JP4020543B2 - 筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置 - Google Patents

筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射弁から燃焼室内に直接燃料を噴射することで生じた混合気に点火プラグにより点火する筒内噴射式内燃機関に用いられるバルブ特性制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の内部EGR量やエキゾーストブレーキ力を制御するために、排気カムの主カム山の回転前方または回転後方に、補助カム山を設けた動弁装置が知られている。この排気カムにおいては、内燃機関の運転状態に適合した内部EGR量を実現するために、補助カム山の高さを排気カムの回転軸方向にて次第に高く設計している。そして、内燃機関の運転状態に応じてカムシャフトを回転軸方向に移動させることで、適切な内部EGR量やエキゾーストブレーキ力を実現している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように単に補助カム山の高さを調整するものでは、内部EGR量やエキゾーストブレーキ力については、内燃機関の運転状態に一応適合させることができる。しかし、内燃機関によっては、内部EGR量等の調整幅をもっと拡大したい場合や、あるいは体積効率向上あるいはポンピングロス低減などの他の各種の性能要求にまで対応させたい場合が生じる。ところが、補助カム山の高さを調整するだけでは要求に対応する十分なバルブ特性を実現することはできない。
【0004】
特に、燃料噴射弁から燃焼室内に直接燃料を噴射することで生じた混合気に点火プラグにより点火する筒内噴射式内燃機関においては、吸気ポートに燃料を噴射する内燃機関に比較して、一層複雑な運転状態が実行される。この複雑な運転状態に応じた各種の性能要求、例えば内部EGRの制御幅の拡大、体積効率向上、ポンピングロス低減等といった要求に、吸気バルブや排気バルブのバルブ特性を応じさせる必要がある。しかし、従来のごとく補助カム山の高さを調整するだけでは十分にバルブ特性を、筒内噴射式内燃機関における性能要求に応じさせることはできない。
【0005】
本発明は、筒内噴射式内燃機関において要求されるバルブ特性を実現できるバルブ特性制御装置の提供を目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する
【0021】
請求項記載の筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置は、気筒毎に2つの吸気経路と該2つの吸気経路に対応して2つの吸気バルブが設けられ、一方の吸気経路に該吸気経路を開閉する気流制御弁が設けられるとともに、燃料噴射弁から燃焼室内に直接燃料を噴射することで生じた混合気に点火プラグにより点火する筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置であって、前記2つの吸気バルブの駆動に用いられる2つのカムの内、気流制御弁が設けられていない吸気経路側の吸気バルブを駆動するカムは、メインリフトとサブリフトとが複合したリフト特性を有すると共にカムプロフィールが回転軸方向にて異なる2種のリフトパターンの間で連続的に変化している複合リフト3次元カムであり、気流制御弁が設けられている吸気経路側の吸気バルブを駆動するカムは、サブリフトが存在せずメインリフトが回転軸方向で異なる単純リフト3次元カムであって、これら3次元カムの回転軸方向の位置を調整することで各吸気バルブのバルブ特性を無段階に変更するバルブリフト可変機構を備えたことを特徴とする。
【0022】
2吸気バルブタイプの筒内噴射式内燃機関において、一方の吸気経路内に気流制御弁を設けて燃焼室内に旋回流や乱流を生じさせるようにした場合に、気流制御弁を設けた吸気経路の吸気バルブを駆動する3次元カムと気流制御弁を設けていない吸気経路の吸気バルブを駆動する3次元カムとのカムプロフィールを異なるようにしている。
【0023】
このようにすることにより、気流制御弁の開閉状態と、異なるカムプロフィールの3次元カムによる個々の吸気バルブの特性との組み合わせにより、更に複雑な吸気バルブ特性を実現でき、筒内噴射式内燃機関の運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0025】
更に、気流制御弁が無い側の吸気バルブを駆動するカムは、メインリフトおよびサブリフトが存在する複合リフト3次元カムを用いる。そして、気流制御弁が有る側の吸気バルブを駆動するカムは、メインリフトのみが存在する単純リフト3次元カムを用いる。このことにより、例えば、内部EGRを行うと共に、燃焼室内に旋回流や乱流を生じさせて燃焼性を安定させたい場合などにも対応できるなど、複雑な吸気バルブ特性を実現できる。したがって、筒内噴射式内燃機関の運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0026】
請求項記載の筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置は、請求項記載の構成において、前記複合リフト3次元カムにおける前記2種のリフトパターンの内の一方の第1リフトパターンは、サブリフトを有さずメインリフトのみのリフトパターンであり、他方の第2リフトパターンは、サブリフトとメインリフトとを有するリフトパターンであることを特徴とする。
【0027】
このように、複合リフト3次元カムにおいて、第1リフトパターン側ではメインリフトのみとし、第2リフトパターンはサブリフトとメインリフトとを有するようにしても良い。このようにしても、複雑な吸気バルブ特性を実現でき、筒内噴射式内燃機関の運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0028】
請求項記載の筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置は、請求項またはの構成に加えて、前記3次元カムの回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を連続的に調整することで、吸気バルブのバルブ特性を無段階に変更するバルブタイミング可変機構を備えたことを特徴とする。
【0029】
請求項またはの構成に、更に3次元カムの回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を連続的に調整するバルブタイミング可変機構を加えている。このことにより、バルブリフト可変機構によるリフトパターンを、クランクシャフトに対して進角させたり遅角させたりできる。
【0030】
したがって、複雑な吸気バルブ特性を実現でき、筒内噴射式内燃機関の運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
請求項記載の筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置は、請求項のいずれか記載の構成において、前記バルブリフト可変機構は、3次元カムの回転軸方向の位置調整に連動して3次元カムの回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を変化させることを特徴とする。
【0031】
このように、バルブリフト可変機構自体も、3次元カムの回転軸方向の位置調整に連動して3次元カムの回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を変化させるようにしても良い。このことにより、より筒内噴射式内燃機関の運転状態に適合させたバルブ特性を得られ易くなる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の前提技術を理解する上での参考例を示す。
参考例1]
図1に、筒内噴射式内燃機関としての直列4気筒の車載用ガソリンエンジン11における動弁系を中心とする概略構成を示す。このエンジン11においては、バルブ特性制御装置10が吸気側カムシャフト22に設けられている。
【0033】
エンジン11は、往復移動するピストン12が設けられたシリンダブロック13と、シリンダブロック13の下側に設けられたオイルパン13aと、シリンダブロック13の上側に設けられたシリンダヘッド14とを備えている。
【0034】
このエンジン11の下部には出力軸であるクランクシャフト15が回転可能に支持され、同クランクシャフト15にはコンロッド16を介してピストン12が連結されている。そして、ピストン12の往復移動は、コンロッド16によってクランクシャフト15の回転へと変換される。また、ピストン12の上側には燃焼室17が設けられ、この燃焼室17には吸気ポート18および排気ポート19が接続されている。そして、吸気ポート18と燃焼室17とは吸気バルブ20により連通・遮断され、排気ポート19と燃焼室17とは排気バルブ21により連通・遮断されるようになっている。
【0035】
一方、シリンダヘッド14には、吸気側カムシャフト22および排気側カムシャフト23が平行に設けられている。吸気側カムシャフト22は回転可能かつ軸方向へ移動可能にシリンダヘッド14上に支持されており、排気側カムシャフト23は回転可能であるが軸方向には移動不可能にシリンダヘッド14上に支持されている。
【0036】
吸気側カムシャフト22の一端部には、タイミングスプロケット24aを備えクランクシャフト15と吸気側カムシャフト22との回転位相差を変更するための回転位相差可変アクチュエータ24(バルブタイミング可変機構に相当)が設けられている。また、吸気側カムシャフト22の他端部には吸気側カムシャフト22を回転軸方向へ移動させるためのリフト可変アクチュエータ22a(バルブリフト可変機構に相当)が設けられている。また、排気側カムシャフト23の一端部にはタイミングスプロケット25が取り付けられている。このタイミングスプロケット25および回転位相差可変アクチュエータ24のタイミングスプロケット24aは、タイミングチェーン15bを介して、クランクシャフト15に取り付けられたタイミングスプロケット15aに連結されている。そして、駆動側回転軸としてのクランクシャフト15の回転がタイミングチェーン15bを介して、従動側回転軸としての吸気側カムシャフト22および排気側カムシャフト23に伝達される。このことによって、吸気側カムシャフト22および排気側カムシャフト23はクランクシャフト15の回転に同期して回転する。なお、図1の例では、クランクシャフト15、吸気側カムシャフト22および排気側カムシャフト23は、タイミングスプロケット15a,24a,25側から見て、右回り(時計回り)に回転する。
【0037】
吸気側カムシャフト22には、吸気バルブ20の上端に取り付けられたバルブリフタ20aに当接する吸気カム27が設けられ、排気側カムシャフト23には、排気バルブ21の上端に取り付けられたバルブリフタ21aに当接する排気カム28が設けられている。そして、吸気側カムシャフト22が回転すると、吸気カム27により吸気バルブ20が開閉駆動され、排気側カムシャフト23が回転すると、排気カム28により排気バルブ21が開閉駆動される。なお、排気側カムシャフト23には排気カム28以外に、図示していないがポンプカムが取り付けられており、排気側カムシャフト23の回転に伴って高圧燃料ポンプを駆動している。この高圧燃料ポンプは後述する燃料噴射弁17bから燃焼室17内に直接燃料を噴射するための燃料圧を形成するためである。
【0038】
図2に表すシリンダヘッド14の平面断面に示されているように、2つの吸気ポート18は略直線状に延びるストレート型吸気ポートである。また、シリンダヘッド14の内壁面の中央部には点火プラグ17aが配置されている。更に、吸気バルブ20近傍のシリンダヘッド14の内壁面周辺部には、燃焼室17内に直接燃料を噴射できるように燃料噴射弁17bが配置されている。
【0039】
なお、図3はピストン12における頂面の平面図、図4は図2におけるX−X断面図、図5は図2におけるY−Y断面図である。図示されるように略山形に形成されたピストン12の頂面上には燃料噴射弁17bの下方から点火プラグ17aの下方まで延びるドーム形の輪郭形状を有する凹部12aが形成されている。
【0040】
図2に示したごとく、各気筒の2つの吸気ポート18は吸気マニホールド内に形成された2つの吸気通路18a,18bを介してサージタンク18cに接続されている。この内の一方の吸気通路18a内にはそれぞれ気流制御弁18dが配置されている。これらの気流制御弁18dは、共通のシャフト18eを介して接続されると共に、このシャフト18eを介してアクチュエータ18fによりエンジン11の運転状態に応じて開閉作動される。なお、気流制御弁18dが閉状態とされた場合には、一方の吸気ポート18のみから吸入される吸気により燃焼室17内には強い旋回流Aが生じる。
【0041】
ここで、排気カム28のカムプロフィールは排気側カムシャフト23の軸方向に対して一定となっているが、吸気カム27のカムプロフィールは、後述するごとく吸気側カムシャフト22の軸方向に連続的に変化している。すなわち、吸気カム27は3次元カムとして構成されている。
【0042】
次に、吸気側カムシャフト22をその回転軸方向へ移動させるためのリフト可変アクチュエータ22a、およびこのリフト可変アクチュエータ22aを油圧により駆動するための給油構造について図6に基づき説明する。
【0043】
図6に示すように、リフト可変アクチュエータ22aは、筒状をなすシリンダチューブ31と、シリンダチューブ31内に設けられたピストン32と、シリンダチューブ31の両端開口部を塞ぐように設けられた一対のエンドカバー33と、ピストン32と図示右側のエンドカバー33との間に配置された圧縮状態のコイルスプリング32aとから構成されている。このシリンダチューブ31はシリンダヘッド14に固定されている。
【0044】
ピストン32には一方のエンドカバー33を貫通した補助シャフト33aを介して吸気側カムシャフト22が連結されている。なお補助シャフト33aと吸気側カムシャフト22との間は転がり軸受33bが介在し、リフト可変アクチュエータ22aは、回転する吸気側カムシャフト22を補助シャフト33aと転がり軸受33bとを介して回転軸方向に円滑に駆動できるようにしている。
