JP4023830B2 - 血管創傷閉鎖装置 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明は患者の血管構造における刺し傷または他の創傷の閉鎖を助成する装置に関する。詳細には、本発明は血管構造における創傷の位置を見つけ、この創傷を隔絶し、適切な創傷閉鎖装置をその箇所へ案内して、外科クリップ、縫い糸またはステープルを使用して創傷を閉じるように助成する血管創傷閉鎖装置に関する。
発明の背景
手足における著しく狭くなった動脈を通る血液の流れを増大したり、復帰させたりする末梢血管疾患の治療に、経管腔バルーン血管形成法が使用されており、この経管腔バルーン血管形成法は冠状動脈の閉塞の治療にも使用されている。実際、冠状血管形成は狭窄性および閉塞冠状動脈の血管再新生のためのバイパス手術に対する主な実行可能変更例として出現した。バイパス手術とは違って、血管形成法は一般の麻酔、胸壁部の開口、心−肺機械の使用、または輸血を必要としない。血管形成法は患者に対してさほど侵略的でも、外傷的でもないだけではなく、短い病院滞在および短い回復時間のため、さほど高価でもない。
経管腔バルーン血管形成法は、まず中空の針を皮膚の挿通し、患者の大腿部動脈に挿入することにより行われる。中空の針に通してガイドワイヤを動脈の中へ前進させ、次いで治療すべき閉塞血管または心弁の箇所に向けて患者の血管構造に沿って前進させる。X線像形成を使用してガイドワイヤを血管系を通して治療すべき狭窄部を丁度過ぎた位置に移動させるのを助ける。次いで、バルーンカテーテルをガイドワイヤ上に通し、収縮バルーンが狭窄部内に入るまでバルーンカテーテルを前進させる。次いで、バルーンを繰り返し膨らまして狭くなった血管を広げる。手順が完了した後、カテーテルおよびガイドワイヤを血管および患者から抜き取る。
血管の外観を変える疾患を検出するのに使用される血管造影法は同様な方法で行われる。まず、中空針を皮膚に挿通させて大腿部動脈に挿入し、次いでガイドワイヤを針に挿通して患部血管に挿入する。次いで、カテーテルを所望の位置まで案内するためにX線造影を使用してカテーテルをガイドワイヤ上に通し、検査すべき血管に挿入する。次いで、患部血管に沿った血液の流れを調べることができるように、コントラスト媒体を注入し、急速な連続X線写真を取る。完了すると、カテーテルおよびガイドワイヤを患者の身体から取り出す。
血管形成法または血管造影法中に使用されたカテーテルおよびガイドワイヤを取出した後、大腿部動脈における刺し傷を閉じて動脈内の刺し箇所からの出血を止めなければならない。現在、出血を止める試みにおいてアイスパックおよび圧力を数時間持続する期間、動脈に付与する。しかしながら、患者が動くと、創傷が再び開き、再び出血し始める重大な恐れがある。ステープル、クリップおよび縫い糸を使用して刺し傷を閉鎖するのに努力がなされてきたが、これらの努力は主として大腿部動脈における刺し傷の位置をはっきりと確認し、この刺し傷を可視化することができないことに因り首尾良くいかなかった。
また、患者の血管構造に他の創傷も位置を見つけ接近するのが難しい。かくして、内腔内バルーン血管形成法および血管造影法に従って大腿部動脈刺し傷のような患者の血管構造における創傷を閉鎖し易くする装置および方法が極めて有利である。刺し傷の位置を見つけ、ステープル、クリップまたは縫い糸を使用して傷を閉じ易くするのを助成する能力を有する装置によれば、現在のところこのような傷と関連した長期な出血を無くせる。
発明の概要
本発明の創傷閉鎖装置は患者の血管構造における刺し傷の位置を見つけ、隔絶するのを助成する。この装置は診断および治療手順中、血管構造に通常挿入されるガイドワイヤと協働して使用される。本発明の装置は医師が傷を閉じるのを助成し、かくしてこれらの手順と関連した長期の出血を無くす。
本発明の1つの特徴によれば、大腿部動脈における創傷を閉じ易くする装置が提供される。このリトラクタは2つの半体に分離可能なボディ部分を備えており、半体の各々は溝を持つ平らな内面を有しており、内面が互いに当接すると、溝はボディ部分の全長を通るチャンネルを構成するようになっている。リトラクタはボディ部分の両半体を横切る少なくとも1つのガイド通路を有するカラー部分を一端に有しており、且つガイド通路に挿入可能な少なくと1つのピンとを有している。使用者が装置を容易に操れるように把手がピンから横方向に延びている。少なくとも1つの押えねじ穴がガイド通路と直角にカラー部分に設けられ、装置をピンに固着するために、少なくとも1つの押えねじを押えねじ穴に挿入されるのがよい。
装置はポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリテレフタレートのような生物適合性エンジニアリングポリマーで製造されるのがよい。変更例として、装置を製造するのにエラストマーまたは金属を使用することもできる。
好ましくは、ガイドワイヤを受け入れるようになっている中空の拡張器をリトラクタと協働で使用する。拡張器はリトラクタのボディ部分のチャンネルに挿通され、リトラクタの遠位端部を越えて延びている。拡張器は好ましくはその遠位端部に位置決めされた少なくとも1つのインジケータ穴を有しており、このインジケータ穴は拡張器の端部を越えて延びている。拡張器はインジケータ穴の直ぐ近位箇所で遠位端部に設けられた二重スリーブ付き膨らまし可能なバルーンと、インジケータ穴の直ぐ遠位の箇所に設けられた第2の膨らまし可能なバルーンとを有している。これらのバルーンは拡張器を適所に固定し、且つインジケータ穴から刺し傷への接近するのを助ける。拡張器の挿入を案内するのを助けるのにガイドワイヤが使用される。ガイドワイヤを中空拡張に挿通し、拡張器をガイドワイヤ上に沿ってその適切な位置まで前進させる。
本発明の他の特徴は患者の血管構造における創傷の閉鎖を容易にするための装置を有する。この装置は上記のようなリトラクタと、ガイドワイヤを受け入れるようになっている中空拡張器と、ガイドワイヤとを有している。ガイドワイヤは拡張器に挿通され、拡張器はリトラクタのチャンネルに挿通される。好ましくは、外科クリップアプリケータに可逆的に取付けられるようになっているガイド組立体を使用する。このガイド組立体はガイドワイヤを受け入れてクリップアプリケータを刺し傷の箇所まで案内するのを助ける。
拡張器は好ましくはその近位端部に中空の拡張器と流体連通状態で連結された負圧源を有する。この負圧源は注射器でもよいし、或いは任意の他の適切な源でもよい。
また、患者の血管構造における創傷の閉鎖を容易にする方法を説明する。まず、ガイドワイヤの遠位端部が血管構造内になり、近位端部が患者の身体の外側に留まるまで、ガイドワイヤを創傷を通して患者の血管構造に挿入する。ガイドワイヤの近位端部を、二重スリーブ付きバルーンと、この二重スリーブ付きバルーンの遠位方向の第2バルーンとを有する中空の拡張器の遠位端部に挿入する。拡張器を創傷に達するまでガイドワイヤ上に沿って前進させる。バルーンを膨らまして拡張器を適所に固定し、拡張器の近位端部をリトラクタの遠位端部に挿入する。リトラクタを二重スリーブ付きバルーンの2つのスリーブ間に前進させる。リトラクタ2つの半体を分離し、拡張器および二重スリーブ付きバルーンの内側スリーブを患者から取り出す。リトラクタおよびバルーンの外側スリーブをガイドとして使用して、創傷に接近し、創傷をクリップ留め、ステープル留めまたは縫糸留めのような手段により閉じる。
好ましくは、血液が血管構造から拡張器へ吸い込まれるまで、挿入中、負圧源拡張器の近位端部に設けられる。これにより、使用者が拡張器を適切に位置決めするときを定めるのを助成する。
外科クリップアプリケータに設けられた中空のインジケータ管は好ましくは創傷を閉じるのに使用される。アプリケータを創傷に接触するまでガイドワイヤ上に沿ってリトラクタのチャンネルを通して前進させる。適切な挿入を助けるために、血液が血管構造からインジケータ管に吸い込まれるまで、負圧源がインジケータ管の近位端部に設けられる。
創傷閉鎖を容易にするのに使用されるリトラクタの更に他の具体例では、リトラクタはボディ部分と、把手部分とを有している。ボディ部分はその遠位端部に引っ込め部分を有しており、この引っ込め部分はボディ部分から離れる方向に延びる2つの移動可能な半体を有している。半体は内面が互いに当接するように形成されており、引っ込め部分を完全に貫いて延びるチャンネルが形成される。把手部分はボディ部分に繋がっており、2つの移動可能な半体の移動を制御する。好ましくは、把手部分は2つの把手と、一方の把手から他方の把手まで延びるループとよりなる。このループは他方の把手に設けられたねじを取り囲んでいる。この係止機構は把手の位置およびリトラクタの引っ込め部分を固着するように作用する。
通るガイドワイヤを受け入れるようになっている開放近位端部および開放遠位端部を有している中空カテーテルをリトラクタと協働して使用される。中空のカテーテルをリトラクタの引っ込め部分のチャンネルに挿通する。カテーテルは好ましくは、ガイドワイヤを受け入れるようになっている内側内腔と、内側内腔を取り囲むそつがわ内腔とを有する二重内腔カテーテルである。外側内腔はこれを通して血液の吸引を行うために外側壁部に位置決めされた少なくとも1つのインジケータ穴を有している。これによりカテーテルを患者の身体内に位置決めするのを助ける。
