JP4018908B2 - 冷凍空調装置 - Google Patents

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    • F25B40/00Subcoolers, desuperheaters or superheaters

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷凍空調装置に係り、特に二つの圧縮要素の直列接続運転と並列接続運転との切替えが可能な圧縮機を備えた冷凍空調装置に好適なものである。この冷凍空調装置には冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、除湿機などのように冷凍サイクルを備えた機器が含まれる。
【0002】
【従来の技術】
従来の冷凍空調装置としては、特開平2−119689号公報(従来技術1)に示されているように、圧縮機、四方弁、室内熱交換器、減圧装置及び室外熱交換器で冷凍サイクルが構成され、圧縮機の密閉容器内に一対の圧縮機構が設けられ、一方の圧縮機構で圧縮された流体は密閉容器内に吐出され、他方の圧縮機構で圧縮された流体は吐出管によって密閉容器外へ導出されて一方の圧縮機構の吸引側に導入されると共に、吐出管にはこの吐出管を流れる圧縮された流体を密閉容器内の圧力に応じてこの密閉容器内に流出させるチェック弁を設けるようにしたものがある。そして、一対の圧縮機構流体を並列に通して運転する1段圧縮と、他方の圧縮機構でさらに圧縮する2段圧縮とを選択的に行なえるものであり、1段圧縮時及び2段圧縮時に密閉容器内にガス冷媒をいったん吐出した後に密閉容器外へ吐出するようになっている。
【0003】
また、従来の冷凍空調装置としては、特開平5−44678号公報(従来技術2)に示されているように、圧縮機、凝縮器、絞り装置及び蒸発器で冷凍サイクルが構成され、圧縮機の密閉シェル内に低段側圧縮機構と高段側圧縮機構とが設けられ、低段側圧縮機構の低段吸入管、高段側圧縮機構の高段吸入管、及び高段吐出管がそれぞれ密閉シェル外に開口され、低段側圧縮機構の低段吐出管が密閉シェル内に開口され、高圧ガス管に油分離器が設けられ、低圧ガス管に油を戻す回路が設けられたものがある。そして、低能力時に有利な低段圧縮機単独運転、高段圧縮機単独運転と、高能力に有利な並列運転、さらに高圧縮比運転時に有利な二段圧縮運転を行なうことができる。また、二段圧縮運転時には密閉容器内が中間圧力となり、その他の運転時には吐出圧力となるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年、地球温暖化防止の観点から、脱フロン化が検討されているが、脱フロン化の候補として上げられているプロパンR290やイソブタンR600a等の炭化水素系冷媒は可燃性であり、機器の冷媒使用量が制限される方向にある。潤滑油の雰囲気圧力が高いほど油中に溶解する冷媒量も増加するため、潤滑油が貯溜する圧縮機の密閉容器内圧力を低く抑えることが必要である。
【0005】
また、脱フロン化の他の候補である二酸化炭素R744は、その動作圧力が高圧側で約10MPaと従来の冷媒より高くなり、圧縮機の密閉容器の必要耐圧強度の上昇を抑えるためには、密閉容器内圧力を低く抑えることが必要である。
【0006】
また、圧縮機外の冷凍サイクルに油が蓄積されると、圧縮機の油不足による軸受摺動部のかじり等を起すおそれがあるため、高圧密閉容器の圧縮機では、密閉容器内の圧縮要素により圧縮されたガス冷媒をいったん密閉容器内に吐出してガス冷媒中に含まれる油を分離した後に、密閉容器外の冷凍サイクルへ流出させている。これにより、圧縮機外への潤滑油の流出を抑えて、圧縮機に必要な供給油量を保持し、信頼性を確保するとともに、潤滑油の冷凍サイクルへの流出による熱交換器の伝熱性能低下を防止している。
【0007】
従来技術1では、1段圧縮時及び2段圧縮時に密閉容器内にガス冷媒をいったん吐出して密閉容器外へ吐出するようにしているために、密閉容器内にガス冷媒を吐出した際にガス冷媒から油を分離して密閉容器内に油を戻すことが可能である。しかし、密閉容器内の圧力は1段圧縮時の吐出圧力または2段圧縮時の2段目吐出圧力と同程度の高圧(冷凍サイクルの凝縮圧力と同程度の高圧)となるために、密閉容器内で油中に溶解する冷媒量が増加して可燃性の炭化水素系冷媒の適用が難しいと共に、密閉容器の必要耐圧強度が大きくなって二酸化炭素系冷媒の適用も難しいという課題があった。
【0008】
また、従来技術2では、二段圧縮運転時以外の運転時に密閉容器内を吐出圧力としているため、密閉容器内で油中に溶解する冷媒量も増加して可燃性の炭化水素系冷媒の適用が難しいと共に、密閉容器の必要耐圧強度が大きくなって二酸化炭素系冷媒の適用も難しいという課題があった。そして、高圧ガス管に油分離器を設けて低圧ガス管に油を戻すようにしているが、油分離器内に貯溜した油が高圧雰囲気下にあるため、油に溶解する冷媒量が増加してしまうという課題があると共に、油分離器内の高圧下の油を低圧ガス管に戻す際に、油に溶解したガス冷媒が油とともに戻されるため、冷凍能力が低下するという課題があった。
【0009】
本発明の目的は、単段圧縮と2段圧縮とを切替えて高性能化を図りつつ、冷凍サイクル中の油を圧縮機に戻して高信頼性を確保することができ、しかも自然冷媒への対応が容易な冷凍空調装置を提供することにある。
【0010】
なお、本発明はかかる目的に限定されるものではなく、前記以外の目的と有利点は以下の記述から明らかにされる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための本発明の冷凍空調装置は、圧縮機、凝縮器、減圧装置及び蒸発器が接続された冷凍サイクルと、前記圧縮機の運転状態を切替える手段と、前記冷凍サイクル内の冷媒中の油を分離する機構とを備えた冷凍空調装置において、前記圧縮機は、内部空間が吐出圧力より低い圧力に設定された密閉容器と、前記密閉容器内に収納された二つの圧縮要素とを備え、前記切替え手段は前記二つの圧縮要素の直列接続運転と並列接続運転とに切替え可能とし、前記油分離機構は、直列接続運転時に一段目となる前記第1圧縮要素の吸入通路に接続した油分離器と、直列接続運転時に二段目となる前記第2圧縮要素の吸入通路を前記密閉容器内で分離して形成した油分離部とを備え、前記油分離器は、容器と、前記蒸発器側から前記容器内に延びる流入管と、前記容器内から前記第1圧縮要素の吸入通路に接続された第1流出管と、前記容器内から前記第2圧縮要素の吸入通路に接続された第2流出管とを備え、前記第2流出管は前記容器の底部に近接して開口して設け、前記第1流出管は、前記容器内上部に開口し、油戻し孔を前記第2流出管の開口位置より高い位置に設けことにある。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施例を図を参照して説明する。
【0014】
最初に、本発明の第1実施例を図1から図6を参照しながら説明する。
【0015】
まず、本発明の第1実施例の空気調和機の全体構成を図1を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施例に係る空気調和機のヒートポンプ式冷凍サイクルの構成図である。
