JP4020727B2 - 飲料生成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定量の液体をポンプにより汲み上げて飲料を生成する飲料生成装置に係り、特にコーヒー粉、茶葉などの飲料用原料に所定量の湯を注いで飲料を抽出する飲料生成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動給水および自動温度調整によって所定量かつ所定温度の湯を貯える貯湯タンクを備え、同貯湯タンク内に貯えられている湯をポンプによって汲み上げてドリップ用タンクに供給し、ドリップ用タンク内に供給されて同タンク内に一旦貯えられた湯を、ドリップ用タンクの給湯口の下方に位置させていて飲料原料であるコーヒー粉を収容したコーヒーチャンバに散水してコーヒー液を抽出する飲料生成装置としてのコーヒードリップ装置は知られている。この場合、ドリップ用タンクの水位が上限水位になるまでポンプを作動させて、貯湯タンク内に貯えられている湯をドリップ用タンクに供給した後、ドリップ用タンクと給湯口とを連通させた給湯管に介装した給湯バルブを同ドリップ用タンク内の湯が下限水位になるまで開いて、コーヒー粉に所定量の湯が散水されるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のコーヒードリップ装置においては、ドリップ用タンクが必要になるとともに、同タンク内にコーヒー粉に散水する湯量を検出するための水位センサが必要となり、装置が複雑化する。
【0004】
【発明の概要】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、コーヒードリップ装置を含む飲料生成装置において、簡単な構成で適切な量の液体をタンクから汲み上げることにより飲料を生成する飲料生成装置を提供することにある。
【0005】
前記目的を達成するために、本発明に係る飲料生成装置は、飲料を生成するための液体を貯えるタンクと、外部からタンクへ給水する給水装置と、タンク内の液体を汲み上げるポンプと、タンク内の液体が中間水位に達していることを検出する中間水位センサと、タンク内の液体が上限水位に達していることを検出する上限水位センサと、中間水位センサによってタンク内の液体が中間水位に達していることが検出されないとき給水装置を制御して外部からタンクへの給水を開始し、上限水位センサによってタンク内の液体が上限水位に達していることが検出されたとき給水装置を制御して外部からタンクへの給水を停止して、タンク内の液体が中間水位から上限水位の間に維持されるように外部からタンクへの給水を制御する給水制御手段と、飲料の生成指示に応答してポンプを所定時間だけ作動させるポンプ作動制御手段と、外部からタンクへの給水量およびポンプによりタンクから汲み上げられた液体量を用いて、タンク内の液体量に起因したポンプの単位時間当たりの吐出量の変化を打ち消すための補正値を更新し、同更新した補正値を用いてポンプ作動制御手段によるポンプの作動時間を補正する作動時間補正手段と、中間水位センサによってタンク内の液体が中間水位に達していることが検出されていない状態から中間水位に達したことが検出されるようになったとき、及び中間水位センサによってタンク内の液体が中間水位に達していることが検出されている状態から中間水位に達したことが検出されなくなったとき、補正値を第1の所定値に設定する第1の補正値設定手段とを備えたことにある。
【0006】
この場合、例えば、前記タンクは液体として自動的に温度調整された湯を貯えていて、前記ポンプにより汲み上げた湯を飲料原料に注ぐことにより飲料を抽出するように構成できる。
【0007】
このように構成した本発明の飲料生成装置においては、ポンプの作動時間を制御することにより、液体の汲み上げ量(例えば、飲料原料へ注ぐ湯量)を制御するようにしたので、前記従来装置のドリップ用タンクが不要となり、装置を簡単に構成できる。
【0008】
また、本発明においては、作動時間補正手段が、外部からタンクへの給水量および前記ポンプによりタンクから汲み上げられた液体量を用いて、タンク内の液体量の変化に応じて同タンク内の液体量に起因したポンプの単位時間当たりの吐出量の変化を打ち消すための補正値を更新し、同更新した補正値を用いてポンプ作動制御手段によるポンプの作動時間を補正する。これにより、作動ポンプによって汲み上げられる単位時間当たりの液体量がタンク内の液体量に応じて変化しても、すなわちタンク内の液面が低くなるに従ってポンプの単位時間当たりの吐出量が減少しても、汲み上げられる液体量(例えば、飲料原料に散水される湯量)を常に適切に保つことができ、良好な飲料を生成することができる。そして、この作動時間補正手段の作用により、1次側と2次側とを分離していないポンプ、特に、コストダウンを図るために小型のポンプ(例えば、渦巻きポンプ)を採用でき、装置の製造コストを低減できる。
【0009】
また、前記作動時間補正手段における外部からタンクへの給水量に関しては、外部給水源(例えば、水道源)からタンクに選択的に給水する給水バルブの開時間を用いて計算するとよい。また、ポンプによりタンクから汲み上げられた液体量に関しては、ポンプの作動時間を用いて計算するとよい。
【0011】
また、前記本発明の特徴によれば、作動時間補正手段によって順次更新される補正値に誤差が含まれていても、第1の補正値設定手段が、中間水位センサによってタンク内の液体が中間水位に達していることが検出されていない状態から中間水位に達したことが検出されるようになったとき、及び中間水位センサによってタンク内の液体が中間水位に達していることが検出されている状態から中間水位に達したことが検出されなくなったとき、補正値を第1の所定値に設定するので、前記誤差の累積を防止できて、飲料のより適切な生成が可能になる。なお、この第1の所定値に関しては、タンク内の液面レベルと、ポンプの単位時間あたりの吐出量との関係を予め測定しおくことにより適切な値を予め定めておくことができる。また、ポンプの作動による汲み上げ以外、例えば取り出しコックのユーザによる操作により、タンク内の液体を外部に取り出すようにしても、前記所定値設定後には、ポンプの単位時間当たりの吐出量の補正が的確になる。
【0012】
また、本発明の他の特徴は、さらに、上限水位センサによってタンク内の液体が上限水位に達していることが検出されたとき、補正値を前記第1の所定値とは異なる第2の所定値に設定する第2の補正値設定手段を設けたことにある。これによれば、上限水位センサによってタンク内の液体が上限水位に達した場合にも、補正値が第2の所定値に設定されるので、補正値の誤差の累積を防止できて、飲料のより適切な生成が可能になる。
また、本発明の他の特徴は、タンク内の液体を過熱する過熱器と、タンク内の液体の温度を検出する温度センサと、温度センサによって検出された液体の温度を用いて、タンク内の液体の温度を所定の下限温度よりも高い温度に維持するように、過熱器の作動を制御する過熱器制御手段とを設け、前記給水制御手段が、中間水位センサによってタンク内の液体の水位が中間水位に達していることが検出され、かつ上限水位センサによってタンク内の液体の水位が上限水位に達していることが検出されないとき、温度センサによって検出された温度が下限温度よりも高いことを条件に給水装置による外部からタンクへの給水を許容する温度依存制御手段を含むことにある。これによれば、タンク内に貯えられた液体の温度を適切に保ったうえで、タンク内の液体量を常に適切に保つことができる。