リトラクタおよび二重内腔カテーテルは下記のように使用される。リトラクタはカテーテルの外壁部に位置決めされたインジケータ穴の背後にほぼ0.5mmのところでカテーテルの遠位端部の外側に設けられる。診断または治療手順の結果、すでに患者の適所にあるがいどわいやの近位端部を二重内腔カテーテルの内側内腔の遠位端部に挿入し、カテーテルおよびリトラクタを単一のユニットとしてガイドワイヤ上に沿って前進させる。
好ましくは、前進中、二重内腔カテーテルの外側内腔の近位端部に負圧源が設けられる。血液がインジケータ穴を通して外側内腔に吸い込まれるやいなや、カテーテルおよびリトラクタの前進を止める。次いで、引っ込め部分の2つの半体を離して創傷を露出させ、カテーテルおよびガイドワイヤを取出し、創傷を閉じる。
更に、膨らまし可能なバルーンを遠位端部に有する第2カテーテルを使用するのがよい。リトラクタおよび二重内腔カテーテルが適所にあれば、ガイドワイヤを二重内腔カテーテルの内側内腔を通して患者から取り出す。遠位端部に設けられた膨らまし可能なバルーンを有する内側カテーテルを二重内腔カテーテルの内側内腔を通して患者に挿入する。血管構造に内側になると、バルーンを膨らまして抵抗が齧られるまで近位方向に引っ張る。これにより、カテーテルを適所に固定し、ならびに創傷の閉鎖中の出血を止めるのを助ける。二重内腔カテーテルを取出し、内側カテーテルを使用して閉鎖装置を創傷へ案内する。最後に、リトラクタを取り出す。
本発明は有利には、患者の血管構造における創傷を閉じ易くする簡単な安全方法、およびこの方法を容易にする装置を提供する。ガイドワイヤ、拡張器またはカテーテルとの協働で使用されるリトラクタが患者の刺し傷の箇所を見つけ、隔絶するのを助ける。リトラクタは患者の中へ前進されるとき、周囲の組織を横方向に移動させ、医師が創傷の正確な箇所を見つけるためのガイドとして作用する。リトラクタは好ましくは創傷の箇所にクリップを送り出す外科クリップアプリケータとの組み合わせで使用されるが、縫糸留めおよびステープル留めのような他の創傷閉鎖方法でも使用することができる。本発明は現在の心臓診断および治療手順と関連した長期出血を無くし、医療分野における著しい進歩をもたらす。
【図面の簡単な説明】
第1図は血管形成法および血管造影法中、代表的に大腿部の動脈が接近されて刺される箇所を示す人間の身体の一部の側面図である。
第2図は本発明の創傷閉鎖装置の一実施例の斜視図である。
第3図は本発明の創傷閉鎖装置の分解斜視図である。
第4図は中空針を経て接近された大腿部の動脈と、膨らまし可能なバルーンを取付けてあり、中空の針を通して大腿部の動脈に挿入されたガイドワイヤとを示す人間の身体の一部の横断面図である。
第5図は本発明の創傷閉鎖装置と協働して使用される外科クリップアプリケータの遠位端部の側面図である。
第6図はガイドワイヤを位置決めして大腿部の動脈を示し人間の身体の一部の部分横断面図、および遠位先端部が大腿部の動脈の刺し傷の箇所にある状態でガイドワイヤ上に位置決めされた本発明のリトラクタの斜視図である。
第7図はキャップを取外し、且つ外科クリップアプリケータがリトラクタ内の溝に挿入された状態のリトラクタの側面図である。
第8図は第7図の線8−8に沿ったクリップアプリケータおよびリトラクタの横断綿である。
第9図は本発明による大腿部動脈閉鎖装置の別の実施例の斜視図である。
第10図は第9図に示す大腿部動脈閉鎖装置の別の実施例の分解斜視図である。
第11図はわずかに分離され、拡張器が挿通された第9図および第10図のリトラクタの2つの半体の側面図である。
第12図は拡張器およびガイドワイヤが挿通されたリトラクタの遠位端部の横断面図である。
第13図は大腿部動脈局部化/閉鎖組立体の構成要素の側面図である。
第14図はわずかに分離され、且つアプリケータガイドおよびガイドワイヤを挿通した外科クリップアプリケータを有するリトラクタの2つの半体の側面図である。
第15図は本発明の外科クリップアプリケータガイドの頂面図である。
第16図はガイドワイヤが挿通されたクリップアプリケータガイドの側面図である。
第17図は遠位端部に取外し可能な二重スリーブ付きバルーンを有する拡張器の拡大斜視図である。
第18図はバルーンのスリーブを膨らました状態の第17図の拡張器の拡大斜視図である。
第19図はバルーンのスリーブ間に挿入されたリトラクタを有する第18図の拡張器の拡大斜視図である。
第20図はリトラクタおよびバルーンの外側スリーブにより形成されたトンネルを示し、拡張器を取外した状態の第19図の拡張器およびリトラクタの拡大斜視図である。
第21図は本発明によるリトラクタの他の別の具体例の斜視図である。
第22図は第21図に示すリトラクタの別の具体例の分解斜視図である。
第23図は本発明による二重スリーブ付きバルーンおよび遠位バルーンを設けた拡張器の別の具体例の斜視図である。
第24図はl形内側スリーブを示す二重スリーブ付きバルーンの他の具体例の頂面図である。
第25図は膨らまされたバルーンを示す第23図の拡張器の別の具体例の斜視図である。
第26図は拡張器における種々の内腔を示す本発明の拡張器の横断面図である。
第27図はインジケータ管を設けた外科クリップアプリケータの遠位端部の側面図である。
第28図は閉鎖位置に示される本発明のリトラクタの別の具体例の斜視図である。
第29図は開放位置に示される本発明のリトラクタの別の具体例の斜視図である。
第30図は中央内腔に挿通されたガイドワイヤを有する本発明の二重内腔インジケータ管の側面図である。
第31図はリトラクタを設けた本発明の二重内腔インジケータ管の側面図である。
好適な実施例の詳細な説明
前置き
下記の説明は大腿部の動脈における刺し傷の閉鎖を詳細に示しているが、本発明は大腿部の動脈にのみ使用することに限定するものではない。むしろ、下記の説明は単に例示的なものであって、当業者は血管系に対する他の種類の創傷に使用するように以下に説明する方法を容易に変更できよう。
まず第1図を参照すると、血管形成法または血管造影法中、大腿部動脈10が代表的に接近されて刺された箇所5を示す人間の身体の一部の側面図が示されている。これらの手順中、中空の針15をまず、皮膚を通して大腿部動脈10に挿入する。次いで、第4図に示すように、ガイドワイヤ20を中空針15の近位端部を通して動脈10に挿入し、針15を患者から抜き取る。ガイドワイヤ20を所望の位置へ差し向ける助けとして、しばしば、X線造影を使用して、ガイドワイヤ20を患者の血管構造を通して前進させる。
ガイドワイヤ20が所望の位置にあると、カテーテルを使用する。ガイドワイヤ21の近位端部をカテーテルの遠位端部に挿入し、カテーテルをガイドワイヤ20上に沿って通し、所望の位置まで前進させる。血管形成法の場合、カテーテルは遠位端部に取付けられた膨らまし可能なバルーンを有している。狭窄部内の適所にあると、バルーンを繰り返し膨らましたり窄ませたりして狭くなった血管を広げる。血管造影法の場合、すぐ上で述べたようにカテーテルをガイドワイヤ20上に沿って検査べき血管の中へ通す。次いで、患部の血管に沿った血液の流れを調べることができるよう、コントラスト媒体を注入し、急速な連続X線写真を取る。
これらの手順のいずれかが完了した後、カテーテルおよびガイドワイヤ20を血管および患者から抜き取る。中空針15、ガイドワイヤ20およびカテーテルの挿入により生じられる大腿部動脈10の刺し傷25を閉じて、動脈10の刺し箇所25を通る出血を留めなければならない。
リトラクタの構成
大腿部動脈10の創傷25を閉じ易くするために、リトラクタ30を用いる。リトラクタ30は、第2図および第3図に示すように、ボディ部分35およびキャップ40を備えている。リトラクタ30のボディ35は幅狭いテーパした遠位端部37および幅広い円形の近位端部41を有している。この装置30は各半体35a、35bに1つずつ、そのボディ35に位置決めされた2つの把手43、45を有している。把手43、45はリトラクタ30の近位端部41からほぼ3分の1のところに位置決めされており、リトラクタ35のボディから横方向に延びている。これらの把手43、45は使用者が装置30を取り扱うのを助ける。また、リトラクタ30は穴47を有する円形キャップ40を近位端部41に備えている。この穴47は装置30の全長にわたって延びているチャンネル50の中へ延びている。
図3に示すように、リトラクタ30のキャップ40およびボディ35は3つの分離可能な部片、キャップ部分40およびボディ部分の2つの半体35a、35bよりなる。取外し可能はキャップ40は雌ねじ55になっている。ボディの2つの半体35a、35bの近位端部39は雄ねじ60になっており、キャップ40を取外し可能に受け入れるようになっている。リトラクタのボディの各半体35a、35bはその平らな内面67に半円形の溝65を有している。キャップ40を第2図に示すようにボディの両半体35a、35bにしっかりねじ込むと、3つの部片は相互に接合され、半円形溝65は装置30の内部を通って延びるチャンネル50を形成し、このチャンネル50は近位端部41におけるキャップ47の穴のところで始まって、ボディ35を通って連続し、ボディの両半体35a、35bが合わさるところのリトラクタ30の遠位端部37の小さい穴49で終わっている。キャップ40をボディ35から外すと、ボディの両半体35a、35bを第3図に示すように互いに離れる方向に移動させることができる。
