JP4021133B2 - 研磨液組成物 - Google Patents

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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨液組成物及び被研磨基板の研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハードディスクの高密度化が進み、磁気ヘッドの浮上量はますます小さくなってきている。その結果、ハードディスク基板の研磨工程で、研磨速度の向上及び表面粗さの低減が求められ、水、アルミナ及びベーマイトとキレート性化合物とを用いた研磨液組成物や研磨方法が検討されている(特開平11-92749号公報等)。しかしながら、この研磨液組成物は、研磨速度の向上及びスクラッチ、ピット等の表面欠陥の低減に効果があるものの充分ではなく、また表面粗さの低減及び平坦化においても満足するものとはいえなかった。
また、半導体分野においても、高集積化、高速化が進むに伴って半導体装置のデザインルームの微細化が進み、デバイス製造プロセスでの焦点深度が浅くなり、パターン形成面の平坦化がより一層求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被研磨物の表面に表面欠陥を生じさせること無く、研磨速度が向上し、且つ、表面粗さを低減し得る研磨液組成物及び被研磨基板の研磨方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 水と、研磨材と、中間アルミナと、キレート性化合物又はその塩とを含有し、中間アルミナの含有量が研磨材100重量部に対して1〜90重量部であることを特徴とする研磨液組成物、及び
〔2〕 研磨時の研磨液の組成が前記〔1〕記載の研磨液組成となる条件下で被研磨基板を研磨することを特徴とする被研磨基板の研磨方法
に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる研磨材は、研磨用に一般に使用されている研磨材を使用することができる。該研磨材の例としては、金属;金属又は半金属の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物;ダイヤモンド等が挙げられる。金属又は半金属元素は、周期律表(長周期型)の2A、2B、3A、3B、4A、4B、5A、6A、7A又は8族由来のものである。研磨材の具体例として、α−アルミナ粒子、炭化ケイ素粒子、ダイヤモンド粒子、酸化マグネシウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、コロイダルシリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子等が挙げられ、これらを1種以上使用することは、研磨速度を向上させる観点から好ましい。中でも、α−アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化ジルコニウム粒子、コロイダルシリカ粒子、ヒュームドシリカ粒子等が、半導体ウェハや半導体素子、磁気記録媒体用基板等の精密部品用基板の研磨に適しており、特にα−アルミナ粒子は磁気記録媒体用基板の研磨に適している。
【0006】
研磨材の一次粒子の平均粒径は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは0.01〜3μm 、さらに好ましくは0.02〜0.8 μm 、特に好ましくは0.05〜0.5 μm である。さらに、一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合は、同様に研磨速度を向上させる観点及び被研磨物の表面粗さを低減させる観点から、その二次粒子の平均粒径は、好ましくは0.05〜2μm 、さらに好ましくは0.1 〜1.5 μm 、特に好ましくは0.2 〜1.2 μm である。研磨材の一次粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡で観察(好適には3000〜30000 倍)して画像解析を行い、平均粒径を測定することにより求めることができる。また、二次粒子の平均粒径はレーザー光回折法を用いて体積平均粒径として測定することができる。
【0007】
研磨材の比重は、分散性及び研磨装置への供給性や回収再利用性の観点から、その比重は2〜6であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
【0008】
