JP4020460B2 - カチオン型電着塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材との密着性に優れた塗膜を形成でき、かつ硬化性及び貯蔵安定性に優れたカチオン型電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び解決すべき課題】
従来、有機溶剤型塗料や粉体塗料において、エポキシ樹脂の硬化剤として、イミダゾール系化合物を使用することは知られている。
【0003】
しかしながら、イミダゾール系化合物は、一般に結晶性が高く水性塗料中で塗料樹脂に混和しにくく、析出し分離してしまうので水系塗料中でエポキシ樹脂の硬化剤としてイミダゾール系化合物を使用することは行われていなかった。
【0004】
水系塗料において、水性塗料樹脂中へイミダゾール系化合物を混和させる方法として、イミダゾール系化合物を加熱、溶解させ、塗料樹脂と混合して、水性媒体中に分散してエマルジョンとする方法が考えられるが、本来、イミダゾール系化合物が水性塗料樹脂との混和性に乏しく、また水性媒体への溶解性も乏しいため、貯蔵中に徐々に析出し、析出物が核となってエマルジョン粒子を凝集、沈降させてしまったり、塗膜の硬化性が低下してしまうといった問題があった。また、加熱、溶解時にエポキシ樹脂の重合硬化反応が起こってゲル化してしまうこともあるという問題があった。
【0005】
本出願人は、特開平2−255874号公報において、水酸基とカチオン性基を含有する樹脂とエポキシ基含有硬化剤と硬化触媒である金属化合物とを含有する水性塗料組成物を提案した。この組成物は、概ね優れた塗膜性能を示すが、電着塗料組成物として使用した場合、金属基材表面が平滑な場合に電着塗膜の付着力が十分でなく、特に耐湿試験後の電着塗膜の金属基材表面への密着性が低下する傾向があり、さらに、電着塗膜の硬化性が十分でないという問題があった。
【0006】
そこで本発明者らは、上記問題を解決する方法として、上記水性塗料組成物中に、中和したイミダゾール化合物を添加することを提案した(特願平9−69396号参照)。この組成物は、塗膜の密着性、硬化性に優れるが、長期間の貯蔵安定性が不十分であるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、水酸基とカチオン性基とを含有する樹脂及びエポキシ樹脂を含有する電着塗料において、金属基材表面が平滑な場合にも十分な付着力を示し、耐湿試験後においても金属基材表面への密着性が優れた電着塗膜を得ることができ、電着塗膜の硬化性に優れ、かつ長期間の貯蔵安定性にも優れた電着塗料を得ることである。
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、上記樹脂系において、硬化触媒であるイミダゾール化合物と硬化剤であるエポキシ樹脂とを、それぞれ別のエマルジョン粒子中に存在させて分離することによって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、(1)水酸基及びカチオン性基を有する樹脂(A)と、イミダゾール環1個あたりの分子量が68〜300であるイミダゾール化合物(B)とが、酸にて中和され、水性媒体中に安定に分散されてなる第1のエマルジョン粒子、及び(2)上記樹脂(A)と、脂環式骨格及び/又は有橋脂環式骨格にエポキシ基が結合してなるエポキシ基含有官能基を1分子あたり平均2個以上有するエポキシ基含有硬化剤(C)とを有し、該樹脂(A)が酸にて中和され、水性媒体中に安定に分散されてなる第2のエマルジョン粒子、を含有することを特徴とする安定なカチオン型電着塗料組成物を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の電着塗料組成物は、水性媒体中にそれぞれ安定に分散された第1のエマルジョン粒子と第2のエマルジョン粒子とを含有する。それぞれのエマルジョン粒子について以下に説明する。
【0011】
第1のエマルジョン粒子
第1のエマルジョン粒子は、水酸基及びカチオン性基を有する樹脂(A)とイミダゾール化合物(B)とが、酸にて中和され、水性媒体中に安定に分散されてなるエマルジョン粒子である。以下に第1のエマルジョン粒子における各成分について説明する。
【0012】
水酸基及びカチオン性基を含有する樹脂(A)
樹脂(A)は、エポキシ基含有硬化剤(B)中のエポキシ基と反応しうる水酸基を含有し、かつ安定な水性分散物を形成するのに十分な数のカチオン性基を有する任意の樹脂が包含される。樹脂(A)としては例えば次のものを挙げることができる。
【0013】
(イ)ポリエポキシ樹脂とカチオン化剤とを反応せしめて得られる反応生成物;
(ロ)ポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合物(米国特許第2,450,940号明細書参照)を酸でプロトン化したもの;
(ハ)ポリイソシアネート及びポリオールとモノ又はポリアミンとの重付加物を酸でプロトン化したもの;
(ニ)水酸基ならびにアミノ基含有アクリル系又はビニル系モノマーの共重合体を酸でプロトン化したもの(特公昭45−12395号公報、特公昭45−12396号公報参照);
(ホ)ポリカルボン酸樹脂とアルキレンイミンとの付加物を酸でプロトン化したもの(米国特許第3,403,088号明細書参照);等。
【0014】
