JP4025662B2 - 染色用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、改良されたレべリング剤を含有する染色用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
古来、ケラチン質繊維を染色するための調製物は広く用いられている。即ち、人毛等、ヒトのケラチン質繊維を染色する調製物が、これまで知られている最も古い化粧品である。それらの使用は古代エジプト、古代ギリシャ、古代ローマに遡る。最も古い毛髪カラーリング剤は植物由来のものであり、ヘンナ、インジゴ、サフラン、カモミール、没食子、その他多くのものが使われていた。
【0003】
染毛剤は、メラニンのブリーチ作用の有無に関わらず、毛髪を染色するための染料に分類される。代表的なものとして、アルカリ剤と酸化染料と直接染料(ニトロ染料等)とを含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤とから成る二剤式永久染毛剤;及び有機酸又はアルカリ剤と直接染料(酸性染料、塩基性染料、又はニトロ染料等)とを含む一剤式半永久染毛剤が挙げられる。
【0004】
ケラチン質繊維染色用調製物は通常、染料に加え、各種試薬も含有する。これらの試薬の目的は、多くの場合、染料が繊維に吸着される状態を制御し、これにより最終染色の均染性を制御して、染料物質 (dyestuff) を均一に分布させることである。
【0005】
これらの化合物(総称して「レべリング剤」という)としては、硫酸ナトリウム等の無機塩が用いられることがある。但し、各種界面活性剤がより効果的なレべリング剤であることが判明している。アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、又は両性界面活性剤は、単独で又は組み合わせて、ヒトや動物のケラチン質繊維を染色するのに広く使用されている。これらレべリング剤、特に界面活性剤の作用機序は、通常、染料 (dye) と該剤との複合体の形成を含む。この複合体は、染料単独よりもより均一に繊維に吸着される。
【0006】
損傷を受けた繊維を染色する際には、染色された繊維の最終外観が好ましくないものとならないようにするため、染料吸着の均一性を改善することが特に重要である。このため、損傷繊維を染色する際、一般に界面活性レべリング剤が使用されている。繊維の損傷は、染色された繊維の先端と根元の部分の、染色上の性質が著しく異なってしまう程の染色の繰り返しによっても起こりうる。上記の好ましくない外観とは、隣接する繊維間又は一繊維内の隣接する部分間の色の違いから起こる望ましくないムラのことであり、これは損傷ケラチン質繊維と関連することが多い。
【0007】
染料物質を均一に分布させ且つ或る種のケラチン質繊維に対する最適な染め上がり(例えば適切なカラーリング等)を得るという上記の要求を、毛髪のカラーリング強度を弱めずに達成することが望まれている。
【0008】
米国特許第4778919号公報、米国特許第5443598号公報、及び米国特許第6086638号公報に記載されているように、通常、アルコキシル化脂肪族アミン類とそれらの4級誘導体がケラチン質繊維染色用、特に、ケラチン性動物繊維染色用のレべリング剤として使用されている。
【0009】
米国特許第4168145号公報には、(a)水溶性スルホ基含有硫黄染料又はその混合物を用いて、(b)染料直接吸着助剤(dye-substantive uptake assistant)の一種又は二種以上の混合物、及び(c)非イオン性又はアニオン性親水性分散剤の一種又は二種以上の混合物の存在下、水性媒体中で羊毛や毛皮を有する皮革を染色する、羊毛や毛皮を有する皮革の皮革側の染色方法が記載されている。適切な非イオン性乳化剤の特定のカテゴリーは、脂肪酸類、脂肪族アミド類、脂肪族アルコール類、又はモノ若しくはジアルキルフェノール類のオキシエチル化物、ソルビトールのモノ若しくはジ脂肪酸エステルのオキシエチル化物であって、これらはプロピレンオキシ単位を有していても良いことが示されている。この脂肪族基の炭素数は好ましくは9〜24、より好ましくは12〜22であり、それぞれの炭化水素基は慣用のアルキル及び/又はアルケニル基であってもよい。この脂肪酸アミド類は、好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸のアミド、及びやし油脂肪酸、及び獣脂脂肪酸のような混合脂肪酸 (technical mixture) である。非イオン性分散剤(c)のオキシエチル化度は、有利には3〜70、好ましくは3〜50、より好ましくは4〜30である。しかしながら、その実施例には、これらの脂肪族アミドの具体的な説明はされていない。