研磨材の含有量は、経済性及び表面粗さを小さくし、効率よく研磨することができるようにする観点から、研磨液組成物中において好ましくは1〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは3〜15重量%である。
【0009】
本発明において中間アルミナ粒子とは、α―アルミナ粒子以外のアルミナ粒子の総称であり、具体的には、γ―アルミナ粒子、δ―アルミナ粒子、θ―アルミナ粒子、η―アルミナ粒子、κ−アルミナ粒子、これらの混合物等が挙げられる。その中でも、研磨速度向上及び表面粗さ低減効果の観点から、以下の中間アルミナが好ましい。その結晶型は、好ましくはγ―アルミナ、δ―アルミナ、θ―アルミナ及びその混合物、さらに好ましくは、γ―アルミナ、δ―アルミナ、及びその混合物、特に好ましくは、γ―アルミナである。また、その比表面積(BET法により測定したもの)は、好ましくは30〜300m2 /g、より好ましくは50〜200m2 /gである。その平均粒径は、好ましくは0.01〜5 μm 、より好ましくは0.05〜5μm 、さらに好ましくは0.1〜3μm 、特に好ましくは0.1〜1.5 μm である。この平均粒径は、レーザー光回折法(例えば、堀場製作所製LA−920を測定装置としたもの)を用いて体積平均粒径として測定することができる。また、中間アルミナ粒子におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量は、0.1重量%以下が好ましく、0.05重量%以下がより好ましく、0.01重量%以下が特に好ましい。
【0010】
例えば、比表面積が比較的大きく、アルカリ金属及びアルカリ土類金属含有量の少ない水酸化アルミニウムを原料とした場合、製造された中間アルミナの融着が少なく粒子強度も小さいため、被研磨基板の表面欠陥が無く、表面粗さ低減に特に有効である。
【0011】
そのための原料となる水酸化アルミニウムとしては、比表面積が好ましくは10m2 /g以上、より好ましくは30m2 /g以上、特に好ましくは50m2 /g以上のものである。また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.03重量%以下、特に好ましくは0.01重量%以下のものである。さらにまた、水酸化アルミニウムを加熱脱水して中間アルミナを製造する場合に、焼成時に強制的に乾燥空気あるいは窒素ガスを導入させることは、さらに被研磨基板の表面欠陥、表面粗さの低減に有効である。尚、前記加熱脱水処理は、常法により行うことができる。
【0012】
これらの中間アルミナは、必要に応じて、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、ジェットミル等の粉砕機により、湿式あるいは乾式粉砕し、所定の粒径に調整する。
【0013】
尚、水酸化アルミニウムは、化学式Al(OH)3 、AlOOH、AlOOH・nH2 O又はAl2 3 ・nH2 O(nは1〜3を示す)で示されるもので、加熱脱水して中間アルミナを製造できるものであれば特に限定するものではない。その具体例としては、ギブサイト、バイヤライト、ノルドストランダイト、ジアスポア、ベーマイト、擬ベーマイト、アルミノゲル等が挙げられる。
【0014】
この中間アルミナの研磨時における作用機構の詳細は不明であるが、研磨促進効果及び表面粗さを低減する効果を有し、また、キレート性化合物の研磨面への強い化学的作用が原因と考えられるスクラッチ、ピット等の表面欠陥を防止するとともに、研磨促進効果をさらに向上させ、表面粗さを低減させることができる。
【0015】
特に、本発明に用いられる中間アルミナ粒子は、添加剤として研磨液組成物中に配合されるものであり、前記研磨材としてのα−アルミナ粒子と共に用いることにより、研磨促進、表面粗さ低減等の優れた効果が発現される。
【0016】
研磨液組成物中における中間アルミナの含有量は、経済性及び研磨促進効果、表面粗さを低減する効果、また、スクラッチ、ピット等の表面欠陥を防止する能力を得る観点から、研磨材100重量部に対して1〜90重量部であり、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜40重量部、特に好ましくは4〜30重量部である。
【0017】
研磨液組成物中における中間アルミナの含有量の下限は、研磨促進効果、表面粗さを低減する効果及びスクラッチ、ピット等の表面欠陥を防止する能力の観点から、研磨材100重量部に対して1重量部以上であり、また、その上限は、研磨促進効果の観点から、研磨材100重量部に対して90重量部以下である。
【0018】