【0045】
シリンダチューブ31内は、ピストン32により第1圧力室31aおよび第2圧力室31bに区画されている。 第1圧力室31aには、一方のエンドカバー33に形成された第1給排通路34が接続され、第2圧力室31bには、他方のエンドカバー33に形成された第2給排通路35が接続されている。
【0046】
第1給排通路34または第2給排通路35を介して、第1圧力室31aと第2圧力室31bとに対し選択的に作動油を供給すると、ピストン32は吸気側カムシャフト22の回転軸方向に移動する。このピストン32の移動に伴い、吸気側カムシャフト22も回転軸方向へ移動する。
【0047】
第1給排通路34および第2給排通路35は、第1オイルコントロールバルブ36に接続されている。この第1オイルコントロールバルブ36には供給通路37および排出通路38が接続されている。そして、供給通路37はクランクシャフト15の回転に伴って駆動されるオイルポンプPを介してオイルパン13aに接続されており、排出通路38はオイルパン13aに直接接続されている。
【0048】
第1オイルコントロールバルブ36はケーシング39を備え、ケーシング39には、第1給排ポート40、第2給排ポート41、第1排出ポート42、第2排出ポート43、および供給ポート44が設けられている。第1給排ポート40には第1給排通路34が接続され、第2給排ポート41には第2給排通路35が接続されている。更に、供給ポート44には供給通路37が接続され、第1排出ポート42および第2排出ポート43には排出通路38が接続されている。また、ケーシング39内には、4つの弁部45を有してコイルスプリング46および電磁ソレノイド47によりそれぞれ逆の方向に付勢されるスプール48が設けられている。
【0049】
電磁ソレノイド47の消磁状態においては、スプール48がコイルスプリング46の弾性力によりケーシング39の一端側(図6における右側)に配置されて、第1給排ポート40と第1排出ポート42とが連通し、第2給排ポート41と供給ポート44とが連通する。この状態では、オイルパン13a内の作動油が供給通路37、第1オイルコントロールバルブ36および第2給排通路35を介して、第2圧力室31bへ供給される。また、第1圧力室31a内にあった作動油が第1給排通路34、第1オイルコントロールバルブ36および排出通路38を介してオイルパン13a内へ戻される。その結果、ピストン32が図示左側へ移動し、ピストン32に連動して吸気側カムシャフト22が矢印Sに示す方向の内、方向Fへ移動する。なお方向Fの移動では、後述するインナギヤ54とベーンロータ61との噛み合わせにより、吸気側カムシャフト22全体がクランクシャフト15に対して進角方向に回転位相がずれるようにされている。
【0050】
一方、電磁ソレノイド47が励磁されたときには、スプール48がコイルスプリング46の弾性力に抗してケーシング39の他端側(図6において左側)に配置されて、第2給排ポート41が第2排出ポート43と連通し、第1給排ポート40が供給ポート44と連通する。この状態では、オイルパン13a内の作動油が供給通路37、第1オイルコントロールバルブ36および第1給排通路34を介して第1圧力室31aへ供給される。また、第2圧力室31b内にあった作動油が第2給排通路35、第1オイルコントロールバルブ36および排出通路38を介してオイルパン13a内に戻される。その結果、ピストン32が図示右側へ移動し、ピストン32に連動して吸気側カムシャフト22が矢印Sに示す方向の内、方向Rへ移動する。なお方向Rの移動では、後述するインナギヤ54とベーンロータ61との噛み合わせにより、吸気側カムシャフト22全体がクランクシャフト15に対して遅角方向に回転位相がずれるようにされている。
【0051】
更に、電磁ソレノイド47への給電を制御し、スプール48をケーシング39の中間に位置させると、第1給排ポート40および第2給排ポート41が閉塞され、それら給排ポート40,41を通じての作動油の移動が禁止される。この状態では、第1圧力室31aおよび第2圧力室31bに対して作動油の給排が行われず、第1圧力室31aおよび第2圧力室31b内に作動油が充填保持される。このことにより、ピストン32および吸気側カムシャフト22の回転軸方向での位置が固定される。図6に示す状態はこの位置固定の状態を表している。
【0052】
また、電磁ソレノイド47への給電をデューティ制御することで、第1給排ポート40における開度あるいは第2給排ポート41における開度を調整して、供給ポート44から第1圧力室31aまたは第2圧力室31bへの作動油の供給速度を制御できる。
【0053】
次に、吸気側カムシャフト22の回転位相差を調整するための回転位相差可変アクチュエータ24について図7に基づき詳しく説明する。
図7に示すように、回転位相差可変アクチュエータ24はタイミングスプロケット24aを備える。このタイミングスプロケット24aは吸気側カムシャフト22が貫通する筒部51と、筒部51の外周面から突出する円板部52と、円板部52の外周面に設けられた複数の外歯53とを備えている。タイミングスプロケット24aの筒部51は、シリンダヘッド14のジャーナル軸受14aとカムシャフトベアリングキャップ14bとに挟持されて回転可能に支持されている。そして、吸気側カムシャフト22は、筒部51内を回転軸方向へ摺動して移動できるように筒部51を貫通している。
【0054】
更に、吸気側カムシャフト22の先端部を覆うように設けられたインナギヤ54が、ボルト55により固定されている。このインナギヤ54は図8に示すごとく、斜歯(ここでは左ネジ方向)の大径ギヤ部54aと、これとは逆方向の斜歯(ここでは右ネジ方向)の小径ギヤ部54bとが2段に形成された構成をなしている。
【0055】
更に、インナギヤ54の小径ギヤ部54bには、図8に示す斜歯(ここでは左ネジ方向)の外歯56aとこれとは逆方向の斜歯(ここでは右ネジ方向)の内歯56bとを備えたサブギヤ56が、その内歯56bにて、図7に示すごとく噛み合わされている。この噛み合せの際には、インナギヤ54とサブギヤ56との間にリング状のスプリングワッシャ57が配置され、サブギヤ56をインナギヤ54から離すように軸方向に付勢している。なお、インナギヤ54とサブギヤ56との外径は同一であり、大径ギヤ部54aとサブギヤ56の外歯56aとは同じ傾き(左ネジ方向)の斜歯である。
【0056】
タイミングスプロケット24aの円板部52には、複数のボルト58(ここでは4本のボルト)により、ハウジング59と、ハウジング59の内部の内、後述する第1圧力室70および第2圧力室71とを密閉するカバー60とが取り付けられている。なお、カバー60の中心には、後述する円筒状空間61cを開放して吸気側カムシャフト22の軸方向への摺動を円滑に行うための穴部60aが設けられている。
【0057】
ボルト58、カバー60およびボルト55を取り外してハウジング59の内部を図7において左から見た状態を図9に示す。なお、図7の回転位相差可変アクチュエータ24は、図9におけるB−B線での断面状態を示している。
【0058】
ハウジング59は、内周面59aから中心方向に向かって複数の壁部62,63,64,65(ここでは4つ)が突出している。そして、その壁部62,63,64,65の先端面に対して、外周面61aにて接して円盤状のベーンロータ61が回動可能に配置されている。
【0059】
円盤状のベーンロータ61の中心部は円筒状空間61c(図7)が形成されて、その内周面は吸気側カムシャフト22の回転軸方向に沿って左ネジ方向の螺旋状に延びるヘリカルスプライン部61bを形成している。前述したインナギヤ54の大径ギヤ部54aとサブギヤ56の外歯56aとは共にこのヘリカルスプライン部61bに噛み合わされている。
【0060】
斜歯の内歯56bと斜歯の小径ギヤ部54bとの噛み合わせと、スプリングワッシャ57との作用により、インナギヤ54の大径ギヤ部54aとサブギヤ56の外歯56aとは相対的に逆方向に回動する付勢力を生じている。このため、ヘリカルスプライン部61bとギヤ54,56間のバックラッシュによる誤差を吸収することができ、ベーンロータ61に対してインナギヤ54は設定される回転位相位置に高精度に配置される。したがって、ベーンロータ61と吸気側カムシャフト22とを、高精度の回転位相関係にて取り付けることができる。なお、図7においては、見やすくするため、ヘリカルスプライン部61bは一部のみ示し、他は図示を省略しているが、ヘリカルスプライン部61bはベーンロータ61の円筒状空間61cの内周面全体に形成されている。
【0061】
円盤状のベーンロータ61の外周面61aには、壁部62,63,64,65の間の空間に突出して、先端をハウジング59の内周面59aに接しているベーン66,67,68,69を備えている。これらのベーン66,67,68,69が壁部62,63,64,65間の空間を区画することにより、第1圧力室70と第2圧力室71とを形成している。
【0062】
この内の1つのベーン66は、他のベーン67,68,69より回転方向に幅広に形成され、吸気側カムシャフト22の軸方向に沿って延びる貫通孔72を有する。貫通孔72内において移動可能に収容されたロックピン73は、その内部に収容孔73aを有する。この収容孔73a内に設けられたスプリング74は、ロックピン73を円板部52へ向かって付勢している。
【0063】
また、ベーンロータ61はその先端面に形成された油溝72aを有する。この油溝72aはカバー60を貫通している円弧状の貫通開放口72b(図1)と貫通孔72とを連通する。この貫通開放口72bと油溝72aとは、貫通孔72の内部においてロックピン73よりもカバー60側にある空気あるいは油をカバー60より外部に排出する機能を有する。
【0064】
図9のC−C線における断面である図10および図11に示すごとく、ロックピン73が円板部52に設けられた係止穴75に対向していた場合(図11)には、ロックピン73がスプリング74の付勢力により係止穴75に係止し、円板部52に対するベーンロータ61の相対回動位置が固定される。また、図10においては、ベーンロータ61は最遅角位置にあり、ベーン66に設けられたロックピン73は係止穴75に対向しておらず、ロックピン73の先端部73bが係止穴75に挿入されていない状態を示している。図9の状態は、図10と同じく、ロックピン73の先端部73bが係止穴75に挿入されていない状態である。
【0065】
エンジン11が始動時などである場合、あるいは後述する電子制御ユニット(以下、「ECU」と称する)130による油圧制御が開始されていない場合などでは、第1圧力室70および第2圧力室71の油圧がゼロあるいは十分に上昇していない。このような場合には、始動時のクランキング動作により、吸気側カムシャフト22に逆トルクが生じて、ベーンロータ61がハウジング59に対して進角方向に相対回動する。このことで、図10に示した状態から、ロックピン73が係止穴75に挿入できる相対回動位置に到達し、図11に示すごとくロックピン73が係止穴75に挿入し係止する。このようにロックピン73が係止穴75に係止した場合には、ベーンロータ61とハウジング59との相対回動が禁止され、ベーンロータ61とハウジング59とは一体となって回転することができる。
【0066】
なお、係止穴75に係止されたロックピン73の解除は、エンジン11の始動後に、図10および図11に示す油路76を介して第2圧力室71から環状油空間77に油圧が供給されることにより行われる。すなわち、環状油空間77に供給される油圧が上昇することにより、スプリング74の付勢力に抗してロックピン73が係止穴75から外れ、ロックピン73の係止が解除される。また、油路78を介して第1圧力室70から係止穴75に油圧が供給されて、ロックピン73の解除状態が確実に保持される。このように、ロックピン73の係止が解除された状態で、ハウジング59およびベーンロータ61間の相対回動が許容され、第1圧力室70および第2圧力室71に供給される油圧に対応して、ハウジング59に対するベーンロータ61の相対回動位相が調整可能となる。例えば、図12に示すごとく、ベーンロータ61をハウジング59に対して更に進角させることができる。
【0067】
上述した構成において、エンジン11の駆動によりクランクシャフト15が回転すると、その回転がタイミングチェーン15bを介してタイミングスプロケット24aに伝達される。このとき、タイミングスプロケット24aおよび吸気側カムシャフト22が、調整されている回転位相差状態で一体に回転する。この吸気側カムシャフト22の回転に伴なって吸気バルブ20(図1)が開閉駆動される。
【0068】
そして、エンジン11の駆動時に、第1圧力室70および第2圧力室71に対する油圧制御により、ハウジング59に対してベーンロータ61を回転方向に相対的に回動させる。すなわち吸気側カムシャフト22をクランクシャフト15に対し進角する側に回転位相差の調整制御を行うと、吸気バルブ20の作用角全体が進角して吸気バルブ20の開閉タイミングは早くなる。
【0069】
逆に、ハウジング59に対してベーンロータ61を回転方向とは逆方向に相対的に回動させる。すなわち吸気側カムシャフト22をクランクシャフト15に対し遅角する側に回転位相差の調整制御を行うと、吸気バルブ20の作用角全体が遅角して吸気バルブ20の開閉タイミングは遅くなる。
【0070】
次に、回転位相差可変アクチュエータ24にあって、吸気側カムシャフト22の回転位相差を調整するために、ハウジング59とベーンロータ61間の回転位相差を油圧制御する構成について説明する。
【0071】
図7,9に示したごとく、ハウジング59の内部に突出する各壁部62〜65の第1圧力室70側には、それぞれ進角用油路開口部80が開口し、各壁部62〜65の第2圧力室71側には、それぞれ遅角用油路開口部81が開口している。また、進角用油路開口部80に接する各壁部62〜65の内で円板部52側には、ベーン66〜69が進角用油路開口部80を塞いでいても、ベーンロータ61が進角方向に回動する油圧を与えることができるように、凹部62a〜65aが設けられている。同様に、遅角用油路開口部81に接する各壁部62〜65の内で円板部52側には、ベーン66〜69が遅角用油路開口部81を塞いでいても、ベーンロータ61が遅角方向に回動する油圧を与えることができるように、凹部62b〜65bが設けられている。
