JP4019777B2 - 電子機器及び電池収納装置のロック機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筐体に形成された開口部を通して電池が収納される電池収納部が設けられた電子機器、並びにそのような電子機器に備えられた電池収納装置の電池収納部に収納された電池が筐体の開口部から排出される方向に移動するのを係止するロック機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ビデオカメラやデジタルスチルカメラ等の携帯可能な電子機器では、電源として電池が用いられている。このため、電子機器は、筐体の内部に電池を収納するための電池収納装置を備えており、この電池収納装置は、筐体に電池が挿脱される電池挿脱口が形成され、この電池挿脱口を開閉する電池蓋と、この電池挿脱口を通して電池が収納される電池収納部とを有している。さらに、電池収納装置は、電池挿脱口を開閉する電池蓋の他にも、比較的重量が大きくなる電池を電池収納部に保持するために、電池収納部に収納された電池が電池挿脱口から排出される方向に移動するのを係止するロック機構を有するものが現在主流となっている。
【0003】
ここで、従来より用いられる電池収納装置のロック機構について説明する。
【0004】
例えば図16に示すデジタルスチルカメラ100は、互いに付き合わされる一組の上ハーフ101A及び下ハーフ101Bから構成される筐体101の内部に、前面側の一コーナー部に位置して筐体に形成されたレンズ用の開口部から撮像レンズ102Aが外方に臨むカメラ部102と、このカメラ部102と対向する後面側の一コーナー部に位置してビューファインダ部103とを有している。また、筐体101の内部には、内部空間と略一致した大きさのベース基板104が設けられており、内部空間をベース基板104の一主面側と他主面側とにそれぞれ分割している。そして、筐体101の内部空間を分割するベース基板104の一主面側には、カメラ部102により撮像された画像データを外部記録媒体であるディスクカートリッジに記録する画像記録部105と、電源となる電池106を収納する電池収納部107とが設けられている。一方、このベース基板104の他主面側には、IC等の電子回路部品108や、ビューファインダ部103の他にカメラ部102により撮像された画像を表示する液晶表示パネル109、外部機器との接続を行うジャック110等が設けられており、これらがベース基板104に形成された配線と電気的に接続されている。
【0005】
画像記録部105は、その前面側にディスクカートリッジが挿脱されるカートリッジ挿脱口105Aを有し、このカートリッジ挿脱口105Aには、内部に塵埃等が侵入するのを防止するためのシャッタ部材105Bが開閉可能に設けられている。
【0006】
電池収納部107は、図16及び図17に示すように、筐体101の前面側の他コーナー部に形成された電池挿脱口107Aを通して電池106が収納される電池収納装置を構成しており、筐体101には、この電池挿脱口107Aを開閉する電池蓋111が回動可能に取り付けられている。また、電池蓋111は、電池挿脱口107Aを閉塞した状態において筐体101の一部を構成しており、筐体101の一部を構成する主面には、この電池蓋111を開閉するための蓋開閉機構112が設けられている。また、電池収納部107の底部には、収納された電池106の一対の電極端子113と電気的に接続される一対の接続端子114と、電池106の挿脱方向に弾性変位可能なコイルバネ115とが設けられている。
【0007】
なお、筐体101を構成する上ハーフ101A及び下ハーフ101Bには、互いに付き合わされることによって、上述したレンズ用の開口部を構成する半円形状の切欠き部116A,116Bと、上述した電池挿脱口を構成する矩形状の切欠き部117A,117Bとがそれぞれ形成されている。また、上ハーフ101Aには、主面側に位置して上述した液晶表示パネル109が外部に臨む矩形状のパネル開口部118と、正面側に位置して上述したカートリッジ挿脱口105Aに対応した矩形状の切欠き部119と、背面側に位置して上述したジャック109が外部に臨む円形状の孔部(図示せず。)とがそれぞれ形成されている。
【0008】
そして、この電池収納装置は、電池蓋111の他に、電池106を電池収納部107に保持するために、電池収納部107に収納された電池106が電池挿脱口107Aから排出される方向に移動するのを係止するロック機構を有している。
【0009】
このロック機構は、電池収納部107に収納された電池106の電池挿脱口107Aから臨む一面を係止するロック部材120を有し、このロック部材120は、電池106を係止するロック位置と、電池との係止状態を解除するアンロック位置との間で回動可能に支持されている。具体的に、ベース基板104には、電池挿脱口107A近傍すなわち前面側の他コーナー部に位置して、ロック部材120に対応した切欠き部104Aが形成されている。そして、ロック部材120は、この切欠き部104Aに配置されており、基端側が支軸121に回動可能に支持されると共に、先端側が電池106の電池挿脱口107Aから臨む一面に沿って折り曲げられている。また、このロック部材120は、略V字状に折り曲げられてなる板状のバネ部材122によってロック位置側へと付勢されている。したがって、このロック部材120は、先端側をバネ部材122の付勢に抗してロック位置からアンロック位置へと回動可能となっている。