【0016】
圧縮機10は、密閉容器40内に二つの圧縮要素(第1圧縮要素11、第2圧縮要素12)を有している。本実施例では、これら二つの圧縮要素11、12が直列に接続される場合には、冷凍サイクルを流れる冷媒はこれらの圧縮要素11、12を順に通流して個々の圧縮要素11、12により2回に亙り圧縮される。また、二つの圧縮要素11、12が並列に接続された場合には、冷凍サイクルを流れる冷媒は個々の圧縮要素11、12で1回圧縮された後の冷媒通路に沿って合流して流れる。
【0017】
第1吸入通路11a及び第1吐出通路11bは第1圧縮要素11の吸入通路及び吐出通路を構成するものであり、第1圧縮要素11の吸入側及び吐出側に直接的に接続されている。
【0018】
第2吸入通路(第2吸入通路A12aと第2吸入通路B12a’)及び第2吐出通路12bは第2圧縮要素12の吸入通路及び吐出通路を構成するものである。この第2吸入通路A12aと第2吸入通路B12a’とは、密閉容器40内で分離され、密閉容器40の空間を介して連通している。すなわち、第2吸入通路A12aは密閉容器40内に導かれた通路の先端が開放されており、第2圧縮要素12に接続された第2吸入通路B12a’の吸い込み側が密閉容器40内に開放されている。従って、第2吸入通路A12a内のガス冷媒はいったん密閉容器40内に放出されてガス冷媒中に含まれる油が分離された後、第2吸入通路B12a’に流入される。このとき、密閉容器40内圧力は第2圧縮要素12の吸入圧力と同等となる。吐出通路12bは第2圧縮要素12の吐出側に接続されている。
【0019】
吸入側逆止弁13aは、油分離器20の第2流出管24と第2吸入通路A12aとの間に配置されている。第2吸入通路A12aでのガス冷媒圧力が油分離器20内のガス冷媒圧力より高い場合、吸入側逆止弁13aは閉じた状態となる。また、第2吸入通路A12aでのガス冷媒圧力が油分離器20内のガス冷媒圧力より低い場合、吸入側逆止弁13aは開いた状態となり、この時、油分離器20内のガス冷媒が第2吸入通路A12a側に流入する。
【0020】
吐出側逆止弁13bは、第1吐出通路11bと第2吐出通路12bとの間に配置されている。第2吐出通路12bでのガス冷媒圧力が第1吐出通路11bのガス冷媒圧力より高い場合、吐出側逆止弁13bは閉じた状態となる。また、第2吐出通路12bでのガス冷媒圧力が第1吐出通路11bのガス冷媒圧力より低い場合、吐出側逆止弁13bは開いた状態となり、この時、第1吐出通路11b側のガス冷媒が第2吐出通路12b側に流入する。
【0021】
第1吐出通路11bと第2吸入通路A12aは、電磁弁14及び中間冷却器15を介して接続されている。電磁弁14は電圧をかけることにより弁の開閉作用を行なうものである。電磁弁14は、非通電時に開いた状態となって第1吐出通路11bから第2吸入通路A12aへのガス冷媒の流れを通過させ、通電時に閉じた状態となって第1吐出通路11bから第2吸入通路A12aへのガス冷媒の流れを阻止する。中間冷却器15は、第1吐出通路11bからのガス冷媒と周囲空気とを熱交換させ、ガス冷媒を冷却する。
【0022】
油分離器20は、容器21に流入管22、第1流出管23、第2流出管24を備えている。流入管22は後述の四方弁30と接続され、第1流出管23は圧縮機10の第1圧縮要素11の吸入通路11aと接続され、第2流出管24は吸入側逆止弁13aを介して第2吸入通路A12aと接続されている。
【0023】
流入管22は、容器21上部を貫通し、容器21内の中間の高さで半斜めカット部22aが形成され、それより下の半割り部22bが形成されている。半割り部22bの先端は容器21底部に接触または近傍に位置している。また、半斜めカット部22a及び半割り部22bの開口部は、容器21の内壁の近い位置に開口している。流入管22内には、圧縮機10から吐出された冷媒と油が凝縮器や蒸発器等を流通した後に流入される。蒸発器を出た後の配管内のガス冷媒と油の主な流動状態は、油が管壁に沿って流れ、その中央をガス冷媒が流れる状態である。したがって、流入管22内の管壁に沿って流れる油はそのまま流れを乱されることなく、円管内壁、半斜めカット部22a壁面、半割り部22b壁面に沿って流下し、容器21の底部に貯留することにより、油分離される。一方、ガス冷媒は、半斜めカット部22aの開口部より、容器21内に開放される。この時、油を含んだガス冷媒は、流出管22の開口部と相対する容器21の内壁に衝突した際、油を内壁に付着させることにより、油分離が行われる。
【0024】
第1流出管23は、容器21底部を貫通し、その先端の開口部23aを容器21内上部に開口し、油戻し孔23bを後述する所定の高さ位置に備えている。第1流出管23の先端開口部23aは、流入管22の斜めカット部22aの開口部より上に位置している。これにより、流入管22より容器21に流出したガス冷媒は、流れを方向転換して、第1流出管23の先端開口部23aに入る必要があり、このガス冷媒の方向転換の際に、油が貯留している容器底部等に衝突した時、油が付着することにより油分離が行われる。したがって、前述の油分離作用と合わせて、油分離器20に流入するガス冷媒の油分離が行われるため、先端開口部23aから油含有率の小さいガス冷媒が流入する。
【0025】
第2流出管24は、容器21の上部を貫通し、その下端に斜めカット部24aの開口部を有している。斜めカット部24aは容器21底部に接触または近傍に位置している。
【0026】
前述の第1流出管23の油戻し孔23bの高さ位置は、第2流出管24の最の開口位置より高く、流入管22の最高の開口位置より低く設定される。容器21内で分離されて貯留した油25の油面が、油戻し孔23bの高さ未満のときには、油戻し孔23bに油を含んだガス冷媒が流入する。この時、油戻し孔23bは、先端開口部23aより下部に位置して油分離が十分でないため、油戻し孔23bに流入するガス冷媒の油含有率は先端開口部23aに流入するものより大きい。しかし、油戻し孔23bの開口面積は後述するように先端開口部23aのそれと比較して十分小さいため、第1流出管23に流入するガス冷媒の合計での油含有率は小さいものとなる。一方、油25の油面が油戻し孔23bの高さ以上のときには、分離されて貯留した油は油戻し孔23bを介して第1流出管23に流入する。油戻し孔23bと先端開口部23aの開口面積の相対的な関係は、流入管22に流入する油とガス冷媒の体積流量の比率を基に決定され、油分離器20に流入した冷媒の油循環率と、油とガス冷媒の体積流量の比率を考慮すると、油戻し孔23bの開口面積は、先端開口部23aのそれと比較して十分小さくなっている。
【0027】
前述の吸入側逆止弁13aが閉じた状態では、第2流出管24には冷媒が流れない。そして、吸入側逆止弁13aが開いた状態では、第2流出管24には冷媒が流れる。この斜めカット部24aの開口部よりガス冷媒が第2流出管24に流入する際、斜めカット部24aが容器21底部に貯留している油25に浸漬しており、油25はガス冷媒の流れに伴って第2流出管24の管壁を上昇する。
【0028】
油分離器20の第1流出管23及び第2流出管24の動作をまとめると、以下のようになる。
【0029】