【0072】
各進角用油路開口部80は、円板部52内の進角制御油路84、筒部51内の進角制御油路86,88により、筒部51の一方の外周溝51aに接続されている。また、各遅角用油路開口部81は、円板部52内の遅角制御油路85、筒部51内の遅角制御油路87,89により、筒部51の他方の外周溝51bに接続されている。
【0073】
また、筒部51内の遅角制御油路87から分岐した潤滑油路90は筒部51の内周面51cに設けられた幅広の内周溝91に接続している。このことにより、遅角制御油路87内を流れる作動油を、筒部51の内周面51cと吸気側カムシャフト22の端部外周面22bに潤滑油として導く。
【0074】
筒部51の一方の外周溝51aは、シリンダヘッド14内の進角制御油路92を介して第2オイルコントロールバルブ94に接続され、筒部51の他方の外周溝51bはシリンダヘッド14内の遅角制御油路93を介して第2オイルコントロールバルブ94に接続されている。
【0075】
第2オイルコントロールバルブ94には、供給通路95および排出通路96が接続されている。そして、供給通路95は第1オイルコントロールバルブ36にて用いたと同一のオイルポンプPを介してオイルパン13aに接続しており、排出通路96はオイルパン13aに直接接続している。したがって、オイルポンプPは、オイルパン13aから二つの供給通路37,95へ作動油を送り出すようになっている。
【0076】
第2オイルコントロールバルブ94は第1オイルコントロールバルブ36と同様に構成されている。すなわち、第2オイルコントロールバルブ94は、ケーシング102、第1給排ポート104、第2給排ポート106、弁部107、第1排出ポート108、第2排出ポート110、供給ポート112、コイルスプリング114、電磁ソレノイド116、およびスプール118を備えている。そして、第1給排ポート104にはシリンダヘッド14内の進角制御油路92が接続され、第2給排ポート106にはシリンダヘッド14内の遅角制御油路93が接続されている。また、供給ポート112には供給通路95が接続され、第1排出ポート108および第2排出ポート110には排出通路96が接続されている。
【0077】
したがって、電磁ソレノイド116の消磁状態においては、スプール118がコイルスプリング114の弾性力によりケーシング102の一端側(図7において右側)に配置される。このことにより、第1給排ポート104と第1排出ポート108とが連通し、第2給排ポート106が供給ポート112と連通する。この状態では、オイルパン13a内の作動油が、供給通路95、第2オイルコントロールバルブ94、遅角制御油路93、外周溝51b、遅角制御油路89、遅角制御油路87、遅角制御油路85、遅角用油路開口部81、および凹部62b,63b,64b,65bを介して回転位相差可変アクチュエータ24の第2圧力室71へ供給される。また、回転位相差可変アクチュエータ24の第1圧力室70内にあった作動油は、凹部62a,63a,64a,65a、進角用油路開口部80、進角制御油路84、進角制御油路86、進角制御油路88、外周溝51a、進角制御油路92、第2オイルコントロールバルブ94、および排出通路96を介してオイルパン13a内へ戻される。その結果、ベーンロータ61がハウジング59に対して遅角方向へ相対回動し、前述したように吸気側カムシャフト22はクランクシャフト15に対し遅角する方向に相対回転する。
【0078】
一方、電磁ソレノイド116が励磁されたときには、スプール118がコイルスプリング114の弾性力に抗してケーシング102の他端側(図7において左側)に配置される。このことにより、第2給排ポート106が第2排出ポート110と連通し、第1給排ポート104が供給ポート112と連通する。この状態では、オイルパン13a内の作動油が、供給通路95、第2オイルコントロールバルブ94、進角制御油路92、外周溝51a、進角制御油路88、進角制御油路86、進角制御油路84、進角用油路開口部80、および凹部62a,63a,64a,65aを介して、回転位相差可変アクチュエータ24の第1圧力室70へ供給される。また、回転位相差可変アクチュエータ24の第2圧力室71内にあった作動油は、凹部62b,63b,64b,65b、遅角用油路開口部81、遅角制御油路85、遅角制御油路87、遅角制御油路89、外周溝51b、遅角制御油路93、第2オイルコントロールバルブ94、および排出通路96を介してオイルパン13a内へ戻される。その結果、ベーンロータ61がハウジング59に対して進角方向へ相対回動し、前述したように吸気側カムシャフト22はクランクシャフト15に対し進角する方向に相対回転する。
【0079】
更に、電磁ソレノイド116への給電を制御し、スプール118をケーシング102の中間に位置させると、第1給排ポート104および第2給排ポート106が閉塞され、それら給排ポート104,106を通じての作動油の移動が禁止される。この状態では、回転位相差可変アクチュエータ24の第1圧力室70および第2圧力室71に対して作動油の給排が行われない。この結果、第1圧力室70および第2圧力室71内には作動油が充填保持されて、ベーンロータ61はハウジング59に対する相対回動は停止する。したがって、吸気側カムシャフト22とクランクシャフト15との回転位相差は、ベーンロータ61が固定されたときの状態に保持される。
【0080】
また、電磁ソレノイド116への給電をデューティ制御することで、第1給排ポート104における開度あるいは第2給排ポート106における開度を調整して、供給ポート112から第1圧力室70あるいは第2圧力室71への作動油の供給速度を制御できる。
【0081】
ここで、吸気カム27のカムプロフィールについて説明する。
吸気カム27は、図13の斜視図に示すごとく吸気側カムシャフト22の矢印Sで示す回転軸方向において、カム面27aのプロフィールが変化している3次元カムとして構成されている。ここで、矢印S方向の内で方向F側の前方端面27b側(第2リフトパターン側に相当)でのカムノーズ27dの高さは、方向R側の後方端面27c側(第1リフトパターン側に相当)でのカムノーズ27dの高さよりも高くされている。そして、後方端面27c側から前方端面27b側に移行するにしたがって、吸気バルブ20に対する作用角も、図14に示すごとく、後方端面27c(実線で示す)側の最小作用角dθminから、前方端面27b(一点鎖線で示す)側の最大作用角dθmaxへと次第に大きくなっている。
【0082】
図15に吸気カム27における回転角度に対するリフト量のグラフを表す。図示するごとく、吸気カム27のリフトパターンには、通常のリフト(以下、メインリフトと称する)以外にサブリフトが存在する。ただし、前方端面27b側ではサブリフトが十分に現れているが、後方端面27c側ではサブリフトは存在しない。このため図14に示したごとく、バルブ閉じ側よりもバルブ開き側において作用角の増減が特に大きくなる。
【0083】
そして、前方端面27bと後方端面27cとの間は、カムプロフィールが連続的に変化している。このように、吸気カム27はメインリフトとサブリフトとが複合したリフト特性を有すると共に、回転軸方向にてメインリフトとサブリフトとが連続的に変化している複合リフト3次元カムとして構成されている。
【0084】
したがって、リフト可変アクチュエータ22aにより吸気側カムシャフト22を方向Rへ移動すると吸気バルブ20用のバルブリフタ20aに対する当接位置が前方端面27b側へ移動して吸気バルブ20の作用角を大きくできる。逆に吸気側カムシャフト22を方向Fへ移動すると吸気バルブ20用のバルブリフタ20aに対する当接位置が後方端面27c側へ移動して吸気バルブ20の作用角を小さくできる。しかも、当接位置が前方端面27b側へ近づくほど、サブリフトの作用により急速に吸気バルブ20の開タイミングが進角する。
【0085】
なお、前述したごとく、リフト可変アクチュエータ22aによる吸気側カムシャフト22の方向Rへの移動に連動して、吸気側カムシャフト22の回転位相はクランクシャフト15に対して遅角する。本参考例1では、図16に示すごとく、前方端面27b側をバルブリフタ20aに当接させた場合と、後方端面27c側をバルブリフタ20aに当接させた場合とでは、吸気カム27の位相に21°CA(CAはクランク角度を示す)の位相差が生じる。図16では、リフト可変アクチュエータ22aにより吸気側カムシャフト22を方向Rへの移動量が、0mm(後方端面27c側)、2mm、5.2mm、9mm(前方端面27b側)の状態を表している。
【0086】
また本参考例1では、吸気側カムシャフト22は回転位相差可変アクチュエータ24により、最遅角位置から進角方向に57°CA進角される。図16に実線で示す状態は最遅角位置を示し、二点鎖線で示す状態は進角方向に57°CA進角した場合を示している。
【0087】
したがって、リフト可変アクチュエータ22aと回転位相差可変アクチュエータ24とにより、図16に実線と二点鎖線で示すごとくの広い範囲にて、作用角と開閉タイミングの調整を吸気バルブ20に実現することができる。
【0088】
図17にエンジン制御系の概略構成を表す。ECU130は、デジタルコンピュータからなり、CPU130a、RAM130b、ROM130c、入力ポート130d、出力ポート130eおよびこれらを相互に接続する双方向性バス130fを備えている。
【0089】
スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ146aはスロットル弁146の開度に比例した出力電圧をAD変換器173を介して入力ポート130dに入力している。燃料分配管150に設けられた燃圧センサ150aは燃料分配管150内の燃料圧力に比例した出力電圧をAD変換器173を介して入力ポート130dに入力している。アクセルペダル174にはアクセル開度センサ176が取り付けられ、アクセルペダル174の踏み込み量に比例した出力電圧をAD変換器173を介して入力ポート130dに入力している。クランク角センサ182は、クランクシャフト15が30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート130dに入力される。CPU130aではクランク角センサ182の出力パルスの頻度からエンジン回転数NEを計算する。
【0090】
また、カム角センサ183aは吸気側カムシャフト22の回転に応じて出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート130dに入力される。CPU130aは、カム角センサ183aの出力パルスの状態から気筒を判別すると共に、この気筒判別データとクランク角センサ182の出力パルスとから現在のクランク角を計算する。更に、CPU130aでは上述のごとく得られたクランク角と、カム角センサ183aの出力パルスから得られたカム角とに基づいてクランクシャフト15と吸気側カムシャフト22との回転位相差を検出している。また、シャフト位置センサ183bは吸気側カムシャフト22の回転軸方向(矢印Sの方向)の移動位置に比例した出力電圧をAD変換器173を介して入力ポート130dに入力している。
【0091】
サージタンク18cには、吸気圧センサ184が設けられ、サージタンク18c内の吸気圧PM(吸入空気の圧力:絶対圧)に対応した出力電圧をAD変換器173を介して入力ポート130dに入力している。エンジン11のシリンダブロック13には水温センサ186が設けられ、エンジン11の冷却水温度THWを検出し冷却水温度THWに応じた出力電圧をAD変換器173を介して入力ポート130dに入力している。排気マニホルド148には空燃比センサ188が設けられ、空燃比に応じた出力電圧をAD変換器173を介して入力ポート130dに入力している。
【0092】
出力ポート130eは、対応する駆動回路190を介して各燃料噴射弁17b、気流制御弁18dの駆動用アクチュエータ18f、第1オイルコントロールバルブ36、第2オイルコントロールバルブ94、スロットル弁146の駆動用モータ144、補助燃料噴射弁152、高圧燃料ポンプ154の電磁スピル弁154a、およびイグナイタ192に接続されて、各装置17b,18f,36,94,144,152,154a,192を必要に応じて駆動制御している。
【0093】
次に筒内噴射式内燃機関であることを特徴とするエンジン11において、燃料噴射制御および関連する処理について説明する。
図18に燃料噴射制御に必要な運転領域を設定する処理のフローチャートを示す。本運転領域設定処理は、エンジン暖機後に、予め設定されているクランク角毎に周期的に実行される処理である。なおフローチャート中の個々の処理ステップを「S〜」で表す。
【0094】
まず、クランク角センサ182の信号から得られているエンジン回転数NEと、アクセル開度センサ176の信号から得られているアクセルペダル174の踏み込み量(以下、アクセル開度と称する)ACCPとがRAM130bの作業領域に読み込まれる(S100)。
【0095】
次に、これらエンジン回転数NEとアクセル開度ACCPとに基づいて、リーン燃料噴射量QLを算出する(S110)。このリーン燃料噴射量QLは、成層燃焼を行う際に要求トルクを実現するのに最適な燃料噴射量を表している。リーン燃料噴射量QLは予め実験により求められて、図19に示すごとく、アクセル開度ACCPとエンジン回転数NEとをパラメータとするマップとしてROM130c内に記憶されている。ステップS110ではこのマップに基づいてリーン燃料噴射量QLが算出される。
【0096】
次に、こうして求められたリーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとに基づいて、図20に示されるような4つの運転領域Rl,R2,R3,R4が定められる(S115)。こうして一旦処理を終了する。このように運転領域Rl,R2,R3,R4が定められると、各運転領域Rl〜R4に応じて後述するごとく燃料噴射形態が制御される。
【0097】
上述した運転領域設定処理により設定された運転領域を参照して実行される燃料噴射量制御処理のフローチャートを図21に示す。なお、図21の処理は暖機後に実行される処理であり、これ以外の状態、例えばエンジン11の始動時や暖機前アイドルの状態では、図21の燃料噴射量制御処理とは別個の処理にて燃料噴射量が設定される。