【0010】
国際特許出願WO−A−9534273公報には、直接染料、カチオン性高分子、α−ヒドロオキシ酸又はそのアルカリ金属塩又はそのアンモニウム塩、式R1−O−(CH2CH2O)nCH2COOHで表されるエーテルカルボン酸又はそのアルカリ金属塩又はそのアンモニウム塩を含有する水性染毛剤組成物が記載されている。この記載には、脂肪酸アルカノールアミド類等の成分を乳化剤や保湿剤として更に用いることができるだろうと述べられている。しかしながら、その実施例において、これらの脂肪酸アルカノールアミド類についての具体的な説明はなされていない。
【0011】
米国特許第6312677号公報には、非イオン性界面活性剤及びカチオン性又は両性の実質的 高分子に基づく化粧料組成物と、染色ビヒクル又はブリーチングビヒクルとしてのその使用が記載されている。この非イオン性界面活性剤は、オキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化及び/又はポリグリセロール化した直鎖状又は分岐状脂肪族アルコールから選択される。この公報の明細書には、この組成物は、アルカリ化剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、香料、日焼け止め剤、脂肪族アミド類、天然又は合成ステロール類、C10−C18脂肪酸類、高分子類等の成分を、助剤として更に含有してもよいことが記載されている。この脂肪族アミド類は、特に、オレイン若しくはラウリンジエタノールアミド、やし油モノ若しくはジエタノールアミド、及び2モルのエチレンオキシドを含むオキシエチレン化(C13−C15)アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミドから選択される。しかしながら、その実施例において、これらの脂肪族アミド類についての具体的な説明はなされていない。
【0012】
改良されたレべリング剤を含み、染色された繊維の色をより均一にする染色用組成物を得るためには、安価且つ取り扱いが簡単でより効果の高い染色用組成物を提供するための新しい解決策がなお必要とされていることは明らかである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、染色された繊維の色をより均一にする改良されたレべリング剤を含有する染色用組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、改良されたレべリング剤を含有する本発明の染色用組成物を用いたケラチン質繊維の染色方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、ケラチン質繊維、特に人毛の染色用組成物中のレべリング剤としての特定のアミド類の使用を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の染色用組成物は、
a)染料物質と、
b)次の式(I)又は(II):
【化4】
【化5】
(式中、
Rは炭素数6〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し;
R'、R''及びR'''は独立して水素原子、又は水酸基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を示し(ここで、異なるアルキレンオキシド単位中のR'''は同一であっても異なってもよい);
mは4〜10の値を示し;
nは0〜10の値を示し;
pは1より大で10以下の値を示す)で表される化合物群から選択される一種以上の化合物と
を含有する。
【0017】
染料物質は、直接染料又は直接染料の組合せとすることができる。直接染料の例としては、ベーシックブルー7(C.I.42595)、ベーシックブルー26(C.I.44045)、ベーシックブルー99(C.I.56059)、ベーシックバイオレット10(C.I.45170)、ベーシックバイオレット14(C.I.42515)、ベーシックブラウン16(C.I.12250)、ベーシックブラウン17(C.I.12251)、ベーシックレッド2(C.I.50240)、ベーシックレッド22(C.I.11055)、ベーシックレッド76(C.I.12245)、ベーシックレッド118(C.I.12251:1)、及びベーシックイエロー57(C.I.12719);及び特公昭58−2204号、特開平9−118832号、特表平8−501322号及び特表平8−507545号に記載されている塩基性染料等が挙げられる。一種類の直接染料を用いる場合、添加量は組成物全量(二剤式組成物や三剤式組成物を用いる場合、全剤を混合した後の全量;以後同様)に対し、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%である。第二の直接染料を第一の直接染料と組み合わせて用いる場合、第二の直接染料及び第一の直接染料の合計量は、組成物全量に対し、好ましくは0.05〜10重量%、特に0.1〜5重量%である。
