JP4018990B2 - 排水処理装置の分離膜の洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、活性汚泥を利用し、微生物の働きにより有機性汚濁物質を浄化処理する排水処理装置の固液分離膜の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微生物の働きを利用した活性汚泥による排水処理方法の一つに、活性汚泥と処理水とを分ける固液分離手段として分離膜を用いた膜分離活性汚泥法が知られている。この膜分離活性汚泥法を用いた排水処理装置では、膜表面に生物処理液中の懸濁物質が濃縮されて汚泥ケーク層を生成し、ろ過抵抗が上昇して膜透過液量が減少するため、膜表面を定期的に薬液洗浄する必要がある。洗浄には、次亜塩素酸ナトリウム、およびシュウ酸やクエン酸などの酸が薬液として用いられる。
【0003】
従来、金属成分を多量に含む排水を膜分離活性汚泥法で処理する場合には、常に酸洗浄が行なわれ、生活排水等の都市下水を処理する場合には、通常、有機物の分解作用がある次亜塩素酸ナトリウム洗浄が行なわれ、次亜塩素酸ナトリウム洗浄だけで対応できない排水の場合には、一定のタイミングで酸洗浄を併用する洗浄方法が用いられてきた。
【0004】
また、前記膜分離活性汚泥法の分離膜として用いられた浸漬型膜カートリッジの膜面に付着する主成分が有機物の汚泥ケーク層を、第1洗浄液として次亜塩素酸ナトリウムを用い、ケーキ層中の有機物を分解した後、第2洗浄液として、無機物を溶解する酸、例えばシュウ酸を用い、浸漬型膜カートリッジを生物処理槽から取出すことなく洗浄する方法も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−266875号公報([0008]〜[0011])
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記の一定のタイミングで酸洗浄を併用する洗浄方法では、酸洗浄を行なうタイミングが難しく、頻繁に酸洗浄を行なえばコストが嵩み、酸洗浄の回数を減らせば洗浄が不充分になるなど、酸洗浄を必要とするタイミングを予測することができない、即ち、酸洗浄を効率よく行なうタイミング制御ができていないという問題がある。
【0007】
一方、特開平8−266875号公報に開示された洗浄方法では、洗浄毎に膜表面が確実に洗浄されるが、毎回2種類の洗浄液を用いる必要があるため、洗浄時間が長くなり、またコストも嵩むという問題がある。このように、膜分離活性汚泥法を用いた排水処理装置で重要な効率的薬液洗浄がなされていないのが現状である。
【0008】
この発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、その課題は、膜分離活性汚泥法を用いた排水処理装置の分離膜の洗浄を、酸洗浄を併用すべきタイミングを予測して行なうことにより、洗浄の手間とコストを低減し、効率的かつ効果的な排水処理装置の分離膜の洗浄方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
【0010】
即ち、活性汚泥を含む排水を固液分離する排水処理装置の分離膜の洗浄方法で、前記排水処理装置の運転時に、膜洗浄を行なう基準として膜間差圧を用い、平常運転時に膜間差圧が所定の圧力PDに達するまでの平均運転時間TAを予め算出し、この平均運転時間TAよりも短い運転時間TBを設定し、この設定運転時間TBを境として、前回膜洗浄時から、膜間差圧が前記所定の圧力PDに達するまでの前記排水処理装置の運転時間TEが、前記設定運転時間TBよりも長い場合には、有機物の分解を行なう酸化剤を用いて当該膜洗浄を行ない、前記運転時間TEが前記設定運転時間TBよりも短い場合には、有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄と酸洗浄とを組み合わせて当該膜洗浄を行なうようにしたのである。
【0011】
