JP4019155B2 - グルタミン酸脱炭酸酵素、グルタミン酸脱酸素酵素をコードするdna、グルタミン酸脱炭酸酵素が発現可能な形態で導入された微生物、グルタミン酸脱炭酸酵素の製造方法、および、トランスジェニック植物 - Google Patents
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Description
Acid:GABA)は、血圧降下作用、肥満防止作用、精神安定作用、アルコール代謝促進作用といった人体に対するさまざまな有用な作用を発揮する物質として知られている。GABAは、グルタミン酸を脱炭酸することにより得られる。このとき、グルタミン酸脱炭酸酵素(Glutamic
Acid Decarboxylase:GAD)を用いることにより脱炭酸反応を効率よく行わせることが可能となる。
下記(E)又は(F)に示すタンパク質。
(E)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(F)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、グルタミン酸脱炭酸酵素活性を有するタンパク質。
下記(E)又は(F)に示すタンパク質をコードするDNA。
(E)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(F)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、グルタミン酸脱炭酸酵素活性を有するタンパク質。
上記2.に記載のDNAによりコードされるタンパク質が発現可能な形態で導入された微生物。
上記3.に記載の微生物を培地で培養し、培養物中にグルタミン酸脱炭酸酵素を生成蓄積させ、該培養物よりグルタミン酸脱炭酸酵素を採取することを特徴とするグルタミン酸脱炭酸酵素の製造方法。
上記2.に記載のDNAを有するトランスジェニック植物。
イネ科に属する植物である上記5.に記載のトランスジェニック植物。
Domain:CaMBD)と相同性の高い部位を備えるGADをOsGAD1と称し、当該ドメインが無いともいえる相同性の低い部位を備えるGADをOsGAD2と称することとする。配列表2は、OsGAD1のアミノ酸配列を示したものである。配列表5は、OsGAD2のアミノ酸配列を示したものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、OsGAD1およびOsGAD2に基づいて、酵素活性の高い新規なグルタミン酸脱炭酸酵素を創出するに至った。まず、OsGAD1とOsGAD2に基づくcDNAであって、C末端側の約40〜50アミノ酸残基をコードする領域を制限酵素により切断し、この部分を欠失させたcDNAを作製した(このcDNAを便宜的にそれぞれOsGAD1ΔCおよびOsGAD2ΔCと適宜称することとする)。なお、制限酵素は、OsGAD1に対してはBglIIを、OsGAD2に対してはApaIを用いた。
(形質転換カルスの作製)
イネ(Oryza sativa)の2種類のGADcDNA(OsGAD1およびOsGAD2)と、2種類の変異cDNA(OsGAD1ΔCおよびOsGAD2ΔC(OsGAD1とOsGAD2のそれぞれのC末端側約40〜50アミノ酸残基をコードする領域を除いたもの))とを作製し、アグロバクテリウムを介した遺伝子導入法によってイネ細胞に導入し、形質転換カルスを作製した。
イネの成熟した種子を次に示した培地に28℃、3000luxの状態で2週間静置した。
・種子を静置させた培地の組成
N6 基本塩混合物
ショ糖 3.98g/l
カザミノ酸 3.00%
プロリン 0.28%
2,4−D 2mg/l
ゲルライト 0.4%
アグロバクテリウムをAB固形培地に塗布し菌体を広げた。これを、28℃で暗所において2〜3日培養した。培地上で増殖した菌体を採取し、これをアセトシリンゴン10mg/lの濃度で加えたAA培地30mlによく懸濁させた。つぎに、前培養したカルスをステンレスメッシュのかごに入れ、アグロバクテリウムの懸濁液にかごごと1.5分〜2分間浸した。その後、かごを引き上げ余分な菌液を除去し、感染させたカルスをN6D(上記濃度のアセトシリンゴンを含む)固形培地に置床した。この状態で28℃で暗所において2〜3日培養した。
共存培養でカルス表面を菌体が覆ったのを確認し、ステンレスメッシュかごに感染カルスを投入し、かごごとN6D液体培地に浸してアグロバクテリウムを洗い流した。その後、かごを引き上げ、余分な水分を除去した。続いて、N6D液体培地にクラフォランを500mg/lになるように加え、この培地でさらに数回カルスを洗浄した。余分な水分を除去した後、カルスをN6D固形培地(クラフォラン250〜500mg/lを含む)に置床した。これを、28℃で連続照射下において3週間〜4週間培養した。