【0018】
上記式(I)及び(II)において、Rは炭素数6〜24、好ましくは炭素数12〜24、のアルキル基又はアルケニル基を示し、式(I)に関しては炭素数12〜18が最も好ましい。Rは、天然油脂並びに合成トリグリセリド由来であることが特に好ましい。好ましい油脂としては、パーム油、やし油、ひまわり油、菜種油、ひまし油、オリーブ油、大豆油;獣脂、骨油等の動物性脂肪;魚油、これらの硬化油及び半硬化油;及びこれらの混合物が挙げられる。やし油、パーム油、菜種油、及び牛脂等の獣脂由来のアルキル基又はアルケニル基が特に好ましい。
【0019】
上記各式のR'、R''及びR'''は、それぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜5のヒドロキシル化されていても良いアルキル基を示す。式(I)又は(II)の化合物が1を超えるアルキレンオキシド単位を有する場合(n>1;p>1)、一分子中に異なる種類のアルキレンオキシド単位が存在してもよい。例えば、式(I)又は(II)の化合物において、或るアルキレンオキシド単位のR'''は水素原子、他のアルキレンオキシド単位のR'''はアルキル基であることができる。R'、R''及びR'''は、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、又はヒドロキシエチル基である。R'は水素原子であることが最も好ましく、R''及びR'''は水素原子又はメチル基であることが最も好ましい。
【0020】
式(I)のmの値は4〜8であることが好ましい。
【0021】
式(I)のnの値は、好ましくは0〜5、より好ましくは0〜2、最も好ましくは1である。
【0022】
式(I)のmとnの合計は、好ましくは5〜9である。
【0023】
式(I)の化合物のうち特に好ましいものは、mが4〜8、nが1、Rは炭素数12〜18、より好ましくは炭素数12〜14のアルキル基又はアルケニル基;R'及びR''は水素原子、R'''は水素原子又はメチル基であるものである。このような化合物の例としては、ポリオキシエチレン(4.5)(C12−C14)アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレン(7)(C12−C14)アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミドが挙げられる。
【0024】
式(I)の化合物は、EP−A−0176151に記載の方法で製造することができる。
【0025】
式(II)において、特にR''が水素原子である場合には、pの値は好ましくは3〜8、より好ましくは3〜5、最も好ましくは3又は4である。
【0026】
式(II)の化合物は、特に好ましくは、ポリオキシエチレン(4)菜種油アミドである。
【0027】
式(II)の化合物の他の好ましい例は、pの値が2であり、R''がメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基の化合物である。この態様においては、Rはパーム核油由来であることが好ましい。
【0028】
式(II)の化合物のうち、次式(III):
【化6】
(式中、rは1〜3、より好ましくは1の値を示し、sは1〜3の値を示し、Meはメチル基を示し、R'及びR''は好ましくは水素原子を示す)で表される化合物が特に好ましい。式(III)の化合物のうち、Rが炭素数12〜24のアルキル基又はアルケニル基である化合物、例えば、やし油又は菜種油由来のものが特に好ましい。
【0029】
式(II)の化合物は、EP−A−0386826に記載の方法で作製することができる。
【0030】
レべリング剤のケラチン質繊維染色用組成物への添加量は、いくつかの要因によって変わる。通常、レべリング剤の量は、染色用組成物全重量に対し好ましくは0.05重量%〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは6〜10重量%である。二剤式永久染毛組成物の場合、染料物質を含有する剤に、該剤の重量に対し好ましくは5〜30重量%、より好ましくは10〜20重量%のレべリング剤を含有させるのが好ましい。
【0031】
