基板30の出力側に接続された大入賞口ソレノイド56は大入賞口52、Vソレノイド57は大入賞口52内の特別領域、普通役物ソレノイド36bは普通電動役物36、羽根ソレノイド66a,66bは羽根62a,62bの各々の開閉に使用されるものである。
特別図柄表示装置32は、LCDパネルユニット32aと、これを駆動制御する図柄表示装置制御基板(以下、単に「図柄制御基板」という。)32b及びバックライト及びインバータ基板等の付属ユニット32cから構成されている。図柄制御基板32bは、前述した主制御基板30と同様8ビットワンチップマイコンを中心とした論理演算回路として構成されている。
賞球制御基板31は、主制御基板30からの指令コマンドに従って球切りモータ29bを駆動制御して入賞があった場合に遊技者に賞球としての遊技球を払い出すと共に、前述したプリペイドカードユニット13及びCR精算表示基板47等も制御するものであり、マイクロコンピュータを用いた論理演算回路として構成しても良いし、ディスクリートな回路として構成しても良い。CR精算表示基板47は、前述した上皿15の貸出釦16、精算釦17及び残高表示部18等と接続されたものである。
賞球制御基板31は主制御基板30からの指令に従って遊技球を払い出すが、入賞に対応した遊技球が払い出されているか否かの検知は主制御基板30で行われる。この遊技球が払い出されているか否かの検知は、主制御基板30及び賞球制御基板31の双方で行っても良い。
発射制御基板33は、遊技者が操作する発射ハンドル24の回動量に応じて発射モータ33aを駆動制御するものであり、その他遊技者が発射停止スイッチ24bを押下したとき発射を停止させたり、発射ハンドル24に内蔵された前記タッチスイッチ24aがオン状態のときタッチランプ45を点灯させるためのものである。ランプ制御基板34は主としてトランジスタ等の駆動素子から構成されており、主制御基板30からの指令を受けて普通図柄表示装置37、大当りランプやエラーランプ等の各種ランプ58及び各種LED59等の各種ランプ類を点灯表示させるためのものである。音制御基板35は音源IC及びアンプ等から構成されており、主制御基板30の指令を受けてスピーカ46を駆動制御するためのものである。前述した特別図柄表示装置32、賞球制御基板31、発射制御基板33、ランプ制御基板34及び音制御基板35への送信は、主制御基板30からのみ送信することができるよう一方向通信の回路として構成されているが、双方向の通信も可能であるように構成できる。
以上説明した回路構成を有するパチンコ機10の主制御基板30内の8ビットワンチップマイコン(以下、単に「マイコン」と呼ぶ。)が実行する処理を図5に示すフローチャートに従って説明することにする。
図5に示すフローチャートは、主制御基板30のマイコンにより実行されるメイン処理を表したものであり、約2ms毎のハードウェア割り込みにより定期的に実行される処理である。ステップS100〜S200までの各処理は割り込み処理において1回だけ実行される処理であって「本処理」と称し、この本処理を実行して余った時間内に時間の許す限り繰り返し実行されるステップS210及びS220の処理を「残余処理」と称する。
マイコンによるハードウェア割り込みが実行されると、まず正常割り込みであるか否かが判断される(ステップS100)。この判断処理は、メモリとしてのRAMの所定領域の値が所定値であるか否かを判断することにより行われ、マイコンにより実行される処理が本処理に移行したとき、通常の処理を実行して良いのか否かを判断するためのものである。通常でない場合としては、電源投入時又はノイズ等によるマイコンの暴走等が考えられるが、マイコンの暴走は近年の技術の向上によりほとんど無いものと考えて良いので、大抵が電源投入時である。電源投入時には、RAMの所定領域の値が所定値と異なる値となっている。
正常割り込みでないと判断されると(ステップS100:NO)、前記メモリの所定領域に所定値を書き込み、特別図柄及び普通図柄を初期図柄とする等のメモリの作業領域への各初期値の書き込み、即ち初期設定が為される(ステップS110)。
正常割り込みとの肯定判断が為されると(ステップS100:YES)、まず初期乱数更新処理が実行される(ステップS120)。この処理は、図6に示すように、初期乱数の値をこの処理を実行する毎に+1とするインクリメント処理であり、この処理実行前の初期乱数の値に+1とするが、この処理を実行する前の乱数値が最大値である「329」のときには次回の処理で初期値である「0」に戻り、「0」〜「329」までの330個の整数を繰り返し昇順に作成する。
ステップS120に続く当否乱数更新処理(ステップS130)は、初期乱数更新処理と同様に処理を実行する毎に+1とするインクリメント処理であるが、図7に示すように、最大値である「329」に至ると次回の処理では、そのときの前記初期乱数の値を初期値(以下、「更新初期値」という。)とし、更に割り込み毎に+1とする処理を続行して更新初期値より「1」少ない値(以下、「更新最大値」という。)に至れば次回の処理では、更にそのときの初期乱数の値を初期値とし「0」〜「329」までの330個の整数値を繰り返し作成する。即ち、割り込み処理毎に+1とし、乱数を構成する要素を「0」〜「329」までの330個の整数値とすることは前記初期乱数と何等変わることはないが、今回の更新最大値(図では「157」「24」「257」)に至れば次回の割り込み処理ではそのときの更新初期値(図では「158」「25」「258」「95」)を初期値とし更新最大値に至るまで割り込み毎に+1とし、更に次回の更新初期値を初期値とする構成である。これにより、当否乱数は、乱数を構成する要素を「0」〜「329」までの330個の整数値とし、割り込み処理毎に+1とするが、更新最大値に至れば、次回の割り込み処理ではそのときの初期乱数により決定される値に変更されるので、当否乱数の値を予測不可能にすることができる。また、更新初期値と更新最大値とにより決定される乱数の構成要素は従来の当否乱数と同じ「0」〜「329」の330個の整数値と何等変わることがないので乱数を構成する要素の出現率を均一にしている。
大当り図柄乱数更新処理(ステップS140)は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1とされ最大値を超えると初期値である「0」に戻る。15個の各乱数値「0」〜「14」は、画面上に表示される3桁同一の「111」、「222」、「333」、「444」、「555」、「666」、「777」、「888」、「999」、[AAA」、「BBB」、「CCC」、「DDD」、「EEE」、「FFF」に各々対応する。