膜洗浄時から、膜間差圧が前記所定の圧力PDに達するまでの前記排水処理装置の運転時間TEは、活性汚泥性状の悪化による菌体由来高分子の蓄積や金属成分の流入等によるろ過抵抗の急速な上昇のため、排水処理運転中に大きく変動することがある。このため、効果的な膜洗浄を行なうためには、前回膜洗浄後、所定の膜間差圧PDに達するまでの運転時間TEの長短により、当該膜洗浄の洗浄方法を異ならせる必要があり、前記のような高分子物質で分離膜が閉塞した場合や金属成分が流入して急速に閉塞した場合には、有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄のみでは不充分で、酸洗浄を併用することで十分な洗浄効果が得られることを見出したのである。一方、前記運転時間TEが、前記設定運転時間TBよりも長い場合には、高分子物質の蓄積や金属成分の流入による急速な閉塞が生じないため、有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄で充分な洗浄効果が得られる。
【0012】
図1は、上述の膜洗浄方法を概念的に示したもので、前記排水処理装置の平常運転時に所定の膜間差圧PDに達するまでの運転時間の平均値、即ち平均運転時間TAよりも短い、基準となる運転時間TBを設定し、この設定運転時間TBを境にして、膜洗浄後、前記膜間差圧PDに達するまでの運転時間TEが設定運転時間TBよりも長い場合には、有機物の分解を行なう酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムを用いた洗浄のみを、短い場合には、前記酸化剤を用いた洗浄後に酸洗浄を行なうことを示している。
【0013】
表1〜表3は、一般的な都市下水を対象として、膜分離活性汚泥法を用いた排水処理装置での、膜洗浄後、所定の膜間差圧PDに到達するまでの日数と用いる洗浄薬液とによって、当該膜洗浄後、所定の膜間差圧PDに到達して洗浄が必要となる日数を調査した実験結果をそれぞれ示したもので、この洗浄を必要とする日数はランク別に示し、次回洗浄までの日数が、○印は20日以上、△印は20日未満、×印は10日未満を表している。なお、膜洗浄間隔が20日よりも短いと、薬液洗浄のために運転を頻繁に停止しなければならず、また、薬液コストも高くなるため、膜洗浄後、次回膜洗浄までの日数が20日以上の場合を効果的な洗浄とみなし、通常、膜分離活性汚泥装置は、この20日以上を満たすように設計される。
【0014】
前記所定の膜間差圧PDは、この膜分離活性汚泥法では、前述のように、膜表面に懸濁物質が濃縮されて汚泥ケーク層を生成するなどにより、ろ過抵抗が上昇して膜透過液量が減少し、排水処理に支障を生じるようになる圧力を示すもので、一般的な都市下水を対象とした膜分離排水処理装置では、15〜60kPaの範囲で、好ましくは20〜40kPaの範囲で設定される。この排水処理実験では、膜間差圧PDを30kPaに設定している。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
また、前記排水処理装置の平常運転時に、膜間差圧が所定圧力PDに達するまでの平均運転期間TAは、一定期間、例えば、少なくとも3ヶ月間程度にわたり、膜間差圧が所定圧力PDに達するまでの運転期間TEの平均値を求めることにより、予め算出することができる。前記排水処理実験では、所定の膜間差圧PDである30kPaに到達する運転時間TEは、日数で表すと30日前後であり、これらの日数を平均して予め算出した平均運転時間TAは、日数で表して30日である。この平均運転期間TAの算出にあたり、膜洗浄後、膜間差圧30kPaに到達した次回の膜洗浄までの洗浄期間が20日に満たない場合には、平常運転とはみなさず、そのデータは平均運転時間TAの算出から除外している。なお、前記平均運転時間TAは、一般的な都市下水を対象とした膜分離排水処理装置では、通常、20日〜60日の範囲にある。
【0019】
前記洗浄薬液としては、有機物を分解する酸化剤として濃度0.5%の次亜塩素酸ナトリウムを、酸洗浄剤として濃度1%のシュウ酸をそれぞれ洗浄薬液に用い、表1〜表3の洗浄▲1▼は次亜塩素酸ナトリウム洗浄のみの場合を、洗浄▲2▼は次亜塩素酸ナトリウム洗浄後に濃度1%のシュウ酸洗浄を行なった場合をそれぞれ示し、これらの洗浄効果を比較した。洗浄時間は、次亜塩素酸ナトリウム洗浄、シュウ酸洗浄のいずれの場合も1時間である。
