以下、本発明に係る撮像装置の第1の実施形態について説明する。図1は、撮像装置の一例であるデジタルカメラの構成を示す正面図、図2は、デジタルカメラの構成を示す背面図、図3は、デジタルカメラの内部構成を示す図である。なお、図1〜図3において、同一の部材等については、同一の符号を付している。
図1,図2に示すように、本実施形態に係るデジタルカメラ1は、箱形のカメラ本体1Aにレンズユニット(交換レンズ)2が交換可能(着脱可能)に取り付けられる一眼レフレックスタイプのカメラである。デジタルカメラ1は、カメラ本体1Aの前面略中央に取り付けられるレンズユニット2と、上面適所に配設された第1モード設定ダイヤル3と、上方角部に配設されたシャッターボタン4と、背面左側に配設されたLCD(Liquid Crystal Display)5と、LCD5の下方に配設された設定ボタン群6と、LCD5の側方に配設されたジョグダイヤル7と、ジョグダイヤル7の内側に配設されたプッシュボタン8と、LCD5の上方に配設された光学ファインダー9と、光学ファインダー9の側方に配設されたメインスイッチ10と、メインスイッチ10の近傍に配設された第2モード設定ダイヤル11と、光学ファインダー9の上方に配設された接続端子部12とを備えている。
レンズユニット2は、光学素子としてのレンズを鏡胴内において図1の紙面に垂直な方向に複数配置して構成されている。レンズユニット2に内蔵される光学素子として、変倍を行うズームレンズ36(図4参照)と、焦点の調節を行うためのフォーカスレンズ37(図4参照)とが備えられており、それぞれ光軸方向に駆動されることで、変倍や焦点調節が行われる。
本実施形態のレンズユニット2には、その鏡胴の外周適所に該鏡胴の外周面に沿って回転可能な図略の操作環が備えられており、ズームレンズ36は、前記操作環の回転方向及び回転量に応じて光軸方向に移動し、その移動先の位置に応じたズーム倍率(撮影倍率)に設定される手動式のズームレンズである。なお、レンズユニット2は、取外しボタン13を押圧操作することで、カメラ本体1Aから取り外すことができる。
第1モード設定ダイヤル3は、デジタルカメラ1の上面と略平行な面内で回動可能な略円盤状の部材であり、静止画や動画を撮影する撮影モードや記録済みの画像を再生する再生モード等、デジタルカメラ1に搭載されたモードや機能を択一的に選択するためのものである。図示はしないが、第1モード設定ダイヤル3の上面には、その外周縁に沿って各機能を示すキャラクターがそれぞれ所定の間隔で表記されていて、カメラ本体1A側の適所に設けられた指標と対向する位置にセットされたキャラクターに対応する機能が実行される。
シャッターボタン4は、途中まで押し込む半押し操作と完全に押し切る全押し操作との2段階で押圧操作されるボタンであり、主に後述する撮像素子19(図3、図4参照)による露光動作のタイミングを指示するためのものである。シャッターボタン4の半押し操作が行われることで、後述するAEセンサ部14(図3参照)の検出信号を用いて露出制御値(シャッタースピード及び絞り値)等の設定が行われる撮像待機状態に設定され、全押し操作が行われることで、後述する画像記憶部56(図4参照)に記録する被写体の画像を生成するための撮像素子19による露光動作が開始される。なお、本実施形態では、絞り値は固定されているものとする。
シャッターボタン4の半押し操作は、図略のスイッチS1がオンされることにより検出され、シャッターボタン4の全押し操作は、図略のスイッチS2がオンされることにより検出される。
LCD5は、カラー液晶パネルを備えてなり、撮像素子19により撮像された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、デジタルカメラ1に搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。なお、LCD5に代えて、有機ELやプラズマ表示装置であってもよい。
設定ボタン群6は、デジタルカメラ1に搭載された各種の機能に対する操作を行うボタンである。
ジョグダイヤル7は、円周方向に一定間隔で配置された複数の押圧部(図中の三角印の部分)を備える環状の部材を有し、各押圧部に対応して備えられた図略の接点(スイッチ)により押圧部の押圧操作が検出されるように構成されている。また、プッシュボタン8は、ジョグダイヤル7の中央に配置されている。ジョグダイヤル7及びプッシュボタン8は、撮影倍率の変更(ズームレンズのワイド方向やテレ方向への移動)、LCD5に再生する記録画像のコマ送り、及び撮影条件(絞り値、シャッタースピード、フラッシュ発光の有無等)の設定等の指示を入力するためのものである。
光学ファインダー9は、被写体が撮影される範囲を光学的に表示するものである。メインスイッチ10は、左右にスライドする2接点のスライドスイッチからなり、左にセットするとデジタルカメラ1の主電源がオンされ、右にセットすると主電源がオフされる。
第2モード設定ダイヤル11は、第1モード設定ダイヤル3と同様の機械的構成を有し、デジタルカメラ1に搭載された各種の機能に対する操作を行うものである。接続端子部12は、図略のフラッシュ等の外部装置を当該デジタルカメラ1と接続するための端子である。
接続端子部12は、図略のフラッシュ等の外部装置を当該デジタルカメラ1と接続するための端子である。
図3に示すように、カメラ本体1Aの内部には、AF駆動ユニット15と、撮像素子19と、シャッターユニット20と、光学ファインダー9と、位相差AFモジュール25と、ミラーボックス26と、AEセンサ部14と、メイン制御部30とが備えられている。
AF駆動ユニット15は、AFアクチュエータ16と、エンコーダ17と、出力軸18とを備えてなる。AFアクチュエータ16は、駆動源を発生するDCモータ、ステッピングモータ、超音波モータ等のモータ及びモータの回転数を減速するための図略の減速系を含むものである。
エンコーダ17は、詳細には説明しないが、AFアクチュエータ16から出力軸18に伝達される回転量を検出するもので、検出した回転量は、レンズユニット2内の撮像光学系31の位置算出に用いられる。出力軸18は、AFアクチュエータ16から出力される駆動力をレンズユニット2内のレンズ駆動機構33に伝達するものである。
撮像素子19は、カメラ本体1Aの背面側の領域において該背面に略平行に配設されている。撮像素子19は、例えばフォトダイオード等で構成される複数の光電変換素子がマトリックス状に2次元配列され、各光電変換素子の受光面に、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤),G(緑),B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されてなるベイヤー配列のCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)カラーエリアセンサである。撮像素子19は、撮像光学系31により結像された被写体の光像をR(赤),G(緑),B(青)各色成分のアナログの電気信号(画像信号)に変換し、R,G,B各色の画像信号として出力する。