外れ図柄乱数更新処理(ステップS150)は、左図柄用乱数、中図柄用乱数及び右図柄用乱数から構成され、大当りでないときの外れ図柄として使用される。左図柄用乱数は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1とされ最大値を超えると初期値である「0」に戻る。中図柄用乱数は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、左図柄用乱数が「0」に戻るときに本処理毎に+1とされ最大値を超えると「0」に戻る。右図柄用乱数は、「0」〜「14」の15個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、中図柄用乱数が「0」に戻るときに本処理毎に+1とされ最大値を超えると「0」に戻る。
普通図柄乱数更新処理(ステップS160)は、「0」〜「6」の7個の整数を繰り返し作成するカウンタとして構成され、本処理毎に+1とされ最大値を超えると初期値である「0」に戻る。
前述した各乱数更新処理(ステップS120〜S160)により、初期乱数、当否乱数、大当り図柄乱数、外れ図柄乱数及び普通図柄乱数が各々更新されるが、続く処理(ステップS170)ではパチンコ機10に設けられ主制御基板30に接続された各スイッチ類の入力処理が実行される。前述した満タンスイッチ43、補給スイッチ44、タッチスイッチ24a、特別図柄作動スイッチ36a、普通図柄作動スイッチ38a及び39a、カウントスイッチ54、Vスイッチ55、賞球払出しスイッチ29a、羽根作動スイッチ63a,63b、カウントスイッチ64、Vスイッチ65、その他の入賞口に設けられた図示しない各入賞検知スイッチ、等の各スイッチの作動状況をチェックする処理が実行される。
この入力処理(ステップS170)により特別図柄作動スイッチ36aに入力がある場合には、特別図柄作動口としての普通電動役物36に遊技球が入賞したときであり、この割り込み処理時の前記当否乱数の値が抽出され当否判定値と比較される。第1実施形態のパチンコ機10は、確率変動機として構成され、通常確率時では当否判定値は「1」であり、高確率時には「1」、「3」、「5」、「7」、「9」、「11」である。前述したように当否乱数を構成する「0」〜「329」の330個の各整数値の出現率は均一であり、遊技球が作動口としての普通電動役物36に入賞するタイミングで抽出される当否乱数の値は、前記ハードウェア割り込みの微小時間である約2msと比較すれば入賞タイミングを微小時間単位で調節できないことから無作為に抽出された値となり、当否乱数は完全なる乱数として機能する。従って、抽出された当否乱数の値が当否判定値と一致して大当りとなる確率は、通常確率時には1/330であり、高確率時には1/55(=6/330)となる。この大当りを発生させる確率が低確率状態から高確率状態に移行するのは、第1実施形態では、大当り発生時の割り込み処理における前述した大当り図柄乱数の値が、「1」、「3」、「5」、「7」、「9」、「11」及び「13」、即ち、大当り図柄が「111」、「333」、「555」、「777」、「999」、「BBB」及び「DDD」(以下、「高確率図柄」という。)の場合であり、大当りが発生するときの7/15の確率で高確率に移行する。そして、高確率中において、再び大当りを発生させたときの大当り図柄が高確率図柄であれば更に高確率状態が継続する。
前記高確率判定処理に係る処理を示したのが図8に示す「高確率判定ルーチン」である。このルーチンは大当りと判定されると続いて実行される処理であり、このルーチンに処理が移行すると、まず、前記大当り図柄が高確率図柄であるか否かが判断され(ステップS300)、高確率図柄との肯定判断が為されると(ステップS300:YES)、高確率フラグFgが値「1」にセットされ当否判定値を「1」、「3」、「5」、「7」、「9」、「11」の6個に増加する処理が実行され(ステップS310〜S320)、リターンに抜ける。一方、前記大当り図柄が高確率図柄でないとの否定判断が為されると(ステップS300:NO)、高確率フラグFgを値「0」にリセットし当否判定値を「1」に戻す処理が実行され(ステップS330〜S340)、リターンに抜ける。前述した図5に示す当否判定処理(ステップS180)及び図8に示す「高確率判定ルーチン」が終了すると、続いて図5に示す画像出力処理(ステップS190)が実行される。この画像出力処理については後に詳述することにする。
次に前述した画像出力処理(ステップS190)を、次の表1を用いて詳細に説明する。表1に示すコマンドコードは、主制御基板30から特別図柄表示装置32の図柄制御基板32bに送信されるコードである。表1に示すように、主制御基板30と図柄制御基板32bとの送信コマンドコードは、1.電源投入時、2.客待ちデモ、3.図柄変動中、4.大当り開始時、5.大当り中、6.大当り終了時、7.動作異常時、の7種類に大別できる。
1.電源投入時
電源投入時のコマンドは、パチンコ機10に電源が投入されたとき主制御基板30から図柄制御基板32bに送信されるコマンドコードであり、10Hの動作番号及び01Hの識別番号の2バイト命令で構成されている。図柄制御基板32bがこのコマンドを受信するとROMに書込まれた制御プログラムに従って特別図柄表示装置32の画面上に電源投入時のデモ画面を表示する。例えば、図9に示すLCDパネルユニット32a上の3つの特別図柄表示領域42a,42b及び42cに各々「7」、「7」、「7」と3桁同一の大当り図柄を表示し、4つの特別図柄保留記憶表示領域48a〜48dを所定時間(約5秒)点灯させた後に消灯し、背景画面49上にキャラクタとしてヒーロ(hero)及び悪人(bad)を表示し、ヒーロが悪人と所定時間(約1分)格闘したのち悪人を倒し「ファイヤ」という文字を表示するデモ画面を表示すると共に音制御基板35により「ファイヤ」という効果音を出力する処理を実行する。
2.客待ちデモ
客待ちデモのコマンドは、前記電源投入時のデモ画面が終了した後、又は遊技者が所定時間(通常約3分間)発射ハンドル24に触れていないと判断されたときに送信されるコマンドであり、20Hの動作番号及び01Hの識別番号の2バイト命令で構成されている。図柄制御基板32bがこのコマンドを受信するとROMに書込まれた制御プログラムに従って特別図柄表示装置32の画面上に客待ちのデモ画面を表示する。例えば、特別図柄表示領域42a〜42c上に変動表示される特別図柄の変動パターンを全て順番に表示する。このとき、背景画面49上には各々の変動パターンに対応した背景画像及びキャラクタが表示される。この客待ちデモ画面は遊技客が発射ハンドル24を操作するまで全ての変動パターンを順番に表示して一巡した後、繰り返し表示する。尚、遊技者が発射ハンドル24に触れているか否かはタッチスイッチ24aの入力により検知することができる。第1実施形態では、タッチスイッチ24aの入力を主制御基板30に入力する構成としたので、主制御基板30と発射制御基板33との通信を主制御基板30からの一方向通信としながらも前記検知が可能なのである。もちろん、主制御基板30からタッチスイッチ24aのオンオフ情報は発射制御基板33に送信される。このタッチスイッチ24aの入力を発射制御基板33に入力する構成とし、いずれかの又は全ての入賞口に所定時間入賞がないこと、又は遊技盤22上のアウト口41にスイッチを設けてこのスイッチが所定時間オンしないことにより遊技者が遊技を実行していないことを判断する構成としても良い。