【0020】
前記排水処理実験では、膜間差圧が30kPaに到達する平均運転時間TAは30日であるが、表1〜表3に記したように、膜間差圧が30kPaに到達する時間が、大きく変動し、短くなる場合があった。このように、膜洗浄後、膜間差圧が30kPaに到達するまでの運転時間TEが変動し、ろ過抵抗の急速な上昇により短くなっても、次亜塩素酸ナトリウムなどの有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄後にシュウ酸などを用いた酸洗浄(洗浄▲2▼)を実施すれば、いずれの場合も、当該膜洗浄から膜間差圧が30kPaに到達する次回膜洗浄時までの運転時間TEが20日以上となって、良好な洗浄効果が得られている。これに対し、前回膜洗浄後、膜間差圧30kPaに到達する運転時間TEが短くなると、当該膜洗浄を次亜塩素酸ナトリウム洗浄のみを用いて行なうと(洗浄▲1▼)、当該膜洗浄から膜間差圧が30kPaに到達する次回膜洗浄時までの運転時間TEが20日未満から10日未満となって、洗浄効果が認められる基準の20日に達しなくなる。
【0021】
このため、洗浄方法を切り替える運転時間TBを予め設定しておけば、前回膜洗浄時から当該膜洗浄までの運転時間TEが、この設定運転時間TBよりも長いか短いかによって、次亜塩素酸ナトリウムなどの有機物の分解を行なう酸化剤のみを用いた洗浄と、この洗浄後にシュウ酸などを用いた酸洗浄を行なう洗浄とを切り替えるタイミングを、容易かつ適切に制御することができる。それにより、活性汚泥性状の悪化等により分離膜が閉塞し、ろ過抵抗の急速な上昇した場合の必要時に、有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄の後に酸洗浄を追加するだけでよいため、効率的かつに効果的に膜洗浄を行なうことができる。
【0022】
前記設定運転時間TBの前記平均運転時間TAに対する比率RWが、0.4〜0.6の範囲にあることが望ましい。
【0023】
前述のように、膜分離活性汚泥法による排水処理では、膜間差圧が一定レベル以上に上昇すると、ろ過抵抗の増加による膜透過液量の減少が顕著になる傾向にあるため、膜洗浄を行なう必要がある。一般的な都市下水を対象とした膜分離排水処理装置の平常運転時に、膜洗浄の目安となる30kPaの膜間差圧に達する前回膜洗浄時からの運転時間TEは30日前後であり、その平均運転期間TAは30日と見なすことができる。
【0024】
前記膜分離排水処理装置での表1〜表3に示した排水処理実験結果を検討すると、効果的な洗浄とみなせる次回膜洗浄までの20日以上の日数を確保するためには、表1からは、膜洗浄後、洗浄が必要となる膜間差圧が30kPaに到達する日数で、12〜13日が、洗浄方法の切り替えのタイミングとして適していることがわかる。同様に、表2からは、17〜18日が、表3からは、14〜16日が、それぞれ洗浄方法の切り替えのタイミングとして適していることがわかる。これらの結果から、前記平均運転時間TAが30日の場合に、12日〜18日が洗浄方法の切り替えのタイミングとして適していることが分かる。従って、膜間差圧が30kPaに到達する日数が18日を超える場合には、有機物の分解を行なう酸化剤、例えば次亜塩素酸ナトリウムを用いた洗浄のみで効果的な洗浄を行なうことができ、12日未満の場合には、効果的な洗浄を行なうために、次亜塩素酸ナトリウムなどの前記酸化剤を用いた洗浄の後に酸洗浄を行なう必要がある。
【0025】
この洗浄方法の切り替えのタイミングを、平均運転時間TA30日に対する比率(RW)で表すと0.4〜0.6となり、この範囲で、排水の性状等に応じて、切り替えのタイミングを設定することが望ましい。
【0026】