【0098】
燃料噴射量制御処理が開始されると、まず、クランク角センサ182の信号から得られているエンジン回転数NE、吸気圧センサ184の信号から得られている吸気圧PM、および空燃比センサ188の信号から得られている酸素濃度検出値VoxをRAM130bの作業領域に読み込む(S120)。
【0099】
次に、現在、運転領域R4が設定されているか否かが判定される(S122)。現在の運転状態が運転領域R4として設定されていると判定された場合には(S122で「YES」)、予めROM130cに設定されている図22のマップを用いて、吸気圧PMとエンジン回転数NEとから、理論空燃比基本燃料噴射量QBSが算出される(S130)。
【0100】
次に、高負荷増量OTP算出処理(S140)が行われる。この高負荷増量OTP算出処理では、図23のフローチャートに示すごとく、まず、アクセル開度ACCPが高負荷増量判定値KOTPACを越えているか否かが判定される(S141)。
【0101】
ACCP≦KOTPACであれば(S141で「NO」)、高負荷増量OTPには値「0」が設定される(S142)。すなわち燃料の増量補正は行われない。こうして、高負荷増量OTP算出処理を一旦出る。
【0102】
ACCP>KOTPACであれば(S141で「YES」)、高負荷増量OTPには値M(例えば、1>M>0)が設定される(S144)。すなわち燃料の増量補正が行われる。この増量補正は、高負荷時に触媒コンバータ149(図17)が過熱するのを防止するためになされる。
【0103】
図21に戻り、ステップS140にて高負荷増量OTPが算出された後に、次に、空燃比フィードバック条件が成立しているか否かが判定される(S150)。空燃比フィードバック条件としては、例えば、「(1)始動時でない。(2)燃料カット中でない。(3)暖機完了している。(例えば冷却水温度THW≧40°)(4)空燃比センサ188は活性完了している。(5)高負荷増量OTPの値が0である。」という条件が挙げられる。ステップS150ではこれらの条件がすべて成立しているか否かが判定される。
【0104】
空燃比フィードバック条件が成立していれば(S150で「YES」)、空燃比フィードバック係数FAFとその学習値KGの算出が行われる(S160)。空燃比フィードバック係数FAFは空燃比センサ188の出力に基づいて算出され、学習値KGは空燃比フィードバック係数FAFが中心値である1.0からのずれ量を記憶するものであり、このような値を用いた空燃比制御技術は特開平6−10736号公報などに示されているごとく種々の手法が知られている。
【0105】
一方、空燃比フィードバック条件が成立していなければ(S150で「NO」)、空燃比フィードバック係数FAFには1.0が設定される(S170)。
ステップS160またはS170の次に、燃料噴射量Qが次式1のごとく求められる(S180)。
【0106】
【数1】
Figure 0004020543
ここで、α,βはエンジン11の種類や制御の内容に応じて適宜設定される係数である。
【0107】
こうして一旦燃料噴射量制御処理を終了する。
ステップS122にて、運転領域R4以外の領域、すなわち運転領域R1,R2,R3のいずれかの場合は(S122で「NO」)、燃料噴射量Qには、運転領域設定処理のステップS110にて求められているリーン燃料噴射量QLが設定される(S190)。こうして一旦燃料噴射量制御処理を終了する。
【0108】
燃料噴射時期制御処理を図24のフローチャートに示す。本処理は燃料噴射量制御処理と同周期で実行される。なお、本処理はエンジン11が暖機後に実行される処理であり、これ以外の状態、例えば始動時や暖機前アイドル状態では燃料噴射時期が別途定められる。
【0109】
燃料噴射時期制御処理が開始されると、まず、現在、運転領域R1か否かが判定される(S210)。運転領域R1であれば(S210で「YES」)、燃料噴射は圧縮行程末期に設定される(S220)。この運転領域R1では、リーン燃料噴射量QLに応じた量の燃料を圧縮行程末期に噴射する。この圧縮行程末期での噴射による噴射燃料は、図3,4に示したピストン12の凹部12a内に進行した後、凹部12aの周壁面12bに衝突する。周壁面12bに衝突した燃料は気化せしめられつつ移動して点火プラグ17a近傍の凹部12a内に可燃混合気層が形成される。そしてこの層状の可燃混合気に点火プラグ17aによって点火がなされることにより、成層燃焼が行われる。
【0110】
運転領域R1でなければ(S210で「NO」)、次に運転領域R2か否かが判定される(S230)。運転領域R2であれば(S230で「YES」)、燃料噴射は吸気行程と圧縮行程末期との2回のタイミングに設定される(S240)。この運転領域R2では、リーン燃料噴射量QLに応じた量の燃料を吸気行程と圧縮行程末期とに2回に分けて噴射する。すなわち、吸気行程に第1回目の燃料噴射が行われ、次いで圧縮行程末期に第2回目の燃料噴射が行われる。第1回目の噴射燃料は吸入空気と共に燃焼室17内に流入し、この噴射燃料によって燃焼室17内全体に均質な稀薄混合気が形成される。また、圧縮行程末期に燃料噴射が行われる結果、前述したごとく点火プラグ17a近傍の凹部12a内には可燃混合気層が形成される。そしてこの層状の可燃混合気に点火プラグ17aによって点火がなされ、またこの点火火炎によって燃焼室17内全体を占める稀薄混合気が燃焼される。すなわち、運転領域R2では前述した運転領域R1よりも成層度の弱い成層燃焼が行われる。
【0111】
運転領域R2でなければ(S230で「NO」)、次に運転領域R3か否かが判定される(S250)。運転領域R3であれば(S250で「YES」)、燃料噴射は吸気行程に設定される(S260)。この運転領域R3では、リーン燃料噴射量QLに応じた量の燃料を吸気行程に噴射する。噴射燃料は吸入空気と共に燃焼室17内に流入し、この噴射燃料によって燃焼室17内全体に均質な混合気が形成される。この混合気は稀薄であるが可燃性である。この結果、リーンでの均質燃焼が行われる。
【0112】
運転領域R3でなければ(S250で「NO」)、運転領域R4であることから、燃料噴射は吸気行程に設定される(S270)。この運転領域R4では、理論空燃比基本燃料噴射量QBSに応じた量の燃料を吸気行程に噴射する。この噴射燃料は吸入空気と共に燃焼室17内に流入し、この噴射燃料によって燃焼室17内全体に均質な理論空燃比あるいは増量補正により理論空燃比より燃料濃度が濃いリッチ空燃比の均質混合気が形成され、この結果、ストイキあるいはリッチでの均質燃焼が行われる。
【0113】
ステップS220,S240,S260,S270の処理が終了すれば、一旦本処理を終了する。このようにして、暖機後の燃料噴射時期が制御される。
なお、エンジン11の運転状態が始動時あるいは暖機前アイドルでは、図24の処理とは別の処理にて、必要な燃料量を吸気行程に噴射するように設定され、均質燃焼がなされる。
【0114】
次に、吸気側カムシャフト22のシャフト位置およびクランクシャフト15に対する回転位相差を調整することで、吸気バルブ20のバルブ特性をエンジン11の運転状態に応じて調整するバルブ特性目標値設定処理について説明する。本処理の内容を図25のフローチャートに示す。この処理は予め定められた制御周期(時間毎あるいはクランク角回転毎)で繰り返し実行される。
【0115】
なお、フローチャートでは示していないが、シャフト位置センサ183bにて実シャフト位置が検出されることにより、リフト可変アクチュエータ22aによる吸気側カムシャフト22の回転軸方向での移動位置フィードバック制御が行われる。この移動位置フィードバック制御は、後述する目標シャフト位置Ltに対して実シャフト位置が一致するようにリフト可変アクチュエータ22aを制御するものである。
【0116】
また、フローチャートでは示していないが、クランク角センサ182およびカム角センサ183aからの検出値に基づいて、クランクシャフト15に対する吸気側カムシャフト22の実進角値が計算される。そして、この実進角値に基づいて、回転位相差可変アクチュエータ24による吸気側カムシャフト22の進角値フィードバック制御が行われる。この進角値フィードバック制御は、後述する目標進角値θtに対して実進角値が一致するように回転位相差可変アクチュエータ24を制御するものである。
【0117】
まず、バルブ特性目標値設定処理(図25)が開始されると、前述した各種センサ類の検出値や、別に実行している燃料噴射制御等に用いている各種制御量に基づいて、エンジン11の運転状態のデータを読み込む(S310)。ここでは、例えば、エンジン負荷として前述したリーン燃料噴射量QLを読み込み、クランク角センサ182から検出したエンジン回転数NEを読み込む。
【0118】
次に、マップiに基づいて進角値フィードバック制御用の目標進角値θtを設定する(S320)。ここで、マップiは図26(A)に示すごとく、リーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとをパラメータとする目標進角値θtのマップであり、運転領域R1〜R4、始動時(均質燃焼)、暖機前アイドル(均質燃焼)等の運転状態毎に設定されている。
【0119】
次に、マップLに基づいて移動位置フィードバック制御用の目標シャフト位置Ltを設定する(S330)。ここで、マップLは図26(B)に示すごとく、リーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとをパラメータとする目標シャフト位置Ltのマップであり、運転領域R1〜R4、始動時(均質燃焼)、暖機前アイドル(均質燃焼)等の運転状態毎に設定されている。
【0120】
これらマップi,Lは、特にエンジン11に対して要求されている性能に対応して、バルブオーバラップや吸気バルブ20の開閉タイミングを設定するためのものである。
【0121】
こうして一旦本処理を終了する。
上述した構成におけるバルブ特性制御装置10による具体的な制御例を説明する。
【0122】
図27に5つの運転状態P1〜P5の例を示す。ここで各運転状態P1〜P5は次のような運転状態にある。
運転状態P1:暖機前のアイドル状態。
【0123】
運転状態P2:アイドル以外の暖機後の低回転高負荷状態。
運転状態P3:アイドル以外の暖機後の低回転低負荷状態。
運転状態P4:アイドル以外の暖機後の中回転中負荷状態。
【0124】
運転状態P5:アイドル以外の暖機後の高回転高負荷状態。
ここで燃料噴射時期は、運転状態P1では暖機前のアイドル状態であることから図27のマップの位置に関わらず均質燃焼させるために吸気行程に設定される。運転状態P2〜P5は図27のマップに従う。すなわち、図24の燃料噴射時期制御処理により、運転状態P2は均質燃焼させるために吸気行程時に、運転状態P3は成層燃焼させるために圧縮行程末期に、運転状態P4は均質燃焼させるために吸気行程時に、運転状態P5は均質燃焼させるために吸気行程時に燃料噴射時期が設定される。
【0125】
更に、吸気バルブ20のバルブ特性は、図26に示した2種のマップi,Lから該当する運転状態に対応するマップi,Lに基づいて回転位相差可変アクチュエータ24の目標進角値θt(進角値°CA)とリフト可変アクチュエータ22aの目標シャフト位置Lt(mm)が求められる。各運転状態P1〜P5の目標シャフト位置Ltと目標進角値θtとを図28の(A),(B)に示す。
【0126】
このようにして求められた目標シャフト位置Ltと目標進角値θtとに基づいて回転位相差可変アクチュエータ24とリフト可変アクチュエータ22aとが駆動される。その結果、図28(C)の全進角値に示すごとく吸気カム27の回転位相が進角(マイナスは遅角)する。そして、図28(D),(E)の開弁タイミングおよび閉弁タイミングの値に示すごとく吸気バルブ20の開弁タイミングおよび閉弁タイミングが調整され、(F)に示すごとく吸気バルブ20の作用角が調整される。
【0127】
ここで、運転状態P1では、暖機中での均質燃焼下にてエンジン11の回転安定性を高めるために、吸気バルブ20のバルブ特性を、小作用角でかつ排気バルブ21とは小さいオーバラップ状態あるいはオーバラップしない状態にする。したがって、図29のリフトパターンLP1に示すごとく、目標シャフト位置Ltは0mmとして作用角を最小にし、目標進角値θtを0°CAとして最小にしている。小作用角にすることにより、吸気バルブ20の閉タイミングを遅らせないようにして運転状態P1での燃焼室内のコンプレッションを上げ、かつバルブオーバラップをほぼ0として、エンジン回転の不安定化を防止することができる。なお、破線で示すリフトパターンExが排気バルブ21のリフトパターンである。
【0128】
運転状態P2では、アイドル以外の暖機後の低回転高負荷状態において、均質燃焼下にエンジン11に十分なトルクを発生させるために、吸気バルブ20のバルブ特性を、小作用角でかつ早期の閉弁タイミングにする。したがって、図29のリフトパターンLP2に示すごとく、目標シャフト位置Ltは0mmとして作用角を最小とし、目標進角値θtは34°CAとしている。このように吸気バルブ20を早期に閉じることにより、運転状態P2での吸気の脈動を利用してエンジン11の体積効率を高めることができ、十分な出力トルクを得ることができる。
【0129】
運転状態P3では、アイドル以外の暖機後の低回転低負荷状態において、成層燃焼下にバルブオーバラップを大きくして十分な内部EGRを行うために、吸気バルブ20のバルブ特性を、大作用角でかつ早期の開弁タイミングにする。したがって、図29のリフトパターンLP3に示すごとく、目標シャフト位置Ltは9mmとして作用角を最大とし、目標進角値θtは57°CAと最進角にしている。本参考例1の吸気カム27は複合リフト3次元カムであり、前方端面27b側にメインリフト以外にサブリフト部分が台地状に存在する。このため、わずかなシャフト位置の変化でも、吸気バルブ20の開弁タイミングを急激に早めることができる。このように吸気バルブ20と排気バルブ21とのバルブオーバラップが極めて大きくなることにより、十分な内部EGR量が得られ成層燃焼での燃焼改善が図れる。
【0130】
しかも、サブリフト部分は低リフト量で進角側に延びてバルブオーバラップを大きくしている。このため、図3〜5に示したごとく筒内噴射により濃い混合気を成層させるために、ピストン12の頂面にある凹部12aの周りには堤状の部分が存在するが、この堤状の部分に対する干渉、いわゆるバルブスタンプを避けて十分なバルブオーバラップを実現することができる。