シャッターユニット20は、フォーカルプレーンシャッター(以下、単にシャッターという)を有してなり、ミラーボックス26の背面と撮像素子19との間に配設されている。
光学ファインダー9は、カメラ本体1Aの略中央に配設されたミラーボックス26の上部に配設されており、焦点板21と、プリズム22と、接眼レンズ23と、ファインダー表示素子24とを備えて構成されている。プリズム22は、焦点板21上の像の左右を反転させ接眼レンズ23を介して撮影者の目に導き、被写体像を視認できるようにするものである。ファインダー表示素子24は、ファインダー視野枠9a内(図2参照)に形成される表示画面の下部に、シャッター速度、絞り値、露出補正値等を表示する。
位相差AFモジュール25は、ミラーボックス26の底部に配設されており、周知の位相差検出方式により合焦位置を検出するものである。位相差AFモジュール25は、本出願人が提案した例えば特開平11−84226号に開示されている構成を有するものであり、詳細な構成の説明は省略する。
ミラーボックス26は、クイックリターンミラー27とサブミラー28とを備えてなる。クイックリターンミラー27は、回動支点29を中心として、図3の実線で示すように、撮像光学系31の光軸Lに対して略45度傾斜した姿勢(以下、傾斜姿勢という)と、図3の仮想線で示すように、カメラ本体1Aの底面と略平行な姿勢(以下、水平姿勢という)との間で回動自在に構成されている。
サブミラー28は、クイックリターンミラー27の背面側(撮像素子19側)に配設されており、図3の実線で示すように、傾斜姿勢にあるクイックリターンミラー27に対して略90度傾斜した姿勢(以下、傾斜姿勢という)と、図3の仮想線で示すように、水平姿勢にあるクイックリターンミラー27と略平行な姿勢(以下、水平姿勢という)との間で、クイックリターンミラー27に連動して変位可能に構成されている。クイックリターンミラー27及びサブミラー28は、後述のミラー駆動機構50(図4参照)により駆動される。
クイックリターンミラー27及びサブミラー28が傾斜姿勢のとき(シャッターボタン4の全押し操作が行われるまでの期間)、クイックリターンミラー27は、撮像光学系31による光束の大部分を焦点板21方向に反射するとともに、残りの光束を透過させ、サブミラー28は、クイックリターンミラー27を透過した光束を位相差AFモジュール25に導く。このとき、光学ファインダー9による被写体像の表示と位相差AFモジュール25による位相差検出方式の焦点調節動作とが行われる一方、撮像素子19には光束が導かれないため、LCD5による被写体の画像の表示は行われない。
一方、クイックリターンミラー27及びサブミラー28が水平姿勢のときには(シャッターボタン4が全押しされたとき)、クイックリターンミラー27及びサブミラー28は光軸Lから退避するため、撮像光学系31を透過した光束は略全て撮像素子19に導かれる。このとき、LCD5による被写体の画像表示が行われる一方、光学ファインダー9による被写体の画像表示や位相差AFモジュール25による位相差検出方式の焦点調節動作は行われない。
AEセンサ部14は、レンズを通して焦点板21上に結像した被写体の光像を撮像する撮像素子を備えてなり、被写体の輝度を検出するためのものである。
メイン制御部30は、例えば制御プログラムを記憶するROMや一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶部が内蔵されたマイクロコンピュータからなるものであり、詳細な機能については後述する。
次に、カメラ本体1Aに装着されるレンズユニット2について説明する。
図3に示すように、レンズユニット2は、撮像光学系31と、鏡胴32と、レンズ駆動機構33と、エンコーダ34と、記憶部35とを備える。
撮像光学系31は、撮影倍率(焦点距離)を変更するためのズームレンズ36(図4参照)と、焦点位置を調節するためのフォーカスレンズ37(図4参照)と、カメラ本体1Aに備えられる後述の撮像素子19等へ入射される光量を調節するための絞り39とが、鏡胴32内において光軸L方向に保持されてなり、被写体の光像を取り込んで該光像を撮像素子19等に結像するものである。焦点調節動作は、撮像光学系31がカメラ本体1A内のAFアクチュエータ16により光軸L方向に駆動されることで行われる。なお、撮影倍率(焦点距離)の変更(ズーム動作)は、図略のズームリングにより手動で行われる。
レンズ駆動機構33は、例えばヘリコイド及びヘリコイドを回転させる図略のギヤ等で構成され、カプラー38を介してAFアクチュエータ16からの駆動力を受けて、撮像光学系31を一体的に光軸Lと平行な矢印A方向に移動させるものである。撮像光学系31の移動方向及び移動量は、それぞれAFアクチュエータ16の回転方向及び回転数に従う。
レンズエンコーダ34は、撮像光学系31の移動範囲内において光軸L方向に複数個のコードパターンが所定ピッチで形成されたエンコード板と、このエンコード板に摺接しながら鏡胴32と一体的に移動するエンコーダブラシとを備えてなり、撮像光学系31の焦点調節時の移動量を検出するためのものである。
記憶部35は、当該レンズユニット2がカメラ本体1Aに装着され、カメラ本体1A内のメイン制御部30からデータの要求があった場合に、該カメラ本体1A内のメイン制御部30に記憶内容を提供するものである。記憶部35は、レンズエンコーダ34から出力される撮像光学系31の移動量の情報等を記憶する。
次に、本実施形態に係るデジタルカメラ1の電気的な構成について説明する。図4は、カメラ本体1Aにレンズユニット2が装着された状態でのデジタルカメラ1全体の電気的な構成を示すブロック図である。また、図1〜図3と同一の部材等については、同一の符号を付している。また、図4の点線は、レンズユニット2内に搭載される部材等であることを示している。
図4に示すように、撮像光学系31は、図3に示す撮像光学系31に相当するものであり、撮影倍率(焦点距離)を変更するためのズームレンズ36と、焦点位置を調節するためのフォーカスレンズ37とを備えてなる。AFアクチュエータ16、エンコーダ17、出力軸18、レンズ駆動機構33及びレンズエンコーダ34は、それぞれ図3に示すAFアクチュエータ16、エンコーダ17、出力軸18、レンズ駆動機構33及びレンズエンコーダ34に相当するものである。記憶部35は、図3に示す記憶部35に相当するものである。ミラーボックス26は、クイックリターンミラー27及びサブミラー28を備え、位相差AFモジュール25は、図3に示す位相差AFモジュール25に相当するものである。