さらに、本発明の他の特徴は、中間水位センサおよび上限水位センサの検出結果に基づいてタンク内の液体量を表示する表示器をさらに設けたことにある。これによれば、ユーザはタンク内の液体量を視覚的に認識でき、飲料の生成指示に便利になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明すると、図1は本発明に係る飲料生成装置を含む飲料供給システムの全体を示す正面図である。この飲料供給システムは、湯を生成して供給する湯供給装置10と、抽出された飲料としてのコーヒー液を冷却して貯留する冷却貯留装置40と、飲料原料としてのコーヒー粉を用いてコーヒー液を抽出する抽出装置60とを備えている。
【0014】
湯供給装置10は、図1および図2に示すように、直方体状のハウジング11の内部に、断熱構造の貯湯タンク12が収容されているとともに、同貯湯タンク12の下方には給水口13が配設されている。給水口13には外部水道系に接続された管体(図示しない)が接続されて、外部水道源から水道水が給水口13に供給されるようになっている。この給水口13に供給された水道水は、給水管14を介して貯湯タンク12に供給される。給水管14には、電気的に開閉の制御される給水バルブ15が介装されている。
【0015】
貯湯タンク12内には、加熱器16、下限水位スイッチ17a、中間水位スイッチ17b、上限水位スイッチ17cおよび温度センサ18が収容されている。加熱器16は、貯湯タンク12の底面近傍位置に配置され、通電・非通電制御により貯湯タンク12内の湯(または水)を選択的に加熱する。下限水位スイッチ17a、中間水位スイッチ17bおよび上限水位スイッチ17cは、貯湯タンク12内の湯(または水)の下限水位(保安水位に対応)、中間水位および上限水位(満水水位に対応)をそれぞれ検出する水位センサを構成するもので、貯湯タンク12内の湯(または水)が各水位未満であるときオフ状態にあり、各水位以上になるとオン状態に切り換わるフロートタイプの検出スイッチである。温度センサ18は貯湯タンク12の底面近傍に設けられて、同貯湯タンク12内の湯温(または水温)を検出する。
【0016】
ハウジング11の前面には、湯を取り出すための手動式の湯取り出しコック21が設けられている。この湯取り出しコック21は、取り出し管22を介して貯湯タンク12に連通している。これにより、ユーザは、湯取り出しコック21を操作することにより、貯湯タンク12内の湯を外部に取り出すことができる。
【0017】
ハウジング11内には、吸入管23aを取り出し管22に接続させたポンプ23も配置されている。ポンプ23は、その作動時に貯湯タンク12内の湯を取り出し管22および吸入管23aを介して汲み上げ、その吐出ポートに接続された供給管24に前記汲み上げた湯を吐出する。このポンプ23として、本実施形態では、1次側と2次側が比較的直接的に接続されていて、1次側への水圧が単位時間あたりの吐出量に比較的大きなる影響を与える低コストの渦巻きポンプを採用している。供給管24は上方に延設されて、その上端には耐熱性かつ可撓性の給湯ホース25の一端が接続されている。この給湯ホース25は、ハウジング11の上端面に設けた天板26を介して上方に導かれて、抽出装置60に接続されている。また、供給管24の上部には、先端にて貯湯タンク12内に開口した戻し管27が基端部にて接続されており、ポンプ23の作動停止時に給湯ホース25内に残っている湯が貯湯タンク12に戻されるようになっている。
【0018】
また、ハウジング11の正面には、ユーザにより操作されて、湯供給装置10の作動態様を設定するための操作パネル28が設けられている。この操作パネル28には、図1および図3に示すように、設定表示部28a、適温表示部28b、アップ操作部28c、ダウン操作部28d、設定操作部28eおよびドリップ操作部28fが設けられている。設定表示部28aおよび適温表示部28bの裏面には、表示器31および発光素子32が配置されており、表示器31による表示内容および発光素子32の点灯が操作パネル28の正面側から視覚確認できるようになっている。アップ操作部28c、ダウン操作部28d、設定操作部28eおよびドリップ操作部28fの裏面には、アップスイッチ33、ダウンスイッチ34、設定スイッチ35およびドリップスイッチ36がそれぞれ配置されている。これらの各操作部28c〜28fは前後方向に弾性変形するように構成されており、ユーザによる各操作部28c〜28fの押圧操作により、各スイッチ33〜36がオフ状態からオン状態に切り換えられるようになっている。
【0019】
これらの表示器31、発光素子32、アップスイッチ33、ダウンスイッチ34、設定スイッチ35およびドリップスイッチ36は、ハウジング11内に組み込まれた電気制御装置内の一部をなすマイクロコンピュータ37に接続されている。表示器31は、貯湯タンク12内の湯量および湯温を表示したり、湯温およびコーヒー液のドリップ態様の設定時に温度、時間などを表示する。発光素子32は、貯湯タンク12内の湯が適温であるとき、その旨を点灯により表示する。アップスイッチ33、ダウンスイッチ34および設定スイッチ35は、前記ドリップ態様の設定操作に利用される。ドリップスイッチ36は、コーヒー液のドリップの指示操作のために利用される。
【0020】
マイクロコンピュータ37は、図4,5の湯量・湯温制御プログラム、図6の表示制御プログラム、図7,8のドリップ制御プログラム、その他のプログラムを記憶していて、それらの実行により本飲料供給システムの各種作動を制御する。このマイクロコンピュータ37には、前述した下限水位スイッチ17a、中間水位スイッチ17b、上限水位スイッチ17cおよび温度センサ18も接続されていて、これらの検出信号がマイクロコンピュータ37に入力されるようになっている。また、マイクロコンピュータ37には、前述した給水バルブ15、加熱器16およびポンプ23も接続されており、それらの各作動がマイクロコンピュータ37によって制御されるようになっている
【0021】
次に、冷却貯留装置40について説明する。この冷却貯留装置40は、図1に示すように、その正面に冷却されたコーヒー液を取り出すための一対のコーヒー液取り出しコック41,41および貯留されたコーヒー液の量を表示する一対の表示器42,42をそれぞれ有する。表示器42,42は、図示しない水位センサによるコーヒー液の貯留量の検出に応じて、同コーヒー液の貯留量を表示するものである。
【0022】