一方、前回膜洗浄時から当該膜洗浄までの運転時間TEの前記平均運転時間TAに対する比率RWが0.4以下の場合には、次亜塩素酸ナトリウムなどの有機物を分解する酸化剤を用いた洗浄のみでは、次回膜洗浄が必要となる日数が10日未満となって洗浄効果が不充分となる。前記比率RWが0.4〜0.6の範囲にある場合には、次亜塩素酸ナトリウムなどの前記酸化剤を用いた洗浄のみの場合の排水処理データ(表1〜表3)によって、次回洗浄が必要となる日数が20日以上、20日未満、10日未満と混在しているため、設定運転時間TBの平均運転時間TAに対する比率RWを、排水の性状などの処理条件に応じて、0.4〜0.6の範囲で選択すれば、最も効率的かつ効果的な膜洗浄を行なうことができる。
【0027】
なお、次亜塩素酸ナトリウムなどの有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄と酸洗浄とを併用した場合には、前記運転時間TEの前記平均時間TAに対する比率に関係なく、常に次回洗浄が必要となる日数は20日以上となって、充分な洗浄効果が得られる。
【0028】
前記有機物の分解を行なう酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムであることが望ましい。
【0029】
次亜塩素酸ナトリウムは、殺菌・消毒効果と有機物の分解力を併せ持ち、優れた洗浄性を有するため、前記分離膜の洗浄剤として好適である。
【0030】
膜間差圧が所定圧力PDに達するまでの運転時間TEが前記設定運転時間TBよりも短い場合に、濃度が0.1〜3mass%の次亜塩素酸ナトリウムを用いて洗浄した後、濃度がいずれも0.1〜3mass%シュウ酸またはクエン酸を用いた酸洗浄を行なうことが望ましい。
【0031】
次亜塩素酸ナトリウムおよびシュウ酸、クエン酸のいずれの洗浄薬液でも、濃度が0.1mass%よりも低くなると、洗浄能力が不充分となり、また、濃度が3mass%よりも高くなると、洗浄効果の上昇はあまり望めず、却って過洗浄となって膜表面を損傷するおそれがある。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施形態を添付の図2および図3に基づいて説明する。
【0033】
図2は、実施形態の排水処理装置の概略構成を示したものである。この排水処理装置は一般的な都市下水を対象として、膜分離活性汚泥法により排水処理を行なう装置であり、複数枚の矩形状の分離膜を直列に配置した膜分離装置1および散気装置2を備えた活性汚泥処理槽3で、排水が浄化処理される。排水原水は流入管4を通って活性汚泥処理槽3に流入し、浄化処理された後、処理水は膜分離装置1の分離膜によりろ過され、排出管5に設けたポンプ6により吸引されて排出される。前記排出管5には、圧力センサ、即ち差圧計7が取り付けられ、膜間差圧をモニタリングできるようになっている。また、供給管8から空気が散気装置2に供給され、活性汚泥処理槽3に曝気されており、活性汚泥処理槽3は好気状態に保たれている。次亜塩素酸ナトリウム、シュウ酸またはクエン酸などの酸洗浄液は、バルブ9、9aを備えた薬液タンク10、10aにそれぞれ貯留され、注入管11を通して膜分離装置2の内部に送液され、分離膜表面が薬液洗浄される。
【0034】
前記膜分離装置1に使用される分離膜としては、精密膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)などが一般的であるが、不織布など目の粗い膜上に微生物ケーキ層を形成してろ過を行なう所謂ダイナミックろ過膜を用いることもできる。
【0035】
前記薬液タンク10、10aには、濃度が0.1〜3mass%、好ましくは0.3〜1.5mass%、の次亜塩素酸ナトリウム、および同様に、濃度が0.1〜3mass%、好ましくは0.3〜1.5mass%のシュウ酸またはクエン酸が貯留されている。なお、前記有機物の分解を行なう酸化剤は、必ずしも次亜塩素酸ナトリウムに限定するものではない。また、酸洗浄には、シュウ酸またはクエン酸の他に、硝酸や塩酸、または硫酸などを用いることができる。そして、薬液洗浄は、次亜塩素酸ナトリウム洗浄、酸洗浄のいずれの場合も、10分から5時間、好ましくは30分〜2時間の範囲で行われる。
【0036】