3.図柄変動中
図柄変動中コマンドは、特別図柄変動時に送信されるコマンドであり、表1に示すように(1)変動タイムコード、(2)左静止図柄指定コード、(3)中静止図柄指定コード、(4)右静止図柄指定コード、の4種類のコマンドコード(以下、この4つのコマンドコードを総称して「画像表示コマンド」ということもある。)に分類される。
(1)変動タイムコード
変動タイムコードは、動作番号として30Hの1バイト命令と識別番号として01Hから1EHの30種類の1バイト命令とからなる30種類の2バイト命令として構成されている。30種類の1バイト命令は、1秒単位の5秒〜35秒の30種類の時間を表している。
(2)左静止図柄指定コード
左静止図柄指定コードは、31Hの動作番号と01H〜0FHの15種類の識別番号とからなる命令コードであり、識別番号が01Hのときは左静止図柄として「0」、02Hのときは「1」、03Hのときは「2」、04Hのときは「3」、05Hのときは「4」、06Hのときは「5」、07Hのときは「6」、08Hのときは「7」、09Hのときは「8」、0AHのときは「9」、0BHのときは「A」、0CHのときは「B」、0DHのときは「C」、0EHのときは「D」、0FHのときは「E」の文字を特別図柄として特別図柄表示領域42aに表示させるためのものである。
(3)中静止図柄指定コード
中静止図柄指定コードは、32Hの動作番号と01H〜0FHの15種類の識別番号とからなる命令コードであり、識別番号は前記左静止図柄指定コードの識別番号と同じ意味をもち、各々で指定される文字を特別図柄として特別図柄表示領域42bに表示させるためのものである。
(4)右静止図柄指定コード
右静止図柄指定コードは、33Hの動作番号と01H〜0FHの15種類の識別番号とからなる命令コードであり、識別番号は前記左静止図柄指定コードの識別番号と同じ意味をもち、各々で指定される文字を特別図柄として特別図柄表示領域42cに表示させるためのものである。
この変動タイムコード、左、中及び右静止図柄指定コードは、遊技盤22上に発射された遊技球が特別図柄作動口としての普通電動役物36に入賞したとき2バイトずつほぼ同時に送信されるコマンドコードであり、その内容は次のようにして決定される。
即ち、遊技球が普通電動役物36に入賞すると、そのときの当否乱数の値、大当り図柄乱数の値、外れ図柄乱数の値、普通図柄乱数の値が各々抽出される。抽出された当否乱数値は、通常確率時には当否判定値「1」と比較し、高確率時には当否判定値「1」、「3」、「5」、「7」、「9」及び「11」と比較し一致すれば大当りが発生、一致しなければ外れとなる。一致して大当り発生時には、抽出された大当り図柄乱数値に+1として、この値を左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号とする。即ち、左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号は同一となる。それらが一致せず外れとなったときには、抽出された外れ図柄乱数の左図柄用乱数値、中図柄用乱数値及び右図柄用乱数値の各々の値に+1とした値を各々左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号とする。このとき、偶然に3つの識別番号が一致する場合には、右静止図柄指定コードの識別番号の値を「1」だけ異なる値とする処理が為される。前述した変動タイムコードは、左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号が全て一致するときには大きな値とし、全て一致しなくとも左及び中静止図柄指定コードの識別番号が一致するときには中間の値とし、全く一致しないときには小さな値に振り分けられる。
この4つのコマンドコードからなる画像表示コマンドを受信したときの図柄制御基板32bが行う処理を図10に示すフローチャートに従って説明する。図10に示す「通常表示ルーチン」は、送信される左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号が全て一致しない場合、即ち大当りを発生させないときの画像処理に用いられる処理である。図柄制御基板32bのマイコンが前記画像表示コマンドを受信すると、受信した変動タイムと左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号とから特別図柄の変動パターンを作成する処理を実行する(ステップS400)。図柄制御基板32bのROMには、次表2に示されるように、受信した画像表示コマンドの各値の組み合わせに対応したテーブルが書き込まれている。図柄制御基板32bのマイコンは、受信した画像表示コマンドからROMに書き込まれたテーブルを読み出し特別図柄の変動パターンを作成する。この変動パターンは次のようにして作成される。
マイコンは、受信した左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号から左と中との識別番号が一致するか否か(即ち、リーチであるか否か)を判断して通常変動なのか、リーチ変動なのかを判断し、更にリーチ変動でも変動タイムの値が所定値より大きいのか小さいのかによりトリック変動をするのか否かを判断し、これらの判断と変動タイムとにより特別図柄の左、中及び右図柄の変動開始から静止するまでの各々の時間を決定する。作成された特別図柄の変動パターンに従って、背景画面49上に表示される背景及びキャラクタの表示データも作成される。こうして変動パターンが作成されると、この変動パターンに従って左、中及び右の各特別図柄の変動を開始し指定された静止図柄で静止表示する変動表示処理(ステップS410)を実行すると共に、背景及びキャラクタの表示制御も実行される。
4.大当り開始時