冷却貯留装置40は、図9に示すように、直方体状のハウジング43内に、一対のコーヒー液取り出しコック41,41および表示器42,42にそれぞれ対応して、コーヒー液を貯留するための有底円筒状の一対の飲料タンク44,44を収容している。飲料タンク44,44の各上面はそれぞれ開口しており、コーヒー液が上方から注がれるようになっている。ハウジング43の上端面は天板45によって覆われているが、同天板45には飲料タンク44,44の開口に合わせて開口穴が設けられ、同開口穴には蓋46,46が着脱可能に組み付けられている。飲料タンク44、44の底面には、コーヒー液取り出しコック41、41に一端をそれぞれ接続してなる取り出し管47、47の他端がそれぞれ接続されており、コーヒー液取り出しコック41、41の各操作により飲料タンク44,44内に貯留されているコーヒー液が外部に取り出されるようになっている。
【0023】
飲料タンク44、44は、ハウジング43内に配設された断熱構造かつ有底円筒状の一対の冷却用水槽48,48内に所定距離を隔てて収容されている。飲料タンク44,44の各外周面と冷却用水槽48,48の各内周面との間には、冷却用空間RR、RRがそれぞれ形成されている。これらの冷却用空間RR、RRは冷却水で満たされたおり、同冷却水は飲料タンク44、44の外周上にそれぞれ巻かれた一対の蒸発管49、49により冷却され、それらの一部は氷結する。なお、蒸発管49,49は、図示しない冷凍装置により冷却される。これにより、飲料タンク44,44内のコーヒー液は、冷却水により、それぞれ間接的に冷却される。
【0024】
次に、抽出装置60について説明する。図1、図10および図11に示すように、冷却貯留装置40の天板45の左右方向両端には一対の側板51,51が立設されており、両側板51,51には上下に離間して設けた一対のガイドロッド52,52がそれらの各両端にてそれぞれ固定されている。抽出装置60は、略直方体状に形成したハウジング61の裏面に固着した支持部材62に設けた貫通穴にガイドロッド52,52を貫通させることにより、左右方向に摺動可能に支持されている。
【0025】
ハウジング61の裏面には、湯供給装置10に一端にて接続された給湯ホース25の他端が脱着可能に接続される給湯口63も組み付けられている。この給湯口63は給湯管64を介して散水器65に連通している。散水器65の下面には、複数の小穴を設けたシャワーヘッド65aが脱着可能に組み付けられ、給湯ホース25、給湯口63および給湯管64を介して散水器65に供給された湯が下方に向けてシャワー状に散水されるようになっている。
【0026】
ハウジング61の下面左右方向両端には、前後方向に延設された一対のガイドレール66,66が固着されており、同ガイドレール66,66にコーヒーチャンバ70が組み付けられるようになっている。このコーヒーチャンバ70は、漏斗状に構成されていて底面中央に抽出口71を有し、フィルタが装着されるとともに同フィルタ上にコーヒー粉を収容して散水によりコーヒー液を抽出口71から抽出するためのものである。このコーヒーチャンバ70は、その左右方向の両上端部にフランジ部72,72が設けられていて、これらのフランジ部72,72と前記ガイドレール66,66との各係合により前後方向に摺動可能になっている。抽出装置60に組み付けた状態にあるコーヒーチャンバ70の正面側には、取っ手73が設けられている。
【0027】
次に、上記のように構成した実施形態の動作を説明する。具体的な動作説明に入る前に、この実施形態におけるコーヒー液のドリップ態様、すなわち湯供給装置10から抽出装置60への湯の供給態様について説明しておく。この実施形態では、図12に示すように、コーヒー粉に湯を散水してコーヒー液を抽出する際、湯供給装置10から抽出装置60への湯の供給工程すなわち抽出装置60における湯の散水工程を複数回に分けている。具体的には、1次、2次および3次の3回の散水を行い、1次散水と2次散水との間に「むらし」工程を挿入し、2次散水と3次散水との間に休止工程を挿入している。
【0028】
「むらし」工程は、1次散水によってコーヒー粉に適量の湯を散水した後、コーヒー粉を所定時間むらすことにより、主にコーヒーのうまみを抽出するための散水中断工程である。休止工程は、コーヒー粉の量、種類、グラインドの細かさなどの違いによって湯がコーヒーチャンバ70から溢れないようにするために、湯の散水を2次散水と3次散水との間で所定時間だけ中断する工程である。なお、前記「むらし」工程においても、この休止工程のように、湯がコーヒーチャンバ70から溢れることを防止する機能も合わせてもつ。
【0029】
まず、この飲料供給システムの使用にあたっては、前記各工程の時間および貯湯タンク12内の湯温を設定しておく。各工程の時間の設定に関しては、ユーザが、アップ操作部28c、ダウン操作部28dおよび設定操作部28eを同時に5秒以上押圧し続けることにより、アップスイッチ33、ダウンスイッチ34および設定スイッチ35を同時に5秒以上オンさせる。これにより、図示しないドリップ態様設定プログラムの実行がマイクロコンピュータ37によって開始される。このドリップ態様設定プログラムの実行時には、表示器31に各工程ごとに時間が表示され、ユーザは、この表示器31の時間表示を見ながらアップ操作部28cおよびダウン操作部28dを操作することにより表示時間を変更し、設定操作部28eを操作することにより各工程の時間を設定する。この操作を順次行うことにより、1次散水工程、「むらし」工程、2次散水工程、休止工程および3次散水工程の各時間TX(1)〜TX(5)が順次設定される。この時間TX(1)〜TX(5)はマイクロコンピュータ37内に新たな更新があるまで保存される。なお、前記各工程の時間TX(1)〜TX(5)を予め定めておき、変更不能にしてもよい。
【0030】
また、貯湯タンク12内の湯温を設定するにあたっては、ユーザは、設定操作部28eのみを5秒以上押圧し続けることにより、設定スイッチ35を5秒以上オンさせる。これにより、図示しない温度設定プログラムの実行がマイクロコンピュータ37によって開始される。この温度設定プログラムの実行時には、表示器31に温度が表示され、ユーザは、この表示器31の温度表示を見ながらアップ操作部28cおよびダウン操作部28dを操作することにより表示温度を変更し、設定操作部28eを操作することにより温度を設定する。この設定温度はマイクロコンピュータ37内に新たな更新があるまで保存される。なお、前記設定温度を予め定めておき、変更不能にしてもよい。
【0031】
次に、貯湯タンク12内の湯量および湯温を適切に保つ動作について説明する。図示しない電源スイッチの投入などにより、本飲料供給システムの作動が開始されると、マイクロコンピュータ37は図4,5の湯量・湯温制御プログラムの実行をステップS10にて開始する。このプログラムの実行開始後、マイクロコンピュータ37はステップS12にて中間水位スイッチ17bがオフ状態すなわち貯湯タンク12内の水位が中間水位未満であるかを判定する。中間水位スイッチ17aがオン状態にあれば、ステップS12にて「No」と判定して図5のステップS32に進むが、中間水位スイッチ17bがオフ状態にあれば、ステップS12にて「Yes」と判定して、ステップS14にて給水バルブ15を開く。これにより、外部の水道源からの水道水が、給水口13、給水管14および給水バルブ15を介して貯湯タンク12に給水され始める。
【0032】