これらのカチオン性樹脂の具体例及び製造方法については、例えば特公昭45−12395号公報、特公昭45−12396号公報、特公昭49−23087号公報、米国特許第2,450,940号明細書、米国特許第3,403,088号明細書、米国特許第3,891,529号明細書、米国特許第3,963,663号明細書等に記載されている。
【0015】
本発明における樹脂(A)として特に望ましいのは、前記(イ)に包含される、ポリフェノール化合物とエピクロルヒドリンとから得られる防食性に優れているポリエポキシド化合物のエポキシ基にカチオン化剤を反応せしめて得られる反応生成物である。
【0016】
前記ポリエポキシド化合物は、エポキシ基を1分子中に2個以上有する化合物で、一般に少なくとも200、好ましくは400〜4,000、さらに好ましくは800〜2,000の範囲内の数平均分子量を有するものが適している。そのようなポリエポキシド化合物としてはそれ自体公知のものを使用することができ、例えば、ポリフェノール化合物をアルカリの存在下にエピクロルヒドリンと反応させることにより製造することができるポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテルが包含される。ここで使用しうるポリフェノール化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−プロパン、4,4′−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−エタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、テトラ(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。上記したポリエポキシド化合物の中で、基体樹脂(A)の製造に特に適当なものは、数平均分子量が少なくとも約380、より好適には約800〜約2,000、及びエポキシ当量が190〜2,000、好適には400〜1,000の範囲内のポリフェノール化合物のポリグリシジルエーテルであり、殊に下記式
【0017】
【化5】
【0018】
で示されるものである。該ポリエポキシド化合物は、ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリアミドアミン、ポリカルボン酸、ポリイソシアネート等と部分的に反応させてもよく、さらに、ε−カプロラクトン、アクリルモノマー等をグラフト重合させてもよい。
【0019】
一方、上記ポリエポキシド化合物にカチオン性基を導入するためのカチオン化剤としては、脂肪族又は脂環族又は芳香−脂肪族の第1級もしくは第2級アミン塩、第3級アミン塩、第2級スルフィド塩、第3級ホスフィン塩等が挙げられる。これらはエポキシ基と反応してカチオン性基を形成する。さらに第3級アミノアルコールとジイソシアネートの反応によって得られる第3級アミノモノイソシアネートをエポキシ樹脂の水酸基と反応させてカチオン性基とすることもできる。
【0020】
前記カチオン化剤におけるアミン化合物の例としては、例えば次のものを例示することができる。
【0021】
(あ)メチルアミン、エチルアミン、n−又は iso−プロピルアミン、モノエタノールアミン、n−又は iso−プロパノールアミン等の第1級アミン;
(い)ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジn−又は iso−プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級アミン;
(う)エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン等のポリアミン。
【0022】
これらの中で水酸基を有するアルカノールアミン類が好ましい。また、第1級アミノ基を予めケトンと反応させてブロックした後、残りの活性水素でエポキシ基と反応させてもよい。
【0023】
さらに、上記アミン化合物以外にアンモニア、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドロキシエチルヒドラジン、N−ヒドロキシエチルイミダゾリン化合物等の塩基性化合物も同様に使用することができる。これらの化合物を用いて形成される塩基性基は酸、特に好ましくはギ酸、酢酸、グリコール酸、乳酸等の水溶性有機カルボン酸でプロトン化してカチオン性基とすることができる。
【0024】
さらに、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン等の第3級アミン等も使用でき、これらは酸で予めプロトン化し、エポキシ基と反応させて第4級塩にすることができる。
【0025】
また、アミノ化合物以外に、ジエチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、テトラメチレンスルフィド、チオジエタノール等のスルフィド類とホウ酸、炭酸、有機モノカルボン酸等との塩をエポキシ基と反応させて第3級スルホニウム塩としてもよい。
【0026】
さらに、トリエチルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類と上記のごとき酸との塩をエポキシ基と反応させて、第4級ホスホニウム塩としてもよい。
【0027】
樹脂(A)の水酸基としては、例えば、上記カチオン化剤中のアルカノールアミン、エポキシド化合物中に導入されることがあるカプロラクトンの開環物及びポリオール等から導入できる第1級水酸基;エポキシ樹脂中の2級水酸基;等が挙げられる。このうち、アルカノールアミンにより導入される第1級水酸基はエポキシ基含有硬化剤(B)との架橋硬化反応性が優れているので好ましい。このようなアルカノールアミンは前記カチオン化剤で例示したものが好ましい。