【0131】
こうして、スロットル弁146の開度を大きくしてポンピング損失を少なくでき、しかも低燃費で安定した燃焼が可能となる。
運転状態P4では、アイドル以外の暖機後の中回転中負荷状態において、均質燃焼状態下に燃費を向上させるために、吸気バルブ20のバルブ特性を、大作用角にしてかつ十分に遅い閉弁タイミングにしている。したがって、図29のリフトパターンLP4に示すごとく、目標シャフト位置Ltは5.2mmとして作用角を大きくし、目標進角値θtは0°CAと最小にしている。このようにして吸気バルブ20を極めて遅く閉じることにより、一旦燃焼室17内に吸い込んだ吸気の一部を吸気バルブ20から吸気ポート18側へ戻している。この場合もバルブスタンプを避け得ることは前述したごとくである。このことにより、均質燃焼においても、スロットル弁146の開度を大きくしてポンピング損失を少なくでき、低燃費を実現することができる。
【0132】
運転状態P5では、アイドル以外の暖機後の高回転高負荷状態において、均質燃焼状態下にエンジン11に十分なトルクを発生させるために、吸気バルブ20のバルブ特性を、中作用角でかつ遅めの閉弁タイミングにしている。したがって、図29のリフトパターンLP5に示すごとく、目標シャフト位置Ltは2mmとして作用角を中程度とし、目標進角値θtは14°CAとしている。このように吸気バルブ20を遅めに閉じることにより、運転状態P5での吸気の脈動を利用してエンジン11の体積効率を高めることができ、大きい出力トルクを得ることができる。
【0133】
なお、上述した運転状態P1〜P5以外の運転状態、例えば運転領域R2,R3に含まれる運転状態に対してもマップi,Lに基づいて、図16に示した広いバルブ特性の範囲の内から、好適なバルブ特性を実現することができる。
【0134】
以上説明した本参考例1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).エンジン11のバルブ特性制御装置10に備えられているリフト可変アクチュエータ22aは、吸気カム27にカムプロフィールが回転軸方向にて異なる2種のリフトパターンの間でメインリフトおよびサブリフトが連続的に変化している複合リフト3次元カムを用いている。このようにサブリフトのみでなく、メインリフトも2種のリフトパターンの間で連続的に変化している。したがって、吸気カム27の回転軸方向の位置を調整することでメインリフトを変更することができ、吸気バルブ20の開閉弁タイミング、作用角あるいはリフト量を広い範囲で無段階に任意に設定することができる。更に、複合リフト3次元カムである吸気カム27の回転軸方向の位置を調整することで、サブリフトも同時に変更することができ、メインリフトに複合させることで、吸気バルブ20の開閉弁タイミング、作用角あるいはリフト量に対して更に変化に富んだ調整が可能となる。
【0135】
したがって、この無段階に変化するメインリフト特性とサブリフト特性とが組み合わさることにより生じる複雑なリフト特性により、前記運転状態P1〜P5にて示したごとく、筒内噴射式内燃機関であるエンジン11の運転状態に応じた広い範囲の各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0136】
(ロ).吸気カム27の後方端面27c側では、前方端面27b側に比較してサブリフトを無くし、かつメインリフトも低くするようにしている。そして、後方端面27cと前方端面27bとの間を連続的にカムプロフィールを変化させている。このような吸気カム27のカム面27aを設定することにより、複合したリフトパターンを、サブリフトが無くメインリフトが低い状態、すなわち作用角の極めて小さい状態から、サブリフトが有りメインリフトが高い状態、すなわち作用角の極めて大きい状態までを無段階に調整することができる。したがって、前述したごとく筒内噴射式内燃機関であるエンジン11の運転状態に応じた広い範囲の各種の性能要求に対して、吸気バルブ20のバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0137】
(ハ).更に本参考例1では、吸気カム27の回転位相とクランクシャフト15の回転位相との間の位相差を連続的に調整する回転位相差可変アクチュエータ24を加えている。このことにより、リフト可変アクチュエータ22aによるメインリフトおよびサブリフトのパターンを、クランクシャフト15に対して進角させたり遅角させたりでき、更に複雑なバルブ特性を実現できる。
【0138】
したがって、前述したごとくエンジン11の運転状態に応じた広い範囲の各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
(ニ).リフト可変アクチュエータ22a自体も、吸気カム27の回転軸方向の位置調整に連動して吸気カム27の回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を変化させるようにしている。特に、本参考例1では、吸気側カムシャフト22の移動により、吸気カム27へのバルブリフタ20aの当接位置が、後方端面27c側から前方端面27bに移動することに連動して、吸気カム27がクランクシャフト15に対して遅角するようにリフト可変アクチュエータ22aが設計されている。このことにより、前述したごとく、筒内噴射式内燃機関であるエンジン11の運転状態に、より一層適合させたバルブ特性を得ることができる。
【0139】
(ホ).サブリフト部分は台地状に低リフト量で進角側に延びるように形成されている。このため大作用角になっても、排気行程側に低リフト量でバルブオーバラップされるので、図3〜5に示したごとく筒内噴射独特のピストン12の形状にしても、ピストン12頂面にある堤状の部分へのバルブスタンプを避けて十分なバルブオーバラップを実現することができる。このことから、成層燃焼のためのピストン12の形状自由度が高まり、効果的な成層燃焼を実現できる。
【0140】
参考例2]
図30に、筒内噴射式内燃機関としての直列4気筒の車載用ガソリンエンジン211における動弁系を中心とする概略構成を示す。このエンジン211においては、バルブ特性制御装置210は吸気側カムシャフト222に設けられている。
【0141】
参考例2では、バルブ特性制御装置210には、前記参考例1に用いられている回転位相差可変アクチュエータは存在せず、リフト可変アクチュエータ222aのみである。したがって、吸気側カムシャフト222は回転軸方向への移動位置は調整可能であるが、クランクシャフト215との回転位相差は吸気側カムシャフト222の回転軸方向への移動に連動して行われるのみであり、シャフト位置と独立して回転位相差が調整されることはない。
【0142】
このためリフト可変アクチュエータ222aはタイミングスプロケット224aに一体化されている。更に、リフト可変アクチュエータ222aのみであることにより、バルブ特性目標値設定処理も異なる。
【0143】
これ以外の構成は、基本的には前記参考例1と同じである。なお、特に説明のない限り、本参考例2内において参考例1と同一の機能を有する構成については、該当する参考例1の構成に付した符号に「200」を加えた符号で示している。
【0144】
次に、リフト可変アクチュエータ222aについて図31に基づき詳しく説明する。
リフト可変アクチュエータ222aと一体化しているタイミングスプロケット224aは、吸気側カムシャフト222が貫通する筒部251と、筒部251の外周面から突出する円板部252と、円板部252の外周面に設けられた複数の外歯253とから構成されている。タイミングスプロケット224aの筒部251は、シリンダヘッド214のジャーナル軸受214aとカムシャフトベアリングキャップ214bに回転可能に支持されている。そして、吸気側カムシャフト222は、その軸方向へ移動できるように筒部251を貫通している。
【0145】
また、タイミングスプロケット224aには吸気側カムシャフト222の端部を覆うように設けられたカバー254が、ボルト255により固定されている。カバー254の内周面において吸気側カムシャフト222の端部に対応する位置には、吸気側カムシャフト222の回転軸方向に、右ネジ方向の螺旋状に延びる内歯257が、周方向に沿って複数配列されて設けられている。
【0146】
一方、吸気側カムシャフト222の先端には、中空ボルト258およびピン259により、筒状に形成されたリングギヤ262が固定されている。リングギヤ262の外周面には、カバー254の内歯257と噛み合う右ネジ方向の斜歯263が、吸気側カムシャフト222の回転軸方向へ螺旋状に延びている。こうして、リングギヤ262は吸気側カムシャフト222の回転軸方向へ、吸気側カムシャフト222と共に回転しつつ移動可能となっている。
【0147】
このように構成されたリフト可変アクチュエータ222aにおいて、エンジン211の駆動によりクランクシャフト215が回転し、その回転がタイミングチェーン215bを介してタイミングスプロケット224aに伝達されると、リフト可変アクチュエータ222aを介して吸気側カムシャフト222が回転される。この吸気側カムシャフト222の回転に伴なって吸気バルブ220が開閉駆動される。
【0148】
そして、リングギヤ262が、後述するごとくの機構により、タイミングスプロケット224a側(矢印方向R)へ移動すると、吸気側カムシャフト222も一体となって方向Rへ移動する。このことにより、バルブリフタ220a上に設けられたカムフォロア220bの当接位置は、吸気カム227のカム面227aにおいて後方端面227c側から前方端面227b側へ移動させることができる。この移動に連動して、カバー254の内歯257とリングギヤ262の斜歯263との右ネジでの噛み合いにより、吸気側カムシャフト222とともに吸気カム227はクランクシャフト215に対して進角する。
【0149】
また、リングギヤ262がカバー254側(矢印方向F)へ移動すると、吸気側カムシャフト222も一体となって方向Fへ移動する。このことにより、カムフォロア220bの当接位置は、吸気カム227のカム面227aにおいて前方端面227b側から後方端面227c側へ移動させることができる。この移動に連動して、カバー254の内歯257とリングギヤ262の斜歯263との右ネジでの噛み合いにより、吸気側カムシャフト222とともに吸気カム227はクランクシャフト215に対して遅角する。
【0150】
次に、リフト可変アクチュエータ222aにあって、上述したリングギヤ262の移動を油圧制御するための構造について説明する。
リングギヤ262の円盤状リング部262aの外周面がカバー254の内周面に軸方向へ摺動可能に密着されていることにより、カバー254の内部は、第2リフトパターン側油圧室265と第1リフトパターン側油圧室266とに区画されている。そして、吸気側カムシャフト222の内部には、これら第2リフトパターン側油圧室265および第1リフトパターン側油圧室266にそれぞれ接続される第2リフトパターン制御油路267および第1リフトパターン制御油路268が通っている。
【0151】
第2リフトパターン制御油路267は、中空ボルト258の内部を通って第2リフトパターン側油圧室265に連通するとともに、カムシャフトベアリングキャップ214bおよびシリンダヘッド214の内部を通ってオイルコントロールバルブ236に接続している。また、第1リフトパターン制御油路268は、タイミングスプロケット224aの筒部251内の油路272を通って第1リフトパターン側油圧室266に連通するとともに、カムシャフトベアリングキャップ214bおよびシリンダヘッド214の内部を通ってオイルコントロールバルブ236に接続している。
【0152】
一方、オイルコントロールバルブ236には、供給通路237および排出通路238が接続されている。そして、供給通路237はオイルポンプPを介してオイルパン213aに接続しており、排出通路238は直接オイルパン213aに接続している。
【0153】
オイルコントロールバルブ236は、前記参考例1に述べたごとくの構成である。したがって、オイルコントロールバルブ236の電磁ソレノイド247の消磁状態においては、内部のポートの連通状態により、オイルパン213a内の作動油が、図示矢印のごとく供給通路237、オイルコントロールバルブ236および第1リフトパターン制御油路268を介して、リフト可変アクチュエータ222aの第1リフトパターン側油圧室266へ供給される。この時、リフト可変アクチュエータ222aの第2リフトパターン側油圧室265内にあったオイルは、図示矢印のごとく第2リフトパターン制御油路267、オイルコントロールバルブ236および排出通路238介してオイルパン213a内へ戻される。その結果、カバー254内部においてリングギヤ262は第2リフトパターン側油圧室265へ向かって移動され、吸気側カムシャフト222を方向Fへ移動させる。このことにより、カム面227aに対するカムフォロア220bの当接位置が、図31に示されているごとく吸気カム227の後方端面227c側となる。これと同時に吸気カム227はクランクシャフト215に対して遅角される。
【0154】
一方、電磁ソレノイド247が励磁されたときには、オイルコントロールバルブ236内部のポートの連通状態により、オイルパン213a内の作動油が、図示矢印とは逆に供給通路237、オイルコントロールバルブ236および第2リフトパターン制御油路267を介してリフト可変アクチュエータ222aの第2リフトパターン側油圧室265へ供給される。この時、リフト可変アクチュエータ222aの第1リフトパターン側油圧室266内にあった作動油は、図示矢印とは逆に第1リフトパターン制御油路268、オイルコントロールバルブ236および排出通路238を介してオイルパン213a内へ戻される。その結果、リングギヤ262が第1リフトパターン側油圧室266へ向かって移動され、カム面227aに対するカムフォロア220bの当接位置が、吸気カム227の前方端面227b側へと変化する。これと同時に吸気カム227はクランクシャフト215に対して進角される。
【0155】