撮像素子19は、図3に示す撮像素子19に相当するものである。図5は、撮像素子19の概略構成を示す図である。
図5に示すように、撮像素子19は、マトリックス状に配列された複数の画素40を有してなり、各画素40は、光電変換動作を行うフォトダイオード41及び画素信号を出力させる画素40を選択するための垂直選択スイッチ42を備えて構成されている。また、撮像素子19は、画素40のマトリックスにおける各行において、垂直選択スイッチ42の制御電極が共通に接続された垂直走査線43に垂直走査パルスφVnを出力する垂直走査回路44と、各列ごとに垂直選択スイッチ42の主電極が共通に接続された水平走査線45と、水平走査線45と水平信号線46とに接続された水平スイッチ47と、水平スイッチ47の制御電極に接続された水平走査回路48と、水平信号線46に接続されたアンプ49とを備える。
各画素40は、リセットスイッチ65を備えており、撮像素子19は、各画素40のリセットスイッチ65が共通に接続されたリセット線66を有する。
このような構成を有する撮像素子19においては、画素に蓄積された電荷の出力動作を、1画素ずつ出力させるとともに、垂直走査回路44及び水平走査回路48の動作を制御することで、画素を指定してその画素に電荷を出力させることができる。すなわち、垂直走査回路44により、或る画素のフォトダイオード41でリセットもしくは光電変換された電荷を、垂直選択スイッチ42を介して水平走査線45に出力させ、または、リセットスイッチ65を介してリセット線に出力させ、その後、水平走査回路48により、その水平走査線45等に出力された電荷を水平スイッチ47を介して水平信号線46に出力させる。この動作を各画素について順次行うことで、画素を指定しつつ全ての画素に順番に電荷を出力させることができる。水平信号線46に出力された電荷は、水平信号線46に接続されたアンプ49により電圧に変換される。
このような構成を有する撮像素子19は、後述のタイミング制御回路53により、撮像素子19の露出動作の開始及び終了や、撮像素子19における各画素の出力信号の読出し(水平同期、垂直同期、転送)等の撮像動作が制御される。
ミラー駆動機構50は、クイックリターンミラー27やサブミラー28を傾斜姿勢と水平姿勢との間で駆動するものであり、メイン制御部30により制御される。
サンプリング部51は、撮像素子19から出力されるアナログの画素信号をサンプリングし、この画素信号に対し、画素信号のノイズ(後述のリセットノイズと異なるノイズ)の低減を行うものである。
A/D変換部52は、サンプリング部51により出力されたアナログのR,G,Bの画素信号を、複数のビット(例えば10ビット)からなるデジタルの画素信号にそれぞれ変換するものである。以下、このA/D変換部52によるA/D変換処理後の画素信号を、アナログの画素信号と区別するため、画像データというものとする。
タイミング制御回路53は、メイン制御部30から出力される基準クロックCLK0に基づいてクロックCLK1,CLK2を生成し、クロックCLK1を撮像素子19に、また、クロックCLK2をA/D変換部52にそれぞれ出力することにより、撮像素子19及びA/D変換部52の動作を制御する。
画像メモリ54は、撮影モード時には、A/D変換部52から出力される画像データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対しメイン制御部30により後述の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、再生モード時には、後述の画像記憶部56から読み出した画像データを一時的に記憶するメモリである。
VRAM55は、LCD5の画素数に対応した画像信号の記録容量を有し、LCD5に再生表示される画像を構成する画素信号のバッファメモリである。LCD5は、図2に示すLCD5に相当するものである。
画像記憶部56は、メモリカードやハードディスクなどからなり、メイン制御部30で生成された画像を保存するものである。
入力操作部57は、前述の第1モード設定ダイヤル3、シャッターボタン4、設定ボタン群6、ジョグダイヤル7、プッシュボタン8、メインスイッチ10及び第2モード設定ダイヤル11等を含み、操作情報をメイン制御部30に入力するためのものである。
メイン制御部30は、図4に示すデジタルカメラ1内の各部材の駆動を関連付けて制御するものである。また、図4に示すように、メイン制御部30は、機能的に、露出制御値決定部58、撮像制御部59、第1画像処理部60、第2画像処理部61、第3画像処理部62、表示制御部63、画像圧縮部64を備えている。
露出制御値決定部58は、AEセンサ部14からの検出信号(被写体の輝度)に基づき、記録用の露光動作を行う際の露出制御値を決定するものである。本実施形態においては、絞り値は固定されているため、露出制御値決定部58により、シャッタースピードに相当する露光時間が決定される。
撮像制御部59は、撮影者によりシャッターボタン4の半押し操作が行われると、前記撮像素子19の各画素に蓄積電荷を出力する動作(以下、リセット動作という)を所定の周期で繰り返し行わせる。なお、一般的に、撮像素子19が行う「リセット動作」には、単に画素に蓄積された電荷を撮像素子19内部で廃棄(排出)する動作と、後述するリセット電圧を検出するべく画素に蓄積された電荷を出力する動作と、画素に蓄積された電荷を所定の目的のために利用するべく外部(サンプリング部51等)に出力する動作とがあり、本実施形態では、リセット電圧を検出するべく画素に蓄積された電荷を出力する動作を意味するものである。
さらに、撮像制御部59は、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、記録用画素信号を生成するべく前記各画素に蓄積電荷の出力動作を行わせるとともに、シャッター20の開閉動作を制御する。
本実施形態においては、シャッターボタン4の半押し操作及び全押し操作が行われたときの撮像制御部59による撮像素子19の駆動制御に特徴を有している。以下、この内容について詳細に説明する。
図6は、撮像素子19の画素の配列を模式的に表した図であり、各マスはそれぞれ画素を表す。また、図7(a)は、本実施形態における撮像素子19の各画素の動作を説明するためのタイムチャート、図7(b)は、従来における撮像素子19の各画素の動作を説明するためのタイムチャートであり、図7(a),(b)において横軸は時刻である。
図6に示すように、撮像素子19が、縦3列×横4列=12(個)の画素を有し、各画素からの蓄積電荷の取り出し動作が、各画素(マス)に記載されている数字の順番に行われるものとする。すなわち、各画素からの蓄積電荷の出力動作(リセット動作及び記録用画素信号を生成するための出力動作)は、上側から下側の画素列に向かって順番に行われ、且つ、各画素列においては、左側から右側に向かって順番に行われるものとする。