【0028】
樹脂(A)における水酸基の含有量は、エポキシ基含有硬化剤(B)に含まれるエポキシ基との架橋硬化反応性の点からみて、水酸基当量で20〜5,000、特に100〜1,000の範囲内が好ましく、特に第1級水酸基当量は200〜1,000の範囲内にあることが望ましい。また、イオン性基の含有量は、樹脂(A)を安定に分散しうる必要な最低限以上が好ましく、KOH(mg/g固形分)換算で一般に3〜200、特に10〜80の範囲内にあることが好ましい。しかし、イオン性基の含有量が3以下の場合であっても、界面活性剤等を使用して水性分散化して使用することも可能である。
【0029】
樹脂(A)は、水酸基及びイオン性基を有しており、遊離のエポキシ基は原則として含まないことが望ましい。
【0030】
イミダゾール化合物(B)
イミダゾール化合物(B)は、樹脂(A)と後記エポキシ基含有硬化剤(C)との硬化反応の触媒、又は該硬化剤(C)の硬化剤として働く。
【0031】
イミダゾール化合物(B)は、イミダゾール環1個あたりの分子量が68〜300であるイミダゾール化合物であり、イミダゾール環1個の場合は、分子量が68〜300の範囲にあることが必要であり、例えばイミダゾール環を2個有する場合は、分子量が136〜600の範囲にあることが必要である。
【0032】
イミダゾール化合物(B)の具体例としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−〔2′−メチルイミダゾリル−(1)′〕−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2′−エチル−4−メチルイミダゾリル−(1)′〕−エチル−S−トリアジン、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾリウムイソシアヌル酸付加物、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等の1分子中にイミダゾール環を1個有する化合物;上記2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール又は2−フェニル−4−ベンジル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のヒドロキシメチル基含有イミダゾール化合物を脱水、脱ホルムアルデヒド反応により縮合させてなる1分子中にイミダゾール環を2個以上有する化合物、例えば4,4′−メチレン−ビス−(2−エチル−5−メチルイミダゾール)等を挙げることができる。
【0033】
イミダゾール化合物(B)において、イミダゾール環1個あたりの分子量が300を超えると、中和、水分散化しても本発明電着塗料中での分散安定性が十分でなく、経時で電着塗料中にイミダゾール化合物が析出しやすくなる。
【0034】
本発明電着塗料組成物において、樹脂(A)及びイミダゾール化合物(B)は、酸によって中和され、水性媒体中に安定に分散された第1のエマルジョン粒子を形成する。
【0035】
本発明において、「水性媒体」とは水と無限に溶解可能な媒体であり、好ましくは水を50重量%以上、さらに好ましくは水を80重量%以上含有する媒体である。水性媒体における水を除く残部としては親水性有機溶剤、中和剤などを挙げることができる。
【0036】
上記中和に使用される酸としては、塩酸、硫酸、リン酸等の鉱酸;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、トリメチル酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、乳酸、ヒドロキシ酢酸、クロトン酸、モノクロル酢酸、マレイン酸モノエチルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル等の有機酸を挙げることができる。これらの中和剤は1種で又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0037】
第1のエマルジョン粒子は、水性媒体中で樹脂(A)、イミダゾール化合物(B)及び中和用の酸を混合し、中和、分散することによって得ることができる。この酸による樹脂(A)及びイミダゾール化合物(B)の中和当量は、樹脂(A)中のカチオン性基とイミダゾール化合物(B)のイミダゾール環の合計に対して、0.2〜1.2当量の範囲であることが好ましく、0.3〜1.0の範囲であることがさらに好ましい。第1のエマルジョン粒子における樹脂(A)とイミダゾール化合物(B)との比率は特に限定されるものではないが、通常、前者:後者の固形分重量比が100:0.1〜20となる範囲で使用される。
【0038】
第2のエマルジョン粒子
第2のエマルジョン粒子は、水酸基及びカチオン性基を有する樹脂(A)とエポキシ基含有硬化剤(C)とを含有し、該樹脂(A)が酸にて中和され、該樹脂(A)及び該硬化剤(C)が水性媒体中に安定に分散されてなるエマルジョン粒子である。以下に第2のエマルジョン粒子における各成分について説明する。
【0039】
水酸基及びカチオン性基を含有する樹脂(A)
樹脂(A)としては、前記第1のエマルジョン粒子における水酸基及びカチオン性基を有する樹脂(A)と同様のものを使用することができる。
【0040】
エポキシ基含有硬化剤(C)