更に、電磁ソレノイド247への給電を制御し、オイルコントロールバルブ236内部のポート間の作動油の移動を禁止すると、第2リフトパターン側油圧室265および第1リフトパターン側油圧室266に対して作動油の給排が行われなくなる。このため、第2リフトパターン側油圧室265および第1リフトパターン側油圧室266内に作動油が充填保持されて、リングギヤ262は固定される。その結果、カム面227aに対するカムフォロア220bの当接位置が維持されるので、吸気バルブ220のリフトパターンはリングギヤ262が固定されたときの状態に保持される。
【0156】
吸気カム227のプロフィールは、前記参考例1の図13〜15に示したごとく、参考例1の吸気カムと同じである。ただし、前述したごとく、カバー254の内歯257とカバー254の内面の斜歯263とが右ネジ方向である。したがって、リフト可変アクチュエータ222aが吸気側カムシャフト222の回転軸方向に移動した場合に、吸気側カムシャフト222とクランクシャフト215との間の回転位相のずれは、参考例1とは逆方向となる。
【0157】
すなわち、図32に示すごとく、カムフォロア220bの当接位置が吸気カム227の後方端面227cから前方端面227bに移動するに従い、リフト量および作用角が大きくなるとともに、全体の回転位相がクランクシャフト215に対して進角する。本参考例2の例では、最小作用角(シャフト位置:0mm)から最大作用角(シャフト位置:9mm)に移行すると、吸気カム227の回転位相はクランクシャフト215に対して22°CA進角する。
【0158】
このような構成において、図33に示すバルブ特性目標値設定処理が実行される。この処理は前記参考例1の図25に示したステップS320の処理が行われないだけであり、ステップS1310は前記ステップS310に相当し、ステップS1330は前記ステップS330に相当する。
【0159】
また、バルブ特性目標値設定処理の実行タイミングやリフト可変アクチュエータ222aによる吸気側カムシャフト222の回転軸方向での移動位置フィードバック制御については同じである。
【0160】
ステップS1330にて用いられるマップLについては、リーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとをパラメータとする目標シャフト位置Ltのマップである。そして、エンジン211およびバルブ特性制御装置210に適合させて、運転領域R1〜R4、始動時(均質燃焼)、暖機前アイドル(均質燃焼)等の運転状態毎に設定されている。
【0161】
このマップLを用いた具体的な制御例を次に説明する。
図34に3つの運転状態P11,P12,P13の例を示す。ここで各運転状態P11〜P13は次のような運転状態である。
【0162】
運転状態P11:暖機前のアイドル状態(図27のP1と同一あるいは近似の状態)。
運転状態P12:アイドル以外の暖機後の低回転低負荷状態(図27のP3と同一あるいは近似の状態)。
【0163】
運転状態P13:アイドル以外の暖機後の高回転高負荷状態(図27のP5と同一あるいは近似の状態)。
ここで燃料噴射時期は、運転状態P11では暖機前のアイドル状態であることから図27のマップの位置に関わらず均質燃焼させるために吸気行程に設定される。運転状態P12,P13は図27のマップに従う。すなわち、運転状態P12は成層燃焼させるために圧縮行程末期に、運転状態P13は均質燃焼させるために吸気行程に燃料噴射時期が設定される。
【0164】
該当する運転状態P11〜P13に対応するマップLに基づいて得られたリフト可変アクチュエータ222aの目標シャフト位置Lt(mm)を図34の(A)に示す。
【0165】
このようにして求められた目標シャフト位置Ltに基づいてリフト可変アクチュエータ222aとが駆動される。その結果、図34(A)の括弧内に示す進角値に示すごとく吸気カム227の回転位相がクランクシャフト215に対して進角する。そして、図28(B),(C)の開弁タイミングおよび閉弁タイミングのごとく吸気バルブ220の開弁タイミングおよび閉弁タイミングが調整され、(D)に示すごとく吸気バルブ220の作用角が調整される。
【0166】
ここで、運転状態P11では、暖機中での均質燃焼下にてエンジン211の回転安定性を高めるために、吸気バルブ220のバルブ特性を、小作用角でかつ排気バルブ221とは小さいオーバラップ状態あるいはオーバラップしない状態にする。したがって、図32のリフトパターンLP11に示すごとく、目標シャフト位置Ltは0mmとして作用角と進角値とを最小にしている。このことにより、吸気バルブ220の閉タイミングを遅らせないようにして、運転状態P11での燃焼室内のコンプレッションを上げ、かつバルブオーバラップをほぼ0として、エンジン回転の不安定化を防止することができる。なお、破線で示すリフトパターンExが排気バルブ21のリフトパターンである。
【0167】
運転状態P12では、アイドル以外の暖機後の低回転低負荷状態において、成層燃焼下にバルブオーバラップを大きくして十分な内部EGRを行うために、吸気バルブ220のバルブ特性を、大作用角でかつ早期の開弁タイミングにする。
したがって、図32のリフトパターンLP12に示すごとく、目標シャフト位置Ltは9mmとして作用角と進角値とを最大にしている。本参考例2の吸気カム227は複合リフト3次元カムであり、前方端面227b側にメインリフト以外にサブリフト部分が台地状に存在する。このため、わずかなシャフト位置の変化でも、吸気バルブ220の開弁タイミングを急激に早めることができる。このように吸気バルブ220と排気バルブ221とのバルブオーバラップが極めて大きくなることにより、十分な内部EGR量が得られ成層燃焼での燃焼改善が図れる。このことにより、スロットル弁の開度を大きくしてポンピング損失を少なくでき、しかも低燃費で安定した燃焼が可能となる。
【0168】
運転状態P13は、アイドル以外の暖機後の高回転高負荷状態において、均質燃焼状態下にエンジン211に十分なトルクを発生させるために、吸気バルブ220のバルブ特性を、中作用角でかつ遅めの閉弁タイミングにしている。したがって、図32のリフトパターンLP13に示すごとく、目標シャフト位置Ltは2mmとして作用角と進角値とを中程度としている。このように吸気バルブ220を遅めに閉じることにより、運転状態P13での吸気の脈動を利用してエンジン211の体積効率を高めることができ、大きい出力トルクを得ることができる。
【0169】
以上説明した本参考例2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記参考例1の(イ)、(ロ)、(ホ)と同じ効果を生じる。
(ロ).リフト可変アクチュエータ222a自体が、吸気カム227の回転軸方向の位置調整に連動して吸気カム227の回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を変化させるようにしている。具体的には、吸気側カムシャフト222の移動に連動して吸気カム227はクランクシャフト215に対して進角するようにリフト可変アクチュエータ222aが設計されている。このことにより、リフト可変アクチュエータ222aを単独で用いた場合に、筒内噴射式内燃機関であるエンジン211の運転状態に適合させた吸気バルブ220のバルブ特性を得ることができる。
【0170】
[実施の形態
本実施の形態は、図35に1気筒分の斜視図に示すごとく、各気筒に設けられた2つの吸気カム426,427およびこれに関連した機構および制御が前記参考例1とは異なる。これ以外の構成は、基本的には参考例1と同じである。なお、特に説明のない限り、本実施の形態内において参考例1と同一の機能を有する構成については、該当する参考例1の構成に付した符号に「400」を加えた符号で示している。
【0171】
2つの吸気カム426,427の内で第1吸気カム426は、第1吸気バルブ420xの駆動用であり、吸気側カムシャフト422の矢印Sで示す回転軸方向において、カム面426aのプロフィールが変化している。ただし、矢印S方向の内で方向F側の前方端面426b側(第2リフトパターン側に相当)でのカムノーズ426dの高さと、方向R側の後方端面426c側(第1リフトパターン側に相当)でのカムノーズ426dの高さは同じであり、メインリフトは変化しない。
【0172】
しかし、図36に示すごとく、前方端面426b(一点鎖線で示す)側にはサブリフトがメインリフトのバルブ開き側に存在する。このことにより、図37のグラフに示すごとく、メインピークMPを有するメインリフトML以外に、バルブ開き側にはサブピークSPの有るサブリフトSLが存在している。一方、後方端面426c(図36で実線で示す)にはサブリフトSLが存在せずメインリフトMLのみである。そして、このように前方端面426bと後方端面426cとの間で連続的にプロフィールが変化している。本実施の形態では特にサブリフトSLのみが変化している。
【0173】
このため、第1吸気カム426は、回転軸方向ではメインピークMPは一定のリフト量を維持しているが、サブピークSPは無段階に変化する。図37の例では、サブリフトSL部分について、方向Rへの吸気側カムシャフト422の最大移動量が9mmとして、シャフト位置0mm[SL(0mm)]ではサブリフトSLが存在せず、シャフト位置9mm[SL(9mm)]ではサブリフトSLは最大のサブピークSPと最大の作用角とを示している。そして、中間位置の、例えばシャフト位置6mm[SL(6mm)]ではサブリフトSLが中程度のサブピークSPと中程度の作用角とを示している。このように、第1吸気カム426は、メインリフトMLとサブリフトSLとが存在し、回転軸方向にてサブリフトSLが連続的に変化している複合リフト3次元カムとして構成されている。
【0174】
メインリフトMLの作用角dθ1は、前方端面426bと後方端面426cとで変化はない。サブリフトSLの作用角dθs1のみが0〜最大作用角まで変化する。したがって、吸気側カムシャフト422が方向Rへと移動するに従い、次第に第1吸気カム426による全作用角は大きくなる。しかも、第1吸気カム426はメインリフトMLのバルブ開き側にサブリフトSLが存在するため、吸気側カムシャフト422の回転軸方向への移動により、メインリフトMLのバルブ開き側において作用角が大きく増減する。
【0175】
したがって、吸気側カムシャフト422を方向Rへ移動すると第1吸気バルブ420x用のバルブリフタ420aに対する当接位置が前方端面426b側へ移動して第1吸気バルブ420xの作用角をバルブ開き側において急速に拡大できる。逆に、リフト可変アクチュエータにより吸気側カムシャフト422を方向Fへ移動すると第1吸気バルブ420x用のバルブリフタ420aに対する当接位置が後方端面426c側へ移動して第1吸気バルブ420xの作用角をメインリフトMLのバルブ開き側において急速に縮小できる。
【0176】
なお、本実施の形態においては、前記参考例1とは異なり、回転位相差可変アクチュエータ内部に形成されたベーンロータと、吸気側カムシャフト422先端のインナギヤとは、ストレートスプラインにて噛み合わされている。このため、リフト可変アクチュエータによる吸気側カムシャフト422の回転軸方向への移動では、吸気側カムシャフト422の回転位相はクランクシャフトに対して一定であり進角も遅角もしない。したがって、図37にて示したリフトパターンの進角あるいは遅角への移動は、回転位相差可変アクチュエータにより調整される。なお、ここでは、回転位相差可変アクチュエータによる吸気側カムシャフト422の回転位相差調整は、例えば進角側に40°CAの幅で行われるものとする。
【0177】
第2吸気カム427は、図35の斜視図に示したごとく、第2吸気バルブ420yの駆動用であり、吸気側カムシャフト422の矢印Sで示す回転軸方向において、カム面427aのプロフィールが変化している。すなわち、矢印S方向の内で方向F側の前方端面427b側でのカムノーズ427dの高さは、方向R側の後方端面427c側でのカムノーズ427dの高さより低くされている。そして前方端面427b側と後方端面427c側との間で連続的にカムノーズ427dの高さは変化している。
【0178】
ただし、第1吸気カム426と異なり、図38に示すごとく、後方端面427c(実線で示す)側にも前方端面427b(一点鎖線で示す)側にもサブリフトは存在しない。従って図39に示すごとくメインリフトMLのみによりピークMPのバルブ開き側とバルブ閉じ側とが対称なリフトパターンを呈している。図39の例では、方向Rへの吸気側カムシャフト422を、シャフト位置0mm[ML(0mm)]から、シャフト位置6mm[ML(6mm)]、シャフト位置9mm[ML(9mm)]へと移動させるに従ってピークMPは次第に低くなり、作用角も次第に小さくなっていることを示している。このように、第2吸気カム427は単純リフト3次元カムとして構成されている。
【0179】
したがって、第2吸気カム427のリフトパターンは、リフト可変アクチュエータにより最大作用角dθ2maxと最小作用角dθ2minとの間で、メインリフトMLのバルブ開き側もバルブ閉じ側も同じ程度の作用角の増減が行われる。
【0180】
なお、前述したごとく、リフト可変アクチュエータにより吸気側カムシャフト422が回転軸方向に移動しても、吸気側カムシャフト422の回転位相はクランクシャフトに対して一定であり進角も遅角もしない。したがって、図39にて示したリフトパターンの進角あるいは遅角への移動は、回転位相差可変アクチュエータにより調整される。
【0181】
これら第1吸気カム426と第2吸気カム427とのリフトパターンの違いは、吸気通路418a,418bの違いに対応している。すなわち、図40(A)に示すごとく、第1吸気バルブ420xへ吸気を供給している吸気通路418bには気流制御弁は設けられていないが、第2吸気バルブ420yへ吸気を供給している吸気通路418aには気流制御弁418dが設けられている。したがって、第1吸気カム426は気流制御弁418dが存在しない吸気通路418bの第1吸気バルブ420xの開閉を調整し、第2吸気カム427は気流制御弁418dが存在する吸気通路418aの第2吸気バルブ420yの開閉を調整する。
【0182】
なお、ここで、気流制御弁418dは、図41のフローチャートに示す気流制御弁目標開度設定処理により、目標開度が設定される。この処理は予め定められた制御周期(時間毎あるいはクランク角回転毎)で繰り返し実行される。そして設定された目標開度に基づいてECU530がアクチュエータ418fを介して、全気筒の気流制御弁418dの開閉状態をシャフト418eの回転により調整する。