【0010】
以上のように構成される従来の電池収納装置のロック機構では、図17に示すように、電池106が電池挿脱口107Aから電池収納部107に挿入されると、図18に示すように、電池106と当接されたロック部材120の先端がバネ部材122の付勢に抗してアンロック位置側へと回動される。そして、この状態から、図19に示すように、更に電池106が電池収納部107へと挿入されることによって、コイルバネ115が圧縮されながら電池106が電池収納部107に収納される。このとき、ロック部材120の先端がバネ部材122に付勢されてロック位置側へと回動される。そして、ロック部材120の先端が電池収納部107に収納された電池106の電池挿脱口107Aから臨む一面を係止する。これにより、電池収納部107に収納された電池106が電池挿脱口107Aから排出される方向に移動するのを係止することができる。
【0011】
一方、この状態から、図20に示すように、指を用いてロック部材120をバネ部材122の付勢に抗して強制的にアンロック位置側へと回動させると、図21に示すように、ロック部材120との係止状態が解除された電池106がコイルバネ115に付勢されて電池収納部107から排出方向へと押し出される。これにより、電池106を電池挿脱口107Aを通して電池収納部107から排出することができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の電池収納装置のロック機構では、上述したロック部材120を回動可能に支持する支軸121や、ロック部材120をロック位置側へと付勢するバネ部材122等を配置するためのスペースSを電池収納部107よりも外側に設ける必要がある。また、ベース基板104には、図22及び図23に示すように、ロック部材120の幅X1に対応した幅X2で切欠き部104Aが形成されている。
【0013】
この場合、ロック機構が筐体101やベース基板104等のセットサイズに直接影響を与えることになる。仮に、ロック機構の配置を、図24に示すベース基板104のセットサイズに影響与えない位置に変更したとしても、図25に示すように、ロック機構が電池収納部107よりも外側に寸法Y1,Y2,Y3だけはみ出すことになる。また、上述した支軸121の位置やバネ部材122等を変更することによって、電池106に対するロック部材120の保持力を変更したい場合にも、これらが電池収納部107よりも外側に配置されることによって、これに応じた筐体101のサイズ変更等が必要となってしまう。
【0014】
このため、従来の電池収納装置のロック機構では、筐体101やベース基板104等のセットサイズに影響を与えることによって、携帯可能な電子機器の更なる小型化の要求に応えることが非常に困難となるといった問題があった。
【0015】
また、従来の電池収納装置のロック機構では、電池収納部107に収納された電池106を電池挿脱口107Aから排出する際に、図20に示すように、指を用いてロック部材120をバネ部材113の付勢に抗して強制的にアンロック位置側へと回動操作している。このため、図21に示すように、ロック部材120との係止状態が解除された電池106がコイルバネ115に付勢されて電池収納部107から排出方向へと押し出された際に、電池106が指に接触してしまうことがあり、ユーザーが痛みを感じてしまうといった操作性の問題があった。
【0016】
そこで、本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、ロック機構が筐体やベース基板等のセットサイズに影響を与えることなく、電池収納部に収納された電池を適切に保持すると共に、ロック機構を解除する際の操作性を大幅に向上させた電子機器を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、そのような電子機器の筐体やベース基板等のセットサイズに影響を与えることなく、電池収納部に収納された電池を適切に保持することを可能とし、電池収納部に収納された電池を排出する際の操作性を大幅に向上させた電池収納装置のロック機構を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、電池が挿脱される開口部が形成された筐体と、筐体の開口部を通して上記電池が収納される電池収納部と、電池収納部に収納された上記電池が開口部から排出される方向に移動するのを係止するロック機構とを備え、ロック機構は、電池の少なくとも筐体の開口部から臨む一面を係止するロック部材と、ロック部材が電池を係止するロック位置と、ロック部材が電池との係止状態を解除するアンロック位置との間を移動可能に案内する案内手段と、案内手段に案内されたロック部材をロック位置側へと付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢に抗してロック部材をアンロック位置側へと移動操作する操作部とを有することを特徴としている。