エポキシ基含有硬化剤(C)(以下このものを「硬化剤(C)」ということもある)は、樹脂(A)と主として前記のごとくエーテル化反応等によって架橋硬化塗膜を形成するための硬化剤であって、特定の「エポキシ基含有官能基」を1分子あたり平均2個以上、好ましくは3個以上有するものである。
【0041】
すなわち、硬化剤(C)における該エポキシ基含有官能基は、脂環式骨格及び/又は有橋脂環式骨格とエポキシ基とからなり、脂環式骨格は、4〜10員、好ましくは5〜6員の飽和炭素環式環又は該環が2個以上縮合した縮合環を含有し、また、有橋脂環式骨格は、上記環式又は多環式環を構成する炭素原子2個の間に直鎖状もしくは分岐鎖状のC1-6 (好ましくはC1-4)アルキレン基〔例えば−CH2 −、−CH2 CH2 −、−CH(CH3)−、−CH(CH3)CH2 −、−C(CH3)2 −、−CH(C2 H5)CH2 −等〕の橋(エンドメチレン、エンドエチレン等)が結合した環を含有するものである。
【0042】
一方、エポキシ基
【0043】
【化6】
【0044】
は、該エポキシ基中の炭素原子の1つが上記脂環式骨格又は有橋脂環式骨格中の環炭素原子に直接結合している(例えば下記式〔1〕、〔2〕参照)か、あるいは該エポキシ基の2個の炭素原子と上記脂環式骨格又は有橋脂環式骨格中の環を構成する隣接する2個の炭素原子とが共通している(例えば下記式〔3〕、〔4〕参照)ことが重要である。
【0045】
そのようなエポキシ基含有官能基の具体例としては、下記式〔1〕〜〔4〕で示されるものが挙げられる。
【0046】
【化7】
【0047】
【化8】
【0048】
【化9】
【0049】
【化10】
【0050】
(式中、R1 、R2 、R3 、R5 、R6 、R7 、R10及びR11はそれぞれH、CH3 又はC2 H5 を表わし、そしてR4 、R8 及びR9 はそれぞれH又はCH3 を表わす。)
硬化剤(C)は、上記式〔1〕〜〔4〕等によって表わされるエポキシ基含有官能基を1分子あたり平均少なくとも2個、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上有することができる。硬化剤(C)におけるエポキシ基含有官能基は同一であっても異なっていてもよく、また硬化剤(C)は単独であっても2種以上の混合物であってもよい。
【0051】
上記のうち、式〔1〕及び〔3〕で示されるエポキシ基含有基が好ましく、殊に下記式〔5〕
【0052】
【化11】
【0053】
で示されるエポキシ基含有官能基、及び下記式〔6〕
【0054】
【化12】
【0055】
で示されるエポキシ基含有官能基が好適である。
【0056】
硬化剤(C)のエポキシ当量及び分子量は厳密に制限されるものではなく、その製造方法や最終の塗料組成物の要求性能等に応じて変えることができるが、一般的に言えば、エポキシ当量は通常、100〜2,000、好ましくは150〜500、さらに好ましくは150〜250の範囲内にあることができ、また、数平均分子量は通常400〜100,000、好ましくは700〜50,000、さらに好ましくは700〜30,000の範囲内にあるのが適当である。
【0057】
このようなエポキシ基含有官能基を1分子中に2個以上有する硬化剤(C)は、例えば、特公昭56−8016号公報、特開昭57−47365号公報、特開昭60−166675号公報、特開昭63−221121号公報、特開昭63−234028号公報等の文献に記載されており、それ自体既知のものを使用することができる。
【0058】
あるいはまた、上記エポキシ基含有官能基を有する硬化剤(C)はそれ自体既知の方法によって得られ、その主な製造法を以下に列挙するが、これらに限定されるものではない。
【0059】
第1の製造方法:1分子中に炭素−炭素二重結合を2個以上有する脂環化合物の該二重結合の一部を部分エポキシ化し、そのエポキシ基を開環重合した後、重合体に残る該二重結合をエポキシ化する方法。
【0060】
第2の製造方法:同一分子中にエポキシ基を2個以上有する脂環化合物を該エポキシ基に基づいて、該エポキシ基のすべてが消去しない程度に開環重合する方法。
【0061】
第3の製造方法:同一分子中にエポキシ基含有官能基と重合性不飽和結合とを有する化合物を重合する方法。
【0062】
以下、これらの製造方法についてさらに具体的に説明する。
【0063】
第1の製造方法:
1分子中に炭素−炭素二重結合を2個以上有する脂環化合物(以下、「脂環化合物(a)」と略称する)は、脂環式骨格又は有橋脂環式骨格について前述した脂環式環又は有橋脂環式環構造を基本骨格とし、さらに二重結合を、環を構成する隣接炭素原子2つの間で存在するか、又は該環構造を構成する炭素原子に他の炭素原子に基づく二重結合が直接結合する状態で少なくとも2個以上含有する化合物である。
【0064】
脂環化合物(a)の代表例を示せば次のとおりである。
【0065】
【化13】
【0066】
脂環化合物(a)に含まれる炭素−炭素二重結合の一部を過酸化物等によってエポキシ基に変性する(部分エポキシ化)。部分エポキシ化物は、前記脂環化合物(a)に含まれる複数の二重結合のうち一部をエポキシ基に変性したものであり、1分子中にエポキシ基と炭素−炭素二重結合とをそれぞれ少なくとも1個ずつ有しており、該二重結合は環を構成する隣接の炭素原子2個の間に存在するかもしくは該環の炭素原子に他の炭素原子に基づく二重結合が結合していることが必要である。
【0067】