前記ステップS14の処理後、マイクロコンピュータ37は、ステップS16にて、下限水位スイッチ17aがオン状態すなわち貯湯タンク12内の水位が下限水位以上であるかを判定する。下限水位スイッチ17aがオン状態になければ、ステップS16にて「No」と判定して、ステップS16の判定処理を繰り返し実行し続ける。前記貯湯タンク12への給水により、貯湯タンク12内の水位が下限水位以上になると、ステップS16にて「Yes」と判定して、ステップS18〜S22の処理を実行する。このステップS18〜S22の処理は、貯湯タンク12の水(または湯)の水位を中間水位まで上げるとともに、同貯湯タンク12内の水(または湯)を加熱する処理である。すなわち、貯湯タンク12内の水(または湯)の水位が中間水位未満であれば、ステップS22にて「No」と判定してステップS18〜S22の処理を繰り返し実行し続ける。このステップS18〜S22の循環処理中、貯湯タンク12内の水(または湯)の温度が下限温度以下になったり、以前から下限温度以下であったならば、ステップS18にて温度センサ18による検出温度に基づいて「Yes」と判定し、ステップS20にて加熱器16に通電する。なお、この下限温度とは、加熱を必要とする貯湯タンク12内の湯温であり、前述した貯湯タンク12内の湯の設定温度よりも予め決めた所定温度だけ低い温度である。この加熱器16への通電により、貯湯タンク12内の水(または湯)の温度は上昇する。
【0033】
このようなステップS18〜S22の循環処理中、水道源から貯湯タンク12内への給水により、貯湯タンク12内の水位が中間水位以上になると、中間水位スイッチ17bがオン状態に切換えられる。この中間水位スイッチ17bのオン状態への切換えにより、ステップS22にて「Yes」と判定し、ステップS24にて給水バルブ15を閉じる。これにより、水道源から貯湯タンク12への給水が停止する。前記ステップS24の処理後、ステップS26にてポンプ流量補正値αを所定値αoにセットする。
【0034】
ここで、このポンプ流量補正値αについて説明しておく。ポンプ23としては、前述のように、その単位時間あたりの吐出量Qが貯湯タンク12内の湯の水圧(水位)の影響を受けて変化する。貯湯タンク12内の水位が上限水位であるときの単位時間あたりの吐出量(ポンプ流量)をQoとし、同水位が上限水位から下降したときのポンプ流量Qoに対する減少量をΔQとし、同減少量ΔQのポンプ流量Qoに対する比を前記ポンプ流量補正値αとすると、ポンプ流量Qは下記数1のように表される。
【0035】
【数1】
Q=Qo−ΔQ=(1−α)・Qo
【0036】
このポンプ流量補正値αは、図13に示すように、貯湯タンク12内の水位が上限水位にあるとき、「0」であり、水位が上限水位から下降するに従って「0」から増加する。そして、このポンプ流量補正値αは、貯湯タンク12内の水位の変化に対してほぼ比例的に変化する。本実施形態では、詳しくは後述するが、このような関係を用いて、貯湯タンク12の水位が変化するごとにポンプ流量補正値αを補正、すなわち水道源からの貯湯タンク12への給水時にはポンプ流量補正値αを同給水による水位の増加分ΔHだけ減少させ、貯湯タンク12から抽出装置60への湯の供給時には同湯の供給による水位の減少分ΔHだけ増加させるようにしている。
【0037】
また、貯湯タンク12内の水位が中間水位にあるときにおけるポンプ流量補正値αoを予め測定しておき、この測定値αoを所定値としてマイクロコンピュータ37内に記憶している。そして、前記ステップS26の処理のように、貯湯タンク12内の水位が中間水位になったときには、このポンプ流量補正値αを所定値αoに設定するようにしている。また、後述するように、貯湯タンク12内の水位が上限水位になったときには、このポンプ流量補正値αを「0」にリセットするようにしている。そして、このポンプ流量補正値αを用いて、貯湯タンク12から抽出装置60に所定量の湯を供給するためのポンプ23の作動時間を補正し、ポンプ23の作動時間を制御するのみで、貯湯タンク12から抽出装置60に常に適量の湯が供給されるようにしている。
【0038】
ふたたび、図4の湯量・湯温制御プログラムの説明に戻ると、前記ステップS26におけるポンプ流量補正値αの所定値αoへのセット後、ステップS28にて温度センサ18から検出温度を入力して、貯湯タンク12内の湯温が設定温度以上であるかを判定し、同湯温が設定温度未満である限り、ステップS28の判定処理を繰り返し続行する。一方、前記過熱器16への通電により、貯湯タンク12内の湯温が設定温度以上になると、ステップS28にて「Yes」と判定し、ステップS30にて加熱器16の通電を解除する。このステップS30の処理後、プログラムは図5のステップS32以降に進められる。なお、この状態では、貯湯タンク12内の水位は中間水位以上であり、湯温も下限温度以上であるので、コーヒー液の抽出が可能になる。
【0039】
ステップS32においては、上限水位スイッチ17cがオン状態にあるか、すなわち貯湯タンク12内の水位が上限水位以上であるかを判定する。いま、上限水位スイッチ17cがオフ状態にあれば、ステップS32にて「No」と判定して、ステップS34にて、温度センサ18による検出温度に基づき、貯湯タンク12内の湯温が下限温度よりも高いかを判定する。前記湯温が下限温度以下であれば、ステップS34にて「No」と判定して、ステップS58に進む。前記湯温が下限温度よりも高ければ、ステップS34にて「Yes」と判定して、ステップS36にて給水バルブ15を開いて、水道源から貯湯タンク12に給水する。このステップS36の処理後、ステップS38にて、タイマカウント値TMを「0」にリセットする。このタイマカウント値TMは、マイクロコンピュータ37に内蔵されて計時動作するタイマと、図示しない計時プログラムの実行とにより、所定の短時間ごとに現在実行中の湯量・湯温制御プログラムの実行とは独立して自動的にカウントアップされ、前記リセット処理からの経過時間を表す。
【0040】
前記ステップS38の処理後、ステップS40にて、上限水位スイッチ17cがオン状態にあるか、すなわち貯湯タンク12内の水位が上限水位以上であるかを判定する。上限水位スイッチ17cがオン状態にあれば、ステップS40にて「Yes」と判定してステップS54に進むが、上限水位スイッチ17cがオフ状態にあれば、ステップS40にて「No」と判定してステップS42に進む。ステップS42においては、温度センサ18による検出温度に基づき、貯湯タンク12内の湯温が下限温度以下であるかを判定する。そして、前記湯温が下限温度以下になるまで、ステップS42における「No」との判定のもとに前記給湯タンクへの給水を続け、この給水中、マイクロコンピュータ37はステップS40〜S46からなる循環処理を繰り返し実行し続ける。
【0041】
ステップS44においては、中間水位スイッチ17bのオフ状態からオン状態への変化が検出される。前記変化が検出されない場合には、ステップS44における「No」との判定のもとに、ステップS40に戻る。一方、前記変化が検出されると、ステップS44にて「Yes」と判定し、ステップS46にてポンプ流量補正値αを所定値αoにセットして、ステップS40に戻る。これにより、水道源から貯湯タンク12への給水により、同貯湯タンク12の水位が上昇して中間水位を通過するごとに、ポンプ流量補正値αが所定値αoにセットされる。