【0019】
以上のように、本発明に係る電子機器では、付勢手段の付勢に抗してロック部材をアンロック位置側へと移動操作する操作部が設けられていることから、ロック部材と電池との係止状態を解除する際の操作性を向上させることができる。
【0020】
また、本発明に係る電池収納装置のロック機構は、電子機器の筐体に電池が挿脱される開口部が形成され、当該開口部を開閉する蓋体と、筐体の開口部を通して電池が収納される電池収納部とを有する電池収納装置の、電池収納部に収納された電池が筐体の開口部から排出される方向に移動するのを係止するロック機構において、電池の少なくとも筐体の開口部から臨む一面を係止するロック部材と、ロック部材が電池を係止するロック位置と、ロック部材が電池との係止状態を解除するアンロック位置との間で、ロック部材を電池の筐体の開口部から臨む一面に沿って移動可能に案内する案内手段と、案内手段に案内されたロック部材をロック位置側へと付勢する付勢手段と、付勢手段の付勢に抗してロック部材をアンロック位置側へと移動操作する操作部とを備えることを特徴としている。
【0021】
以上のように、本発明に係るロック機構では、ロック部材が案内手段に案内されて電池の筐体の開口部から臨む一面に沿って移動可能とされていることから、筐体内における他のセットサイズに影響を与えることなく、電池収納部に収納された電池が筐体の開口部から排出される方向に移動するのを適切に係止することができる。そして、このロック機構では、付勢手段の付勢に抗してロック部材をアンロック位置側へと移動操作する操作部が設けられていることから、ロック部材と電池との係止状態を解除する際の操作性を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した電子機器及び電池収納装置のロック機構について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
本実施の形態は、図1及び図2に示すように、携帯可能な小型デジタルスチルカメラ1に本発明を適用したものである。
【0024】
このデジタルスチルカメラ1は、互いに付き合わされる一組の上ハーフ2A及び下ハーフ2Bを有している。そして、上ハーフ2A及び下ハーフ2Bは、それぞれ略矩形状の主面の外周縁部に沿って側壁が立設された形状を有しており、互いの側壁を付き合わすことで筐体2を構成している。
【0025】
そして、この筐体2の内部には、図3に示すように、画像を撮像するためのカメラ部3と、このカメラ部により撮像された画像を表示するためのビューファインダ部4とが設けられている。
【0026】
カメラ部3は、図1及び図3に示すように、筐体2内における前面側の上部コーナー部に配置されている。そして、このカメラ部3は、筐体2の前面側に形成された円形状のレンズ用開口部5から外部に臨む撮像レンズ6と、この撮像レンズ6により結像された被写体の像を撮像するCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子(図示せず。)とを有しており、この固体撮像素子が撮像した画像を電気信号に変換し、デジタル画像データとしてビューファインダ部4及び後述する画像記録部10に出力する。
【0027】
ビューファインダ部4は、図2及び図3に示すように、筐体2内におけるカメラ部3と対向する後面側の上部コーナー部に配置されている。そして、このビューファインダ部4は、筐体2の後面側に形成された略矩形状のファインダ用開口部7から外部に臨むファインダ8を通してカメラ部4により撮像された画像を見ることが可能となっている。
【0028】
なお、筐体2を構成する上ハーフ2A及び下ハーフ2Bには、互いに付き合わされることによって、上述したレンズ用開口部5を構成する半円形状の切欠き部5A,5Bと、上述したファインダ用開口部7を構成する矩形状の切欠き部7A,7Bとがそれぞれ形成されている。
【0029】
また、筐体2の内部には、図3に示すように、内部空間と略一致した大きさを有する矩形状のベース基板9が設けられており、この内部空間を分割するベース基板9の一主面側及び他主面側に電子回路部が構成されている。
【0030】
すなわち、この電子回路部を構成するベース基板9の一主面側には、カメラ部3により撮像された画像データを外部記録媒体であるディスクカートリッジ(図示せず。)に記録するための画像記録部10と、電源となる電池(バッテリ)11を収納するための電池収納部12とが設けられている。一方、電子回路部を構成するベース基板9の他主面側には、IC等の電子回路部品13や、ビューファインダ部4の他にカメラ部3により撮像された画像を表示するための液晶表示パネル14、外部機器との接続を行うためのジャック15等が設けられており、これらがベース基板9に形成された配線(図示せず。)と電気的に接続されている。また、筐体2を構成する上ハーフ2Aには、図1,図2及び図3に示すように、主面側の略中央部に位置して、上述した液晶表示パネル14が外部に臨む矩形状のパネル開口部16と、背面側の略中央部に位置して、上述したジャック15が外部に臨む円形状の孔部17とがそれぞれ形成されている。