次に、形質転換カルスと非形質転換カルスからCTAB法により全DNAを抽出した。図1は、カルスからDNAを抽出する手順を示した図である。抽出後、アガロース電気泳動を行った。ゲルは1%ゲル(0.5μg/mlの臭化エチジウムを含む)を用いた。マーカーはλDNAをStyIで切断したものを用いた。
抽出したDNAを用いて、PCRにより形質転換されているかどうか確認した。
プライマーはHPT−E(センスプライマー)とHPT−N(アンチセンスプライマー)を用いた。このプライマーの配列をそれぞれ配列番号7および配列番号8に示した。図2は、PCRの条件を示した図である。PCRの結果、野生型DNAを除き、すべての形質転換カルスで、約1kbの予想される増幅産物が観察された。図3は、組換えDNAのPCR解析を示した図である。
次に、形質転換カルスにおける導入遺伝子のmRNAレベルでの発現量を調べるために、改変グアニジウム法により、全RNAを単離した。抽出手順を図4に示した。なお、次に説明するRT−PCRの際にゲノムDNAの増幅を防ぐため、RNAの抽出後にDNaseI処理をおこなった。DNaseI処理の手順を図5に示した。
次に、OsGAD1とOsGAD2に特異的なプライマーを用いて逆転写酵素(RT)によりcDNAを合成し、これを鋳型としてOsGAD1で20サイクル、OsGAD1Δで25サイクル、OsGAD2で33サイクル、OsGAD2Δで30サイクルとしてPCRを行った。この際に、アクチンmRNAを内在性のコントロールとして用いた。OsGAD1に特異的なセンスプライマーを配列番号9に示し、アンチセンスプライマーを配列番号10に示した。また、OsGAD2に特異的なセンスプライマーを配列番号11に示し、アンチセンスプライマーを配列番号12に示した。また、GAD部分のRT−PCRの処理手順を図6に示した。アクチンのセンスプライマーを配列番号13に示し、アンチセンスプライマーを配列番号14に示した。
処理後の溶液を1.5%のアガロースゲル電気泳動に掛けて、分画後に泳動パターンを画像として取り込み、GADの発現量を調べた。結果を図7に示す。野生型と比較したmRNAの蓄積量を推定すると、OsGAD1では〜3倍、OsGAD1ΔCでは〜22倍であった。一方、OsGAD2とOsGAD2ΔCでは野生型の発現が低すぎて数値化出来なかったが、相対的に著しく増大していることが確認できた。
また、形質転換カルスからTCA法により遊離アミノ酸を単離し、GABAを含めて各種アミノ酸含量を定量した。定量には自動アミノ酸分析装置を用いた。なお、アミノ酸の抽出手順を図8に示した。また、図9は、組換えカルスにおけるGABA含有量を示した図である。このうち図9(a)は、カルスごとに示した図であり、図9(b)は、平均による比較を表した図である。分析の結果、OsGAD2ΔCは野生型に比べて、GABA含量が100倍近く増大した系統が見つかった。また、OsGAD1ΔCは野生型に比べて20倍近く増大した系統が見つかった。また、OsGAD2に関しては、OsGAD1ΔCに比してGABA含有量が多い傾向にあった。
Claims (6)
- 下記(E)又は(F)に示すタンパク質。
(E)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(F)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、グルタミン酸脱炭酸酵素活性を有するタンパク質。 - 下記(E)又は(F)に示すタンパク質をコードするDNA。
(E)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質。
(F)配列番号6に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むアミノ酸配列からなり、かつ、グルタミン酸脱炭酸酵素活性を有するタンパク質。 - 請求項2に記載のDNAによりコードされるタンパク質が発現可能な形態で導入された微生物。
- 請求項3に記載の微生物を培地で培養し、培養物中にグルタミン酸脱炭酸酵素を生成蓄積させ、該培養物よりグルタミン酸脱炭酸酵素を採取することを特徴とするグルタミン酸脱炭酸酵素の製造方法。
- 請求項2に記載のDNAを有するトランスジェニック植物。
- イネ科に属する植物である請求項5に記載のトランスジェニック植物。
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