大当り開始コマンドコードは、特別図柄表示領域42a〜42cに表示される左、中及び右特別図柄が同一図柄を表示した後から大当り動作が開始されるまでの間に大当りが発生したということを遊技者にアピールする画像を表示するときに使用されるコマンドであり、40Hの動作番号と01Hの識別番号により構成されている。この命令コードを図柄制御基板32bが受信すると特別図柄表示装置32の画面上に「大当り等の文字を表示しキャラクタが喜ぶ画像を表示すると共に、音制御基板35により効果音を出力する処理がなされる。このとき、図11に示す通り、図柄制御基板32bは、前記画像表示コマンドから、即ち、受信した左、中及び右静止図柄指定コードの識別番号が一致しているか否かにより大当りが発生したことを判断し(ステップS500)、大当りとの肯定判断をすると(ステップS500:YES)、前回記憶した大当り回数の値を+1として(ステップS510)、その回数を背景画面49上に表示する処理を実行し(ステップS520)、リターンに抜ける。これにより、パチンコホールを開店してからの営業中におけるパチンコ機10で発生した大当り回数の累計回数を遊技者に報知することができる。一方、大当りでないとの否定判断をすると(ステップS500:NO)、リターンに抜ける。
5.大当り中
大当り中コマンドは、開放前コード、開放中コード、10カウント入賞コード、V通過コード及びラウンド表示コードの5個のコマンドに分類される。
(1)開放前コードは、50Hの動作番号及び01Hの識別番号より構成され、図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、大入賞口52又は羽根62a,62bを開放することを遊技者に知らせる画像を背景画面49に表示する処理を実行する。
(2)開放中コードは、50Hの動作番号及び02Hの識別番号より構成され、図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、大入賞口52又は羽根62a,62bが開放中であることを遊技者に知らせる画像を背景画面49に表示する処理を実行する。
(3)10カウント入賞コードは、50Hの動作番号及び03Hの識別番号より構成され、主制御基板30は大入賞口52又は羽根62a,62b部分から遊技球が入賞したことをカウントスイッチ54又はVスイッチ55により検知する毎にこの命令コードを送信する。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、入力する毎にその値をインクリメントしその値を背景画面49上に表示する処理を行う。これにより、画面上には、大入賞口52又は羽根62a,62b部分から遊技球が入賞する毎に0から10個までの個数表示がなされる。
(4)V通過コードは、50Hの動作番号及び04Hの識別番号より構成され、主制御基板30は大入賞口52内の特別領域を遊技球が通過したことをVスイッチ55により検知するか、或はV通過口69を遊技球が通過したことをVスイッチ65が検知するかにより、この命令コードを送信する。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると画面に「V」の文字を大きく表示し大入賞口52又は羽根62a,62bが閉鎖した後再び開放することを遊技者に知らせる。
(5)ラウンド表示コードは、50Hの動作番号及び05Hの識別番号より構成され、主制御基板30は大入賞口52又は羽根62a,62bが開放動作終了後に再び開放する毎にこの命令コードを送信する。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると、入力する毎にその値をインクリメントしその値を背景画面49上に表示する処理を行う。これにより、遊技者には大入賞口52又は羽根62a,62bの開放回数が報知される。
6.大当り終了時
大当り終了コマンドは、大当り終了デモコマンドコードと高確率移行コマンドコードとからなる。大当り終了デモコマンドコードは、大当り動作が終了したとき、即ち大入賞口52又は羽根62a,62bが16回の開放動作を終了したとき、または16回まで継続しなくとも開放中に遊技球が特別領域を通過しなかったときに送信される命令コードであり、60Hの動作番号及び01Hの識別番号より構成される。図柄制御基板32bがこの命令コードを入力すると大当りが終了したことを遊技者に知らせるメッセージを表示する。高確率移行コマンドコードは、61Hの動作番号及び01H〜02Hの識別番号より構成される。識別番号が01Hのときは高確率状態が継続する場合であり、識別番号が02Hのときは高確率が継続しない場合である。この高確率移行コマンドコードは、第1実施形態において、主制御基板30から送信する構成としても良いし、前述した画像表示コマンドの値から図柄制御基板32bが判断する構成としても良い。
7.動作異常時
動作異常時コマンドは、パチンコ機10に異常が発生したときに送信される命令コマンドであり、本実施形態では、70H01HのE1エラーコード、70H02HのE2エラーコード、70H03HのE3エラーコードより構成されている。E1エラーコードは、テンカウント異常エラーであり、大入賞口52又は羽根62a,62bが開放したときに遊技球が1個も検知されない場合に出力され、E2エラーコードは下皿23が満杯で満タンスイッチ43がオンしたとき出力され、E3エラーコードは補給スイッチ44がオンしたとき出力される。これらの異常時コマンドを送信することにより表示されるエラーメッセージは、異常が解除されたとき送信される70H04Hのエラー解除コードにより消去される。
続く各出力処理(ステップS200)において、主制御基板30は、遊技の進行に応じて特別図柄表示装置32、賞球制御基板31、発射制御基板33、ランプ制御基板34、音制御基板35、普通役物ソレノイド36b、大入賞口ソレノイド56、Vソレノイド57、羽根ソレノイド66a,66b等の各種ソレノイドに対して各々出力処理を実行する。即ち、前記各入力処理(ステップS170)により遊技盤22上の各入賞口に遊技球の入賞があることが検知されたときには賞球としての遊技球を払い出すべく賞球制御基板31に賞球データを出力する処理を、遊技状態に対応したサウンドデータを音制御基板35に出力する処理を、パチンコ機10に異常があるときにはエラー中であることを報知すべく図柄制御基板32bにエラー信号を出力する処理を、更には、大当り発生時には大当り処理等を、各々実行する。なお、特別図柄表示装置32に表示される図柄変動中は羽根作動口61a,61b(大入賞口作動口)の機能は有効である。また大当たり中は図柄の変動機能、或は羽根作動口61a,61b(大入賞口作動口)の機能は停止される。