キレート性化合物は、金属イオンと結合して錯体を形成しうる多座配位子をもつ化合物である。ヒドロキシカルボン酸、アミノポリカルボン酸類、炭素数4以上のOH基を有しない多価カルボン酸(以下、OH基を有しない多価カルボン酸という)、アミノ酸及びそれらの塩が挙げられる。これらのキレート性化合物は、研磨速度向上の面から2個以上のカルボキシル基を有するものが好ましく、さらにアミノポリカルボン酸類及びOH基を有しない多価カルボン酸が特に好ましい。
【0019】
ヒドロキシカルボン酸の炭素数は、水への溶解性の観点から2〜20であり、好ましくは2〜12、より好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6であることが望ましい。具体的には、グリコール酸、乳酸、クエン酸、グルコン酸、グリオキシル酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
【0020】
アミノポリカルボン酸類に関して、速度向上の観点から1分子中のアミノ基の数は1〜6が好ましく、さらに1〜4が好ましい。また、カルボン酸の数としては、1〜12が好ましく、さらに2〜8が好ましい。また、炭素数としては1〜30が好ましく、さらに1〜20が好ましい。具体的には、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミンテトラ酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸(TTHA)、ジカルボキシメチルグルタミン酸(GLDA)等が挙げられる。
【0021】
OH基を有しない多価カルボン酸は、速度向上の観点より、炭素数4〜20のものが好ましく、さらに炭素数4〜10のものが好ましく、特に炭素数4〜6のものが好ましい。具体的には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバル酸、アジピン酸、ジグリコール酸、(メタ)アクリル酸重合体、(メタ)アクリル酸と他の単量体との共重合体等が挙げられる。
【0022】
アミノ酸は、速度向上の観点から、炭素数2〜20のものが好ましく、炭素数2〜10のものがより好ましい。具体的には、グリシン、アラニン等が挙げられる。
【0023】
これらの中でも、リンゴ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバル酸、アジピン酸、ジグリコール酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸及びグリシンが好ましく、さらに、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバル酸、アジピン酸、ジグリコール酸、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸及びジエチレントリアミンペンタ酢酸が好ましく、特にコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバル酸、ジグリコール酸、エチレンジアミンテトラ酢酸及びジエチレントリアミンペンタ酢酸が好ましい。
【0024】
これらのキレート性化合物の塩は、キレート性化合物と塩を形成しうるものであれば特に限定はされない。具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム、有機アミン等との塩が挙げられる。金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A及び8族に属する金属が挙げられる。これらの金属の中でも研磨速度の観点から、1A、3A、3B、7A及び8族が好ましく、中でも、1A族に属するナトリウム、カリウム、3A族に属するセリウム、3B族に属するアルミニウム、7A族に属するマンガン、8族に属する鉄及びコバルトが特に好ましく、3B族に属するアルミニウム、8族に属する鉄及びコバルトが最も好ましい。尚、これらのキレート性化合物の塩については、あらかじめ必要とされる金属と塩を形成させても良いし、これらの金属を含む硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸、酢酸塩等の有機酸塩とキレート性化合物を混合して、研磨液組成物中でキレート交換を行い目的とする塩を得ても構わない。
【0025】
アルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
有機アミン等の具体例としては、ジメチルアミン、トリメチルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0026】