冷凍サイクルの動作により、油分離器20の容器21内には、分離された油25が貯留されていく。吸入側逆止弁13aが閉じている時には、第2流出管24に冷媒は流入されず、初期段階の油面が第1流出管23の油戻し孔23bの高さ未満の場合には、先端開口部23a及び油戻し孔23bからガス冷媒が第1流出管23に流入する。次に、油面が油戻し孔23bの高さ以上になると、先端開口部23aからはガス冷媒が流入し、油戻し孔23bからは油が流入するようになり、流入管22より流入したガス冷媒と油が第1流出管23から流出する。
【0030】
一方、吸入側逆止弁13aが開いている時には、ガス冷媒が第2流出管24の斜めカット部24aの開口部から流入する際、油を巻き込むことにより、油は管壁を上昇し、第2流出管24からは、ガス冷媒と油が流出する。分離されて貯留した油25は、順次、第2流出管24より出て行くため、第1流出管23の油戻し孔23bの高さに達することはない。したがって、第1流出管23からは、先端開口部23a及び油戻し孔23bを通過したガス冷媒が流出する。
【0031】
冷凍サイクルは、圧縮機10、四方弁30、室内熱交換器31、膨張弁33、室外熱交換器32、及び油分離器20を順次冷媒配管で接続して構成されている。室内ファン31aは室内熱交換器31に室内空気を送風する。室外ファン32aは室外熱交換器32に室外空気を送風する。
【0032】
四方弁30は冷媒の流れ方向を変えるものであり、冷房運転と暖房運転を切替える。また、四方弁30は、圧縮機10の第2吐出通路12bと油分離器20の流入管22を、室内熱交換器31と室外熱交換器32に切替え可能に接続する。四方弁30が動作して、圧縮機10の吐出通路12bと室外熱交換器32、油分離器20の流入管22と室内熱交換器31の組み合わせで接続された場合は、室外熱交換器32が冷凍サイクルの凝縮器として働くと共に、室内熱交換器31が蒸発器として働き、冷房運転が行なわれる。また、圧縮機10の吐出通路12bと室内熱交換器31、油分離器20の流入管22と室外熱交換器32の組み合わせで接続された場合は、室内熱交換器31が凝縮器として働くと共に、室外熱交換器32が蒸発器として働き、暖房運転が行なわれる。
【0033】
次に、圧縮機10の内部構造を図2及び図3を参照しながら説明する。図2は図1の圧縮機の縦断面図、図3は図2のA−A断面図である。
【0034】
圧縮機10は横置型2シリンダ圧縮機であり、その密閉容器40内に圧縮機構部と電動機部とを備えている。
【0035】
この圧縮機の電動機部は、密閉容器40内に焼き嵌め等で固定された固定子48と、駆動軸46に装着されて固定子48の内側を回転する回転子47とを備えている。
【0036】
圧縮機構部は、第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12の2個の圧縮要素を備えている。第1シリンダ41は第1圧縮要素11に、第2シリンダ42は第2圧縮要素11に属する。この圧縮機構部は、電動機部の駆動軸46と連結されており、この駆動軸46の回転によってシリンダ41、42内のそれぞれのピストン(ローラ)49、50がシリンダ内周面に沿って回転駆動される。
【0037】
本実施例では、略円筒形に形成されたシリンダ41、42の内側のピストン49、50は、ピストンのローラ部49a、50aと、そのローラ部と一体に形成され延在する板状のピストンのベーン部49b、50bを備えている。ローラ部49a、50aはその内周側が、駆動軸46上のシリンダ41、42に対応する部分に設けられた回転方向に180°位相差を持つ二つの偏心部46a、46bにそれぞれ嵌入されている。そして、ローラ部49a、50aが駆動軸46の偏心部46a、46b周りに回転可能に構成されている。
【0038】
主軸受44は溶接等で密閉容器40に固定されている。この主軸受44、第2シリンダ42、仕切板43、第1シリンダ41、副軸受45はこの順で外周部を介して連結配置されている。軸受44、45の軸受部44a、45aは、シリンダ41、42、仕切板43を貫通する駆動軸46を支持している。このために、駆動軸46の中心軸とシリンダ41、42の円筒状内周面の中心軸とが一致するように設けられる。また、副軸受45及び仕切板43は第1シリンダ41の両端開口部を閉塞し、主軸受44及び仕切板43は第2シリンダ42の両端開口部を閉塞し、それぞれ密閉空間を形成している。
【0039】
図3に示すように、シリンダ41の円筒状内周面41aの外側には、この円筒の中心軸と略平行な中心軸を持つ円筒状滑動孔部41bが一部を連通して設けられている。さらに、滑動孔部41bの反シリンダ中心軸側には、滑動孔部41bと連通されて円筒状に設けられた孔部41cが一部を連通して設けられている。そして、ベーン部49bは円筒孔部41bと孔部41cとに挿入されている。ベーン部49bと円筒孔部41bとの間には、ベーン部49bの板状の平面部と円筒孔部41bの内面とに摺動可能に当接する滑動部材51がベーン部49bを挟み込むように組み込まれている。
【0040】
以上の構成により、ピストン49は、駆動軸46の回転に伴ってシリンダ41内を回転駆動され、内周面41aとピストン49とが微小隙間を維持して回転しつつ相対運動する。また、上記のように、ベーン部49bは、シリンダ41と連通して設けられた円筒孔部41bと孔部41cの内部に配置されており、駆動軸46の回転に伴うピストン49の運動によって、偏心部46aの中心軸方向に対する往復運動を行なう。これらの運動によって、ピストン49はシリンダ41の内周面41a周りの回転運動しつつ往復動する揺動を行なうものである。ベーン部49bと滑動孔部41bとの間のシールは滑動部材51が挿入されることで保たれる。これにより、第1圧縮要素11は、シリンダ41、ピスト48、副軸受45、仕切板43、滑動部材51とにより、密閉空間である圧縮室52と冷媒の吸入空間である吸入室53とを形成し、駆動軸46の回転に伴ってこれらの容積の増減を繰り返す。
【0041】
シリンダ42、ピストン50、主軸受44、仕切板43、滑動部材(図示せず)からなる第2圧縮要素12も、前述の第1圧縮要素11と180°の位相差をもって同様な動作を行なう。
【0042】
冷凍サイクル内の冷媒は、第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12それぞれの吸入通路11a、12aより吸い込まれる。密閉容器40を貫通した第1吸入通路11aより吸い込まれた冷媒は、吸入通路56を経由して、吸入室53に入った後に圧縮される。圧縮された冷媒は、副軸受45に形成された吐出ポート45bから吐出弁57を通り、副軸受45と第1の吐出カバー54によって形成された吐出室45cに吐出される。その後、密閉容器40を貫通した第1吐出通路11bから密閉容器40外へ吐出される。
【0043】
そして、これらの冷媒の吸入、吐出は、ピストン49の揺動にともなって行われる。すなわち、冷媒の吸い込みは、ピストン49が駆動軸46の周りに1回転(揺動)して吸入室53の容積が増大することで行われる。次に、ピストン49が駆動軸46周りに回転(揺動)することで、ピストン49の外周とシリンダの円筒内周41aと、副軸受45、仕切板43と滑動部材51とで区画される密閉空間は、その容積が減少するので、この空間内の冷媒が圧縮される圧縮室52となる。圧縮室10の容積の減少により、室内の冷媒が圧縮されて吐出ポート45bから吐出される。