前述した本処理に続く残余処理は、外れ図柄乱数更新処理(ステップS210)及び初期乱数更新処理(ステップS220)から構成されるが、各々前述したステップS150及びステップS120と概ね同じ処理である。この2つの処理は無限ループを形成し、次の割り込みが実行されるまで時間の許される限り繰り返し実行される。前述したステップS100〜S200までの本処理を実行するのに必要とされる時間は、大当り処理を実行するか否か、特別図柄の表示態様の相違等により割り込み毎に異なる。この結果、残余処理を実行する回数も割り込み毎に異なり、図5に示された割り込み処理が1回実行されることにより外れ図柄乱数及び初期乱数の更新される(加算される)値も一律では無くなる。これにより、初期乱数及び外れ図柄乱数が当否乱数と同期する可能性は無くなる。尚、第1実施形態においては、当否乱数の更新は初期乱数の値により変更される構成なので同期の虞は全くない。また、前述した普通図柄乱数更新処理(ステップS160)も残余処理内において実行するよう構成しても良い。
前述した各処理を実行することにより、パチンコ機10は次のような動作を実行する。即ち、遊技者により操作される発射ハンドル24の回動量に応じて発射モータ33aにより遊技球が遊技盤22上に発射され、発射された遊技球が特別図柄作動口としての普通電動役物36に入賞すれば、これが特別図柄作動スイッチ36aにより検出され、特別図柄表示装置32の画面上に特別図柄を所定時間変動表示した後に静止表示され確定するように働く。この静止表示した特別図柄が予め定められた特定図柄、例えば「777」等の3桁同一図柄を表示すると大当り状態として遊技者に有利なゲーム内容を提供する。大当り状態となるか否かは、前述の通り、遊技球が特別図柄作動スイッチ36aにより検出されたとき抽出される当否決定乱数の値が所定値であるか否かにより決定される。これが第1の条件であり、この第1の条件が成立して大当り状態となると、大入賞口52が約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ54により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、このとき大入賞口52内に入賞した遊技球が特別領域を通過したことがVスイッチ55により検出されると一旦大入賞口52が閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を予め定められたラウンド回数、例えば最大16回繰り返す。通常、遊技球1個の入賞に対して15個の遊技球を賞球として払い出すよう構成しているので、1回の大当り状態が発生すると、約2400(=15×10×16)個の遊技球を賞球として獲得することができる。この賞球排出動作は、賞球制御基板31が実行する。尚、大入賞口52の特別領域を開閉するVソレノイド57は、特別領域に遊技球が1個通過すると特別領域を閉鎖するためのものである。遊技中において前述したランプ制御基板34及び音制御基板35が実行する制御は従来と同様な構成であり、その説明は割愛することにする。
また一方、羽根作動口61a,61bに入賞すれば、これが羽根作動スイッチ63a,63bにより検出され、羽根62a,62bを所定時間(0.9秒以内)開放するよう働き、そして、この開放期間内に羽根62a,62b部分から入賞があれば、第2特別電動役物60の下部に流下し、回転体68の回転により、遊技球がランダムに回転体68に当たり、V通過口69を通過したり、しなかったりする。賞球がV通過口69を通過すると第2特別電動役物60を遊技者に有利な内容とする。従って、大当り状態となるか否かは、V通過口69を遊技球が通過するか否かにより決定される。これが第2の条件であり、この第2の条件が成立して大当り状態となると、羽根62a,62bが約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ64により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、一旦羽根62a,62bが閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。通常、遊技球1個の入賞に対して15個の遊技球が賞球として払い出すよう構成しているので、1回の大当り状態が発生すると、約2400(=15×10×16)個の遊技球を賞球として獲得することができる。この賞球排出動作は、賞球制御基板31が実行する。尚、羽根62a,62bが開放中に遊技球がV通過口69を通過すると、その時点で開放動作を終了した後、再び開放されるが、開放動作中にV通過口69を通過しないと開放動作はその回で終了する。遊技中において前述したランプ制御基板34及び音制御基板35が実行する制御は従来と同様な構成であり、その説明は割愛することにする。
以上詳細に説明した第1実施形態によると、遊技者はフィーバー機能による大当たりを期待できる上に、羽根作動口61a,61bへの入賞を狙うことによっても大当たりを期待できる。遊技者が普通電動役物36への入賞を狙って遊技球を発射した結果、そのこぼれ球が羽根作動口61a,61bに入賞することもある。従って、確率による大当たりと遊技者の技量による大当たりの双方を楽しむことができ、創造性豊かな遊技内容を提供することができるという優れた効果を生じる。
なお、第1特別電動役物50(普通電動役物(特別図柄作動口)36)に起因する大当りに伴う画像表示を特別図柄表示装置32に表示するとともに、同様の内容の画像表示を第2特別電動役物60(羽根作動口61a,61b)に起因する大当りに伴い特別図柄表示装置32に表示したが、異なる内容の画像表示を行えば一層趣向性が高まる。
第2実施形態のパチンコ機を図12、図13を参照して説明する。本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様であるが、2つの特別電動役物50,60が1つの特別電動役物260に集約され、1つの特別電動役物260で第1実施形態で果たされた機能を兼ね備えるものである。即ち、本実施形態のパチンコ機は、第1実施形態の第1特別電動役物50とそれに付随する大入賞口52、Vスイッチ55、カウントスイッチ54、大入賞口ソレノイド56、Vソレノイド57等に対応する構成が全て削除され、それらの機能が第1実施形態の第2特別電動役物60に対応する1つの特別電動役物260に集約化されたものである。したがって、共通する構成要素の説明と図示は第1実施形態を援用し、主として、異なる構成について説明する。なお、図示の部品番号は第1実施形態の対応部品を200番台とし、適宜説明は略す。