【0031】
画像記録部10は、上述したカメラ部3及びビューファインダ部4に隣接して配置されており、その前面側にディスクカートリッジが挿脱される矩形状のカートリッジ挿脱口18を有している。これに対応して、筐体2を構成する上ハーフ2Aの前面側にも、図1及び図3に示すように、カートリッジ挿脱口18が外部に臨む矩形状の切欠き部19が形成されている。また、このカートリッジ挿脱口18には、内部に塵埃等が侵入するのを防止するためのシャッタ部材20が開閉可能に設けられている。この画像記録部10は、いわゆる光磁気ディスクドライブ装置であり、ディスクカートリッジがカートリッジ挿脱口18からシャッタ部材20を開放しながら内部へと装填される。そして、このディスクカートリッジに回転可能に収納された光磁気ディスクに対して、上述したカメラ部3から出力されたデジタル画像データを記録する。また、シャッタ部材20がカートリッジ挿脱口を開放した後に、ディスクカートリッジをカートリッジ挿脱口18から外部へと排出するようになされている。なお、画像記録部10は、このような光磁気ディスクドライブ装置に限らず、ディスクカートリッジに回転可能に収納された光ディスクに対してデジタル画像データを記録する光ディスクドライブ装置や、ディスクカートリッジに回転可能に収納された磁気ディスクに対してデジタル画像データを記録する磁気ディスクドライブ装置等であってもよい。また、画像記録部10は、ディスクカートリッジに限らず、メモリーカードのような外部記録媒体を用いるものであってもよい。さらに、画像記録部は、ハードディスクドライブ装置のような内部記録媒体を用いるものであってもよい。
【0032】
電池収納部12は、図3及び図6に示すように、筐体2内の画像記録部10に隣接した位置において、電池11を収納する電池収納装置を構成している。このため、筐体2の前面側の下部コーナー部には、電池11が挿脱される電池挿脱口12Aが形成されており、この電池挿脱口12Aを通して電池収納部12に電池11が収納されるようになされている。なお、筐体2を構成する上ハーフ2A及び下ハーフ2Bには、図1及び図3に示すように、互いに付き合わされることによって、電池挿脱口12Aを構成する矩形状の切欠き部21A,21Bが形成されている。
【0033】
また、筐体2には、この電池挿脱口12Aを開閉する電池蓋22が回動可能に取り付けられており、この電池蓋22は、電池挿脱口12Aを閉塞した状態において筐体2の一部を構成している。そして、電池蓋22の筐体2の一部を構成する主面には、この電池蓋22を開閉するための蓋開閉機構23が設けられている。この蓋開閉機構23は、ロックレバー23Aを操作することによって筐体2との係止状態を解除し、電池蓋22をスライドさせた後に、電池蓋22を回動させることによって、電池挿脱口12Aを開放することが可能となっている。
【0034】
また、電池収納部12を構成する筐体の底部には、図6に示すように、下ハーフ2B側の両コーナー部に位置して、収納された電池11の一対の電極端子24と電気的に接続される一対の接続端子25と、略中央部に位置して、電池11の挿脱方向に弾性変位可能なコイルバネ26とが設けられている。このうち、一対の接続端子25は、電池11側のキャップ状に形成された電極端子24に嵌合されることによって、これら一対の電極端子24と電気的に接続される。コイルバネ26は、電池収納部12に収納された電池11を電池挿脱口12Aから排出される方向に付勢するものであり、このようなコイルバネ26に限らず、板バネ等の弾性部材であってもよい。
【0035】
そして、この電池収納装置は、電池蓋22の他に、比較的重量が大きくなる電池11を電池収納部12に確実に保持するために、電池収納部12に収納された電池11が電池挿脱口12Aから排出される方向に移動するのを係止するロック機構を有している。
【0036】
このロック機構は、図3,図4及び図5に示すように、電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面を係止するロック部材27と、このロック部材27が電池11を係止するロック位置と、このロック部材27が電池11との係止状態を解除するアンロック位置との間で、ロック部材27を電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面に沿って移動可能に案内する案内手段であるガイド部28と、このガイド部28に案内されたロック部材27をロック位置側へと付勢する付勢手段である線状のバネ部材29とを有している。
【0037】