【0044】
一方、密閉容器40を貫通した第2吸入通路A12aより吸い込まれた冷媒は、いったん密閉容器40内に流入し、流れの方向を変えた後、第2圧縮要素12に接続された第2吸入通路B60に入る。冷媒は、その後、吸入室、圧縮室(図示せず)を経て圧縮される。圧縮された冷媒は、主軸受44に形成された吐出ポート44b、吐出弁57’を通り、主軸受44と第2の吐出カバー61によって形成された吐出室61aに吐出される。その後、密閉容器40を貫通した第2吐出通路12bから密閉容器40外へ吐出される。第2圧縮要素12の冷媒の吸入、圧縮、吐出動作は、前述の第1圧縮要素11のものと同様である。
【0045】
第2圧縮要素12の吸入通路12a、12a’内は密閉容器40内と連通しているため、密閉容器40内圧力は第2圧縮要素12の吸入圧力となる。また、第2吸入通路A12aを出たガス冷媒は、密閉容器40内で流れ方向を変えて第2吸入通路B12a’に入る際、ガス冷媒と一緒に流出した油をガス冷媒との密度差に起因する慣性力や重力の差を利用して分離を行なう。そのため、第2圧縮要素12の吸入室へは、油含有量の小さいガス冷媒が流入することになる。分離された油は密閉容器40内底部の油貯留部72に戻される。
【0046】
上記二つの圧縮要素11、12が直列に接続された場合には、第1圧縮要素12で低圧(蒸発圧力)から中間圧、第2圧縮要素12で中間圧から高圧(凝縮圧力)まで圧縮され、2段圧縮が行われる。この時の密閉容器40内圧力は、上記の構成により中間圧となる。一方、二つの圧縮要素11、12が並列に接続された場合には、それぞれの圧縮要素11、12で低圧から高圧まで圧縮され、この時の密閉容器40内圧力は低圧となる。
【0047】
本実施例では、ピストン49、50のローラ部49a、50aとベーン部49b、50bとが一体で形成され、ピストン49、50が揺動する。別体で形成された場合には、ベーン部を高圧でローラ部に押しつけて圧縮室のシールを確保する必要があるが、揺動する本実施例ではその必要が無く、圧縮機の密閉容器40内を相対的に低い圧力にすることができる。
【0048】
本実施例では、第2圧縮要素12の吸入通路12a,12a’を密閉容器40内と連通しているため、密閉容器40内圧力は、2段圧縮では中間圧、単段圧縮では低圧となる。一方、第1圧縮要素11の吸入通路を密閉容器40内と連通した場合には、密閉容器40内圧力は2段圧縮、単段圧縮ともに低圧となる。本実施例のように、2段圧縮時に密閉容器内圧力を低圧より中間圧とした方が性能上有利となる理由を以下に述べる。圧縮機10の作動室(吸入室、圧縮室)の漏れ経路としては、圧縮室と吸入室との漏れ経路(シリンダ内周とローラ部外周のすき間、ベーン部端面のすき間)、作動室と密閉容器内との漏れ経路(ローラ部端面のすき間、ベーン部および滑動部材の摺動すき間)がある。漏れ経路の各空間の差圧が小さいほど、漏れ量は減少し、圧縮機の漏れによる性能低下を抑えることができる。2段圧縮時の1段目圧縮要素の作動室は低圧から中間圧に変化するため、密閉容器内圧力が低圧または中間圧いずれの場合でもその差圧は同等となる。一方、2段目圧縮要素の作動室は中間圧から高圧に変化するため、密閉容器内圧力が低圧より中間圧の方が差圧を小さくすることができる。したがって、2段圧縮時に密閉容器内圧力を低圧より中間圧とした本実施例のほうが、性能上有利となる。
【0049】
本実施例での潤滑油の給油の構成について説明する。前述のように、第1シリンダ41側のピストン49のベーン部49bの先端は孔部41c内で進退運動し、孔部41cの容積を変化させる。孔部41cは、副軸受45底部に設けられた油吸込口70を介して密閉容器40内の潤滑油溜り72に浸漬されている。また、この孔部41cは、油通路を介して給油パイプ71に連通している。上記ベーン49bの運動による孔部41cの容積変化により、吸込口70から孔部41cに潤滑油72が吸い込まれる。また、孔部41c内の潤滑油が、油通路を経て給油パイプ71の方向に押し出される。このとき、吸込口70は、潤滑油溜り72から孔部41cの方向に、通路面積が小さくなるように形成され、所謂、流体ダイオードの働きをする。
【0050】
このため、孔部41c内の潤滑油は、ベーン49bの運動で、潤滑油溜り72方向に流れにくく、給油パイプ71方向に流れやすく流通するように形成されている。給油パイプ71に流入された潤滑油は、駆動軸46の軸端側に流入する。次いで、副軸受45により軸支された駆動軸46の部分に形成された螺旋溝46eからピストンローラ部49a内の軸受部、仕切板43の内周部、ピストンローラ部50a内の軸受部に流入する。さらに、駆動軸46の表面の主軸受44により軸支された部分に形成された螺旋溝46fに流入する。こうして、駆動軸46とピストン49、50、シリンダ41、42の摺動部分に潤滑油が供給される。螺旋溝46fに供給された潤滑油は、回転子47側の端部から密閉容器40内に流出して、電動機部の回転子47、固定子48を冷却し潤滑油溜り72に戻る。
【0051】
また、シリンダ41、42内の圧縮室圧力がピストンローラ部49a、50aの内側圧力(密閉容器40内圧力と同等)より高い場合、シリンダ41、42内の冷媒のガスがピストン49、50の端面すき間からピストンローラ部49a、50aの内側に流入して、ピストンのローラ部49a、50aと偏心部46a、46bとの摺動面に入る。この際、摺動面に気体があるとローラ部49a、50aと駆動軸46とのかじりが生じやすくなるので、ガスを逃す必要が生じる。本実施例では、駆動軸46内に偏心部46a及び46bから駆動軸46の端部まで連通するガス抜き穴46c、46dを形成している。摺動面上の潤滑油と冷媒ガスとは、駆動軸46の回転の遠心力により、比重が相対的に小さい冷媒ガスと大きな潤滑油とに分離され、冷媒ガスが駆動軸46の内部側に流入し、ガス抜き穴46c、46dを通って密閉容器40内に流出される。
【0052】
次に、本実施例における作動室(吸入室、圧縮室)内への給油について図4を参照しながら説明する。図4は駆動軸を60°毎に回転させた場合の図2の圧縮要素の油ポケット動作説明図である。
【0053】
作動室に供給された油は作動室の隙間のシールを行なう。本実施例では、ピストンローラ部49a内側とシリンダ吸入室53とを間欠的に交互に行き来する油ポケット73を設けている。図4は駆動軸46を60°毎に回転させた場合の第1圧縮要素11側の油ポケット動作説明図であるが、第2圧縮要素12側についても同様である。
【0054】
油ポケット73は、ピストンローラ部49a内側と吸入室53とを交互に行き来するように仕切板43に凹部として設けられている。ピストンローラ部49a内側には、前述の通り、潤滑油が潤滑油溜り72から供給されている。油ポケット73がローラ部49a内側にある時は(例えば図4(a)、(b))、油ポケット73の空間に油が流入し、油ポケット73が吸入室53にある時は(例えば図4(c)、(d)、(e))、油ポケット73内の油が吸入室53内に流出することにより、吸入室53に潤滑油が供給され、作動室の隙間の油による密封作用が行われる。
【0055】