第2実施形態のパチンコ機の主要な構成は、図12に示す通り、遊技盤222の中央部に特別図柄表示装置232、下部に設けられた特別図柄作動口としての普通電動役物236、上部にある普通図柄表示装置237、普通図柄表示装置237に表示される図柄の変動開始に用いられる左右の普通図柄作動ゲート238及び239、盤面最下部のアウト口241、遊技盤222の中央にある特別電動役物260、普通電動役物236の左右に一対設けられた羽根作動口261a,261b、その他の各種入賞口、風車及び図示しない遊技釘等が備えられている。特別電動役物260は、上部に大入賞口として機能する一対の羽根262a,262b、中央部に前述の特別図柄表示装置232、下部に回転体268、V通過口269を備え、一対の羽根作動口261a,261bへの入賞に起因して羽根262a,262bが開閉作動するようになっている。
第2実施形態のパチンコ機の電気的構成を図13のブロック図を用いて説明する。第2実施形態のパチンコ機の電気回路は、第1実施形態と概ね同様であるが、スイッチ類が若干変更になっている。即ち、主制御基板230の入力側には、満タンスイッチ243、補給スイッチ244、タッチスイッチ224a、特別図柄作動スイッチ236a、普通図柄作動スイッチ238a及び239a、賞球払出しスイッチ229a、羽根作動スイッチ263a,263b、カウントスイッチ264、Vスイッチ265等が接続されている。また、主制御基板230の出力側には、普通役物ソレノイド236b、外部接続端子基板240、及び羽根ソレノイド266a,266b等が接続されている。カウントスイッチ264は羽根262a,262b部分から入賞する全ての遊技球を検出し、Vスイッチ265はV通過口269を通過した遊技球を検出するものである。なお、本実施形態では特別領域は設けなかったが、V通過口269が特別領域を兼ねるように構成する場合もあり、この場合には、特別領域を開閉するVソレノイドを設置する。その他の説明は第1実施形態と同様である。
第2実施形態のパチンコ機の動作を説明する。発射された遊技球が特別図柄作動口としての普通電動役物236に入賞すれば特別図柄作動スイッチ236aにより検出され、特別図柄表示装置232の画面上に特別図柄を所定時間変動表示した後に静止表示するよう働く。この静止表示した特別図柄が予め定められた特定図柄、例えば「777」等の3桁同一図柄を表示すると大当り状態として遊技者に有利なゲーム内容を提供する。大当り状態となるか否かは、遊技球が特別図柄作動スイッチ236aにより検出されたとき抽出される当否決定乱数の値が所定値であるか否かにより決定される。これが第1の条件である。また一方、遊技球が羽根作動口261a,261bに入賞すれば、羽根作動スイッチ263a,263bにより検出され、羽根262a,262bを所定時間(0.9秒以内)開放するよう働き、そして、開放期間内に羽根262a,262b部分から入賞があれば、特別電動役物260の下部に流下し、回転体268の回転により、遊技球がランダムに回転体268に当たり、V通過口269を通過したり、しなかったりする。遊技球がV通過口269を通過すれば特別電動役物260を遊技者に有利な内容とする。大当り状態となるか否かは、V通過口269を通過するか否かにより決定され、これが第2の条件である。第1の条件又は第2の条件のいずれかの条件が成立すると、大当り状態となり、いずれの場合にも、羽根262a,262bが約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ264により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、一旦羽根262a,262bが閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。その他は第1実施形態と重複するので、その説明は割愛することにする。
第2実施形態によれば1つの特別電動役物260が2つの別の条件のいずれかの成立によって遊技者に有利な遊技状態となるので、少ない電動役物でも豊富な遊技状態を作り出すことができ、趣向性が高まる。
第3実施形態のパチンコ機を図14、図15を参照して説明する。本実施形態は、基本的には第1実施形態と同様であるが、普通電動役物36(特別図柄作動口)と回転体68とV通過口69が1つの特別通過領域336を形成し、1つの特別通過領域336で第1実施形態で果たされた機能を兼ね備えたものである。即ち、本実施形態では、図14、図15に示す通り、第1実施形態の普通電動役物36とそれに付随する特別図柄作動スイッチ36a、普通役物ソレノイド36b等に対応する構成が全て削除され、それらの機能が1つの特別通過領域336に集約化されたものである。この特別通過領域336は、3つの領域に分割され、中央のV通過口369の両側に隣接して特別図柄作動領域336a,336bを備えたものである。これらは一体的に設けても良いし、別体として構成しても良い。しかも、様々な改変が考えられる。また、第1実施形態では第2特別電動役物60内部に特別図柄表示装置32が存在したが、第3実施形態ではこれを分離してその上部に配置し、電動役物内部の構造を変更可能としている。したがって、共通する構成要素の説明と図示は第1実施形態を援用し、主として、異なる構成について説明する。なお、図示の部品番号は第1実施形態の対応部品を300番台とし、適宜説明は略す。
第3実施形態のパチンコ機の主要な構成は、図14に示す通り、上部に特別図柄表示装置332、中央にある普通図柄表示装置337、普通図柄表示装置337に表示される図柄の変動開始に用いられる左右の普通図柄作動ゲート338及び339、盤面最下部のアウト口341、遊技盤322の中央にある第2特別電動役物360、第2特別電動役物360の斜め下部に左右一対設けられた羽根作動口361a,361b、その他の各種入賞口、風車及び図示しない遊技釘等が備えられている。第2特別電動役物360は、上部に大入賞口として機能する一対の羽根362a,362b、下部に特別図柄作動領域336a,336b、回転体368、V通過口369を備え、一対の羽根作動口361a,361bへの入賞に起因して羽根362a,362bが開閉作動するようになっている。また、第1実施形態と同様に特別図柄作動領域336a,336bへの入賞に起因して特別図柄表示装置332の図柄が変動停止を行うものである。
第3実施形態のパチンコ機の電気的構成を図15のブロック図を用いて説明する。第3実施形態のパチンコ機の電気回路は、第1実施形態と概ね同様であるが、スイッチ類が若干変更になっている。即ち、主制御基板330の入力側には、満タンスイッチ343、補給スイッチ344、タッチスイッチ324a、特別図柄作動スイッチ336c,336d、普通図柄作動スイッチ338a及び339a、カウントスイッチ354、Vスイッチ355、Vソレノイド357、賞球払出しスイッチ329a、羽根作動スイッチ363a,363b、カウントスイッチ364、Vスイッチ365等が接続されている。また、主制御基板330の出力側には、大入賞口ソレノイド356、Vソレノイド357、外部接続端子基板340、及び羽根ソレノイド366a,366b等が接続されている。その他の説明は第1実施形態と同様である。