【0042】
前記ステップS40〜S46の循環処理中、貯湯タンク12内の湯温が下限温度以下になると、ステップS42にて「Yes」と判定し、ステップS48にて給水バルブ15を閉じる。これにより、給湯タンク12への給水が停止する。
【0043】
次に、ステップS50にて、貯湯タンク12への給水時間を表すタイマカウント値TMを用いた下記数2の演算の実行により、前記給水による貯湯タンク12における水位の増加分ΔHを計算する。なお、係数aは、給水バルブ15を介して供給される水道源からの単位時間あたりの水量(流量)と、貯湯タンク12の水平面積とを考慮して予め決められた定数である。
【0044】
【数2】
ΔH=a・TM
【0045】
前記ステップS50の処理後、ステップS52にて、前記水位の増加分ΔHを用いた下記数3の演算の実行により、ポンプ流量補正値αを補正演算して、ステップS58に進む。なお、係数Kは、前記水位の増加分ΔHに対するポンプ流量補正値αの減少分の比例定数である(図13参照)。
【0046】
【数3】
α=α−K・ΔH
【0047】
また、前記ステップS40〜S46の循環処理中、貯湯タンク12内の水位が上限水位になった場合には、ステップS40にて「Yes」と判定して、ステップS54にてポンプ流量補正値αを「0」にリセットした後、ステップS56にて給水バルブ15を閉じて、ステップS58に進む。
【0048】
ステップS58においては、過熱器16に通電することにより、貯湯タンク12内の湯(または水)を加熱する。次に、ステップS60にて、温度センサ18による検出温度に基づき、貯湯タンク12内の湯温が設定温度以上であるかを判定し、同湯温が設定温度以上になるまで、ステップS60にて「No」と判定し続ける。そして、前記湯温が設定温度以上になると、ステップS60にて「Yes」と判定して、ステップS62にて加熱器16の通電を解除する。この後、ステップS12に戻るが、貯湯タンク12内の水位が中間水位以上である限り、ステップS12にて「No」と判定して、前述したステップS32〜S62の処理を繰り返し実行する。
【0049】
すなわち、貯湯タンク12内の湯温が下限温度以下であれば、設定温度になるまで貯湯タンク内の湯が加熱される処理がなされる。そして、貯湯タンク12内の水位が中間水位以上である限り、貯湯タンク12内の湯温が下限温度よりも高い状態では、同湯温が下限温度になるまで水道源から貯湯タンク12に給水され、その後に設定温度になるまで貯湯タンク内の湯が加熱される処理が繰り返される。したがって、貯湯タンク12内の湯温は下限温度以上に保たれたまま、貯湯タンク12内の水位は上限水位まで上昇する。そして、この貯湯タンク12への給水時には、ポンプ流量補正値αが水位の変化によって順次更新されるとともに、貯湯タンク12内の水位が中間水位を通過する際には、同ポンプ流量補正値αは所定値αoにセットされる。また、貯湯タンク12内の水位が上限水位になれば、ポンプ流量補正値αは「0」にリセットされる。
【0050】
一方、貯湯タンク12内の水位が上限水位以上であって上限水位スイッチ17cがオン状態にあれば、ステップS32にて「Yes」と判定し、ステップS64にてポンプ流量補正値αを「0」にリセットする。そして、上述したステップS42,S58〜S62と同様なステップS66〜S72の処理により、貯湯タンク12内の湯温は下限温度以上かつ設定温度以下に保たれ続ける。
【0051】
前記のような湯量・湯温制御プログラムの実行中、マイクロコンピュータ37は、表示制御プログラムを所定の短時間ごとに割り込み実行する。この表示制御プログラムの実行は、図6のステップS80にて開始され、ステップS82にて温度センサ18による検出温度を入力する。次に、ステップS84〜S88にて、上限水位スイッチ17c、中間水位スイッチ17bおよび下限水位スイッチ17cがオン状態であるかをそれぞれ判定する。
【0052】
上限水位スイッチ17cがオン状態にあれば、ステップS84にて「Yes」と判定し、ステップS90にて表示器31に上限水位(満水水位)である旨(例えば、「H」の文字)を表示するとともに、前記入力した検出温度を湯温として表示する。上限水位スイッチ17cがオフ状態にあり、かつ中間水位スイッチ17bがオン状態にあれば、ステップS84にて「No」、ステップS86にて「Yes」と判定し、ステップS92にて表示器31に中間水位である旨(例えば、「M」の文字)を表示するとともに、前記入力した検出温度を湯温として表示する。上限水位スイッチ17cおよび中間水位スイッチ17bがオフ状態にあり、かつ下限水位スイッチ17aオン状態にあれば、ステップS84,S86にて共に「No」、ステップS88にて「Yes」と判定し、ステップS94にて表示器31に下限水位である旨(例えば、「L」の文字)を表示するとともに、前記入力した検出温度を湯温として表示する。そして、ステップS90〜S94の処理後、ステップS96にてこの表示プログラムの実行を一旦終了する。
【0053】
このような表示制御プログラムの実行により、貯湯タンク12内の水位が表示され、ユーザは同水位を視覚的に認識できるので、ユーザによる後述するコーヒー液の抽出指示が的確になされるようになる。例えば、ユーザは貯湯タンク12内の湯量の不足などを視覚的に認識でき、ユーザは前記コーヒー液の抽出指示を的確に行うことができるようになる。なお、貯湯タンク12内の水位の表示においては、前記態様に限らず、中間水位を下回った時点で、警告ランプを点滅させたり、湯量をグラフ表示するようにしてもよい。
【0054】
次に、コーヒー液を抽出する動作について説明する。この場合、ユーザはコーヒー粉をフィルタの装着されたコーヒーチャンバ70内に入れて、コーヒーチャンバ70のフランジ部72,72を抽出装置60のガイドレール66,66に係合させて、同コーヒーチャンバ70を後方に押し込んで抽出装置60に装着する。そして、ユーザは一対の飲料タンク44,44のうちの所望の飲料タンク44側の蓋46を外し、同蓋46を外した側の飲料タンク44の真上にコーヒーチャンバ70が位置するように、抽出装置60をガイドロッド52,52に沿って左右方向に移動させる。なお、これらのコーヒーチャンバ70の装着、蓋46を外すこと、および抽出装置60の移動の順番はどのような順番であってもよい。また、蓋46を外した開口部にコーヒー粉を除去するとともに異物の侵入を防ぐ網を嵌め込んでおき、蓋46の開閉を頻繁に行わないようにしてもよい。
【0055】
このようなコーヒー液の抽出の準備後、湯供給装置10の貯湯タンク12に適温の湯が満たされていることを確認の上、ユーザは操作パネル28のドリップ操作部28fを押圧操作する。このドリップ操作部28fの押圧操作により、ドリップスイッチ36がオン状態に切換えられる。このドリップスイッチ36のオン状態への切換えにより、マイクロコンピュータ37は、図7,8のドリップ制御プログラムを割り込み実行する。なお、貯湯タンク12内の湯が適温でないこと、コーヒーチャンバ70が抽出装置60に適切に装着されていないこと、蓋46が外されていないこと、または抽出装置60の位置が不適であることを自動的に検出して、前記各場合には、ドリップ制御プログラムを実行しないで、表示器31を用いてユーザに警告を発するようにしてもよい。