本発明の染毛組成物のpHは、好ましくは6〜11、より好ましくは8〜11に調整される。pH調整に用いるアルカリ剤の例としては、アンモニア、有機アミン類、及びこれらの塩等の通常用いられるものが挙げられる。アルカリ剤は、染毛組成物に対し好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、特に0.5〜5重量%添加される。
【0032】
本発明の染毛組成物に、多価アルコールから誘導されるエトキシ化物を配合することができる。このエトキシ化物のエトキシ化度は少なくとも0.5であり、好ましくは2より大きい。多価アルコールから誘導されるエトキシ化物の例としては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール類(PEG)、及びその他のエトキシ化多価アルコール類が挙げられる。これらの例としては、PEG−300、PEG−1500、及びエトキシ化度2〜20、好ましくは3〜10、のエトキシ化グリセリンが挙げられる。皮膚科学的性質の点から、グリセリンから誘導された生成物が好ましい。有用なエトキシ化グリセリン類の調製方法はEP−A−1045021に記載されている。
【0033】
多価アルコールから誘導されるエトキシ化物の量は、染毛組成物の全重量に対し、好ましくは0.5重量%〜25重量%、より好ましくは1〜8重量%である。
【0034】
本発明の染毛組成物には、酸化剤を含有させることができる。この場合、染毛とブリーチは同時に行われるので、より鮮やかに染毛することができる。通常用いられる酸化剤、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過ホウ酸ナトリウム等の過ホウ酸塩、過炭酸ナトリウム等の過炭酸塩、臭素酸ナトリウム、及び臭素酸カリウム等の臭素酸塩を用いることができる。このうち、過酸化水素が特に好ましい。酸化剤は、染毛組成物の全重量に対し0.5〜10重量%、特に1〜8重量%配合される。
【0035】
更に、本発明の染毛組成物に酸化染料を含有させることができる。酸化染料を加えることにより、酸化染料単独の使用では達成できない極めて鮮やかな染色が可能になる。酸化剤として上に例示した酸化剤を用いることができるが、過酸化水素が特に好ましい。また別の方法として、ラクターゼ等の酸化酵素を用いることもできる。酸化染料として、酸化型染毛剤に通常用いられている既知の顕色物質やカップリング物質を用いることもできる。
【0036】
顕色物質としては、例えば、p−フェニレンジアミン、p−トルイレンジアミン、N−メチル−p−フェニレンジアミン、クロル−p−フェニレンジアミン、2−(2'−ヒドロキシエチルアミノ)−5−アミノトルエン、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−p−フェニレンジアミン、メトキシ−p−フェニレンジアミン、2,6−ジクロル−p−フェニレンジアミン、2−クロル−6−メチル−p−フェニレンジアミン、6−メトキシ−3−メチル−p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノアニソール、N−(2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、及びN−2−メトキシエチル−p−フェニレンジアミン等のNH2−基、NHR−基、及びNR2−基(Rは炭素数1〜4のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を示す)から選択される基を1種又は数種類有するp−フェニレンジアミン類;2,5−ジアミノピリジン誘導体及び4,5−ジアミノピラゾール誘導体;p−アミノフェノール、2−メチル−4−アミノフェノール、N−メチル−p−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフェノール、2,6−ジメチル−4−アミノフェノール、3,5−ジメチル−4−アミノフェノール、2,3−ジメチル−4−アミノフェノール、及び2,5−ジメチル−4−アミノフェノール等のp−アミノフェノール類;o−アミノフェノール類、o−フェニレンジアミン類、4,4'−ジアミノフェニルアミン、及びヒドロキシプロピルビス(N−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン);及びこれらの塩が挙げられる。
【0037】