ところで、高圧密閉容器での作動室への給油は、ローラ内側が密閉容器内圧力と同程度の高圧となっているため、ローラ内側の油がローラ内側と作動室との差圧により、ローラ摺動部の隙間を通って漏れ込むことにより行われている。このため、作動室への給油量は運転条件により決定される高圧と作動室圧力との差圧と摺動部の隙間寸法により変化し、密封機能保持に必要な油量より過度に多量の油が供給されており、摺動部の隙間寸法の下限が部品の表面粗さや機械加工精度等の制約により規制されることから、性能上最適となる必要最小限の油量に制御することは不可能であった。これに対して、油ポケット73は凹部の容積を適切に設定することにより、給油量を適量に設定することが可能で、適正量の油を確実に供給できる。
【0056】
圧縮機10が2段圧縮を行なう場合、密閉容器40内圧力は中間圧となり、第1圧縮要素11の作動室へは差圧給油が油ポケットによる給油と共に行われる。2段圧縮では、ガス冷媒は第1圧縮要素11で低圧から中間圧まで圧縮され、第2圧縮要素12で中間圧から高圧まで圧縮される。前述の通り、圧縮機10の密閉容器40内圧力は、第2圧縮要素12の吸入圧力となるので、2段圧縮の場合、密閉容器40内は中間圧となる。この時、第1圧縮要素11の作動室への給油は、ローラ部49a内側と作動室との差圧により、ピストンローラ部49aの内側の油がローラ部49a端面の摺動部の隙間を通って漏れ込むことによって行われる。一方、第2圧縮要素12は、作動室内圧力がローラ部の内側の圧力(密閉容器内圧力)以上となるため、作動室への差圧給油は行われず、油ポケットによる給油が行なわれる。
【0057】
また、圧縮機10が単段圧縮を行なう場合、ガス冷媒は並列接続された二つの圧縮要素11、12に低圧から高圧まで圧縮され、密閉容器40内は低圧となる。この時は、2段圧縮時の第2圧縮要素と同様に、作動室内圧力がローラ部の内側の圧力(密閉容器内圧力)以上となるため、第1圧縮要素11、12の作動室への差圧給油は行われず、何れも油ポケットによる給油が行なわれる。
【0058】
上記の圧縮機10の作動室への給油をまとめると以下のようになる。2段圧縮時の第1圧縮要素11の作動室への給油は油ポケットと差圧給油であり、第2圧縮要素の作動室への給油は油ポケットによる給油である。また、単段圧縮時の二つの圧縮要素(第1圧縮要素11、第2圧縮要素12)の作動室への給油は油ポケットによる給油である。なお、第2圧縮要素12では、吸入通路12a、12a’に油分離機構が設けられおり、吸入通路12a’を介して作動室内に供給される油はほとんどないが、第1圧縮要素11では吸入通路11aに流入した油は直接吸入室53に供給されることになる。
【0059】
密閉容器40内に貯溜する油は、前述の通り、軸受等の摺動部の他に、圧縮要素の作動室に供給され、作動室のシールを行なう。この油は圧縮されたガス冷媒とともに吐出され、圧縮機外の冷凍サイクルに流出する。冷凍サイクルに油が蓄積され、圧縮機10が油不足による軸受摺動部のかじり等を防止するためには、流出した油を再び密閉容器40内に戻す必要がある。そのためには、冷媒が冷凍サイクル内を一巡する経路のどこかで、必ず油分離をして、その油を圧縮機に戻す機構が必要である。また、吸入側に油分離機構を設ける場合、冷凍サイクル内を一巡する経路が2段圧縮と単段圧縮で異なるため、それに対応した構成が必要である。本実施例はその構成を実現したものである。
【0060】
以上のように構成する圧縮機及び冷凍サイクルの2段圧縮運転と単段圧縮運転での冷媒の流れ、給油及び油分離の機構の動作について図5及び図6を参照しながら説明する。図5は図1の空気調和機の2段圧縮時の冷媒流れの説明図、図6は図1の空気調和機の単段圧縮時の冷媒流れの説明図である。
【0061】
図5に示すように、2段圧縮運転時には、電磁弁14が開かれる。この時、第1圧縮要素11ではガス冷媒が圧縮され、第1吐出通路11b内圧力は第1吸入通路11a内圧力より高くなる。第1吸入通路11aは油分離器20と接続され、第1吐出通路11bは電磁弁14、中間冷却器15を介して第2吸入通路A12aと接続されているため、吸入側逆止弁13aの第2吸入通路A12a側の圧力が油分離器20側より高くなり、吸入側逆止弁13aは閉じた状態となっている。また、第2吸入通路B12a’内に流入したガス冷媒が第2圧縮要素12でさらに圧縮されて、第2吐出通路12bに吐出されるため、第2吐出通路12b側の圧力が第1吐出通路11b側の圧力より高くなり、吐出側逆止弁13bは閉じた状態となっている。すなわち、圧縮機10は第1圧縮要素11において低圧(蒸発圧力)から中間圧まで圧縮し、第2圧縮要素12において中間圧から高圧(凝縮圧力)まで圧縮し、2段圧縮を行なうことになる。また、第2吸入通路12a、12a’とが分離して密閉容器40内と連通しているため、密閉容器40内圧力は中間圧力となる。
【0062】
2段圧縮運転では、各圧縮要素11、12の吸入室53と圧縮室52との圧力差が小さくなり、圧縮過程の漏洩ガス量の低減に効果があり、圧縮機10の効率が向上する。したがって、ヒートポンプ式冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
【0063】
第2圧縮要素12の作動室への給油は、前述のように、油ポケットによってのみ行われる。油ポケットによって供給され、作動室のシールとして作用した油は圧縮されたガス冷媒とともに第2圧縮要素12から吐出される。油ポケットの大きさは、冷凍サイクルの熱交換器31、32の熱交換性能が悪化しない油循環率の範囲内で、圧縮機の性能が最適となる必要最小限の油量となるように設定される。圧縮機10から吐出された油は、熱交換器の性能が悪化しない油循環率の範囲内で、凝縮器、膨張弁、蒸発器等を流れ、圧縮機10に戻る前に油分離器20に流入し、油分離器20内で分離され貯溜される。
【0064】
この時、吸入側逆止弁13aが閉じられているので、第2流出管24には冷媒は流れない。初期段階の油面が第1流出管23の油戻し孔23bの高さ未満の場合には、先端開口部23a及び油戻し孔23bからガス冷媒が流入する。そして、油面が油戻し孔23bの高さ以上になると、先端開口部23aからガス冷媒が流入すると共に、油戻し孔23bからは油が第1流出管23に流入するようになり、第1流出管23からガス冷媒と油が流出して第1吸入通路11aに入る。第1圧縮要素11の作動室への給油は、直接第1吸入通路11aから入る他に、前述の通り、油ポケット73及びピストンローラ部49a内側と作動室との差圧により行われ、作動室のシールが行われる。
【0065】
これらの油は圧縮されたガス冷媒とともに吐出通路11bに吐出され、電磁弁14、中間冷却器15を通過した後、第2吸入通路A12aに入る。第2吸入通路A12a内のガス冷媒と油は、密閉容器40内に開放され、密閉容器40内で冷媒と分離される。
【0066】
このようにして、密閉容器40内底部に貯留する油は、第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12の作動室に給油され、ガス冷媒とともに吐出された油は第2圧縮要素12の吸入側で分離され、再び密閉容器40内に戻る。これにより、圧縮機外の冷凍サイクルに油が蓄積され、圧縮機10の油不足による軸受摺動部のかじり等の信頼性低下を防止することができる。
【0067】