【0183】
気流制御弁目標開度設定処理(図41)が開始されると、各種センサ類の検出値や、別に実行している燃料噴射制御等に用いている各種制御量に基づいて、エンジンの運転状態のデータを読み込む(S610)。ここでは、エンジン負荷として前記参考例1で述べたリーン燃料噴射量QLを読み込み、クランク角センサから検出したエンジン回転数NEを読み込む。
【0184】
次に、マップVから気流制御弁418dの目標開度θvを設定する(S620)。ここで、マップVは図42に示すごとく、リーン燃料噴射量QLとエンジン回転数NEとをパラメータとする目標開度θvのマップであり、運転領域R1〜R4、始動時(均質燃焼)、暖機前アイドル(均質燃焼)等の運転状態毎に設定されている。
【0185】
このマップVは、エンジンに対して要求されている性能に対応して、例えば、図40(A)に示す気流制御弁418dが全開、(B)に示す全閉、(C)に示す半開の3つの状態に調整される。この内、図40(A)に示すごとく、気流制御弁418dが全開であると吸気によっては燃焼室417の内部に旋回流Aがほとんど生じないが、図40(B)に示すごとく全閉では吸気により強い旋回流Aが生じる。この中間の半開では、図40(C)に示すごとく、吸気により中程度の旋回流Aが生じる。
【0186】
こうして気流制御弁目標開度設定処理を一旦終了する。
上述した構成において、運転状態に応じて、本実施の形態におけるマップi、マップLおよびマップVに基づく制御例を図43〜図48のリフト曲線および図49の制御量説明図に示す。ここで、図43〜図48は6つの運転状態P21〜P26の第1吸気バルブ420xと第2吸気バルブ420yとのリフトパターンLx,Lyを表している。なお、排気バルブ421のリフトパターンExを破線で示す。
【0187】
運転状態P21〜P26は、次に示す運転状態および燃焼制御に該当する。
P21:暖機中のアイドル/均質燃焼。
P22:暖機後のアイドル/成層燃焼。
【0188】
P23:アイドル以外の暖機後/成層燃焼。
P24:アイドル以外の暖機後/リーンの均質燃焼。
P25:アイドル以外の暖機後/ストイキでの均質燃焼であって4000rpm以上の高速回転域。
【0189】
P26:アイドル以外の暖機後/スロットルバルブの全開による均質燃焼域。
ここで、図43に示す運転状態P21では、暖機中のアイドル時において、冷間時の燃焼を安定させ、排気中への炭化水素の排出量を低減させるようにする。このために、図40(B)のごとく気流制御弁418dを閉じて、吸気により燃焼室417内に強い旋回流Aを発生させている。しかも、気流制御弁418dにて閉じられていない吸気通路418b側の第1吸気バルブ420xのバルブ特性は、小作用角でかつ排気バルブ421とはほとんどオーバラップしない状態にする。
【0190】
したがって、目標シャフト位置Ltは0mmとして第1吸気バルブ420xの作用角を最小にし、目標進角値θtを0°CAとして最遅角にしている。バルブオーバラップをほぼ0にし、燃焼室417への内部EGR量を減らすとともに、気流制御弁418dの閉駆動により生じる強い旋回流Aでの空気と燃料との混合促進と気流の乱れにより、燃焼安定性を高めることができる。このことにより炭化水素の排出も低減する。
【0191】
図44に示す運転状態P22では、暖機後のアイドル時において、成層燃焼下に排気バルブ421とのバルブオーバラップを大きくしアイドル時において必要な内部EGRを行うようにする。このため、第1吸気バルブ420xのバルブ特性を、小〜中作用角にしている。したがって、目標シャフト位置Ltは3〜6mmとして作用角を必要に応じた大きさとする。本実施の形態の第1吸気カム426は複合リフト3次元カムであり、前方端面426b側にはメインリフトML以外にサブリフトSLがピーク状に存在するため、シャフトを移動させることで、第1吸気バルブ420xの開弁タイミングを急速に早めることができる。したがって、第1吸気バルブ420xと排気バルブ421とのバルブオーバラップを大きくさせることができ、必要な内部EGR量下での成層燃焼が可能となる。
【0192】
しかも、第1吸気カム426のサブリフトSL部分はメインリフトML側とはリフト量0の部分を挟んで離れている。このため、前記参考例1の図3〜5にて示したごとく筒内噴射により混合気を成層化させるために、ピストンの頂面にある凹部の周りには堤状の部分が存在するが、この堤状の部分に対する干渉、いわゆるバルブスタンプを避けて十分なバルブオーバラップを実現することができる。
【0193】
このことにより、スロットル弁の開度を大きくしてポンピング損失を少なくでき、しかも低燃費で安定した燃焼が可能となる。
また、気流制御弁418dは開状態としているので、旋回流を発生させず、筒内混合気を成層化し、安定した燃焼が可能となり、更に吸気の流動抵抗を少なくしているのでポンピング損失をより少なくして一層燃費を向上させている。
【0194】
更に、目標進角値θtは0°〜20°CAとして第1吸気バルブ420xおよび第2吸気バルブ420yを適切な閉タイミングとし、燃焼を安定させる。
図45に示す運転状態P23では、アイドル以外でかつ暖機後での成層燃焼時に、排気バルブ421とのバルブオーバラップを大きくし十分な内部EGRを行い、燃費向上と炭化水素の排出抑制を効果的に行うようにする。このため、目標シャフト位置Ltは7〜9mmとして第1吸気バルブ420xのバルブ特性をほぼ最大の作用角にしている。更に回転位相差可変アクチュエータにより20〜40°CAの進角を行っている。気流制御弁418dは開としている。
【0195】
このように第1吸気バルブ420xと排気バルブ421とのバルブオーバラップが回転位相差可変アクチュエータの機能により、運転状態P22よりも大きくされることにより、運転状態P23において十分な内部EGR量を燃焼室417に供給することが可能となる。この場合もバルブスタンプを避け得ることは前述したごとくである。このことにより、スロットル弁の開度を大きくしてポンピング損失を少なくでき、しかも低燃費で安定した燃焼が可能となり、炭化水素の排出も低減する。
【0196】
また、気流制御弁418dは開状態としているので、旋回流を発生させず、筒内混合気を成層化し、安定した燃焼が可能となり、更に吸気の流動抵抗を少なくしているのでポンピング損失をより少なくして一層燃費を向上させている。
【0197】
図46に示す運転状態P24では、アイドル以外でかつ暖機後でのリーンの均質燃焼時に、排気バルブ421と第1吸気バルブ420xとのバルブオーバラップを大きくし必要な内部EGRを行い燃費向上を行うようにする。
【0198】
このため、目標シャフト位置Ltは3〜6mmとして第1吸気バルブ420xのバルブ特性を小〜中程度の作用角にしている。更に回転位相差可変アクチュエータにより30°CAの進角を行っている。気流制御弁418dは半開〜閉にしている。
【0199】
このように第1吸気バルブ420xと排気バルブ421とのバルブオーバラップが回転位相差可変アクチュエータの機能により、必要な内部EGR量を燃焼室417に供給することが可能となる。この場合もバルブスタンプを避け得ることは前述したごとくである。このことにより、スロットル弁の開度を大きくしてポンピング損失を少なくでき、しかも低燃費で安定した燃焼が可能となる。
【0200】
更に気流制御弁418dを半開〜閉に制御することにより、図40(B),(C)に示すごとく燃焼室417内に旋回流Aを発生させて、リーンの均質燃焼下における燃焼性を良好に維持する。
【0201】
なお、作用角が比較的大きくなっているので、回転位相差可変アクチュエータにより30°CAの進角を行っているが、第1吸気バルブ420xのおよび第2吸気バルブ420yの閉タイミングは体積効率上は遅くなる。この遅い閉弁タイミングにより、スロットル弁を過大に開けても必要以上の吸気は吸気ポート418側へ戻され、必要な吸気量のみ燃焼室417内に残るので、スロットル弁の絞りによるポンピング損失が少なくなり、更に燃費を向上させることができる。
【0202】
また、気流制御弁418dが閉状態で第1吸気バルブ420xの作用角が大きいこと、あるいは、気流制御弁418dが半開状態でかつ第1吸気バルブ420xの作用角が第2吸気バルブ420yの作用角よりも大きいことによるバルブタイミング位相差で、燃焼室417内に十分な旋回流が生じ、十分に安定した燃焼が行われる。
【0203】
図47に示す運転状態P25では、アイドル以外でかつ暖機後でのストイキの均質燃焼であって4000rpm以上の高速回転域にある際に、燃焼を安定させ、かつ燃焼室417への吸気抵抗を少なくするようにする。
【0204】
このため、気流制御弁418dは半開とし、目標シャフト位置Ltは0mmとして第1吸気バルブ420xのバルブ特性を最小の作用角にしている。更に適切な体積効率にするため回転位相差可変アクチュエータはエンジンの運転状態に応じて10〜25°CAの進角を行っている。
【0205】
このように気流制御弁418dを半開にすることにより、図40(C)に示すごとく燃焼室417内に第1吸気バルブ420xの方が第2吸気バルブ420yに比較して吸気吹き込み量が多くなるので旋回流Aが生じる。このことにより、燃焼安定性が確保される。
【0206】
また、気流制御弁418dを全閉とせずに半開にすることにより、第2吸気バルブ420yからも吸気が燃焼室417内に供給されて全閉状態よりも吸気抵抗が少なくなる。このことにより、ポンピング損失が緩和されて、燃費悪化が抑制される。
【0207】
更に、第2吸気バルブ420yの閉弁タイミングは第1吸気バルブ420xよりも遅いので、吸気行程の最後に、前記旋回流Aが第2吸気バルブ420yのみから燃焼室417内に導入される吸気により乱される。この乱流により燃焼安定性を一層良好にすることができる。
【0208】
図48に示す運転状態P26では、アイドル以外でかつ暖機後でのスロットルバルブの全開による均質燃焼域にある際に、燃焼を安定させ、かつ体積効率を高めるようにする。このため、気流制御弁418dは開とし、目標シャフト位置Ltは0mmとして第1吸気バルブ420xのバルブ特性を最小作用角にしている。更に運転状態P26での適切な体積効率にするため回転位相差可変アクチュエータはエンジンの運転状態に応じて10〜40°CAの進角を行っている。
【0209】
このように気流制御弁418dを開にすることにより、図40(A)に示すごとく燃焼室417内に第1吸気バルブ420xおよび第2吸気バルブ420yの両方から吸気が吹き込み、吸気抵抗を低減して大量の吸気を燃焼室417に導入できる。更に、エンジンの運転状態に応じて10〜40°CAの進角を行っているため十分に体積効率が向上する。
【0210】
また、図48に示すごとく、第1吸気バルブ420xおよび第2吸気バルブ420yの閉弁タイミングに差が存在する。すなわち、第2吸気バルブ420yの閉弁タイミングは第1吸気バルブ420xよりも遅いので、吸気行程の最後に第2吸気バルブ420yのみから燃焼室417内に導入される吸気により、旋回流や乱流が燃焼室417内に生じる。このため、気流制御弁418dの閉弁動作によらずに燃焼性を一層安定化できる。
【0211】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
(イ).2吸気バルブタイプのエンジンにおいて、一方の吸気通路418a内に気流制御弁418dを設けて燃焼室417内に旋回流を生じさせるようにした場合には、気流制御弁418dを設けた吸気通路418a側の第2吸気バルブ420yを駆動する第2吸気カム427と気流制御弁を設けていない吸気通路418bの第1吸気バルブ420xを駆動する第1吸気カム426とのリフトパターンを異なるようにしている。
【0212】
このようにすることにより、気流制御弁418dの開閉状態と、異なるカムプロフィールの3次元カム426,427による異なる吸気バルブ特性との組み合わせにより、複雑な吸気バルブ特性を実現できる。したがって、筒内噴射式内燃機関であるエンジンの運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0213】
(ロ).気流制御弁418dが無い側の第1吸気バルブ420xを駆動する第1吸気カム426は、メインリフトおよびサブリフトが存在する複合リフト3次元カムを用いている。そして気流制御弁418dが有る側の第2吸気バルブ420yを駆動する第2吸気カム427は、メインリフトのみが存在する単純リフト3次元カムを用いている。第1吸気カム426に複合リフト3次元カムが用いられていることにより、例えば、内部EGRを行うと共に、燃焼室417内に旋回流を生じさせて燃焼性を安定させたい場合などにも対応できる。このように複雑な吸気バルブ特性を実現でき、筒内噴射式内燃機関であるエンジンの運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0214】
(ハ).第1吸気カム426においては、後方端面426c側のリフトパターンはサブリフトを有さずメインリフトのみのリフトパターンであり、前方端面426b側のリフトパターンはサブリフトとメインリフトとを有するリフトパターンである。このように、一方のリフトパターン側ではメインリフトのみとし、他方のリフトパターンはサブリフトとメインリフトとを有するようにしているため、複雑な吸気バルブ特性を実現でき、筒内噴射式内燃機関であるエンジンの運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0215】
(ニ).更に、本実施の形態では、リフト可変アクチュエータに加えて回転位相差可変アクチュエータを備えている。したがって、第1吸気カム426および第2吸気カム427の回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を無段階に変更して、バルブタイミングを進角させたり遅角させたりすることができる。
【0216】
したがって、一層複雑な吸気バルブ特性を実現でき、筒内噴射式内燃機関であるエンジンの運転状態に応じた各種の性能要求にバルブ特性を十分に応じさせることができる。
【0217】