【0056】
前記ドリップ制御プログラムの実行はステップS100にて開始され、マイクロコンピュータ37はステップS102にてポンプ23の作動を開始させる。これにより、ポンプ23は作動を開始して、貯湯タンク12内の湯を取り出し管22を介して汲み上げて、供給管24、給湯ホース25および給湯管64を介して散水器65に供給する。散水器65は、シャワーヘッド65aを介して、供給された湯をコーヒーチャンバ70内のコーヒー粉上に散水する。これにより、コーヒー粉は湯を含んで膨らむとともに、抽出されたコーヒー液が抽出口71から落下して前記蓋46の外された飲料タンク44内に注がれる。
【0057】
前記ステップS102の処理後、ステップS104にてタイマカウント値TMを「0」にリセットする。このタイマカウント値TMは、前記湯量・湯温制御プログラムの場合と同様に、マイクロコンピュータ37に内蔵のタイマを用いて、図示しない計時プログラムの実行により計時された前記リセットからの経過時間を表す。次に、マイクロコンピュータ37は、ステップS106にて、ポンプ流量補正値αを用いた下記数4の演算の実行により、1次散水用の時間データTX(1)を補正演算して、ポンプ作動時間Tupを同補正演算値に設定する。なお、この時間補正演算は、貯湯タンク12内の水位に起因したポンプ23の単位時間あたりの吐出量の変化の影響を受けることなく、1次散水工程におけるポンプ23の吐出総量すなわち貯湯タンク12から抽出装置60への供給湯量を一定に保つためのものである。
【0058】
【数4】
Tup=TX(1)/(1−α)
【0059】
前記ステップS106のポンプ作動時間Tupの設定後、ステップS108にてタイマカウント値TMがポンプ作動時間Tup以上になったかを判定する。タイマカウント値TMがポンプ作動時間Tupに達するまで、ステップS108にて「No」と判定し続けて、ステップS108〜S112の処理を繰り返し実行し続ける。ステップS110,S112の処理は、上述した図5のステップS44,S46のポンプ流量補正値αのセットルーチンとほぼ同じである。ステップS42,S44の処理と異なる点は、ステップS110にて中間水位スイッチ17bがオン状態からオフ状態に変化したことを検出する点のみである。これにより、抽出装置60への湯の供給による貯湯タンク12内の湯量の減少時に、同貯湯タンク12内の水位が中間水位になったときも、ポンプ流量補正値αが所定値αoにセットされることなる。
【0060】
そして、ポンプ作動時間Tupが経過すると、ステップS108にて「Yes」と判定して、ステップS114にてポンプ23の作動を停止させ、ステップS116にてタイマカウント値TMを「0」にふたたびリセットする。タイマカウント値TMは、前記場合と同様に、前記リセットからの経過時間を表す。
【0061】
次に、ステップS118にて、1次散水時間TX(1)を用いた下記数5の演算の実行により、前記抽出装置の給湯による貯湯タンク12における水位の減少分ΔHを計算する。係数bは、ポンプ23の汲み上げによる貯湯タンク12から抽出装置60への単位時間あたりの湯の供給量と、貯湯タンク12の水平面積とを考慮して予め決められた定数である。なお、抽出装置60への湯の供給量は、本来的に補正前の時間データTX(1)で規定されるものであるので、ここで貯湯タンク12内による水位の補正を考慮する必要はない。
【0062】
【数5】
ΔH=b・TX(1)
【0063】
次に、ステップS120にて、前記水位の減少分ΔHを用いた下記数6の演算の実行により、ポンプ流量補正値αを更新する。なお、係数Kは、前記水位の減少分ΔHに対するポンプ流量補正値αの増加分の比例定数である(図13参照)。
【0064】
【数6】
α=α+K・ΔH
【0065】
前記ステップS120の処理後、マイクロコンピュータ37は、ステップS122にてタイマカウント値TMが時間データTX(2)により表された「むらし」時間以上を表しているかを判定する。そして、タイマカウント値TMが時間データTX(1)により表された「むらし」時間未満を表している限り、ステップS122にて「No」と判定し続ける。前記ステップS114の処理により、ポンプ23は作動を停止するので、コーヒーチャンバ70内のコーヒー粉上への湯の散水は停止する。この場合、コーヒー粉は湯を含んでむらされて、その後に抽出されるコーヒー液のうまみを増加させる。
【0066】
そして、時間データTX(2)により表された「むらし」時間が経過すると、ステップS122にて「Yes」と判定して、前記ステップS102〜S112の処理と同様なステップS124〜S134の処理により、時間データTX(3)をポンプ流量補正値αによって補正して計算したポンプ作動時間Tupだけポンプ23を作動させる。したがって、コーヒー粉には、ふたたび前記2次散水時間に対応したポンプ作動時間Tupだけ湯が散水される。また、上記ステップS110,S112と同様なステップS132,S134の処理により、貯湯タンク12から抽出装置60への湯の供給による同貯湯タンク12内の水位の減少により、同貯湯タンク12内の水位が中間水位を通過したならば、ポンプ流量補正値αが所定値αoにセットされる。
【0067】
その後、前記2次散水時間に対応したポンプ作動時間が経過すると、ステップS130の「Yes」との判定のもとに、前記ステップS114〜S122の処理と同様なステップS136〜S144の処理により、時間データTX(4)によって表された休止時間だけポンプ23の作動を停止する。したがって、コーヒー粉に対する湯の散水は、ふたたび前記休止時間だけ停止する。また、前記ステップS136〜S144中のステップS140,S142においては、上記ステップS118,S120の処理における1次散水時間TX(1)を2次散水時間TX(3)に代えた数5および数6の演算の実行により、ポンプ流量補正値αが更新される。
【0068】
その後、前記休止時間が経過すると、ステップS144の「Yes」との判定のもとに、前記ステップS102〜S112およびステップS124〜S134の処理と同様なステップS146〜S156の処理により、時間データTX(5)をポンプ流量補正値αによって補正して計算したポンプ作動時間Tupだけポンプ23を作動させる。したがって、コーヒー粉には、ふたたび前記3次散水時間に対応したポンプ作動時間Tupだけ湯が散水される。また、上記ステップS110,S112およびステップS132,S134と同様なステップS154,S156の処理により、貯湯タンク12から抽出装置60への湯の供給による同貯湯タンク12内の水位の減少により、同貯湯タンク12内の水位が中間水位を通過したならば、ポンプ流量補正値αが所定値αoにセットされる。
【0069】