図6に示すように、単段圧縮運転時には、電磁弁14が閉じられる。これによって、第2吸入通路A12aには中間冷却器15からの冷媒は供給されない。第2圧縮要素12の吸入作用により、密閉容器40内に開口している第2吸入通路A12a内のガス冷媒圧力は第1圧縮要素12の吸入側に設けられた油分離器20内のガス冷媒圧力より低くなり、吸入側逆止弁13aが開く状態となる。したがって、油分離器20内の冷媒が第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12に吸入されることになる。
【0068】
第1圧縮要素11により圧縮されて第1吐出通路11b内に吐出されるガス冷媒は、電磁弁14が閉じられているため、第2吐出通路12b内のガス冷媒圧力より高い圧力まで圧縮され、逆止弁13bを通過して第2圧縮要素12により圧縮されたガス冷媒と合流する。
【0069】
以上のように、第1圧縮要素11と第2圧縮要素12は並列に接続され、それぞれ低圧(蒸発圧力)から高圧(凝縮圧力)まで圧縮し、単段圧縮を行なうことになる。また、この時、密閉容器40内圧力は低圧となる。単段圧縮運転は、二つの圧縮要素11、12を並列に圧縮する構成としたため、押しのけ量が2段圧縮運転と比較して増加し、冷凍能力を増加させることができる。
【0070】
単段圧縮運転において、圧縮機10からガス冷媒とともに吐出された油は、凝縮器、膨張弁、蒸発器等を流れ、油分離器20に流入し、冷媒と分離される。このとき、吸入側逆止弁13aが開いているため、ガス冷媒が第2流出管24の斜めカット部24aの開口部から流入するが、その際、油を巻き込むことによって油は管壁を上昇し、第2流出管24からガス冷媒と油が流出する。一方、先端開口部23a及び油戻し孔23bを通して第1流出管23からガス冷媒が流出する。
【0071】
第1吸入通路11aには、油分離されたガス冷媒が流入し、そのガス冷媒が圧縮される。この時の第1圧縮要素11の作動室への給油は油ポケット73のみにより行われる。一方、第2流出管24のガス冷媒及び油は、吸入側逆止弁13aを通過後、第2吸入通路A12aに流入する。この吸入通路12a内のガス冷媒と油は、密閉容器40内に開放され、密閉容器40内で分離される。第2吸入通路B12a’には、油分離されたガス冷媒が流入し、第2圧縮要素12で圧縮される。この時の第2圧縮要素12の作動室への給油は第1圧縮要素11と同様、油ポケットのみにより行われる。
【0072】
第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12の油ポケットは、単段圧縮運転において、冷凍サイクルの熱交換器31、32の熱交換性能が悪化しない油循環率の範囲内で、圧縮機10の性能が最適となる必要最小限の油量となるように設定されている。したがって、第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12から吐出される油量は、冷凍サイクル性能に悪影響を与えない範囲内に抑えられている。以上の構成により、密閉容器40内底部に貯留する油は、第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12の作動室に給油されるが、ガス冷媒とともに吐出された油は第2圧縮要素12の吸入側で分離され、再び密閉容器40内に戻る。これにより、圧縮機外の冷凍サイクルに油が蓄積され、圧縮機10が油不足になって軸受摺動部のかじり等の信頼性が低下することを防止することができる。
【0073】
ヒートポンプ式冷凍サイクルにおいて、単段圧縮と2段圧縮を切替え可能に構成したことにより、例えば、運転立ち上がりの高負荷時には、能力を優先した単段圧縮運転を行ない、その後の低負荷時には、効率を優先した2段圧縮を行なうことにより、負荷に対応した運転が可能である。本実施例では述べなかったが、圧縮機10の電動機をインバータにより、駆動することにより、より広範囲の負荷に対応した運転が可能である。
【0074】
また、圧縮機10の密閉容器40内圧力を低圧または中間圧としたため、潤滑油中に溶解する冷媒量を低減でき、可燃性冷媒であるプロパンR290やイソブタンR600a等の炭化水素系冷媒への対応が可能となる。さらには、圧縮機10の密閉容器40内圧力を低圧または中間圧としたため、密閉容器40の耐圧を低くでき、コスト低減化を図ることができると共に、動作圧力が高圧となる二酸化炭素系冷媒(例えば二酸化炭素R744)への対応が可能となる。
【0075】
また、圧縮機10の作動室への給油をピストンローラ部49a、50aの内側と吸入室53を交互に行き来する油ポケット73により行なわせることにより、給油量の制御が可能で、圧縮機外への吐出油量を冷凍サイクル性能に悪影響を与えない範囲内に抑えることができる。
【0076】
また、油分離機構を圧縮要素11、12の吸入側に設けることにより、油分離器20及び密閉容器40内に貯溜した油に溶解する冷媒量が低減でき、従来技術2のように吐出側の油分離器内の高圧下の油に多量のガス冷媒が溶解したり、油分離器から油を圧縮機に戻す際に油に溶解したガス冷媒が冷凍サイクルをバイパスして戻されたりして、冷凍能力が低下するという問題を回避することができる。
【0077】
次に、本発明の第2実施例について図7から図9を用いて説明する。図7は本発明の第2実施例に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成図、図8は図7の冷蔵庫の圧縮機が2段圧縮運転を行なう冷凍室冷蔵室同時冷却運転時の冷媒流れの説明図、図9は図7の冷蔵庫の圧縮機が単段圧縮を行なう冷凍室単独冷却運転時の冷媒流れの説明図である。図7から図9において、図1と同等部分には同一符号を付し、その説明は省略する。また、圧縮機10は図2から図4に示す圧縮機と同一であるので、その説明は省略する。
【0078】
図7に示すように、第2圧縮要素12の吐出通路12bは、凝縮器80の入口に接続されている。また、凝縮器80の出口につながる冷媒管路は二つに分岐されている。片方の冷媒管路は、減圧装置としての第1キャピラリ81、冷凍室蒸発器82、油分離器20の流入管22と順次接続されている。他方の冷媒管路は、第2の電磁弁83、減圧装置としての第2キャピラリ84、冷蔵室蒸発器85、第2吸入通路A12aと順次接続されている。また、凝縮器ファン80aは庫外空気を凝縮器80に通風するものであり、冷凍室蒸発器ファン82aは冷凍室蒸発器82に庫内空気を通風するものであり、冷蔵室蒸発器ファン85aは冷蔵室蒸発器85に庫内空気を通風するものである。
【0079】
電磁弁83は、電圧が印加されることにより弁の開閉作用が行われ、冷媒管内部の冷媒の流れを調節するものである。電磁弁83は、電圧の非通電時に開いた状態となって冷蔵室蒸発器85への冷媒の流れを通過させ、通電時に閉じた状態となって冷蔵室蒸発器85への冷媒の流れを阻止する。
【0080】
第1キャピラリ81は、冷凍室蒸発器82の出口と油分離器20の流入管22の間と熱交換可能に接して配置されている。また、第2キャピラリ84は、冷蔵室蒸発器85の出口と第2吸入通路A12aの間と熱交換可能に接して配置されている。これにより、キャピラリ81、84の冷媒は、減圧しながら冷却されるため、それぞれの蒸発器82、85の入口エンタルピが低下し、蒸発器81、84の冷却効果を増加させることができる。一方、蒸発器82、85の出口と油分離器20の吸入管22、第2吸入通路A12aとの間の冷媒は加熱されるため、配管の露付きを防止できる。