ロック部材27は、全体略矩形平板状に形成された合成樹脂からなり、電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面に沿って配置されている。また、このロック部材27には、電池挿脱口12Aから挿入される電池11と当接される面が先端部に向かって傾斜する傾斜面部30と、この傾斜面部30とは反対側の側端部にバネ部材29が係合される係合溝31とが形成されている。
【0038】
ガイド部28は、ロック部材27を電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面に沿ってベース基板9と直交する方向にスライド可能に案内するためのものであり、電池収納部12を構成する筐体の電池挿脱口12Aが形成された主面には、ベース基板9と直交する方向に亘って一対のガイドレール32が突出形成されている。一方、ロック部材27の電池収納部12に収納された電池11と対向する主面には、これら一対のガイドレール32を両側から挟み込む複数のガイドリブ33が突出形成されている。したがって、ロック部材27は、これら複数のガイドリブ33の間に一対のガイドレール32が係合されることによって、電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面に沿ってベース基板9と直交する方向にスライド可能となっている。
【0039】
バネ部材29は、略U字状に折り曲げられた針金からなり、電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面と平行な面内に配置されている。そして、このバネ部材29は、先端部が電池収納部12側に僅かに折り曲げられた形状を有し、略U字状に折り曲げられた基端部の間にリベット34を通し、このリベットを電池収納部を構成する筐体にかしめることによって固定支持されている。なお、このバネ部材29の固定方法としては、ネジ止め等を用いてもよい。そして、このバネ部材は、先端部が上述したロック部材27の係合溝31に係合されることによって、ロック部材27を係止位置にて片持ち支持している。なお、このバネ部材29は、上述した略U字状に折り曲げられた針金に限らず、線状に形成された弾性部材であれば、このような形状のものに特に限定されるものではない。
【0040】
上述したデジタルスチルカメラ1では、以上のようにして、本発明を適用した電池収納装置のロック機構が構成されている。そして、この電池収納装置のロック機構では、図6に示すように、電池11が電池挿脱口12Aから電池収納部12に挿入されると、図7に示すように、電池11がロック部材27の傾斜面部30と当接されながら、ロック部材27がバネ部材29の付勢に抗してアンロック位置側へとスライドされる。そして、この状態から、図8に示すように、更に電池11が電池収納部12へと挿入されることによって、コイルバネ26が圧縮されながら電池11が電池収納部12に収納される。このとき、ロック部材27の先端がバネ部材29に付勢されてロック位置側へとスライドされる。そして、ロック部材27の先端が電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面を係止する。これにより、電池収納部12に収納された電池11が電池挿脱口12Aから排出される方向に移動するのを適切に係止することができる。
【0041】
また、このデジタルスチルカメラ1では、電池蓋22を電池挿脱口12Aを閉塞する方向に回動させた後、この電池蓋22の回動中心に向かってスライドさせることによって、電池蓋22が筐体2の一部を構成した状態となると共に、蓋開閉機構23により筐体2に係止される。これにより、電池蓋22が電池挿脱口12Aを閉塞した状態となる。一方、このデジタルスチルカメラ1では、この状態から、蓋開閉機構23のロックレバー23Aを操作し、筐体2との係止状態を解除した後に、電池蓋22をスライド操作及び回動操作することによって、電池挿脱口12Aが開放した状態となる。
【0042】
そして、電池収納装置のロック機構では、この状態から、図9に示すように、指を用いてロック部材27をバネ部材29の付勢に抗して強制的にアンロック位置側へとスライドさせると、図10に示すように、ロック部材27との係止状態が解除された電池11がコイルバネ26に付勢されて電池収納部12から排出方向へと押し出される。これにより、電池11を電池挿脱口12Aを通して電池収納部12から適切に排出することができる。
【0043】
ところで、上述したデジタルスチルカメラ1では、電池収納部12に隣接して面方向を電池収納部12の挿脱方向と略平行に配設されたベース基板よりも電池挿脱口12A側にロック機構が設けられていることから、このロック機構が筐体2内で占有するスペースを極力小さくすることが可能である。
【0044】