前記一般的な都市下水を対象とした排水処理装置では、前述のように、通常、膜間差圧が30kPa程度以上に上昇すると、ろ過抵抗の増加による膜透過液量の減少が顕著になる傾向にある。このため、膜間差圧30kPaを基準とし、平常運転時に膜間差圧が30kPaに達する30日程度の平均運転時間TAに対して、差圧計9で検出される膜間差圧が30kPaに達する運転時間TEが、どの程度短いかによって、洗浄方法を異ならせるようにしている。即ち、洗浄方法を異ならせる境界となる設定運転時間TBを、活性汚泥処理槽4に流入する排水の性状等に応じて、平均運転時間TAに対する比率RW0.4〜0.6の範囲から選択し、膜間差圧が30kPaに達する運転時間TEがこの設定運転時間TBよりも長い場合には、薬液タンク10のバルブ9を開放して、次亜塩素酸ナトリウムが膜分離装置1に供給され、その分離膜が洗浄される。一方、運転時間TEが設定運転時間TBよりも短い場合には、まずバルブ9を開放して次亜塩素酸ナトリウムによって分離膜を洗浄した後バルブ9を閉鎖し、次に薬液タンク10aのバルブ9aを開放してシュウ酸またはクエン酸などの酸が供給され、分離膜が洗浄される。
【0037】
前記膜間差圧は、排水処理装置の運転条件、例えば、ろ過とろ過停止とを短時間で繰り返すような運転条件の場合には、数分単位の短時間で大きく変動する場合がある。このような場合には、1〜24時間程度の期間の差圧計7で検出される膜間差圧の平均値を排水処理装置の運転中の膜間差圧とすることができる。
【0038】
以下に実施例について説明する。
【0039】
【実施例】
一般的な都市下水を対象とし、膜分離活性汚泥法を用いた排水処理装置を連続運転した場合の、運転時間の経過に伴う膜間差圧の変動の状況を図3(a)に示す。図3(b)〜(d)には、比較例として、従来技術の洗浄方法を用いた場合についても記した。本実施例および比較例で、所定の膜間差圧PDを30kPaとし、薬液洗浄を行なうタイミングを、図2に示した差圧計7により検出される膜間差圧が30kPaに到達した時点とした。
【0040】
図3(a)に示した運転1の実施例では、平常運転時に膜間差圧が30kPaに到達する平均運転時間TAは予め30日と算出し、この平均運転時間TAに対する膜間差圧30kPaに到達する前記運転時間TE比率がRW0.5、即ち前記設定運転時間TBを日数で表して15日とし、運転時間TEがこの設定運転時間TBよりも、長い場合には▲1▼で示した次亜塩素酸ナトリウム洗浄のみを、短い場合には▲2▼で示した次亜塩素酸ナトリウム洗浄後にシュウ酸洗浄を行ない、合計6回の膜洗浄を実施した。運転2〜運転4の比較例の従来技術では、いずれの場合も運転時間TEに関係なく、膜間差圧が30kPaに到達した時点で合計6回の薬液洗浄を行なった。運転2の場合は、次亜塩素酸ナトリウム洗浄(▲1▼)のみを行ない、運転3の場合は、次亜塩素酸ナトリウム洗浄後にシュウ酸洗浄(▲2▼)を行なう洗浄と次亜塩素酸ナトリウムのみの洗浄(▲1▼)とを交互に行ない、運転4の場合は、毎回、次亜塩素酸ナトリウム洗浄後にシュウ酸洗浄を行なう洗浄(▲2▼)を行なった。薬液濃度は、次亜塩素酸ナトリウムが0.5mass%、シュウ酸が1mass%であり、洗浄時間はいずれの洗浄薬液の場合でも1時間である。
【0041】
図3(a)から、実施例の運転1では、4回目の洗浄に、▲2▼で示した次亜塩素酸ナトリウム洗浄にシュウ酸洗浄を行なう洗浄を1回、即ち酸洗浄を1回しか実施していないにもかかわらず、比較例の図3(d)に示した運転4の、▲2▼で示した次亜塩素酸ナトリウム洗浄にシュウ酸洗浄を毎回、即ち酸洗浄を毎回行なった場合と同程度の長さの、膜間差圧30kPa未満での運転時間を確保でき、同等の洗浄効果が得られていることがわかる。
【0042】
一方、従来技術の図3(b)に示した運転2では、次亜塩素酸ナトリウム洗浄のみで膜洗浄を行なっているため、運転時間の後半に膜洗浄が必要となる頻度が増し、運転1の場合に比べて、6回の膜洗浄で確保できる膜間差圧が30kPa未満の運転時間が短くなっているのがわかる。このまま洗浄を続ければさらに洗浄間隔が短くなることが容易に推測できる。
【0043】