第3実施形態のパチンコ機の動作を説明する。遊技球が羽根作動口361a,361bに入賞すれば、羽根作動スイッチ363a,363bにより検出され、羽根362a,362bを所定時間(0.9秒以内)開放するよう働く。こうした開放期間内に羽根362a,362b部分から入賞があれば、第2特別電動役物360の下部に遊技球が流下し、特別図柄作動領域336a,336bを遊技球が通過し且つ特別図柄表示装置332の画面上に特別図柄を所定時間変動表示した後に静止表示され、この静止表示した特別図柄が予め定められた特定図柄、例えば「777」等の3桁同一図柄を確定表示されるか(第1の条件)、或は、回転体368の回転により、遊技球がランダムに回転体368に当たり、V通過口369を通過すれば(第2の条件)、第2特別電動役物360を遊技者に有利な内容とする。即ち、第1の条件が成立すれば、大当りとなり、大入賞口352が約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ354により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、このとき大入賞口352内に入賞した遊技球が特別領域を通過したことがVスイッチ355により検出されると一旦大入賞口352が閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。尚、特別図柄が予め定められた特定図柄を表示するか否かは、特別図柄作動領域336a,336bに設けた特別図柄作動スイッチにより遊技球の入賞が検知されたタイミングに起因して抽出される乱数値によって決定される。また一方、第2の条件が成立すれば、大当りとなり、羽根362a,362bが約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ364により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、一旦羽根362a,362bが閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。大当り動作の詳細は前述の通りであり説明は割愛する。
以上の第3実施形態によれば、羽根362a,362bが開かないと特別図柄作動領域336a,336b及び特別図柄表示装置332が作動しない点で、遊技の技量がある程度要求されると共に運任せの要素も併せ持つので、より趣向性が高まる。
第4実施形態のパチンコ機を図16、図17を参照して説明する。本実施形態は、第1ないし第3実施形態と異なり羽根部材の開放を利用しないものである。即ち、本実施形態では、第1実施形態の第2特別電動役物60とこれに付随する羽根作動口61a,61b、羽根62a,62b、羽根作動スイッチ63a,63b等が全て削除され、それに代えて、中央回転体460を配置したものである。この中央回転体460に入賞口461が形成され、左右には入賞口462,463,464,466が設置されている。入賞口461に入賞した遊技球は中央回転体460内部に案内され、V通過口469を通過し、Vスイッチ465をオンさせた場合には大当りとなる。また、第1実施形態では第2特別電動役物60内部に特別図柄表示装置32が存在したが、第4実施形態では、これを分離して、中央回転体460の上部に配置したものである。したがって、共通する構成要素の説明と図示は第1実施形態を援用し、主として、異なる構成について説明する。なお、図示の部品番号は第1実施形態の対応部品を400番台とし、適宜説明は略す。
第4実施形態のパチンコ機の主要な構成は、図16に示す通り、遊技盤422の上部に特別図柄表示装置432、下部に設けられた特別図柄作動口としての普通電動役物(特別図柄作動口)436、下部にある普通図柄表示装置437、普通図柄表示装置437に表示される図柄の変動開始に用いられる左右の普通図柄作動ゲート438及び439(図示略)、盤面最下部のアウト口441(図示略)、中央にある前述の中央回転体460(第2特別電動役物)、下部にある大入賞口452を備えた特別電動役物450、中央回転体460及び普通電動役物436の左右に二対設けられた入賞口462,463,464,466、その他の各種入賞口、風車及び図示しない遊技釘等が備えられている。
第4実施形態のパチンコ機の電気的構成を図17のブロック図を用いて説明する。第4実施形態のパチンコ機の電気回路は、第1実施形態と概ね同様であるが、スイッチ類が若干変更になっている。即ち、主制御基板430の入力側には、満タンスイッチ443、補給スイッチ444、タッチスイッチ424a、特別図柄作動スイッチ436a、普通図柄作動スイッチ438a及び439a、カウントスイッチ454、Vスイッチ455、賞球払出しスイッチ429a、入賞作動スイッチ461a、Vスイッチ465等が接続されている。また、主制御基板430の出力側には、大入賞口ソレノイド456、Vソレノイド457、外部接続端子基板440、普通役物ソレノイド436b等が接続されている。
第4実施形態のパチンコ機の動作を説明する。大当たりの条件は、普通電動役物436を遊技球が通過し特別図柄表示装置432の画面上に特別図柄を所定時間変動表示した後に静止表示され、この静止表示した特別図柄が予め定められた特定図柄、例えば「777」等の3桁同一図柄を確定表示される(第1の条件)か、或は、遊技球が入賞口461に入賞して回転移動し、V通過口469を通過する(Vスイッチ465オン)か(第2の条件)、いずれかである。なお、中央回転体460は常時一定速度で回転しており、中央部の周部に間隔を置いて配置された6個の溝部のうち、2つの深い溝部がV通過口469に遊技球を誘導するように構成されている。第1の条件が成立すれば、大当りとなり、大入賞口452が約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ454により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、このとき大入賞口452内に入賞した遊技球が特別領域を通過したことがVスイッチ455により検出されると一旦大入賞口452が閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。また一方、第2の条件が成立すれば、大当りとなり、上述と同様に、大入賞口452が約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ454等により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、一旦大入賞口452が閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。大当り動作の詳細は前述の通りであり説明は割愛する。