カップリング物質としては、例えば、ヒドロキノン、1−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−2−メチルフェノール、5−(2'−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール、2,4−ジアミノアニソール、m−トルイレンジアミン、レゾルシン、m−フェニレンジアミン、m−アミノフェノール、4−クロロレゾルシン、2−メチルレゾルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2,6−ジアミノピリジン、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドール、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、2−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、4−アミノ−2,6−ジヒドロキシピリミジン、4,6−ジアミノ−2−ヒドロキシピリミジン、及び1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン;及びこれらの塩が挙げられる。顕色物質又はカップリング物質として、上記に例示したものを一種以上用いることができる。その含有量は特に制限されないが、組成物全体に対し0.01〜20重量%、特に0.5〜10重量%添加される。
【0038】
本発明の染毛組成物に対し、インドールやインドリンを代表とする既知の自動酸化染料、又はニトロ染料や分散染料等の既知の直接染料を加えることもできる。ポリオール、ポリオールアルキルエーテル、カチオン性又は両性高分子、又はシリコーンを本発明の染毛組成物に加えると、得られる染毛組成物の美容効果が改良されるので好ましい。
【0039】
上記の各成分に加え、本発明の利益を損なわない程度で化粧品の原材料として通常使用されるものを、本発明の染毛組成物に加えることができる。このような任意的な成分の例としては、炭化水素類、動物性又は植物性の油脂類、高級脂肪酸類、有機溶媒、浸透促進剤、カチオン界面活性剤、天然高分子又はや合成高分子、高級アルコール類、エーテル類、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、タンパク誘導体、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、酸化防止剤、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、セラミド類、擬似セラミド類、着色料、香料、及び紫外線吸収剤が挙げられる。
【0040】
ケラチン質繊維を染色するための本発明組成物は、従来の方法により一剤式組成物や、二剤式組成物(アルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を含む)、三剤式組成物(前記第1剤、第2剤に加え、過硫酸塩等の粉末状酸化剤を含む)に調製することができる。直接染料は、この二剤式組成物あるいは三剤式組成物の第1剤及び第2剤の一方又は両方に含有させることができる。一剤式のものは毛髪に直接塗布するが、二剤式又は三剤式のものは染毛にあたり各剤を混合した後でケラチン質繊維に塗布される。
【0041】
本発明のケラチン質繊維染色用組成物の形態は特に制限されない。例えば、粉末状、透明液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、エアロゾル状、エアロゾルフォーム(ムース状)が挙げられる。毛髪に塗布する際(二剤式組成物又は三剤式組成物を用いる場合はすべての剤を混合した後)の粘度は2000〜100000mPa・sが好ましい。
【0042】
本発明の組成物の一種以上をケラチン質繊維に有効量適用することを含むケラチン質繊維の染色方法も本発明に含まれる。
【0043】
ケラチン質繊維染色用組成物のレべリング剤としての式(I)又は(II)の化合物の使用も本発明に含まれる。
【0044】
当業者に本発明についての十分明確な説明を提供するため、以下に実施例を記載するが、本明細書の前段に記載した本発明の本質的様相を制限するものではない。
【0045】
【実施例】
実施例1〜3は参考例であって、特許請求の範囲に包含されるものではない。
染毛組成物の調製
本実施例で用いた化合物は以下の通りである。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示したレべリング剤は以下の通りである。
化合物(g):ポリオキシエチレン(4)菜種油アミド(95重量%有効分)
アミノールA−15(Aminol A-15):(97重量%有効分)、C13〜15 Pareth−2 Carboxamide MEA(花王ケミカルズヨーロッパより販売)
【0048】