また、従来技術の図3(c)に示した運転3では、次亜塩素酸ナトリウム洗浄後に酸洗浄を行なう洗浄と次亜塩素酸ナトリウム洗浄のみの洗浄を交互に行なった例である。この場合、3回目の洗浄▲2▼に見られるように、膜間差圧が30kPaに到達する運転時間TEが設定運転時間TBよりも長く、次亜塩素酸ナトリウム洗浄のみで充分洗浄ができる状態のときも酸洗浄を行なっており、余計な手間と薬液コストを要している。逆に4回目の洗浄▲1▼では、運転時間TEが設定運転時間TBよりも短く、酸洗浄が必要であるにもかかわらず、交互洗浄のため、次亜塩素酸ナトリウムのみの洗浄を行なっている。しかも、6回の膜洗浄で確保できる膜間差圧30kPa未満での運転時間は、運転1の場合よりも短くなっており、効率的かつ効果的な洗浄を実施できない。
【0044】
このように、本発明の洗浄方法によれば、酸洗浄を加えるタイミングを容易かつ適切に制御できるため、余計な酸洗浄を必要とせず、膜洗浄の手間と薬液コストを低減でき、効率的かつ効果的な洗浄を行なえることが確認された。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、この発明では、膜分離活性汚泥法を用いた排水処理装置の分離膜の洗浄を、所定の膜間差圧PDに到達する運転時間TEと平常運転時にこの所定の膜間差圧PDに到達する平均運転時間TAに基づいて、次亜塩素酸ナトリウムなどの有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄に酸洗浄を追加するタイミングを予測して適切に制御するようにしたので、余計な酸洗浄が不要となり、洗浄の手間とコストや洗浄廃液を低減し、効率的かつ効果的な膜洗浄が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の排水処理装置の分離膜の膜洗浄方法を概念的に示す説明図
【図2】同上の実施形態の排水処理装置の構成の一例を示す説明図
【図3】(a)実施形態の膜洗浄方法での運転時間の経過に伴う膜間差圧の推移を示す説明図
(b)〜(d) 従来技術の膜洗浄方法での運転時間の経過に伴う膜間差圧の推移を示す説明図
【符号の説明】
1:膜分離装置 2:散気装置 3:活性汚泥処理槽
4:流入管 5:排出管 6:ポンプ
7:差圧計 8:供給管 9、9a:バルブ
10、10a:薬液タンク 11:注入管
Claims (4)
- 活性汚泥を含む排水を固液分離する排水処理装置の分離膜の洗浄方法であって、前記排水処理装置の運転時に、膜洗浄を行なう基準として膜間差圧を用い、平常運転時に膜間差圧が所定の圧力PDに達するまでの平均運転時間TAを予め算出し、この平均運転時間TAよりも短い運転時間TBを設定し、この設定運転時間TBを境として、前回膜洗浄時から、膜間差圧が前記所定の圧力PDに到達するまでの前記排水処理装置の運転時間TEが、前記設定運転時間TBよりも長い場合には、有機物の分解を行なう酸化剤を用いて当該膜洗浄を行ない、前記運転時間TEが前記設定運転時間TBよりも短い場合には、有機物の分解を行なう酸化剤を用いた洗浄と酸洗浄とを組み合わせて当該膜洗浄を行なうことを特徴とする排水処理装置の分離膜の洗浄方法。
- 前記設定運転時間TBの前記平均運転時間TAに対する比率RWが、0.4〜0.6の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の排水処理装置の分離膜の洗浄方法。
- 前記有機物の分解を行なう酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の排水処理装置の分離膜の洗浄方法。
- 前記膜間差圧が所定の圧力PDに達するまでの運転時間TEが前記設定運転時間TBよりも短い場合に、濃度が0.1〜3mass%の次亜塩素酸ナトリウムを用いて洗浄した後、濃度がいずれも0.1〜3mass%シュウ酸またはクエン酸を用いた酸洗浄を行なうことを特徴とする請求項3に記載の排水処理装置の分離膜の洗浄方法。
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