さらに、前記3次散水時間に対応したポンプ作動時間Tupが経過すると、ステップS152にて「Yes」と判定して、ステップS158にてポンプ23の作動を停止させる。次に、ステップS160,S162にて、上記ステップS118,S120およびステップS140,S142と同様な処理により、上記1次散水時間TX(1)および2次散水時間TX(3)に代えて3次散水時間TX(3)を用いた数5および数6の演算の実行により、ポンプ流量補正値αを更新しておく。そして、ステップS164にてドリップ制御プログラムの実行を終了する。このような一連の工程により、抽出装置60およびコーヒーチャンバ70によって抽出されたコーヒー液が飲料タンク44に貯えられる。
【0070】
そして、コーヒー液の抽出が完了した時点で、ユーザは飲料タンク44の蓋46を閉めておく。なお、コーヒー液を頻繁に抽出したり、上述のように網を蓋46を外した開口部に嵌め込んである場合には、あえて蓋46を閉める必要もない。一方、飲料タンク44内に注がれたコーヒー液は、冷却用水槽48と飲料タンク44の間の冷却用空間RRに貯えられた冷却用水によって間接冷却される。そして、ユーザは、コーヒー液取り出しコック41を操作することにより、前記抽出されるとともに冷却されたコーヒー液をコップ、グラスなどに取り出すことができる。
【0071】
上記作動説明のように、上記実施形態によれば、コーヒー粉に湯を散水する工程を1次散水、2次散水、3次散水の3工程に分けて、これらの散水工程の各間に「むらし」工程および休止工程を設けてコーヒー粉への散水を中断するようにした。その結果、「むらし」工程により抽出したコーヒー液にうまみを増すことができるとともに、「むらし」工程および休止工程により、特に休止工程により、コーヒーチャンバ70から湯が溢れ出ることを防止できるようになった。
【0072】
また、上記実施形態では、図7,8のドリップ制御プログラムの実行により、コーヒー粉への湯の散水量を、ポンプ23の作動時間により制御するようにした。その結果、コーヒー粉への湯の散水量を測定するための水位の検出を行う必要がなくなるので、散水のために一旦湯を貯留するための散水タンク、水位センサなどが不要となり、装置全体を簡単に構成でき、製品の製造コストを下げることができるとともに、部品の組み付けスペースにも余裕ができる。
【0073】
また、上記実施形態においては、貯湯タンク12の水位に応じて変化するポンプ流量補正値αを、水道源から貯湯タンク12への給水時および貯湯タンク12から抽出装置60への給湯時にその給水量および給湯量に応じて、すなわち貯湯タンク12内の湯量の変化に応じて順次更新するようにした。そして、このポンプ補正値αを用いたポンプ23の作動時間の補正により、貯湯タンク12内の湯量に起因したポンプ23における単位時間当たりの吐出量の変化を打ち消すようにした。これにより、ポンプ23としてコストダウンを図るために小型のポンプ(例えば、渦巻きポンプ)を採用したことにより、同ポンプ23によって汲み上げられる単位時間当たりの吐出湯量が貯湯タンク12内の湯量に応じて変化しても、すなわち貯湯タンク12内の湯面が低くなる従ってポンプの単位時間当たりの吐出湯量が減少しても、飲料原料に散水される湯量を常に適切に保つことができ、良好なコーヒー液を抽出させることができる。
【0074】
また、ポンプ流量補正値αを、貯湯タンク12内の水位が上限水位になるたびに「0」にリセットするとともに、中間水位になるたびに所定値αoに設定するようにした。したがって、順次更新されるポンプ流量補正値αの誤差が累積されることがなくなり、コーヒー液のより適切な抽出が可能になる。さらに、取り出しコック21の操作により、貯湯タンク12内の湯を外部に取り出した場合でも、その後に貯湯タンク12内の水位が中間水位になれば、ポンプ流量補正値αが所定値αoに設定されて、ポンプ23の単位時間当たりの吐出量の補正が的確になるので、前記取り出しコック21による湯の取り出しが良好なコーヒー液の抽出に大きな影響を与えなくなる。
【0075】
また、上記実施形態においては、貯湯タンク12内の湯量を表示器31に表示するようにした。これにより、ユーザは貯湯タンク12内の湯の量を視覚的に認識でき、コーヒー液の抽出指示に便利になるとともに、貯湯タンク12内の湯量が少ない場合における誤ったドリップ操作部28fの操作を防止することができる。
【0076】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【0077】
例えば、上記実施形態では、コーヒー粉への湯の散水工程を3回に分けて各工程の間にて湯の散水をそれぞれ中断するようにしたが、前記散水工程を2回に分けて両工程の間に湯の散水を中断する1回の「むらし」工程(または休止工程)を設けるようにしてもよい。また、湯の散水工程を4回以上にして、各散水工程の間に休止工程(「むらし」工程)をそれぞれ設けるようにしてもよい。これらの場合も、各散水工程および休止工程の時間をそれぞれ任意に設定可能としたり、固定にしたりできる。また、一部の工程のみの時間を任意に設定可能とすることもできる。
【0078】
また、上記実施形態においては、ポンプ流量補正値αの変化を貯湯タンク12内の水位に比例するものとして扱った。しかし、正確な比例関係にはないので、前記ポンプ流量補正値αと貯湯タンク12内の水位との関係を予め測定するとともに、その関係をテーブルとしてマイクロコンピュータ37内に記憶しておいて、ポンプ流量補正値αの更新に利用するようにするとよい。
【0079】
また、上記実施形態においては、図5のステップS36〜S48の貯湯タンク12への給水処理後、ならびに図7のステップS102〜S114、図7,8のステップS124〜S136および図8のステップS146〜S158の貯湯タンク12から抽出装置60への各給湯処理後に、ステップS50,S52の処理、ならびにステップS118,S120、ステップS140,S142およびステップS160,S162の各処理により、ポンプ流量補正値αを貯湯タンク12内の湯量(または水量)の変化に応じて更新した。一方、これらの貯湯タンク12への給水時および貯湯タンク12から抽出装置60への給湯時に、貯湯タンク12内の水位が中間水位を通過した場合には、ポンプ流量補正値αを所定値αoにセットした。したがって、上記実施形態では、ポンプ流量補正値αに多少の誤差が含まれるが、このような機会はあまり多くなく、しかもそれほど大きな誤差にはならない。しかし、このポンプ流量補正値αの誤差を小さくするために、ポンプ流量補正値αを所定値αoにセットしたときからの貯湯タンク12内の湯量(または水量)の変化に応じて、ポンプ流量補正値αを更新するようようにしてもよい。この場合、前記ポンプ流量補正値αを所定値αoにセットしたときからの時間を計測して、同計測時間に基づいて前記ステップS50,S52、ステップS118,S120、ステップS140,S142およびステップS160,S162のポンプ流量補正値αの各更新処理を行なうようにすればよい。
【0080】