本実施形態においては、撮像制御部59は、シャッターボタン4の半押し操作が行われると、撮像素子19に各画素のリセット動作を開始させる。このリセット動作は、シャッターボタン4の全押し操作が行われるまで、前述した順番で繰り返し行われる。
すなわち、撮像制御部59は、図6,図7(a)に示すように、時刻T=T1で、シャッターボタン4の半押し操作が行われると、画素「1」から順にリセット動作を行わせ、画素「12」のリセット動作が完了すると(時刻T=T2)、再度、画素「1」から順にリセット動作を行わせる。図7(a)中の数字「1」,「4」,「5」,「12」は、図6に示す画素に付せられた番号に対応するものである。
シャッターボタン4の全押し操作が行われると、撮像制御部59は、撮像素子19に対し、その時点でリセット動作を完了している画素でリセット動作の実行を停止させるとともに、撮影準備期間(シャッターボタン4の半押し操作後から全押し操作前までの期間)に露出制御値決定部58によって設定された露出制御値に基づいてシャッターを開放させ、該シャッターの閉鎖後、最後にリセット動作が行われた画素の次の画素から画像記憶部56に記録するための蓄積電荷(前述の記録用画素信号に相当)の出力動作を行わせる。
すなわち、図6,図7(a)に示すように、時刻T=T3で、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、撮像制御部59は、速やかにシャッターを開放させる。図7(a)においては、時刻T=T3から微少時間経過後の時刻T=T4に、シャッターが開放されたことを示している。
そして、撮像制御部59は、露出制御値決定部58によって設定された露光時間Tp(時刻T=T4からT5まで)だけ開放させ、シャッターを閉鎖する時刻T=T5から所定時間経過後の時刻T=T6から記録用画素信号を生成するための出力動作を行わせる。その際、リセット動作を停止した時点(時刻T=T3)で、画素「4」のリセット動作が完了していたものとすると、記録用画素信号を生成するための出力動作については、その次の画素「5」から順番に行わせる。つまり、記録用画素信号を生成するための出力動作は、画素「5」→・・・→画素「12」→画素「1」→・・・→画素「4」の順番で行われる。
このように、シャッターボタン4の半押し操作後から全押し操作が行われるまで、撮像素子19に各画素のリセット動作を順番に行わせ、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、その時点でリセット動作を完了している画素でリセット動作の実行を停止させ、且つ、記録用画素信号を生成するための出力動作を、前述の最後にリセット動作が行われた画素の次の画素から順に行わせるようにすることで、以下に説明するように、シャッターボタン4の全押し操作後に全ての画素のリセット動作を実行する従来の構成に比して
、シャッターレリーズタイムラグを短縮化することができる。
図7(b)に示すように、従来においては、時刻T=T3で、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、「1」の画素から順にリセット動作が行われ、「12」の画素によるリセット動作が完了する時刻T=T9から微少時間経過後の時刻T=T10でシャッターを開放する制御が行われる。なお、時刻T=T3からT9までの時間は、時刻T=T1からT2までの時間と同一としている。
そして、撮影準備期間に設定された露光時間Tp(時刻T=T10からT11まで)だけ開放され、シャッターを閉鎖する時刻T=T11から所定時間経過後の時刻T=T12から、「1」の画素から順番に記録用画素信号を生成するための出力動作が行われる。
このように、従来においては、シャッターを開放させる(撮像素子19に記録用画素信号の生成のための露光動作を開始させる)タイミングが時刻T=T10であるのに対して、本実施形態においては、シャッターボタン4の全押し操作によって新たに全ての画素のリセット動作を行わない分、シャッターを開放させるタイミングを前記時刻T=T10より時刻T=T3にさらに近い時刻T=T4とすることができる。
すなわち、シャッターボタン4の全押し操作タイミングと撮像素子19による記録用露光動作の開始タイミングとの時間差、つまりシャッターレリーズタイムラグを従来に比して短縮化することができる。したがって、本実施形態では、撮影者がシャッターボタン4を全押し操作した時点(撮影者が撮影したいタイミング)の被写体像にできるだけ近い画像を得ることができる。
なお、記録用画素信号の出力動作の開始タイミング(時刻T=T6)は、シャッターの動作(閉鎖動作)の時間的な誤差を考慮して設定されている。
ところで、撮像素子19がリセット動作を行っても、そのリセット動作直後の各画素の電圧は0Vになっていない場合が多い。この電圧は、記録用の画像を構成するものではない(ノイズである)から、各画素について、記録用画素信号の生成のための出力動作によって得られる画像データに相当する電圧からリセット動作直後における画素の電圧を差し引くことで、単に、記録用画素信号を生成するための出力動作によって得られる画素データそのものを各画素の記録用画素データとする場合に比して、被写体像により忠実な画像を得ることができる。
したがって、本実施形態では、各画素について、記録用画素信号を生成するための出力動作によって得られる画素データに相当する電圧から、リセット動作直後における各画素の電圧(以下、リセット電圧という)を差し引くノイズ除去処理を行うようにしている。
その際、本実施形態では、このノイズ除去処理を行うために、リセット動作直後における各画素の電圧を、各画素について逐一更新的に記憶し、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、各画素について、記憶されたリセット動作直後における当該画素の電圧を、記録用画素信号を生成するための出力動作によって得られる画素データに相当する電圧から差し引くようにしている。これにより、シャッターボタン4の全押し操作がどのタイミングで行われてもその処理を行うことができる。なお、撮像制御部59は、特許請求の範囲における撮像制御部、シャッター制御部、絞り制御部に相当する。
第1画像処理部60は、このようなノイズ除去処理を実行するものであり、シャッターボタン4の半押し操作により開始されるリセット動作直後における各画素の電圧を、各画素について更新的に画像メモリ54に記憶させ、シャッターボタン4の全押し操作後に行われた記録用画素信号を生成するための出力動作によって各画素から画素データが得られると、各画素について、その得られた画素データに相当する出力電圧から前記画像メモリ54に記憶されている当該画素の最近のリセット電圧を減算し、ノイズ除去処理を行う。