リトラクタの別の実施例
本発明の他の好適な実施例が第9図および第10図に示されている。この実施例では、リトラクタ100は引っ込み機構を有しており、この引っ込み機構によりリトラクタボディ102の2つの半体102a、102bをそれらの整合を維持しながら所望距離、互いに離れる方向に移動することができる。また、リトラクタはボディ部分102および環状キャップ104を備えている。ボディの両半体102a、102bは雌ねじ105キャップ104により初めに互いにに保持されている。このキャップ104はリトラクタボディの雄ねじ半体102a、102bに対してねじ付けたり外したりされる。キャップの外面は106はキャップ104を手で締めつけたり緩めたりするのを容易にするように構成されている。第10図に示すように、リトラクタボディの各半体102a、102bはその平らな内面128の中心から長さ方向下方に延びる半円形の溝128を有している。内面128が互いにに当接するようにキャップ104をリトラクタボディの両半体102a、102bにしっかりねじ付けると、半円形の溝126はチャンネル108を形成する。キャップ104はチャンネル108に接近し得るようにその中心を通って両端部が開放している。
更に、リトラクタ100は第9図および第10図に示すように、雄ねじ近位端部103から離れてリトラクタボディ102に位置決めされたカラー110と、一端が直角な把手116cに取付けられた2つの平行ピン116a、116bよりなるピン組立体116と、2つの押えねじ120a、120bとを備えている。第10図に示すように、ピン116a、116bは、リトラクタボディの一方の半体102bがピン116a、116b上に沿って互いから離れる方向に摺動することができるようにリトラクタボディの一方の半体102bのカラー領域110bを通って設けられた案内通路118a、118bを横切っていれ、リトラクタボディの他方の半体102aのカラー領域110aに置いて穴124a、124bに挿入される。カラー110bは雄ねじ式押えねじ120a、120bを受け入れるようになっている雌ねじ穴122a、122bを有している。押えねじ120a、120bは、これらを前進させると、ピン116a、160bを締めつけ、かくしてリトラクタボディの両半体102a、102b間の距離を固定するようにピン案内通路118a、118bに対して直角にカラー領域110aに入る。
リトラクタの第2の別の実施例
本発明のリトラクタの更に他の実施例が第28図および第29図に示されている。リトラクタ300は遠位ボディ部分302および近位把手部分304を備えている。リトラクタ300における遠位ボディ部分302は半体302a、302bの2つの部分に形成されている。ボディ部分302の遠位端部306では、引っ込め部分308がボディ部分302から離れる方向にボディ部分302に対して角度をなして延びている。好ましくは、引っ込め部分308はボディ部分302と実質的に直角に延びている。また、引っ込め部分308は半体308a、308bの2つの分離可能な部分に形成されている。これらの部分308a、308bの各々は形状が半円形であってもよく、或いはその平らな一体表面に半円形溝312(第29図)を有してもよい。外面は好ましくは丸くなっていて、遠位端部310に向けてテーパしている。2つの部分308a、308bが第28図でわかるように互いに当接するように合わせられると、チャンネル314がリトラクタ300の引っ込め部分308の内部を貫いて形成される。
リトラクタ300の近位端部304には、把手316a、361bが位置決めされている。把手316a、316bは好ましくは細長く、且つ手で操るのに十分な寸法のものである。把手316a、316bはリトラクタ300のボディ部分302にしっかり連結されている。把手316a、316bはリトラクタ300の引っ込め部分308の移動を制御するのに使用される。
第28図および第29図はまた把手のうちの一方316aから他方の把手316bの方向に延びているループ320を示している。他方の把手316bはこれに挿通されたねじ322を有している。ループ320はねじ322を取り囲んでおり、ねじ322を締めると、ループ320がねじ322と下側の表面との間にしっかり保持されるようになっている。この機構は把手316a、316b間の距離を制御し、それにより引っ込め部分308a、308bの両半体間の距離を制御するように作用する。把手316a、316bおよび対応する引っ込め部分308a、308bは、ループ320をねじ322に沿って摺動させ、次いでねじ322を締めてループ320を所望の位置にしっかり固定することによって任意の位置に係止し得る。もちろん、当業者には周知である他の係止機構を使用してリトラクタ300の位置決めを制御することもできる。
本発明のリトラクタは好ましくは多くの強い生物適合性エンジニアリングポリマーのうちの1つで形成される。ポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリテレフタレートのようなプラスチックが好適である。シラスチックまたはシリコーンのようなエラストマーを使用することもできる。最も好ましくは、ステンレスまたは外科用孔またはチタンのような金属を使用してリトラクタを形成する。
拡張器の構成
第11図ないし第13図に示すように、リトラクタ100は好ましくは拡張器150と協働して使用される。当業者には公知のように、中空拡張器150は好ましくはその近位端部にルアーコネクタのような標準雄コネクタを有しており、その遠位端部151が幅狭くテーパしている。拡張器160の内径はガイドワイヤを受け入れるのに十分に大きく、従って、拡張器15をガイドワイヤ144に沿って大腿部動脈の内腔に供給することができる。拡張器は一般には、刺し箇所を拡大し、大腿部動脈への接近を向上させるために血管形成法および血管造影法のような手順に使用される。
本発明の一実施例では、拡張器は好ましくはその全周にわたってその遠位端部151の近くで切欠き152が形成されている。切欠き152は、リトラクタ100を拡張器150上に閉じると、リトラクタボディ112の鋭い遠位先端部が拡張器の切欠き152に埋められるようにリトラクタボディの両半体102a、102bのテーパした遠位先端部用の座部をなす。これは拡張器150とリトラクタ100との間の滑らかな変化部を形成する(第12図)。以下により十分に説明するように、ガイドワイヤ144を拡張器150に挿通し、次いで拡張器150をリトラクタ100に挿通すると(第12図および第13図)、拡張器150はリトラクタボディ102の長さにわたって延びる円形の内部チャンネル108(第9図)内にしっかり位置する。
また、拡張器150は好ましくは、少なくとも1つのインジケータ穴154を有している。第11図ないし第13図に示す拡張器150は互いに直接対向し、切欠き152から数ミリメートル遠いところに位置決めされた2つのインジケータ穴154を有している。穴154と切欠き153との間の距離Xは好ましくは大腿部動脈の壁部の厚さよりほんのわずかに大きい。
変更例として、拡張器150の外側に設けられた先端に変換器の付いた圧力監視カテーテルを拡張器150およびインジケータ穴154と協働して使用してもよい。インジケータ穴154および圧力センサの使用を以下に詳細に説明する。
拡張器/リトラクタ組立体
本発明の他の実施例は第13図に示す全大腿部動脈局部化/閉鎖組立体を備えている。元の刺し傷から現れるガイドワイヤ144を拡張器150を通して送り、次いで拡張器150をリトラクタ100に挿通する。リトラクタ100の遠位端部112が拡張器150の切欠き152内で止まるまでリトラクタ100を拡張器150に沿って前進させる。好ましくは、拡張器150の近位端部の雄継手149が市販の3方Yコネクタ156の1つのポートに連結されている。注射器158または負圧を与える他の手段がYコネクタ156の他のポートのうちの1つに連結されており、ガイドワイヤ144の近位端部は残りのポートを経てYコネクタ156の近位端部から出ている。従って、Yコネクタ156は拡張器150およびガイドワイヤ144の近位端部のシールとして作用する。
拡張器の別の実施例
本発明の他の実施例では、変更された拡張器150を使用する。第17図に示すように、二重スリーブ付きバルーン170が拡張器150に単一のインジケータ穴154より近位のところの遠位端部151の近くに取外し可能に取付けられている。好ましくは、バルーン170はほぼ動脈の壁部の幅、例えば、約1.5mmであるインジケータ穴154からの距離のところに設置されている。膨らまし可能な二重スリーブ付きバルーン170はこれを大腿部動脈10に良好に嵌まらせるようにその遠位端部172のところで傾斜されている。バルーン170はこれを拡張150の近位端部から膨らましてり窄ましたりする膨らまし手段を有している。二重スリーブ付きバルーン170および円筒形リトラクタ100の使用を以下に詳細に説明する。