また、上記実施形態では、貯湯タンク12内の水位が中間水位および上限水位になったときポンプ流量補正値αを所定値αo,0にそれぞれ設定するようにしたが、貯湯タンク12内の水位が下限水位になったときにも、ポンプ流量補正値αを所定値に設定するようにしてもよい。また、新たな水位センサを設けて、同水位センサにより所定水位が検出されたとき、ポンプ流量補正値αを所定値αoに設定するようにしてもよい。この場合、貯湯タンク12内の水位が下限水位であるとき、または前記所定水位であるときのポンプ流量補正値αを予め測定しておき、下限水位スイッチ17aまたは前記水位センサによる下限水位または前記所定水位の検出時に、ポンプ補正値αを前記測定しておいた所定値に設定するようにすればよい。
【0081】
また、上記実施形態においては、貯湯タンク12内の水位が上限水位にあるときにおけるポンプ23の単位時間あたりの吐出量Qoを基準とし、同基準となる吐出量Qoを貯湯タンク12内の水位に起因したポンプ流量補正値αで補正する考えのもとに、貯湯タンク12内の異なる水位でのポンプ23の作動時間を補正するようにした。しかし、これに代えて、貯湯タンク12内の水位が下限水位、中間水位などの他の水位にあるときにおけるポンプ23の単位時間当たりの吐出量を基準として、同基準となる吐出量を前記下限水位、中間水位、他の水位に対応させて定めたポンプ流量補正値で補正する考えのもとに、貯湯タンク12内の異なる水位でのポンプ23の作動時間を補正するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、飲料原料としてコーヒー粉を用いてコーヒー液を生成するコーヒー生成装置に適用したが、本発明は、コーヒー生成装置に限定されることなく、種々の飲料原料を用いた飲料生成装置にも適用できる。例えば、飲料原料を茶葉にすれば、本発明は給茶器に適用される。また、粉末ジュースなどを飲料原料とすれば、本発明は、ジュースなどを提供する飲料生成装置に適用される。さらに、前記のようにジュース飲料を提供する場合には、低温度で溶けるジュース粉末を用いれば、飲料原料に注がれる液体は熱湯でなくてもよい場合があり、この場合には、貯湯タンク12内の水を加熱器16によって加熱する必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 飲料供給システムの全体を示す正面図である。
【図2】 図1の湯供給装置の一部を破断するとともに拡大して示す側面図である。
【図3】 湯供給装置の操作パネルと電気回路装置のブロック図である。
【図4】 図3のマイクロコンピュータによって実行される湯量・湯温制御プログラムの前半部分を示すフローチャートである。
【図5】 前記湯量湯温制御プログラムの後半部分を示すフローチャートである。
【図6】 図3のマイクロコンピュータによって実行される表示制御プログラムを示すフローチャートである。
【図7】 図3のマイクロコンピュータによって実行されるドリップ制御プログラムの前半部分を示すフローチャートである。
【図8】 前記ドリップ制御プログラムの後半部分を示すフローチャートである。
【図9】 図1の冷却貯留装置の一部を破断すると共に拡大して示す側面図で
ある。
【図10】 図1の抽出装置を拡大して示す正面図である。
【図11】 同抽出装置の一部を破断するとともに拡大して示す側面図である。
【図12】 コーヒー液の抽出工程を説明するための工程図である。
【図13】 ポンプの流量補正値の変化特性図である。
【符号の説明】
10…湯供給装置、11…ハウジング、12…貯湯タンク、15…給水バルブ、16…加熱器、17a…下限水位スイッチ、17b…中間水位スイッチ、17c…上限水位スイッチ、18…温度センサ、23…ポンプ、25…給湯ホース、28…操作パネル、37…マイクロコンピュータ、40…冷却貯留装置、41…コーヒー液取り出しコック、44…飲料タンク、48…冷却用水槽、49…蒸発管、60…抽出装置、65…散水器、65a…シャワーヘッド、70…コーヒーチャンバ。
Claims (5)
- 飲料を生成するための液体を貯えるタンクと、
外部から前記タンクへ給水する給水装置と、
前記タンク内の液体を汲み上げるポンプと、
前記タンク内の液体が中間水位に達していることを検出する中間水位センサと、
前記タンク内の液体が上限水位に達していることを検出する上限水位センサと、
前記中間水位センサによって前記タンク内の液体が中間水位に達していることが検出されないとき前記給水装置を制御して外部から前記タンクへの給水を開始し、前記上限水位センサによって前記タンク内の液体が上限水位に達していることが検出されたとき前記給水装置を制御して外部から前記タンクへの給水を停止して、前記タンク内の液体が中間水位から上限水位の間に維持されるように外部から前記タンクへの給水を制御する給水制御手段と、
飲料の生成指示に応答して前記ポンプを所定時間だけ作動させるポンプ作動制御手段と、
前記外部からタンクへの給水量および前記ポンプによりタンクから汲み上げられた液体量を用いて、同タンク内の液体量に起因した前記ポンプの単位時間当たりの吐出量の変化を打ち消すための補正値を更新し、同更新した補正値を用いて前記ポンプ作動制御手段によるポンプの作動時間を補正する作動時間補正手段と、
前記中間水位センサによって前記タンク内の液体が中間水位に達していることが検出されていない状態から中間水位に達したことが検出されるようになったとき、及び前記中間水位センサによって前記タンク内の液体が中間水位に達していることが検出されている状態から中間水位に達したことが検出されなくなったとき、前記補正値を第1の所定値に設定する第1の補正値設定手段と
を備えたことを特徴とする飲料生成装置。 - 前記上限水位センサによって前記タンク内の液体が上限水位に達していることが検出されたとき、前記補正値を前記第1の所定値とは異なる第2の所定値に設定する第2の補正値設定手段を、さらに設けた前記請求項1に記載した飲料生成装置。
- 前記請求項1又は請求項2に記載した飲料生成装置において、さらに
前記タンク内の液体を過熱する過熱器と、
前記タンク内の液体の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサによって検出された液体の温度を用いて、前記タンク内の液体の温度を所定の下限温度よりも高い温度に維持するように、前記過熱器の作動を制御する過熱器制御手段とを設け、
前記給水制御手段は、前記中間水位センサによって前記タンク内の液体の水位が中間水位に達していることが検出され、かつ前記上限水位センサによって前記タンク内の液体の水位が上限水位に達していることが検出されないとき、前記温度センサによって検出された温度が前記下限温度よりも高いことを条件に前記給水装置による外部から前記タンクへの給水を許容する温度依存制御手段を含む飲料生成装置。 - 前記中間水位センサおよび前記上限水位センサの検出結果に基づいて前記タンク内の液体量を表示する表示器を、さらに設けた前記請求項1ないし請求項3のうちのいずれか一つに記載した飲料生成装置。
- 前記タンクは液体として自動的に温度調整された湯を貯えていて、前記ポンプにより汲み上げた湯を飲料原料に注ぐことにより飲料を抽出するようにした前記請求項1ないし請求項4のうちのいずれか一つに記載した飲料生成装置。
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