具体的に、この電池収納装置のロック機構では、ロック部材27がガイド部28に案内されて電池11の電池挿脱口12から臨む一面に沿ってベース基板と直交する方向に移動可能とされている。また、このロック部材をロック位置側へと付勢するバネ部材29も、ベース基板9と電池収納部12との間、すなわち電池収納部12に収納された電池11の電池挿脱口12Aから臨む一面と平行な面内に配置されている。
【0045】
したがって、このデジタルスチルカメラ1では、筐体2内におけるベース基板9等のセットサイズに影響を与えることなく、ロック機構により電池収納部12に収納された電池11が電池挿脱口12Aから排出される方向に移動するのを適切に係止することが可能である。
【0046】
また、電池11に対するロック部材27の保持力を変更したい場合であっても、ロック部材27の形状やバネ部材29に対する位置、このバネ部材29の弾性力等を変更することによって、この場合も、筐体2の内部空間やベース基板9等のセットサイズに影響を与えることなく、容易に調整が可能である。
【0047】
したがって、このデジタルスチルカメラ1では、このような電池収納装置のロック機構を備えることによって、更なる小型化が可能であり、部品点数の増加を招くことなく、低コスト化が可能である。
【0048】
次に、上述したデジタルスチルカメラ1の変形例について説明する。
【0049】
この変形例は、図11及び図12に示すように、上述した本発明を適用した電池収納装置のロック機構において、更にバネ部材29の付勢に抗してロック部材27をアンロック位置側へと移動操作するための操作部40が設けられた構成となっている。
【0050】
この操作部40は、筐体2の下部内側面部と電池収納部12との間において、ロック部材27の電池挿脱口12Aに臨む位置とは異なる側面に沿って一体に形成された矩形状の操作片41を有し、この操作片41の筐体2と対向する主面には、操作突部42が突出形成されている。なお、本例のように、操作片41をロック部材27と一体に形成した構成に限らず、このような操作片41を別部材として上記ロック部材27に取り付けた構成としてもよい。
【0051】
一方、筐体2を構成する上ハーフ2Aには、操作片41と対向する下部側面部に位置して、操作突部42が外部に臨む矩形状のガイド孔43が形成されている。このガイド孔43は、操作突部に応じた幅及びベース基板9と直交する方向にロック位置とアンロック位置との間の距離に応じた長さで形成されている。したがって、操作突部42は、このガイド孔43内をベース基板9と直交する方向にスライドすることが可能となっており、これに伴って、ロック部材27がロック位置とアンロック位置との間で移動操作されることになる。なお、電池蓋22の電池挿脱口12Aと対向する主面には、この電池蓋22が電池挿脱口12Aを閉塞した状態において、操作突部42がアンロック位置側にスライドするのを係止するストッパが設けられている。これにより、電池蓋22が電池挿脱口12Aを開放した場合のみ、操作突部42をアンロック位置側へとスライド操作することが可能となっている。
【0052】
以上のように構成される電池収納装置のロック機構では、図13に示すように、電池収納部12に収納された電池11を電池挿脱口12Aから排出する際に、図14に示すように、指を用いてガイド孔43内のロック位置側の端部に位置する操作突部42をアンロック位置側の端部へとスライドさせる。これに伴って、ロック部材27もバネ部材29の付勢に抗してアンロック位置側へとスライドすることになる。すると、図15に示すように、ロック部材27との係止状態が解除された電池11がコイルバネ26に付勢されて電池収納部12から排出方向へと押し出される。これにより、電池11を電池挿脱口12Aを通して電池収納部12から適切に排出することができる。
【0053】
したがって、本発明を適用した電池収納装置のロック機構では、このようなロック部材27をバネ部材29の付勢に抗してアンロック位置側へと移動操作するための操作部40を設けることによって、従来のようなロック部材120との係止状態が解除された電池106がコイルバネ115に付勢されて電池収納部107から排出方向へと押し出された際に、電池106が指に接触してしまうといった問題を回避することが可能であり、操作性を向上させ、ユーザの使い勝手を大幅に向上させることが可能である。
【0054】
なお、本発明を適用した電池収納装置のロック機構は、上述したデジタルスチルカメラ1に限定されず、筐体に形成された開口部を開閉する蓋体と、筐体の開口部を通して電池が収納される電池収納部とが設けられた電子機器に広く適用可能であり、このような電子機器に本発明を適用することによって、更なる小型化及び低コスト化が可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ロック機構が筐体内で占有するスペースを極力小さくすることが可能であり、筐体内におけるベース基板等のセットサイズに影響を与えることなく、当該ロック機構により電池収納部に収納された電池が筐体の開口部から排出される方向に移動するのを適切に係止することが可能である。また、電池に対するロック部材の保持力を変更したい場合であっても、筐体内におけるベース基板等のセットサイズに影響を与えることなく、容易に調整が可能である。したがって、本発明によれば、更なる小型化が可能であり、部品点数の増加を招くことなく、低コスト化が可能である。