【0081】
以上のように構成する冷蔵庫の冷凍サイクルにおいて、冷凍室冷蔵室同時冷却運転時の2段圧縮運転と冷凍室単独冷却運転時の単段圧縮運転での冷媒の流れ、給油及び油分離の機構の動作について説明する。
【0082】
冷凍室冷蔵室同時冷却運転時には、図8に示すように、二つの電磁弁14、83が開かれる。これによって、第1圧縮要素11、中間冷却器15、第2圧縮要素12、凝縮器80、第1キャピラリ81、冷凍室蒸発器82及び油分離器20は、冷凍室冷却冷凍サイクルを形成するとともに、第2圧縮要素12、凝縮器80、第2キャピラリ84及び冷蔵室蒸発器85は、冷蔵室冷却冷凍サイクルを形成する。したがって、圧縮機10は、第1圧縮要素11、第2圧縮要素12を直列に接続した2段圧縮を行なう。また、凝縮器ファン80a、冷凍室蒸発器ファン82a、冷蔵室蒸発器ファン85aが運転される。
【0083】
この冷却運転時、吸入側逆止弁13aにおいて、第2吸入通路A12aでのガス冷媒圧力が第1吸入通路11a上流の油分離器20でのガス冷媒圧力より高くなっているため、吸入側逆止弁13aは閉じた状態となっている。また、第2吐出通路12bでのガス冷媒圧力が第1吐出通路11bでのガス冷媒圧力より高くなっているため、吐出側逆止弁13bは閉じた状態となっている。
【0084】
第1圧縮要素11は、冷凍室蒸発器82より戻るガス冷媒を冷凍室蒸発器82の蒸発圧力レベルの低圧(冷凍サイクルの最低圧力)から冷蔵室蒸発器85の蒸発圧力レベルの中間圧まで圧縮する。第2圧縮要素12は、第1圧縮要素11により中間圧まで圧縮されて中間冷却器15により冷却されたガス冷媒と、冷蔵室蒸発器85より戻るガス冷媒とを吸い込んで、中間圧から凝縮器80の凝縮圧力レベルの高圧(冷凍サイクルの最高圧力)まで圧縮する。また、第2吸入通路A12aと第2吸入通路B12a’とが分離されて密閉容器40内と連通しているため、密閉容器40内圧力は中間圧力となる。
【0085】
冷凍室冷蔵室同時冷却運転時には、冷蔵室蒸発器85からのガス冷媒を冷蔵室蒸発器85の蒸発圧力レベルの中間圧から圧縮するため、冷蔵室蒸発器85からのガス冷媒を冷凍室蒸発器82の蒸発圧力レベルの低圧まで減圧してから圧縮するものと比較して、圧縮動力を低減することができ、冷蔵庫の消費電力を大幅に低減することができる。
【0086】
さらに、圧縮機10に二つの圧縮要素11、12をもち、冷凍室冷蔵室同時冷却運転時には、2段圧縮運転を行なう構成としたため、各圧縮要素11、12の圧縮室と吸入室との圧力差が小さくなり、圧縮過程の漏洩ガス量の低減に効果があり、圧縮機10の効率が向上し、冷蔵庫の効率を向上させることができる。
【0087】
第2圧縮要素12の作動室への給油は、第1実施例で述べたように、油ポケットによってのみ行われる。油ポケットによって供給され、作動室のシールとして作用した油は、圧縮されたガス冷媒とともに吐出される。油ポケットの大きさは、冷凍サイクルの熱交換器の熱交換性能が悪化しない油循環率の範囲内で、圧縮機の性能が最適となる必要最小限の油量となるように設定される。熱交換器の性能が悪化しない油循環率の範囲内で、冷媒と油は凝縮器80を流れた後、二つに分岐した冷媒管路に入る。
【0088】
分岐した片方の冷媒と油は、第1キャピラリ81、冷凍室蒸発器82を流れ、さらに油分離器20に流入し、油分離器20内で油が分離される。この時、吸入側逆止弁13aが閉じられているので、第2流出管24には冷媒は流れない。そして、初期段階の油面が第1流出管23の油戻し孔23bの高さ未満の場合には、先端開口部23a及び油戻し孔23bから第1流出管23にガス冷媒が流入する。次に、油面が油戻し孔23bの高さ以上になると、先端開口部23aから第1流出管23にガス冷媒が流入し、油戻し孔23bから第1流出管23に油が流入するようになり、第1流出管23からガス冷媒と油が流出し、第1吸入通路11aに入る。第1圧縮要素11の作動室への給油は、直接第1吸入通路11aから入る他に、油ポケット及びピストンローラ部内側と作動室との差圧により行われ、作動室のシールが行われる。これらの油は圧縮されたガス冷媒とともに第1吐出通路11bに吐出され、電磁弁14、中間冷却器15を通過した後、第2吸入通路A12aに入る。
【0089】
一方、凝縮器80の出口で分岐された他方の冷媒管路に入った冷媒と油は、第2キャピラリ84、冷蔵室蒸発器85を通過後、第2吸入通路A12aに入る。吸入通路12aで合流したガス冷媒と油は、密閉容器40内に開放され、密閉容器40内で油が分離される。すなわち、密閉容器40内底部に貯留する油は、第2圧縮要素12及び第1圧縮要素11の作動室に給油されるが、ガス冷媒とともに吐出された油は第2圧縮要素12の吸入側で分離され、再び密閉容器40内に戻される。これにより、圧縮機外の冷凍サイクルに油が蓄積され、圧縮機10の油不足による軸受摺動部のかじり等の信頼性低下を防止することができる。
【0090】
冷凍室単独冷却運転時は、図9に示すように、二つの電磁弁14、83が閉じられる。電磁弁83が閉じられるため、冷蔵室蒸発器85への冷媒の流れは阻止され、冷媒は冷凍室蒸発器82へのみ流れる。
【0091】
この時、第1圧縮要素11は、冷凍室蒸発器82出口のガス冷媒を油分離器20を介して吸入し、圧縮作用を行なう。電磁弁14側が閉じられているため、第1吐出通路内のガス冷媒の圧力が第2吐出通路12b内のガス冷媒圧力より高くなるように第1圧縮要素11でガス冷媒が圧縮される。これにより、第1圧縮要素11で圧縮されたガス冷媒は、第1吐出通路11bから吐出側逆止弁13bを通過して、第2吐出通路12bに流れる。
【0092】
一方、電磁弁14、83が閉じていて、吸入通路12aと連通する冷蔵室蒸発器85、中間冷却器15には冷媒が供給されないため、第2圧縮要素12の吸入作用により、第2吸入通路A12aのガス冷媒圧力は、次第に低下し、第1吸入通路11a上流の油分離器20内のガス冷媒圧力より低下する状態となる。これにより、吸入側逆止弁13aが開き、油分離器20内の冷媒が第2流出管24から吸入側逆止弁13aを通って第2吸入通路A12aに流れ、密閉容器40内に流入される。密閉容器40内の冷媒は第2吸入通路B12a’を通して第2圧縮要素12に吸入され、圧縮される。
【0093】
このようにして、二つの圧縮要素11、12は、それぞれ、冷凍室蒸発器82の蒸発圧力レベルから凝縮器80の凝縮圧力レベルまで並列に圧縮作用を行なう。したがって、圧縮機10の二つの圧縮要素11、12、凝縮器80、第1キャピラリ81、冷凍室蒸発器82からなる冷凍室単独冷却冷凍サイクルを形成する。また、凝縮器ファン80a、冷凍室蒸発器ファン82aが運転され、冷蔵室蒸発器ファン85aが停止する。これにより、冷凍室のみの冷却が行なわれる。また、この時、密閉容器40内圧力は第2圧縮要素12の吸い込み圧力である低圧となる。
【0094】
係る冷凍室単独冷却運転時においては、圧縮機10の二つの圧縮要素11、12を並列に圧縮するように構成したため、冷凍室冷却のための押しのけ量が冷凍室冷蔵室同時冷却運転時より大きくなり、冷凍室冷凍能力を増加させることができる。