次に、この部分エポキシ化物中のエポキシ基に基づいて開環重合して脂環化合物(a)の重合体を得る。この開環重合には開始剤を用いることが好ましく、硬化剤(C)の末端には該開始剤成分による残基Xが結合していてもよい。ここで、Xは活性水素を有する有機化合物残基であり、その前駆体である活性水素を有する有機化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、チオール類等が挙げられる。
【0068】
開環重合の際に、部分エポキシ化物を単独もしくは必要に応じてその他のエポキシ化合物を併存させて、これらに含まれるエポキシ基を開環重合(エーテル結合)させることによって得られる。
【0069】
開環重合体におけるその他のエポキシ化合物の構成比率は目的に応じて任意に選ぶことができるが、具体的には、得られる開環共重合体1分子あたり前記構造式〔1〕〜〔4〕のいずれか1種又は複数種を平均2個以上、好ましくは平均3個以上、より好ましくは4個以上有する範囲内で選ぶことが望ましい。
【0070】
このようにして得られる該(共)重合体の数平均分子量は一般に400〜100,000、特に700〜50,000、さらに700〜30,000の範囲内にあることが好ましい。
【0071】
開環重合体には脂環化合物(a)に基づく二重結合が存在しており、そのすべてもしくは一部をエポキシ化することによって硬化剤(C)が得られる。二重結合のエポキシ化は例えば過酸類、ハイドロパーオキサイド類等のエポキシ化剤を用いて行うことができる。
【0072】
このようにして得られる硬化剤(C)のエポキシ当量は一般に100〜2,000、特に150〜500、さらに150〜250の範囲内であることが好ましい。
【0073】
このような硬化剤(C)の市販品としては、例えばEHPE−3150、EHPE−3100、EHPE−1150〔ダイセル化学工業(株)製商品名〕等が挙げられ、これらは4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドを用いたシクロヘキサン骨格をもつ下記構造式のエポキシ樹脂である。
【0074】
【化14】
【0075】
(式中、nは2以上であり、好ましくは3以上、より好ましくは4以上であり、Xは開始剤成分の残基である。)
第2の製造方法:
例えば、前記脂環化合物(a)に含まれる二重結合のうち少なくとも2個をエポキシ化し、次いでエポキシ基が残存するように開環重合することによって得られる。
【0076】
上記1分子あたり平均2個以上のエポキシ基を有する脂環化合物としては、単環式もしくは縮合環式の下記化合物が代表的に示される。
【0077】
【化15】
【0078】
開環重合は、上記1分子あたり平均2個以上のエポキシ基を有する脂環化合物の1種以上を前記第1の製造方法で述べたのと同様にして、必要に応じ開始剤、触媒を使用し、開環重合反応を行いエポキシ基が残存している所定の反応点で反応を止めることにより硬化剤(C)を得ることができる。
【0079】
このようにして得られる開環重合体〔硬化剤(C)〕の数平均分子量は一般に400〜100,000、特に700〜50,000の範囲内にあることが好ましく、また、エポキシ当量は一般に100〜2,000、特に150〜500、さらに150〜250の範囲内にあることが好都合である。
【0080】
第3の製造方法:
同一分子中にエポキシ基含有官能基と重合性不飽和結合とをそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物(以下、「重合性エポキシモノマー」と略称することがある)としては、例えば以下の一般式▲1▼〜▲4▼に示すものが挙げられる。
【0081】
【化16】
【0082】
(式中、R12は水素原子又はメチル基を表わし、R13は炭素数1〜6の2価の脂肪族飽和炭化水素基を表わす。)
上記重合性エポキシモノマーにおいて、R13によって表わされる炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、エチルエチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン基等を挙げることができる。
【0083】
上記一般式▲1▼〜▲4▼で示される重合性エポキシモノマーの具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート及び3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート等が挙げられる。さらに、4−ビニルシクロヘキセンオキサイドも重合性エポキシモノマーとして使用できる。
【0084】
重合性エポキシモノマーから選ばれる1種もしくは2種以上を重合することによって硬化剤(B)を製造することができるが、その際他の重合性不飽和モノマーを共重合させることもできる。
【0085】
上記他の重合性不飽和モノマーとしては、得られる(共)重合体に望まれる性能に応じて広範に選択することができ、その代表例を示せば次のとおりである。(a)アクリル酸又はメタクリル酸のエステル;例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数1〜18のアルキルエステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステル。
【0086】
(b)ビニル芳香族化合物;例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレン。
【0087】
(c)ポリオレフィン系化合物;例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン。