キレート性化合物の塩は、研磨速度を向上させる観点から、アミノポリカルボン酸類と1A族に属するナトリウム及びカリウム、3A族に属するセリウム、3B族に属するアルミニウム、7A族に属するマンガン、8族に属する鉄及びコバルトとの塩、アミノポリカルボン酸類のアンモニウム塩、OH基を有しない多価カルボン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩及びアルミニウム塩が好ましい。これらの中でもアミノポリカルボン酸類と3B族に属するアルミニウム、8族に属する鉄及びコバルトとの塩、並びにOH基を有しない多価カルボン酸のアンモニウム塩が最も好ましい。
【0027】
これらのキレート性化合物又はその塩については、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。
【0028】
キレート性化合物又はその塩の含有量は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは研磨液組成物中0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜15重量%、さらに好ましくは0.1〜15重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%、最も好ましくは0.5〜10重量%である。また、表面粗さを低減する効果、また、ピット等の表面欠陥を防止する能力を得る観点から、同時に配合される中間アルミナ100重量部に対し、10〜1000重量部が好ましく、20〜300重量部が更に好ましく、30〜100重量部が特に好ましい。
【0029】
本発明の研磨液組成物中の水は、媒体として用いられるものであり、その含有量は、被研磨物を効率よく研磨することができるようにする観点から、40〜98.94重量%であり、40〜98重量%が好ましく、50〜97重量%が更に好ましく、60〜95重量%が特に好ましい。
【0030】
また、本発明の研磨液組成物は、必要に応じて他の成分を配合することができる。該他の成分としては、単量体型の酸化合物の金属塩・アンモニウム塩や過酸化物、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等である。単量体型の酸化合物の金属塩・アンモニウム塩や過酸化物、増粘剤、分散剤の具体的な例としては、特開昭62-25187号公報2頁右上欄3行目〜右上欄11行目、特開平1-205973号公報3頁左上欄11行目〜右上欄2行目、特開平4-275387号公報2頁右欄27行目〜3頁左欄12行目、特開平5-59351 号公報2頁右欄23行目〜3頁左欄37行目に記載されているものが挙げられる。
【0031】
これらの成分は単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。また、その含有量は、研磨速度を向上させる観点、それぞれの機能を発現させる観点及び経済性の観点から好ましくは研磨液組成物中0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.05〜5重量%である。
【0032】
尚、前記研磨液組成物中の各成分の濃度は研磨する際の好ましい濃度であるが、該組成物製造時の濃度であってもよい。通常、該組成物は濃縮液として製造され、これを使用時に希釈して用いる場合が多い。
【0033】
研磨液組成物のpHは、被研磨物の種類や要求品質等に応じて適宜決定することが好ましい。例えば、研磨液組成物のpHは、基板の洗浄性及び加工機械の腐食防止性の観点から、2 〜12が好ましい。また、被研磨物がNi-Pメッキされたアルミニウム基板等の金属を主対象とした精密部品用基板である場合、研磨速度の向上と表面品質の向上の観点から、2〜9が好ましく、2〜8がより好ましく、3〜8がさらに好ましく、3〜7が特に好ましい。さらに、半導体ウェハや半導体素子等の研磨、特にシリコンウェハ、ポリシリコン膜、SiO2 膜等の研磨に用いる場合は、研磨速度の向上と表面品質の向上の観点から、7〜12が好ましく、8〜12がより好ましく、9〜11が特に好ましい。該pHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸、前記の単量体型の酸化合物の金属塩、アンモニウム塩、アンモニア、アルキルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
【0034】
本発明の被研磨基板の研磨方法は、本発明の研磨液組成物を用いて、あるいは本発明の研磨液組成物の組成となるように各成分を混合して研磨液を調製して被研磨基板を研磨する工程を有しており、特に精密部品用基板を好適に製造することができる。
【0035】