この第1画像処理部60による処理について図7(a)を参照して説明すると、例えば「5」の画素については、時刻T=T6で記録用画素信号を生成するための出力動作が行われ、この出力動作によって得られた蓄積電荷から、サンプリング部51及びA/D変換部52による処理を経て画素データが得られる。一方、この「5」の画素による最近のリセット動作は、時刻T=T14で行われたリセット動作であり、時刻T=T6の時点で、このリセット動作直後の当該画素のリセット電圧は画像メモリ54に記憶されている。したがって、第1画像処理部60は、画像メモリ54からそのリセット電圧を読出し、前記記録用画素信号を生成するための出力動作によって得られた画素データに対応する出力電圧から、この画像メモリ54から読み出した「5」の画素のリセット電圧を減算する。
また、例えば「4」の画素についても、同様であり、時刻T=T8で、記録用画素信号を生成するための出力動作が行われ、この出力動作によって得られた蓄積電荷から、サンプリング部51及びA/D変換部52による処理を経て画素データが得られる。一方、この「4」の画素による最近のリセット動作は、時刻T=T3で行われたリセット動作であり、時刻T=T8の時点で、このリセット動作直後の当該画素のリセット電圧は画像メモリ54に記憶されている。したがって、第1画像処理部60は、画像メモリ54からそのリセット電圧を読出し、前記記録用画素信号を生成するための出力動作によって得られた画素データに対応する出力電圧から、この画像メモリ54から読み出した「4」の画素に対応するリセット電圧を減算する。
第1画像処理部60は、以上のようなノイズ除去処理を各画素について行うと、該処理後の画素データを画像メモリ54に格納する。
第2画像処理部61は、画像メモリ54に記憶されたノイズ除去処理後の画素データに基づき、各画素の位置におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の画素データを得るための補間処理を行うものである。図8は、この補間処理を説明するための図である。
すなわち、本実施形態の撮像素子19は、光電変換素子の受光面に、それぞれ分光特性の異なる例えばR(赤),G(緑),B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されているため、R(赤)のカラーフィルタが配設されている画素からは、R(赤)の画素データのみが、G(緑)のカラーフィルタが配設されている画素からは、G(緑)の画素データのみが、B(青)のカラーフィルタが配設されている画素からは、B(青)の画素データのみが得られる。
したがって、第2画像処理部61は、各画素の位置におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の画素データを得るために、当該画素の周辺に位置する画素の画素データを用いて、当該画素の位置において不足している色成分の画素データを算出する。
具体的には、図8(a)に示すように、例えば矢印Xに示す画素の位置については、該画素からG(緑)の画素データが得られており、R(赤)及びB(青)の画素データが不足している。そのため、この不足しているR(赤)の画素データを、当該画素の周辺に位置する画素のうち、R(赤)のカラーフィルタが配設された画素の画素データを用いて算出し、また、不足しているB(青)の画素データを、当該画素の周辺に位置する画素のうち、B(青)のカラーフィルタが配設された画素の画素データを用いて算出する。
すなわち、矢印Xに示すG(緑)のカラーフィルタが配設された画素の位置については、R(赤)の画素データを、例えば図8(b)に示すように、その上下に位置する2つの画素から得られるR(赤)の画素データの平均値とし、また、B(青)の画素データを、例えば図8(c)に示すように、その左右に位置する2つの画素から得られるR(赤)の画素データの平均値とする。
また、例えば矢印Yに示すR(赤)のカラーフィルタが配設された画素の位置については、不足しているG(緑)の画素データを、例えば図8(d)に示すように、当該画素に隣接するG(緑)のカラーフィルタが配設された4つの画素のうち中間の画素値を有する2つの画素の画素データの平均値とする。また、不足しているR(青)の画素データを、例えば図8(e)に示すように、当該画素に隣接するR(青)のカラーフィルタが配設された4つの画素の画素データの平均値とする。なお、前記平均演算の対象とする画素の選定方法は、前述のものに限られない。
ところで、第2画像処理部61は、以上のような補間処理を行うにあたり、各画素に対応する画素データを、リセット動作を行う画素の順位に従って画像メモリ54から読み出す。
すなわち、画像メモリ54には、記録用画素信号を生成するための出力動作が行われた画素の順番で画素データが記憶されている。例えば図7に示す場合にあっては、「5」の画素,「6」の画素,…「1」の画素,…「4」の画素の順番に、各画素の画素データが画像メモリ54に記憶されているが、第2画像処理部61がこの画像メモリ54から前記各画素の画素データを読み出すときには、「1」の画素に対応する画素データから「12」の画素に対応する画素データまで順番に読み出していくようにしている。
これは、「1」の画素から画素データを読み出すことにより、一意的な処理が行えるため、処理のハードウェア化(ASIC化)が可能となり、レリーズのタイミングにより画素データの読出し順が変わるような適応的な処理(プログラム処理)に比べて、格段に高速な処理が可能となるからである。画像メモリ54は、特許請求の範囲における記憶部に相当し、第2画像処理部62は、特許請求の範囲における演算部に相当する。
第3画像処理部62は、第2画像処理部61による補間処理後の画像データに対し、黒レベルを基準の黒レベルに補正する黒レベル補正、光源に応じた白の基準に基づいて、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の画素データのレベル変換を行うホワイトバランスの調整、R(赤),G(緑),B(青)の各色の画素データのγ特性を補正するγ補正を行うものである。
表示制御部63は、画像処理部26から出力される画像をLCD4に表示させるべく、その画像の画素データをVRAM15に転送するものであり、画像圧縮部64は、第3画像処理部62により上記各種の処理が施された記録画像の画素データに、2次元DCT(Discrete Cosine Transform)変換、ハフマン符号化等のJPEG(Joint Picture Experts Group)方式による所定の圧縮処理を施して圧縮画像データを生成し、この圧縮画像データに、撮影画像に関する情報(圧縮率等の情報)を付加した画像ファイルを画像記憶部56に記録するものである。