【0088】
(d)その他;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ベオバモノマー(シェル化学社製品)、ポリカプロラクトン鎖をもつビニル化合物(例えば、FM−3Xモノマー;ダイセル化学工業製商品名)。
【0089】
重合性エポキシモノマーと他の重合性不飽和モノマーとの構成比率は、目的に応じて任意に選択することができ、これらの共重合反応によって得られる硬化剤(C)の1分子中あたりエポキシ基含有官能基が平均少なくとも2個、好ましくは平均3個以上、より好ましくは平均4個以上含有するような範囲で選択することができるが、十分な硬化性を付与する官能基として利用するためには、特に該硬化剤(C)固形分中重合性エポキシモノマー含有率が5〜100重量%、より好ましくは20〜100重量%の範囲内となるようにするのが好ましい。
【0090】
上記第3の製造方法によって得られる硬化剤(C)は、通常のアクリル樹脂やビニル樹脂等の重合性不飽和結合に基づく重合反応と同様の方法、条件を用いて製造することができる。
【0091】
上記第3の製造例の硬化剤(C)は、数平均分子量が一般に約3,000〜約100,000の範囲内にあるものが好ましく、特に4,000〜10,000の範囲内にあるものがより好ましい。
【0092】
上記した硬化剤(C)の中で、好適なものは、1分子あたりにエポキシ基含有官能基を平均して3個以上、より好ましくは平均して4個以上、最も好ましくは平均して5個以上有するものであり、また、エポキシ当量が好ましくは100〜2,000、より好ましくは150〜500、特に150〜250の範囲内にあり、そして数平均分子量が好ましくは400〜100,000、より好ましくは700〜50,000、特に好ましくは700〜30,000の範囲内にあるものである。
【0093】
第2のエマルジョン粒子は、水性媒体中に、樹脂(A)及び硬化剤(C)の混合物を安定に分散することによって得ることができる。該混合物の分散は、樹脂(A)を酸によって中和して水分散性を付与することによって行うことができる。中和に使用される酸としては、前記第1のエマルジョン粒子形成の際に、樹脂(A)やイミダゾール化合物(B)の中和に使用される酸として挙げたものを使用することができる。
【0094】
第2のエマルジョン粒子形成の際の、酸による樹脂(A)の中和当量は、樹脂(A)中のカチオン性基に対して、0.2〜1.2当量の範囲であることが好ましく、0.3〜1.0の範囲であることがさらに好ましい。第2のエマルジョン粒子における樹脂(A)と硬化剤(C)との比率は、特に限定されるものではないが、通常、前者:後者の固形分重量比が100:25〜200となる範囲で使用される。
【0095】
本発明組成物において、第1のエマルジョン粒子と第2のエマルジョン粒子との混合比は特に限定されるものではないが、第1のエマルジョン粒子と第2のエマルジョン粒子の合計において、一般には、硬化剤(C)の樹脂(A)に対する固形分重量比が、0.2〜1.0、特に0.25〜0.85、さらに望ましくは0.25〜0.65の範囲内となる割合で、かつ樹脂(A)と硬化剤(C)との合計固形分量に対するイミダゾール化合物(B)の固形分重量比が、0.0005〜0.10、特に0.001〜0.05、さらに望ましくは0.002〜0.03の範囲となるように選択して使用するのが望ましい。
【0096】
本発明電着塗料組成物の調整方法は、上記第1のエマルジョン粒子と第2のエマルジョン粒子とが、経時においても安定に分散された電着塗料組成物が得られる限り、特に限定されるものではない。本発明電着塗料組成物は、例えば、水性媒体中に安定に分散させた第1のエマルジョン粒子分散液と、水性媒体中に安定に分散させた第1のエマルジョン粒子分散液とを混合し、必要に応じて、カーボンブラック、チタン白、鉛白、酸化鉛、ベンガラのような着色顔料;クレー、タルクのような体質顔料;あるいはさらに他の添加剤を混合することによって行うことができる。配合し得る他の添加剤としては、例えば、分散剤又はハジキ防止剤としての少量の界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0097】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下、「部」及び「%」はいずれも重量基準によるものとする。
水酸基及びカチオン性基を有する樹脂(A)の製造
製造例1
EHPE3150(*1)155部、ジエタノールアミン70部及び予めエポキシ当量190のビスフェノールAジグリシジルエーテル475部とビスフェノールA285部とジエタノールアミン53部とカルビトール80部とを混合し130℃で3時間保持して反応させてなる反応生成物全量からなる混合物を160℃で5時間反応後、メチルプロパノール692部を加え、固形分含有率60%、アミン価63、第1級水酸基当量443のカチオン性樹脂溶液(A−1)を得た。
【0098】
(*1)EHPE3150:ダイセル化学工業(株)製、下記式で示される繰返し単位を有するエポキシ当量約175〜195のエポキシ樹脂。
【0099】
【化17】
【0100】
式中、mは2以上の整数を示す。
【0101】
エポキシ基含有硬化剤(B)の製造
製造例2