【0056】
また、本発明によれば、従来のようなロック部材との係止状態が解除された電池が電池収納部から排出方向へと押し出された際に、電池が指に接触してしまうといった問題を回避することが可能であり、操作性を向上させ、ユーザの使い勝手を大幅に向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したデジタルスチルカメラを前面側から見た斜視図である。
【図2】上記デジタルスチルカメラを後面側から見た斜視図である。
【図3】上記デジタルスチルカメラの内部構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明を適用した電池収納装置のロック機構を示す要部側面図である。
【図5】上記電池収納装置のロック機構を示す要部平面図である。
【図6】上記電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部に電池が挿入される前の状態を示す透視側面図である。
【図7】上記電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部に電池が挿入される途中の状態を示す透視側面図である。
【図8】上記電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部に電池が収納された状態を示す透視側面図である。
【図9】上記電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、ロック部材と電池との係止状態を解除した状態を示す透視側面図である。
【図10】上記電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部から電池が排出された状態を示す透視側面図である。
【図11】上記本発明を適用したデジタルスチルカメラの変形例を示す斜視図である。
【図12】上記デジタルスチルカメラの変形例の内部構造を示す分解斜視図である。
【図13】本発明を適用した電池収納装置のロック機構の変形例における動作を説明するための図であり、電池収納部に電池が収納された状態を示す透視側面図である。
【図14】上記電池収納装置のロック機構の変形例における動作を説明するための図であり、ロック部材と電池との係止状態を解除した状態を示す透視側面図である。
【図15】上記電池収納装置のロック機構の変形例における動作を説明するための図であり、電池収納部から電池が排出された状態を示す透視側面図である。
【図16】従来の電池収納装置のロック機構を備えるデジタルスチルカメラの内部構造を示す分解斜視図である。
【図17】上記従来の電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部に電池が挿入される前の状態を示す透視側面図である。
【図18】上記従来の電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部に電池が挿入される途中の状態を示す透視側面図である。
【図19】上記従来の電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部に電池が収納された状態を示す透視側面図である。
【図20】上記従来の電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、ロック部材と電池との係止状態を解除した状態を示す透視側面図である。
【図21】上記従来の電池収納装置のロック機構の動作を説明するための図であり、電池収納部から電池が排出された状態を示す透視側面図である。
【図22】上記従来の電池収納装置のロック機構の構成を示す側面図である。
【図23】上記従来の電池収納装置のロック機構の構成を示す平面図である。
【図24】上記従来の電池収納装置のロック機構におけるロック部材の配置を変更した状態を示す分解斜視図である。
【図25】上記従来の電池収納装置のロック機構におけるロック部材の配置を変更した状態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1 デジタルスチルカメラ(電子機器)、2 筐体、2A 上ハーフ、2B 下ハーフ、3 カメラ部、4 ビューファインダ部、9 ベース基板、10 画像記録部、11 電池、12 電池収納部、12A 電池挿脱口、13 電子回路部品、14 液晶表示パネル、15 ジャック、22 電池蓋、23 蓋開閉機構、24 電極端子、25 接続端子、26 コイルバネ、27 ロック部材、28 ガイド部、29 バネ部材、30 傾斜面部、31 係合溝、32 ガイドレール、33 ガイドリブ、40 操作部、41 操作片、42 操作突部、43 ガイド孔
Claims (18)
- 電池が挿脱される開口部が形成された筐体と、