第23図ないし第25図に示す更に他の実施例では、拡張器220は二重スリーブ付きバルーン222と、その遠位端部226に設けられた第2の膨らまし可能なバルーン224との両方を有している。二重スリーブ付きバルーン222は単一のインジケータ穴228に近位方向でその遠位端部226の近くで拡張器220に取外し可能に取付けられている。第2の膨らまし可能なバルーン224はインジケータ穴228に遠位方向で拡張器220に設けられている。この第2バルーン224は、これを膨らますと、拡張器220を大腿部動脈10の適所に固定して拡張器220を手順中に動脈10から押し出されないようにするのを助ける。かくして、第2バルーン224は動脈10内にインジケータ穴228と共に位置決めされ、一方、インジケータ穴228の近位方向の二重スリーブ付きバルーン222は第25図に示すように動脈10の外側に留まる。バルーン222、224は拡張器220の適切な位置決めを助成し、且つ以下に詳細に説明するように拡張器220が適切に位置決めされたら、拡張器220を固定するのを助ける。
二重スリーブ付きバルーン222の内側スリーブ230は好ましくは以下により詳細に説明するようにリトラクタ200を2つのスリーブ229、230間に挿入し易くするように成形されている。第24図に示すように、内側スリーブ230は「l」の形状であり、かくして外側スリーブ229の内面と内側スリーブ230の外面との間に追加の空間を設けることができる。これにより、リトラクタボディ202a、202bの2つの半体を2つのスリーブ間により容易に挿入することできる。バルーン229、230の2つのスリーブはリトラクタ220の挿入を容易にするのを助ける任意の形態に成形することができる。
二重スリーブ付きバルーン222および第2遠位バルーン224を有する拡張器200は更に第26図に示されている。図面からわかるように、拡張器200はその近位端部225からその遠位端部226まで延びている4つの異なる内腔232、234、236、238を有している。ガイドワイヤ240が内腔のうちの1つ236に挿通されている。他の1つの内腔は二重スリーブ付きバルーン222を膨らませるのに使用され、第3の内腔は拡張器226の遠位端部の第2バルーン224を膨らませるのに使用される。第4の内腔234は拡張器226の遠位端部のインジケータ穴228を通して血液を吸引するのに使用される。注射器は好ましくはこれらの内腔232、234、236、238を通して吸引および膨らまし圧を供給するのに使用される。拡張器225の近位端部は好ましくは注射器と拡張器における種々の内腔232、234、236、238との間の流体連通を行うようになっている。もちろん、バルーンを吸引して膨らませる他の手段を使用してもよく、選択された手段に対応するために、これらの装置用に特別に適合されたコネクタを拡張器225の近位端部に取付けことができる。
二重内腔カテーテル
本発明の更に他の実施例では、刺し傷の正確な箇所を見つけるのに二重内腔カテーテルが使用される。第30図および第31図に示すように、カテーテル340はカテーテル344の近位端部からカテーテル346の遠位端部までずっと延びている内側内腔342を有している。この内側内腔342は以下でより詳細に説明するように内側カテーテル360またはガイドワイヤ350を受け入れるようになっている。
二重内腔カテーテル340の外側内腔は内側内腔342を取り囲んでおり、またカテーテル344の近位端部から遠位端部346まで延びている。カテーテル346の遠位端部の近くで、少なくとも1つのインジケータ穴352がカテーテル340の外壁部に位置決めされている。インジケータ穴352はカテーテル340の外側の領域と外側内腔との間の流体連通をなす。インジケータ穴352を取り囲んでいるリトラクタ340の外面354は好ましくは上昇されたストッパとして作用する。好ましくは、インジケータ穴352とリトラクタ340の上昇表面354の近位端部との間の距離は大腿部動脈の壁部の厚さと略同じである。後述するように、リトラクタ300はまずカテーテルの遠位端部の設けられ、引っ込め部分310の遠位先端が上昇表面354のすぐ近く、すなわち、インジケータ穴352まで約0.5mmまでの近位箇所で止まるように、位置決めされる。これにより引っ込め部分310の遠位先端が動脈における傷の部位のところで患者の身体の内側に適切に位置決めされる。
カテーテル344の近位端部において、外側内腔の近位端部358は好ましくは、以下でより詳細に説明するように注射器360または他の負圧源を受け入れるようになっているルア型コネクタのようなコネクタ364に接合されている。
外科クリップアプリケータ
本発明のリトラクタは外科クリップ、ステープルおよび縫い糸を使用して患者の血管構造の創傷を閉じ易くするのに使用される。従って、本発明の一特徴は外科クリップアプリケータ70の使用を含む。本発明のリトラクタ30と共に使用する外科クリップアプリケータ70が第5図に示されている。この図に示すように、クリップアプリケータ75の遠位端部には、2つの突出羽根77a、77bが取付けられており、これらの羽根はクリップアプリケータ70の遠位端部75の側面から横方向に延びている。これらの羽根77a、77bは第8図で最も良くわかるように、リトラクタ30のボディの2つの半体35a、35bの内面に位置決めされた溝65内に嵌合するように構成されている。クリップアプリケータ70の羽根77a、77bがリトラクタ30のボディの2つの半体35a、35bの溝65にある状態で、以下により詳細に説明するようにクリップアプリケータ70が患者の身体内の適切な位置へ案内される。また、外科クリップアプリケータ70は好ましくはその遠位端部75に取付けられたガイド80を有している。ガイド80は好ましくはクリップアプリケータ70の側面から横方向に延びており、その近位端部および遠位端部が開放しているので、ガイドワイヤ20をそれに通すことができる。このガイド80は以下に説明するようにクリップアプリケータ70を血管刺し穴25の箇所まで正確に案内するためにガイドワイヤ20との組み合わせで使用される。
また、外科クリップアプリケータ70は好ましくはその羽根77a、77bの近位端部が終わる箇所で遠位端部75の近くに位置決めされたストッパ85を有している。後述するように、ストッパ80は血管刺し穴25の箇所にクリップアプリケータ70を適切に位置決めするのを助け、且つクリップアプリケータ70が患者の身体に深く挿入されのを防ぐ。
別の外科クリップアプリケータ組立体
第14図ないし第16図を参照すると、外科クリップアプリケータ130の別の好適な具体例が示されている。このクリップアプリケータ130は標準の市販外科クリップアプリケータ132を組み入れている。本発明によれば、アプリケータはその遠位端部の近くに取外し可能に結ばれたガイド組立体134を有するように変更されている。ガイド組立体はボディ140に取外し可能に固着された羽根付きガイドプレート138を備えている。第14図ないし第16図に示す実施例では、ガイドプレート138を取付けるのにアレンねじ142を使用しているが、他の周知な取付け手段を使用することもできる。外科クリップアプリケータ132の遠位端部は羽根付きガイドプレート138をガイドボディ140に結ぶときに形成されるチャンネル148(第15図)内を摺動する。
ガイドボディ140には、ガイドワイヤ144を受け入れるようになっているガイド管136が取付けられている。上記ガイド管136の好適な実施例は、ガイドワイヤ144が入ると、ガイド管136を閉じる機構を有している。このような機構は上記ガイド管136内に嵌まる第2の部分的に開放した管を含むのがよい。両管の開口部を整合させるときに、ガイド管136を開放するか、或いは両管の開口部をずらすときに、ガイド管136を閉鎖するために、この第2管をガイド管136内で回転させることができる。この開放および閉鎖を容易にするために、内側の管は好ましくは外側のガイド管136のスロットを通る把手を有している。この機構は宝石品に一般に使用される閉鎖構造のようにばね付勢することができる。
外科クリップアプリケータガイド組立体134はリトラクタ100およびガイドワイヤ144とともに、以下に詳述するように大腿部動脈の刺し穴の箇所までクリップアプリケータ132を正確に案内するように設計されている。上述のように、羽根付きガイドプレート138の横縁部はリトラクタボディの各半体102a、102bの内面に位置決めされた溝126(第10図)に嵌まるように構成されている。外科クリップアプリケータ132はその遠位端部のところでガイド管136を通るガイドワイヤ144に追従してリトラクタボディの引っ込み半体102a、102b間で案内される。
第2の別の外科クリップアプリケータ組立体