(ホ).第1吸気カム426のサブリフトSL部分はメインリフトML側とはリフト量0の部分を挟んで形成されている。このため大作用角にしてバルブオーバラップさせる場合も、排気行程時にピストンの頂面と干渉し易い時期にはリフト量を0あるいは非常に小さくできる。このため、前記参考例1の図3〜5に示したごとく筒内噴射独特のピストンの形状にしても、ピストン頂面にある堤状の部分へのバルブスタンプを避けて十分なバルブオーバラップを実現することができる。このことから、成層燃焼のためのピストンの形状自由度が高まり、効果的な成層燃焼を実現できる。
【0218】
[その他の実施の形態
【0219】
・前記実施の形態では、リフト可変アクチュエータは吸気側カムシャフトのシャフト位置を回転軸方向に移動させても、クランクシャフトとの位相差は変更させていないが、前記参考例1と同様に、リフト可変アクチュエータは、吸気側カムシャフトの回転軸方向への移動に連動して、クランクシャフトに対する吸気側カムシャフトの位相差を遅角あるいは進角側へ変更する構成であっても良い。
【0220】
・前記参考例1では、サブリフトはピークの存在しない台地状であったが、前記実施の形態に示したごとくピークの存在するサブリフトであっても良い。また、前記実施の形態では、サブリフトはピークの存在する山形状であったが、前記参考例1に示したごとくピークの存在しない台地状のサブリフトであっても良い。
【0221】
・前記参考例1,2及び実施の形態1では、エンジン負荷としてリーン燃料噴射量QLを用いたが、これ以外のエンジン負荷を表すパラメータでも良い。例えば、アクセル開度ACCPを用いても良い。
【0222】
・図2および図40で示した気流制御弁18d,418dが設けられていない方の吸気ポート18,418はストレート型吸気ポートであったが、ヘリカル型の吸気ポートであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例1のエンジンにおける動弁系を中心とする概略構成図。
【図2】 参考例1におけるシリンダヘッドの平面断面とその関連構成の説明図。
【図3】 参考例1におけるピストン頂面の平面図。
【図4】 図2におけるX−X断面図。
【図5】 図2におけるY−Y断面図。
【図6】 参考例1におけるリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図7】 参考例1における回転位相差可変アクチュエータの構成説明図。
【図8】 参考例1の回転位相差可変アクチュエータに用いられるインナギヤおよびサブギヤの形状を示す斜視図。
【図9】 参考例1における回転位相差可変アクチュエータの内部構成説明図。
【図10】 参考例1の回転位相差可変アクチュエータにおけるロックピン周辺の構成説明図。
【図11】 参考例1の回転位相差可変アクチュエータにおけるロックピン周辺の構成説明図。
【図12】 参考例1の回転位相差可変アクチュエータにおけるベーンロータの回転状態説明図。
【図13】 参考例1における吸気カムの斜視図。
【図14】 参考例1の吸気カムのプロフィール説明図。
【図15】 参考例1の吸気カムのリフトパターン説明図。
【図16】 参考例1の吸気バルブのリフト調整範囲説明図。
【図17】 参考例1におけるエンジン制御系の概略構成図。
【図18】 参考例1にて行われる運転領域設定処理のフローチャート。
【図19】 参考例1にてアクセル開度ACCPとエンジン回転数NEとからリーン燃料噴射量QLを求めるためのマップの説明図。
【図20】 参考例1にて用いられる運転領域設定のためのマップの説明図。
【図21】 参考例1にて行われる燃料噴射量制御処理のフローチャート。
【図22】 参考例1にてアクセル開度ACCPと吸気圧PMとから理論空燃比基本燃料噴射量QBSを求めるためのマップの説明図。
【図23】 参考例1にて行われる高負荷増量算出処理のフローチャート。
【図24】 参考例1にて行われる燃料噴射時期制御処理のフローチャート。
【図25】 参考例1にて行われるバルブ特性目標値設定処理のフローチャート。
【図26】 参考例1にて用いられる目標進角値および目標シャフト位置を設定するためのマップの説明図。
【図27】 参考例1の制御例を説明するための運転領域を示す説明図。
【図28】 参考例1の各制御例における制御量の説明図。
【図29】 参考例1の各制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図30】 参考例2のエンジンにおける動弁系を中心とする概略構成図。
【図31】 参考例2におけるリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図32】 参考例2の吸気バルブのリフト調整範囲および各制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図33】 参考例2にて行われるバルブ特性目標値設定処理のフローチャート。
【図34】 参考例2の各制御例における制御量の説明図。
【図35】 実施の形態のエンジンにおける1気筒分の動弁系の斜視図。
【図36】 実施の形態の第1吸気カムのプロフィール説明図。
【図37】 実施の形態の第1吸気カムのリフトパターン説明図。
【図38】 実施の形態の第2吸気カムのプロフィール説明図。
【図39】 実施の形態の第2吸気カムのリフトパターン説明図。
【図40】 実施の形態における気流制御弁の駆動説明図。
【図41】 実施の形態にて行われる気流制御弁目標開度設定処理のフローチャート。
【図42】 実施の形態にて用いられる気流制御弁目標開度設定のためのマップの説明図。
【図43】 実施の形態の制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図44】 実施の形態の制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図45】 実施の形態の制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図46】 実施の形態の制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図47】 実施の形態の制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図48】 実施の形態の制御例におけるバルブ特性の説明図。
【図49】 実施の形態の各制御例における制御量の説明図。
【符号の説明】
10…バルブ特性制御装置、11…エンジン、12…ピストン、12a…凹部、12b…周壁面、13…シリンダブロック、13a…オイルパン、14…シリンダヘッド、14a…ジャーナル軸受、14b…カムシャフトベアリングキャップ、15…クランクシャフト、15a…タイミングスプロケット、15b… タイミングチェーン、16…コンロッド、17…燃焼室、17a…点火プラグ、17b…燃料噴射弁、18…吸気ポート、18a,18b…吸気通路、18c…サージタンク、18d…気流制御弁、18e…シャフト、18f… アクチュエータ、19…排気ポート、20…吸気バルブ、20a…バルブリフタ、21…排気バルブ、21a…バルブリフタ、22…吸気側カムシャフト、22a…リフト可変アクチュエータ、22b…端部外周面、23…排気側カムシャフト、24…回転位相差可変アクチュエータ、24a…タイミングスプロケット、25…タイミングスプロケット、27…吸気カム、27a…カム面、27b…前方端面、27c…後方端面、27d…カムノーズ、28…排気カム、31…シリンダチューブ、31a…第1圧力室、31b…第2圧力室、32…ピストン、32a…コイルスプリング、33…エンドカバー、33a…補助シャフト、33b…転がり軸受、34…第1給排通路、35…第2給排通路、36…第1オイルコントロールバルブ、37…供給通路、38…排出通路、39…ケーシング、40…第1給排ポート、41…第2給排ポート、42…第1排出ポート、43…第2排出ポート、44…供給ポート、45…弁部、46…コイルスプリング、47…電磁ソレノイド、48…スプール、51…筒部、51a,51b…外周溝、51c…内周面、52…円板部、53…外歯、54…インナギヤ、54a…大径ギヤ部、54b…小径ギヤ部、55…ボルト、56… サブギヤ、56a…外歯、56b…内歯、57…スプリングワッシャ、58…ボルト、59…ハウジング、59a…内周面、60…カバー、60a…穴部、61…ベーンロータ、61a…外周面、61b…ヘリカルスプライン部、61c…円筒状空間、62,63,64,65…壁部、62a,63a,64a,65a,62b,63b,64b,65b…凹部、66,67,68,69…ベーン、70…第1圧力室、71…第2圧力室、72…貫通孔、72a…油溝、72b…貫通開放口、73…ロックピン、73a…収容孔、73b…先端部、74…スプリング、75…係止穴、76…油路、77…環状油空間、78…油路、80…進角用油路開口部、81…遅角用油路開口部、84…進角制御油路、85…遅角制御油路、86…進角制御油路、87… 遅角制御油路、88…進角制御油路、89…遅角制御油路、90…潤滑油路、91…内周溝、92…進角制御油路、93…遅角制御油路、94…第2オイルコントロールバルブ、95…供給通路、96…排出通路、102…ケーシング、104…第1給排ポート、106…第2給排ポート、107…弁部、108…第1排出ポート、110…第2排出ポート、112…供給ポート、114…コイルスプリング、116…電磁ソレノイド、118…スプール、130…ECU、130a…CPU、130b…RAM、130c…ROM、130d…入力ポート、130e… 出力ポート、130f…双方向性バス、144…駆動用モータ、146…スロットル弁、146a…スロットル開度センサ、148…排気マニホルド、149…触媒コンバータ、150…燃料分配管、150a…燃圧センサ、152…補助燃料噴射弁、154…高圧燃料ポンプ、154a…電磁スピル弁、173…AD変換器、174…アクセルペダル、176…アクセル開度センサ、182…クランク角センサ、183a…カム角センサ、183b…シャフト位置センサ、184…吸気圧センサ、186…水温センサ、188…空燃比センサ、190…駆動回路、192…イグナイタ、210…バルブ特性制御装置、211…エンジン、213a…オイルパン、214…シリンダヘッド、214a…ジャーナル軸受、214b…カムシャフトベアリングキャップ、215…クランクシャフト、215b…タイミングチェーン、220…吸気バルブ、220a…バルブリフタ、220b…カムフォロア、221…排気バルブ、222…吸気側カムシャフト、222a…リフト可変アクチュエータ、224a…タイミングスプロケット、227…吸気カム、227a…カム面、227b…前方端面、227c…後方端面、236…オイルコントロールバルブ、237…供給通路、238…排出通路、247…電磁ソレノイド、251…筒部、252…円板部、253…外歯、254…カバー、255…ボルト、257…内歯、258…中空ボルト、259…ピン、262…リングギヤ、262a…円盤状リング部、263… 斜歯、265…第2リフトパターン側油圧室、266…第1リフトパターン側油圧室、267…第2リフトパターン制御油路、268…第1リフトパターン制御油路、272…油路、417…燃焼室、418…吸気ポート、418a,418b…吸気通路、418d…気流制御弁、418e…シャフト、418f…アクチュエータ、420a…バルブリフタ、420x…第1吸気バルブ、420y…第2吸気バルブ、421…排気バルブ、422…吸気側カムシャフト、426…第1吸気カム、426a…カム面、426b…前方端面、426c…後方端面、426d…カムノーズ、427…第2吸気カム、427a…カム面、427b…前方端面、427c…後方端面、427d…カムノーズ、530…ECU、P… オイルポンプ。

Claims (4)

  1. 気筒毎に2つの吸気経路と該2つの吸気経路に対応して2つの吸気バルブが設けられ、一方の吸気経路に該吸気経路を開閉する気流制御弁が設けられるとともに、燃料噴射弁から燃焼室内に直接燃料を噴射することで生じた混合気に点火プラグにより点火する筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置であって、
    前記2つの吸気バルブの駆動に用いられる2つのカムの内、気流制御弁が設けられていない吸気経路側の吸気バルブを駆動するカムは、メインリフトとサブリフトとが複合したリフト特性を有すると共にカムプロフィールが回転軸方向にて異なる2種のリフトパターンの間で連続的に変化している複合リフト3次元カムであり、気流制御弁が設けられている吸気経路側の吸気バルブを駆動するカムは、サブリフトが存在せずメインリフトが回転軸方向で異なる単純リフト3次元カムであって、これら3次元カムの回転軸方向の位置を調整することで各吸気バルブのバルブ特性を無段階に変更するバルブリフト可変機構を備えたことを特徴とする筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置。
  2. 前記複合リフト3次元カムにおける前記2種のリフトパターンの内の一方の第1リフトパターンは、サブリフトを有さずメインリフトのみのリフトパターンであり、他方の第2リフトパターンは、サブリフトとメインリフトとを有するリフトパターンであることを特徴とする請求項2記載の筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置。
  3. 請求項1または2の構成に加えて、
    前記3次元カムの回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を連続的に調整することで、吸気バルブのバルブ特性を無段階に変更するバルブタイミング可変機構を備えたことを特徴とする筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置。
  4. 前記バルブリフト可変機構は、3次元カムの回転軸方向の位置調整に連動して3次元カムの回転位相とクランクシャフトの回転位相との間の位相差を変化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の筒内噴射式内燃機関のバルブ特性制御装置。
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