化合物(a):式(II)においてR'、R''及びR'''はH、p=3、R=やし油で表わされる化合物。
R−CO−NH(CH2CH2O)3−H(R=やし油)
【0049】
化合物(b):式(II)においてR'及びR''はH;R'''はH又はメチル基;p=3;R=菜種油である化合物であり、式(III)においてR'及びR''はH;r=1;s=2;R=菜種油である化合物に相当する。
R−CO−NHCH2CH(CH3)O(CH2CH2O)2−H(R=菜種油)
【0050】
化合物(c):式(II)においてR'及びR''はH;R'''はH又はメチル基;p=3;R=やし油である化合物であり、式(III)においてR'及びR''はH;r=1;s=2;R=やし油である化合物に相当する。
R−CO−NHCH2CH(CH3)O(CH2CH2O)2−H(R=やし油)
【0051】
化合物(d):式(I)においてR'、R''及びR'''はH;n=1;m=4.5;R=C12〜C14である化合物。
R−O−(CH2CH2O)4.5−CH2−CO−NH−CH2CH2OH(R=C12〜C14)
ポリオキシエチレン(4.5)(C12〜C14)アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミド
【0052】
化合物(e):式(I)においてR'、R''及びR'''はH;n=1;m=7;R=C12〜C14である化合物。
R−O−(CH2CH2O)7−CH2−CO−NH−CH2CH2OH(R=C12〜C14)
ポリオキシエチレン(7)(C12〜C14)アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミド
【0053】
化合物(f):式(I)においてR'、R''及びR'''はH;n=1;m=3;R=C12〜C14である化合物。
R−O−(CH2CH2O)3−CH2−CO−NH−CH2CH2OH(R=C12〜C14)
ポリオキシエチレン(3)(C12〜C14)アルキルエーテルカルボン酸モノエタノールアミド
【0054】
当該分野における自体公知の方法で、表2に示す染毛組成物を調製した。各ケースとも表1に示した中からレべリング剤を選択した。
【0055】
表2に示す量は、重量パーセント(重量%)で表す。
【0056】
【表2】
【0057】
レベリング効果の評価
損傷を受けた毛髪を調製するために1gのやぎ毛(白色)を粉末漂白剤INAZUMA(商品名;花王(株)の漂白剤)で3回処理した。
【0058】
健康なやぎ毛(白色)2束と損傷を受けたやぎ毛2束に、第1剤と第2剤を1:1(重量比)で混合した前述の染毛組成物のそれぞれ20gを30℃で30分間塗布した。その後、各毛束をすすぎ、標準シャンプーで洗浄した後、空気乾燥した。
【0059】
染色処理後の毛の明るさをカロリメータコンピュータ ND−1010C(日本電色工業(株)提供)を用いて決定した。
【0060】
表1に示した各レべリング剤のレベリング効果(LE)は以下のように算出した。
LE=(E(DH)−(E(HH)
式中、(Eは染色用組成物で処理する前及び後の毛の色強度の差、DHは損傷を受けた毛、HHは健康な毛を示す。
【0061】
LEの数値が低いほど、レべリング剤のレベリング効果が高いことを示す。
【0062】
結果を表3に示す。
【0063】
【表3】
【0064】
これらの結果は、本発明に係るレべリング剤が比較例のレべリング剤よりもレベリング効果(LE)が優れている上に、健康な毛に対する染色強度〔(E(HH)〕も優れていることを明らかに示している。
【0065】
本発明に係るレべリング剤を2種以上組合せて使用すると特に有用であることが判明した(実施例6)。
【0066】
上述の本発明組成物の必須の様相に対して影響、変更、改変、或いは修正を加えるものでない変更である限り、そのような変更等は本発明の範囲に含まれる。
Claims (7)
- 多価アルコールから誘導されるエトキシ化物を更に含有する、請求項1に記載の組成物。
- 酸化剤を更に含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
- 酸化染料を更に含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物の少なくとも一種をケラチン質繊維に有効量適用することを含む、ケラチン質繊維の染色方法。
- 前記ケラチン質繊維が人毛である、請求項5に記載のケラチン質繊維の染色方法。
- ケラチン質繊維染色用組成物のレベリング剤としての、請求項1で定義された式(I)又は(III)の化合物の使用。
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