外科クリップアプリケータ組立体250の別の実施例が第27図に示されている。クリップアプリケータ組立体250は標準の市販外科クリップアプリケータ252を組み入れている。アプリケータ252は遠位端部256の近くに可逆的に留められたガイド組立体254を有するように変更されている。ガイド組立体254はインジケータ管260を受入れるようになっている。インジケータ管260は遠位端部262の近くにインジケータ穴264を有する中空管である。インジケータ管260はこれを通るガイドワイヤ240受け入れ、近位端部のところで負圧源に連結されるようになっている。注射器のようなこの負圧源はインジケータ穴264を通して吸引を行うのに使用される。クリップアプリケータ252に適切に位置決めされると、インジケータ管262の遠位端部およびインジケータ穴264はクリップアプリケータ256の遠位端部を越えて延びる。好ましくは、インジケータ穴264とクリップアプリケータ256の遠位先端との間の距離は動脈壁部の幅にほぼ等しく、例えば、約1.5mmである。
使用方法
まず第4図ないし第8図を参照して、大腿部動脈10における創傷25を閉じるのに外科クリップアプリケータ70と協働してリトラクタ30を使用する第1方法を以下に説明する。上述のように、血管形成法または血管造影法の間、まず大腿部動脈10に中空の針15を刺し、ガイドワイヤ20をそれに挿通する(第4図)。ガイドワイヤ21の近位部分が患者の身体の外側に留まる。ガイドワイヤの遠位端部23が大腿部動脈10内に適所になった後、中空針15を取り出す。次いで、カテーテル(図示せず)をガイドワイヤ20上に沿って通し、患者の身体に挿入する。
好適な実施例では、遠位端部23の近くに位置決めされた膨らまし可能なバルーン24を有する特別に設計されたガイドワイヤ20を診断または治療手順に使用する。ガイドワイヤ20を中空針15を通して患者の血管構造に挿入する。変更例として、例えば、バルーン血管形成手順の場合、当業者に周知の標準ガイドワイヤをバルーンカテーテルと協働して使用することができる。ガイドワイヤ20に位置決めされたバルーン24の代わりに、カテーテルの遠位端部のバルーンを使用することができる。
治療手順または診断手順の完了に引続き、手順中に使用したカテーテルを取り出す。ガイドワイヤ20は患者の血管構造に適所に留まる。(なお、遠位端部にバルーンを有するガイドワイヤの代わりにバルーンカテーテルを使用する場合、カテーテルを患者の内側に残し、そのバルーンの使用は後述のガイドワイヤ20のバルーン24の使用と同じである)。
医師が大腿部動脈10の創傷25を閉じたい場合、医師は、まず、ガイドワイヤ20および/またはカテーテルの遠位端部23が大腿部動脈の刺し箇所25に近くで大腿部動脈10内に入るまで、患者の身体21の外側に留まるガイドワイヤ20および/またはカテーテルの一部を使用して患者の血管構造を通してガイドワイヤ20および/またはカテーテルを抜き取る。次いで、ガイドワイヤ20またはカテーテルの遠位端部23のところのバルーン24を膨らまし、医師が幾らかの抵抗を感じるまで、ガイドワイヤ20またはカテーテルを更に抜き取る。これはバルーン24が大腿部動脈10の内側で、刺し傷の箇所にあることを示している。次いで、医師はガイドワイヤ21の近位端部を完全に組み立てられたリトラクタ30の遠位端部37に位置決めされた穴49に挿入する(第2図、第3図および第6図)。ガイドワイヤ21の近位端部がリトラクタの近位端部41のところのキャップ40の穴47を通って出るまで(第6図)、ガイドワイヤ20をリトラクタ35のボディに形成されたチャンネル50に通す。次いで、抵抗が感じられるまで、リトラクタ30をガイドワイヤ20に沿って患者の身体の中へゆっくり前進させる。抵抗はリトラクタの遠位端部37が大腿部動脈10内の膨らまされたバルーン24に接触していることを示している。従って、リトラクタの遠位端部37は第6図に示すように、大腿部動脈25における刺し穴の箇所に適切に位置決めされる。
好適な実施例では、大腿部動脈閉鎖リトラクタ30と協働して使用されるガイドワイヤ20はリトラクタ30を適切に位置決めしたことを示すのを助ける印し27を有している(第6図)。印し27は好ましくはガイドワイヤ20の小さいビードまたは着色線よりなる。ガイドワイヤ上の印し27はバルーンの近位端部26から近位のところに設置されている。リトラクタ30の長さを測定し、印し27はバルーン26の近位端部から測定して、ガイドワイヤ20の近位方向に少なくとも同じ長さで形成される。かくして、リトラクタ30をガイドワイヤ20上に沿って前進させ、抵抗を感じると、医師は第6図に示すようにガイドワイヤ上の印し27がリトラクタの近位端部41を通って出たかどうかを見るためにチェックする。印し27がまだ見えない場合、医師はリトラクタ30をこれが大腿部動脈の刺し箇所25に接触するように更に前進させなければならない。
リトラクタ30が患者の身体内に適切に位置決めされると、外科クリップアプリケータ70または刺し傷25を閉じる他の方法を使用する。まず、リトラクタ30のキャップ40をねじを緩めることによりボディから取り外す。リトラクタの近位端部から出たガイドワイヤの近位端部21を第7図に示すようにアプリケータ70の外面に位置決めされたガイド80に通す。溝65をリトラクタボディの半体35a、35bの内面に位置決めして状態で外科クリップアプリケータの羽根77a、77bをアプリケータ30に整合させることによって、これらの羽根77a、77bをリトラクタのボディの近位端部39に形成された穴90に挿入する(第7図および第8図)。クリップアプリケータの羽根77a、77bは第8図の最も良く示すようにリトラクタ30の溝65内に嵌まるように寸法決めされている。次いで、クリップアプリケータ70を前進させ、これにより第7図に示すようにリトラクタのボディの両半体35a、35bを分離させる。両半体35a、35bが分離すると、患者の組織を横方向に変位させて上側の組織の下方の大腿部動脈10における刺し箇所25に対する良好な接近を可能にする。クリップアプリケータ70のストッパ85がリトラクタの近位端部39に接触するまでクリップアプリケータ70をリトラクタ30を通して前進させる。この時、ガイドワイヤまたはカテーテルのバルーン24を萎ませ、次いで、カテーテルおよび/またはガイドワイヤ20を患者から取り外す。当業者に周知な方法を使用して、クリップアプリケータの遠位端部に位置決めされた外科クリップを刺し傷25に付ける。大腿部動脈の刺し傷25を閉じると、クリップアプリケータ70およびリトラクタ30を患者から取り外す。
第1の別の方法
第9図ないし第16図を参照して、拡張器150および外科クリップアプリケータ組立体130と協働してリトラクタ100の別の実施例を使用して大腿部動脈の刺し傷を局部化して閉じる方法を以下に説明する。上記のように、血管形成法または血管造影法の完了に引続き、手順中に使用したカテーテルを患者の身体から取り外し、大腿部動脈に挿入されたガイドワイヤだけを残す。望むなら、リトラクタ/拡張器組立体101(第13図)を使用する前に、リトラクタ/拡張器組立体101に組入れられた拡張器150より小さい直径の標準拡張器をガイドワイヤの近位端部へ送り、ガイドワイヤを下って動脈の中へ前進させることができる。この予備工程は必要なら、上側の組織を拡張して、引続きより大きいリトラクタ/拡張器組立体101を周囲の組織に通すのを容易にする。
組織を以上のように拡張したら、まず、孔径のより小さい標準拡張器を取り外す。初めに、ガイドワイヤの近位端部144を拡張器150の遠位チャンネル160(第11図)に挿入する。拡張器150はリトラクタ100の内部チャンネルに予め挿通されており、リトラクタ100は遠位先端部112が拡張器150の遠位先端部の切欠き152に静止するまで拡張器150上に沿ってに前進さられている。次いで、Yコネクタ156を拡張器150の近位端部に取付け、注射器158をコネクタ156のポートのうちの1つに取付ける。次いで、リトラクタ/拡張器組立体101をガイドワイヤ上に沿って患者の身体の中へ前進させる。
リトラクタ/拡張器組立体101を患者の身体の中へ前進させる間、注射器158または他の負圧源(第13図)を経て拡張器150に吸引を連続的に付与する。インジケータ穴154が大腿部動脈の内腔に入ると、血液が注射器158中へ吸い込まれ、これは拡張器150が刺し箇所を通して大腿部動脈に挿入されたことを示している。かくして、拡張器150の切欠き152にまだ埋まっているリトラクタの遠位先端部112は刺し傷の箇所で動脈壁部のすぐ近くに、すなわち、その外側に位置決めされ、拡張器150のインジケータ穴154は動脈内腔から遠くに、すなわち、その内側に位置決めされる。
変更例として、拡張器150はその遠位先端部の近くにファイバオプチック圧力センサのような圧力センサ(図示せず)を有している。このセンサは好ましくはは拡張器150の外壁に取付けられている。好適な実施例では、カミノラボラトリーズ(サンジエゴ、CA)から市販されているカミノカテーテルのような先端に変換器の付いた圧力監視カテーテルを使用する。拡張器150の外側に設けられた圧力センサをガイドワイヤ上にそって大腿部動脈に挿入する。圧力センサは、これを大腿部動脈に挿入すると、圧力監視装置と協働して圧力の増大を示す。この時点で、リトラクタ100の前進を止めて、リトラクタの遠位先端部112が刺し傷の箇所で動脈壁部の近くに位置決めされる。これにより、医師は患者の大腿部動脈の刺し傷の箇所を適切に見つけることができる。