被研磨物の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属又は半金属、これらの金属を主成分とした合金、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のようなガラス状物質、アルミナ、炭化チタン、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化タンタル、窒化チタン等のセラミック材料、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金が被研磨物であるか、又はそれらの金属を含んだ半導体素子等の半導体基板が被研磨物であるのが好ましい。特にNi-Pメッキされたアルミニウム合金からなる被研磨基板を研磨する際に、本発明の研磨液組成物を用いた場合、スクラッチ、ピット等の表面欠陥の発生が抑制され、表面粗さを従来より低減しながら高速で研磨できるので好ましい。
【0036】
これらの被研磨物の形状には、特に制限は無く、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が本発明の研磨液組成物を用いた研磨の対象となる。その中でも、ディスク状の被研磨物の研磨に特に優れている。
【0037】
研磨液組成物は、特に精密部品基板の研磨に好適に用いられる。例えば、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の磁気記録媒体の基板や半導体ウェハ、半導体素子等の半導体基板、フォトマスク基板、光学レンズ、光学ミラー、ハーフミラー、光学プリズム等の研磨に適している。これらの中でも、磁気記録媒体の基板や半導体基板、特に、ハードディスク基板の研磨に適している。尚、半導体素子の研磨には、例えば、シリコンウェハ(ベアウェハ)のポリッシング工程、層間絶縁膜の平坦化工程、埋め込み金属配線の形成工程、埋め込み素子分離膜の形成工程、埋め込みキャパシタ形成工程等において行われる研磨がある。
【0038】
以上のようにして被研磨基板を研磨することにより、精密部品用基板等を製造することができる。
【0039】
本発明の研磨液組成物は、ポリッシング工程において特に効果があるが、これ以外の研磨工程、例えば、ラッピング工程等にも同様に適用することができる。
【0040】
【実施例】
<中間アルミナの製造例1>
平均粒径20μm、比表面積250m2 /g、アルカリ金属の含有量0.005重量%、アルカリ土類金属の含有量0.001重量%の擬ベーマイト粒子200gをアルミナ容器(縦200mm ×横100mm ×高さ100mm )に入れ、マッフル炉で焼成速度50℃/min、焼成温度600℃、4時間、窒素流量5L/minにて焼成して、中間アルミナ140gを得た。これを2L容のアルミナ製ボールミルに移し、イオン交換水327gを加え30重量%スラリーとした後、5mmφのアルミナボール1000gを入れ、解砕した後、篩にかけてアルミナボールを取り除き、中間アルミナ粒子130gを調製した。調製した中間アルミナ粒子は、平均粒径0.7μm、比表面積130m2 /g、アルカリ金属の含有量0.0055重量%、アルカリ土類金属の含有量0.0013重量%のγ―アルミナであった。
【0041】
<中間アルミナの製造例2>
平均粒径10μm、比表面積7m2 /g、アルカリ金属の含有量0.2重量%の水酸化アルミニウム200gをアルミナ容器(縦200mm ×横100mm ×高さ100mm)に入れ、マッフル炉で焼成速度100℃/min、焼成温度700℃、4時間、焼成して、中間アルミナ140gを得た。これを製造例1と同様にして、中間アルミナ粒子130gを調製した。調製したアルミナ粒子は、平均粒径0.6 μm 、比表面積110m2 /g、アルカリ金属の含有量0.2重量%のη―アルミナであった。
【0042】
なお、前記製造例1及び2に記載の中間アルミナ粒子の平均粒径は、測定装置として、堀場製作所製LA−920を使用したレーザー光回折法に基づき、体積平均粒径として測定した。比表面積は、BET法に基づき測定した。中間アルミナ粒子中におけるアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量は、原子吸光分析およびICP発光分析に基づき測定した。
【0043】
実施例1〜10及び比較例1〜5
研磨材(一次粒径の平均粒径0.25μm 、二次粒子の平均粒径0.7 μm のα−アルミナ(純度約99.9%)、比重4.0)、中間アルミナ、キレート性化合物の塩、pH調整剤(アンモニア水又はメタンスルホン酸)及びイオン交換水を混合・攪拌して表1に示す組成を有する研磨液組成物を調製した。
【0044】
【表1】
Figure 0004021133
【0045】