画像記憶部56は、メモリカードやハードディスクなどからなり、メイン制御部30で生成された画像を保存するものである。画像記憶部56には、画像データが時系列的に配列して記録され、各コマ毎に、JPEG方式により圧縮された圧縮画像が、撮影画像に関するインデックス情報(コマ番号、露出値、シャッタースピード、圧縮率、撮影日、撮影時のフラッシュのオンオフのデータ、シーン情報等の情報)とともに記録される。
次に、撮像装置1のメイン制御部30による一連の処理を説明する。図9は、メイン制御部30による処理を示すフローチャートである。
図9に示すように、シャッターボタン4の半押し操作が行われると(ステップ♯1でYES)、撮像制御部59は、撮像素子19にリセット動作を開始させる(ステップ♯2)。
すなわち、図6、図7(a)に示すように、撮像制御部59は、画素「1」から順にリセット動作を行わせ、画素「12」のリセット動作が完了すると、再度、画素「1」から順にリセット動作を行わせる。なお、前述したように、各画素について、リセット動作直後における当該画素の電圧(リセット電圧)は画像メモリ54に更新的に格納(記憶)される。また、この処理と並行して、露出制御値決定部58は、AEセンサ部14からの検出信号(被写体の輝度)に基づき、記録用の露光動作を行う際の露出制御値の決定処理を行う。
撮像制御部59は、シャッターボタン4の半押し状態が継続している間、ステップ♯1,♯2の処理を繰り返し実行させ(ステップ♯3でNO)、シャッターボタン4の全押し操作が行われると(ステップ♯3でYES)、撮像素子19にリセット動作を停止させる(ステップ♯4)。
これは、図7の時刻T=T3で行われる処理に対応するものであり、この図7に示すように、前記リセット動作が図6に示す「12」の画素まで完了していなくても(途中の画素までしかリセット動作を完了していなくても)、撮像制御部59は、撮像素子19にリセット動作を停止させる。
そして、撮像制御部59は、露出制御値決定部58によって決定された露光時間(図7に示す時刻T=T4からT5の期間)だけシャッターを開放し(ステップ♯5)、シャッターの閉鎖後、撮像素子19に記録用画素信号を生成するための電荷の出力動作を行わせる(ステップ♯6 図7に示す時刻T=T6)。その際、前述したように、この出力動作は、前述の最後にリセット動作が行われた画素の次の画素から順に行わせる。
前記出力動作が完了すると、撮像制御部59は、その出力動作によって得られた出力電圧から、ステップ♯2において画像メモリ54に記憶された各画素のリセット電圧を減算する処理を行う(ステップ♯7)。これは、撮像素子19に記録用画素信号を生成するための出力動作によって得られた画素データには、ノイズ(前記リセット電圧)が含まれており、より綺麗な画像を得るためには、このノイズを該画素データから除去する必要があるからである。
そして、第2画像処理部61は、画像メモリ54に記憶されたノイズ除去処理後の画素データに基づき、各画素の位置におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の画素データを得るための補間処理を行う(ステップ♯8)。その際、前述したように、各画素に対応する画素データを、リセット動作を行う画素の順位で画像メモリ54から読み出してから、前記補間処理を行う。
その後、第3画像処理部62は、第2画像処理部61による補間処理後の画像データに対して黒レベル補正、ホワイトバランスの調整及びγ補正を行い(ステップ♯9)、表示制御部63は、第3画像処理部62から出力される画像をLCD4に表示させるために、該画像の解像度の変換等の処理を行い、その画像をLCD4にアフタービューとして表示する一方、画像圧縮部64は、第3画像処理部62により上記各種の処理が施された記録画像の画素データに所定の圧縮処理を施し、この圧縮画像データを画像記憶部56に記録する(ステップ♯10)。
以上のように、シャッターボタン4の半押し操作が行われると、撮像素子19に各画素のリセット動作を順番に行わせ、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、その時点で撮像素子19にリセット動作を停止させるとともに、シャッターボタン4の全押し操作までに前記リセット動作を最後に行った画素の次の画素から記録用画素信号を生成するための出力動作を開始するようにしたので、シャッターレリーズタイムラグを従来に比して短縮化することができる。
これにより、シャッターボタン4の全押し操作が行われると全画素のリセット動作を実行してから記録用画素信号を生成するための出力動作を行う従来に比して、撮影者がシャッターボタン4を全押し操作した時点(撮影者が撮影したいタイミング)の被写体像にできるだけ近い画像を得ることができる。撮像素子19の画素数が増加すればするほど、撮像素子19のリセット動作に時間を要することから、高画素化された撮像素子19を搭載する場合に、特にその効果が顕著となる。
また、本実施形態では、各画素について、リセット動作直後のリセット電圧を画像メモリ54に更新的に記憶しておくようにしたので、シャッターボタン4の全押し操作後に行われる記録用画素信号を生成するための出力動作によって得られた画素データからノイズを除去することができ、その結果、綺麗な撮影画像を生成することができる。
さらに、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、シャッターを開放して各画素に同時に露光動作を開始させるようにしたので、各画素間で露光動作を開始する時刻に時間差がある従来の技術に比して、違和感の無い又は少ない、撮影者の意図する被写体像に近い画像を撮像することができる。
また、前述の補間処理を行うにあたり、各画素に対応する画素データを、リセット動作を行う画素の順位に従って画像メモリ54から読み出すようにしたから、画像処理を高速化することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に加えて、あるいは前記実施形態に代えて次の変形形態(1)〜(8)も採用可能である。
(1)前記実施形態では、デジタルカメラ1が絞り及びシャッター(フォーカルプレーンシャッター)を備え、前記絞りの絞り値を固定させる(シャッターボタン4の操作状態に関係なく絞り値を一定させる)場合について説明したが、絞り値を制御して撮像素子19の露出値を制御する場合には、次のように撮像素子19の各画素を動作させてもよい。図10は、本実施形態における撮像素子19の各画素の動作を示すタイムチャートである。
本実施形態のように、絞り値が撮像素子19の露出値の制御パラメータとして設定されている場合には、シャッターボタン4の全押し操作が行われても、絞りの動作が完了するまでリセット動作を行うようにしてもよい。