デュラネートTPA−100〔旭化成(株)製商品名、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート化物、イソシアネート当量185〕14.5部と3,4−エポキシテトラヒドロベンジルアルコール〔ダイセル化学工業(株)製、エポキシ当量135〕10.5部を120℃で3時間反応させ、イソシアネート価が0であることを確認してからメチルプロパノール6.3部を加えて、固形分80%の硬化剤溶液(B−2)を得た。この硬化剤樹脂は数平均分子量970、エポキシ当量325を有していた。
【0102】
樹脂エマルジョンの製造
製造例3(第1のエマルジョン粒子の製造)
上記60%カチオン性樹脂溶液(A−1)8.3部に、2−フェニルイミダゾール1部、ギ酸0.1部を加え、十分に撹拌しながら脱イオン水20.6部を加えて固形分20%、pH6.5、エマルジョン粒子径0.1μm の第1のエマルジョン粒子分散液(E−1−1)を得た。
【0103】
製造例4(第1のエマルジョン粒子の製造)
上記60%カチオン性樹脂溶液(A−1)8.3部に、2−ウンデシルイミダゾール2部、ギ酸0.15部を加え、十分に撹拌しながら脱イオン水20.55部を加えて固形分20%、pH6.0、エマルジョン粒子径0.05μm の第1のエマルジョン粒子分散液(E−1−2)を得た。
【0104】
製造例5(第2のエマルジョン粒子の製造)
上記60%カチオン性樹脂溶液(A−1)75部と前記EHPE−3150をエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解してなる固形分80%の硬化剤溶液(B−1)62.5部とギ酸0.6部を加え、十分に撹拌しながら脱イオン水336.9部を添加して、固形分20%、pH6.6、エマルジョン粒子径0.05μm の第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−1)を得た。
【0105】
製造例6(第2のエマルジョン粒子の製造)
上記60%カチオン性樹脂溶液(A−1)75部と上記製造例2で得た固形分80%の硬化剤溶液(B−2)62.5部とギ酸0.5部を加え、十分に撹拌しながら脱イオン水337部を添加して、固形分20%、pH6.3、エマルジョン粒子径0.1μm の第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−2)を得た。
【0106】
製造例7(比較用エマルジョンの製造)
上記60%カチオン性樹脂溶液(A−1)83.3部に、前記EHPE−3150をエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解してなる固形分80%の硬化剤溶液(B−1)62.5部とギ酸0.6部を加え、十分に撹拌しながら脱イオン水312部を添加して、固形分20%、pH6.2、エマルジョン粒子径0.10μm のエマルジョン粒子分散液(EC−1)を得た。
【0107】
製造例8(比較用エマルジョンの製造)
上記60%カチオン性樹脂溶液(A−1)83.3部に、前記製造例2で得た固形分80%の硬化剤溶液(B−2)62.5部とギ酸0.6部を加え、十分に撹拌しながら脱イオン水312部を添加して、固形分20%、pH6.2、エマルジョン粒子径0.10μm のエマルジョン粒子分散液(EC−2)を得た。
【0108】
実施例1
前記製造例3で得た固形分20%の第1のエマルジョン粒子分散液(E−1−1)30部に前記製造例5で得た固形分20%の第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−1)475部を混合、撹拌して、pH6.1、固形分20%のカチオン電着塗料−1を得た。
【0109】
実施例2
前記製造例4で得た固形分20%の第1のエマルジョン粒子分散液(E−1−2)35部に前記製造例6で得た固形分20%の第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−2)475部を混合、撹拌して、pH6.3、固形分20%のカチオン電着塗料−2を得た。
【0110】
実施例3
前記製造例1で得たカチオン性樹脂溶液(A−1)100部にチタン白50部、クレー50部、ギ酸3.0部、脱イオン水55部を加え、練合せた後、ガラスビーズ800部を加えてペイントシェーカーで分散し、ガラスビーズを除去して固形分約62%の顔料分散物(P−1)を得た。
【0111】
前記製造例3で得た固形分20%の第1のエマルジョン粒子分散液(E−1−1)30部に前記製造例5で得た固形分20%の第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−1)475部、上記顔料分散物(P−1)7.1部及び脱イオン水14.9部を混合、撹拌して、pH6.1、固形分20%のカチオン電着塗料−3を得た。
【0112】
比較例1
2−フェニルイミダゾール1部に対して、ギ酸0.1部を水0.9部に溶解してなる10%ギ酸水溶液1部及び水3.5部を加え、撹拌してイミダゾール化合物中和分散液(C−1)を得た。この分散液(C−1)は、固形分20%で、均一な白濁したコロイダルディスパージョンであった。
【0113】
前記製造例7で得た固形分20%のエマルジョン粒子分散液(EC−1)500部に対して、上記イミダゾール化合物中和分散液(C−1)5部を混合、撹拌して、pH6.2、固形分20%のカチオン電着塗料−4(比較用)を得た。
【0114】
比較例2
2−ウンデシルイミダゾール1部に対して、ギ酸0.1部を水0.9部に溶解してなる10%ギ酸水溶液1部及び水3.5部を加え、撹拌してイミダゾール化合物中和分散液(C−2)を得た。この分散液(C−2)は、固形分20%で、均一な白濁したコロイダルディスパージョンであった。
【0115】