以上の第4実施形態によれば、第1の条件又は第2の条件を起因として、特別電動役物450が開放するので、遊技の技量がある程度要求されると共に運任せの要素も併せ持ち、より趣向性が高まる。
第5実施形態のパチンコ機を図18、図19を参照して説明する。本実施形態は、基本的には第2実施形態と同様であるが、フィーバー機能を削除、即ち、特別図柄表示装置232、普通電動役物236等が削除され、特別電動役物560の上に普通電動役物536が配置されると共に、普通電動役物536に入賞した遊技球が通過可能である特定領域A,Bが形成され、これに伴いVスイッチ555、カウントスイッチ554、Vソレノイド557が設けられている。即ち、本実施形態では、2つの特定領域A,Bが特別電動役物560に形成されている。また、特別電動役物560の中央部に普通図柄表示装置537が配置され、特別電動役物560の下部遊技領域に普通図柄作動ゲート538が設けられたものである。したがって、共通する構成要素の説明と図示は第1実施形態を援用し、主として、異なる構成について説明する。なお、図示の部品番号は第1実施形態の対応部品を500番台とし、適宜説明は略す。
第5実施形態のパチンコ機の主要な構成は、図18に示す通り、遊技盤522の中央部にある普通図柄表示装置537、普通図柄表示装置537に表示される図柄の変動開始に用いられる普通図柄作動ゲート538、盤面最下部のアウト口541、中央にある特別電動役物560、普通図柄作動ゲート538の左右に設けた羽根作動口561a,561b、その他の各種入賞口、風車及び図示しない遊技釘等が備えられている。特別電動役物560は、上部に大入賞口として機能する一対の羽根562a,562b、中央部に前述の普通図柄表示装置537、下部に回転体568、V通過口569を備え、一対の羽根作動口561a,561bへの入賞に起因して羽根562a,562bが開閉作動するようになっている。なお、特定領域A,Bは仕切られ遊技球が相互に流通しないようになっているが、特定領域AからBへ、普通電動役物536へ入賞した遊技球の全部又は一部の遊技球を流下させるようにしても、一層趣向性を高めることができる。
第5実施形態のパチンコ機の電気的構成を図19のブロック図を用いて説明する。第5実施形態のパチンコ機の電気回路は、第1実施形態と概ね同様であるが、スイッチ類が若干変更になっている。即ち、主制御基板530の入力側には、満タンスイッチ543、補給スイッチ544、タッチスイッチ524a、普通図柄作動スイッチ538a、カウントスイッチ554、Vスイッチ555、賞球払出しスイッチ529a、羽根作動スイッチ563a,563b、カウントスイッチ564、Vスイッチ565等が接続されている。また、主制御基板530の出力側には、普通役物ソレノイド536b、外部接続端子基板540、及び羽根ソレノイド566a,566b等が接続されている。カウントスイッチ554は普通電動役物536内に入賞する全ての遊技球を検出し、Vスイッチ555は特定領域Aを通過した遊技球を検出するものである。カウントスイッチ564は羽根562a,562b部分から入賞する全ての遊技球を検出し、Vスイッチ565はV通過口569(特定領域B)を通過した遊技球を検出するものである。なお、本実施形態では特別領域は設けなかったが、特定領域A又はBが特別領域を兼ねるように構成する場合もあり、この場合には、特別領域を開閉するVソレノイドを設置する。その他の説明は第1、第2実施形態と同様である。
第5実施形態のパチンコ機の動作を説明する。発射された遊技球が普通図柄作動ゲート538を通過すると、普通図柄表示装置537の画面上に普通図柄を所定時間変動表示した後に静止表示するよう働く。この静止表示した普通図柄が予め定められた特定図柄、例えば「777」等の3桁同一図柄を表示すると、普通電動役物536が開放し、遊技球が入賞可能となり、入賞した遊技球がVスイッチ555で検出されると大当り状態として遊技者に有利なゲーム内容を提供する。遊技球が普通図柄作動ゲート538により検出されたとき抽出される当否決定乱数の値が所定値であるか否かにより特定図柄であるか否かが決定される。これが第1の条件である。また一方、遊技球が羽根作動口561a,561bに入賞すれば、羽根作動スイッチ563a,563bにより検出され、羽根562a,562bを所定時間(0.9秒以内)開放するよう働き、そして、開放期間内に羽根562a,562b部分から入賞があれば、特別電動役物560の下部に流下し、回転体568の回転により、遊技球がランダムに回転体568に当たり、V通過口569を通過したり、しなかったりする。大当り状態となるか否かは、V通過口569を通過するか否かにより決定される。これが第2の条件である。こうして、第1の条件又は第2の条件のいずれかの条件が成立すると、大当り状態となり、特別電動役物560を遊技者に有利な内容とする。いずれの場合にも、羽根562a,562bが約30秒間又は遊技球が10個入賞したことがカウントスイッチ564又は554により検出されるまでいずれか早く経過する時まで開放され、一旦羽根562a,562bが閉鎖された後に再び開放され、この開放動作を最大16回繰り返す。通常、遊技球1個の入賞に対して15個の遊技球が賞球として払い出すよう構成しているので、1回の大当り状態が発生すると、約2400(=15×10×16)個の遊技球を賞球として獲得することができる。この賞球排出動作は、賞球制御基板531が実行する。その説明は割愛することにする。
第5実施形態によれば1つの特別電動役物560が2つの別の条件のいずれかによって羽根562a,562bを作動させ、遊技者に有利な遊技状態となるので、少ない電動役物でも豊富な遊技状態を作り出すことができ、趣向性が高まる。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲に於て、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。例えば、第1及び第2実施形態において、特別図柄表示装置を電動役物と分離し電動役物の外部領域に設けても良いし、特別図柄作動口と羽根作動口とを隣接させる等、それらの位置の相対関係も変更が可能である。確率変動機能の有無も適宜採択可能である。
本発明により、従来にない創造性豊かな遊技機を提供することができる。