すなわち、図10に示すように、撮像制御部59は、時刻T=T11でシャッターボタン4の半押し操作が行われると、撮像素子19の各画素のリセット動作を開始させる。このリセット動作は、シャッターボタン4の全押し操作が行われるまで、前述した順番で繰り返し行われる。
そして、撮像制御部59は、時刻T=T13でシャッターボタン4の全押し操作が行われると、絞りを予め設定された絞り値となるように動作させるとともに、その絞りの動作が完了するまで、リセット動作を行わせる。
すなわち、図10に示すように、時刻T=T13で、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、撮像制御部59は、絞りを予め設定された絞り値となるように動作させ、絞りの動作が完了する時刻T=T14までリセット動作を行わせる。
そして、撮像制御部59は、時刻T=T14で絞りの動作が完了すると、その時点でリセット動作を完了している画素でリセット動作の実行を停止させるとともに、露出制御値決定部58によって決定された露出制御値に基づいてシャッターを開放させ、該シャッターの閉鎖後、前記第1の実施形態と同様に最後にリセット動作が行われた画素の次の画素から記録用画素信号を生成するための出力動作を行わせる(時刻T=T17)。
なお、絞りの動作が完了するまでに限らず、撮像準備動作が完了するまでは、シャッターボタン4の全押し操作が行われても、リセット動作を継続するようにしてもよい。
(2)撮像装置の一例として一眼レフレックスタイプのデジタルカメラを挙げ、このカメラに本発明を適用したものを第1の実施形態として説明したが、これに限らず、撮像光学系がカメラ本体に内蔵されたレンズシャッタータイプのデジタルカメラ(主に所謂コンパクトカメラ)にも本発明を適用可能である。
なお、以下では、本発明をレンズシャッタータイプのデジタルカメラに適用した場合について説明するが、この種のデジタルカメラの機械的な構成については、例えば本出願人が提案した特開2003−333414号公報に開示されているものが採用可能であり、その構成の詳細な説明は省略する。図11は、撮像装置1がシャッターを具備せず、且つ絞り値が固定されている場合(所謂電子シャッターのみで撮像素子19の露出値を決定する場合)における撮像素子19の各画素の動作を示すタイムチャートである。
図11(a)に示すように、シャッターボタン4の半押し操作が行われると、撮像素子19に各画素のリセット動作を順番に開始させる点、及びシャッターボタン4の全押し操作が行われると、その時点で撮像素子19にリセット動作を停止させ、その停止時点でリセット動作が完了している画素の次の画素から記録用画素信号を生成するための出力動作を開始する点は前記第1の実施形態と略同様であり、各画素について、この記録用画素信号を生成するための出力動作を、最近のリセット動作を行った時刻から露出制御値決定部58により決定された露光時間が経過した時点で行う点が前記実施形態と異なる。
すなわち、図11(a)に示すように、露出制御値決定部58により決定された露光時間をTpとし、例えばシャッターボタン4の全押し操作が行われた時点で、「4」の画素のリセット動作が完了していたものとすると、「5」の画素による記録用画素信号を生成するための出力動作は、「5」の画素について最近のリセット動作の実行時刻T=T22から前記露光時間Tpが経過した時刻T=T22+Tp(=T25)に行われる。
また、「4」の画素による記録用画素信号を生成するための出力動作は、「4」の画素について最近のリセット動作の実行時刻T=T24から前記露光時間Tpが経過した時刻T=T24+Tp(=T27)に行われる。
この場合、露光動作を開始する時刻は各画素間でずれることとなる(時間差が生じる)が、図11(b)に示すように、シャッターボタン4の全押し操作が行われると、全ての画素のリセット動作を実行する従来の場合と比較して、各画素の露光期間がシャッターボタン4の全押し操作を行った時点に近くなり、撮影者がシャッターボタン4の全押し操作を行った時点(撮影者が撮影したいタイミング)の被写体像にできるだけ近い画像を得ることができるという効果は得られる。
なお、図11においては、露光時間Tpが、リセット動作の周期(全ての画素がそれぞれ1回のリセット動作を完了するのに要する時間)より長く設定された場合を想定しているため、当該撮像素子19による記録用画素信号を生成するための出力動作が、シャッターボタン4の全押しタイミングから所定時間経過して開始されるように示されているが、設定される露光時間Tpの長さに応じて、撮像素子19による記録用画素信号を生成するための出力動作の開始タイミングと、シャッターボタン4の全押しタイミングとの時間差は変化する。
(3)前記変形形態(2)では、所謂電子シャッターのみで撮像素子19の露出値を決定する場合について説明したが、撮像素子19の露出値の制御パラメータとして絞り値が設定されている場合には、前記変形形態(1)と同様に、シャッターボタンの全押し操作が行われても、絞りの動作が完了するまでリセット動作を行わせてもよい。図12は、その場合における撮像素子19の各画素の動作を示すタイムチャートである。
図12に示すように、時刻T=T31でシャッターボタン4の半押し操作が行われると、撮像制御部59は、撮像素子19に各画素のリセット動作を順番に開始させる。そして、時刻T=T33でシャッターボタン4の全押し操作が行われると、絞りを露出制御値決定部58により決定された絞り値に設定するとともに、撮像素子19に該絞りの動作が完了する時刻T=T34までリセット動作を引き続き行わせる。記録用画素信号を生成するための出力動作は、前述の変形形態(2)の場合と略同様であるので、その説明は省略する。なお、絞りの動作が完了するまでに限らず、撮像準備動作が完了するまでは、シャッターボタン4の全押し操作が行われても、リセット動作を継続するようにしてもよい。
以上のように、リセット動作を停止するタイミングについていうと、デジタルカメラが、一眼レフレックスタイプのデジタルカメラであるか、レンズシャッタータイプのデジタルカメラであるかに拘わらず、デジタルカメラが電子シャッターのみで撮像素子19の露出値を決定する場合(シャッター及び絞りを備えていない場合)には、シャッターボタン4の全押し操作が行われた時点で撮像素子19のリセット動作を停止すればよい。
また、撮像素子19の露出値を、シャッタースピードのみで制御する(シャッターボタン4の操作状態に拘わらず絞り値を一定させる)場合にも、シャッターボタン4の全押し操作が行われた時点で撮像素子19のリセット動作を停止するようにすればよい。