拡張器150およびリトラクタ100が適切な位置になれば、キャップ104をリトラクタ100から取出し、押えねじ120a、120bを緩め、リトラクタの2つの半体120a、120bを互いに離れる方向に横方向に摺動させることによってリトラクタボディの2つの半体102a、102bをわずかに分離する(第10図)。これにより2つの半体102a、102bの遠位先端部112が拡張器150の切欠き152から出(第11図)、刺し箇所に跨がる。次いで、押えねじ120a、120bを締めてリトラクタ100の2つの半体102a、102bを分離位置に保持する。リトラクタ100を押し下げて大腿部動脈の外壁部に当てながら、拡張器150を抜取り、リトラクタ100およびガイドワイヤ144のみを動脈における刺し傷の箇所で適所に残す。
創傷を閉じるためには、リトラクタ100を外科クリップアプリケータ組立体130を刺し箇所に接近させるのに十分遠くに引っ込ませなければならない。押えねじ120a、120bを緩めると、リトラクタのピン把手116c(第9図および第10図)に圧力を加えることによってリトラクタの2つの半体102a、102bを更に分離する。リトラクタを十分に引っ込ませると、リトラクタ組立体100の押えねじ120a、120bを締めてリトラクタ半体間に適切な距離を維持する。必要なら、リトラクタボディの各半体102a、102bの溝126内の摺動に適した厚さと、外科クリップアプリケータガイド組立体134の羽根付きガイドプレート138(第14図)の幅に等しい幅とを有する別体のリトラクタを使用してリトラクタボディを適切な距離に開放することができる。
第2の別の方法
第17図に示す別の実施例では、拡張器の遠位端部151に取外し可能に取付けられた二重スリーブ付き膨らまし可能なバルーン170をインジケータ穴154のすぐ近くに有する変更拡張器150を使用する。バルーン拡張器装置175をガイドワイヤ144上に沿って患者の身体に挿入する。上述のように、バルーン拡張器装置175を前進させると、負圧が注射器または他の源を経て装置に加えられる。血液が吸い込まれると、バルーン拡張器装置175の前進を止める。次いで、二重スリーブ付きバルーン170を膨らまして第18図に示すように大腿部動脈の刺し傷と患者の身体の表面との間にトンネル176を形成する。
二重スリーブ付きバルーン170は有利には、大腿部動脈閉鎖リトラクタ100が大腿部動脈10に入ってこの動脈を損傷することを防ぐ。万一、窄んだバルーン170が大腿部動脈10の中へ前進されると、バルーン170を膨らます工程がバルーン170を動脈10から引き出し、それにより動脈10に接近するのに使用されるトンネル176を安全に形成する。
バルーン170は好ましくは第17図ないし第19図に示すようにバルーン170が大腿部動脈10にぴったり合うようにその遠位端部のところで傾斜されている。
バルーン170を膨らますと(第18図)、リトラクタ100の遠位先端部が二重スリーブ付きバルーン170の遠位端部に達するまで、リトラクタ100をバルーン170の2つのスリーブ間に前進させる。リトラクタ100がバルーン170の2つのスリーブ間に位置決めされると、リトラクタの両半体102a、102bを互いから離れる方向に移動させる。内側スリーブ178および拡張器150を患者から取出し、分離されたリトラクタ100およびバルーン170の外側スリーブ180を患者に残す。拡張器150および内側スリーブ178をガイドワイヤ144に沿って患者から取り出す。
リトラクタ100およびバルーンの外側スリーブ180は第20図に示すように大腿部動脈の刺し傷と患者の身体の表面との間に接近トンネル182を形成する。このトンネル182によれば、大腿部動脈の刺し傷をシールするために創傷閉鎖装置の導入を行うことができる。
この時点で、リトラクタが大腿部動脈に接近した状態で、ガイドワイヤ144の近位端部を外科クリップアプリケータ組立体130のガイド管136へ挿入し、ガイドプレートの羽根を開放リトラクタボディ102の溝126内に嵌める(第14図ないし第16図)。このとき、クリップアプリケータ組立体130は、外科クリップアプリケータ組立体130の遠位先端部のところのガイド管136を通っているガイドワイヤ144により案内されてリトラクタボディ102の溝126内を摺動して、刺し傷に向けて前進することができる。外科クリップアプリケータ130の遠位先端部が刺し傷の箇所で大腿部動脈10の外壁部に達すると、外科医はガイドワイヤ144を患者の身体から抜取り、外科クリップをすぐに配置する。次いで、創傷を閉じるために、第2クリップを第1クリップから1または2mm離れて配置することができる。
好適な実施例では、刺し箇所の閉鎖のすぐ前に、主手順中に使用された可撓性ガイドワイヤ144を、フックを形成する遠位端部で剛性になるのがよい市販の可変剛性のガイドワイヤと交換する。フック付きの遠位端部を引き戻して動脈における刺し傷をフックすることができる。ガイドワイヤを更に引き戻すと、刺し傷が線形スリット状に伸ばされて外科クリップにより閉じ易くする。
第3の別の方法
第21図ないし第27図を参照して、拡張器220および外科クリップアプリケータ組立体250と共にリトラクタの別の実施例を使用して、大腿部動脈の刺し傷の位置を見つけて閉鎖する方法を以下に説明する。上記のように、血管形成法または血管造影法の完了後、手順中に使用されたカテーテルを患者の身体から取出し、大腿部動脈10に挿入されたガイドワイヤ240のみを残す
ガイドワイヤ240の近位端部をまず拡張器220の遠位内腔236(第26図)に挿入する。拡張器220をガイドワイヤ240上に沿ってで患者の身体の中へ前進させる。上記のように、バルーン拡張器装置250を前進させると、負圧が拡張器225の近位端部のところで連結された注射器または他の源を経て装置に加えられる。血液をインジケータ穴228を通して吸引して拡張器226の遠位端部が大腿部動脈10内に位置決めされたことを示すやいなや、拡張器220の前進を止める。次いで、遠位バルーン224および二重スリーブ付きバルーン222を膨らまして拡張器220を適所に固定し、且つ大腿部刺し傷と患者の身体の表面との間にトンネルを形成する。
バルーン222、224を膨らますと、リトラクタ200を二重スリーブ付きバルーン222の2つのスリーブ229、230間に前進させる。第24図に示すように、二重スリーブ付きバルーン222の内側スリーブ230はリトラクタ200の2つの半体202a、202bを挿入するために2つのスリーブ間により大きい空間を与える「l」形であるのがよい。リトラクタの遠位端部204が大腿部動脈10における刺し傷の直ぐ近位のところに位置決めされるまで、リトラクタ200を前進させる。
リトラクタ200がバルーン229、230の2つのスリーブ間に位置決めされると、リトラクタの2つの半体202a、202bは互いから離れる方向に横に移動される。これは押えねじ214a、214bを緩め、リトラクタボディの一方の半体202bをピン212a、212b上に沿って他方の半体202aから離れる方向に摺動させることによりなされる。二重スリーブ付きバルーン222の内側スリーブ230および拡張器220はガイドワイヤ240に沿って患者から取出し、分離さたリトラクタ200およびバルーン222の外側スリーブ229を患者に残す。リトラクタ200およびバルーンの外側スリーブ229は大腿部動脈刺し傷と患者の身体の表面との間に接近トンネルを構成する。このトンネルにより、大腿部動脈の刺し傷をシールするために創傷閉鎖装置を導入することができる。
この時点で、リトラクタ200およびバルーンの外側スリーブ229が大腿部動脈10へ接近した状態で、ガイドワイヤ240の近位端部を外科クリップアプリケータ252に設けられたインジケータ管260の遠位端部262に挿入する。上記のように、インジケータ穴264がクリップアプリケータ252の遠位端部256を越えて延びるように、インジケータ穴264を有するインジケータ管260の遠位端部262を位置決めする。吸引圧をインジケータ管260の近位端部に加えながら、クリップアプリケータ252のインジケータ管260ガイドワイヤ240上に沿って前進させる。インジケータ穴264を通して血液を吸引するやいなや、インジケータ管260およびクリップアプリケータ256の前進を止める。この時点で、外科クリップアプリケータ256の遠位端部を大腿部動脈10の刺し傷の部位に位置決めする。次いで、外科クリップを付けて傷をシールする。
好ましくは、インジケータ管262の遠位端部を湾曲させるか、或いはフック状に曲げる。フック状に曲げられた遠位端部を使用して動脈の刺し傷をフック曲げし、傷の縁部を互いにブリッジしてクリップを付け易くする。インジケータ管260のフック曲げ遠位端部262を使用して、刺し傷を線状スリット状に伸ばして外科クリップにより閉じ易くする。
第4の別な方法
第26図ないし第31図を参照して、患者の大腿部動脈の傷を閉じる更に他の方法を説明する。まず、大腿部動脈に中空針を刺し、ガイドワイヤ350をそこに挿通する。ガイドワイヤの近位部分351は患者の身体の外側に留まる。ガイドワイヤの遠位部分353が大腿部動脈内に適所になった後、中空針を取り出す。次いで、患者の血管構造への他の医療器具の挿入を案内するガイドワイヤ350を使用して診断および/または治療手順を行う。