【0095】
冷凍室単独冷却運転時において、圧縮機10からガス冷媒とともに吐出された油は、凝縮器80、第1キャピラリ81、冷凍室蒸発器82を流れ、油分離器20に流入し、油分離器20内で分離される。先端開口部23a及び油戻し孔23bを通過したガス冷媒が第1流出管23から第1吸入通路11aに流出する。油分離されて第1吸入通路11aに流入したガス冷媒は第1圧縮要素11により圧縮される。この時の第1圧縮要素11の作動室への給油は油ポケットのみにより行われる。
【0096】
一方、吸入側逆止弁13aが開いているため、ガス冷媒が第2流出管24の斜めカット部24aの開口部から流入する。この際に油を巻き込むことにより、油は管壁を上昇し、第2流出管24からガス冷媒と油が流出する。第2流出管24のガス冷媒及び油は、吸入側逆止弁13aを通過後、第2吸入通路A12aに流入する。この第2吸入通路A12a内のガス冷媒と油は、密閉容器40内に開放され、密閉容器40内で油が分離される。第2吸入通路B12a’には、油分離されたガス冷媒が流入し、第2圧縮要素12で圧縮される。この時の第2圧縮要素12の作動室への給油は第1圧縮要素11と同様、油ポケットのみにより行われる。
【0097】
第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12の油ポケットは、冷凍サイクルの熱交換器の熱交換性能が悪化しない油循環率の範囲内で、圧縮機の性能が最適となる必要最小限の油量となるように設定されている。したがって、第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12から吐出される油量は、冷凍サイクル性能に悪影響を与えない範囲内に抑えられている。
【0098】
以上の構成により、密閉容器40内底部に貯留する油は、第1圧縮要素11及び第2圧縮要素12の作動室に給油されるが、ガス冷媒とともに吐出された油は第2圧縮要素12の吸入側で分離され、再び密閉容器40内に戻る。これにより、圧縮機外の冷凍サイクルに油が蓄積され、圧縮機10の油不足による軸受摺動部のかじり等の信頼性低下を防止することができる。
【0099】
冷蔵庫において、2段圧縮と単段圧縮を切替え、冷凍室冷蔵室同時冷却運転と冷凍室単独冷却運転が可能に構成したことにより、冷蔵庫の冷凍室と冷蔵室の熱負荷に対応した運転が可能である。本実施例では述べなかったが、圧縮機の電動機をインバータにより、駆動することにより、より広範囲の負荷に対応した運転が可能である。
【0100】
また、圧縮機10の密閉容器40内圧力を低圧または中間圧としたため、潤滑油中に溶解する冷媒量を低減でき、第1実施例同様に可燃性冷媒である炭化水素系冷媒への対応が可能である。さらには、圧縮機10の密閉容器40内圧力を低圧または中間圧としたため、密閉容器40の耐圧を低くでき、コスト低減化を図ることができると共に、動作圧力が高圧となる二酸化炭素系冷媒への対応が可能となる。
【0101】
また、圧縮機10の作動室への給油をピストンローラ部の内側と吸入室を交互に行き来する油ポケットにより行なわせることにより、給油量の制御が可能で、圧縮機外への吐出油量を冷凍サイクル性能に悪影響を与えない範囲内に抑えることができる。
【0102】
また、油分離機構を圧縮要素11、12の吸入側に設けることにより、油分離器20及び密閉容器40内に貯溜した油に溶解する冷媒量が低減でき、従来技術2のように吐出側の油分離器内の高圧下の油に多量のガス冷媒が溶解したり、油分離器から油を圧縮機に戻す際に油に溶解したガス冷媒が冷凍サイクルをバイパスして戻されたりして、冷凍能力が低下するという問題を回避することができる。
【0103】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、本発明によれば、単段圧縮と2段圧縮とを切替えて高性能化を図りつつ、冷凍サイクル中の油を圧縮機に戻して高信頼性を確保することでき、しかも自然冷媒への対応が容易な冷凍空調装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る空気調和機のヒートポンプ式冷凍サイクルの構成図である。
【図2】図1の圧縮機の縦断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】駆動軸を60°毎に回転させた場合の図2の圧縮要素の油ポケット動作説明図である。
【図5】図1の空気調和機の2段圧縮時の冷媒流れの説明図である。
【図6】図1の空気調和機の単段圧縮時の冷媒流れの説明図である。
【図7】本発明の第2実施例に係る冷蔵庫の冷凍サイクルの構成図である。
【図8】図7の冷蔵庫の圧縮機が2段圧縮運転を行なう冷凍室冷蔵室同時運転時の冷媒流れの説明図である。
【図9】図7の冷蔵庫の圧縮機が単段圧縮を行なう冷凍室単独冷却運転時の冷媒流れの説明図である。
【符号の説明】
10…圧縮機、11…第1圧縮要素、11a…第1吸入通路、11b…第1吐出通路、12…第2圧縮要素、12a…第2吸入通路A、12a’…第2吸入通路B、12b…第2吐出通路、13a…吸入側逆止弁、13b…吐出側逆止弁、14…電磁弁、20…油分離器、22…流入管、23…第1流出管、24…第2流出管、23b…油戻し孔、25…油、30…四方弁、31…室内熱交換器、32…室外熱交換器、33…膨張弁、40…密閉容器、41、42…第1、第2シリンダ、41b、41c…孔部、43…仕切板、44…主軸受、45…副軸受、46…駆動軸、46a、46b…偏心部、46c、46d…ガス抜き穴、46e、46f…油溝、47…回転子、48…固定子、49、50…ピストン、49a…ピストンローラ部、49b…ピストンベーン部、51…滑動子、52…圧縮室、53…吸入室、54、61…吐出室カバー、57…吐出弁、70…油吸込口、71…給油パイプ、72…油、80…凝縮器、81…第1キャピラリ、82…冷凍室蒸発器、83…電磁弁、84…第2キャピラリ、85…冷蔵室蒸発器。

Claims (1)

  1. 圧縮機、凝縮器、減圧装置及び蒸発器が接続された冷凍サイクルと、前記圧縮機の運転状態を切替える手段と、前記冷凍サイクル内の冷媒中の油を分離する機構とを備えた冷凍空調装置において、
    前記圧縮機は、密閉容器と、前記密閉容器内に収納された第1圧縮要素及び第2圧縮要素からなる二つの圧縮要素とを備え、
    前記切替え手段は前記二つの圧縮要素の直列接続運転と並列接続運転とに切替え可能とし、
    前記油分離機構は、直列接続運転時に一段目となる前記第1圧縮要素の吸入通路に接続した油分離器と、直列接続運転時に二段目となる前記第2圧縮要素の吸入通路を前記密閉容器内で分離して形成した油分離部とを備え、
    前記油分離器は、容器と、前記蒸発器側から前記容器内に延びる流入管と、前記容器内から前記第1圧縮要素の吸通路に接続された第1流出管と、前記容器内から前記第2圧縮要素の吸通路に接続された第2流出管とを備え、
    前記第2流出管は前記容器の底部に近接して開口して設け
    前記第1流出管は、前記容器内上部に開口し、油戻し孔を前記第2流出管の開口位置より高い位置に設けたことを特徴とする冷凍空調装置。
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