得られた研磨液組成物を用い、下記の方法によって測定した中心線平均粗さRaが0.1 μm 、厚さ0.8mm、直径3.5 インチのNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板の表面を両面加工機により、以下の両面加工機の設定条件でポリッシングし、磁気記録媒体用基板として用いられるNi-Pメッキされたアルミニウム合金基板の研磨物を得た。
【0046】
両面加工機の設定条件を下記に示す。
使用両面加工機:スピードファーム(株)製 9B型両面加工機
加工圧力:9.8 kPa
研磨パッド:ポリテックスDG(ロデールニッタ社製)
定盤回転数:50r/min
研磨液組成物供給流量:100mL/min
研磨時間:5min
投入した基板の枚数:10枚
【0047】
研磨後、アルミニウム合金基板の厚さを測定し、研磨前後のアルミニウム合金基板の厚さの変化から厚さの減少速度を求め、比較例1を基準として相対値(相対速度)を求めた。その結果を表2に示す。
【0048】
また、研磨後の各基板の表面の中心線粗さRa、スクラッチ及びピットを以下の方法に従って測定した。尚、実施例1〜10及び比較例2〜5では、比較例1を基準として相対値(相対粗さ)を求めた。その結果を表2に示す。
【0049】
[中心線平均粗さRa]
ランク・テーラーホブソン社製のタリーステップを用いて以下の条件で測定した。
触針先端サイズ :25μm ×25μm
ハイパスフィルター:80μm
測定長さ :0.64mm
【0050】
[表面欠陥(スクラッチ) ]
光学顕微鏡観察(微分干渉顕微鏡)を用いて倍率×50倍で各基板の表面を60度おきに6ヵ所測定した。スクラッチの深さはザイゴ(Zygo社製)により測定した。評価基準は下記の通りである。
【0051】
(評価基準)
S:深さ50nmを越えるスクラッチが0 本/1視野
A:深さ50nmを越えるスクラッチが平均0.5 本未満/1視野
B:深さ50nmを越えるスクラッチが平均0.5 本以上1本未満/1視野
C:深さ50nmを越えるスクラッチが平均1本以上/1視野
【0052】
[表面欠陥( ピット) ]
光学顕微鏡観察(微分干渉顕微鏡)を用いて倍率×200 倍で各基板の表面を30度おきに12ヵ所観察し、12視野あたりのピットの数を数えた。評価基準は下記の通りである。
【0053】
(評価基準)
S:0個
A:1〜3個
B:4〜10個
C:10個以上
【0054】
【表2】
Figure 0004021133
【0055】
表2の結果から、実施例1〜10で得られた研磨液組成物は、いずれも比較例1〜5で得られた研磨液組成物に比べ、実質的に研磨速度が高く、被研磨基板表面の粗さが低減され、さらにスクラッチやピット等の表面欠陥も低減されたものであることがわかる。
また、実施例1〜10及び比較例4の結果から、研磨液組成物中の中間アルミナの含有量が研磨材100重量部に対して1〜90重量部の研磨液組成物(実施例1〜10)は、90重量部を超えた研磨液組成物(比較例4)に比べ、研磨速度がより高く、被研磨基板表面の粗さも低減されたものであることがわかる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の研磨液組成物を用いることで、被研磨物の表面に表面欠陥を生じさせること無く、研磨速度が向上し、且つ、表面粗さを低減しうるため、精密部品用基板等を製造することができる。

Claims (6)

  1. 水と、α−アルミナ粒子と、γ−アルミナ粒子、δ−アルミナ粒子、θ−アルミナ粒子、η−アルミナ粒子、κ−アルミナ粒子及びこれらの混合物からなる群より選ばれる中間アルミナと、キレート性化合物又はその塩とを含有し、中間アルミナの含有量がα−アルミナ粒子100重量部に対して1〜90重量部であることを特徴とする研磨液組成物。
  2. 中間アルミナが、比表面積30〜300m2 /g、平均粒径0.01〜5μmである請求項1記載の研磨液組成物。
  3. 中間アルミナが、比表面積10m2 /g以上かつアルカリ金属及びアルカリ土類金属の含有量が0.1重量%以下の水酸化アルミニウムより製造されたものである請求項1又は2記載の研磨液組成物。
  4. 中間アルミナの含有量が、α−アルミナ粒子100重量部に対して1〜50重量部である請求項1〜3いずれか記載の研磨液組成物
  5. キレート性化合物が、ヒドロキシカルボン酸、炭素数4以上のOH基を有しない多価カルボン酸、アミノ酸及びそれらの塩からなる群より選ばれる請求項1〜いずれか記載の研磨液組成物。
  6. 研磨時の研磨液の組成が請求項1〜いずれかにおいて記載の研磨液組成となる条件下で被研磨基板を研磨することを特徴とする被研磨基板の研磨方法。
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