治療または診断手順の完了後、手順中に使用した装置を取り出す。ガイドワイヤ350は患者の血管構造に適所に留まる。医師動脈の傷を閉じたい場合、まず拡張器300を二重カテーテル340の遠位端部に取付ける。これは把手のちの一方316b上のねじ322を緩め、把手316a、316bを互いから離れる方向に移動させて引っ込め部分308の2つの半体を分離することによってなされ、引っ込め部分の2つの部分308a、308bを二重内腔カテーテル340のまわりに位置決めする。二重内腔カテーテル340はリトラクタ300の引っ込め部分308の内面に形成された半円形チャンネルまたは溝312内に嵌まる。把手316a、316bを使用して引っ込め部分の2つの半体308a、308bをカテーテル340を取り囲むように互いに合わせる。引っ込め部分308をカテーテル354の上昇部分の直ぐ近位箇所に位置決めし、引っ込め部分の遠位先端310をインジケータ穴352の直ぐ近位箇所に位置決めする。好ましくは、引っ込め部分308の遠位先端はインジケータ穴352の背後の略0.5mmのところにになる(第31図参照)。適所になると、ねじ322をループ320上に締めつけて引っ込め部分の2つの部分308a、308bをカテーテル340に適所に係止する。
リトラクタ300が二重内腔カテーテル340に適切に位置決めされると、医師はガイドワイヤ350の近位端部351を二重内腔カテーテル340の内側内腔342の遠位端部に挿入する。二重内腔カテーテル340およびリトラクタ300をガイドワイヤ350上に沿って患者の中へ前進させる。カテーテル340およびリトラクタ300を前進させると、例えば、外側内腔358の近位端部に取付けられた注射器360を使用して負圧をカテーテルの外側内腔に加える。インジケータ穴352を動脈の内側の位置まで前進させると、血液がインジケータ穴352を通して引かれ、この血液がカテーテル340の外側内腔および注射器において見えるようになる。この時点で、カテーテル340およびリトラクタ300が患者に適切に位置決めされると、カテーテル340およびリトラクタ300の前進を止める。
刺し傷の部位に適切に位置決めされたら、リトラクタ300の近位端部304のところの把手316a、316bを使用して引っ込め部分の両半体308a、308bを僅かに離す。引っ込め部分308a、308bを離すには、ねじ322を緩め、把手316a、316bを所望位置へ操る。次いで、ねじ322をループ320上に締めつけて把手316a、316bおよび対応する引っ込め部分308a、308bの更にの移動を禁止する。
この時点で、周囲の組織が変位されて刺し傷に対する接近経路を形成しており、刺し傷が見える。二重内腔カテーテル340をガイドワイヤ350上に沿って引き抜くことによって患者から取り出す。ガイドワイヤ350は適所に残され、クリップアプリケータのような創傷閉鎖装置を創傷の部位までガイドワイヤ350上に沿って挿入する。ガイドワイヤを取り出したら、チタンまたは生物劣化性材料で作られたもののようなクリップを創傷に付ける。必要なら、刺し傷の閉鎖中、動脈を圧縮して刺し傷からの血液の流出を止める。医師が傷を閉じるのを確信すると、閉鎖装置を取出し、且つリトラクタ300を患者から取り出す。
変更例として、本発明の装置に別体の内側カテーテル360が使用される。この実施例では、リトラクタ300および二重内腔カテーテル340が適所にあり、引っ込め部分308が開放位置にあると、二重内腔カテーテル340は適所に残され、ガイドワイヤ350を内側内腔342を通して患者から抜き取る。遠位端部に膨らまし可能なバルーンを有する内側カテーテル360を内側内腔342を通して患者に挿入する。遠位バルーン362が二重内腔カテーテル340の遠位先端346を越えて前進させると、バルーン362を膨らます。二重内腔カテーテル340を患者から取り出して内側カテーテル360を適所に残す。
バルーンを患者の動脈の内側に適切に位置決めするために、カテーテル340が適切に位置決めされたとき、二重内腔カテーテル346の遠位先端から患者の身体のちょうど外側までの距離を測定するのがよい。次いで、医師は内側カテーテル360を上記距離よりほんのわずかに短い距離だけ挿入して遠位バルーン362が動脈内になるようにする。次いで、医師は抵抗が感じられるまで内側カテーテルを近位方向に引っ張る。これにより、バルーン362を刺し傷の部位に設置する。バルーン362を患者の動脈のちょうど内側に適切に位置決めする。バルーン362は刺し傷からの血液の流出を止める。内側カテーテル360は傷を閉じるのに使用されるクリップアプリケータまたは他の閉鎖装置用のガイドとして使用される。閉鎖装置を膨らまされたバルーン362に接触するまで前進させる。傷がより近い場合、バルーン362をゆっくり窄め、内側カテーテル360を患者から取り出す。最後に、医師が傷が閉じらたことを確信すると、リトラクタを患者から取出す。
本発明は外科ステープルまたは縫い糸の場合にも使用することができる。リトラクタを上記のように患者の身体に挿入し、刺し部位に位置決めした後、リトラクタの2つの半体を分離して組織を刺し部位を取り囲む組織を横方向に変位させる。リトラクタは刺し傷が医師に見えるまで上層の組織の変位を次第に大きくする拡張器のように作用する。次いで、外科ステープルおよび縫い糸を含む傷閉鎖用の任意の許容可能な手段を使用して傷を閉じる。
幾つかの実施例および例を使用して本発明を示し且つ説明したが、本発明の範囲はここに記載の実施例に限定するものではない。本発明の範囲は以下の請求の範囲により定められるものである。

Claims (38)

  1. 患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置であって、該患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置は、
    引っ込め部分に連結されたボディ部分を含み、前記引っ込め部分は、前記ボディ部分から延びる2つの移動可能な半体を有し、該2つの半体は、前記ボディ部分を介して互いに連結されており、かつ、互いに対して移動可能であり、前記2つの半体は、該2つの半体が互いに概して隣接して位置決めされるときに、前記引っ込め部分を通して完全に延びるチャンネルを形成し、
    前記ボディ部分に連結された制御部分をさらに含み、該制御部分は、互いに対して移動可能な2つの把手を備え、該把手および前記引っ込め部分の半体は、前記2つのハンドルの相対移動により前記引っ込め部分の2つの半体の相対移動を制御するように構成されており、
    開放近位端部と、開放遠位端部と、インジケータ穴とを有する中空拡張器をさらに含み、前記インジケータ穴は、前記近位端部と前記遠位端部との間の中空拡張器の外壁を通して形成されており、前記インジケータ穴は、血液を中空拡張器内に流入させることによって中空拡張器が血管構造内に挿入されたことを示すようになっており、
    前記中空拡張器は、前記装置の前記引っ込め部分の前記チャンネル内に嵌合され、前記移動可能な半体の遠位端がインジケータ穴の近位側に近接して配置されるように構成されていることを特徴とする患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置。
  2. 前記制御部分は、前記2つの把手の相対位置を選択的に係止するように構成された係止機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記係止機構は、他方の把手に取り付けられたねじを取り囲む一方の把手から延びるループを備えることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記移動可能な半体は、前記ボディ部分と実質的に垂直であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  5. 前記中空拡張器は、該中空拡張器および前記近位端部および遠位端部を通って延びるようにガイドワイヤを受け入れるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  6. 前記中空拡張器は、二重内腔カテーテルを備え、前記開放近位端部および開放遠位端部は、前記二重内腔カテーテルの第1の内腔に形成されており、前記インジケータ穴は、第2の内腔に開口していることを特徴とする請求項5に記載の装置。
  7. 前記第2の内腔は、前記第1の内腔を実質的に取り囲んでいることを特徴とする請求項6に記載の装置。
  8. 前記第2の内腔と流体連通している負圧源をさらに含む請求項6に記載の装置。
  9. 前記負圧源は、注射器よりなることを特徴とする請求項8に記載の装置。
  10. 前記ボディ部分は、金属でできていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  11. 前記ボディ部分は、生体適合性工学ポリマーよりなることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  12. 前記ポリマーはポリプロピレン、ポリエチレンまたはポリテレフタレートよりなる群から選択されたものであることを特徴とする請求項11に記載の装置。