前記製造例8で得た固形分20%のエマルジョン粒子分散液(EC−2)500部に対して、上記イミダゾール化合物中和分散液(C−1)10部を混合、撹拌して、pH6.2、固形分20%のカチオン電着塗料−5(比較用)を得た。
【0116】
比較例3
前記製造例7で得た固形分20%のエマルジョン粒子分散液(EC−1)500部に対して、前記実施例1で使用したイミダゾール化合物中和分散液(C−1)5部及び前記実施例3で使用した顔料分散物(P−1)7.1部を混合、撹拌して、pH6.2、固形分20%のカチオン電着塗料−6(比較用)を得た。
【0117】
比較例4
前記製造例5で得た第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−1)そのものをカチオン電着塗料−7(比較用)とした。
【0118】
比較例5
前記製造例5で得た第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−1)500部に固形分20%の酢酸鉛水溶液10部を混合、撹拌して、pH6.2、固形分20%のカチオン電着塗料−8(比較用)を得た。
【0119】
比較例6
前記製造例5で得た第2のエマルジョン粒子分散液(E−2−1)500部、2−フェニルイミダゾール1部及び前記実施例3で使用した顔料分散物(P−1)7.1部を混合、撹拌して、pH6.2、固形分20%のカチオン電着塗料−9(比較用)を得た。
【0120】
上記実施例1〜3及び比較例1〜6で得た電着塗料について、塗膜のゲル分率、塗膜の伸び率、付着性、塗膜硬度及び開放撹拌に対する塗料安定性について下記試験方法に基づいて試験を行った。試験結果を後記表1に示す。
【0121】
試験塗板の作成
(1)塗膜のゲル分率及び伸び率については、ブリキ板に各電着塗料を塗膜厚約20μm となるように印加電圧150Vの条件でカチオン電着塗装を行い、水洗後、200℃で20分間焼き付けた塗装ブリキ板を使用して試験を行った。
【0122】
(2)塗膜の付着性及び塗膜硬度については、冷延磨き鋼板に各電着塗料を塗膜厚約20μm となるように印加電圧170Vの条件でカチオン電着塗装を行い、水洗後、200℃で20分間焼き付けた塗装磨き鋼板を使用して試験を行った。
【0123】
試験方法
ゲル分率:塗装ブリキ板の、ブリキ板から剥離した塗膜を300メッシュのステンレススチール製の網状容器に入れ、アセトン/メタノール=1/1の溶媒を用いて還流温度で6時間抽出した後次式に従ってゲル分率を算出した。
【0124】
ゲル分率(%)=(抽出後の塗膜重量)/(抽出前の塗膜重量)×100
塗膜伸び率:塗装ブリキ板から剥離した塗膜を切断し、幅5mm、長さ20mmの測定塗膜について、オートグラフ(島津製作所製)で、温度20℃、引張り速度20mm/分の条件で塗膜伸び率を測定した。塗膜伸び率は、塗膜が切れた時の元の長さに対する伸びの割合(%)である。
【0125】
付着性:初期の塗装磨き鋼板及び約100℃の沸騰水中に30分間浸漬した塗装磨き鋼板について塗膜の付着性試験を行った。付着性試験は、JIS K−5400 8.5.2(1990)碁盤目テープ法に準じて、塗膜に素地に達する切目を入れ、1mm×1mmのマス目を100個作成し、その表面にセロハン粘着テープを密着させ、急激に剥離した後に剥離せずに残ったマス目の数で評価した。100は、塗膜の剥離が認められず付着性が良好であることを意味する。
【0126】
塗膜硬度:塗装磨き鋼板の塗膜に、JIS K−5400 8.4.2(1990)に規定する鉛筆引っかき試験を行い、やぶれ法による評価を行った。
【0127】
塗料安定性:電着塗料組成物を30℃に保持し、アルミ箔で軽くフタをして1週間及び3週間撹拌した後の塗料組成物の状態を調べた。塗料状態に大きな変化の認められないものを○と表示した。塗料に凝集、ゲル化の認められるものを×と表示した。
【0128】
【表1】
【0129】
【発明の効果】
本発明の電着塗料組成物は、水酸基とカチオン性基を含有する樹脂とエポキシ樹脂とイミダゾール化合物とを含有する電着塗料系において、エポキシ樹脂とイミダゾール化合物とがそれぞれ別のエマルジョン中に存在しており、安定に分散されたものである。本発明の電着塗料組成物は金属触媒を含有しないため、金属基材表面が平滑な場合にも十分な付着力を示し、耐湿試験後においても金属基材表面への密着性が優れた電着塗膜を得ることができる。本発明の電着塗料組成物は、エポキシ樹脂とイミダゾール化合物とが分離されているため、長期における貯蔵安定性にも優れるとともに硬化性にも優れるものである。
Claims (3)
- (1)水酸基及びカチオン性基を有する樹脂(A)と、イミダゾール環1個あたりの分子量が68〜300であるイミダゾール化合物(B)とが、酸にて中和され、水性媒体中に安定に分散されてなる第1のエマルジョン粒子、及び(2)上記樹脂(A)と、脂環式骨格及び/又は有橋脂環式骨格にエポキシ基が結合してなるエポキシ基含有官能基を1分子あたり平均2個以上有するエポキシ基含有硬化剤(C)とを有し、該樹脂(A)が酸にて中和され、水性媒体中に安定に分散されてなる第2のエマルジョン粒子、を含有することを特徴とするカチオン型電着塗料組成物。
- 樹脂(A)において、カチオン性基の含有量がKOH(mg/g固形分)換算で3〜200であり、水酸基当量が20〜5,000であることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
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