さらに、撮像素子19の露出値を、絞り値のみで制御する場合及びシャッタースピードと絞り値との両方で制御する場合には、シャッターボタン4の全押し操作が行われた時点で撮像素子19のリセット動作を停止してもよいし、あるいは、絞りの動作が完了した時点で撮像素子19のリセット動作を停止してもよい。
また、絞りの動作が完了するまでに限らず、撮像準備動作が完了するまでは、シャッターボタン4の全押し操作が行われても、リセット動作を継続するようにしてもよい。
(4)前記各実施形態では、撮像素子19の全ての画素(有効画素)に対して一連の信号の読出し順序を設定したが、これに限らず、撮像素子19の各画素を複数のグループに分け、各グループにおいて、リセット動作及び記録用画素信号を生成するための出力動作を行う画素の順番を設定し、この順番に従って、リセット動作及び記録用画素信号を生成するための出力動作をグループ同士並行して行うようにすると、撮像素子19の各画素から画素信号を読み出す時間を短縮化することができる。
すなわち、本実施形態では、例えば図13に示すように、撮像素子19の撮像領域を4分割して各画素を複数のグループG1〜G4に分け、グループG1〜G4ごとに垂直走査回路44及び水平走査回路48が設けられている。なお、図13においては、撮像素子19が縦6(個)×横8(個)=48(個)の画素(有効画素)を有し、これらの画素によって構成される撮像領域を縦横それぞれ2分割して、縦3(個)×横4(個)=12(個)の画素でそれぞれ構成されたグループG1〜G4を示している。
また、図示していないが、撮像素子19、サンプリング部51、A/D変換部52及び画像メモリ54間をそれぞれ電気的に接続する信号線がそれぞれグループG1〜G4に対応して設けられている(この場合には、それぞれ4本の信号線が設けられている)。
このような構成により、リセット動作及び記録用画素信号を生成するための出力動作を各グループG1〜G4で並行して行うことができるため、撮像素子19の全ての画素(有効画素)に対して一連の信号読出し順序を設定する場合に比して、撮像素子19の各画素から画素信号を読み出す時間を短縮化することができる。
そして、このように撮像素子19の各画素をグループ分けした場合には、各グループにおいて、前記各実施形態のように、各画素のリセット動作及び記録用画素信号を生成するための出力動作を行わせるようにするとよい。
なお、前記グループ分けの形態としては、前述のように撮像素子19の画素を撮像領域で分割することでグループ分けを行う形態の他に、例えばカラーフィルタの種類でグループ分けを行う形態も採用可能である。
すなわち、例えば、分光特性の異なる例えばR(赤),G(緑),B(青)のカラーフィルタが1:2:1の比率で配設されてなるベイヤー配列の撮像素子19の場合、例えば、G(緑)のカラーフィルタが配設された画素のグループと、B(青)のカラーフィルタが配設された画素のグループ(R(赤)のカラーフィルタが配設された画素のグループ)との2つのグループにグループ分けしてもよいし、あるいは、図14に示すように、G(緑)のカラーフィルタが配設された画素については、さらに、「1」が付された画素のグループと、「2」が付された画素のグループとの2つのグループ、すなわち計4つのグループにグループ分けを行ってもよい。
(5)前記第1の実施形態においては、リセット動作によって得られた信号を記録用画素データからノイズを除去するためのものとして利用したが、レンズシャッタータイプのデジタルカメラにあっては、これに加えて、シャッターボタンの全押し操作が行われるまでの間、このリセット動作によって得られた電荷を利用してライブビュー画像を生成し、該画像を画像表示部(LCD等)に表示するようにするとよい。
なお、ライブビュー画像は、被写体の画像を記録するまでの期間、一定の周期(例えば1/30秒)で画像表示部に切換表示される撮像素子19で撮像された画像をいい、このライブビュー画像により、被写体の状態が略リアルタイムで画像表示部に表示され、撮影者は被写体の状態を画像表示部で確認することができる。
(6)ライブビュー画像を生成及び表示するための撮像素子19の駆動制御として、前記変形形態(5)の他に、次のような形態も採用可能である。図15は、この撮像素子19の駆動制御を示すタイムチャートである。
図15における「出力動作」とは、ライブビュー画像生成用の画素信号の出力動作を表しているものであり、図15に示すように、本実施形態では、リセット動作によって各画素から得られた電荷はライブビュー画像を生成するのに利用せず、ライブビュー画像を生成するために、別途ライブビュー画像生成用の画素信号の出力動作を行っている。
すなわち、本実施形態では、撮影準備期間(シャッターボタンの半押し操作から全押し操作前までの期間)において、撮像素子19に各画素のリセット動作を行わせてから、各画素について、リセット動作から所定の露光時間経過後に、ライブビュー画像生成用の画素信号の出力動作を行わせるというように、リセット動作とライブビュー画像生成用の画素信号の出力動作とを交互に行わせる。したがって、本実施形態におけるリセット動作は、単に、撮像素子19の各画素に蓄積された電荷を排出する動作である。
ライブビュー画像生成用の画素信号の出力動作については、撮像素子19の各画素のうち、例えば、縦方向に一列おきに画素列を選定するというように一部の画素を選定し、その選定した画素に前記出力動作を行わせる所謂画素の間引き読出し処理を行って、この出力動作によって得られた電荷を利用してライブビュー画像の生成を行うと、ライブビュー画像の表示周期が長くなるのを防止または抑制することができる。
また、本実施形態におけるリセット動作は、前述したように、単に撮像素子19の各画素に蓄積された電荷を排出する動作であり、この動作を行う場合には、所定個の画素で同時に行うことができることから、本実施形態では、ライブビュー画像の表示周期が長くなるのを防止または抑制するため、所定個の画素のリセット動作を同時に行っている。図15において、リセット動作やライブビュー画像生成用の画素信号の出力動作を示す直線の傾斜が、図7等においてリセット動作等を示す直線の傾斜より大きくなっているのは、このようなリセット動作や前記間引き読み出し処理を行うことにより、全ての有効画素から1つずつ画素信号を読み出す動作に比して、信号読出し時間が短いことを示している。
(7)本発明は、前記デジタルカメラに限らず、携帯電話機に、撮像光学系及びCMOS型撮像素子19が搭載されている場合にも適用可能である。
また、本発明は携帯電話機に限られることなく、それ以外の機器、例えば、デジタルビデオカメラ、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ、モバイルコンピュータ等、他の通信機器との間で、データの送受信を行う通信部を備えた携帯通信機器にも適用することができる。
(8)本発明で採用可能な撮像素子には、CMOS型の撮像素子に限らず、MOS型の撮像素子も含まれる。