上記筐体の開口部を通して上記電池が収納される電池収納部と、
上記電池収納部に収納された上記電池が上記開口部から排出される方向に移動するのを係止するロック機構とを備え、
上記ロック機構は、上記電池の少なくとも上記筐体の開口部から臨む一面を係止するロック部材と、上記ロック部材が上記電池を係止するロック位置と、上記ロック部材が上記電池との係止状態を解除するアンロック位置との間を移動可能に案内する案内手段と、上記案内手段に案内された上記ロック部材を上記ロック位置側へと付勢する付勢手段と、上記付勢手段の付勢に抗して上記ロック部材を上記アンロック位置側へと移動操作する操作部とを有することを特徴とする電子機器。 - 上記操作部は、上記ロック部材の上記筐体の開口部に臨む位置とは異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 上記操作部は、上記筐体に形成されたガイド孔から外部に臨む操作突部を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 上記操作部は、上記ロック部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 上記付勢手段は、上記電池の上記筐体の開口部から臨む一面と平行な面内に配置された弾性部材であることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 上記ロック機構は、上記電池収納部に収納された電池を上記筐体の開口部から排出される方向へと付勢する他の付勢手段を有することを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 上記電池収納部は、上記筐体内のコーナー部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
- 上記筐体に収納されたベース基板を備え、
上記ロック機構は、上記電池収納部に隣接して面方向を上記電池収納部の挿脱方向と略平行に配設されたベース基板よりも上記開口部側に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。 - 上記案内手段は、上記ロック部材を上記電池の上記筐体の開口部から臨む一面に沿って上記ベース基板と略直交する方向に移動可能に案内することを特徴とする請求項8記載の電子機器。
- 電子機器の筐体に電池が挿脱される開口部が形成され、当該開口部を開閉する蓋体と、上記筐体の開口部を通して電池が収納される電池収納部とを有する電池収納装置の、上記電池収納部に収納された電池が上記筐体の開口部から排出される方向に移動するのを係止するロック機構において、
上記電池の少なくとも上記筐体の開口部から臨む一面を係止するロック部材と、
上記ロック部材が上記電池を係止するロック位置と、上記ロック部材が上記電池との係止状態を解除するアンロック位置との間で、上記ロック部材を上記電池の上記筐体の開口部から臨む一面に沿って移動可能に案内する案内手段と、
上記案内手段に案内された上記ロック部材を上記ロック位置側へと付勢する付勢手段と、
上記付勢手段の付勢に抗して上記ロック部材を上記アンロック位置側へと移動操作する操作部とを備えることを特徴とする電池収納装置のロック機構。 - 上記操作部は、上記ロック部材の上記筐体の開口部に臨む位置とは異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項10記載の電池収納装置のロック機構。
- 上記操作部は、上記筐体の開口部が形成された面とは異なる面に形成されたガイド孔から外部に臨む操作突部を有することを特徴とする請求項10記載の電池収納装置のロック機構。
- 上記操作部は、上記ロック部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項10記載の電池収納装置のロック機構。
- 上記付勢手段は、上記電池の上記筐体の開口部から臨む一面と平行な面内に配置された弾性部材であることを特徴とする請求項10記載の電池収納装置のロック機構。
- 上記電池収納部に収納された電池を上記筐体の開口部から排出される方向へと付勢する他の付勢手段を備えることを特徴とする請求項10記載の電池収納装置のロック機構。
- 上記電池収納部は、上記筐体内のコーナー部に設けられていることを特徴とする請求項10記載の電池収納装置のロック機構。
- 上記筐体には、上記電池収納部に隣接して面方向を上記電池収納部の挿脱方向と略平行に配設されたベース基板が収納されており、
上記ベース基板よりも上記開口部側に形成されていることを特徴とする請求項10記載の電池収納装置のロック機構。 - 上記案内手段は、上記ロック部材を上記電池の上記筐体の開口部から臨む一面に沿って上記ベース基板と略直交する方向に移動可能に案内することを特徴とする請求項17記載の電池収納装置のロック機構。
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