  13. 前記拡張器は、その外面上にストッパを備え、該ストッパは、大腿動脈の壁の厚さと少なくともほぼ同じ距離だけインジケータ壁の近位側に配置されており、前記引っ込め部分の移動可能な半体の遠位端は前記ストップに配置されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
  14. 前記インジケータ穴を取り囲む拡張器の外面が持ち上がっており、前記インジケータ穴と、前記持ち上がった面の近位端との間の距離が、動脈壁の厚さと少なくとも同じであることを特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. 前記拡張器は、前記インジケータ穴の近位側に位置決めされた膨らまし可能なバルーンを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  16. 前記バルーンは、動脈壁の厚さと少なくとも同じ距離だけ前記インジケータ穴から間隔を隔てて配置されていることを特徴とする請求項15に記載の装置。
  17. 前記拡張器は、前記インジケータ穴の遠位側に配置された第2の膨らまし可能なバルーンをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
  18. 前記拡張器は、該拡張器の外壁に取り付けられた圧力センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  19. 前記半体の近位端部上に嵌まるようになっているキャップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
  20. 前記拡張器は、前記インジケータ穴の近位側に切欠きを含み、該切欠きは、前記半体の遠位端部を受け入れるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  21. 患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置であって、
    遠位のボディ部分と、近位の把手部分と、を備えたリトタクタを含み、
    前記ボディ部分から延びている2つの分離可能な引っ込め部分を含み、該2つの分離可能な引っ込め部分は、開放位置と閉鎖位置との間で互いに対して移動するようになっており、前記2つの分離可能な引っ込め部分は、閉鎖位置にあるときに、これらの2つの引っ込め部分の間にチャンネルを形成し、
    前記把手部分は、少なくとも2つの把手を備え、該少なくとも2つの把手は、互いに対して移動可能であり、該把手の相対移動によって、開放位置と閉鎖位置との間での前記引っ込め部分の相対移動を制御するようになっており、
    前記チャンネルに挿通されるのに適したカテーテルをさらに含み、該カテーテルは、該カテーテルの近位端部から遠位端部まで延びる内腔を有しており、該内腔は、該内腔を通してガイドワイヤを受け入れるようになっており、インジケータ穴が、前記近位端部と前記遠位端部との間の中空拡張器の外壁を通して形成されており、前記インジケータ穴は、該インジケータ穴を含むカテーテルの部分が患者の血管構造内に挿入されたときに血液を中空拡張器内に流入させるようになっており、
    インジケータ穴の近位側のカテーテルの外面上にストッパが形成されており、前記インジケータ穴と前記ストッパとの間の距離は、大腿動脈の壁の厚さと少なくともほぼ同じであり、前記引っ込め部分の遠位端部は、前記インジケータ穴が患者の血管構造に入ったときに、前記引っ込め部分の遠位端部が血管創傷の近位側にあるように前記ストッパあるいはその近くに配置されることを特徴とする患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置。
  22. 前記ストッパは、前記インジケータ穴を取り囲むカテーテルの外面の上昇部分よりなり、該上昇表面部分の近位端は、大腿動脈の壁の厚さと少なくとも同じである距離に配置されていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  23. 前記内腔は、負圧源に取り付けられていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  24. 前記カテーテルは、第1の内腔と、第2の内腔とを備え、前記第1の内腔は、前記ガイドワイヤを摺動可能に収容するようになっており、前記第2の内腔は、前記インジケータ穴と連通していることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  25. 前記第2の内腔が、前記負圧源に取り付けられていることを特徴とする請求項24に記載の装置。
  26. 前記第2の内腔は、前記第1の内腔を同心的に取り囲んでいることを特徴とする請求項24に記載の装置。
  27. 前記カテーテルの外壁を通して延び、前記第2の内腔に開口している第2のインジケータ穴をさらに備え、該第2のインジケータ穴は、前記カテーテルの遠位端から第1のインジケータ穴と実質的に同じ距離に配置されていることを特徴とする請求項26に記載の装置。
  28. 前記把手部分は、前記2つの把手の間の距離を制御するように構成された係止機構を備えることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  29. 遠位端部を有する外科クリップアプリケータをさらに含み、該外科クリップアプリケータの遠位端部には、2つの横方向に突出した羽根が取り付けられており、該羽根は、前記リトタクタの前記ボディ部分のチャンネル内に嵌まるようになっていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  30. 前記外科クリップアプリケータは、その前記遠位端部に取付けられてそこから横方向に延びるガイドを備えており、該ガイドは前記ガイドワイヤを受入れるようになっていることを特徴とする請求項29に記載の装置。
  31. 前記引っ込め部分は、細長く、前記ボディ部分から遠くへ角度をなして延びていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  32. 前記把手は、前記ボディ部分に連結されていることを特徴とする請求項21に記載の装置。
  33. 前記把手は、互いに連結されていることを特徴とする請求項32に記載の装置。
  34. 患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置であって、
    開放近位端部および開放遠位端部を有する中空カテーテルであって、該中空カテーテルを通してガイドワイヤを受け入れるようになっている中空カテーテルを含み、インジケータ穴が、前記近位端部と前記遠位端部との間の中空カテーテルの外壁を通して形成されており、前記インジケータ穴は、該インジケータ穴を含むカテーテルの部分が患者の血管構造内に挿入されたときに血液を中空カテーテル内に流入させるようになっており、
    近位端部および遠位端部を有するボディ部分を備えたリトラクラをさらに含み、前記ボディ部分は2つの半体を有し、該半体の各々は、溝が形成された内面を有し、それによって、前記内面が互いに当接しているときに、前記溝は、前記近位端部から前記遠位端部まで前記ボディ部分を通して完全に延びるチャンネルを形成し、
    キャップをさらに含み、該キャップは、該キャップを通して形成された穴を有し、該キャップの穴が前記チャンネルと連通することができるように前記ボディ部分の近位端部に選択的に係合するように構成されている、患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置において、
    前記チャンネルおよび穴は、これらに挿通されるカテーテルを受け入れるように構成されており、
    前記リトラクタの半体は、前記ボディ部分の遠位端部が前記インジケータ穴の近位側に患者の血管の厚さと少なくともほぼ同じ距離のところに配置されるようにカテーテルの周囲に配置されることを特徴とする患者の血管構造において創傷を閉じ易くする装置。
  35. 前記キャップが雌ねじを備え、前記リトタクタのボディ部分が雄ねじを備え、前記キャップが前記リトタクタのボディ部分上に螺合されることを特徴とする請求項34に記載の装置。
  36. 前記リトタクタのボディ部分が遠位端部に向かって全体的にテーパしていることを特徴とする請求項34に記載の装置。
  37. 前記リトタクタのボディ部分が把手を備えることを特徴とする請求項36に記載の装置。
  38. 前記リトタクタのボディ部分が前記把手の遠位側でテーパしていることを特徴とする請求項37に記載の装置。
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